ページ 52 | 今日もだらだら、読書日記。

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東京レイヴンズ11change:unchange

 

新年、東京。春虎を追い続ける夏目は、久しぶりにこの街に帰ってきた。呪術界を揺るがしたあの夜から一年半。かつての仲間たちの現状が気になりながらも、会えば迷惑をかけると己を律する夏目に、秋乃の素朴な言葉が突き刺さる。「夏目はいいの?友達に会えなくていいの?」一方、夜の東京の片隅で、陰陽庁の仕掛けた「餌」に大きな獲物が食いついた。始まる激しい呪術戦。出動した『十二神将』と対峙するのは?。変わりゆくもの、変わらないもの。呪術と陰謀渦巻く東京で、再び運命が動き出す! (「BOOK」データベースより)

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 一年半ぶりに東京に戻ってきた夏目だが、追われる身であるが故にかつての仲間たちと再会することもかなわず、やきもきする日が続いていた。秋乃の言葉をきっかけに、最も監視の薄い天馬に便りを出してみることにしたが……というお話。

 10巻で足取りのわからなかった「彼ら」の現在を中心に描いたシリーズ本編11巻。10巻に引き続きシリーズ二部本格始動のための助走の回といった感じなんだけど、しょっぱなから盛り上がるのなんの。大人組のド派手なバトルも展開されて、テンションあがらざるをえない。っていうかこんなところで大友vs木暮の親友対決持ってくるとか、出し惜しみしない感すごい。

 表面上は今までとおりの生活を送る者達でもその実は「今までとおり」とは行かず、誰も彼もが水面下で爪を研ぎながら動き出すための時を待っているといった雰囲気が印象的でした。いろいろなところで一年半の重みを感じさせる展開がアツい。

 特に冬児と「あの人」の組み合わせには正直びっくりしたけど、あの人ほんとどんだけ大友先生好きなんですかね!?いや、なんというかほんと憧れの人に追いつくためにあらゆる努力を惜しまないかがみんは愛すべきヤツというかいとしいというか尊いですけども、愛が重いわー。これ先の巻で、「お前の育てた春虎と俺の育てた冬児、どっちが強いかなァ!!!」とかいって悪友対決始まっても驚かないむしろ見たい。しかし、執拗に大友を追う木暮も含めて、大人組のフラグは9割がた大友に集中してる気がして正直どうなんですか……。

 そんなとまった歯車を動かそうとでもいうような夏目からの便りと、天馬から仲間達への『メッセージ』に思わずにやりとしました。本当に、天馬は美味しいところをピンポイントで持っていくよね!!冬児の言うとおり「普通じゃない」やつらの中に一貫して「普通」を貫く彼だからこその活躍にニヤリとする。

 裏で動き出す多軌子一派の陰謀となんとなくにおわされてくるスケールの大きさにぞくぞくさせられながら、本当にこれから動き出すであろう二部本編が楽しみでなりません。これまでは割りと大人組の活躍が目立って学生組は影に隠れてしまう事も多かったので、一年半の雌伏の時を経た彼らの活躍を楽しみにしていたい。

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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9

 

もうすぐクリスマス。小さい頃はプレゼントがもらえる日だったが、今はもう違う。何より、願うことも、欲しいものもなくなってしまった―。生徒会長選挙の日以来、何かが決定的に終わってしまった関係を引きずりながら、逃げ出さないため、ただそれだけのために部室に集まる八幡たち。そんな折、新たな依頼を持ち込んだのは、先の選挙で生徒会長となった一色いろは。他校との合同クリスマスイベントを手伝って欲しいという依頼に対し、一人で行動しようとする八幡だが、一筋縄ではいかない依頼に事態は次第に悪化していく…。 (「BOOK」データベースより)

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あらすじだけで深刻な胃痛がする。

 生徒会選挙の日以来、何かが確実に壊れてしまった事を薄々感じながらも表面上は「これまでとおり」を装う奉仕部の面々。そんな中、八幡の策略で生徒会長となった一色いろはが奉仕部に依頼を持ち込んでくる。責任を感じた八幡はひとりで一色の手伝いをするが、敵は予想以上に強敵で……というお話。

 序盤で奉仕部の面々が繰り広げるどこまでも空々しく薄ら寒いやり取りも酷いんだけど、一色の依頼で持ち込まれた難題がさらに酷い。有意義のようにみえてからっぽな会議にスケジュールを圧迫され、状況の修正を図ろうとすれば表面上は否定されないままあらぬ方向に曲解される。どんな正論ものれんに腕押し状態なストレスに、これまで以上に磨きのかかった八幡の自虐思考ネガティブスパイラルが拍車をかけて深刻な胃痛がしてきて胃薬のんだら副作用で頭痛してきたまである(※実話)。キャラクターとしては物凄く好きなんだけど、とりあえず八幡殴りたい!!!

