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VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた6

 

憧れのVから衝撃の依頼届く!? VTuberコメディ第6巻!
VTuberの黎明期を支えた伝説的V・星乃マナ。その卒業が発表されたことにより淡雪に激震走る! 憧れの存在の卒業、そして一時代の終わりのような出来事にしんみりする淡雪の許に、驚愕の依頼が届き!?

配信切り忘れ事故をきっかけにして着実に人気を伸ばし、今やライブオン3期生の中でも中心的な存在となった心音淡雪のもとに、ライブオン外のVtuberからコラボ依頼が届く。それはなんと、伝説的Vtuber・星乃マナの卒業配信にゲストとして参加して欲しいという依頼で……!?

とにかく安定して面白い

淡雪単体の配信回でのコメント欄とのテンポの良い掛け合いも安定して楽しいし、ワルクラ配信・一般常識テストの回などのライブオンの他Vと絡む回はどんどんカオス度が上がっていて、読んでいて安定して面白いなあ。エーライさんの動物園で自ら率先して隷属プレイしてるネコマ先輩が面白怖い。序盤から存在が濃ゆかった聖様や有素ちゃんは置いておくとしても他のライバー達も巻を経るごとに個性が強くなっていって、今となっては……。もう変な性癖付けされてないキャラってましろんくらいでは?ましろんがボケに回るともうライブオンのストッパーが誰もいなくなってしまうので彼女だけはこのままで頑張ってほしい。とはいえ、ただのボケかとおもっていると不意打ちで淡雪への強い執着を覗かせて反撃してきたりするんですけどこの人も。

あと個人的には、お悩み相談回の晴先輩と淡雪の掛け合いがめちゃくちゃ好きです。どっちもボケもツッコミもやれて周囲に遠慮なく無茶振りしていくスタイルなのでひたすら会話のテンポが良いんだよな。巻き込まれた還ちゃんあらため赤さん……改めバブリエル……は災難でしたが!!

そしてなにげに今回、組長もといエーライさんの中の人が……!!ライブオンの面々割と皆中の人がそのままライバーやってる感じの人が多かったので、このギャップがある感じはとても美味しい。ライバーとしてのエーライさんからすると結構予想外のキャラなんだけど、普段の「組長」の方を見ていると納得できる人物像でもあるんだよな。

良い最終回だった(※終わってません)

晴先輩を同じところに引きずりおろし、聖先輩とシオンママのカップル成立にも尽力し、その後も先輩・後輩・同期全ての性癖を暴きまくってきた心音淡雪の物語。第一部完というか物語の一区切りともいえる今回の巻の最後の最後で淡雪自身の出自と自身の心の中を掘り下げていく展開がとても良かった!

家族の温もりを知らないまま天涯孤独の身となり、自分の知らない「家族」という概念にトラウマを抱え、内心で「家族」からの愛情に飢えていた雪がVtuber活動を通して真実の家族を手に入れる。これまでの与太話の全てがなくては成立しなかったであろう星乃マナ卒業配信回「狂おしい最愛の家族」がこれまでの集大成として完璧すぎる。淡雪のサプライズ登場で色んな意味で沸き上がるライブオン以外のファンたちの反応に笑ってしまったし、淡雪の晴れ舞台に先輩後輩同期揃ってコメント欄に駆けつけてくる展開には思わずニヤニヤしちゃう。

物語はこれからも続くんだけど敢えて「良い最終回だった」と言いたくなる展開で、物語は次のステージへ。いやでも現時点でも結構キャラクターがいっぱいいっぱいな感じはあるんだけど、更に変態が増えてしまうのか!?5期生登場の新展開が楽しみです。


声優ラジオのウラオモテ #08 夕陽とやすみは負けられない?

 

「ねえ、佐藤」「なによ渡辺」「わたしたち、一緒に暮らさない?」
 『ティアラ☆スターズ』ライブの第一弾「ミラク」VS「アルタイル」が終了し、遂に乙女たち「アルフェッカ」に挑むことが決まった夕陽とやすみ。調子を取り戻した若手随一の人気声優・乙女に率いられて盤石な体制の「アルフェッカ」を前に、二人は一時休戦、協力して後輩の指導とチーム強化にあたることを決める。  しかしアイドル声優活動を疑問視する年上の新人・羽衣纏は、ライブへの注力に不満な様子。その姿を以前の自分と重ねた千佳は、ぎこちないながらも彼女と対話しようとするが――。

『ティアラ☆スターズ』ライブのサプライズゲスト・桜並木乙女に圧倒的な実力差を見せつけられた夕陽とやすみ。次のライブはそんな彼女が率いる「アルフェッカ」との対決で……なんとしても彼女に勝ちたいと闘志を燃やすふたりだが、ユニットメンバーであり年上の新人声優である羽衣纏が煮え切らない態度を見せる。彼女はアイドル声優としての活動そのものに否定的なようで……。

もうすっかり不仲が建前になってるんだよなぁ

どちらかというとふたりの「親友」「相棒」としての関係がクローズアップされてた回だと思うんですが、無理に対立する必要がないからか由美子から千佳への好意が基本的にダダモレだし、それを「あなたのそういうところ、本当に嫌い」で躱しながらも満更でもない顔の千佳にニヤニヤが止まりませんでした。いや、今回まじでことあるごとに千佳ちゃん「あなたのそういうところ〜」って言いすぎじゃなかったですか?もはや完全に好意を取り繕うのに使われてるんだよなあ。そんな流れから始まる一週間のお泊り合宿、新婚夫婦の仕草すぎて笑う。

