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いつか世界を救うために2 -クオリディア・コード-

[著]橘 公司(Speakeasy)  [絵]はいむら きよたか

暗殺対象である神奈川序列第一位・天河舞姫の突然の来訪。二人っきりになる絶好の機会であるにもかかわらず、動揺する紫乃宮晶。ストーキングの証拠満載の舞姫グッズで埋め尽くされた部屋を隠し通せるのか―。さらには四天王入りを果たしたことで、「神奈川伝統の寝起きドッキリでね!」今度は逆に舞姫たちからストーキングを受けることに!?(「BOOK」データベースより)

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 舞姫を巡る事件を解決した功績で、空白となった四天王の一人に押し上げられてしまったシノ。それ以来、舞姫や四天王が突然シノの部屋にやってきたり、追い掛け回されるようになってしまう。舞姫と仲良くなるにつれ、彼女を暗殺するという任務に違和感と躊躇いを感じ始めるシノだが、今度は相棒のほたるが不穏な動きを見せ始めて……。

 アニメ関係の告知見てればシノの正体については割と「ですよねーー」って流れになるんですけど、あらすじが思い切りネタバレかましてくるのに笑った。というかカラー口絵からしてアレなのであんまり隠す気ない。しかし最終的にこの子が「ヒメニウムが足りない」とか言い出すのかと思うと本当にアレだね……。

 任務と良心の間で板挟みになりつつも少しずつ舞姫に絆されていくシノの姿にとてもニヤニヤする。普通に見たらただのストーカー状態なシノの部屋に踏み込んでこられて一悶着するも、まさかの四天王(※だいたいガチの舞姫ストーカー)が庇ってくれるの面白すぎて腹筋が攣った。そこから、舞姫による逆ストーキングからのデート展開で(もちろん四天王のストーキングと余計な入れ知恵つき)、四天王の妄想を再現させられたり、皆の趣味全開の服を押し付けられたりするのが楽しすぎる。それにしても性別バレしてからの方が圧倒的にイチャイチャ度高いのはどういうことなんです!?

 そんなイチャイチャ展開からうってかわって、正体がバレてからの決闘と、全ての真実が明かされた後の呼吸ぴったりの共闘が熱い。陰謀策謀あるけれど、とにかくバトルシーンはめちゃくちゃ強い二人がそんなもの全部吹き飛ばすみたいな展開で、爽快感がすごい。ヒメとほたる、ふたりがいればどんな敵だって怖くないという最強無敵の幼馴染関係が最高に楽しかった!

 そして、同時に最後の真里香と來栖がとても好きです……利害関係からはじまる双方への好感度に依存しない共犯者関係最高。アニメ4話までで基本的に東京以外の小説版の脇キャラは登場して来ないのですが、この2人はなんか枠組み外れたところからしれっと出てきて欲しいなあ。

いつか世界を救うために -クオリディア・コード-

[著]橘 公司(Speakeasy)  [絵]はいむら きよたか

西暦二〇四九年。世界は終わるかと思ったが、終わらなかった。突如として現れた正体不明の『敵』―“アンノウン”と戦争を続ける人類。防衛都市のひとつ神奈川の学園に転校してきた紫乃宮晶。彼の目的は『神奈川序列第一位・天河舞姫を暗殺すること』。しかし『最強』の称号を有し、人類の希望である少女の強さはあまりにも規格外で…。「のぞきではない。監視だ」「今は胸を調べている」「無論、尾行だ」「変態ではない、調査だ」「秘密裏に行う家宅捜索だ」舞姫の全てを知るための観察が始まった!?新世代ボーイ・ストーキング・ガール!! (「BOOK」データベースより)

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 正体不明の敵性体・通称アンノウンの侵略により壊滅的な被害を受けた世界。戦争中にコールドスリープに入った子供たちは、スリープ中に次々と“世界”と呼ばれる異能力に目覚め、アンノウンに対抗する力を手に入れた。戦争はいったん終結という形を取ったが引き続きアンノウンの侵攻は続いた。関東には東京・神奈川・千葉に3つの防衛都市が築かれ、そこでは能力を手に入れた子供たちがアンノウンと戦っている。(以上東京編の感想からコピペ)

