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火目の巫女

[著]杉井 光  [絵]かわぎしけいたろう

"化生"と呼ばれる異形の怪物たちに脅かされ、"火目"と呼ばれる一人の巫女により護られる世界。化生に村を焼かれ、ただ一人生き残った少女・伊月はその才能を認められて火目候補"御明かし"として宮中に上がる事になる。2人の御明かし候補の少女達と共に切磋琢磨しながら絆を深めていくが…

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LNFminiでお話を聞いてから「これは読まなきゃ!」と思った杉井光のデビュー作。だって巫女さんで平安ファンタジーで欝展開で平安ファンタジーだよ?!大事な事なので2回言いました!

化生の襲撃によって母と生まれた村を喪い、化生を滅ぼすことに執念を燃やす伊月が盲目でミステリアスな少女・佳乃と天然で大きな才能を持つ常和や周囲の人々と触れ合ううちに成長していくお話……かとおもったら後半重もーーーー!!!欝展開という前評判は以前から聞いてましたが、ここまで重たいとは。いえ、こういう重さ大好物ですが。

だんだん佳乃や常和が抱える過去の"傷"が見えてきたり、「火目の巫女」という役割や"化生"の正体に対する疑念が見えてきたりして、少しずつ不穏な空気が漂い始めたところに、"火目"の代替わりがやってきて……そこからの展開はもう凄まじいの一言。帝の正体、"火目"や"化生"という存在の真実、そして佳乃と常和の想いなどが次々に明かされていき、一気に物語に引きずり込まれました。特に「火目の巫女」の真の役割が明かされたときは本当に呆然とするばかりで。慟哭する主人公の姿がただただ胸に痛かった。

キャラ的には重い過去と未来を背負う女の子3人も良いですが、やはり豊日最強ですね!!!LNFminiで"ロリババア"属性扱いされてたので全く期待してなかったのですが、ロリババアじゃなくてショタジジイじゃねえか萌え!!豊日×伊月を全力で応援したい私であります。

凄まじい欝展開といい爽やかなんだか後味悪さMAXなんだか判らないエピローグといい百合百合な展開といいショタジジイといい、とてつもなく人を選びそうな物語ではありますが、私としては文句なしに面白かったです。エピローグは……違うよな?そういう意味じゃないんだよな…?(「『佳乃の鳴箭?』」→「小さな影が二つ?」がどうしても、あの、アレな展開を連想してしまうのですが…違うよね、違うよね豊日ーー!←ネタバレ)しかし、1巻で綺麗に終わってる気がするんだけどここからどうやって続けるんだろう…。


余談ですが、読み終わってからふと思い出して↓のMAD見たら物凄い勢いで涙腺決壊した。うわああああ常和…!!!原作知らないで見たときは全くピンとこなかったけど、原作読んでから見ると神MADだこれ…鳥肌立ちまくりでした。

神様のメモ帳

[著]杉井 光  [絵]岸田 メル

「ただの探偵じゃない。ニート探偵だ。世界を検索し死者の言葉を見つけ出す」路地裏に吹き溜まるニートたちを統べる“ニート探偵”アリスはそう言った。高校一年の冬に僕と同級生の彩夏を巻き込んだ怪事件、都市を蝕む凶悪ドラッグ“エンジェル・フィックス”―すべての謎は、部屋にひきこもる少女探偵アリスの手によって解体されていく。「真実はきみの平穏を破壊する可能性がある。それでも知りたいかい?」僕の答えに、普段は不真面目なニートたちが事件解決へと動き出す!情けなくておかしくて、ほんの少し切ない青春を描くニートティーン・ストーリー。 (「BOOK」データベースより)

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ニート予備軍の主人公と、ニートな若者達、そして"ニート探偵"を自称する少女探偵・アリスが怪しげな麻薬転売組織に立ち向かうというミステリー。

「ばけらの!」「ピアノソナタ」しか杉井光作品を知らなかったので、青春全開でちょっといい話的なミステリーを想像してたら予想を遙かに超えて欝で病んでて重い展開の目白押しでびっくりしました。こう、なんというかアリスはミステリー部分担当で、メインとしてはやはり鳴海と彩夏の甘酸っぱくもどかしい恋模様を描くものだとばかり!!騙された?(いえ、こういうのも私大好きですけど!)

