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はたらく魔王さま! 12

[著]和ヶ原 聡司  [絵]029

銀髪となった漆原の病室に集まった一同。皆の前で恵美の母親であるライラがこれまでのことを告白すると、勇者として、娘として、恵美の怒りが大爆発!過去の真相を知った恵美は、ライラとの大喧嘩の末に病室を飛び出してしまう。追いかける千穂と鈴乃だったが、二人は恵美を見失ってしまい…。一方マグロナルド幡ヶ谷駅前店では、新サービスのマッグデリバリーがスタート。レッド・デュラハン一号(店のバイク)で街を駆け巡る魔王も、母親と大喧嘩した恵美のことを気に掛けていた。庶民派ファンタジー、混沌の第12弾!勇者と天使の壮大な母娘喧嘩に挟まれて、魔王さま大ピンチ!? (「BOOK」データベースより)

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 母・ライラの話を聞き、怒りを露わにする恵美。彼女だけでなく、真奥も非協力的な態度を貫いていた。エンテ・イスラを巡る状況が膠着する中、マグロナルドではいよいよデリバリーサービスがスタートして……?

 復活した途端、自然に「お隣さん」の位置に収まってるガブリエルと、デリバリーが始まったのを良いことに大量注文で木崎さんを呼びつけるサリエルに笑ってしまった。ライラといい大天使勢がフリーダムすぎる。そして大天使側以上に人間世界に馴染みすぎなやりとりを繰り広げる芦屋と漆原のやりとりが微笑ましすぎて笑うけど本当にそれでいいのかこの人達。

 前巻から引き続きエンテ・イスラに関する様々な真実が明かされて、その一方で恵美の元後輩の清水真季や真奥のマグロナルドでの同僚・川田など、今まで殆ど描かれてこなかった周囲の人々の姿が鮮明に描かれているのが個人的には凄く面白かったです。恵美はなんというか……むしろ女子にもてるタイプですよね…。

 恵美親子の不和をきっかけに、これまで見据える暇もなかった“未来”のことを考える恵美や、そんな彼女の姿から自分の将来を考える千穂の姿が印象的でした。千穂の進路の話は色々胸に刺さるけど、大人になってみると真季が語るその進路選択の仕方は凄い納得できるなあと。

 これまでの「かつてのサタンを導いた大天使」のイメージが強すぎるせいもあるんだろうけど、自分が表舞台に立たず事態を裏から動かして窮地になればサタンやエミリアを頼り、ふたりに拒否られてノルドの背中で涙目になってるライラには「これはエミリアもキレるわ」としかいえないんだけど、サタンの考えを聞き、サタンの「やり方」に合わせた形で攻め方を変えてくるあたりには流石に年の功を感じるというか本当に図太いなこの人……恵美は強く生きて欲しい。

 ラブコメ的には空前の恵美回で、勇者の挟持とか色々見失いがちだった上に突然の母の登場と、母の側に立つ父の姿に目的も見失う恵美のデレが可愛すぎて凄いんだけど、これで恵美が真奥への好意を自覚してしまうとラブコメ的な意味でどう転がってしまうのか。アニメのおかげで千穂ちゃんの百面相が目に浮かぶようで微笑ましいけどほんとこれは先が読めないな……。

どうでもいい 世界なんて -クオリディア・コード-

[著]渡航(Speakeasy)  [絵]saitom

正体不明の敵<アンノウン>によって、世界が崩壊した近未来。今も<アンノウン>との戦争を続ける防衛都市・千葉に暮らす千種霞は、今日も今日とて「終わらない残業と不毛な営業」と戦っていたーー。成績不振により天然系うっかり女子の蓮華と共に戦闘科から生産科へと出向させられた霞を待ち受けていたのは、しっかり者の上司・朝顔が仕切るブラックな職場環境。TVアニメ放送中の『クオリディア・コード』の「千葉編」前日譚、完全書き下ろし小説として登場! (レーベル公式サイトより)

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 正体不明の敵性体・通称アンノウンの侵略により壊滅的な被害を受けた世界。戦争中にコールドスリープに入った子供たちは、スリープ中に次々と“世界”と呼ばれる異能力に目覚め、アンノウンに対抗する力を手に入れた。戦争はいったん終結という形を取ったが引き続きアンノウンの侵攻は続いた。関東には東京・神奈川・千葉に3つの防衛都市が築かれ、そこでは能力を手に入れた子供たちがアンノウンと戦っている。(以上東京編の感想ry)

