ページ 19 | 今日もだらだら、読書日記。

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とりあえず伝説の勇者の伝説7 努力のタイムリミット

 

イエット編クライマックス!いつもよりちょっとシリアス短編集、第七弾!
ローランド帝国から遠く離れた辺境の国イエットでのんきに過ごしていたライナとフェリスだったが、その平和な時も終わりに近づいてきていた。イエットは突如出現した無数の化け物に襲われる。それはある呪いで――。

勇者の遺物探しでやってきたはずのイエット共和国で惰眠を貪っていたライナ。ところがある日の夜、寝込みを異形の化け物に襲われる。それはイエットの地を5年ごとに襲う「呪い」であった。対処魔術が開発されたため現在はほぼ無害化しているそれだが、調べていくととんでもないことが発覚して…!?

最後までシリアスになりきれない、イエット共和国編クライマックス

雑誌掲載分5編のうち4編が続き物という、実質長編スタイルのイエット共和国「崩壊編」がめちゃくちゃ面白かった。いつになくシリアスな雰囲気で始まり、ライナもフェリスも苦戦するような敵が現れ、イエットどころか世界の危機が示唆されていく……という緊迫した展開からフューレル姉弟やシルが登場したあたりで風向きがおかしくなってきて、世界の危機に反してなぜかどんどん下がっていくシリアス度……という展開が最高に頭おかしかった。目前に世界の危機があるのに誰もライナの言うこと聞かないし、話の腰折るし、説明しても脳に届かないし……で、戦いが始まる前から全力で疲弊してるライナさんほんと強く生きて欲しい。そして最後にほとんど何もしてないのにしっかり美味しいところをかっさらっていくヴォイスくんに笑った。

それにしても本編を読んでいたのでふたりが何らかの事情でローランドに帰還することは知ってましたが、イエット共和国とライナ・フェリスの相性が良すぎて一向に出ていく気配なかったし遺跡の調査もまともにしてなかったし彼らどうやってこの国の外に出るんだろうな?と思っていたらまさか国の方を崩壊させて強引に帰還させるとは思いもしなかったですその発想はなかった。天才かな??

小悪魔美少女に成長したピアが可愛すぎる

書き下ろしの過去編「天才の限界」は2巻に収録された短編と同じ時間軸、『隠成師』の少年ゾーラがローランド帝国からの指示で中央大陸に居る『忌破り』の少年少女を暗殺しに行く、というお話。忌破りの少年少女、というかジュルメ訓練所でライナの同期だったふたり・ペリアとピアなわけですが、二人を殺しに来たはずのゾーラが軽くあしらわれて追い返されてしまう姿が爽快だし、ワガママな少女としての一面は以前よりおとなしめになって小悪魔系美少女になったピアに手のひらの上で踊らされてしっかり惚れさせられて帰ってきちゃうゾーラの姿にニヤニヤが止まらない。

国に都合の良い暗殺者になるために自尊心を歪まされたゾーラが、報われない恋に身を焦がしてすっかり改心してしまうのめちゃくちゃ微笑ましくて楽しいお話だった。最後がいい感じに死亡フラグっぽいんですけどあとがきで「ドラマガ短編でも出る」っていわれてるってことはまあ死なないだろうし、次巻書き下ろしのライナとの絡みが普通に楽しみだな。

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とりあえず伝説の勇者の伝説6 死力のダンスパーティ

 

超無気力人間ライナと超絶美形だんご剣士フェリスの「勇者の遺物」探索の旅は、あいかわらず辺境の異様な国イエットでストップしたまま。そこにシルという迷惑野郎までやってきて、ライナの安眠をおびやかす──。

槍(ブタのぬいぐるみらしき何かにフォークとナイフを刺した物体の事を刺す)が動き出して勝手に修行したり、伝説の勇者の遺物らしき何かを追いかけたり、ライナが下着泥棒の濡れ衣を被せられたり…「伝説の勇者の伝説」シリーズの幕間のエピソード+書き下ろしの番外編を収録した短編集第6巻。

ライナ→フェリスの名称不明のクソデカ感情、良いよね……。

ともかく一番最初の「ブーちゃんず・とらいある」がカオスすぎてともかくカオスだったということしか突っ込めない。ブーちゃんというのはブタのぬいぐるみらしき形状のものにフォークとナイフが刺さった槍です。今回の話では喋るし動くし目からビーム出るし主人から離れて勝手に修行します。何をいっているかわからねえとおもうが俺も略。

今巻は割と与太話から勇者の遺物もどきや何らかの魔術遺産的な物体につながっていく話が多くて、これまでのイエット共和国でのエピソードの中だと一番くらいにライナとフェリスが仕事しているのでは?なんですけど、入り口が割としょうもないところからなのでどうしてもシリアスになりきれない感じが相変わらず楽しい。全然関係ないんですけど、何故か占いアプリに偽装した会員制の出会い系アプリみたいなクリスタルがイエット共和国中に出回る「でぃてくてぃんぐ・くりすたる」のクリスタルで昔流行った通信機能付き占いゲーム付き電子手帳を連想して懐かしくなりました。年齢がバレる話をするのはよせ。

これまで以上にカオスな短編が多い中、「ぐれいてすと・まじしゃん」がめちゃくちゃ面白かったです。手品師の行う手品を“魔法”だと勘違いするフェリスに魔法と手品の違いを説明しようとするライナだが、何かフェリスのやりとりに違和感を感じて……というところから、気がつけば「勇者の遺物」と思しきアイテムを巡るシリアス展開につながっていくんですけど、傷ついたフェリスの姿を見た時のライナの豹変ぶりがめちゃくちゃ好き。普段はフェリスが強すぎてなかなか出てこないんだけど、時折ライナが見せる、フェリスが傷つくことへの過剰反応から溢れ出る「化物である自分と対等な存在になりうる強者」への執着というか、愛とも恋とも友情とも違いそうなクソデカ感情の気配というか……。