メインとしては6巻で未解決のまま終わった羽衣纏の掘り下げが中心。「仕事用」ではない彼女の意外な素にはニヤニヤしてしまいましたけど、他の新人声優達と違い出だしが遅れてしまった彼女がアイドル声優活動をすることに対して感じる畏れは察して余りあるものがあり……そんな彼女に、不器用ながらも直球な夕陽が心を尽くして「どんな経験も役者として無駄にはならない」と伝えていく展開がとても良かったです。実際、彼女が内に抱える無理しすぎてしまうことへの畏れなんかは桜並木乙女の過労問題を解決した経験がなければ解く事ができなかったと思えて、回り道に見えたとしてもその経験は糧になっていると実感出来る展開も良かった。

その一方で、『ティアラ☆スターズ』での配役に自分たちの関係を重ねずにはいられない由美子は、アイドル声優活動に否定的な纏の言動を見てかつて彼女と同じ思いを抱いていた夕暮夕陽が現在のアイドル声優としての活動をどう感じているのか不安に感じ始める。彼女が現在の仕事のことをどう感じているかなんて、一番近くで見ていたやすみが一番よく理解しているはずなんですが……それでも実際に言葉にしてもらわないと不安な時ってあるよね。

夕陽がふと漏らした言葉によってその不安は加速し、なんとしてでも今回のライブでアルフェッカに勝ち、夕陽に「最高の景色」を見せようと意気込むやすみ。それでも、実力差は圧倒的で……焦りだけが空回りして少しずついつもの自分を保てなくなり、夕陽とも噛み合わなくなり……救いを求めるかのように自分が演じるキャラクター・レオンに感情移入していく彼女の姿が見ていて辛かった。

オタクくん生きてるーーー!?私死んでるーー!!!

……からのソシャゲの期間限定イベントのボイス再収録、そしてクライマックスのライブの流れ……もうここ、やすみと夕陽よりもライブを見ていたオタクのほうに感情移入せずにはいられない。レオン(※やすみのキャラ)のオタク、生きてる!?お前らライブでサイリウムちゃんと振れた!?私は感極まってサイリウム振るどころじゃなかった!!!隣に立ってたオタクに介護してもらわなきゃ……って思ったけどひとり参戦だった上に隣もレオンのオタクだったから誰も介護してくれなくて無言で崩れ落ちたし光る棒振るどころじゃなくて棒立ちでライブ見てたし中盤の演出に気付いてもう一回膝から崩れ落ちた(見てきたように幻覚の話をするオタク)……いやだってこんなの絶対耐えられないでしょ……めくる先輩よく最後まで平静保ってたよなこれ。

こういったライブって歌の上手さもダンスの上手さも確かに重要だけど、そんなことより「ここに確かにキャラクターが居る」とオタクたちに思わせることこそ重要、ホントそれなんですよね……だってこれはアイドルのライブじゃなくて「二次元アイドルコンテンツの声優ライブ」だから。あまりにも大正解で唸ってしまったし読んでいたら勝手に脳が架空の存在しないオタクになって幻覚を見てしまったので私はもうだめです。このシリーズ、割と「アイドル声優」としてのお仕事・「声優」としての演技のお話を別々にやってる印象だったんですが、アイドル声優としてのライブ演出を突き詰めた結果、一周回って声優としての演技力に話が戻ってくるのあまりにも完璧な帰結だし最高でした。これまでの7巻分の全ての物語があったからこそのこの結末で、文句なしに最高。

そしてライブでのやすみの演技を見た夕陽の反応がなにより最高ですよね自分で仕掛けておいてあのモノローグ…………この…このぉ…!!!二人はやっぱりこうでなくっちゃな!!!決め台詞とも言える「〜本当に嫌い」が最後に挿入されるのも最高で……イヤほんと、この作品アニメ化したら第一話から最終話までの夕陽役の声優の「あなたのそういうところ、本当に嫌い」の切り抜き比較動画を作って欲しい。第一話初回から今回のラストでどのくらい言葉のニュアンスが違うんですかって話で。もう公式が自ら切り抜き動画作るくらいの勢いでお願いします。改めましてアニメ化おめでとうございます!!!!!


妹の好きなVtuberが実は俺だなんて言えない

 

妹の初恋の相手が俺らしいのだが、どうすればいい?
「爽坂くんは、私の一番好きな人……だから」  上目遣いで瞳をキラキラさせ、頬を染めつつ告白してくる可愛い妹、ひおり。 「……ひ、ひおり?」 「爽坂くんは、私の王子様なんです……」  あのな、ひおり。爽坂はVtuberであって、人間じゃないんだぞ。わかってるのか? しかも、お前は知らないだろうが、爽坂の中の人は俺……。あ、あれ?  ま、まじか……この流れ、やばい。 「あのな、実はな、爽坂はな……」  妹の恋心を壊さないために身バレを防ごうとするも、次々と新しい女の子たちにまとわりつかれることになる庵原玲仁。人気Vtuberと陰キャ高校生の二足のわらじは、無事に成し遂げられるのか?  憂鬱さを吹き飛ばす、一点の曇りもない抱腹絶倒のVtuberラブコメ、登場!!