 舞台は防衛都市・千葉。華形である戦闘科に入ったものの成績の振るわない千種霞は同僚の榴ヶ岡蓮華とともに生産科への出向を言い渡される。そこで待っていたのは上司からの理不尽な要求と無茶なノルマをつきつけられるブラックな職場環境だった。そんな中で、霞は生産科のトップ・鶴瓶朝顔が語る「新しい世界」に少しだけの期待を見出すが……?

 あらすじと世界観は近未来学園異能SFだけど8割社畜ラノベだーー!?千葉メンバー特有のインテリヤクザ感とか、登場人物及びやってることの「高校生らしくなさ」とかが、余計社畜ラノベ感高まってしまう。むしろこいつら学生だっけ??って考え始めるまである。

 選挙というシステム自体はあるものの、戦闘科のトップが首席を兼任する時代。生産科という存在を自らブランディングし、地位の向上を目指そうとする朝顔のひたむきな努力と、その本心を知り、力を貸そうとする霞や他の生産科のメンバーが一丸となって行く姿が印象的なのですが……まあ上しか見てないと足元掬われるよな。これだけ周到に根回ししていて、すぐ近くにあった小さな悪意みたいなものに気づけ無いのがなんだかやるせない。

 東京編の悪意は割りと選民思想にコーティングされてるぶんそこそこむき出しだった気がするのですが、千葉編は東京編とは違った意味でどろどろしてるな…。表面上は取り繕いつつ水面下での腹芸と纏わりつくような悪意の応酬が凄かった。神奈川編は腹芸とか全部幼馴染百合で吹き飛ばすやつなので癒やしだな……ヒメかわいい(思考停止)。

 千種兄妹のさらっとしつつも、いざとなるとお互いを立てあってる関係性が好きでした。表面上何を言ってても明日葉は霞のこと大好きなんだよな……。霞もなんだかんだ言いながら、「妹に釣り合う自分」になろうと努力していて、それでも自分とは関係ない部分でそこに届かないもどかしさを感じているのが印象的でした。逆に、だからこそ「妹の足枷にはならない」と言い切る霞が自称「妹の七光り」で千葉次席をやってるアニメ版にどう繋がるのか、とても気になる。良くも悪くもアニメの副読本的な役割も果たしているシリーズなので、早めに続きが出ると良いなあ。

 しかし、アニメ版で成績やランキングなど気にしないと嘯く霞だけど、少なくても千葉編の1巻時点ではめちゃくちゃ気にしてるよね。というか、まあアニメ版も気にしてなかったらあんな微妙な順位即答出来る程度に覚えてないよね……霞が壱弥の事好きじゃないの、別に壱弥が出て来るわけでもないのにこれ読むとひしひしと伝わってきて萌えます。

クズと金貨のクオリディア

[著]さがら総、渡航(Speakeasy)  [絵]仙人掌

底辺高校生・久佐丘晴磨と、天使のような後輩・千種夜羽。同じ階層にいられるはずのなかった二人は、とある偶然をきっかけに接近してしまう。異常気象、異常現象、異常行動…少しずつ歯車が狂いだしていく二人の日常と奇妙な都市伝説。曰く「ランダム十字路」―真夜中、突き当たったT字路で誤った道を選ぶと、二度と帰ってこられない。行方不明の女子をなりゆきで一緒に追うなか、晴磨と夜羽の思惑は大きくすれ違い…!?レーベルを越えて広がる新世代プロジェクト第一弾!これはふたつの視点から紡がれる、終わりゆく世界とめくるめく青春の物語―。(「BOOK」データベースより)

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 友達いない底辺高校生・久佐丘晴磨はとあるきっかけから後輩の美少女・千種夜羽と出会う。半ば脅されるような形で行方不明になった彼女の“友人”を一緒に探す羽目に。見え隠れする“同業者”の姿と、「ランダム十字路」なる都市伝説の噂。事態は二人の想像もしなかった方向に転がっていって……!?