書き下ろしの破壊力が高すぎる

今回の書き下ろし「禁断の書」は久しぶりに現在軸の話。ローランドにいるシオンの元に『真実の勇者の伝説』というタイトルの呪われた本が送られてきて……という、導入だけはめちゃくちゃシリアスなんですが実はフェリスとライナが自分たちの書いた本をシオンに出版させて印税を得ようと送りつけてきていた、というお話。本の内容がもう、物語とは名ばかりの「童話を作る」というお題でフェリスとライナが夫婦漫才してるだけみたいなナニカで、ローランドで地獄のブラック労働に身をやつしながらライナの見せた理想と血なまぐさい現実の間で葛藤している時期のシオンにこれを送りつけてくるのマジでふたりの心が強すぎて震えるしシオンはもっと怒った方が良い。いつも通り我道を突き進むフェリス(主人公)とその主人公にいいように弄ばれるライナ(多分ヒロイン。全裸)の掛け合いが面白すぎて腹筋が辛かった。もうこういう、作中で素人がトンチンカンなリレー小説するだけみたいな話好きすぎる!!!!

一方、その原稿を受け取ったシオンも泣き寝入りするはずがなく……なぜか本当に二人の名前で出版された本がイエット共和国に届くほどの大ブームになってしまう。困惑する二人がふたりがその本を開くとそこにはとんでもない内容が…!?という展開で二重三重に畳み掛けてくるの本当に笑いすぎて過呼吸になるのでやめてほしい(もっとやってください)。フェリスパートもライナパートも基本の流れが完全に一致してる所とか微妙な投げやり感を感じてポイント高いですし、絵本の内容、その後の展開を(アニメで)知ってるとライナの方とか素直に笑ってよいのか不安になるんですがこれ大丈夫ですよね!?本当に最初から最後まで(腹筋の)破壊力が高くて凄かったです。

次巻はいよいよイエット共和国編の終盤戦とのことで、あとがきによるとイエット共和国だけどちょっぴりシリアスな展開もあるよとのこ…………シリアス????(困惑)

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とりあえず伝説の勇者の伝説5 魅力のオーバーヒート

 

万年無気力男ライナとだんごのことしか頭にないフェリスは「勇者の遺物」探索という使命を帯びイエット共和国に入る。だが、美人コンテストにでたり、薬草を探しにいったりで、本来の目的はどこえやら――。

化粧品会社で開催されている今季のテーマカラーを決めるための発表会、ピンク担当のモデルとしてフェリスが選ばれた。気のないフェリスをだんごで説得し、その敏腕マネージャー(?)として発表会の場に同行するライナだが、ライバルとして現れたのは見知った面々で……!?「伝説の勇者の伝説」シリーズの幕間のエピソード+書き下ろしの過去編を収録した番外編短編集第5巻。

ピンク×フェリス

フェリスが化粧品発表会のモデルに採用される「すぷりんぐ・びゅーてぃ」、ライナの行動及びその後の言い訳が一見完全にハーレムラブコメの主人公みたいなことになってて笑ってしまった。いやラブコメ……間違ってはいな……いないのか……?もうこの3人が揃った時点で誰に投票しようがしまいが結末は変わらなかった気がするんですけど!いつもと違う女性らしい格好をライナに見られて微妙に照れてるフェリスさん可愛い。

今回何故かフェリスにピンクの女性らしい服を着せる短編が2つも入っているんですけど、もう1つの方のフェリスが推しの団子屋を倒産の危機から救うためにちょいエロ制服で団子屋の看板娘をする「ぷりんせす・DANGO」の方は、もう可愛いというかカラー口絵で見ると完全にいかがわしい店の人なのでヤバいし、見知らぬ男にそんな服を着せられても大人しく従ってしまうフェリスさんマジチョロい(※だんごに対して)。ライナに看板娘の格好を見られてて恥ずかしさのあまり逆ギレしてるけど、化粧品発表会の衣装でも照れてたフェリスさんなんだからそりゃああんな格好見られたらキレる。

お話自体はちょっとホロリとする、良いお話でした。いつもの通り脅されたからとはいえ、毎日400食分のそれなりに美味しいだんごつくってくれるライナは良い旦那ですね…(※結婚してない)

ますたー・おぶ・すぴあ」「すぴあらあ・すとらいくす・ばっく」ではフェリス家をライバル視する槍術の使い手・シルが登場。槍をナイフで破壊された彼がフォーク・ナイフを槍と言い張ってリベンジしにくる……のは百歩譲ってわからなくもないような気がしなくも無いとして、何故ブタの人形!?イエット共和国とローランド帝国の間をどうやって短時間で往復してるのかが気になりすぎるけどまあギャグ短編だし、普通に山経由で走って移動してるとかなんだろうなあ……。というか、そういえば本編にも居たわこの人……めちゃくちゃシリアスなシーンで出てきたからシオンの名前を出てくるまで気づかなかった……。

シオン視点から語られるライナとの出会い

書き下ろしの過去編「最良の選択」は、シオンの視点から描かれるライナとの出会い、当初彼の描いていた輝かしい未来とその挫折、その後に至る長い後悔と葛藤、そして決断を描くお話。この話、シオンの視点なのにシオンのこと何もわからないしシオンの視点だからライナの考えてることもまったくわからなくてすごい……二人がお互いに巨大感情持ってそうな雰囲気を感じるような気がする(あいまい)ってことくらいしかわからない。

