“しろ” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

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嫁にしろと迫る幼馴染みのために××してみた

 
konomi

寂れた地元の商店街を救うため、大村秋馬は日々フードファイトに挑んでいた。そこにある日、小さいころに引っ越していった幼馴染みの来海が帰ってくる。その胸には、幼いころ交わした「秋馬のお嫁さんになる」という約束があった。しかし、夢いっぱいで帰ってきた彼女の目の前に現れたのは、変わり果ててしまった秋馬!どうにか秋馬を自分の理想の姿に近づけようとする来海だったが、動画サイト中毒の残念美少女にダイエット知識満載な謎のクラス委員長、才色兼備のぽっちゃり好きお嬢様まで絡んできて…暴走しがちな奮闘の行方は!?―。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

これは「ダイエット物」をもっと押し出したほうが良かったんじゃないか……

「ひめ×ぱら」の風見周+萌え萌えな表紙+最近ありがちな思わせぶり長文タイトル……で「ああまたエロコメか」とおもってたら違うらしいので買ってみたけど正直ラブコメ部分よりもダイエットものとしての部分のほうが面白い。実際にダイエット歴を持つ作者が実体験を元にそのノウハウを詰め込んだ……ということで、ダイエット物としては「なるほど」と思う部分が多く、自分がダイエットの参考にしたいので続きは出て欲しいけど、ラブコメ部分はあまり……

軽く読めてしまうから読んでるときは気にならなかったけど、読み終わって振り返るとうーんと思う部分が色々と。ヒロインの性格がアレすぎてちょっと抵抗感を覚えてしまいました。なんかこうツンデレ、では片付けられない不快感が。

あとこのラノベ、絵師選び失敗してると思う。確かに女の子はすごく可愛いんだけど、可愛いんだけど!!!主人公がピザデブ体型なのにその体型に普通の人間と同じ顔パーツがくっついててちょっとあの……その…………何故デブがちゃんと描ける絵師を選ばなかったし!!!


イラストレーター買い…むしろ「巻頭カラーページ買い」の話

超個人的「この作家の別シリーズは読む!」(「いつも感想中」さん)
ライトノベルの「作家買い」詳細解説と個人的な事例とか「イラスト買い」とか(「平和の温故知新@はてな」さん)

作者買いの話を読んで、考えてみると殆ど私はライトノベルで「作者買い」をしていないことに気づきました。一応自分の好きなシリーズの作者の別シリーズが出ると、それなりに気になることは気になるんですが高確率で購入には至らないというか、なんというか。

なんでだろうと思ってたんですが、殆どの作品において作者の作品は気になるがイラストレーターが微妙だった事に思い当たってみたり。ライトノベルは個人的に文章と絵があってナンボだと思っているので、私の場合は挿絵もツボに来ないと高い割合で購入に至りません。というか、この作者ならきっと面白いに違いない!っていうのはあるのに読む気がしないのはなぜだろう。

考えてみると私が今のところ完全な「作者買い」をしてる作者って
 ・川上稔
 ・甲田学人
 ・岩井恭平
 ・中村恵理加
くらいしかいないんですよね。
あれだけプッシュしまくっているフルメタですら同作者の「ドラグネット・ミラージュ」からまず未読…というか序盤で挫折中。1巻は書いてるのは違うので致し方ないといえば仕方ないのか…い、いつか頑張って読もう…。あと新井素子もエッセイ関係は高確率でスルーしてしまっています(あちらは冊数多すぎるというのもあるけど)

というわけで私の場合は作者買いでもイラストレーター買いでもなく、作者&挿絵コンビ買いになる確立が高いです。まあ同じ作者と同じイラストレーターで安心して読めるというのもあるのでしょうが…。「川上稔&さとやすコンビ」をはじめ、「藤原祐&椋本夏夜コンビ」とか「三上延&純珪一」コンビとか来ると確実ですね。私は途中で挫折してしまいましたが「時雨沢恵一&黒星紅白コンビ」なんてのも世間的には人気かもしれません。

しかしそれ以上に「前情報全く無しで新シリーズに手を出す」という場合、私は巻頭にあるカラーページをめちゃくちゃ重視します。表紙が気に入ったら手にとって、巻頭カラーをペラペラ眺めて、それでピンと来るものがあればあらすじを読んでレジに…という寸法です。公式サイトや感想ブログで気になった作品も巻頭カラーがイマイチだとスルーしてる、というのも多かったりします。

というわけで、自分の中で巻頭カラーの果たす責任は恐ろしく重大になります。基本的には、この数ページに作品の雰囲気が全て凝縮されていると考えているからです(内容と巻頭カラーが予想以上に違って地雷を踏む事も多いのですが…)

自分的に「巻頭カラー買い」だった作品

スカイワード1(著:マサト真希/挿絵:橘由宇)
この本、作者さんの文章が非常に独特なのですが(句読点を使わないで畳み掛けるような文体を時々使う)そういう文章を巻頭カラーページに掲載していたため、思わずその文体が気になって購入。巻頭カラーイラストではなく「巻頭カラーの文章」に惹かれた一例。2巻以降はこの文体が鳴りを潜めてしまって作品の雰囲気も大幅に変わってしまって寂しかった記憶が…次シリーズの「絶世少女ディフェンソル」は未読。
オンライン書店ビーケーワン:スカイワード