 舞台は防衛都市・神奈川。南関東管理局の特殊部隊に所属する紫乃宮晶と凛堂ほたるのふたりに神奈川の序列一位・天河舞姫を暗殺せよという命令が下る。どこか不可解なものを感じながらも学園に潜入したふたりだったが、舞姫は10年以上神奈川の首席に君臨し続ける強者で、シノの戦闘能力を持ってしてもなかなか歯が立たない。更に、彼女を崇拝する“四天王”などという存在も現れて、…!?というお話。

 南関東最強を誇る天河舞姫を中心に「ヒメ(舞姫)かわいい!」でまとまってる神奈川の雰囲気が、腹芸上等ギスギスフィーリングな東京編を読んだ後だと、とても癒やされる……。正直、舞姫ひとりが精神的な支柱となっているあたり、ちょっと危ないバランスで成り立っている気がしてならないけど、まあとりあえずギスギスしてるより良いんじゃないかな……。

 そんなアイドル的な存在の舞姫に、本当の目的を隠して近づこうとするシノの行動がはたからみると完全にストーカーだったり、そんな彼を“ライバル”と思い込んだ四天王とのドタバタが楽しくてたまらない。本当に同じ世界観設定のストーリーで東京とここまで違う雰囲気の話になるのかびっくりだよ!!

 ただ、全体的に明るくドタバタとした物語なんだけど、やっぱり繋がる世界観はクオリディアのそれで。しっかり世界観のつながりを感じさせる重たい展開も盛り込んでくるのが面白かった。東京は安定の東京だな……(やることがエグい)。

 それにしても、アニメから入ると“凛堂ほたる”ってこの人ではないよな…?あれ?ってなってしまう罠。なんとなく予想は出来るんですが、ここからアニメの物語にどう繋がっていくのかとても気になります。

はたらく魔王さま! 0

[著]和ヶ原 聡司  [絵]029

赤い空と大地が覆う魔界の地。弱小部族出身の少年悪魔が、かつて魔鳥将軍と恐れられた老悪魔カミーオと激しい口論をしていた。少年の名はサタン。後に魔王サタンとしてエンテ・イスラ征服に乗り出すが、今は非力な一悪魔であった。サタンは二大勢力の蒼角族と鉄蠍族に対抗するため、強大な力を持つハグレ悪魔ルシフェルを味方にしようとしていた。ルシフェルとの出会いからアルシエルとの激突までを描く、魔王達の始まりの物語を書き下ろしで収録。さらに勇者エミリアの旅を綴った書き下ろし短編に、魔王達が日本に来てすぐの年末年始を描く「電撃文庫MAGAZINE」掲載の短編をプラス。庶民派成分控えめの特別編! (「BOOK」データベースより)

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 サタン、エミリアの過去編を収録した短編集。

「はたらく魔王さま達!-a long time ago-」
 少年時代のサタンが弱肉強食の魔界で、『知恵』を武器に一癖も二癖もある荒くれ者達を味方につけていくのがとても楽しかった!ただ力の弱い者が知略を弄すのではなく、最初は誰よりも弱いところから、少しずつ仲間にした魔族達から「学び」「成長」していく姿にワクワクする。特にルシフェルを仲間にするところとか、いかにもという感じで好き。良くも悪くもルシフェルの立ち位置は今も昔も変わってないのが美味しかったです。

 力を誇示するだけが全てだった魔族達の中で、唯一「知性」を使い一族を増強してきた鉄蠍族の長・アルシエルとの決戦がまた熱い。それでも、この物語の最後の時点ではアルシエルは忠実な魔王様の部下ではなくていつか寝首をかいてやると虎視眈々と狙う元敵将でしかないんだよなあ。個人的にはアルシエルがどうしてこんなにサタン様一筋(違)になったのか、この物語では語られなかった四天王・マラコーダ周りの話も含めて読んでみたい所。