 プロジェクト・クオリディアのアニメ・小説世界の更に前日譚となる物語。旧世界が<アンノウン>の襲撃によって終わりを迎えるまでの姿が物語の幕間幕間で示唆されつつも、そんなことは全部うっちゃってサイコパス美少女とやれやれ系男子高校生の奇妙な関係性を描く物語です。

 わたりん節全開な晴磨のとりとめのない一人称と、さがら総が描くどこまでもクレイジーでサイコパスな夜羽の一人称がキャッチボールという名の相互壁打ち(決してお互いにボールを獲り合ってはいない)やってる感じが、めちゃくちゃ読んでて疲れるけどクセになる。最初から最後まで一貫して噛み合わず、思考はどこまでもあらぬ方向に脱線しながら、それでもつかず離れず寄り添うように進んでいく展開が面白い。

 夜羽側の家庭の事情やこんな性格になった一端もそれとなく明かされるのですが、晴磨がそういった事情に絆されるわけでもなく、「お前はクソ女だ」という思いが最初から変わることはなく。それでも「一目惚れだ」って言ってしまうのが本当に凄い。最初から最後までどこかすれ違っていて、それなのにラストは本当にびっくりするほどラブラブで……唐突に終わる世界と、晴磨と夜羽ふたりだけのとびきり甘くて閉じたセカイが同時に描かれていくのが印象的でした。その後ふたりがどうなったのかどうとでも解釈できる、アニメのCパートのような終わり方が最高に好き。

 「千種」「朱雀」「天河」「凛堂」とその後のクオリディアの中心となるメンバーと同じ名字が登場して、明確な示唆はされないんだけど彼らの“親世代”の物語になるのかな(特に朱雀に関しては壱弥が『父親が生徒会長だった』といってるのでほぼ間違いないとは思うけど)。晴磨と夜羽の物語には全く関係ない、各章の扉から描かれる旧世界の終わりの姿が、クオリディア・コードの3作品とアニメ4話までを踏まえると明確な形を見せてくるのが色々想像できて楽しかった。関連作品を知らずに読んだら全く違う感想になったと思うので、最後に読んでしまったのが少しもったいなかった気がする。

 それにしても、カナリアの名字だけが登場しないのは意図的なモノを感じてしまう。明かされない彼女の『夢』といい、何か秘密がありそうだしなあ。

いつか世界を救うために2 -クオリディア・コード-

[著]橘 公司(Speakeasy)  [絵]はいむら きよたか

暗殺対象である神奈川序列第一位・天河舞姫の突然の来訪。二人っきりになる絶好の機会であるにもかかわらず、動揺する紫乃宮晶。ストーキングの証拠満載の舞姫グッズで埋め尽くされた部屋を隠し通せるのか―。さらには四天王入りを果たしたことで、「神奈川伝統の寝起きドッキリでね!」今度は逆に舞姫たちからストーキングを受けることに!?(「BOOK」データベースより)

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 舞姫を巡る事件を解決した功績で、空白となった四天王の一人に押し上げられてしまったシノ。それ以来、舞姫や四天王が突然シノの部屋にやってきたり、追い掛け回されるようになってしまう。舞姫と仲良くなるにつれ、彼女を暗殺するという任務に違和感と躊躇いを感じ始めるシノだが、今度は相棒のほたるが不穏な動きを見せ始めて……。

 アニメ関係の告知見てればシノの正体については割と「ですよねーー」って流れになるんですけど、あらすじが思い切りネタバレかましてくるのに笑った。というかカラー口絵からしてアレなのであんまり隠す気ない。しかし最終的にこの子が「ヒメニウムが足りない」とか言い出すのかと思うと本当にアレだね……。

 任務と良心の間で板挟みになりつつも少しずつ舞姫に絆されていくシノの姿にとてもニヤニヤする。普通に見たらただのストーカー状態なシノの部屋に踏み込んでこられて一悶着するも、まさかの四天王(※だいたいガチの舞姫ストーカー)が庇ってくれるの面白すぎて腹筋が攣った。そこから、舞姫による逆ストーキングからのデート展開で(もちろん四天王のストーキングと余計な入れ知恵つき)、四天王の妄想を再現させられたり、皆の趣味全開の服を押し付けられたりするのが楽しすぎる。それにしても性別バレしてからの方が圧倒的にイチャイチャ度高いのはどういうことなんです!?