ウィッチマズルカ1 魔法、使えますか?(著:水口 敬文/挿絵:すまき俊悟)
とにかく見開きで描かれる未玖の願種召喚シーンが素敵。その後のバトルシーンでもその挿絵が1枚あったお陰で凄く場面が想像しやすかったです。ライトノベルの中でも有数にお気に入りな巻頭カラー絵。
オンライン書店ビーケーワン:ウィッチマズルカ 1

レジンキャストミルク4(著:藤原祐/挿絵:椋本夏夜)
もともと椋本夏夜さんのファンをしている私なので、かなり作者&挿絵コンビ買い入ってるシリーズなのですが、巻頭カラー部分が際立ってる小説なので紹介。特に3巻以降の漫画は何かが覚醒しているというか…椋本夏夜さんの脳裏でマカデミアナッツサイズの何かが弾けたとしか思えません。本編のダークを軽やかにスルーして、巻頭カラーで「プリン王国」だのなんだのやりだすセンスが最高です。
オンライン書店ビーケーワン:レジンキャストミルク 4

撲殺天使ドクロちゃんです(原作:おかゆまさき/アンソロジー)
だから、なんでこんなところにいるんですかCLAMP先生。
一人だけ明らかに浮いてます。なんというか空気読めてません。しかもどうみても侑子さん(xxxHolic)がいらっしゃいます。
インパクト強すぎでした。うっかり買っちゃったじゃないですか。やってくれやがったな電撃編集部。完敗です。本当にありがとうございました。
オンライン書店ビーケーワン:撲殺天使ドクロちゃんです

私の場合はこんな感じですが、世間のライトノベルブログ管理人さんにとって「前情報の無い新シリーズ」を手にとるポイントはどの辺になるのかがちょっと気になったりします。やっぱ完全イラスト重視な自分の買い方はライトノベル好きとしては希少なんですかねー。


小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(下)

   
原作
矢立肇・富野由悠季

大ヒット劇場アニメの正統ノベライズがここに!
TVシリーズの小説を手掛け、劇場本編の脚本にも参加する後藤リウによる正統ノベライズ! 小笠原智史が描く挿絵も、上巻より更に大ボリュームに! 小説ならではのエピソードや細やかな心情描写を堪能せよ!!

ファウンデーションが仕組んだ罠にハマり、彼らが率いるブラックナイツに敗れ……命からがらオーブのオノゴロ島に身を隠したキラ達。核攻撃を行った地球連邦国家への『報復』としてファウンデーションが持ち出してきたのは、なんと廃棄処分になったはずのレクイエムだった。彼らはコーディネイターの更に上位の存在「アコード」を名乗り、各国にデュランダル議長が推進しようとしたデスティニープランの施行を迫る。混乱に乗じて奪われたラクスを取り戻すため、そしてファウンデーションの暴走を止めるため、キラ達は再び宇宙に上がることを決意するが……!?

なるほど!分身ってそうやるのかぁーー!!(わからん)

「劇場版ガンダムSEED FREEDOM」の公式ノベライズ完結編。前巻に引き続き、本編の内容をなぞりつつわかりにくかった部分や心象描写を加えて本編の理解を更に深めることが出来る物語となっていて良かったです!あとがきで『フリーダム強奪事件』は続編として映像化する可能性があるので概要は秘密で……みたいな話がありましたが、映画大ヒットしたし実現するとよいですよね……とても見たい。

下巻で一番大きかった点というと、映画ではほぼバックグラウンドを語られなかったアウラ女帝からの視点があることかな。彼女が小さな身体になった理由、キラの父であるヒビキ博士との因縁。一貫してキラのことを「出来損ない」と呼んできた彼女だけど、あれ多分ヒビキ博士への敵愾心から来ていたと言うかそもそもキラとアコード達って理念からして全く別の存在なんだろうな。

アウラの歪んだ執着が、そして失敗を知らないアコード達の慢心が完璧とも思われた計画を次々に狂わせていく。計画の狂いを最後まで認められないオルフェ、ラクスが語る「愛」に憧れながらも道具として生きることをやめられなかったイングリッド、キラやアスランを倒すチャンスを与えられながらも刷り込まれた創造主への忠誠心に足元をとられてしまったシュラ、心が読めるが故にシンが戦場で見てきた地獄の一端と仲間たちの今際の際の叫びを受け止めきれなかったブラックナイツ。生まれたときからアウラの手で使命や運命に雁字搦めにされて、そこから抜け出すことができなかったアコード達の姿はどこか哀れですらありました。それはそれとしてまあ、やったことは最悪だし同情の余地はないしラクスにしろキラにしろ自身の全てを掛けて倒さなければならない理由があったんですけども。