彩夏やニート達との交流によって少しずつ他人と触れ合う事を覚えていった鳴海。ところが彩夏が……となって、再び自分の殻に引きこもり、周囲の働きでなんとか立ち直って事件に立ち向かっていく…という展開が凄く良かったです。ラーメン屋の女主人の言葉を介さない励ましとか、クラスメイトたちのさりげない心遣いとかに、何度もホロリとさせられました。しかし、最初「前向きに立ち向かっていく」と書こうとしましたがちっとも前向きじゃないですよね。どちらかというと「なんとか持ち直して後ろ向いたまま全力ダッシュ」というのが正しいような。

ニートな仲間達のスペックが高すぎて「これ間違いなくNEETじゃねええーーー!」とか思っていたのですが、彼らがニートをやってる理由を聞いたらうっかり納得してしまった自分が居る。…うん、マジで「普通に仕事できる」って一種の才能だと思うんだ…私正直、一般職とか事務職で正社員でそれなりにちゃんと働けてる人、超尊敬します。私仕事中、ぶっちゃけ息抜きできないと生きていけない…。

しかしなんか、後半の超能力というか異能っぽい設定?はちょい唐突だったような…?アリスの正体といい謎のドラッグといい、何らかの不思議要素がありそうな伏線が張られている気がしますが、それなくても物語として成立したんじゃないかという気がしたり。それまでの人間描写みたいなのが気に入っていただけにちょっとラストだけ煙に巻かれてしまったような感覚がちょっとあって、そこが残念でした。

でも普通に面白かったので続きが楽しみです。

さよならピアノソナタ

[著]杉井 光  [絵]植田 亮

音楽を聴くことと機械弄りを趣味にする少年・ナオは「心からの願いの百貨店」と名付けた海辺のゴミ捨て場でピアノを弾いている少女と出会う。彼女はかつて天才ピアニストとして名を馳せた蛯沢真冬だった。彼女の演奏に心惹かれるナオだが、数日後転校してきた真冬は何故かナオが密かに使っていた空き教室でギターをかき鳴らし始めて…!?

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ついった界隈でオススメ攻撃を喰らったので手を出してみました、というかなんかオフ会行ったら実物が回ってきました。3巻が発売されてからのオススメ攻勢は異常だったと思うんだ…と呟いてみる。(発掘できただけでもこのへんとかこのへんとか)

自分で演奏はしないけど音楽を聴くことが大好きなナオが自分の放課後の平穏な音楽ライフ(笑)を取り戻すため、空き教室を占拠してしまった天才音楽少女(本職はピアノだけどギターも超絶上手い)・真冬に音楽勝負を挑もうとする……というお話。

本線であるナオと真冬のラブコメも素敵なのですが、個人的にはナオをたきつけて音楽の世界に引きずり込もうとする神楽坂先輩が最高!!ゴーインで姉御肌でかっこいい姉貴キャラはどの世界でも良いものですが、神楽坂先輩のオトコマエっぷりとかっこよさは半端じゃありません。そしてどんどん彼女の思惑通りに「音楽を演奏すること」にハマっていくナオの姿にニヤニヤが止まりませんでした。

神楽坂先輩や幼馴染の千晶と3人ではじめて曲を合わせた時、そして真冬と二人で曲を奏でた時に主人公が感じるワクワク感や一体感が凄く心地良い。"曲を奏でる"ということの楽しみがこちらにまで伝わってくるようなシーンで物凄くツボに来る。

後半には真冬がピアノを辞めた理由や彼女の持つハンデが明かされ、熱い展開になったりホロリと泣かされたり。王道な青春ラブコメ路線で始終胸がきゅんきゅんいいっぱなし。どこか独特な雰囲気があって、それがまたとても素敵でした。これは続きが楽しみです!