もともと伝勇伝本編がシオンとライナのW視点の物語であるんですが、このお話は本編だとライナの視点から描かれていた部分をシオンの視点から描きなおしていて……授業中に声を掛けてきたのがライナとの初めての出会いではなかったということとか、シオンが様々な打算や思惑で彼に声を掛けたことなんかが語られます。ライナ視点だと余裕たっぷりに声を掛けてきたように思えるシオンが案外ライナの気のない返事にヤキモキしてる姿は予想外でニヤニヤするんですが……なんかもうこれ、逆に二人の感情がわからなくなるように描いてるよなあ。これまでの本編・短編のライナを知った上で読むと「俺のことを知ってて欲しいって?」というライナの台詞はものすごく意味深に聞こえますし、それに対する「僕が欲しがってやらなきゃ〜」というシオンの言葉に対するライナの反応がぼやかされてるのとか逆に謎が深まる感じ。本編1巻のライナの視点では描かれず、シオンの視点からは敢えて語られないこの部分、どういう意味なのか考えれば考えるほどぐるぐるしてしまい……。その後の図書室でのシーンも果たしてライナがシオンの手を取ったのか、動くの面倒だからこっちに来いという言葉でシオンがライナの手を取らされてるのか。

それにしても前巻でなんとかいい話っぽくまとまったジュルメ教室での出来事からその後の三○七号特殊施設でライナに何があったのか気になりすぎると言うか、この辺もそろそろ詳細が語られそうな気がするんですけど、ほんと前巻であんなにきれいにまとまったあの話のその後がシオンが集めた書類の情報として淡々と台無しにされるのキツイですね!

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悪役令嬢の中の人

 

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したエミは、ヒロインの《星の乙女》に陥れられ、婚約破棄と同時に《星の乙女》の命を狙ったと断罪された。婚約者とも幼馴染みとも義弟とも信頼関係を築けたと思っていたのに……。ショックでエミは意識を失い、代わりに中からずっとエミを見守っていた本来の悪役令嬢レミリアが目覚める。わたくしはお前達を許さない。レミリアはエミを貶めた者達への復讐を誓い――!? 苛烈で華麗な悪役令嬢の復讐劇開幕!!

Twitterで流れてきたコミカライズの1話目の続きが気になりすぎてなろうを探し、そのまま書籍版も手に取りました。乙女ゲームの悪役令嬢に転生・憑依し、持ち前の人の良さと暖かい心で破滅ルートを回避しようとしていたのにもかかわらず何故か婚約破棄言い渡されてしまったヒロイン・エミに変わって再び身体の支配権を取り戻した悪役令嬢レミリア。エミの暖かい心に触れて彼女に想いを寄せるようになっていたレミリアは、追放された先でエミの望んだ平和な未来を目指すために動き出し、その一方でエミに害をなしたゲームヒロインや攻略対象達に復讐しようとする……というお話。

愛を知って最強になった悪役令嬢(中の人)による復讐劇

愛を知らなかったばかりに破滅するはずだった悪役令嬢が運命共同体となった転生ヒロインによって愛を知り、改心する……のではなく、悪を知らずに破滅するはずだった悪役令嬢が愛を知ってもっと狡猾で完璧な悪女になる、というのがとても良かった!身体の支配権を取り戻しても「エミの理想の《レミリア》」を完璧に演じきる彼女は外面は文句なしの善人で、数々の正義を為し、善行を重ね、世界を救っていく。その反面、周囲には一切悟らせない、自らの手は汚さないままに周囲の人間を動かすことでエミを追い詰めた人間たちを陥れていく。完璧な形で復讐を成し遂げた彼女がエミへの深い執着を覗かせるラストがたまりませんでした。自分の中で眠りにつくエミと対話する=身体を与えるために嬉々として非道な人体実験を繰り返していくその姿、そしてエミが肉体を得た後の猫かわいがりっぷりというか本来なら叶えられないようなエミの悩みが 何 故 か 次々と解決していくこの展開……や、ヤンデレじゃないですかやだ〜〜!!!(※褒めてる)

本性バレ・逆ざまぁ的な展開があるのでは…とビクビクしていたのですが、あとがき読んだら「本性がバレることは一生ありません」と書いてあるので安心。

乙女ゲーム転生というより転生要素のある「憑依」モノ

転生令嬢の物語でありながら、彼女達が憑依したキャラクターの中に肉体の主導権を奪われた「中の人」の意識が残留している……という設定と、その設定を生かした上で全員に焦点を宛てていくという、いわゆる「憑依モノ」的な展開が面白かった。エミとレミリアの関係は本編でも語られますが、後日談として語られるゲームヒロイン側であるピナと転生者であるリィナの関係がしんどいというか……元々乙女ゲームヒロインになるまでのピナの半生が過酷なだけに、どうしてこんな仕打ちを受けなければならなかったのか……という気持ちになってしまう。霊魂となった彼女がレミリアに救われるところは感動的なんですが、レミリアはレミリアでめちゃくちゃどす黒い思惑があって……いやでもまあそのどす黒いあたりはピナ本人には永遠に伝わらなかったわけだし……Win-Winだと思えば彼女に救われてから先は悪い人生ではなかったのかな。