クライマックスの戦闘シーンは劇場版だと割と勢いで見ている所が多かったしあのとき感じた圧倒的な勢いとかパワーは小説版にはどうしてもないんですが、文字で説明されることで初めて見えてくる情報もあって。様々な人物の視点がテンポ良く切り替わり戦場の様子を映し出していくのが大変楽しかったです。ラクスが予想以上にアコードとしての力を全開で使って戦ってるし、ミーアの今際の際の言葉ってずっとラクスに刺さったままだったんだなとか、キャットファイトのようなノリでいつのまにか本気のバトルに発展してたアグネスvsルナマリアとか、予想以上に生々しいカガリの妄想してそうなアスランさんとか。デスティニーの分身のところも謎粒子をばらまいてなんか分身してるってことがわかって一番謎のシーンの謎が解けて安心しま…………いややっぱり全然わからん。キラさんは基本コミュ障気味なので口では勝てないのでラクスさんに舌戦任せて自分はバトルに集中しててたまに合いの手入れてくるというラストバトル凄い理にかなってて良かったと思います。ところで敵も味方もミラージュコロイド便利に使いすぎじゃないですか!?それ禁止兵器扱いじゃなかったですっけ!?こいつは草葉の陰からニコルもニッコリだ!!

そしてエピローグで突然脱いだと噂のラクスとキラのシーン、長いこと立場に縛られて本当に手を取り合う事ができなかった二人が全てを脱ぎ捨てて手を取り合う場面として描かれていて賛否両論ありそうだけどとても良かったと思います。戦うことしかできないキラと強烈なカリスマで世界を導いてきたラクスがそれぞれの能力に見合った世界から離れる自由を持てることこそが、この物語の終着点なのだろうなと感じたし、何より政治に長けたラクスではなくカガリに政治を任せる理由を戦線離脱したキラの元友人・カズイの口から説明させる展開よかったよね。良い意味でキラとラクスの物語であった「ガンダムSEED」という物語の終着点を20年ぶりに見れたようなきがして、とても満足でした。とはいえ一線を退いたキラとラクスが周囲の空気読まずにイチャイチャしてるだけのお話とかも普通に見たいし、世界が危機になったらどうみてもバレバレな変装して介入してきてほしい感じある。ミスターブ◯ドーくらいバレバレなやつ頼みますよキラさん!!!ラクスさんもマスコミのカメラとか用意周到に壊して記録に残さないようにしながら堂々と演説しにきたりしてくれ。

個人的にエピローグはルナマリアにボコられたアグネスが追加されたシンルナいちゃいちゃカットのとばっちりで宇宙に放置されたことだけが不満です。劇場版ではちゃんとルナマリアが迎えに来るところまで入って完璧な運命最終回(スペシャルエディション版)のオマージュだったのにどうして運命最終回(テレビ放送版)のオマージュに退化させちゃうんですか!?その終わりかた、トラウマを刺激されるので好きじゃないなぁ!!


空戦魔導士候補生の教官14

 

空士たちのその後を描くアフターストーリー!
風邪を引き超絶頭脳派なミソラ。売れっ子作家になったユーリ。ペットコンテストに挑むレクティなどE601小隊の送る破天荒な日常! そして、カナタと、記憶を失ったミソラたちとの再会を描くアフターストーリー!

中間試験のウィングシューターにてチームワーク不足による全員脱落という前代未聞の成績を叩き出したE601小隊。なぜか最速記録にこだわるミソラ達に対し、カナタはとある「特訓」を提案する。それは、ミソラ・レクティ・リコの3人が女子寮で共同生活を送るというもので……!?

ミストガンでの愉快な日常短編を中心にした短編集第二弾

ミストガンでの愉快な日常を描いたドラマガ短編5編に描き下ろしの本編後日談を収録した短編集。7巻で短編集が出たときは本編も盛り上がっているタイミングで短編の出来も若干テンプレ感が強いというか……いまいち乗り切れないものがあったんですが、今回は本編完結後ということもあるし、短編そのものも面白くて楽しく読めました。あと描き下ろしの後日談が凄く良かった……。

カナタの特訓でミソラ達が同居生活を送る「本当のニューレコード」、本編でもちょくちょくやっていたカナタの突拍子もない特訓シリーズの1つではあるんですが、完結してから読むとあまりにもカナタ達が平穏な学園生活を送っていた時期が短すぎて「こういうちょっとした特訓話がもっと読みたかったんだよなあ〜〜」みたいな気持ちになる。あと、とにかく仲間を深く理解することが高度な小隊戦のチームワークに不可欠というカナタの教官としての理念がしっかり現れてるお話で良い。

今回の短編で特に好きだったのがカナタへの思いを綴ったユーリの日記が何故か商業出版されベストセラーになってしまう(犯人はロイド先輩)「赤裸々なアノニマス」。返送したユーリがサイン会の会場に向かったら恋愛小説など興味ないといっていたはずのE601小隊の面々が次々とサインを求めてきて……という展開がベタといえばベタなんだけどめちゃくちゃ面白かった。あとレクティのペット・ピヨちゃん(※怪鳥のヒナ)とコンテストに参加する「仲良し揃いのペットコンテスト」、怪鳥ピヨちゃんのトンチキムーブをレクティのピュアっぷりでゴリ押ししていくスタイルが以前の短編よりも更に洗練されていてひたすらズルい。リコの母親がミストガンを訪れてリコが借りてきた猫状態になる「恐怖のヴィズィティングデイ」もいつもと違い余裕のないリコの姿が見れて面白かった。ただ、風邪引いたミソラがめちゃくちゃ有能な別人格になってしまう短編はちょっとオチのミソラが可哀想すぎて……オチにもう一捻りというか本来のミソラへのフォローが欲しかったな……。

