乙女ゲームの世界へ、ようこそ! 〜薔薇色の人生を君と〜 | 今日もだらだら、読書日記。

乙女ゲームの世界へ、ようこそ! 〜薔薇色の人生を君と〜

 

ファミ通文庫で大人気の原作の乙女バージョンついに登場!! ごくごく普通の女の子・綴莉にある日届いた一通のメール。 怪しいけれど妙に気になる内容に、思わずメールを開いてしまった――。 翌朝目覚めると、綴莉の目の前に文武両道、完全無欠の生徒会長・龍神崎柾人の姿が!!  戸惑う綴莉に今度はスポーツ万能の人気者・龍神崎遼士が抱きついてきた!  いきなりモテモテのこの展開……まさか、乙女ゲームの主人公になっちゃった!?

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 ファミ通文庫で先日完結した「ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!」の世界観を下敷きにした乙女ゲームバージョン。タイトルが露骨にソレだったのでパクリなのなんなの!?とか言ってたら実は編集部主導の企画物でしたというアレ。しかしこの表紙はなんとかなりませんでしたかなんという買い辛いデザイン……。

 突然義理の兄と弟、ドS二重人格系クラスメイトとキザな教師という4人が現実に投影されて状況に振り回されてオタオタしてる間に気がついたら攻略対象の中で一番苦手な御園薫の『バッドエンド』ルートでのイベントが発生してしまい……というお話。中盤での「隠しキャラ」の登場をはじめストーリーラインは「ギャルゲヱの世界〜」1巻を忠実になぞりつつ、少女小説的なエッセンスが加わった感じ。

 ゲームでは本命以外はフェードアウトする筈の全ヒロインの個別シナリオが同時展開した「ギャルゲヱ」と違って、マルチシナリオのバッドエンドルートに入りかけて軌道修正しましょうという展開。全体的にあちらで見られた「ゲームを現実に投影することで生まれるシナリオの齟齬」みたいな話はあまり見受けられず、むしろキャラクターの内面的な変化が中心として描かれていました。苦手な相手の好感度を上げようと無理矢理態度を取り繕って泥沼におちいっていくヒロインの姿には微笑ましいというよりもモヤっとした何かを感じてしまいましたが、その後のクライマックスの展開はギャルゲヱとはまた角度を変えた解決方法で面白かったです。

 物語としては完全に恋愛未満の所で終ってしまったけど、続編あるのかなあ。終盤での不自然なタイミングでの不正終了とかエピローグとか微妙に謎は残っているのですが。ていうかヒロインは好きでこのゲームを投影した筈なのに、キャラに愛なさすぎる気がする(中盤で「私を傷つけない世界が欲しくてこのゲーム投影したのになんかちがう!」みたいな事言い出したのはちょっとキツかった)。物語自体は面白かったですが少女小説と言うには色々な意味で「愛」が足りないと言うか、もっとこうがっつり甘い展開でもよかった気がしました。というか乙女ゲーマーが求めてるのは多分そういう展開だと思います。

 余談ですが、投影したのはバッドエンドありマルチエンド式の泣き乙女ゲー……ということなんですが、どう考えても義弟ルートのバッドに絶対ヤンデレ監禁エンドあるよね。正直なところ二重人格系クラスメイトよりもどうかんがえてもこの義弟が怖い件について。ヒロインはわかってない。全ルートクリアしてなかったっぽいので多分ヒロインが辿ってないルートに絶対弟に監禁されるエンドがあったはずだ。

 しかし、最終的に現実産キャラの方が光り輝いてしまうのは原作「ギャルゲヱ」から受け継いだ宿命なのでしょうか。優花ちゃんマジイケメンすぎて可愛い&続刊があるなら優一君はまちがいなく攻略対象昇格しますよねわかってる。むしろ作中で一番フラグが立っていたのは御園君よりも彼だったような気が…。

 (3/24追記)ずっとこの感想を書く時にもやもやしていたものが漸く氷解したので追記。タイトルについて。原案タイトルが「ギャルゲヱの世界、ようこそ!」というタイトル通りギャルゲヱのキャラクターが「現実に来る」話であるのと対称的にこちらのタイトルは「乙女ゲームの世界、ようこそ!」。つまり現実が乙女ゲームの世界へ「行ってしまう」話なんだなあと思ったら色々納得できた。現実世界に二次元の話が投影されることから発生する現実との齟齬の話や、現実なら間違いなく発生するだろう展開が幾つかスルーされていたのも現実が二次元化していたら道理ということで。色々なっとく。

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