 短いシーンだけど、ラストの千穂の言葉に対するアルシエルの反応が好き。なんかこう、細かいところで「人間」と「魔族」の考え方の違いが示唆されているのが興味深かった。

「はたらく勇者さま達!-a long time ago-」
 魔王を倒すために旅をしていたエミリア一行が、とあるトラブルに遭遇して……?というお話。あとがきでも触れられている通りまだ「正義」をやってた頃のオルバがとても新鮮なんだけど、そんなオルバがたまたま近くに居たベルに完全に振り回されてるのにニヤニヤした。この爺さん、悪役でもいい人でも割りと振り回され体質だよね……。

 そしてベルが色んな意味でフリーダムすぎて笑ってしまう。なんか結構異端審問官時代は黒歴史というか色々本人にとってはつらい思い出……みたいなイメージだったけど満喫してるじゃないですかー!!ラストのドヤ顔想像するだけで可愛いズルい。

「悪魔と勇者と女子高生-A happy new year-」
 クリスマスに、突発のバイトでコンビニのケーキ売りをすることになった真奥と芦屋。夕方になった頃、OLと思しき女性が現れて……?

 この短編集唯一の庶民派成分。物語が始まる前の年末年始、まだ面識のなかった真奥と芦屋、千穂、恵美が面識のないまま出会うお話。知らない人同士として出会う4人のやりとりがびっくりするほど新鮮で、本当になんてこともない、とりとめもない年末年始のお話なんだけど、それがびっくりするほど面白かった。他2編が魔王さま的に物凄く「非日常」な物語だけにほっとするというか安心感もあるなあ。

ロクでなし魔術講師と禁忌教典6

[著]羊太郎  [絵]三嶋 くろね

講師として頑張ることを決意した矢先の解雇宣告。クビを回避するには自腹での古代遺跡の調査が必要で―金欠のグレンが思いついた手段は…生徒を利用するという相変わらずロクでもない方法で!?天使ルミアの厚意で生徒たちの協力を得られたグレンだったが…なぜかセリカも同行することに!?遺跡に眠る世界の深淵に触れた時、家族の絆が試される!! (「BOOK」データベースより)

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 魔術学院の教師なら定期的に出さないといけない論文を出していなかったせいで、クビを言い渡されそうになったグレン。論文を書くために、生徒たちを動員してとある遺跡の調査を行うことにするが何故かそこにセリカがついてきて…!?

 力量不足に悩むシスティーナがかねてから念願の遺跡探索を前にして盛大に空回りしたり、自分よりもグレンと親密で有能なセリカの出現に動揺したり、他の生徒達がグレンに頼られてるのを見てヤキモキするの可愛すぎました。遺跡探索に向かう前のやりとりとか本当に面倒くさい子すぎてヤバい。最後はなんだかんだでグレンの役に立てて良かったね……残念な子は残念なほど可愛いのでいいぞいいぞもっとやれ!

 また、生徒たちの魔術師として人間としての成長にもニヤリとするお話でした。セリカやグレンといったプロの魔術師と比肩することは出来なくても、自らの力量を見極めた上で無茶はせず、彼らの背中を守ることを決断する展開に胸が熱くなる。セリカの名声や立場のせいで最初は腰が引け気味だった生徒たちがすぐにセリカを受け入れて仲間として扱ってくれるのにも人間としての成長を感じた。

 本編はセリカの話を通して物語の謎に迫っていくハードな展開で、自身にも解らない“使命”に取り憑かれた『永遠者』であるセリカが、グレンという家族を得てもなお止まれなかった理由がとんでもなく人間くさくて愛おしい。セリカって前の巻でも描かれた通り精神的にはむしろ脆いくらいで、あくまで普通の人間でしかないんだよなあ。改めてグレンとの深い家族の絆を感じる展開が胸に熱い。

 今後への伏線を思い切り張りましたという感じで、天の智慧研究会まわりは一休みなんだけど、色々なことが明らかになり、それ以上に今後への謎が増える展開でした。アレやらコレやらルミア周りの話も不穏な気配が立ち込めてるというか、ラストの記憶云々って多分彼女のことだよね……。