5編とも《ベベル》に渡る前の時間軸のお話で、本編終盤でめちゃくちゃ匂わされてた空戦舞踏祭〜最終決戦までの「空白の2ヶ月」のエピソードがまったく入って無いのが少し不思議だったんですが、最終巻(※ドラマガ短編連載の未収録分をまとめた電子書籍)が相当ボリュームありそうなのでこちらかな?楽しみです。

「教官」からの卒業、「教え子」からの卒業

そして本編完結後、ミストガンで再会したカナタとミソラたちのエピソードを描いた描き下ろしの終章「始まりのミートアゲイン」。カナタが改めて教官としてミソラ達と歩んでいく物語──だと思っていたんですが、むしろそれぞれが「E601小隊の教官」「カナタの教え子」というかつての立場から「卒業」して、今度は同じ空士として隣に並んで新たな未来を歩んでいくためのケジメの物語であると感じました。

カナタにとってはあまりにもコレまで通り、ミソラ達に取っては妙に馴れ馴れしい編入生(カナタ)の言動に困惑しながらも何故かそれが当たり前のようにも覚えて……そんなちぐはぐなやりとりに一抹の寂しさを感じながらも、記憶が無くても改めて関係を築いていけることにホッとしました。そして、クライマックスである601小隊(現在はCランク)とカナタが集めたドリームチームのバトルがめちゃくちゃ良かった!!本来の魔力を取り戻したカナタと大きく成長したミソラ達が何の禍根も制約もなくこれまでの鬱憤を晴らすように手加減なしでぶつかり合う姿が見ていて気持ち良いし、なによりめちゃくちゃ楽しそうに全力で戦うカナタに胸が熱くなる。そういわれてみるとカナタ、本編前半はずっと呪力を得たことによるパワーダウンを受けていて、それを克服して冥力を手に入れた後は力が大きすぎてうかつに全力出せなかったり、終盤は絶力の代償もあったからますます全力を出すわけには行かず……作中最初から最後までずっとデバフかかってるようなもんだったんだよな。そりゃあ教え子たちの前で最後に一回ちゃんとした「全力」出しておかなきゃってなる。本当に言葉にするのが難しいんですが、13巻を読んで感じた寂しさとか消化不良感・カナタやミソラ達の感じていた心残りが全て昇華されるような展開で……えぇ読者の私も成仏しましたとも……。

ミソラたちの中からかつてのカナタと過ごした記憶は永久に失われてしまったけど、カナタがミソラ達の中に残せた物も沢山あった。忘却という事実を変えるのではなくただ受け入れて、改めて出会い直したミソラ達とカナタがこれまで築き上げた物語の「先」を歩んでいくという結末が、どうしようもなくこの作品らしくて最高に良かったです。

真ヒロインが誰か問題については改めて本編の歩んだ道のりを思い返すと本当に平和に学園バトルラブコメしてた時期が短すぎて、これはまあ延長戦になるのも納得だなあと思ったんですが、後書きを読むと結構ギリギリまでユーリ先輩ルートで確定してたっぽくて本当に最後の最後で両手に花エンドに変わってよかったねミソラ……。それはそれとして敢えてクロエルートにいくのも悪くはないと思いますがどうですか。


空戦魔導士候補生の教官13

 

人類の希望カナタVS魔甲蟲の王ゼス。世界を賭けた最終決戦……!
ついに最終決戦を迎えるカナタと魔甲蟲の王ゼス。開放すれば、皆の記憶から存在を抹消されてしまう《絶力》。人類の未来を護るため、カナタは全てを捨てる決断を下し、いま禁断のチカラを開放する――!!

仲間達の犠牲と協力を受けながら、ゼスが護る原初の魔甲蟲《ゲート》のもとにたどり着いたカナタ。ゼスを倒すにはカナタが持つ《絶力》を全開に使って戦う必要があるが、その力は開放するとカナタの記憶が周囲の人間たちの中から消えていってしまう諸刃の剣。何度も使える物ではないためできるだけ力を温存しながら戦っていくが、戦況は混迷を極めて……。

悲しかったけど最高にアツい、最高のラストバトルだった

シリーズ本編完結巻。いや、面白かった……最高に面白かったけど最高にしんどかった……。少しでもカナタの負担を減らそうと人工空島落としを決行するクロエ達、叶わない強敵を前にしてボロボロになりながらカナタのもとに駆けつけようとするユーリ。その思いも虚しく戦況は膠着し、少しずつカナタの存在が遠くなっていく。戦況が少しでもよくなるとすぐにそれ以上の悪い状況に陥ってしまうのは本当になぜなのか。ゼスの側近・キルスティのしつこさがヤバい。というかしょっぱなからプロローグで戦いの結末はうっすらと示唆されていて、その通りに傾いていく戦況がとにかくもどかしかった。

そんな中、耐えきれなくなったユーリがミソラ達に事情を話してしまって。前巻からずっと「ミソラたちにもちゃんと教えてあげて!!」と思っていたのは事実なのですが最終決戦の一番ひどい状況で伝えるのは逆効果になるのでは…!?と心配したのですが、ミソラ達はむしろ逆にそれまでよりも力強く、カナタのもとに向かうために前を向いて立ち上がって。結局5人の力だけでなんとかなったわけではないのですが、格上の相手を翻弄して最後まで諦めないその姿は文句なしに「カナタの教え子」の名にふさわしい活躍だったと思うし、カナタやユーリが思うより、読者の私達が思うよりもずっと強く成長していたんだなと思うと胸が熱くなりました。そしてなにより、ミストガンではただひとりカナタに本当の思いを伝えられないまま別れてしまったミソラがカナタに自分の想いを伝える機会を得ることが出来たことが、本当に良かった!