個人勢の男性Vtuber「爽坂いづる」として一定の人気を得ている男子高校生・庵原玲仁。家庭の事情で一人暮らしをしている彼が久しぶりに実家に戻ったある日、妹のひおりが爽坂のファン(しかもガチ恋)であると知ってしまう。彼女の夢を壊さないように正体を隠して接するが、兄のことを爽坂の親友だと勘違いした妹はオフ会やイベント参加に同伴を求めるようになってしまい…!?

Vtuberの主人公とガチ恋勢な妹を中心にしたドタバタラブコメ

男性主役のVtuberモノが2冊連続炎上ネタで、どちらもとても面白かったんだけど「燃えない男Vtuberモノはないのか!?」と叫んで見つけたのがこちらの作品でした。

妹を巻き込んだドタバタラブコメでVtuberモノとしての要素はかなり薄めなんですけど、こういう恋愛要素が薄めの頭を軽くして読めるドタバタラブコメが大好物なので楽しかった!Vtuberらしい展開がもう少しあっても良かったなとは思うんですが、主人公のチャンネルが「いつも同じ時間帯に安定した配信をしているので作業用BGVとして需要が高く、バズも炎上もなくコンスタントに人気になった」という説明があってなるほどと思いました。たしかにそういうタイプの配信者だと配信をメインにしても特に面白くないだろうし、実際そういう需要あるよな……私もVじゃないけどリモートワーク中になんとなく流しておくための、声が耳障りじゃないタイプの喋りの部屋の片付け動画とかデザイン動画とかゲーム攻略動画をいくつかチャンネル登録してたな……。

妹が自分が演じているVtuberのファン……というだけでもえらいこっちゃなのに、妹が本人の全ツイートに長文リプ送りつけてくるタイプのガチ恋勢だったの本当に笑ってしまうし、ボイスチェンジャーを使っているわけでもない主人公がそんな彼女に対して必死に正体を隠そうとするのがコミカルで笑ってしまうし、どうみてもお粗末な隠蔽なのに兄の正体を1ミリも疑わない妹ちゃんがチョロくて可愛い。オタクだったら結構声でバレてしまいそうな気がするのですが……いやでも対面で話してる相手の声なんかそういう方向で疑って聞かないよな。

そんな複雑すぎる兄妹関係のドタバタに、小さな頃から主人公のことが好きだった妹の幼なじみ(中学デビュー系)と配信者として気心がしれた仲のVtuber(ロリ)がラブコメ要員として乱入してくるのでますます人物相関図がしっちゃかめっちゃかに。とはいえ、妹とロリは恋愛対象になってないとおもうのでこの場合恋愛的には妹の幼なじみ一択なのか。どこか背伸びした言動で主人公に迫る姿が微笑ましい反面、「(妹に対して)秘密を共有する共犯者」としての一面も兼ね揃えた関係がどこかくすぐったくて良かったです。

ところでそんなことより主人公の親友がパパという概念に無駄に興奮してしまいました。爽坂のパパ(※Vtuberが配信時にアバターとして使用する立ち絵を描いた人を指す)という意味で何も間違ってないんですが、主人公がことあるごとに親友のことをふざけて「パパ」呼びするのからしか摂れない養分がある……。


読んだら元気になる!(かもしれない!)ライトノベル10選

だいぶ前からこの企画をやろうやろうと密かに狙っていたのですが……最近良くツイッターなどでつぶやいてる「このラノベを読むと心が健康になる」というおすすめのラノベをまとめました。

基本的に私は「オタクの推し語りは健康に良い」という文脈で使うんですがそれ以外の方向性のタイトルもいくつか。基本的には過酷な展開にもめげずにポジティブ&ハッピーなキャラクター達にニヤリと出来る作品が集まっているはず……です。

効用には個人差があります。

限界オタクの推し語りは健康に良い5選

栗原ちひろ「死んでも推します!! 〜人生二度目の公爵令嬢、今度は男装騎士になって最推し婚約者をお救いします〜」→感想
「推し」の心は世界も救う!!!
「推し」の婚約者・フィニス様を死なせてしまった主人公が令嬢から騎士へと華麗に転身。婚約者ではなく相棒として2回目の人生を送ろうとするやりなおし物。事ある毎に描写される主人公の「フィニス様萌え」がめちゃくちゃに健康に良い。なんなら周囲の主要人物たちも概ねフィニス様を推してくし、2巻ではフィニス様も主人公萌えを語り始めるのでますます健康に良い。既刊2冊。
瀧ことは「腐男子先生!!!!!」→感想
オタク活動って楽し〜い!!!!!
歴戦の腐男子である男性教師と彼の「推し作家」であり教え子でもある女子高生が繰り広げるラブコメ。応援上映やソシャゲのガチャや同人の修羅場などオタクにとっては身近な話題をネタにした様々な名言が飛び出してくるのがとても楽しく、ふたりがことあるごとに繰り広げる「萌え語り」がとにかく健康に良い。3巻完結。
恵ノ島すず「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん」→感想
私達の「推しカプ」がめちゃくちゃに可愛い!!!
ゲームの推しカプに声が届くようになって…というところからはじまる、現実とゲームを舞台にしたWラブコメ。オタクの丁寧すぎる心情解説によってツンデレ悪役令嬢の牙城は丸裸になり、あとはただひたすら彼女にメロメロな王子と王子に口説かれて恥ずかしがる悪役令嬢が残るのだった。どのカプも可愛いしか無くて健康に良い。2巻完結。
橘公司「王様のプロポーズ」→感想
一目惚れした推しが可愛い。僕だけど。
とある事情からヒロインと一心同体状態になってしまった主人公が、実は最強の魔女であった彼女の代わりに世界を救う戦いに巻き込まれていく。ヒロインに一目惚れした主人公が割りと自分の想像も踏まえつつすごい勢いでポジティブにヒロインをヨイショしていく様子が大変に健康に良い。同作者の「蒼穹のカルマ」もめちゃくちゃ姪が好きな最強の叔母の話で健康に良かったですね…。既刊2冊。
二月公「声優ラジオのウラオモテ #07 柚日咲めくるは隠しきれない?」→感想
推しが同期で、後輩が推しで
声優でありながら声優オタクでもある主人公達の先輩・柚日咲めくる視点で語られる第7巻が特に良かった。同期の花形声優(推し)や生意気な後輩声優(推し)とリアルで会話出来る存在である彼女が、至近距離から様々なファンサを喰らって内心悲鳴を上げる様子が健康に良い。3巻以降でめくるちゃんの出る巻は概ね健康に良いです。既刊7冊。