余談ですが「ゴミ捨て場」「捨てられた楽器」「ボーイミーツガール」というと、こちらよりも先に富士ミスの「フォルマント・ブルー」を髣髴する私です。あれも好きだったな?。ちょっと異能とかSF要素入りますが「ピアノソナタ」がツボにハマった人でそういう要素が大丈夫ならかなりお勧めかも。



4829162872カラっぽの僕に、君はうたう。?フォルマント・ブルー (富士見ミステリー文庫)木ノ歌 詠
富士見書房 2005-01

by G-Tools

ラノベ部

[著]平坂読  [絵]よう太

国語が苦手な文香はちょっぴり不純な理由で「文芸部」に入ろうと決意する。しかし、その学校に文芸部はなく、代わりに"軽小説部"という名前の部活が存在していた。部活見学に訪れた彼女は軽小説部の部長・美咲から本を借りる事になり、はじめてライトノベルに触れるのだけど…

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漫画は読むけど本は殆ど読まない女の子が「軽小説部」通称ラノベ部に入部して初めてラノベに触れ、個性豊かな部員達と他愛もない話をしながら少しずつライトノベルにハマっていく姿を描いた日常的小説。富士見の「生徒会」シリーズよりも4コマ漫画っぽい雰囲気を持った小説で、あちらがハイテンションに畳み掛けてくる面白さであれば「ラノベ部」は心地よいまったり感に時々じわじわと押し寄せてくる笑いが心地よい物語でした。

学生が主役のオタク系4コマを読んでいるような雰囲気でラノベやオタク系のネタをふんだんに詰め込んだメタっぷりや日常会話のやりとりもかなり楽しいのですが、読んでいるだけでラノベの良さがわかるような、読み終わったあとラノベを読みたくなるような感覚がかなり素敵。特にはじめてラノベを読んだときの場面や今まで部室から本を借りていくだけだった文香が一念発起して本屋で初めてラノベを買うシーンなんかはもう、とにかく楽しさが伝わってきてこちらまで楽しくなってしまったり。国語や文章を読むのが苦手だからラノベはちょっとな?…とか思ってる人には是非読んでほしい1冊です。会話部分でツボにハマったのは「語尾に偉人の名前をつけて喋る」会話のあたり。さりげなく色々なモノを風刺してるその精神に感服しました。ただ偉人の名前を挙げてるだけだったのに、誰ですかマスコミとか政治とかさりげなく批判してるの!!

「福田康夫って誰だっけ? ?小泉首相」

とくにこの発言ヤバイ。色々しゃれになってない。なんという時事ネタ。2?3年したらリアルで「誰だっけ?」状態になりそうな気がして仕方ありません。これは風化するまえに読むべき。

キャラクター的には、主人公である文香のほのかな恋の行方ともさることながら、とりあえず暦の可愛いさは異常。長門のような無表情キャラかと思いきや、だんだん露になっていく主人公への不器用な愛情表現にニヤニヤが止まらない。エピローグでの妄想小説には緑茶噴いた。なんかもう、本当にこの娘かわいいなあ!他のキャラがイマイチキャラ立てされてなかったり、キャラクターを掴み辛いと感じていた中で、この娘は一人輝いていました。

ただ、作者さんのキャパ以上の人数が常に画面に居て、全てを描写し切れてないような印象で、章毎に空気化してるキャラがいたのが凄く気になった。堂島とか腹黒系美少年という設定なのに哀しいほど空気とかどういうこと……あと何度読み返しても腹黒美少年というよりただのオカマですありがとうございました。この他にも、文章を読んだ限り「表情がコロコロ変わるドジ娘」っぽい印象だった文香が「表情の変わらない無表情娘」と書かれていたり、文章から受ける印象とキャラクター設定として書かれている但し書きが一致してないのも気になった。

一部で話題を呼んだ桜野綾先輩の腐女子設定はもろに「最近の面白おかしい一連の報道を元にして男ヲタが生み出した、妄想世界の腐女子キャラ」という感じなので、腐女子の人は相当割り切って読まないと辛いかもしれません。なんていうか、まだそこは生傷だから触れないで!という感じがする。あのテの報道に本気で怒りを感じてる人たちは、このネタを笑い飛ばせるようになるにはもうちょっと時間が必要なんじゃないかな…あと、腐女子は「二次元の男に興味ない」なんて普通言わない。

なんか本当に空気だったキャラとかも居るし、主人公の恋の行方も本当にさわりしか触れられていないので、シリーズ化を前提に描かれているのかなあという印象?次の巻では是非とも今回空気だった腹黒美少年の活躍をお願いします。