 彼らがここまでこじれてしまったのは壊れてしまった何かを失うまいとしたせいだと思うけど、同時に彼らを再び結びつけたのは彼らが失った何かを再び取り戻したいと願う強い意志だったと思う。散々迷いながらも、遂に八幡の口から出た本心からの願いにきゅんとなった。全てが元通りというわけでもないし、三人がほんの一歩だけを踏み出しただけに過ぎないし、きっと彼らの関係も「今までとおり」ではないんだけど、それでも再び同じ紅茶を囲む姿に涙した。本当に、よかった。そして、道に迷う彼らに一筋の道を示した平塚先生かっこよすぎて、なんでこの人誰も貰ってあげないの……世の中って理不尽。

 一色の言葉や海老名さんとのやりとりなど、なんだかんだで心配されてる彼らの姿にもほっとした。今まで憎まれ役を買って出ることが多かった奉仕部の面々(特に八幡)だけど、彼らの行動をそれとなく理解して、案じてくれる人たちが居る事は大きな救いだとおもう。

 それにしても、これまでの巻での遺恨のいくつかまで清算して、この物語にしてはびっくりするほど綺麗に収まった中、これまでとはどこか違う執着を見せる葉山の存在にそわそわする。っていうか八幡の前だけ素を見せてくる葉山の威圧感も相当ですけど、あの状況で迷うことなく葉山の元に向かう八幡マジ……。

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K SIDE:BLUE

 

“青の王”宗像礼司率いる、対能力者治安組織“セプター4”。その屯所の一角にある半ば忘れられた資料室に、重厚な肉体をもつ隻腕の男―善条剛毅がいる。ただならぬ気配を放つ彼は、前“青の王”時代からの古株で抜刀術の達人だという。人気のない深夜の道場で、新米隊員の楠原剛に剣を教える善条。そこへ、室長・宗像が真意の測り知れない薄い笑みを浮かべながら現れる―。 (「BOOK」データベースより)

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 テレビアニメ「K」の前日譚ノベライズ。新人隊員・楠原の視点から描かれる、伏見が入る前の《セプター4》の物語。

 Side:REDで王不在の旧セプター4が描かれたので、宗像が新しい王になった時の話が入るのかなとおもってたらそんなことなかった!けど、青の王になったばかりの宗像が組織としての地固めをしている頃の話。ストレインの捕縛にとんでもない大人数を動員したり、どこかまだ思考錯誤してる感じが新鮮。アニメで始めてみてなんか笑ってしまったサーベルを抜く『抜刀』動作にも意味があるんだなあとしみじみと……。

 なんかよい意味でも悪い意味でも「主人公」らしいキャラクターが居ないなあと思うKだけに、楠原の輝く主人公オーラに震える。腕は未熟だけどセプター4の隊員達や元の職場の人間達から愛され、そして王である宗像や前王の側近である熟練の猛者・善条に目をかけられ、悩みながらも少しずつ成長していく姿にニヤニヤする。なんかほんと、「K」らしからぬ王道な主人公の成長物語だ!!

 ……などとおもっていたらあっさりその考えをひっくり返してくるような後半が衝撃すぎて。Kって主人公としての人物特性を一定以上積み上げると死ぬ法則でもあるんですかね……(赤のクランで一番主人公特性を積んでいたのは十束であると密かに思ってる)。

 とにかく良い意味でまっすぐな癒し系主人公キャラだっただけに、彼の退場が伏見の入隊と入れ違いに起こったことが残念でならない。伏見と楠原の絡みも見てみたかったなあ……というか、「デイズ・オブ・ブルー」での部屋割りを見ると、もし楠原が死んでなかったら楠原と伏見が同室になってたんじゃないかしらと想像してしまう。なんか、宗像さんなら何らかの意図を持って伏見のわがままをねじ伏せて同室にしてしまったような気がする……。

 これ読んだ後にデイズ・オブ・ブルー読み直したら1話にそれとなく楠原が出てきててじんわりした。何かの形でコミカライズのほうにもでてきたらいいんだけどなあ。


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K -デイズ・オブ・ブルー-(1) (KCx ARIA)

黒榮 ゆい、来楽 零(GoRA)、GoRA・GoHands
講談社
発行日:2014/4/7

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K -Lost Small World-

 

