AURA 魔竜院光牙最後の闘い | 今日もだらだら、読書日記。

AURA 魔竜院光牙最後の闘い

[著]田中 ロミオ [絵]mebae

順調な「高校デビュー」を果たし、充実した生活を送っていた佐藤一郎。彼の「日常」は蒼いローブを羽織り、リサーチャーと名乗る神秘的な美少女・佐藤良子と出会い、崩壊した…——!ある時は共闘し、またある時は敵対するドリーム・ソルジャー達。二人に襲い来る“敵”。二人の絆が崩れそうになったその時、眠りに付いた筈の戦士・魔竜院光牙が目覚め最後の闘いが始まる——……!
  ( 評価不能 )
↑多分嘘は言ってないよ!嘘は!(でも本気にしないで下さい)

というわけで田中ロミオの新作。仮題は「流行の学園ラブコメを目指してみる」……ああうん、確かに目指してみるといってるだけで、学園ラブコメだとはいって無いですよね。一部特定の経験を持っている人々に効果覿面の、ラブコメもといトラウマ抉りコメディです。タネを明かせばイタイ設定をとくとくと語るドリームソルジャー(=妄想戦士)を一足早く中学で卒業した元戦士が、妄想戦士を卒業できてないクラスの大勢(なぜかやたらと沢山いる)に振り回されて涙目になりつつ、現実と戦っていく物語です。

なんていうか、空気読めない妄想戦士達を見て指差して笑おうとする常識的な自分が大半を占める中、主人公のように妄想戦士達の妄言を他人事とは受け止められない、かつて妄想戦士を卒業していて主人公の一郎の心労に感情移入してしまう自分と、未だどこかそんな妄想の世界に憧れ続けて、純粋にその世界に現実逃避している彼らをちょっと羨ましく思える自分まで居て、痛いような痒いような、正視出来ないような……もうなんていうか、まさに「ふ……触れるなッ!!俺の……俺の古傷に……(何故か倒置法)」って感じ。「ドージンワーク」や「辣韮の皮」のような痛いオタクネタ作品を読んだときに感じる時々「楽しんでいいのか痛がって悶え苦しむべきか判らない!」というあの感覚に近いかも。

登場人物達ほど強烈な妄想戦士だった人は稀だと思いますが、オタクなら高確率で似たような経験あると思うんですよね。自分の前世はどっかの戦士でかっこいい闘いを繰り広げ……てたらかっこいいのにな!とかちょっと思ったり、漫画の登場人物みたいな正義感溢れる美形な人格者がどこからともなく現れて何だかわかんないけど自分といい感じになってみたり…くらい、一度は妄想してみたことあるでしょう!?思うだけならタダだよ!?あといつか何かに使えるかなと漫画の主人公のかっこいいセリフを人知れず心に刻んでみたり(絶対使わないよ日常でこんなセリフみたいなのを)、日常生活で使うありきたりな言葉を“感情(きもち)”とか“時空(とき)”とか謎の当て字をして喜んでみたり、「竜破斬」の正式名称と呪文をうっかり暗記してしまって、未だ諳んじられちゃったり……きっとこの世界にはそんな同志達が一杯いるはず!!(※なお、断じてこの記事を書いた人間がそういう経験があると言っている訳ではありません。ないったら。)

……それはとにかく。なんかそういう、自らの胸の中だけに秘めておきたい恥ずかしい過去を容赦なく抉り出されるような作風です。

エンディングは少々強引というか、ご都合展開な何かを感じずにはいられませんでしたが、どちらかというとこの物語、「普通」の人間だって妄想戦士達と同じように現実と戦ってるんだよ!という風に落とすと見せかけておいてエピローグで「でもなんだかんだいって、みんな程度の違いはあれど邪気眼の素質もってるんだよねー!」って主張したかったんじゃないかという気がする。あのエピローグには、思わずニヤリとしてしまいました。

……でもなんていうか、色々評価できねえ。
「面白かった」とはとても素直にいえない。精神とかいろいろな所に痛かった。
色々な意味で凄い作品だとは思うけど。