
[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
姫木梓の友人グループの一人だった倉沢麻里奈がドラッグを服用して飛び降り自殺を図った。そのドラッグ―“カプセル”―の入手ルートに幼馴染の物部景が居ると聞かされ、梓は一人、売買ルートを調査し始めるが、思わぬ人物からの接触を受けて…?
“悪魔”を呼び出す「カプセル」というドラッグをめぐるサスペンス。以前から気になっていた1冊だったのですが、読み始めたら予想以上に面白くて一気読みしてしまいました。しかし、3巻分を2冊にまとめた新装版…ということで、
1巻からあまりにも分厚くて(総ページ数500P↑)思わず尻込みしたくなるのは仕様でしょうか。こ、これは…アニメ版BBBから入ったライトノベラー以外のファンを引き寄せようとするには厳しい厚さなんじゃないかと思うんだけどそこんとこどうなんですか!!お、終わクロを読破した私にとってはこのくらいなんともないけどな…っ!!
ストーリー的には文句なしに面白かったんだけど、3巻分の話をロコツに2巻にまとめた感が漂ってて、そこがちょっと気になりました。というか、以前の巻の巻末に差し込まれていた短文(詩?)のようなものが中盤で一区切りついた辺りに差し込まれており、
ロコツにここが旧版1巻の終わりだったんだよと全力で自己主張してしまっているのですが!!終わり方も続きが気になるところで切ったといえば聞こえが良いのですが、正直無理やりぶちきったようにみえてしょうがありません。聞いた話によると、3巻位から一気に面白くなるらしいので、3巻まで一気に読ませる為の措置なんだとは思うんですが、無茶にまとめるよりは既存の巻数で切るか、旧巻末部分の短文をなんとか処分するか、あと100P増やしてでも2巻までの内容を1巻にまとめてしまった方が余程良かったと思います。なんというかこのぶ厚さは読書慣れしてないとなかなか手を出せなさそうだし、面白いだけにもったいない~…。
梓と捜査を共にすることになる相方にして探偵役・海野千絵がめちゃくちゃ可愛い。委員長然としたクールビューティ(?)から、好奇心旺盛な天然正義感少女への変身っぷりが最高です!ヒロインの梓も可愛いし、底の見えない幼馴染・景もなかなか良かったのですが千絵と梓がコンビを組んだ辺りから、千絵から目が離せなくなりました。いやこの子、ほんと可愛い!
既に完結している作品ですが、一気に買うと積んでしまいそうなので新装版で地道に消化していこうと思います。というか、ある意味
本編以上にあとがきが面白かったです。
表紙の変遷がなんというか…
これが富士ミスの「L・O・V・E・寄せ」かっ!!!

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
セルネットの幹部“カイム”との戦いにより、「ウィザード」としての正体を知られてしまった物部景。セルネットと宿敵・ドラッグドッグスの甲斐氷太に狙われ、これまでになく追い詰められた物部はセルネットを壊滅させる為に大胆な策を打ち出す。一方、カプセルに蝕まれる物部の姿を目の当たりにした梓は、自分が彼を支えていこうと行動を開始するのだが…!?