中学一年の八田美咲は、寡黙な同級生、伏見猿比古に惹きつけられていた。この偏食の眼鏡少年は、八田にはない聡明さを持っていたから。伏見もまた、次第に八田を必要とするようになっていった。この小柄な少年は、伏見の持たない不思議なエネルギーと優しさを持っていたから―。彼らの小さな冒険。そして、より大きな力への憧れ。だが、彼らが少年だけの世界から抜け出した時、待っていたのは、決別だった―。TVアニメ『K』オリジナル小説第4弾! (「BOOK」データベースより)

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 テレビアニメ「K」の前日譚ノベライズ第四弾。中学一年生の八田と伏見が出会い、かけがえのない親友となり、共に“吠舞羅”に入り、決別するまでの物語。

 最初は同じものを見ていたはずの2人の関係が少しずつすれ違っていき、“吠舞羅”にはいった事で致命的な亀裂を生んでいく。その亀裂に気づき、同時に八田への強い執着を覗かせる伏見の葛藤に微塵も気づかず、伏見もまた当然のように周防の事を慕っていると信じて疑わない八田という構図は「SIDE:RED」や「メモリー・オブ・レッド」でも繰り返し描かれているものなんだけど、改めてその構図にヤキモキする。というかしょっぱなから八田は伏見と仲良くなるきっかけの所からして全く同じ過ちをおかしてるのにも関わらず学習しないの凄い、それだけのことがあっても身内として内に抱き込んだ人間を疑わないのは八田のいいところでもあるんだろうけど。

 これ、「K」が八田主役の物語だったら、八田が精神的に成長して伏見と不健全じゃない信頼関係を築く話になってたんだろうな……っておもうと、彼は主役じゃないのが最大の悲劇な気がする。正直、二人の関係性はかなり序盤からどこか健全な関係ではなかったとおもうし、伏見が自覚する前から彼らのすれ違いは始まっていたのだとおもう。“吠舞羅”に入る前、《jungle》と対決しようとしたときに、伏見が「上手く行かなかったら宇宙船作って太陽に突っ込もう(突っ込んで死のう)」と言うのに対して、伏見なら太陽に突っ込んでも大丈夫な「超かっこいい宇宙船」を作ってくれると無邪気に信じている八田の返しが、既に未来を象徴しているように思えた。

 たったひとりの親友だった八田が周防に心酔していく姿への苛立ち、あらゆる面で叶わない周防への畏怖。同じ思いを共有できない事からくる疎外感と後ろめたさ。よくも悪くも周防のカリスマで成り立っている組織の中で浮いた存在となっていった伏見が「青」の王・宗像と出会ってそのありかたに惹かれていくのはどうしようもないことのような気がする。アニメを見た感じでは酷く淡白のようにみえる宗像と伏見の関係だけど、なんだかんだで伏見は宗像という「王」に惹かれてあの組織に入ったんだなあ。赤のメンツとは対称的な2人のやりとりと、2人の王の間で選択を迫られた伏見の取り乱す姿が物凄く好き。

 縮めようのない亀裂を描き、伏見の離反という形の関係性の崩壊によって締めくくられる物語だけど、最後に加えられたエピローグの物語が彼らの新たな「物語」を感じずには居られないもので、胸が熱くなった。劇場版でもその後でも、彼らが再び手を取り合う日が来る事を願わずにはいられません。

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K SIDE:RED

 

“赤の王”周防尊が束ねる、炎の“徴”を刻む少年たちの集団“吠舞羅”。彼らのホームである鎮目町の一角にあるバー『HOMRA』に、周防の高校時代の担任教師・櫛名穂波が、姪・アンナをともなって現れた。両親を事故で亡くし、病のために施設に入院していたという無表情なその少女は、青い服をまとい、めずらしいものを見るように“キング”周防を凝視する―。「ミコト」。周防の夢の中で彼の名を呼ぶアンナ―彼女は“王のなりそこない”だった。 (「BOOK」データベースより)

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 青を纏うストレインの少女・櫛名が“吠舞羅”と出会い、赤のクランズマンとなるまでを描いたアニメ「K」の前日譚。

 不在の続く「青」の王の器になれると見込まれ、周囲を傷つけない為に大人たちから押し付けられた運命を受け入れようとするアンナが少しずつ“吠舞羅”のメンバー達に心を開いていく姿が微笑ましい。最後は少し切なかったけど、自分の意思で周防についていくと決めた彼女の姿には胸が熱くなるものを感じました。