なお、豊富すぎるメタネタはこちらこちらのエントリを参考にすると良いです。改めて多いなネタの多さ・幅広さにびっくりですよ。既に誰かが触れてた気がしますが143Pの挿絵にどうみても鬼畜眼鏡が居たのには噴いた。攻眼鏡て……

アカイロ/ロマンス 少女の鞘、少女の刃

[著]藤原 祐  [絵]椋本 夏夜

人間ではない『一族』がいた。ある山の奥深く、人の手の届かない場所で里を作り、ひっそりと暮らす―女しか生まれず、それ故に滅びかけていた『あやかし』。今までも、これからも、彼女たちは人の世から隠れ、人の世の狭間に生きていく、そのはずだった。しかし、その日。『一族』が起こしたある諍いは、小さな波紋となって町へと広がっていく。その結果として霧沢景介と灰原吉乃の前に現れたのは、枯葉と名乗る少女だった。彼女がふたりにもたらしたのは、運命か、或いは―。藤原祐×椋本夏夜のコンビが送る現代伝奇ファンタジー、ここに開幕。 (「BOOK」データベースより)

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姉が失踪してから8年…高校生となった霧沢景介は、中学時代に親友が失踪して以来塞ぎ込む少女・灰原吉乃に親近感を抱いていた。クラスの中でも孤立する彼女をなんとかしてやりたいと思った景介は友人達と遊びに出かける計画を立て、吉乃を誘うことにしたのだが……

「電撃の黒い太陽」が全開すぎる件について。
序盤読んでレジンキャストミルク的な「ほのぼの×ダーク」な学園異能再びかと思ったらむしろ「ルナティックムーン」もかくやな暗黒展開だったよ!!ごく普通の高校生達が日本の片田舎にひっそりと隠れ住んでいた「あやかし」の一族の諍いに巻き込まれてしまうという、和風伝奇ファンタジーです。

第一巻だというのに、カラーページで紹介されるメインキャラクターの半分近くが死んだり敵に回ったりするという状態で、まさに血みどろ青みどろ。そういえば藤原作品だと「レジンキャストミルク」は割合控えめだったけど、「ルナティックムーン」は結構盛大に人が死にまくったよなあ…と懐かしく思い出しました。まず初っ端で身も蓋もなくヒロインが死亡して、しかも結構グロテスクな展開が待ってたりするあたり、とってもとっても全開です。ていうか、もう1巻でいきなり日常殆ど崩落してるような気がするんだけど、今回は完全に「ほのぼの」分は無しなの…か…?

とにかく序盤で一族の本家跡取り娘である枯葉が“喪着”を執り行う場面が物凄い衝撃で。残酷で、恐ろしくグロテスクな場面の筈なのに、どこか凄絶な美しさがあるというか、なんというか。その他作品全体にも、醜いのに美しいというか、古き日本の様式美みたいなのが漂ってるといいますか…なんかそんな雰囲気がとてもツボでした。あぁ、語彙の無さが悔やまれる…。

キャラクター的には吉乃も枯葉も良いけど、やはりオトコマエな棗さんが良いです。殊子先輩といい、藤原作品のオトコマエ女子キャラはとてもツボだ…そして毎度の如く、ツンデレ全開な主人公がとても良いですね。枯葉の気高く美しく矜持も高く直球な物言いと、どこか世間知らずを漂わせる発言に翻弄されてツンツンしちゃう主人公にニヤニヤします。重苦しい雰囲気の本編の中、中盤移行は枯葉と景介のやりとりだけが唯一の息抜きポイントだったように思えます。

とにかく、「レジンキャストミルク」のダーク分や「ルナティックムーン」が好きだった人なら文句なしに楽しめるかと。かなり容赦ない展開が続くので、ほのぼの分お目当ての人にはちょい厳しいかも…?色々な意味で大変なところで次巻に続いちゃってるので、続きが楽しみでなりません。

キスとDO-JIN! 王子様はカリスマ大手!?