旧版2巻のクライマックス直前から始まって、3巻の最後まで。やっぱり、「もともと3話」という前提を知っているからかもしれないんだけど、2巻の内容が中途半端に切れてるって印象がぬぐえないなぁ~…一気に読む分にはそこまで気にならないんですけど。
ミステリー的な謎解きの多かった1巻から、2巻は一気にアクションメインです。お陰で頭脳労働担当の我等がホームズ・千絵の出番が控えめなのが寂しい限りですが、その分1巻の後半から出張り始めたセルネットの「デルタ」こと茜ちゃんとドラッグドッグスの甲斐氷太コンビが良い味出してます。知能派なのに肝っ玉の姉御系でかつかなりの迂闊っ娘な茜ちゃんと、戦闘狂だけど悪い人じゃない、典型的な「好敵手」ポジションの氷太はとても敵とは思えない爽やかさで、凄くツボに入ったキャラ達でした。後半はこの二人が出てくるとニヤニヤしっぱなし(笑)
対してメインヒロインである梓は、自分の実力に対する過信からどんどん地雷源に向けて大暴走。その気持ちが幼馴染を守りたいという一途な気持ちからきてるのは分かるんだけど、ちょっと気味が悪い位の独占欲……と思っていたらラストであんな展開に!幼い頃の景への行動もただの幼馴染にしては少し気味の悪い違和感を感じていましたが、予想以上に歪んだ愛情が明らかに。梓の相棒である筈の千絵も、1巻での颯爽とした天然正義感娘ぶりはどこへやら、いろいろ思い悩んで後手後手に回る事が多かったので非常にもどかしかったです。
1巻以上に続きが気になるところで「次回へ続く」。
うわあ~、3巻の発売が楽しみでしょうがなくなってしまいました。新装版でゆっくりそろえようと心に決めたのでうっかり古本で旧版を探してしまわないように気をつけなければ(笑)

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
クリスマス・イヴの夜に明かされた真実に打ちのめされた梓は、千絵達の前から姿を消した。カプセルを口にして行き倒れた彼女は、家出中の少女達と出会う。その一方で、「無慈悲な女王」の復活と引き換えに壊滅的な打撃を受けた<セルネット>は執行細胞である「B」が組織の権力を握り、無慈悲な女王の下で無料で大量のカプセルを配布するという方針を打ち出して…
2巻の終わりで様々な真実が明かされ、傷ついて姿を消した梓と事件以来行方不明になってしまった景を巡って千絵達が奮闘するお話。今回は千絵が美味しいところもってきまくりでした。特に家出少女達を厳しく叱りながらもちゃんと助けてあげるという場面は、凄くかっこよかったです。梓の心情をそれとなく察して姿は見ないけど、ちゃんと自分の思いは伝えていく姿勢がめちゃくちゃかっこいい!
そして事件の解決には全く役に立ってないけど(笑)見逃せないのが茜ちゃん。すっかり恋するオンナになっちゃって、甲斐の事を心配して自分らしくもない無茶な行動に出ちゃうところが可愛い。甲斐が復活したときのさりげない喜びっぷりがまた可愛いですね。この子は是非とも、もっと目立って欲しいな~。
そしてなんといってもラストの梓&景の復活が!再会して以来、殆ど明かされることの無かった景の本音が、あの絵本に挟まれていたメモから止め処なく伝わってきます。なんかもう、この二人には紆余曲折あった分、なんとしても幸せになって欲しいと思います。次巻が楽しみです!

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
「エリゴル」は自分の”細胞”を構成するメンバーの一人が組織を裏切っていると聞きつけ、追跡を開始した。実働部隊である自分達にとってオーナーですらないその裏切り者を始末するのは簡単だろうと踏んでいたのだが、逃げ込まれた遊園地でことごとく裏をかかれ…!?
「Dクラッカーズ」シリーズの短編集。各キャラクターの過去、本編シリーズを補完するような短編に、ファンタジアバトルロイヤルに掲載された未収録作品を収録してます。どの作品も楽しく読めましたが、個人的なお気に入りは梓と景の過去の一幕を描く「台風-storm-」、本編の内容を敵側から補完する「序曲-prelude-」、千絵に振り回される水原を描いた「休日-holiday-」です。
「台風-storm-」は今の関係とはちょっと違った二人の微笑ましい姿が見れて素敵でした。特に本編ではどこかミステリアスな魅力のある景ですが、この短編では素晴らしいヘタレという素顔を覗かせてくれます。いやあヘタレいいよヘタレ。