 アニメ版を見ただけでは解り辛い“吠舞羅”の面々の素顔が浮かび上がってくるのがとても面白い。特に、アニメ本編のしょっぱなで死亡している十束が“吠舞羅”においてどんな立ち位置の人物で、その存在が草薙や周防にとってどれだけ重要だったのかがわかるのは凄く良かった。いまいち興味が沸ききらなかったキャラクター達の動きに興味が沸くし、アニメ見直したくなってくる……っていうかアニメ本編は本当もうちょっとこの辺しっかり掘り下げられなかったんですかねえ……(1クールアニメの限界といわれたらそこまでなんですけど)

 ダモクレスの剣というわかりやすい「結末」が見えている周防・十束・草薙がどこかでそれを意識しながらもせいいっぱい楽しくやってる感じや、亡くなった青の王のクランズマン・塩津に、周防がいなくなった後の己を重ね合わせる草薙さんとか物凄く好きなんだけど、もう一組、八田と伏見が奏でる不協和音が凄くて読む度にぞわぞわする。“吠舞羅”の中に居場所を作り、周防に心酔する八田に対して複雑な感情を抱く伏見と、疑うことなく「伏見は自分と同じ気持ち」と信じきっていて、伏見の執着と苛立ちにまるで気づかない(気づけない)八田のすれ違いぶりが凄かった。この辺は最近出たばかりの「Lost Small World」でもっと詳しく語られるけども、伏見の一番近くに居た筈の八田が、十束や草薙さんが気づいていた事にすら気づけなかったのは最大の悲劇だと思う。

 しかし、個人的には最後の伏見と十束のやりとりがヤバかった!!熱くなりやすい“吠舞羅”の面々の中ではどこか穏やかで執着の見えてこない十束が、伏見に対して一瞬だけ覗かせた周防への強い執着にキュンとなる。ある意味、“吠舞羅”の面々の中で伏見と一番似てるのは十束だったんだろうなあ。

「馬鹿言っちゃいけないよ」
 十束の、笑みは含んでいるが真面目な声が響いた。
 伏見は怪訝に眉を寄せて十束を見た。
十束は笑っていたが、それはいつもの人好きのする笑顔とは少し違って、どこか酷薄にも見える笑い方だった。
「何かに執着しているような奴は、王になんかなれない」


 アニメから大分遅れて読んだのですがとても面白かったです!あと、合わせて読みたいコミック版「メモリー・オブ・レッド」。アニメでは出てこないメンバーにスポットが当たったり、夏の激ヤセ状態になる鎌本が大変ウザカッコよかったり、八田と伏見のギスギス具合に転がったり、終盤になるほど抉ってくる十束の行動に転がったりしました。面白かった!


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K -メモリー・オブ・レッド-(1) (KCx ARIA)

黒榮 ゆい、来楽 零(GoRA)、GoRA・GoHands
講談社
発行日:2012/10/12

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ご覧の勇者の提供でお送りします

 

ゼルニア王国に突如として出現するモンスターと戦う勇者たちの活躍を放送する人気TV番組―「勇者テレビ」。騎士団、魔術結社、職人、教会などそれぞれの組織の代表として街を守りながら、組織の宣伝と人気を獲得し、トップ勇者を目指す6人の勇者たちに新たな仲間が加わることに。伝説の勇者の息子で、学生でありながら、勇者に選ばれたフウトは、学園代表として異例のタッグを組んでデビューを飾ることになるのだが…。そのパートナーは―「めんどくさいし、勇者だったら、一人でいいじゃん」やる気のない美少女で!?波乱のニュー勇者ファンタジー! (「BOOK」データベースより)

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 どこからか現れるモンスター達を倒す「勇者」達の活躍を中継する「勇者テレビ」。番組に登場する勇者達は様々な団体と契約して支援を受けてその名を背負い、「スキル」と呼ばれる特殊能力を持って戦う。かつて魔王を倒した「伝説の勇者」の息子・フウトは狭き道を突破して通っている学園の「勇者」として活動することになったのだが、彼とコンビを組むことになった生徒会長の少女・フィオーレには全くやる気が見られない。デビュー戦で大失敗をしてしまった彼は、人気を取るために他の勇者達の戦略を学ぼうといいだしたフィオーレにつきあわされ、他の勇者達を訪問することになったのだが!?