 そんなイチャイチャ展開からうってかわって、正体がバレてからの決闘と、全ての真実が明かされた後の呼吸ぴったりの共闘が熱い。陰謀策謀あるけれど、とにかくバトルシーンはめちゃくちゃ強い二人がそんなもの全部吹き飛ばすみたいな展開で、爽快感がすごい。ヒメとほたる、ふたりがいればどんな敵だって怖くないという最強無敵の幼馴染関係が最高に楽しかった!

 そして、同時に最後の真里香と來栖がとても好きです……利害関係からはじまる双方への好感度に依存しない共犯者関係最高。アニメ4話までで基本的に東京以外の小説版の脇キャラは登場して来ないのですが、この2人はなんか枠組み外れたところからしれっと出てきて欲しいなあ。

いつか世界を救うために -クオリディア・コード-

[著]橘 公司(Speakeasy)  [絵]はいむら きよたか

西暦二〇四九年。世界は終わるかと思ったが、終わらなかった。突如として現れた正体不明の『敵』―“アンノウン”と戦争を続ける人類。防衛都市のひとつ神奈川の学園に転校してきた紫乃宮晶。彼の目的は『神奈川序列第一位・天河舞姫を暗殺すること』。しかし『最強』の称号を有し、人類の希望である少女の強さはあまりにも規格外で…。「のぞきではない。監視だ」「今は胸を調べている」「無論、尾行だ」「変態ではない、調査だ」「秘密裏に行う家宅捜索だ」舞姫の全てを知るための観察が始まった!?新世代ボーイ・ストーキング・ガール!! (「BOOK」データベースより)

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 正体不明の敵性体・通称アンノウンの侵略により壊滅的な被害を受けた世界。戦争中にコールドスリープに入った子供たちは、スリープ中に次々と“世界”と呼ばれる異能力に目覚め、アンノウンに対抗する力を手に入れた。戦争はいったん終結という形を取ったが引き続きアンノウンの侵攻は続いた。関東には東京・神奈川・千葉に3つの防衛都市が築かれ、そこでは能力を手に入れた子供たちがアンノウンと戦っている。(以上東京編の感想からコピペ)

 舞台は防衛都市・神奈川。南関東管理局の特殊部隊に所属する紫乃宮晶と凛堂ほたるのふたりに神奈川の序列一位・天河舞姫を暗殺せよという命令が下る。どこか不可解なものを感じながらも学園に潜入したふたりだったが、舞姫は10年以上神奈川の首席に君臨し続ける強者で、シノの戦闘能力を持ってしてもなかなか歯が立たない。更に、彼女を崇拝する“四天王”などという存在も現れて、…!?というお話。

 南関東最強を誇る天河舞姫を中心に「ヒメ(舞姫)かわいい!」でまとまってる神奈川の雰囲気が、腹芸上等ギスギスフィーリングな東京編を読んだ後だと、とても癒やされる……。正直、舞姫ひとりが精神的な支柱となっているあたり、ちょっと危ないバランスで成り立っている気がしてならないけど、まあとりあえずギスギスしてるより良いんじゃないかな……。

 そんなアイドル的な存在の舞姫に、本当の目的を隠して近づこうとするシノの行動がはたからみると完全にストーカーだったり、そんな彼を“ライバル”と思い込んだ四天王とのドタバタが楽しくてたまらない。本当に同じ世界観設定のストーリーで東京とここまで違う雰囲気の話になるのかびっくりだよ!!