激しい戦闘の連続で今にも力尽きそうになっていたカナタが駆けつけてきた教え子達の姿を見て、最後の勇気を貰って……その強い思いと戦う姿はラスボスであるゼスの心すらも動かしていく。最後の鍵になるのが《絶力》なんかではなくて、E601小隊の面々を本気で指導し続けたからこそ手にしていた技の数々……というの本当に熱いし、カナタが使う戦技の意味をもう理解することができないE601小隊の面々の戸惑う姿がどうしようもなく悲しかった。沢山の人が犠牲になって、そして更に2つの大きな中身の分からない喪失を得て、完璧な勝利などとは言いたくないような少し物悲しい結末だったけれど、それはそれとしてほぼ最良の結果を掴み取ることが出来たんじゃないかなと思いました。本当にアツくて、涙なしには見られない最終決戦で良かったです。

そこからの、たとえ様々なものが失われても生きてさえいれば何度でもやり直せる……といわんばかりの、そして決して全てゼロからやり直すわけではないと希望の持てるエピローグがまたとてもよかった。いやしかしあの記憶忘却現象って実際、最終決戦中に相手の名前が聞き取れなかったり名前書いたのにその部分だけなぜか読めなくなったりみたいな超常現象的なアレがあったとおもうんですけどその辺って全部落ち着いた後に再会した場合どういう扱いになるんですかね?いつまでも何故か名前覚えられないとかそういう弊害あったりしない!?

次巻で後日談が入るみたいだからそっちを読めばわかるかな。楽しみです。


空戦魔導士候補生の教官8

 

カナタの呪力が姿を現す! そして行われるのは……殺し合い!?
《ベベル》第一人工空島地下都市へ運ばれたカナタは、呪力の本来の持ち主エミリー・ウィットベルンと出逢う。そして――「エミリー・ウィットベルンを殺さなければ、貴方は死ぬことになります」と告げられて――!?

ミソラを庇って重症を負い、更に呪力を暴走させ《狂乱》状態になってしまったカナタ。治療のため《ベベル》第一人工空島地下都市に運ばれ……そこでベベルの教皇アンネローゼと自身の身に宿る呪力が形を取った女性・エミリーに出会う。呪力の暴走を抑えるために3日以内にエミリーを殺さなければいけないと言われるが、カナタはエミリー自身に興味を持ち……!?

色々な問題が解決するパワーアップ回!(ただし展開はますます不穏)

教え子達と別行動となったカナタが一時「教官」をお休みして持て余し気味だった自身の《呪力》と向き合うお話。6巻に引き続きメチャクチャ面白かった……!!1巻からずっと持ち続けてきた自身の問題を克服するパワーアップ回でした。

教官としてのカナタは一旦お休み……と言いながらも、やっていたことは瀕死だったカナタの命を繋ぎ止めて呪力を託した女性・エミリーと向き合い、生きるのを諦めかけていたその本当の望みを気づかせ/暴くという展開で、序盤はほぼほぼいつもミソラ達に課してる「特訓」と同じ流れなんだよなあ。そもそも幼馴染のクロエや特務小隊の後輩・ユーリも彼がきっかけで大きな成長を果たすことが出来たみたいな話がありましたし、もう根本的に生き様がこうなんだろうなと。その割に言葉が足りないのは毎度どうしたものかなんですが!

どう足掻いても3日の生命しか保証されていないエミリーに自身が本当はもっと生きたいと思っているという望みを自覚させるのは残酷とも言えるのでは……と思ったけれど、そこからお互いに全力でぶつかりあうことで両方が存続できる未来を模索していく展開はアツかったです。ただ、今回は結果的に最高の形でことが運んだけれども、生命を救われた相手だからといって彼女の望みのためであれば生命をいともたやすく投げ出してしまえるカナタの精神性にはこれまでとは違った形で危うさを感じてしまいました。これから戦いの規模もますます大きくなっていきそうだし、どうなっていくのか楽しみな一方でめちゃくちゃ不安になる顛末でもあった。

呪力を宿したことで発生していた魔力枯渇の問題を遂に解決し、人間の魔力でも魔甲蟲の呪力でもない《冥力》、そして魔力と冥力の先にある《絶力》──他の誰も持ち得ない絶大な力を獲得したカナタ。覚醒したカナタが前巻で苦しめられたエリスを相手に無双する展開は大変に胸躍る展開だったのですが、敵側もそのカナタの戦闘力を遥かに凌駕する強敵を用意してお待ちしてるの一筋縄ではいかなさすぎる。都市を大きく巻き込みながらの戦いもカナタとしては本意ではないでしょうし、色々な意味でただパワーアップして大勝利では終わらない展開が印象的でした。というか今回力を課してくれたアンネローゼ教皇の一派も味方とは言いづらいし、人類最高の能力を獲得してしまったということはカナタを巡る争いも今後は更に激化していくだろうと考えるとむしろ不穏しかないんだよな。絶力を使う代償の話も……というか先の巻のあらすじがしれっとネタバレしていくのは如何なものか!!!(今巻読んでて感じた不安的中してるじゃん!なんでだよォ!!)