そして
“ヘタレ”といえばいろいろな意味で最強なのが「休日-holiday-」。腹ごなしに街に出たら偶然千絵に会い、なしくずしに彼女の行動に巻き込まれて~…という、ヘタレ全開な水原のお話。元気爆発というか、もはや暴発気味の千絵に振り回される周囲の姿に始終笑いが止まりませんでした。本編がシリアスしてるので、こういう短編はすごく癒されるw
「序曲-prelude-」は本編1巻での”セルネット”側の動きを追うお話。梓に”彼女”が憑いていた原因とか、松崎祐子が細胞に抜擢されたり、真里奈が飛び降りた理由なんかが描かれて、なかなか面白かったです。そういえば松崎祐子が「”F”よしも下は嫌」というような場面がありましたが、これも何か理由がありそうですよね。水原辺りをライバル視してたとかありましたっけ?1巻読み返してみようかなあ。
読みきり版「Dクラッカーズ」はストーリーの大まかな内容は1巻と一緒なんだけど雰囲気とかがぜんぜん違って、その違いを感じながら読むのが楽しかったです。本編の1巻と比べると圧倒的に景のジャンキーなイメージが強調され、全体的に暗いです。ぶっちゃけ、最大の差は千絵が居るか居ないかってことなんだけど、彼女が出てこないだけでここまで印象が変わるとは。暗すぎて一般受けしなさそうな感じはするけど、こっちはこっちでかなり好みでした。
その他の短編もすごく面白くて、満足な一冊でした。今月発売される、本編の続きも楽しみ。

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
執行細胞の決定でマーケットにカプセルが無料で配布されるようになって以来、何も知らない一般人までがドラッグに手を出すようになり、街は混乱の極みにあった。千絵と梓達はカプセルのルートを割り出す事で執行細胞―そしてその先にいる“無慈悲な女王”を追おうとするが、捜査は行き詰まり―…
千絵と梓、景と水原、そして甲斐氷太と茜という超豪華メンバーが手を組んで執行細胞を追うという話。今まで最大のライバルだった<ウィザード>物部景とドラッグドッグスの<狂犬>甲斐氷太が手を組むと言う展開は、もうそれだけでめちゃくちゃアツいですね!せっかく仲間になったのだから二人が背中を合わせて戦うというようなシーンを見たかったけど、それが無いのがまたらしいといえばそれらしい。グループで動いてもどこまでもフリーダムで、それなのにちゃんと美味しい所はまとめて持っていく甲斐氷太に惚れそうでした。そしてそんな甲斐を影から心配する茜ちゃんが可愛いなぁ~。
そして同時に今回美味しい所もってきまくりだったのが、家出中学生の久美子。自分だけ何も出来ない事と、退屈にかまけて好き勝手暴走して~…というあたりはある意味テンプレ通りの行動ではあるんだけど、なんだかとても危険な位置に居るというのに不思議と和んでしまう、不思議な魅力を持つキャラクターだと思います。彼女と景のでこぼこしたやり取りも凄く良かったです。
それにしても、主人公格である梓と景は……気がつくとある意味すっかりバカップル状態と言うか。皆に冷やかされて慌てる梓と、冷やかされるのが嫌でわざと距離を保ってる景が非常に微笑ましい。
後半は遂に発見した執行細胞達とのバトル…なのですが、イマイチバトルが盛り上がらなかったかなあ。特に理由はないんだけど。他の部分が凄くテンポ良く読めるのに対してちょっとだれてしまっていました。特にベリアルと甲斐の戦いがキツかった…。
ストーリー自体は1段落して次から新章突入という感じでしょうか。座談会でネタになっていた
景の浮気というのが猛烈に気になります(笑)セルネットも本格的に動き出すようですし、ますますこれからが楽しみです。
[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
セルネットを壊滅させ、ようやく学生としての日常に戻った梓達。クラス替えで新しい友達を作って楽しそうな梓達を尻目に、景はどうしても日常になじめない自分を感じていた。そんな彼の元に、一人の少女が現れる。一方、DDに不穏な動きがあると聞いた梓達は景を除いた3人で彼らのドラッグパーティに潜入し… |   |
た、確かにこれは景の「浮気話」…!!(笑)