スカーレッドライダーゼクスゼノン Scared Rider Xechs XENON

[著]永川 成基  [絵]pako[原作]レッド・エンタテインメント

紅の世界と呼ばれる異世界から現れた侵略者“ナイトフライオノート”。世界を救えるのは、若き司令官・萌黄アキラ率いる第五戦闘ユニット・SR5だけ―のはずだった。過酷な戦いの果てに、次々と命を散らしてゆくライダーたち。世界が終わろうとしたその時、アキラがとった選択とは!?人気キャラクター甘粕ソーイチロウの目線から語られる、もうひとつのスカーレッドライダーゼクス。 (「BOOK」データベースより)

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 音楽学院の受験会場で異世界生命体ナイトフライオノートの襲撃に遭い、“音楽”を奪われた甘粕ソーイチロウ。事件の際に出会った対ナイトフライオノート特務機関LAGの教官・萌黄アキラに惹かれ、琉球LAGのスカーレッドライダー候補となることに。彼女の率いる第五戦闘ユニットは様々な戦果を挙げていくが‐‐PS2/Vitaで発売されたニチアサ特撮ドラマみたいな乙女向けゲーム「スカーレッドライダーゼクス」の“一世代前”の戦いを描いた前日譚ノベライズ。

 世界観設定上のネタバレを盛大に含むものの、ゲーム本編以前の話となっているのでゲーム版をやっていない人でも楽しめると思います。本編の真エンディングに続く為のひとつの挫折の物語なので、「Fate/ZERO」とFate本編の関係性に近いかも。あと、原作ゲームからして乙女ゲームの体裁取ってるけどあんまり乙女臭くなかったのが、視点が男性のものになって大体「乙女ってなんだっけ」って感じになってます!乙女ゲー苦手な人にも安心しておすすめできる雄臭さです。

 ゲーム版の特典についてきた用語集がゲームには使われない設定てんこもりで物凄い濃厚で、その設定でもっと話読みたい!と思っていたんだけど、そのゲームで出てこない設定がガッツリ盛り込まれた物語でとてもおもしろかった。第五以前のユニットのこと、決して暖かいばかりの関係ではなかった人間とサブスタンス達の歴史、あの人やこの人の事情など、ゲームをやっていなくても楽しめるけどゲームをやっていると更に楽しめる。特にレスポールに関しては後にゲームで果たす役割を思うと……。

 第五ユニットの、第六ユニットとは似たようでどこか違う空気もとても楽しくて、彼らの戦いをもう少ししっかり見たかった気がする。ヒジリが彼らの元に保護された直後のやりとりとか凄く暖かくてきゅんとする。

 何より衝撃だったのがゲーム本編ではメインストーリーには絡んでこないけど何か事情を知っている雰囲気であったソーイチロウの第五戦闘ユニットでの立ち位置か。赤の世界と青の世界の両方から“選ばれた”が故にどちらに行くことも出来ず、大切な物を二度も奪われたソーイチロウ。そんな彼が、“彼女”を手に入れることが叶わないと知りながら、それでも第六戦闘ユニットの補佐官としてLAGに関わり続けるのが凄く好きです。

 それにしても、甘粕のヒロイン度も大概にひどいけど、エピフォンのヒロイン度が更に突き抜けててすごいな!!だいたいエピフォンのせいで赤の世界と青の世界の衝突が起きてる気がするの、多分気のせいじゃないよな!!