 ただ、全体的に明るくドタバタとした物語なんだけど、やっぱり繋がる世界観はクオリディアのそれで。しっかり世界観のつながりを感じさせる重たい展開も盛り込んでくるのが面白かった。東京は安定の東京だな……(やることがエグい)。

 それにしても、アニメから入ると“凛堂ほたる”ってこの人ではないよな…?あれ?ってなってしまう罠。なんとなく予想は出来るんですが、ここからアニメの物語にどう繋がっていくのかとても気になります。

「好きなライトノベルを投票しよう!! 2016年上期」投票します。

企画元:好きなライトノベルを投票しよう!! - 2016年上期

 今年もまたギリギリなんですが投票します。今回からツイッター投票がやりやすくなったので最後の1時間ですが好きな1冊があるかたは気軽に投票できるようになりましたよ!

amazon.co.jp:そんな世界は壊してしまえ 2 ‐クオリディア・コード‐
さがら総(Speakeasy)「そんな世界は壊してしまえ 2 ‐クオリディア・コード‐」(⇒感想
テレビアニメ放送中の「クオリディア・コード」の前日譚・東京編。歪んだ選民意識や醜い蹴落とし合い、先の見えない敵との戦いの毎日の中で、「人類を愛する」と豪語するすこしいびつで真っ直ぐな少年が、様々な出会いを経て迷いながらも少しずつ変わっていくのが良かった。2冊ですっきりと終わって続きのアニメがちょっと気になる終わり方になっているので、アニメが気になってる人も気軽に読めるのもポイント高いかと!
【16上期ラノベ投票/9784040683188】
amazon.co.jp:最強喰いのダークヒーロー
望公太「最強喰いのダークヒーロー」(⇒感想
異能力を持ってはいるが、ぶっちぎりで「最弱」の男が持ち前の観察眼とエグい戦略を駆使して成績優秀者達を次々と蹴散らし、頂点を目指す物語。タイトルとおり悪役のような男が、正統派な強者達や彼を潰すためには手段を選ばない大人たちを手玉に取って“大物喰らい”をしていく姿が爽快で、楽しい!正反対のように見えて似た者同士のヒロインや、薄暗い依存を覗かせる共犯者なもう一人のヒロインとの関係も楽しかったです。
【16上期ラノベ投票/9784797387384】
amazon.co.jp:ロクでなし魔術講師と追想日誌
羊太郎「ロクでなし魔術講師と追想日誌」(⇒感想
シリアス展開の本編6巻も凄く良かったのですけど、短編集のグレンの魔術講義話がとても好きなのでこちらに。学ぶことの楽しさ、面白さがビンビンに伝わってくる授業風景はこのシリーズのキモだと思うのです。後半に織り込まれていたシリアスな過去話も良かった。
【16上期ラノベ投票/9784040708676】
amazon.co.jp:甘城ブリリアントパーク8
賀東招二「甘城ブリリアントパーク8」(⇒感想
6巻の頃から表面化していた難題に一応の落とし所を見出した最新刊。そこに至るまでの展開がとにかく容赦なく、ちょっとラブコメ展開しつつもスリリングな展開がたまらない。というか中盤のリアルホラー感ほんとキツイので面白かったんですけどきつかったです!!相変わらず本編はしっかりハードな展開持ってくるよなあ……それが好きなんですが。
【16上期ラノベ投票/9784040707020】
amazon.co.jp:(仮)花嫁のやんごとなき事情 〜最終決戦はついに離婚!?〜
夕鷺かのう「(仮)花嫁のやんごとなき事情 〜最終決戦はついに離婚!?〜」(⇒感想
長いこと追いかけてきた「仮花嫁」シリーズも遂にクライマックス。妖精王と黒龍夫妻の最終決戦も良かったですが、それ以上にクロウの両親・ウーベル帝とイグレイン妃の愛憎模様の結末がとても好きでした。最後の最後でクロウの“母親”だったイグレイン妃の行動にぎゅっとなるんですが、正直色んな意味でウーベル帝の一人勝ちだったよねこれ……。
【16上期ラノベ投票/9784047309708】

そんな世界は壊してしまえ 2 ‐クオリディア・コード‐

[著]さがら総(Speakeasy)  [絵]カントク

人類の『敵』―“アンノウン”と戦う近未来。防衛都市東京に所属する朱雀壱弥は、初めての問題に直面する。狂っているのは自分か、それとも世界か。あるいは―「いつもにこにことなりでスマイルピース!あなたのカナリア、みんなのカナリア!毎度おなじみ、宇多良カナリアです!」―この女か。水着で無意味にぴょんぴょんするカナリアに、朱雀の正義が揺れ動く。逡巡の末、新たな仲間たちを指揮するが…「教えてあげる―その気持ちが、恋だよ」「おまえ、もしや目が腐っているのでは?」TVアニメ『クオリディア・コード』7月より放送開始!原作プロジェクトにして、『変態王子と笑わない猫。』コンビが贈る青春ラブコメの最前線、待望の第二弾! (「BOOK」データベースより)