日常に戻りクラスにも段々溶け込んできた梓とは対照的に、梓達とは一人だけクラスもわかれ、なんとなく4人で居ても疎外感を感じてしまう景にクラスの惚れっぽい女の子が猛アタックをかけてきて…というお話。これまでは作品内でもあまり語られなかった景からの心情が直接的に描かれて、彼の過去とあわせて今までどんな気持ちで戦ってきたかと思うと切ないものがありました。
メインの話以上に静に振り回される景のヘタレっぷりが素敵。今までクールでかっこいい「悪魔狩りのウィザード」というイメージが先行していたけど、押しの強い静に振り回されてオロオロする姿は実にヘタレで可愛らしい。そんなヘタレっぷりと後半のいつもにも増したデンジャーさとのギャップがかなりツボだったりしました(笑)
DDの裏で動いていた計画が動き出して様々な弊害が出始めて、遂に“女王”との決着をつける為“王国”へ赴く事を決意する景ですが、それに至るまでの過程がほんと哀しい。せっかく梓との別離から立ち直ろうとしていた景を打ちのめした過去話も凄く切なかったし、特に甲斐と茜ちゃんのデコボココンビが大好きだった身としては序盤のメールのあたりからもう大ショックだったわけですが…何よりもエピローグが切なすぎる。唯一“ドラッグ”の影響を受けていない千絵の涙が印象的でした。
最終決戦前の梓と景のやりとりが凄くツボ。正直今まで千絵と甲斐・茜コンビにいいところを持っていかれがちだった(超個人的な印象ですが)二人ですが、主人公コンビの強さを魅せつけてきました。「一秒以内に答えなさい、物部景!」は名台詞すぎる。ていうか
梓さんかっこいいよ梓さん。
個人的には静を巡るやりとりが大好き。
「ふふ。本人も緊張してるみたいだったよ。クラスメイトと連れ立って遊びに行くなんて、初めてのことみたいだから」
(中略)
「でも、ちょっとびっくりしちゃったわ。これまで梓さん、物部くんのこととなったら一番先走って動揺してたのに……ずいぶん成長したものね」
「梓ちゃん、僕は……」
『滝田さんのこと、実は結構気になってたでしょ?』
とんでもない変化球がきた。
「……は?」
『は?じゃないわよっ。どうなのっ。あからさまにアタックされて、実はいい気になってたでしょ!』
「そ、そんな別に……」
実はめちゃくちゃ気にしてたーーーっ!!
[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
「情報屋」の水原が組んだ相手は、ブルーのウィンドブレーカーを身に纏い、凶暴な悪魔を操って「ウィザード」と恐れられ始めた少年・物部景だった。派手で、一見無茶そうに見える景の行動に不安を抱く水原だったが、彼らの活躍を聞いたセルネットは、予想もしない大物を差し向けてきて…!? |   |
「Dクラッカーズ」シリーズの短編集第二段。コンビを組み始めた頃の水原と景の騒動の話や景と甲斐氷太の初対決、セルネットの執行細胞トリオ誕生秘話などなど物語のはじまりを描いた短編のほか、幼い頃の梓達を描いた短編やいつもは強気な千絵が覗かせる弱音の話、各キャラクターの過去話を中心にとにかく美味しい短編が目白押しとなっています。
とりあえず、子供時代の梓と景が可愛すぎる。現在以上に押しの強い梓が、今以上にヘタレな景をつれまわす姿は見ていてほほえましいのなんの。「夜道」でのやりとりも良かったんだけど、様々なキャラクターがさりげな~く登場する「夏祭り」は本当に最初から最後までニヤケ笑いが止まらなかったです。ラストはちゃんとラブラブな展開で落としてくれるのも嬉しいポイントですね~。
シリアス方面の短編では、甲斐氷太との初バトル「狂犬」も面白かったのですが、景と水原の出会いを描いた「相棒」がドツボ。ヘタレながらも必死に景の役に立とうとする水原の姿が非常に印象的でした。そして二人の前に立ちふさがる敵がまた、いかにも憎めない“悪役”という感じのキャラクターで良いんですよね。本編には登場しないのがちょっぴり残念だと思うほど魅力的なキャラクターだったと思います。
ラスト近くの「Dクラッカーズ・ショート・ショート」は、5巻「追憶」ラストで景が“王国”へ向かった後に、残された面々が決意も新たに「実践捜査研究会」を再結成するという内容で、次巻への期待がいやがおうにも高まります。次回は遂に執行細胞・女王との直接対決…ということで、ますます来月発売の最新刊が楽しみになってきました…!