(仮)花嫁のやんごとなき事情 〜最終決戦はついに離婚!?〜

[著]夕鷺 かのう  [絵]山下 ナナオ

頭髪は寂しくなったけれど、無事に夫クロウと再会できたフェル。束の間の甘ーい休息に心は休まるやら乱れるやら。そんななか、ようやく妖精王とクロウの弟パールの魂を引き離す方法が見つかった!妖精王の悲願が叶う“ワルプルギスの夜”までに救い出そうとするが、それはフェルの身を危険に曝す賭けで…!?離婚の期限を前に(仮)夫婦、天下分け目の大一番!! (「BOOK」データベースより)

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 なんとか無事にクロウと再会することが出来たフェル。だが、能力を使いすぎたせいでフェルの目は妖精王と繋がってしまい、いつ連れ去られてもおかしくない状態に。でも、妖精王の中でパールの魂がまだ生きていることがわかり…!?というお話。

 一難去ってまた一難、ついに妖精王との最終決戦という展開なんだけど、久しぶりに腹を割って話しているクロウとフェルのやりとりがとても楽しかった。特に正体バレからのやりとりは久しぶりに掛け値無しにニヤニヤしてしまって表情筋がヤバイ。以前よりも甘さの加わったやりとりが可愛くて仕方なかったです。

 最終決戦は最初から最後までリグレイン妃の独壇場だったなあ。醜い執着から歪んだ愛情を向けることしかできなかったウーベル帝の行いに、気高く強かったリグレイン妃が少しずつ心折られていくのが心痛く、復讐に囚われた彼女がフェルとの出会いや強くなった息子の言葉に少しずつ気持ちを変化させていくのにはぎゅっとなる。最後の息子との対峙での言葉に、彼女の精一杯の“母親”としての情を感じて思わずほろりとしてしまった。しかし終わり方に関しては色んな意味でウーベル帝の一人勝ち感あるな……。

 しかし、ようやく全ての障害を取り払ったところで、それでもたどり着くのは「そこ」なのかー!どっちにせよシレイネとして婚約してしまっている以上どこかで関係性をリセットしないと円満解決にはならないんだけど、クロウがあの場面で「フェルディア」じゃなくて「シレイネ」っていってるのは絶対伏線なんでしょう!?後1冊使って最終的にはくっつくんでしょう!?って思いながら続きが気になって気になって仕方ない。

(仮)花嫁のやんごとなき事情 〜離婚しちゃうと絶体絶命!?〜

[著]夕鷺 かのう  [絵]山下 ナナオ

夫クロウの遺髪を見せられても、「あの人は死んでない!」と強がるフェルだが、実際の安否は不明なまま。皇宮ではいつの間にか、クロウが『いなくなった皇子』となり、弟のパールとフェルが結婚したことになっていた―なんて冗談じゃない!反撃に出るフェルだが、パールもおぞましい計画を立てていて!?離れてこそ夫婦の絆が試される!激動のニセ未亡人(?)生活第10弾! (「BOOK」データベースより)

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 王宮に連れ戻されてしまったフェルを待っていたのは、クロウが死んだという知らせと、クロウのことを忘れてしまった人々の姿。しかもフェルはパールと婚約したことになっており、「ユナイアへの人質」という立場で軟禁されてしまう。心折れそうになりながらも思わぬ人の助けを得て、クロウが護ろうとした人々を自分が護ろうとクルヴァッハに向かうが、そこではパールが更に恐ろしい計画を立てており……。

 前巻の裏切りに次ぐ裏切り、絶体絶命四面楚歌の展開から少しずつ僅かな希望を繋いでひっくり返していく展開が楽しかった!これまで登場したキャラクターたちが次々と駆け付けてくるオールキャラ勢ぞろいの展開がまさしくクライマックスという感じで楽しい。特にガウェイン先生の登場は正直とても期待していたけど、一緒についてきた人が男前すぎて腹筋がヤバイ。フェルの男前な性格は彼女だけが持つものと思っていたけど、卵が先かヒヨコが先か状態ではあるけど、思った以上に似た者同士だよなこのひとたち……。

 すっかりお互いに感化されちゃってる黒龍夫妻が離れていてもお互いの存在を感じさせる展開にいちいちにニヤニヤしっぱなしだったけど、ふたりの交わした誓いがが事実上の最終防衛線となり、ふたりの過ごした日々が偽りの記憶を与えられた人々の呪毒を打ち破る展開には震えた。伏線もキャラクターも出し惜しみなしの総力戦が楽しい。