両想いカップルのイチャイチャ(二次元に限る)は健康に良い3選

手島史詞「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」→感想
不器用な一方通行→両想いになってからのイチャイチャ!!
闇オークションで出会った奴隷エルフのヒロインに一目惚れした魔王が全財産叩いて衝動的に彼女を落札したのはいいがどう扱ったら良いかわからなくてわたわたするお話。ヒロインをどう扱ったら良いかわからない主人公が独り相撲を繰り広げる初期の展開も最高ですが、両想いになってからすごい勢いで加速していくイチャイチャ展開が大変健康に良い。既刊21冊。
コイル「オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!」→感想
適度な距離感のまま、自然に距離を縮めていくふたりが可愛い
隠れ同人オタクの主人公が隠れアイドルオタクな同僚と偽装結婚して、郊外の広い家で同居生活するお話。一緒にいてストレスを感じない関係性から少しずつ距離を縮めていって愛が育まれる感じが大変心地よかった。2巻で両想いになったあとのイチャイチャぶりが大変健康に良い。既刊2冊(今月3巻が出ます)。
小野上明夜「死神姫の再婚」
この夫、嫁にメロメロすぎません???
いわくつきだが家柄は良いバツイチ令嬢と愛の無い婚姻関係を結んだ「強」公爵が、マイペースで少しズレた妻に少しずつ絆されていって…。巻を重ねる毎に妻にメロメロになっていくコワモテの旦那様と、旦那様に愛を与えられてわけもわからず「お腹が痛い」と訴える妻。限界を超えた夫婦のイチャイチャ模様がめちゃくちゃ健康に良い。22巻完結。

ちょっと意味が違うけど健康に良い2選

中村颯希「ふつつかな悪女ではございますが 〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜」→感想
常に死と隣合わせな肉体が、どうしてこんなに健康に!?
寵愛を一身に受ける病弱な雛女と、彼女を羨む嫌われ者で落ち目の雛女。正反対のふたりが入れ替わってしまいさあ大変!?というお話。とにかく入れ替わりによって健康な肉体を得た主人公・玲琳が前向きに「悪女」としての破滅フラグを打ち破っていくのがめちゃくちゃ楽しい。健康の意味が違うけど、主人公が持つポジティブ思考は見ていて健康に良い。既刊4冊。
望公太「性春デイズ 〜男子高校生の性の心理戦〜」→感想
男子高校生がひたすら下ネタ言うだけの怪作。
全寮制の男子校を舞台にひたすら男子高校生トークをするだけの会話劇。ヒロイン不在/絡み萌えとかもあまりなく/ひたすら生々しい下ネタをぶちかましていく作風で、それが大丈夫ならお馬鹿な男子高校生達のわちゃわちゃで健康になれるし、ひょっとしたら別のところが健康になる(かもしれない)(酷いオチだ!)単巻完結で気軽に読めるけどレーベル撤退済で入手難易度がやや高め。


王様のプロポーズ 極彩の魔女

 

世界を統べる魔女の身体と力を手にした少年の、最強の初恋!
久遠崎彩禍。三○○時間に一度、滅亡の危機を迎える世界を救い続けてきた最強の魔女。そして初恋の少女。彩禍の死によって、彼女の身体と力を引き継いだ玖珂無色は誰にもバレないよう彩禍として過ごすことになり!?