[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
“王国”に向かった景に関する記憶が、少しずつ梓や水原の中から消えていく。カプセルを服用しなかったおかげでただ一人景に関する記憶も持ち続けることができた千絵は焦りを募らせ、執拗にバール達を追い詰めようとするのだがその行動を理解できない水原達との溝は深まるばかり。ある日、ジャンキー達の摘発に協力した3人は、仲間割れを起こしてしまって… |   |
うわああああああ、予想以上に痛い展開…。
前巻の最後で忘れた記憶を取り戻した梓を見て安心していただけに、その翌朝の展開はショックすぎました。その後も梓や茜がフラッシュバックで記憶を取り戻した瞬間に取り戻した記憶をすぐさま失ってしまうという展開が続いて、それがただただ哀しいばかりで。遂には「記憶を取り戻さなければいけない」と言う気持ちすら薄れていってしまう事に恐怖を感じました。それまでの行動からは考えられないような、景や氷太に対する淡白な反応ばかりを見せる二人の反応が、本当に薄ら寒かった。とにかく前半の容赦なさは格別でした。
だからこそ、中盤以降千絵の水面下での奮闘によって少しずつ事態が良いほうへ、良いほうへと動いていったのは本当に嬉しかった。序盤の千絵と梓達のすれ違いっぷりにひたすらじれったい思いを感じていただけに…。
後半、千絵と梓が、復活したDDが、茜が、そして最後に水原が……と、これまでバラバラになっていたメンバー達が一つの目的の為動き出すシーンは凄く熱いです。特に水原が
景の“悪魔”を召喚した(ネタバレ)シーンでは、正直震えが止まりませんでした。今回は景と梓の恋愛模様だけじゃなく、千絵と梓・水原と景の友情コンビが凄く良い味出してます。カラオケボックスで帰りを待つ久美たち3人の姿もなんだか心強くて。
そして個人的に大プッシュなのが、復活した「
茜姐さん」の一幕。密かにかなりの茜ファンの私としては待ってましたな1シーンでした。クールビューティな姐さん復活に萌え燃えしました!
最高潮に盛り上がったところで、舞台は遂に最終巻へ。
どう決着をつけてくれるのか、本当に楽しみです。
[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
たったひと時の少女との邂逅に、“魔法使い”は動揺した。そんな最中についに“騎士”が女王を取り返すために塔に侵入し、彼は迷いを持ったまま戦いに臨んでいく。一方、梓達もまた「王国」が具現しているというテレビ塔に足を踏み入れるのだが…?! |   |
正直なところ最終巻では前巻ほどの楽しさを感じなかったかも…勢いのまま盛り上がった6巻に対し、7巻は終わらせるためのある程度の予定調和的な部分を感じてしまったからか。梓と景の邂逅はとにかく、水原の悪魔召喚は7巻まで引きずっても良かったんじゃないかと思ってみたり。
というか、6巻と7巻はあらゆる意味で一気読みしなければいけなかったと思うのです。7巻を読むのに間を空けてしまったのが一番痛かったんだろうなあ…。
特に、梓と景の記憶が6巻のうちにある程度戻ってしまっていたのが展開的に盛り下がった最大の原因のように感じました。こういう展開になるならいっそのこと、6巻で二人が遭遇した際に記憶も感情もすべて取り戻させてしまっても良かったんじゃないかと。7巻ではまだ記憶は戻っても感情は戻っていないみたいな梓と女王のやりとりがありましたが、どうみても完全に梓の感情、戻ってるんだもん。その後「完全に記憶が戻りました」的な描写もないしなあ…。特に梓は、景に対する感情が戻っていなければ、あんな無謀な行動には出られないと思うんだけど、どうなんでしょうねこれ。
そんなこんなで一部にちょっぴり不満が残るのですが、それ以外はまさに「最終回」にふさわしい、見事なエンディング。最後まで梓に主導権を握られっぱなしだった景の
「君が、目を閉じろ」っていうセリフには思わずニヤついてしまいましたし、あまりにも彼ららしくて笑いが止まらない甲斐と茜のやりとりも素敵過ぎる。悪魔3人の最後のやりとりもなんだかすがすがしいものがありました。というか最後の最後でバールの発言にときめいた。かっこよすぎ!!
