氷雪王の求婚 〜春にとけゆくものの名は〜 | 今日もだらだら、読書日記。

氷雪王の求婚 〜春にとけゆくものの名は〜

 

冷酷さから“氷雪王”とも渾名される、皇帝エドリックが皇后に選んだのは、地方伯の娘にすぎないアイリス。逆らうことなどできるはずもなく、アイリスは幼馴染みへの淡い恋心を殺し、皇帝との華燭の典に臨んだ。しかし皇帝は渾名通り情のない男だった。互いを名前で呼ぶことすら許さず、“皇后”として公務を果たし、世継ぎをもうけることだけを要求し…!?2010年度ロマン大賞受賞作。 (「BOOK」データベースより)

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 恋人と引き裂かれ、皇帝エドリックの元に嫁ぐ事を強いられたアイリス。『氷雪王』との異名を持つエドリックは色々と曰くつきの人だった。妻を妻とも思わない態度に憤っていたが、やがて……というお話。

 最初は反発しあっていた二人が徐々に志を通わせ、同士としても夫婦としても距離を近寄せていく様子がとても甘酸っぱいんだけど、要所ごとに当時を生きた人々の『手記』の形で明かされていく、二人の物語の悲しい結末にゾクゾクが止まらない。

 腹を据えてからは夫の冷たい態度にもめげずに彼を伴侶として支えようとするアイリスは、ただ破天荒なだけでなく古い常識に囚われない斬新な発想の持ち主。同じように古きしきたりを捨てて新しい国づくりを目指すエドリックとこの国の新しい形について語り合う姿がとても素敵なんだけど、彼の理想を支えるだけの後ろ盾を持たない実家や“皇后”だからこそ制限されてしまう部分もあってもどかしい思いをしているのに、こちらまでもだもだしてしまう。

 二人の恋の結末はあまりにも悲しいものだったけど、二人の意思を受け継ぐ人々がかつて彼らが語った理想の国を少しずつ築き上げていくエピローグにじんわりしました。めちゃくちゃ面白かった!!

 しかし、LOVE分も大変美味しかったけど、シュタイン帝国の一代記としての部分が物凄く濃厚だったので、色々な意味で挿絵で損してるなあと……この表紙だとキラキラしたお姫様と王子様のラブロマンスしか想像できないよ!!挿絵が出てくるたびに若干違和感に戸惑いました。

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