どこともわからない場所で血まみれになって倒れている少女・久遠崎彩禍に一目惚れをした玖珂無色。その直後に自分も背後から刺されて意識を失い……次に目を覚ました時には、一目惚れしたはずの少女の姿になっていた!?どうやらひとつの身体の中に彼女と自分、2人分の魂が宿っている状態らしい。とりあえずは「久遠崎彩禍」として、正体を隠して生活を送ることになった無色だが、彼女は世界の裏側で“最強”と目される魔術師『極彩の魔女』で……。

TS(性転換)×学園異能バトル×ドタバタラブコメの贅沢盛り

ひょんなことから一目惚れした美少女と2人で1人の合体状態になってしまった主人公が、自らの正体を隠しながら300時間に一度くらいの間隔で世界滅亡の危機に陥るという世界の裏側でわけもわからぬままに学園異能バトル的な仮の人生を送りながら、自分達を殺した犯人を探す羽目になるというお話。説明が難しいのですが一言で説明するとTS学園異能バトルラブコメになるとおもいます。分類的には憑依モノに近いかなと思ったけど合体なので厳密には違う気がする。

ろくに会話もしていない彩禍に一目惚れした無色が事あるごとに彩禍を褒め称えようとするのがめちゃくちゃ微笑ましかった。真面目な話の最中だろうがなんだろうが、気を抜くといつのまにやら彩禍を褒め称える方向に話が脱線してるの本当に笑う。推しの話をするオタクを遠巻きに眺めるのは健康に良いですが無色くんには同じ栄養素を感じてしまいました。

正体を隠して「彩禍」として振る舞わなければいけないのに、異性にドキドキすると元の姿に戻ってしまうせいでドタバタコメディになってしまうのがとにかく楽しかった〜!線の細い美少年系で普段は柔らかい喋り方をしている無色が「彩禍」として中性的な言葉遣いで尊大に振る舞おうとするのがそもそもとても良いのですが、一目惚れした彩禍への入れあげっぷりとか、その割にすぐ他の女の子でドキドキして姿が変わってしまうところとか、色んな意味で男子高校生なのめちゃくちゃポイント高い。しかも、通うことになった学園には無色の妹である瑠璃(兄大好き)がいたものだから更に状況が複雑に。兄を危険な目に遭わせたくないからわざとそっけない態度で接しようとするものの好意を隠しきれてない瑠璃が、割と妹に対して天然ジゴロな無色や突然同じ学園に入学してきた『憧れの魔女様』こと彩禍に振り回されてしまう姿がとても可愛かったです。

果たして二人を「殺した」のは誰だったのか。シリーズの1巻目ということもあってか割と綺麗に話が終わってたけどその一方で今後の展開を匂わせるような伏線も残っており……無色自身の魔術師としての成長も気になりますし、ごく普通の世界の裏側に300時間に一度は世界崩壊の危機な異能バトル世界が存在する…という設定、ドハデな能力バトルも楽しくて、今後どういうふうに進んでいくのかとても楽しみなお話でした。

それにしても、味方だけど好戦的でかませ犬っぽくてでも実は良い人枠(長い)なアンヴィエット(男)に対してうっかり第四顕現を発動させてしまったときの「お前を花嫁にしてやる」、中の人が無色であることをふまえると性別や立場などあらゆる意味で倒錯的で好きすぎて興奮してしまう。技を使うときの決め台詞(?)がこれなので今後も男女問わず色んな人を花嫁にしてしまうんだろうな。楽しみすぎる。


ヒトの時代は終わったけれど、それでもお腹は減りますか?

 

荒廃した24世紀の東京は合成食糧や電子ドラッグが巷に溢れ、荒くれ者たちが鎬を削る…それでも、やっぱりお腹は減るんです。日々の戦いに疲れたら、奇蹟の食堂―“伽藍堂”へ!厨房を受け持つのは「食の博物館」の異名を持ち、天使の微笑みをたたえる少女ウカ。狩人兼給仕を担うのは、無法者に睨みを利かせる、こわもて奔放娘リコ。二人は今日も未知なる食材求めて、てんやわんやの大騒ぎ。「おいしい!」の笑顔のためならば、人を喰らうドラゴンから、食べたら即死の毒キノコ、はたまた棄てられた戦車まで!?なんでもおいしく、そして仲良くいただきます!リコとウカの風味絶佳な日常を皆さんどうぞ召し上がれ。

終末世界の東京で食堂を営む女の子二人のちょっと不思議な食材探求の日々。戦車やドラゴンなどちょっと変わった食材にじわじわお腹が減ってくる飯テロ具合と、殺伐とした世界観でありながら「それでも同じ食卓を囲めばみんな仲良し」という展開にほっこりしました。主役二人の百……仲良し具合も大変可愛い。

飯テロ…とまではいかないけど、好奇心を掻き立てられる未知の食物達

人間が霊長類の頂点から滑り落りた24世紀の東京。危険な生物たちと無法者が跋扈する地上の「休戦地帯」として存在する食堂《伽藍堂》は、メイド服を着て厨房に立つ料理人の少女・ウカと狩人兼給仕を担当する少女・リコの二人で切り盛りされている。未知なる食材を求めて市場にやってきたふたりを待ち受けるのは、旧時代に廃棄されたはずの──!?