ベースとなる世界観は乙女ゲーム……というか乙女系ソーシャルゲームという設定なのですが、ゲーム内では絶対的な効果を発揮するはずの「課金アイテム」が現実であるこの世界ではどういう扱いになっているかも面白かったです。ライバルであるゲームヒロインのピナ(リィナ)は課金アイテムを使うことでエミの築いた攻略対象達との絆を奪い去っていくんだけど、実は彼らもゲームヒロイン自身の事を好きになっているのではなく、エミへの愛情を歪まされてゲームヒロインに傅いていくことでわざとエミを傷つけ、その姿に愉悦を感じるようになっていく……という関係性があまりにも虚無だし、どす黒い。これ多分リィナの視点から見たら薬の力で調教され、身体だけじゃなく心まで屈服していく攻略対象達みたいな……○辱系エロゲー路線な感じで映ってたんだろうなあ……。

ゲームでは雑に利用できた好感度アップアイテムが現実だと個人の好みとか使用する状況とか相手との関係性によってちゃんと力を発揮しないというのも洗脳アイテムで心までは奪えない事も冷静に考えてみりゃ当たり前なんですけど、既に「現実」となったこの世界を最後まで「ゲーム」としか認識できなかったリィナが滑稽で哀れ。ゲーム内では通用した「金に明かした廃課金プレイ」では何も得ることが出来ず、結局エミのように地道な努力を重ねていくしかないという展開には考えさせられるものがありました。いやでもソシャゲ運営側としては課金プレイヤーがいないと採算が取れないみたいな部分もあるはずなので……まあリィナは相当痛いファンだったみたいだからどう思われてたかはわからんが!!

一貫して誰からも愛されなかったリィナが少しずつ全てを奪われて失意のままにレミリアの手の中の生き地獄に堕ちていく展開はゲームでのレミリアの末路を擬えているようで、なんともいえない気持ちになる。これだけ肉体関係を駆使して周囲を籠絡したりもしてるみたいなのに、攻略対象の誰とも肉体関係はなかったみたいだしな。これ、エミが知っていたらそれこそ感情移入してしまったのかもしれない……まあエミは何も知らないままだったんだけど……。

なろう版も併せて読みたい

「小説家になろう」版では尺の都合で削られたと思しき王子以外の攻略対象視点の話やレミリアの侍女・スフィア視点での番外編なども掲載されているので、本編が面白かったという人はこちらも合わせて読むのをオススメしたいです。というか攻略対象視点の話はページ数増やしてもいいから全部入れてほしかった。書籍版でもざっくり経緯は語られるのですが、全員が完膚なきまでにピナ(リィナ)に気がなかったことがわかってなんとも言えない気持ちになるので。あと、レミリアの実験台にされた人たちの話とリィナ視点の番外編の胸糞悪さが最高。
R15 残酷な描写あり ガールズラブ 乙女ゲーム 悪役令嬢 ざまぁ ヤンデレ 主人公にとっては ハッピーエンド

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とりあえず伝説の勇者の伝説4 魔力のバーゲンセール

 

無節操脱力系ファンタジー第四弾!
伝説の勇者の遺物を探すという使命はどこへやら、グータラな日々をおくるライナとフェリスの前に本当の勇者が現れる?絶好調短編集の第四弾!

イエット共和国で引き続き勇者の遺物の探索を続ける……とは名ばかりに割と楽しく(?)日々を送るライナとフェリス。そんな彼らの前に“勇者”本人の噂が舞い込んできて…「伝説の勇者の伝説」シリーズの幕間のエピソード+書き下ろしの過去編を収録した番外編短編集第4巻。

ライナ、働く(働けてない)

いろいろな意味で怠惰が服を着たような男・ライナがフェリスに食費を絞られて空腹のあまり泣く泣くレストランでアルバイトする「わーきんぐ・ぶるーす」が色々と凄い。でも予想通り働けてなかった。面倒くさくて動かないところまでは割と予想できる感じなんですけど厨房担当に回された時のメシマズの理由が「動きたくないから遠くにある食材を使わない/動いて取れる距離の食材で済ませる」であまりにも斬新すぎる…レシピ通りに作らなくてマズい、は定番ですけど流石にその理由は予想できなかった。いやでもさすがにこれはさすがに虐待では……フェリスちゃんとライナに餌あげて!(ライナは犬ではない)

あと、エステラからの依頼でフューレル姉弟の祖b……伝説の魔獣を倒しに行く「がーでぃあん・モンスター」がめちゃくちゃ好き!!こういう人間なのに人間の範疇を超えてる謎の超人が出てくる短編めちゃくちゃ好きで!その伝説のまじゅ……お婆ちゃんが姉弟に対して行った意趣返しがまた絶妙で、二人の反応にもニヤニヤしてしまった。それにしてもヴォイスきゅん無敵の人か?

過去編思ったより酷くなくて良かった

書き下ろしの過去編「ジュルメ、最後の授業」は前巻の過去話の1年後、互いに切磋琢磨しながらも気心の知れた間柄になっていった天才児3人だが、訓練所の卒業試験はお互いを殺しあわせて最後の1人のみが卒業できるという残酷なものだった。師匠であるジュルメは彼らを逃がそうと独り奔走して……というお話。

2巻の過去編があんなだったしタイトルが「最後の授業」だしでもう重たい想像しかできなかったのですが思ったよりも救いのあるお話で良かった。いや、もうタイトルでビビりまくってるところに短編の方で勇者の遺産によってライナのトラウマが掘り起こされる「ぷりしえんと・ますく」とかありましたし。いやでも何回も絶望的な未来を想像させるようなひっかけがあって生きた心地がしなかったし、感情のジェットコースターが凄い。結局ライナがローランド帝国から逃げられるわけではないんだけど、まあアレやらコレやらの展開にならなかったのは本当に良かったよね…。