人の身として最高と呼ばれる絶大な力を手に入れ、それでも世界を救う勇者ではなく落ちこぼれ小隊の教官として元の居場所に戻っていくカナタの姿が大変に良かったです。色々横道に逸れた感じはあったけど次巻こそは舞台を「空戦武踏祭」に戻していくようで、こちらの展開もどうなっているのか。もう色々不穏しかないけど続きが楽しみ!


空戦魔導士候補生の教官7

 

≪ミストガン≫に巨怪鳥(ガルダ)、現る!?
≪ミストガン≫空域に巨怪鳥(ガルダ)が接近。いまだ謎に包まれた生態のため、急遽捜索を開始するS128特務小隊。一方、生き物係に任命されたレクティは、鶏小屋でやけに身体の大きなヒヨコを保護していて――?

ユーリは悩んでいた。交流学校への参加を通してE601小隊の面々と仲良くなった……と思っていたのに交流学校から帰って来てからミソラ達がなんだかよそよそしいのだ。不安のあまり、放課後の彼女達に密着して原因を探ろうとするが……!?

ミストガンでの日常を描く短編集(このタイミングで!?)

E601小隊とカナタのミストガンでの日常を描いた、ドラマガに掲載されていた短編をまとめて描き下ろしを追加した形の短編集。ファンタジア文庫なので短編あるよな……というのは思ってたんですがこのタイミングで!?いや、まあ刊行順は大人の事情とかもあるとおもうので仕方ないんですけど前巻がミストガンを離れて新展開、めちゃくちゃ気になる所で次巻に続く!!してたもんだから正直出鼻を挫かれるというかタイミング悪!!!というか、7巻と6巻の順番逆にしろ!!!みたいな気持ちは凄いあります。大人の事情だから仕方ないけど……あと別シリーズ建ても小数点表記にもなってない本編ナンバリングに堂々と挿入されるタイプの短編集メチャクチャ久しぶりに当たってびっくりした。

内容としてはユーリの歓迎会をサプライズで開こうとしてミソラ達がこっそり準備していたらユーリが自分が嫌われているのでは!?と誤解してしまう「疑惑のコンプレックスチェーン」、レクティがヒヨコだとおもって怪鳥のヒナを育ててしまう「愛情のペットキーパー」、ミソラの実家の喫茶店の閉店の危機を救うためE601小隊が奮闘する「協創のホスティリティ」、ブレアがカナタにお菓子を作ろうとするが失敗してしまう「愛情のパティシエール」、反省文を書きたくないリコがサバゲーで後方支援科の女王様になる「女王へのロイヤリティー」、そしてとある事情で金欠状態なクロエとE601小隊の面々が学内全体合コンイベントでカナタとのパートナー権を賭けて争う「大迷惑のサードパーティ」という各ヒロインに焦点を宛てた6編。どのお話もメインとなるヒロインが可愛くて、良かった。

少しこの手の日常短編のテンプレにはまりすぎている感じというか、やや展開が透けてみえすぎる感じもあったんですが、この実家のような安定感のある展開と的確に各ヒロインの可愛さを見せてくる展開は本編の怒涛の展開の中で良い息抜き巻になっていて良かったと思います。いやでもやっぱこれ「5.5」とかで読みたい話だったんだよな内容的には。あとリコの話は同じレーベル人気作で恐らく同じ作品オマージュで有名な話があるので、どうしてもあちらと出来を比較してしまう……(ここぞとばかりにクソデカ文字と勢いで押し切る展開は結構好きだけど)。

描き下ろしの学内合コンイベントの話の、クロエとカナタの気のおけない距離感がめちゃくちゃ好きでした。カナタガチ勢のユーリ&ミソラや押しかけ妻のブレアが恋心の空回りする中で横から優勝をさらっていくクロエさんの本妻感、お互いの距離が近すぎて恋愛とも家族とも言い難い複雑でもどかしい言葉にできない関係性が垣間見えてとても良かった。あと、ユーリのサプライズパーティの話でユーリが「ひょっとしてユーリ菌伝染ると思われてる!?」の方向に行き着いてしまうのが微笑ましすぎ頭小学生すぎて好き。年上ばかりの特務小隊でずっと最年少してて同学年・後輩達の交流が薄めだった弊害なんだろうけど水着回といいユールパイセンの精神の幼さが凄い。


空戦魔導士候補生の教官6

 

浮遊都市の最強空士たち――≪ベベル≫に集結! 空戦武踏祭代表の切符を手にしたE601小隊。他の代表小隊の強さに圧倒されつつも、ミソラたちはカナタを救うために≪ベベル≫でそれぞれ動き出す。しかし、それがE601小隊を思わぬ方向に進ませてしまい……?