 全体的にヘタレだったユアンが全部持って行った感じ凄いんだけど、ずっとまえからお膳立てされていたミゼとジルフォードの関係には泣かされずにはいられない。最後の最後でどうしても私情を捨てられなかったジルフォードと、そんなジルフォードの事を一途に思い続けるミゼの関係が本当に良かった……。

 一応事態をすべてひっくり返してひと段落……と思いたいけど、最終的な決着はついていないし、まだまだ波乱が起こりそうな終わり方で、続きが気になる。

(仮)花嫁のやんごとなき事情 〜離婚のはずが大波乱!?〜

[著]夕鷺 かのう  [絵]山下 ナナオ

亡くなったはずのクロウの弟・パールが生きていた。誰か的確なツッコミを!!な状況にたじろぐフェルだが、皇宮の人々は彼が当たり前に存在するかのように過ごしている。何とか正体を探ろうと試みるも、事態はエルラント帝国がフエルの故国ユナイアの侵攻にまで発展。このままではフェルが人質に…。戦争を止めるには“アレ”をやるしかって、旦那様、本気ですか―!? (「BOOK」データベースより)

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 亡くなったはずのクロウの弟・パールが生きていた!?しかも、ただ生きていただけじゃなく、クロウもお城の人たちもパールが死んだという話自体が嘘だったかのような態度を取ってくる。混乱しつつもそれがとある呪毒の影響だということを突き止めるが、事態はどんどん悪化して…!?というお話。

 エルラント王宮に来てからの展開ってたいがいホラーでしたけど今回のホラー感あらゆる意味ですごい。味方を得たと思えば返す口で裏切られ、誰が操られているかわからない、味方の誰を信用したら良いのやら分からない展開が凄かった。しかも呪毒で操られている者達は、普段はいつも通りの態度を取ってくるのでたちが悪い。

 特に終盤のあの人やらその人に関しては途中であれだけ解りやすいお膳立てがあったのに、状況があまりにもフェル達に対して不利すぎてもう裏切ってない前提で読まざるをえなかったというか(※あくまで個人の感想です)、あれだけフラグが立ってたのに終盤の展開を「衝撃の展開」として読めるのが凄いなぁと。

 これまでどんな状況でも味方だった、頼れる味方の面々までもが敵に周るという足元が揺らぐような不安感、フェルを襲う妖精王の影、心の弱いところを突かれて今までになく疲弊していくクロウと本当に気の安らぐ暇がない展開でハラハラしっぱなしでした。面白かったけどほんとうにホラーだ……。

 色んな意味で凄い所で終わってしまったので早く続きが読みたい……。

あなたの好きな人について聞かせて

[著]小林 典雅  [絵]おおや かずみ

コンビニバイトで生計を立てつつ作家を目指している路郎は、ある日ネタを考えながら歩いていて車に轢かれかける。間一髪で路郎を助けてくれたのが、コンビニの客でもある高校生の蓉平だった。自分のせいで骨折して入院する羽目になった蓉平に、何かお詫びをしたいと申し出たところ、彼は毎日SSを書いて持ってこいと言い出して!?ツンデレ毒舌高校生と天然お人好し小説家の卵の、年下攻スイート・ダイアリー。 (「BOOK」データベースより)

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 カルチャースクールの小説のお題を考えていて車に轢かれそうになった路郎をかばって怪我をしたのは、バイト先のコンビニに良く現れる常連客の高校生。お詫びのために病院を訪れると、なぜか慰謝料の代わりに毎日SSを書いてお見舞いに来るよう求められる。それ以来、彼の出す「お題」に振り回されるようになって!?というお話。

 ツンデレ高校生×作家志望のDTフリーターな年下攻BL。強引なように見えて好意駄々漏れでまったく余裕のない蓉平が、路郎を振り回しているようでその実そのマイペースな天然ぶりに振り回されてるのが微笑ましくて仕方なかった。突然お風呂での“介護”をねだってみたり、小説のお題がだんだん露骨に直球になっていったりするんだけど全く気づいてもらえてないのが大変に不憫可愛い。その裏でそれなりに路郎もほだされてたりするんだけど、お互いに気づいてないすれ違いっぷりが凄まじく可愛かった。