厳しいけれど愛情を持ってライナ達に接するジュルメ、昼行灯に徹して革命の時機を待つラッヘル・ミラーという元同期の二人の関係性も良かったです。というかミラー確か現在軸だと結婚してましたよね。ね!!!(思わずWikipediaに調べに行った顔)

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とりあえず伝説の勇者の伝説3 暴力のファーストコンタクト

 

なげやり感覚の脱力系ファンタジー
「勇者の遺物」を求め、遙か辺境の国イエットへとやってきた無気力一代男ライナとだんご至上主義者の美女剣士フェリス。異常が日常となっているこの国になんとなくなじんでしまった彼らは今日もグータラ生きてます。

命からがらイエット共和国にやってきたライナとフェリス(と割と普通に別の船で入国してきたミルクと愉快な仲間たち)。早速「勇者の遺物」の調査を開始しようとするが、イエットは強くなければ生きていけない、弱肉強食の世界だった。「伝説の勇者の伝説」シリーズの幕間のエピソード+書き下ろしの過去編を収録した番外編短編集第3巻。

こいつら、まるで仕事する気がない!

強盗のアジトになっている宿がフェリスやミルクの破壊行為によってめちゃくちゃにされる「でんじゃらす・ないと」から続く一連のイエット共和国編のインパクトが凄い。ミルクさんがいつのまにか、理由もなく威力の高い広範囲魔術で周囲に破壊を振りまく困った人になってる気がするんですが!?強くなければ生きていけない弱肉強食の世界・イエット共和国……裏を返すと強者には生きやすい世界ということで、ライナもフェリスもミルクも普通に順応してしまっているのが面白かった。あと、本編や前巻の過去編で描かれたローランドの所業が鬼畜すぎるので、イエット共和国の治安の悪さとか意地の悪さとか割と可愛く思えてしまうんですよね。もう3人ともイエットに移住して楽しく暮らしちゃいなよ(本編を全否定するな)。

それにしても、前巻からそういう兆候あったけど、ミルクはライナしか見てないし忌破り追撃隊の面々はミルクのことしか見てないしフェリスはだんごしか見てないし……で、本当で誰も仕事する気がなくなってきた気が。ここまでくるとライナが一番仕事する気ある。互いの欲望のために暴走する女性陣に振り回されてて気がついたら一番真面目に仕事してるライナは強く生きてほしい(なお仕事をする気があっても仕事ができてるとは言ってない)

いろいろな意味でこれまでの巻と比べても暴走ぶりが激しく楽しい巻でしたが、個人的には路地裏に捨てられた猫を定点から観測する「すとれい・きゃっと」が特に好き。オチはまあいつも通りの女性陣のド付き合いなんだけど、捨て猫を前にさりげなく乙女チックな未来の夢を語って赤くなるフェリスさんが可愛かった。だんごの味の違いが解る旦那ってもしかして……短編のフェリス、ややラブコメ寄せの波動を感じて可愛いですよね。それにしてもこれだけたくさんの人に声をかけられてるのに結局ライナ以外の誰もちゃんとした餌のくれないの、猫も強く生きてほしいという気持ちでいっぱいになりました。

明るく楽しいけど(?)不穏なフラグが見え隠れする過去編

書き下ろしの「天才は眠れない」はローランド帝国軍に連れてこられたばかりのライナが、同年代の「天才」と呼ばれる少年少女と共にジュルメ・クレイスロール訓練施設で地獄の特訓を受ける話。訓練を受ければ受けるほど自由時間(というか睡眠時間)が削られていって、異常なまでに睡眠への執着を募らせていくライナの姿が印象的と言うか本編でも番外編でもライナが常日頃「寝たい」ばっかり言ってるのこういう理由か〜〜〜!!!いともたやすく行われるえげつない睡眠時間削減の数々に笑ってしまったけど実際にやられる方はたまったもんじゃないですよね。この掌編のライナって一体何徹状態なんだ。

地獄のような特訓の日々を共に過ごすのは訓練所の師匠であるジュルメと、『先天性魔導異常』で能力は高いがプライドが高くワガママな少女ピア、ローランド帝国の実験体として身体能力を代償に『全結界』という力を手に入れた少年ペリア。3人とも特殊な経歴を持つこともあってかライナの『複写眼』にも物怖じせず、むしろ当時のライナには到底届かないような高みから見下ろしてくる。師匠であるジュルメから無茶苦茶な特訓・課題を与えられ、戦闘や魔術の技術を吸収して、(睡眠時間を得るために)時折模擬戦という形でライバルたちと切磋琢磨するという日々はやってることはしんどくてもどこか楽しそう。ライナの心に芽生え始めていた「自分が異常な力を持つ“怪物”だ」という薄暗い認識もなりを潜めていって……お互いに遠慮しない関係になっていくのに胸が熱くなりました。

前巻の重苦しい雰囲気とは違ってかなり明るくて楽しいお話だっただけに、ラストのくだりがもう不穏すぎてもう……そしてそこから短編4巻の書き下ろし章題の不穏な文字列がもう……。

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とりあえず伝説の勇者の伝説2 無気力のクロスカウンター

 

やる気度マイナス100%(前巻比)
超ど級無気力人間ライナと絶世の美女にしてだんご命の剣士フェリス。「勇者の遺物」を見つけだすという当初の目的はどうなってしまったのか?短編5本に書き下ろし中編を加えた脱力系ファンタジー短編集第二弾。

ルーナ帝国での様々なトラブルを乗り越え(半分くらい自業自得だった気がしなくもない)、隣国イエット共和国に向かうライナとフェリス。山に囲まれているおかげで他国との交流が少ないこの国に向かうためにはとある問題があって……「伝説の勇者の伝説」シリーズの幕間のエピソード+書き下ろしの過去編を収録した番外編短編集第2巻。

チキチキ☆国境突破チャレンジ!!!