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 東京主席の少年との一件以来、自らの“正義”に疑問を感じ始める朱雀壱弥。働きを認められ、戦闘科の配属になった彼はカナリアと共に、学園からドロップアウトして防衛都市の外で暮らす生徒たちと接触する。彼らを鍛え上げて、学園に復帰させようとするのだが、思わぬ事態が待ち受けていて……というお話。

 1巻からもうこの物語の世界観や登場人物達の歪みっぷり本当に凄いんだけど、2巻は更に輪をかけて凄かった……特に戦闘科の生徒たちの選民思想というか歪んだエリート意識ヤバイ。こんな狂った世界でそうしなければ生きてこれなかったみたいな部分もあるんだろうけど、強いものにへりくだり、隙あらば蹴り落とし、弱い者やドロップアウトした者を見下す彼らの姿勢が清々しいまでにゲスくて直視できなかった。しかも、狂っていたのは上に居る彼らだけではなくて。

 これまでとは違う道を模索しようとして、少しずつかつての当たり前の少年らしさを取り戻しつつあった壱弥が最悪の状況で手ひどく裏切られて絶望して、それでも最後に少しだけ光が垣間見るという終わり方がとても好き。壱弥って確かに歪んだ人格ではあるんだけど、きちんと自分が認めた相手にはそれなりの敬意を払っているのがどこか微笑ましい。

 それで、私はラブコメ的には正直カナリアよりもつぐみ派なんだけど、つぐみは原作のここで脱落っぽい感じなのが残念。終盤の彼女のモノローグと諦観の混ざった心の動きが、どこか切なくて好きです。

 終盤は少し駆け足感を感じたのだけど、良くも悪くも「アニメに続くための物語」で逆にこの後の物語をアニメできちんと見たいと思わせる終わり方だったと思う。2冊で綺麗にまとまっていて、アニメでは描ききれないキャラクターたちの事情や感情を理解することが出来て、良かった。

 余談なんですがエピローグの電話の件、なんだかんだで彼らのことを気に掛けてるのがまるわかりでめちゃくちゃにやりとするんですけどアニメの1話でしっかりその『彼』が戦闘科で生徒たちをまとめる役割っぽいポジションになってるんですよ!!!アニメのクォリディアで防衛都市の細かい話をやるのかどうかはわからないけど、未来の彼らの姿も少し期待してしまう。

そんな世界は壊してしまえ ‐クオリディア・コード‐

[著]さがら総(Speakeasy)  [絵]カントク

人類の『敵』―“アンノウン”の襲撃により世界が崩壊した近未来。湾岸防衛都市東京の学園に所属する朱雀壱弥は―人類を愛しすぎていた。全人類の発展のため、美少女の告白をバッキバキに叩き潰し、戦わない同級生の心をボッキボキに叩き折る。デート?カップル?それはこの世界でどんな意味が?なにもかもを論理で語れ。自分の正義を信じてやまない朱雀に、謎の転校生少女の調査任務が与えられ…?ポジティブクズとドM天使が出会い、新たなる変態ストーリーの幕が上がる―!『変態王子と笑わない猫。』コンビが贈る青春ラブコメの最前線!刮目せよ!(「BOOK」データベースより)

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 正体不明の敵性体・通称アンノウンの侵略により壊滅的な被害を受けた世界。戦争中にコールドスリープに入った子供たちは、スリープ中に次々と“世界”と呼ばれる異能力に目覚め、アンノウンに対抗する力を手に入れた。戦争はいったん終結という形を取ったが引き続きアンノウンの侵攻は続いた。関東には東京・神奈川・千葉に3つの防衛都市が築かれ、そこでは能力を手に入れた子供たちがアンノウンと戦っている。