空戦武踏祭のミストガン代表としてベベルにやってきたE601小隊の面々とカナタ。各都市代表の小隊の様子に気後れするミソラたちに、カナタは「自分の目標とするべき最強の存在」について考えるという課題を出す。一方、ベベルでは都市の重要人物が次々と行方不明になる事件、そして《崩力》を操ることができるカナタを巡った争いが起きていて……!?

「最強」とは……教え子達とカナタ自身の成長がアツかった!

めちゃくちゃ面白かった……!!あとがきでは「第二部開幕」と銘打たれていましたがむしろ個人的には第一部クライマックスとも言うべき内容で、これまでカナタが教官として教えてきたことの集大成としての教え子達の成長、そしてカナタ自身の内面と成長に焦点を宛てた物語でありました。本当の「最強」とは何か、カナタとE601小隊の激突、そして、そして……激動の展開の中で世界の真実の一端が垣間見えるお話で、めちゃくちゃ楽しかった!

これまであまり描かれてこなくて内面の見えづらかったカナタの本当の気持ちが本当に印象的で。空戦武踏祭に参戦した強者達に胸を躍らせ、教え子達に連れてきて貰えた喜びと同時に湧き上がる「自分自身の手で舞踏祭に出場したかった」という本音。一線を退いたことに本当に喰いはないのか?というライバルの少女からの問い。その一方でいよいよ魔力は枯渇して……ままならない身体にもどかしい気持ちがないわけはなく、それでも今できる精一杯をしようとミソラ達に自分のすべてを受け継がせようとする悲壮な思いが胸に痛かった。もうほんとうに前巻から、カナタに残された時間が少ないことを示唆する展開とそれを自身も自覚しているような描写が頻繁に登場してきて、まるで生前整理のような行動の数々がとにかくしんどい。

そんなところから、カナタ自身がE601小隊の「敵」として立ちふさがる展開がとても良かった。魔力を失いかつての戦い方が出来ず弱体化しているはずなのに、教え子5人を相手取り一切見劣りしないその気迫が凄すぎるし、自身の弱さをさらけ出すことで教え子達に本当の「最強」の意味を教えようとする展開がめちゃくちゃアツかった……そしてそのカナタからの思いに、大きく成長したミソラ達が彼の予想を超える形で応えてくれるクライマックスが最高に良かった!良かったけど……良かったけどマジで大変なことになってきたな!?

いよいよ空戦武踏祭も本番。大きく成長した一方でカナタ不在のまま戦うことになるE601小隊はどのような活躍を見せるのか、遂に姿を表した魔甲蟲の変異種を操る謎の敵、そして戦いの中で致命的なダメージを負ったカナタは思わぬ人物と対面することになり……とにかく色々な意味で続きを読むのが楽しみでなりません。


陰陽師と天狗眼 ─冬山の隠れ鬼─

 

広島もののけお仕事×お仕事ファンタジー第2弾!!
美貌の公務員陰陽師と熱血フリーランス山伏、今度は〈鬼〉と対峙する。

狗神退治を無事に終えた広島県巴市の公務員陰陽師・宮澤美郷(みやざわ・みさと)のもとに、 新たな「特殊自然災害(もののけトラブル)」解決の依頼が舞い込む。 同時にフリーの山伏・狩野怜路(かりの・りょうじ)のもとには、出雲から内密に 人捜しの依頼が来ていた。捜す人物は鳴神克樹(なるかみ・かつき)。 それは、美郷の愛する弟だった。 調査を進めるうち、二つの事件に共通のキーワードが浮かび上がる。 それは「鬼ごっこ」――。

巴市の市役所に勤務する公務員陰陽師・宮澤美郷の元に持ち込まれた新たな特殊自然災害の依頼……それは小学生の男の子の奇妙な放浪癖に関する相談だった。地域に残る神隠しの伝承、そして子どもたちの間に伝わる『鬼ごっこ』の噂が原因と思い調査を始めるが……その頃、相棒でありフリーの山伏・狩野怜路の元には失踪した美郷の弟を捜索する依頼が持ち込まれており……。

美郷さんほんと魔性の男……

男男バディが繰り広げるあやかし退治シリーズ第二巻。美郷が受けたもののけトラブルの依頼と、怜路が受けた美郷の弟を捜索する依頼。ふたつの事件はやがてとある民間伝承に端を発した祟りと神隠しの事件へと繋がっていく。別々の依頼が徐々にひとつの大きな事件に収束していくという展開が面白かったです!