ルーナ帝国からイエッタ共和国に向かうためにライナとフェリスが登山に挑む「くらいまー・くらいまー」と登山を断念した二人が一転海路でイエット共和国を目指す「ぱいれーつ・あたっく」のノリがめちゃくちゃに好きだな……いつものフェリスとミルクのどつき合いに、短編のオリジナルキャラ(になるのかな?)のエステラを含めた掛け合いがとても楽しい。っていうか書き下ろしを除くと2巻のラスト、海中で遭難したまま終わったんですがいいんですか!?

あと、ルーナ帝国編は兵士として働いている女性が殆どないせいでフェリスが男性だと間違えられるネタが多くて男女逆転ぶりが楽しいなあとおもっていたら初っ端の「くえすと・いん・ざ・ぱーく」で遂にライナが女装してしまった。挿絵だと背中側しか描かれてないんですけどもう見るからに似合ってない女装なんですよね!!最高だな!!!

現在を知っていると最初から最後までしんどい過去編

書き下ろしの中編「暗殺者の見る夢は……」はローランド帝国軍に暗殺者として使われていた少女・ビオが最後の仕事と言われてライナを殺しに行く話。もう流れからして完全に殺す気で送り込んでますよねとか現在の伝勇伝の物語を知っている限り絶対にこの二人が幸せになれるわけないよねとか色々察してしまえてしかも概ねその通りなのがなかなかしんどいものがある。ずっと人を殺して生きてきたビオが、生まれてはじめて自分に優しくしてくれたライナと共に生きる未来を、叶わない未来を見てしまうのはほんとうにしんどいし、ローランドの軍部がライナにやろうとしてるのいつかの原作でアルアにやられた拷問に近いのがまたこれまでライナが何をやられてきたのか想像できてしまってきついし、彼女の今際の際の行動によって暴走はできないライナ(これもういっそ暴走してしまったほうが楽になれたのでは…という気持ちになってしまうけど、そしたらそれはそれでライナは一生後悔し続けるんだろうしなあ…)がますますしんどい。

もうぜったいこういう終わりになるのは見えてるっていう話なんだけど、覚悟をしてたよりも遥かにやるせない気持ちになるお話でした。それにしてもほんとうにさすが(シオンが革命する前の)ローランド汚い本当に汚い。

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とりあえず伝説の勇者の伝説1 脱力のヒロイック・サーガ

 

やる気がなくなる脱力系ファンタジー
究極の無気力人間ライナと超絶美形の女剣士フェリス。王の命令で伝説の「勇者の遺物」を探す旅に出ることになった二人は、行く先々で無差別破壊を繰り返す。大好評脱力系ファンタジー!

本編6巻を読んだら明確にこれ本編で語られてないエピソードが間に入ってるよね!?という感じだったので取り急ぎ手つかずだった一旦短編集の方に戻ってきました(6巻の感想は大したこと書けなさそうなので7巻と一緒にやります)。「伝説の勇者の伝説」シリーズの幕間のエピソードを描く短編集です。

本編の別視点や幕間を描く短編集

というか初っ端の「すたーてぃんぐ・れじぇんど」がまず原作3巻のミルクとライナの初邂逅(というか再会)のエピソードになってるんですけど、全く同じことやりながら微妙に視点が違っていて…なんだこれすごいな……。本編の方はミルクの心情が割と多めに入っていてライナに対する執着とかライナの態度に対する戸惑いとかが入っていてややシリアス調、その一方外伝の方はミルク視点は割とバッサリ切り落とされていてコミカル調になっているというか……同じエピソードがなんだかんだと微妙に別の話になってるの凄いな……。本編3巻とこの本のあとがきで「かなり面倒くさいことやってる」って書いてあるけど本当にこれは面倒くさいことをやってるなと思う。

同じく本編3巻クライマックス目前くらいのエピソードを描く書き下ろし「都会は危険がいっぱい」は、エピソード自体は本編とは関係ないのですが3巻を読了済みだと例の遺物で竜が生えちゃった村に他の村の経済が脅かされるくらい観光客が集まってたって話めちゃくちゃ背筋が寒くなりました。いやだってあの村ってさあこのあと……(ネタバレ)

書き下ろし、お話自体はいろいろな意味で強キャラすぎる女性達に振り回されて都会恐怖症になる誘拐犯達の迷走ぶりと、その迷走の結果何故か囚われのヒロイン(笑)と化すライナとそんなライナにわかりづらいデレが炸裂するフェリスが可愛すぎてニヤニヤしてしまうお話でした。いやほんとフェリスのデレはわかりづらすぎて可愛いな……。

ミルク→ライナ・フェリスの追いかけっこが楽しい!

ミルクとの出会い(ミルクにとっては再会)以来、どこにいっても神出鬼没に現れてはライナ達にちょっかいかけてくるミルクと愉快な仲間たちの暴れっぷりにによによしてしまう。「えきさいてぃんぐ・ちぇいさー」で敵のはずのネルファの兵士達と意気投合して後方父親目線になってる忌破り追撃部隊の面々が微笑ましすぎるんですけど、「都会は危険がいっぱい」で行きずりの民間人にまで可愛がられてるミルクさんのカリスマ性、もうカリスマってレベルじゃなくない?異能かなにかでは??