 舞台は防衛都市・東京。高い戦闘能力を持つが飛翔する“世界”を持たないゆえに最前線の戦闘科から外された朱雀壱弥。人類を愛するあまりに個人への恋愛感情を理解できない壱弥とそんな彼に告白して以来すっかりセット扱いされているつぐみの2人は、東京次席の鷹匠からとある依頼を受けることに。全人類の可能性を信じるが故に戦闘科の劣等生達の心をバキバキに追っていく壱弥の前に、初恋の少女とそっくりな少女・宇多良カナリアが現れて……?というお話。

 しょっぱなから朱雀壱弥という人間の歪みっぷりを思い切り出してきて、そんな壱弥に周囲が振り回されるお話かな?とおもったら次から次へともっと歪んだ登場人物達が出てきて東京がヤバイ。ラブコメ的な軽いノリの世界観かとおもいきや、思った以上に深い所から歪んでいて最高に楽しい。東京住みという優越感やら微妙な選民意識を闇鍋で煮詰めてどろどろにしたやつに、得体のしれない敵との先の見えない戦いとかほぼ子供達だけの閉じた世界とか、それがうみだす社会の歪みとか一緒くたにぶちこんで一見学園異能ラブコメの皮かぶせてました!みたいな。

 どこか虚ろな狂気をもって世界全てに無償の愛を注ぎ続けるカナリア。壱弥の理想を体現したような歪んだ男・東京主席の少年との出会いを経て、少しずつ自分の考えに疑問をいだいていくのが印象的。アニメの前日譚ということで、壱弥とカナリアの都市内での立場もかなり違うんだけど、ここからどうやってアニメの物語につながっていくのかも気になる。

 よくも悪くも壱弥がどう「変わっていく」のか、楽しみです。

はたらく魔王さま! 0

[著]和ヶ原 聡司  [絵]029

赤い空と大地が覆う魔界の地。弱小部族出身の少年悪魔が、かつて魔鳥将軍と恐れられた老悪魔カミーオと激しい口論をしていた。少年の名はサタン。後に魔王サタンとしてエンテ・イスラ征服に乗り出すが、今は非力な一悪魔であった。サタンは二大勢力の蒼角族と鉄蠍族に対抗するため、強大な力を持つハグレ悪魔ルシフェルを味方にしようとしていた。ルシフェルとの出会いからアルシエルとの激突までを描く、魔王達の始まりの物語を書き下ろしで収録。さらに勇者エミリアの旅を綴った書き下ろし短編に、魔王達が日本に来てすぐの年末年始を描く「電撃文庫MAGAZINE」掲載の短編をプラス。庶民派成分控えめの特別編! (「BOOK」データベースより)

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 サタン、エミリアの過去編を収録した短編集。

「はたらく魔王さま達!-a long time ago-」
 少年時代のサタンが弱肉強食の魔界で、『知恵』を武器に一癖も二癖もある荒くれ者達を味方につけていくのがとても楽しかった!ただ力の弱い者が知略を弄すのではなく、最初は誰よりも弱いところから、少しずつ仲間にした魔族達から「学び」「成長」していく姿にワクワクする。特にルシフェルを仲間にするところとか、いかにもという感じで好き。良くも悪くもルシフェルの立ち位置は今も昔も変わってないのが美味しかったです。

 力を誇示するだけが全てだった魔族達の中で、唯一「知性」を使い一族を増強してきた鉄蠍族の長・アルシエルとの決戦がまた熱い。それでも、この物語の最後の時点ではアルシエルは忠実な魔王様の部下ではなくていつか寝首をかいてやると虎視眈々と狙う元敵将でしかないんだよなあ。個人的にはアルシエルがどうしてこんなにサタン様一筋(違)になったのか、この物語では語られなかった四天王・マラコーダ周りの話も含めて読んでみたい所。

 短いシーンだけど、ラストの千穂の言葉に対するアルシエルの反応が好き。なんかこう、細かいところで「人間」と「魔族」の考え方の違いが示唆されているのが興味深かった。

「はたらく勇者さま達!-a long time ago-」
 魔王を倒すために旅をしていたエミリア一行が、とあるトラブルに遭遇して……?というお話。あとがきでも触れられている通りまだ「正義」をやってた頃のオルバがとても新鮮なんだけど、そんなオルバがたまたま近くに居たベルに完全に振り回されてるのにニヤニヤした。この爺さん、悪役でもいい人でも割りと振り回され体質だよね……。

 そしてベルが色んな意味でフリーダムすぎて笑ってしまう。なんか結構異端審問官時代は黒歴史というか色々本人にとってはつらい思い出……みたいなイメージだったけど満喫してるじゃないですかー!!ラストのドヤ顔想像するだけで可愛いズルい。

「悪魔と勇者と女子高生-A happy new year-」
 クリスマスに、突発のバイトでコンビニのケーキ売りをすることになった真奥と芦屋。夕方になった頃、OLと思しき女性が現れて……?