戦車を食材として食べる」という衝撃的な展開から始まる本作。どうなっているんです!?と思いながら読みすすめると気がつけば美味しそうに見えてくる、不思議な物語でした。「お腹が減る」「飯テロ」というよりは「ちょっと食べたくなってしまう」という力が強い。主人公のひとり・ウカが作る料理の数々はどれも思わず食べたくなってしまうような料理ばかりなんですが、それ以外の食べ物にもつい興味を惹かれてしまうモノが多かったです。

個人的に気になったのは途中でジャンクの代表格として出てきたオイルバー。アメリカ産の高カロリーゲロ甘チョコバーを更にギドギドにしたような感じなのでしょうか。ひとくちでキツくなってしまいそうだけどひとくち齧ってみたい。

色鮮やかに描き出される世界の姿が印象的

人間をほぼ不死の身体にし、同時に人類を霊長類の頂点から引きずり下ろした元凶でもある薬品「PAC」。肥大化したインターネットとそれに魅せられた人々。危険な進化を遂げ、人類を脅かし始めた大自然。それを受けて一部の人類は地球を棄てて宇宙に上がり/地下に潜る。物語を読みすすめるごとに明かされていく、物語の裏に根付く「世界が荒廃するまでのものがたり」が印象的でした。

食べ物の話もそうだけど、「架空の未来」が強い質感を持って描かれていて、物語世界の空気感をありありと感じることが出来ました。だからこそトンデモ食材でも違和感がないんだよね。

(身も蓋もないけど)良い百合でした

目新しい食材に目のないウカの「食材調達」に毎度振り回されるリコ。ふたりの遠慮のない掛け合い、なんだかんだでウカの「お願い」に弱いリコが毎回無茶な狩りに挑む羽目になってしまう姿がなんとも微笑ましい。また、殺伐とした地上世界にありながら、たとえ普段は敵対しあっていても「それでも同じ食卓を囲めばみんな仲良し」になってしまう、幸せいっぱいの食事シーンに毎回ほっこりとさせられる。

そんなか、ウカが突然意識を失ってしまう。彼女の正体を聞き、彼女にとっての自分の存在はなんだったのかと不安になってしまうリコ。そんな彼女の縋るような想いに応える、目を覚ましたウカの言葉に思わず胸が熱くなりました。そのへんは色々とネタバレなのでアレなのですが、彼女の正体を知った上でその言葉を聞くと、もうね!

メインはあくまで食材探求で、まえがきで描かれたような《伽藍堂》の普段の様子はあまり描かれなかったのが少しだけ残念だったのですが、各章のラストに挿入されるリコとウカの食事の場面を見ると「細かいことは良いんだよ!!!」ってなるから仕方ないんだよね。とても良い百合でした。


マリエル・クララックの婚約

 
まろ

地味で目立たない子爵家令嬢マリエルに持ち込まれた縁談の相手は、令嬢たちの憧れの的である近衛騎士団副団長のシメオンだった!? 伯爵家嫡男で出世株の筆頭、文武両道の完璧美青年が、なぜ平凡令嬢の婚約者に? ねたみと嘲笑を浴びつつも、マリエルは幸せです。だって彼は私の大好物、見た目穏やかな腹黒系眼鏡美青年なのだから! 婚約者とその周りにひそかに萌える令嬢の物語。WEB掲載作を加筆修正&書き下ろしを加え書籍化!!

令嬢たちのあこがれの的である近衛騎士団副団長・シメオン様と婚約することになった令嬢マリエル。平凡で目立たない令嬢の彼女には、とんでもない秘密があった。他の令嬢達からの嫌がらせにも全く動じない彼女だが、当のシメオン様は何か勘づいているようで…!?

妄想たくましい女流ロマンス作家×イケメン眼鏡のロマンス
三度の飯よりも小説書くのが好き!!というマリエルが婚約者となったシメオン様をオカズ(おい)にするだけでなくライバル令嬢達からの嫌がらせすら「小説のネタ」として大喜びで頂いてしまう様子が楽しい。

キレ者なのにマリエルのことになると惚れた弱みで残念になりがちなシメオン様、ことあるごとにマリエルの脳内で鞭を持たされ、更に隙あらばその妄想をそのまま匿名で出版されてしまうので強く生きてほしい。恋人に自分が主役のBL小説書かれてしまうシメオン様は本当に強く生きてほしい。

往年の少女小説を思い起こさせる、ラブコメ×ミステリー。
そんなふたりがとある貴族の家督争いに端を発した事件に巻き込まれる後半。好意と好奇心で事件を解決を捜査しはじめるマリエルだが、その一方でシメオンと衝突してしまい…という展開がなんというか、往年のコバルト文庫とかを思い出して懐かしい気持ちにさせられる。

様々なすれ違いを経て、マリエルの方にも着々とシメオンへの恋心が育っていくのが印象的でした。嫌がらせにもめげない鋼のメンタルを持っているようで自己評価が低くて自身の恋愛には疎い彼女が無自覚に芽生えた恋心を制御しきれない様子が可愛いし、あらぬ方向に(被害)妄想を繰り広げてしまうのにはプッと笑ってしまう。気がつけばしっかりと両思いになっているのに、勘違いや先入観でなかなか噛み合わず、逆にシメオンに振り回されてすらいるのが微笑ましい。

すごく…眼鏡です。
文武両道イケメン眼鏡×マイペースで妄想過多な文学系眼鏡っ娘という、眼鏡好きにそっとおすすめしたいラブコメ。

最後に眼鏡を外す描写はツイッターの眼鏡属性議論とか見てると好き嫌いが分かれるのか!?と思ってしまうのですが、「(ド近眼のマリエルが)眼鏡を外しても相手の顔がはっきり見えるくらいの至近距離」という表現には思わずニヤリとしてしまいました。


ありふれた職業で世界最強 1

 