一方のフェリスの方も、前述の書き下ろし短編のエピソードといい本編よりもラブコメみたいな展開が多くて楽しかったです。ライナと何故かBLカップルに間違われてカップリングにされそうになる「えきせんとりっく・かっぷる」の挿絵の二人の表情めっちゃ好きだな…………普通に読んでてライフェリ可愛いな〜って思う反面、この挿絵見てどうしようもなく「ライナは受けだよねわかるぅ〜〜」ってなってしまったので駄目だ……。

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「このラノ2022」感想と自分の投票の話

『このライトノベルがすごい!』編集部(編集) 「このライトノベルがすごい! 2022」
『このライトノベルがすごい!』編集部(編集) (著)
宝島社
発行:2021-11-25T00:00:01Z

多分5年ぶりくらいで「このラノ」アンケートに参加したのでざっくり本の感想と自分が投票した作品の話をします。昔は協力者でしたが今はそんなに読めてないのでWebアンケート経由でした。

いろんな切り口のランキングがあって面白かった

去年買ったときもつぶやいた気がするんですけど「年代別ランキング」と「女性票ランキング」いいよね〜!!少女向け作品はこの手のランキングでどうしても弱くなりがちなので女性票ランキングでランキング圏外作品が入ってるのみると嬉しくなってしまいます。女性主人公モノが強い中、「よう実」と「86」が比較的上位に入ってるのもわかるー。

総合ランキングのラインナップについては特に言うことないんですが、「春夏秋冬代行者」の冬主従が男男だと知って読みたくなりました。「佐々木とピーちゃん」は実は詰んでるので読みたい。あとキャラクターランキングはTOP5の代わり映えしなさがちょっと面白いですね……。

概ね私が参加した頃よりも紙面充実してる〜!!いいね〜!!って感想なんですけど、電書で読むと文字が小さすぎるのと「心が震えた名セリフ」のコーナーが消えてしまったのは残念でならないです。心が震えた名セリフのコーナー復活させてくれ。いやでもランキングと関係ないし紙面作る人の労力凄そうってのもわかる……。あと電書といえば、「このラノ2020」がおおむね2010年代ベスト的な内容で紙面としてめちゃくちゃ面白かったので後追いで電書化してくれないかなーって思ってる。

「人の推しコメントを見たい」欲が満たされた

わたし概ね「このラノ」についてはランキングじゃなくて自分の好きな作品の良質な推しコメントを摂取するために買ってるのですけど(人が好きな作品について語っているのを見るのは健康に良いので)、ここ数年のこのラノはコメント部分がめちゃくちゃ強化されていたのでそうだよ!これが読みたかったんだよ!!ってなりました。作品部門は文庫・新書部門合わせて30位まで載ってるし新作やキャラクター部門のコメント採用も拡張されてるし、ランキングとは関係ない後半の「ライトノベルジャンル別ガイド」の方にもしぶとくコメントが載ってる。印象的だったコメントのピックアップもある。推しコメント見たくて本買ってる身としてはこんなに嬉しいことはないですね。

投票する側としてもあまりマイナーな作品や少女レーベルの作品に投票しても死票が増えるだけで面白くないのである程度界隈で人気のある傾向の作品にハマれてない時期は投票へのモチベ下がってたみたいな部分があったんですが、こういう形でコメント採用されるとなるとランキング圏外確定な作品にも入れやすくなって良いなあと思いました。いやだって、コメント考える労力もタダじゃないじゃん……。

あと、協力者の投票については別個誰が何に投票したか、投票した人の所感が書かれているの凄く良かったです。実は2010年〜2014年の5年間「このラノ」の協力者として参加させていただいていたのですが、協力者の票って割と死票率高かったと記憶しているので……まああの頃はブログ文化が今よりも活発だったのでブログや当時の「好きラノ」が代わりを果たしていた気がしなくもないですが。

なお、たいへんな余談ですが「人様の推しコメントを摂取したい」という気持ちが昂じてラノベの推し作品を推してもらう企画本を3冊ほど出してます。3冊目は全文WEBから読めますので興味のあるかたはぜひどうぞ。こちらから読めます。以上宣伝でした!!!

これに投票しました

「声優ラジオのウラオモテ」だけコメント採用していただいてたので省いてます。声優ラジオ、コメントの採用があそこだけ全員30代以上なの地味に面白かったんですが読者の年齢層高めだったのか?いやフォローしてる20代の人も推してたからそんなことないはず……(震え声)

作品部門

1:紫大悟「魔王2099」→感想
サイバーパンクとファンタジーが融合した世界観に加えて、デジタル技術の恩恵を受けられない魔王が「動画配信」で力を取り戻す、という展開が面白かった。時代に忘れられた者同士である魔王と勇者の不倶戴天の敵同士でありながら背中を預けられる存在、という関係性も良い。
2:羊太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」→感想
短編を含め20巻の大台を突破した本作だが、衰えないどころかクライマックスに向けて加速していくばかりの面白さは随一。キャラクターたちの謎も次々と明かされ、この後に待ち受けているであろう最終決戦に向けて期待が高まるばかり。
3:衣笠彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編」→感想
学校全体で争われる特別試験で、3学年分のキャラクターたちの攻防を余すことなく描ききる展開がとにかく凄かった。ホワイトルーム生との水面下の戦い、綾小路を巡るラブコメ戦線もますます盛り上がってきており、更に波乱の予感しか感じさせない二学期に期待しかない。
4:石川博品「ボクは再生数、ボクは死」→感想
現実はでないVR空間上だからこそのインモラルな展開が最高に面白かった。どこまでも「命の軽い」軽薄な世界観と、それでいて物悲しくてロマンチックなラストが良かったです。
5:二月公「声優ラジオのウラオモテ」→感想

女性キャラクター部門

◆イヴ=イグナイト(「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」)
「デキる女」としての一面とは対象的に、私生活ではポンコツ気味なところがたまらない。実は世話焼きで苦労性なところもかわいい。

