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ゴブリンスレイヤー

[著]蝸牛 くも  [絵]神奈月 昇

その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級にまで上り詰めた稀有な存在がいるという…。冒険者になって、はじめて組んだパーティがピンチとなった女神官。それを助けた者こそ、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だった。彼は手段を選ばず、手間を惜しまずゴブリンだけを退治していく。そんな彼に振り回される女神官、感謝する受付嬢、彼を待つ幼馴染の牛飼娘。そんな中、彼の噂を聞き、森人の少女が依頼に現れた―。圧倒的人気のWeb作品が、ついに書籍化!蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー、開幕! (「BOOK」データベースより)

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 かつてゴブリンの襲撃により家族を失い冒険者になった男、通称『ゴブリンスレイヤー』が、周到な下準備と強い執念を持って、獲物であり家族の仇でもあるゴブリン達をひたすら殺していく話。

 Web小説ではなく、2chの「やる夫スレ」が原作。AAを使って淡々と書かれた内容がどういうふうになっているのか……とおもったら、小説としての肉付けをされつつもどことなく雰囲気はそのままで小説になっているのが面白かった。キャラクターの固有名詞がなく、役職のみで描写されるのでどうしても脳内ではAA元のあのキャラやあのキャラで浮かんでしまうんだけど、その想像を邪魔しないどことなく元のキャラクターたちの空気を漂わせるキャラデザがずるい。

 数々の冒険者達の迎えた悲惨な最期と凄惨な現場が、ゴブリンという生物の恐ろしさとしてじっくりと描写されていて、現実のRPGでも作品世界でも雑魚モンスターとして扱われているゴブリンがこの作品の中だととても恐ろしい存在だと思えてくる。

 熟練の冒険者が相手をするには旨味が少なく、初心者が対処するには持て余しがちなゴブリンを決して侮らず、そして一切の容赦なく殺していく姿には一筋の狂気すら感じる。でも、ゴブリンをひたすら殺す物語でありながら、そのゴブリンの恐ろしさを一番理解しているのはそのゴブリンを殺しまくっているゴブリンスレイヤー自身で。人間に仲間を殺され、群れを渡ったゴブリン達が上位のゴブリンになるなら、それを殺す存在がゴブリンに家族を殺され、生き残った男だというのはなんとも因果を感じてしまって、やるせない。

 そんな彼が擦り切れそうになりながらも、迷ったり悩んだり、幼馴染の牛飼い娘や仲間の女神官に対して不器用ながらに心をひらいていく姿が、どうしようもなく人間らしかった。恐らくWeb版との一番の違いはその辺の心象描写が増えていることではないかと思うんだけど、幼いころの冒険者になりたかったという「夢」を思い出すゴブリンスレイヤーのシーンだけでも、読んでよかったと思える。

 原作スレは確かここまでなので、続編がどうなっていくのかがとても気になります。いつかゴブリンとは関係ない心躍る冒険に旅立つゴブリンスレイヤーさんの姿も見てみたい。

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