“いじめられっ子”の南雲ハジメは、クラスメイトと共に異世界へ召喚されてしまう。つぎつぎに戦闘向きのチート能力を発現するクラスメイトとは裏腹に、錬成師という地味な能力のハジメ。異世界でも最弱の彼は、あるクラスメイトの悪意によって迷宮の奈落に突き落とされてしまい―!?脱出方法が見つからない絶望の淵のなか、錬成師のまま最強へ至る道を見つけたハジメは、吸血鬼のユエと運命の出会いを果たす―。「俺がユエを、ユエが俺を守る。それで最強だ。全部薙ぎ倒して世界を越えよう」奈落の少年と最奥の吸血鬼による“最強”異世界ファンタジー、開幕!書き下ろし番外編「勝率0%の戦い」収録! (「BOOK」データベースより)

アニメがちょっとわかりづらかったのと、オーバーラップ文庫の電子書籍のキャンペーンがあったので読みました。クラスまるごとの異世界召喚に巻き込まれ、平凡な製造系の職業と(異世界から召喚された人間としては)平凡以下のステータスのせいでお荷物扱いを受ける羽目になった南雲ハジメ。初めてのダンジョン攻略中、クラスメイトの裏切りによって誰も踏み入れたことのないダンジョン下層に置き去りにされてしまった彼は想像を絶する過酷な状況の中で魔物を喰らい、その能力を手に入れることで奇跡的に生き延びる。そんな中、封印された吸血鬼の少女・ユエと運命的な出会を果たして……というお話。

偶然見つけた傷は癒やすが痛みは癒やしてくれない超回復薬と本来食用ではないどころか食べると死ぬ思いをする魔物の肉を喰らって血を吐きながら生き伸びる、優しい少年の人格が完全に変貌してしまうような過酷な展開の前半から、だんだん能力がチート化してきてヒロインのユエと出会ってイチャイチャしながら迷宮の最奥を目指す後半の展開の温度差が凄い。終盤とかもはやただのイチャイチャなので温度差で風邪引く。

もともと書籍化されることを念頭に置いていないWeb原作小説の1巻目だから仕方ないのかもしれないけど、作者がやりたい方向が定まっていない印象を受ける1巻だった。主人公が迷宮を彷徨うのに並行してクラスメイト達の話が結構しっかり掘り下げられていくので、今後再び彼らと運命が交わる……はずなんですが、主人公は復讐する気が現状なさそうなんですよね。クラスメイト達がかなりネガティブに描かれていくのでてっきり地上に出た後に復讐する展開だと思ったんですけど、どうやって絡ませるんだ? それとも、代わりに1巻ラストでは新しい異世界ヒロインの登場フラグ的なものが立っていたのでクラスメイトのことは置いておいてひとまず異世界チーレム的な方向をやりたいのか? という。あと、1巻で世界の真実とか明かされて1巻ここで終わりかなと思ったところからかなり長いことユエとのイチャイチャ生活が延々と描かれてたの個人的にすごいテンポ悪く感じて、これ2巻の序盤でやろうよって思いました(これは作者じゃなくて編集者が悪いんだけど…)。

色々モヤっとするところは多かったのですけど前半の過酷な展開は文句なしに面白かったし、後半のハジメとユエのテンポ良い会話劇はなんだかんだで楽しかったので、今後の展開によってはすごく面白くなるのかもしれない。あとほんと終盤の二人のやり取りがラブラブすぎて「バカップルかよーー!!!」って叫んでしまったのでこんな蜜月状態のところに更にヒロイン追加したらどうなるのかはとても気になる。ユエがやたらと現実世界由来のメタネタ言うのは知識の共有みたいなそういう不思議パワーがあるんだと思って違和感は捨てよう。

クラスメイトの中だと雫が可愛かったです。能力は高いが他者への理解・気遣いが出来ないやつの多すぎる、果ては裏から事態を操ってるやつや殺人未遂者まで混ざってる、正直やべえクラスメイト達の中でおおよそ唯一気遣いのできる苦労症女子だったのでクラスメイトパートでの癒やしポイントは彼女に一任されていた。他の子に百合っぽいネタをふられて小粋に返すところとかもかわいい。


【Web版】アビス・コーリング〜元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら〜

作者: 槻影

――君はその闇に立ち向かえるか!?
気がつくと僕は、ランダムで召喚される『眷族』を使って冒険するソーシャル・ゲーム『アビス・コーリング』に酷似した世界にいた。
まことしやかにささやかれる運営による確率操作、搭載された類稀な物欲センサーに課金必須のゲームバランス! 開き直って自ら奈落(アビス)を名乗る豪胆さ! 最強の集金システムと呼ばれ、数百万のユーザー達をどん底に叩き落とした末、法整備によりサービス終了した最低最悪のゲームに似た世界で、僕はかつてプレイヤーだった頃にやり残した事を成し遂げるため、再び召喚士(コーラー)として立ち上がった。
これは――闇に挑む勇敢なる召喚士達の物語。

序盤(というかファミ通文庫版1巻分)では最初に引いた眷属一人でほぼ無双出来てしまっていてぱっと読み俺TUEE感すらあるんだけど、なろう版では読み進めるごとに「課金前提ゲーなのに課金できない」「なかなか石が溜まらない」「ピックアップが一切ない」「主人公の引きが明らかに悪い」がジワジワと効いてくる。ガチャが引けない、戦力がなかなか強化できない、協力ゲーなのに主人公がソロ思考、死にプレイが出来ないという難点を最初に引いた眷属と気持ち悪いくらいのゲーム知識でなんとか補う感じ。そういう意味で、主人公が攻略動画投稿やブログをやってた設定は先に出した方が解りやすかった気がする。