 この短編集唯一の庶民派成分。物語が始まる前の年末年始、まだ面識のなかった真奥と芦屋、千穂、恵美が面識のないまま出会うお話。知らない人同士として出会う4人のやりとりがびっくりするほど新鮮で、本当になんてこともない、とりとめもない年末年始のお話なんだけど、それがびっくりするほど面白かった。他2編が魔王さま的に物凄く「非日常」な物語だけにほっとするというか安心感もあるなあ。

最強喰いのダークヒーロー

[著]望公太  [絵]へいろー

「こんなの、反則じゃない!」「ククッ。勝ちゃあいいんだよ」『ソードウォウ』―世界を熱狂させる新時代の異能競技。最弱の無名選手・阿木双士郎は、最強の新入生リザを初戦で下してみせた―許されざる卑怯な手によって。騙し、あざむき、裏をかき、奇策にハメて突き落とす。勝つためにあらゆる術を尽くす冷徹な勝負師・双士郎は、「行くぜ、馬鹿おっぱい」「それってまさか私のこと!?」リザを手駒に加え、悪魔的な策略と詐欺で、平和ボケした最強共を容赦なく喰らい尽くしていく。最弱の男が最悪の頭脳で頂点へ。常識を嘲笑う悪党が魅せる、カタルシス満点の痛快大物喰い、開戦!!(「BOOK」データベースより)

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 ソードウォウの欧州覇者という鳴り物入りで聖海学園に入学した新入生・リザ。高校生世界大会「祓魔祭」の学内予選に出場した彼女は、初戦に学内最弱と揶揄される三年生・阿木双士郎に完全試合を決められてしまう。失意にあった彼女の元に双士郎が現れて……。

 異能力を使った戦いがスポーツの華形としてもてはやされる世界。異能を持ってはいるものの戦闘力は文字通りずば抜けて「最弱」の主人公が、ずば抜けた観察力と頭脳とえげつない手段を使って世界に対して下克上していくのが爽快で気持ちよかった!3年間掛けて準備に準備を重ねた双士郎が罠をしかけ、言葉を弄して戦略を見誤らせ、排除しようとする学園側の汚い裏工作もなんなくかわし……と次から次へとえげつない手段で勝ち進んでいくのが楽しい。

 そんな双士郎に初戦敗北し、最初は否応なく彼の協力者になったヒロイン・リザが少しずつ彼の事情に触れ、自らの意思で彼の協力者となっていくのにニヤリとする。勝利するためなら手段を厭わない双士郎とは正反対の疑うことを知らないリザが汚いやり口に振り回されるのが楽しくて仕方ないし、同時に彼女にも複雑な事情があって自然に双士郎に惹かれていくのが理解出来る感じなのも凄く好き。正直、双士郎側はまだまだ彼女に腹の中を明かしてない感じすごいので今回の終盤のいい話っぽい展開も素直に信じて良いのか?と疑いたくなるんだけど、それが良い。

 もう一人のヒロインである檸檬子との関係も好き。中盤で明かされる、双士郎がこの戦いを始めたきっかけがまた凄く重たくて。『地獄』を味わったのにもかかわらず失ったものが多すぎて。全ての事情を知った上で双士郎に協力する檸檬子の共犯者関係というか様々な言葉の端から感じる薄暗い依存性にぞくぞくする。

 チーム戦についてはまだメンバー集めの途中という感じだし、良い意味で序章という感じの第一巻でしたが、個人戦チーム戦合わせて続きがほんとうに楽しみ。もうひとりのヒロインは司会をやってたアイドルの子らしいけどどんな手口で仲間に引き入れるのか、個人的にはいかにも王道主人公やってる爽やか好青年・ヴィレットとの男二人の関係性も楽しみにしたいところです!!