[著]小林 来夏  [絵]由良

お嬢様の鈴木七海は、マンガ執筆に勤しむ同人少女。少ない予算をやりくりしてコピー誌を制作し、念願の同人誌即売会に初参加を果たした七海だが、その会場でとあるトラブルに巻き込まれてしまう。そんな七海の窮地を救ったのは美形執事の氷川透、そして同人界でその名を知らぬ者はいないというカリスマ大手作家の西南北一輝と高橋宏巳だった―。同人界をセンセーショナルかつコミカルに描き出す、乙女の新バイブルがここに誕生。 (「BOOK」データベースより)

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ウパ日記さんの感想を読んで気になったので久しぶりにこの手の本を買ってみました。こちらの方向の文庫に手を出すのは2年ぶりくらい…?(笑)BLではなくて腐女子が主役のシンデレラストーリー。どちらかというと逆ハーものというか、女性向の中でも乙女ゲーム方向ですね。

ヒロインを助けてくれた二人のお兄さんやヒロインの事を超可愛がってる執事さん(ヒロインはお金持ちのお嬢様という設定)のやりとりは凄く面白いし、特にムッツリな方(西南北)が自分の漫画の為、という名目で七海と付き合い始める辺りなんかは凄く好きなんだけど、「オリジュネでは手にとってもらえないから、自分がちょっと好きな版権ジャンル(超メジャージャンルメジャーカプ)で」って思考が生粋の版権二次創作やってる自分には凄く嫌な感じで、なんだかイマイチ同じ腐女子としてヒロインが好きになれず。いやだって「バスケの王子様」で主人公受でしょ!?氷帝学園出る直前の頃ならメジャー中のメジャーじゃn…ゲフンゲフン。

正直な所、「1冊も売れない覚悟で来ている」と言っている七海ですが、これだけメジャージャンルだったらそれなりに絵が可愛くて分厚い本を持っていけば確実に「それなりに」は売れるんですよね。隣りの彼女も1冊も売れないなんて事は思ってなくて、午後には何冊か売れるんだと思います。こういうジャンルはたとえストーリーが面白くなくても皆絨毯爆撃で買っていきます。オリジュネで売る自信が無くて版権ジャンルでスペースを取った奴が「1冊も売れない覚悟はできている」、なんていわないで欲しいです。自分が覚悟をしているつもりでもキツイもんですよ(体験談)。

もうこの辺は「ヒロインが無知だから」「ヒロインは天然の温室育ちだから」と納得してやるしかないのですが、やはりある程度事情を知っている人間からすると序盤のヒロインには全く感情移入できません。意地悪そうに描かれる隣りのサークルの僻み女の方がよほど感情移入で来てしまうのです…。

…と腐女子的な視点で散々文句つけてみましたが、ストーリー展開自体は「腐女子モノ」とは思えないほど正統派なラブコメ。ヒロインの憧れであり、大きな「壁」ともいうべき大手・蝶子さんやヒロインにベッタリな執事、何か腹に持ってそうな軽いノリのお兄さん・高橋に、多分こいつが本命であろうツンデレムッツリ男・西南北と色々取り揃えております。特に蝶子が七海のオリジナル原稿を詰るシーンなんかは、一種のスポ根的な面白さを感じました。私もその言葉を誰かに言われたら多分暫く立ち直れません、ええ。

そしてこの作品のある意味キモである、執事さん。ヒロインの事を好きなものは好きだからしょうがない!状態で物凄い勢いで毎回突っ走ります。執事という身分が無ければストーカーとして訴えられても文句は言えません。正直ヒロインなぞより執事が一番のインパクトでした。いいぞいいぞーもっとやれー!(笑)

ヒロインの無知っぷりや恐ろしいほどの天才肌(絵が上手いよりも、それなりに上手い漫画を“速いペースで量産出来る”っていうのは同人界においては非常に役に立つ天性の才能だと思うのですよ。逆に、そんなヒロインが「描けない」っていうタイプのスランプに陥ったらどう動くのかっていうのは個人的にはかなりやってほしい。)にしっとマスク被ったりもしましたが、本筋は非常に面白かったです。続編も出たら買ってみようと思います。