 そして路郎による作中作がじわじわと笑いを誘ってくる。正直いろいろな意味で作中作に期待していたのですがシャンプーとコンディショナーとトリートメントの擬人化三角関係がシリーズ化して新キャラ増えて四角関係になるのとかもう笑うしかない。擬人化三角関係シリーズと鼻パックシリーズは普通に全部読みたいレベルなんだけど、路郎自身の気持ちが作中作にも反映されていくのがどこかこそばゆく、笑いながらもキュンとなる。終盤のやつなんか完全に超長編ラブレターですよね……。

 もうなんか期待通りの微笑ま可愛いバカップルものだったんですが、個人的には終盤に路郎の親友・大川と蓉平がどんな会話をしていたのかとても気になる。出番は少ないけど、大川のあくまで良き理解者でいてくれて「路郎の親友」というラインを踏み越えてこない関係性、凄く好きだったな。割りとこの手の小説の「受の親友」ポジションは高確率で噛ませ犬になるか、他所に彼氏がいたりするパターン多い気がするので最後まで「よき理解者」枠からはみ出さず、途中でフェードアウトしないで一定の存在感を保ち続けるの凄く良かった。

ロクでなし魔術講師と追想日誌

[著]羊太郎  [絵]三嶋 くろね

アルザーノ帝国魔術学院には、生徒もあきれるほどの一人のロクでなし魔術講師がいた。男の名はグレン=レーダス。授業では、蛇で女生徒たちを怖がらせて遊ぶも、その蛇に頭を噛みつかれたり…。図書館で失踪した女生徒の救助へ向かうも、怪異に怯えて、破壊呪文で図書館を吹き飛ばそうとしたり…。授業参観で珍しく真面目に授業をしようとするも、すぐにボロが出てしまう…そんな、ロクでなしな学園の日々。グレンの師であり育ての親セリカ=アルフォネアとの衝撃の出会いが綴られる『ロクでなし』シリーズ初の短編集! (「BOOK」データベースより)

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 「ロクでなし魔術講師と禁忌経典」シリーズの日常主体、授業シーンあり、ラブコメあり、ドタバタありの短編集です。

 どこをとっても楽しかったんだけど、やっぱりこのシリーズの講義シーンが好きだなあ。学ぶことの楽しさや授業に対する情熱が伝わってくるのがたまらなく楽しい。特に「魔術講師グレン 無謀編」で魔術に対して斜め横の態度を取りつつも、自分がかつて味わった魔術の「面白さ」を懸命に伝えようとする姿は本当にニヤニヤが止まりません。

 授業参観でシスティーナの両親がやってくる「魔術講師グレン 虚栄編」も良かった。必死に模範的な教師を取り繕おうとするも、生徒たちの危機を前にしてあっさり生徒思いな“素”が出てしまうのにニヤニヤする。セリカvsシスティーナ父の親ばか対決とか微笑ましすぎてもう。

 ラストの書き下ろし「空〜孤独の魔女〜」は、グレンとセリカの出会いを描くシリアスな過去編。強い自分を演出することで自らの脆さを隠して生きてきたかつてのセリカと、そんな彼女の鉄面皮をひっぺがしてしまったとある少年の、出会いと別れにホロリとする。これはセリカさん授業参観で面倒くさい親馬鹿になってしまっても仕方ないわ……子グレン(色んな意味で)天使かな……。そんなグレンが正義の魔法使いを目指して、そしてこれまでに語られたような挫折に遭ってしまったのは不幸としか言いようが無いし、やりきれない気持ちになるけど。

 それにしても、セリカの不老不死性やグレンの記憶の件など、なにげに今後の展開への伏線がばらまかれたような印象。これからどうなっていくのか、とても楽しみです。しかし、この短編シリーズは短編シリーズで独立して続けていってほしいなあ……。



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