青葉以外の人間をNPCとして雑に扱う主人公の性格にもんやりすることもあったけど、その分青葉の意を上手くくみ取れずに戸惑う姿が面白かったし、なんだかんだでこの世界が「現実」であることをどこかで受け入れられなかった姿が印象的でした。コミュ能力が低く最初の引きはそこそこだったがガチャ運が悪くゲーム知識だけは豊富なブロガーとコミュ能力が高くガチャ運あるが最初の引きとゲーム知識のない青葉という対比が面白かったです。

ゲーム知識で俺つえーしたいのではなく、あくまで「ガチャを回したい」「もう一度このゲームを楽しみたい」という方向にオチが付くのも良かったなあ。

文庫5〜6巻分くらいの分量で綺麗にまとまってたのでファミ通文庫は頑張って最後まで書籍化してほし………かったんですが…。良くも悪くも「面白くなる前の部分しか書籍化できなかった」という印象なのがかなしい。

▼書籍版の感想


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ファイフステル・サーガ3 再臨の魔王と草原の灰エルフ

 

かつて魔王戦役にて魔王軍に与した灰エルフの子孫たちが、“魔王の左腕”を奪還すべく五芒国へと再び侵略を開始する。灰エルフたちの鍛え抜かれた弓の腕と馬術によって、フライスラントの地に多くの血が流れ、兵たちが敗北を重ねる戦況にカレルが、ヴェッセルが動き出す―。「心に正直になれ。どうして欲しい?一晩中これを続けて欲しいのか?」灰エルフ族長のひとり“天秤の担い手”ギルセリオン。圧倒的な武と、女を堕とす術を持つ新たな英雄は、来るべき『セシリアの死』を起こす元凶か、それとも未来を変える存在か―。かくして歴史の表舞台に英雄は揃う! (「BOOK」データベースより)

魔王再臨の兆しをうけ、灰エルフ達が五芒国に侵入した。圧倒的な騎馬能力を持つ彼らはアレンヘムと戦争中だったフライスランドを徹底的に蹂躙していく。フライスランド総督から和平及び援軍の要請を受けたカレルはヴェッセルに和平の仲介を頼むことに。一方、灰エルフの族長の一人・ギルセリオンはひとり、他の灰エルフ達とは別行動を取っていて……。

これまで「夢の中でセシリアを殺す存在」というどこかふわふわした輪郭しかなかった灰エルフに生き生きと肉付けされていく流れが楽しく、第三の主人公的な存在であるギルセリオンが圧倒的な力で立ちふさがる人間たちをねじ伏せ、それと並行して女を抱くことで版図を広げ情報を得ていく姿がまるで別の物語を読んでいるよう。魔王とも他の灰エルフ達とも異なる視点を持った彼の存在は今後の物語において大きな意味を持ちそうで、どんなふうにカレルやヴェッセルの物語に関わっていくのか楽しみで仕方がない。しかしあの一晩で陥落させられた領主の娘のアレの話とか色んな意味でどういう流れだったんですかねえ!?流石に夜の床でメロメロになってしまって手のひら返したという流れだとは思えないんですけど、そのへんに描写ないので若干どういうふうに受け取ったら良いか悩むよな…。

英雄、色を好む」を体現したようなギルセリオンのスケコマシ一代無双旅の後にカレル・セシリア夫妻の朝のイチャイチャ風景を読むの、温度差が凄くて口から砂糖出る。巻を重ねるごとに嫁バカになっていくカレルと、徐々に人前で憚らなくなってきた旦那に振り回されるセシリアがかわいすぎるんですが!!あと、ヴェッセルから漂う隠しきれない残念感が好きです。猛暑の中お外に出たくないヴェッセルさん……。

侵攻してきた灰エルフを撃退する流れ、セシリアの「夢」を元手に何度もデッドエンドを繰り返して生き残る道を模索していく流れは前2冊と比べるとめちゃくちゃざっくり割愛だったのが残念だった反面、その試行錯誤描写が削られた分恐ろしくスムーズにカレルの手のひらの上で事が運んだように見える。なるほど実際の泥臭い努力とは裏腹にこんなにもスムーズに策を立てているように見えるのかと。一応味方になったけどまだまだ痼の残るフライスランド総督の、カレルの手並みを見ての反応にめちゃくちゃ笑ってしまった。これは確かに「夢で予習してる」って知らなかったらこういう反応になるよなあ!

それにしても、次巻は子供大好き(ロリコンではない)コルネリウス隊長と幼女と政略結婚の縁組とかいうもう明らかに(コルネリウスが)荒れそうな流れだし、あとミーリエルの方も……これ流れ的に「エルフは多重婚イケる」って話まであったし側室フラグなのでは!?とおもってるんですけどどうなんですかね……楽しみすぎるんですけど、ほんとなんとか頑張って4巻が出て欲しい……あとがきの話は他の所で散々愚痴ったので割愛しますが、これで3巻打ち切り喰らったらほんと、ギルセリオンの真意もわからなくなってしまうしおおよそ最悪にキリ悪い所で終わるなあと思うのでよろしくおねがいします……。