◆軽井沢恵(「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編」)
彼女にはどんな形であれ幸せになってもらいたい。

◆堀北鈴音(「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編」)
軽井沢とは違う方向で綾小路の「相棒」として成長してきた彼女の姿が頼もしい。

男性キャラクター部門

◆綾小路清隆(「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編」)
冷徹無比な強キャラとしての一面とは別に、世間慣れしていない一面を時折覗かせるので目を離せなくなってしまう。特に軽井沢との「恋愛」が彼に何をもたらすのか、少し怖い反面楽しみで仕方がない。

◆グレン=レーダス(「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」)
普段のやる気のない言動とは裏腹に、誰よりも熱い心を持っているところ。システィーナやルミアなどヒロインたちの「ヒーロー」であると同時に、情に脆くて家族の情に厚い一面を覗かせる最近のセリカとの展開がとても良かった。

◆龍園翔(「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編」)
登場当初は暴力に頼るチンピラのような男だったのが、巻を重ねる毎に綾小路の好敵手として成長していく姿がたまらなくかっこいい。

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伝説の勇者の伝説5 出来心の後始末

 

言っとくがな俺の子じゃねーぞ!脱力系アンチ・ヒロイック・サーガ、第五弾!
フェリス・エリスは忙しかった。超絶変態色情狂の父親そっくりの少年を、せめて性格だけは、あの恐ろしい凶悪幼女誘拐変質男に似せないようにと、保護するのに。「だぁから俺の子供じゃないって言ってんだろうが!」と、必死の抗議をするライナ・リュートの声は、当然のごとく、まるっきり無視された……。とにもかくにも『複写眼』を持つ少年アルアをルーナ帝国軍から救い出したライナとフェリスは、依頼人であるアルアの幼なじみの少女が待つレジット村へと向かっていた。だが、そこでライナたちを待っていたのは……。なんとなく緊迫感が増しているような気がするアンチ・ヒロイック・サーガ、そういうわけで第五弾!

ルーナ王国で『複写眼』を持つ少年・アルアを助け出したライナとフェリス。ところが今度は彼の幼馴染の少女・ククが拘束されてしまう。一方、着々と領土を広げるガスターク帝国の存在を驚異に感じるシオンは、同盟国であるルーナ王国に腹心・フロワードを向かわせて……。

ガスタークの登場で物語が加速するシリーズ第5巻

消息不明だったキファの視点から彼女とガスタークの王・レファルの出会いが描かれて、物語が加速してきた感じ。シオンと同じく「誰もが笑って暮らせる世界」を目指しながらもシオンが通りたくない血塗られた道を真っ向から歩き、その一方で理想の実現のためには自分が傷つくことを厭わないレファルの姿が衝撃的でした。ていうか汚れきったローランドのシオン反対派貴族達の後ろにいたのがなんていうか、こんな理想に殉じることができる男だっていうのが皮肉すぎるというか……。

絶大なカリスマとそれを実現するだけの力を持つレファルを目の当たりにしながらも「世界よりもライナが大事」と言い切るキファの姿がかっこいい。本編第一巻で、そして今回の過去回想で、様々な人間たちの思惑に翻弄され葛藤し続けてきた彼女の姿を知っているだけに特に。

ライナとシオン、両者の視点から描かれる物語が(改めて)しんどい…

『複写眼』を持つ少年・アロアの処遇と幼馴染の少女ククの奪還を巡ってスイ・クゥの兄妹と再び対峙するライナとフェリス。ガスタークの間者であることを明かした二人からガスタークの王のことや彼の持つ理想を聞かされて、それでもシオンの事を信じる、帰る国はそこにある……というライナ、正直めちゃくちゃアツい展開なんですけど、このシリーズってライナとシオンのW視点から描かれていてシオンの王としての葛藤を散々目の当たりにしてきているので素直に燃えられないというか……ライナの信頼、重てえ〜〜〜〜!!!!!ってなってしまうのあまりにも原作の構成が巧妙すぎて頭を抱える。ていうかほんとライナは今すぐローランドに戻ってシオンを3発くらい殴ったほうが良い。今なら多分?ギリ…?まだ……?間に合う??から???!!

ほんとこの話、いやもういいからライナはシオンの傍に居て見張ってろよ!!!ってなるシーン多すぎるんですけどライナを諸国周遊させてるのもシオンだからどうにもならない。シオン→ライナへの巨大感情もなかなかだなと思ってたんですけどライナもなかなかどうしてシオンにクソデカ感情抱えてたんだな。無事にククを救出してフェリスとともに光の中にいるライナと、道に迷い心折れそうになりながらも暗闇の中で独り明かりを探してさまようシオン、対比するにしてもしんどすぎるししんどいにしても情景が美しすぎてキレてる。フェリスとの背中合わせの相棒関係はいよいよツーカー感が増してきてよかったです。良かったですけど!!!

なんか割とコミカルな序盤、いつもどおりに貴族きたねえ中盤からの、もう終盤で一気にしんどい話が詰め込まれて読み終わって発狂!!て感じに情緒の撹拌が凄い一冊でしたがそんな中でククを奪還するためにアルアに魔術を教えるライナのシーンが唯一の癒やし。『複写眼』を持つが故に天才肌というか常人には理解しがたい解説をするライナと、そのライナの言葉を同じ『複写眼』持ちのおかげで直感的に理解しちゃうアルアという、はたから見ると何もわからない授業シーンが微笑ましい。ライナ絶対教師向いてないタイプだよな〜!!!いやもっと時間があって普通のこどもに教えるんならもっとまともな授業するのかもしれないけども……。

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