BLや801臭は殆どしませんので、ちょっと腐女子の世界に足を踏み入れてみたい人、乙女ゲーが好きな人、少女小説レーベルからちょっと冒険してみたい殿方、如何ですか?彩雲国を読んで、秀麗のヨイショっぷりに違和感感じない人には特にオススメですよ。

ただ、この本の内容が腐女子同人界の真実だと思わないで頂きたく!
普通はいくら人気があっても壁大手の顔を把握してるとかおかしいから!多分!
序盤は女の子コミュニティの陰湿な所を妙にリアルに描いていると思いますが、なんだかちょっとやりすぎな気がしなくもない。

ちなみにマイナージャンルの女性向弱小サークルの皆様や、
現在原稿修羅場中の方には
あまりオススメしません。
ヒロインの才能に最初から最後までしっとマスク被りまくる羽目になりますよ!!



しっとのこころわー!ちちごころー!

小説版機動戦士ガンダムSEED1〜5

[著]後藤 リウ  [絵]大貫健一、小笠原 智史、As’MARIA[原作]矢立 肇、富野 由悠季

C.E.70、ザフト軍と地球連合軍との戦端が開かれてから十一ヶ月―中立国オーブのコロニー・ヘリオポリスの少年キラ・ヤマトは、地球軍が開発した五機の新型MSを狙うザフトの奪取作戦に巻き込まれる。彼の前で次々と奪われゆくMS。残された最後の一機、X105ストライクガンダムにキラが乗り込んだとき、その運命は急加速を始める―大人気TVシリーズを完全小説化!少年たちの悲しみを抱いて立ちあがれ、ガンダム。 (「BOOK」データベースより)

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生来のオタク趣味にのっとって今更読んでみました小説版。
ストーリー自体はアニメのノベライズにはありがちというかなんというか
物凄いアニメに忠実で、アニメで充分ストーリーを理解できる人は要らないかも。

私の場合重要設定バレの話を片っ端から見落としてしまっている上
アニメを見た限りでは全く各メカの凄さが判らなかったので
ストーリーを理解するうえで物凄い助かりました。
特にフリーダムがなんで凄いのかーとか。
しかし皆良くアニメだけでメカの設定理解できますね…(笑)

アニメ版は全体的に説明不足っぽい感じがする上
途中から反戦を意識しすぎたのか
各キャラの台詞が電波じみてきてちょっと理解し辛かった私ですが
小説版は各キャラの動きなどが手にとるようにわかるためそれなりに楽しめました。
アニメ理解できなかったのは単純に
ムゥとラウのキラ正体とか、重要部分見てないからかもしれないけど。

キャラクター小説としては、アニメでほのめかされたカップリング
全てに美味しいシチュエーションがあるため、
萌えを補充する為に読むのもありかと。
やおいカップリングまでカバーしてるあたりはどうかと思いますけど。
3巻はアスキラ・アスニコ好きの人にはたまらない感じです。
というか3巻のオーブあたりのアスランとキラは腐女子の贔屓目差し置いても
ホモにしか見えません。

誉めてばかりもアレなのでひとつだけツッコミを入れると
1巻で倒される描写も無くあっさり散ったミゲルが、
3巻以降やたら名前が出てくるのはどうかと。
てか、1巻時点ではミゲルよりラスティの方が悼まれてるのに。
脇役だから別に1巻で出さなかったらその後も名前出さなくていいのになあ。
オロールとか5巻でいきなり名前出てきて「!?」って感じだし。
というかオロールって同人でしか存在を確認できてないんですが
どこで出てきて、どこで死んだのか誰か教えてくれませんか。

オススメは最終巻のナタルの最期。泣けます。
そして脇役ですがイザークが非常に美味しいキャラになってます。
フレイは揺れ動く心理描写がちゃんとされているし、個人的には嫌いじゃないですが
アニメよりもずっとサイが可哀相だなとか思いました。

各巻解説には監督やスタッフ他主演声優さんの解説も入ってたりするので
好きな方はそこだけよんでみても良いかも。

現在DESTINYのアニメが佳境に向かい始めた御蔭で
どんどん前作理解出来ないと判らない展開になってるので
そろそろストーリーが判らないDESTINYからのファンの方は読んでみても宜しいかと。
いきなりL4のメンデルとか出されてもわからないよ、ね…。



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