前巻はふたりの馴れ初めと怜路側の事情が中心でしたが、今回は美郷の実家を巡るアレコレが中心。1巻を読んだ感じだともうけんもほろろに家に居場所がなくて……みたいなのをイメージしていたんですがもっと入り組んでいたというか、父親もつらい立場なりに頑張ってるんだな……。

1巻の広瀬なんかもそうでしたけど、弟の克樹にせよ使用人の若竹にせよ様々な意味で美郷の存在に惹かれる──というよりはもう「囚われて」いるんだよなあ。これはもう色々な意味で美郷のほうも家を出ていく以外に道は無かったよねという感じ。かつての兄の影を求めて必死に追いすがる弟の手を振り払いながらも最終的にお互いに別の所で生きていくことで再び絆を取り戻す展開が印象的で、とてもよかったです。それにしてもいろんな男(年齢性別生死問わない)からクソデカ感情向けられまくる宮澤美郷、あらためて魔性の男だよ……。

相棒関係的には美郷と怜路が別々の事件から派生した一つの大きな事件を共に解決することで、改めてお互いを何でも話せる「相棒」として認め合いこれから一緒に事件を解決していくぜという流れでこれから続く物語がますます楽しみになりました。

それにしても白太さんが可愛いすぎてつらい。シャベッタアアア!!もそうですけど一人称が「しろたさん」ってあなた……。



魔王2099 3.楽園監獄都市・横浜

 

伝説の魔王――絶海の監獄島と化した“横浜”に降臨する!
統合暦2099年――奇怪なる未来世界にて、霧消した旧家臣の行方を追う魔王・ベルトールが降り立った次なる大都市は…… 「判決――横浜市にて、被告人を、懲役2099年の刑に処する」 地殻変動によって陸地から切り離され、絶海の孤島と化した『横浜市』。外界からの干渉を拒絶し続ける“楽園”とも称される疑惑の島に、囚人として潜入したベルトールだったが…… 「ここは神が管理する箱庭――世界平和を成す、最後の聖域」 魔王が辿り着いたのは“楽園”という名の“監獄”の支配者《父祖》が推し進める、想像を絶する最悪の計画だった――。 狂乱怒涛の楽園監獄都市に、魔王の新たな神話が刻まれる!

かつての腹心であった黒竜侯シルヴァルドの行方を追い、高橋を連れて第二横浜市に潜り込むベルトール。絶海の孤島と化したそこは偽りの神を抱くディストピアとなっていた。一方、その第二横浜市で善良な市民として生活を送っていた少女・青葉100Fは隣人の密告によって思想犯とみなされ、監獄送りになってしまう……。

勇者と魔王の背中合わせの共闘最高なんですが〜〜〜!!!(総力決戦なクライマックス最高でした)

実に2年ぶりとなる新刊は監獄島を舞台に繰り広げられる偽りの神と魔王の対決!画一的な存在であった一市民の青葉100Fと周りから外れたが故の葛藤を持て余す高橋の儚くも美しき心の交流!!魔王とその仲間たちが全力を発揮する最高のクライマックス!!!というのもめちゃくちゃに楽しかったんですけどそんなことより同じ監獄にぶち込まれた魔王ベルトールと勇者グラムの再びの共闘が最高すぎて最高になってしまいました。いや、だって同居してしまった(※同じ牢屋の意)が!?更には裸の付き合い(※シャワールーム)まで!?

魔王ベルトールと勇者グラム、かつては世界を賭けて戦った仇敵同士であるが今はむしろ世界に置いてきぼりにされた半端者同士の共感の方が強く、割と軽率に助力を求めるベルトールに対してグラムが塩(ツンデレではなく、共闘する程度の関係だがデレでやってるのではなく純粋に塩)なの最高とつねづねいい続けてきたんですけど、今回は特に命の獲り合いをしたからこそお互いの呼吸を知り尽くした関係であり、お互いの実力を信頼しており、目的を同じくさえすれば誰よりも安心して背中を預けられる関係でそこから生まれてくる阿吽の呼吸ぶりとシンクロ率バッチリな共闘シーンが美味しすぎるんですよね……最高……。

グラムとベルトールの話をし始めるとマジでキリがなくなってしまうので話題をもとに戻しますが、1巻・2巻ともに割とバトルは魔王ベルトールの独壇場になりがちだった本作、今回はマキナ・緋月・高橋も含めて仲間達が次々と本領発揮していくのが大変にアツかったです。1巻からヒロイン枠で割りといいところなしだったマキナ、そうだよな彼女も六魔侯の一角だったんだよ…。サポートに徹しがちだった高橋が青葉100Fとの心の交流を経てふっきれて大活躍する展開もめちゃくちゃ楽しい。彼らと共に戦う覚悟を決めた緋月、そして新たに仲間に加わったシルヴァルドの活躍も目覚ましいものがありましたし、なにより1巻から勇者グラムと魔王ベルトールの関係に注目していたので今回の利害一致からの共闘・背中合わせでの戦いっぷりには本当にニヤニヤしてしまいましたね……ごめんまたベルトールとグラムの話してる……。

戦いが進むにつれて明かされていく本当の敵と様々な真実。今後の展開への期待も含め、とても楽しかったです!アニメ化も決まったとのことで今後はコンスタントに続編が読めるんだよな?いやぁ楽しみだなあ!!!


余談ではありますが、ドラマガ最新号の「魔王2099」特集が魔王ベルトールと勇者グラムの総力特集だったのでよろしくお願いします。やばい。編集部もグラムとベルトールを推してる……時代が私に追いついて来てる……。

ドラゴンマガジン編集部(編集) 「【電子版】ドラゴンマガジン 2024年1月号 (富士見ファンタジア文庫)」
ドラゴンマガジン編集部(編集) (著)
KADOKAWA
発行:2023-11-17T00:00:00.000Z