何より、水原兄弟のやりとりが特にかっこよかったなあ。千絵との言論闘争も凄く良いんだけど、この兄弟のねじくれた言葉の押収が実に良い感じ。
特に、↓このやりとりはキュンキュンしましたね。個人的名台詞認定。
「で、いま俺って美人の味方やってんだ。悪魔なんかより気が利いてると思わねえ?」
ベルゼブブはしばらくの間、じっと弟の顔を見つめていた。
その、短いような長いような時間の間に、彼の優秀な頭脳が、何を考え、何を思っていたのか、第三者には計り知れない。
ベルゼブブはその瞬間、紛れもない水原信司の表情を見せて、
「そうか――」
と、ささやいた。
「いやいや。悪魔のほうが断然格好いい。絶対普遍の支配者に対する、誇り高きレジスタンスだぞ。真の自由の体現者だ。エロイムエッサイム」
さて、今月で遂に連続刊行もおしまい。最後に物語の直前・その後を描いた短編集が出るという事なのでそちらに期待です。ていうか甲斐と茜のその後が読みたかったり!
[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都
“カプセル”を巡る一連の事件から数年後…平和を取り戻したかにみえた葛根市に『アロマ』と呼ばれるドラッグが蔓延し始める。親友の蘭子から、弟が『アロマ』のパーティに参加しているという相談を受けた歩美は、かつて学校を騒がせていたというトラブルシューティング「実践捜査研究会」のOGを頼ろうとするのだが… |   |
梓と再開する前の景の姿を描いた短編と、一連の事件から数年後に起こった『アロマ』をめぐる事件を描いた短編を収録した「Dクラッカーズ」シリーズの新規書きおろし作品。
なんか普通にこの『アロマ』をめぐる事件で第二部とか作れそうで、なんだかこれで一応終了、というのがちょっと惜しくなっちゃう書きおろしでした。歩美と蘭子のコンビもなかなか魅力的で、彼女達を主役にして~…なんて展開も考えられちゃいますが、物語が終わってもどこかで景達は頑張ってますってな感じの終わり方で、これはこれでよかったかも。
お馴染みのキャラクターたちが主役2人を喰わない程度に上手いこと活躍していて、その度合いが絶妙でした。各キャラクターたちのその後の姿もしっかり描かれていて、それでも物語り自体はちゃんと歩美と蘭子の物語としても成立してるところが本当に絶妙なバランスという感じで…もうちょっと梓達が出張れば主役2人は喰われてしまっていただろうし、もうちょっと主役2人が活躍してしまうと「Dクラッカーズの後日談」としては物足りなかったでしょうから。このバランスは本当に凄い。
この番外編の甲斐氷太がまた実に“らしく”て素敵です。本編では最終的に共闘という形を取ったわけだけど、あくまでそれは“一時的な”共闘であり、本質的には強い奴と戦えればなんでも…みたいなフリーダムさに惚れてしまいそう。ぶっちゃけ景との対決がああなってしまったのはちょっぴり残念だったような…。そして、景達にしろ甲斐にしろ間に存在するはずの4年間の出来事がところどころ透けて見えるのがまたにくい演出ですよね。甲斐がお世話になってる悪党さん?の話とか、実践捜査研究会メンバーinロスの話はぜひとも読んでみたかった。あと茜と甲斐の追いかけっこが見れなかったのが残念で仕方が無い…!!本当に、これで終わってしまうのがもったいなくなってしまう。
個人的にドツボにハマる物語ではなかったんですが、読み始めると毎回どんどん物語りに引き込まれていって、とにかくレベルの高い物語だったなあというのが最終的な感想でした。6つ星を付けたのは6巻ラストだけなのですが、その分平均的な評価点が高かったと言うか…かなりの冊数が積読行きになりかけた中で、毎月刊行の作品をちゃんとリアルタイムでついて読んでいっただけでもなんだかんだ言って自分がこの物語に惹かれていたんだなあという証拠だったんじゃないかなあと思ってみたり。
本当に楽しい物語をありがとうございました。いつか時間があればBBBの方も読んでみたいなあ…。