 行動の結果の称号としての「勇者」に憧れるフウトが、職業としての「勇者」になってやる気のない相棒に振り回されたり、上手く戦うことが出来ずに葛藤したり、理想と現実の差に思い悩んだりしながら成長していくお話。勇者に憧れながらも能力を上手く発現させられないが故に上手く戦えない少年と強大なスキルを持ってしまったが故に戦うことを忌憚する少女が、お互いの存在や他の勇者達の「勇者」としてのあり方を知りながら少しずつ折り合いを付けていく姿がアツかった。恐らくまったく同じ原風景を胸の中に描きながらも、対称的な道を歩もうとしている2人の姿が印象的でした。

 特殊能力「スキル」を持つ人間達とそれ以外の人間達の微妙な温度差が引き起こすトラブルがあったり、なんか胡散臭い話が裏で渦巻いているようだったりと、世界観そのものはかなり重たいのに、その重たさを感じさせないあったかいお話。勇者達が仲間でありながら一種の「商売敵」としてお互いを切磋琢磨していく関係もなんだか心地良いものがありました。

 バトルメインというよりも人々の絆がメインと言う感じのお話でとても好き。そんな物語を象徴するようなフウトの「スキル」にも思わずにやにやしてしまいました。面白かったー!!しかし、細かい所できっちり差別化してるとはいえ、どうしても基本設定のところで今劇場版やってるあのアニメを彷彿せざるをえないのちょっと損してる気がする……。

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艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します! 2

 
NOCO

横須賀鎮守府に、陽炎もよく知る同型艦・不知火が転属してくることに。深海棲艦に対し大規模な作戦を実施すべく艦娘を集めているのだ。また一緒に戦えると喜ぶ陽炎だったが、逆に曙たち第十四駆逐隊の面々は、自分たち以上に陽炎を知る不知火に対して微妙な気持ちに…。そんなぎくしゃくした空気を孕む中、横須賀鎮守府の総力を挙げた攻勢作戦が開始されるのだが―。話題沸騰のファミ通文庫版『艦これ』公式ノベライズに、待望の第2巻が登場!! (「BOOK」データベースより)

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 陽炎を主人公にしたファミ通文庫版ノベライズの第2巻。今回は、陽炎が横須賀にやってくるまえ、呉鎮守府で相方的ポジションであった不知火が横須賀鎮守府にやってくる、というお話。

 予想以上に不知火が陽炎大好きっ娘で、前回しっかりと絆という名のフラグを立てられた第十四駆逐隊の面々と火花(?)を散らす……ってこれなんて百合ハーレム!?完全に不知火をライバル視している曙のツンギレぶりが可愛すぎるんだけど、舞い上がる陽炎の姿を見てなんだかんだで面白くないほかのメンツの行動にもニヤリとしてしまった。

 しかし、そんなピンクの匂いとは裏腹に本編は至極シリアス。イベント海域を舞台に、艦娘達は生きるか死ぬかギリギリの戦いを強いられていきます。「元は普通の少女」であることを一番強調している物語だからこそ、近代化改装や改造もまた違った意味を持ってくる。「艦娘」として強くなりたいというまっすぐな気持ちと、改造を行うことでもうふつうの「少女」には戻れなくなることへの不安・戸惑いの間で揺れる陽炎達の姿が印象的でした。そして、そんな葛藤を乗り越えた彼女たちが行方不明になった不知火の救出に向かう姿がかっこよかった。特にゲームでの彼女達の脆さを知っていると、ル級vs睦月型2人の対決がアツすぎる。

 艦隊としての仲間としての絆、女の子同士の友情、そして同系艦の間で育まれる独特の関係性が濃厚に描かれていて凄くよかった!しかし、次巻からは別の鎮守府での物語と言うことで、これまでのキャラクターなど、どういう事になるのかが気になる。というか横鎮提督好きだったんだけどなー提督も変わっちゃうのかな……。

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艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆

 

「どうして私、人間の女の子に…?」激闘の末に轟沈したはずの空母・瑞鶴が目覚めると、彼女は“艦娘”と呼ばれる少女の姿になっていた。かつての戦いの記憶と能力を持つ“艦娘”となった瑞鶴は姉・翔鶴と再会し、“提督”と呼ばれる男から人類の敵・深海棲艦の存在を知らされる。彼女は懐かしの地によく似たこの世界を守るために再び戦うことを決意するが、それは自身の過酷な宿命と向き合うことも意味していた―。“幸運の空母”瑞鶴の視点から大人気ブラウザゲーム『艦これ』の世界を描く超弩級“戦記”小説、ここに抜錨! (「BOOK」データベースより)

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 「艦隊これくしょん」のノベライズ、富士見ファンタジア文庫版は瑞鶴を主人公にして、かつての「艦」としての記憶をはっきりと持ちながら『艦娘』としての二度目の生を送る少女達の物語です。

 オリジナル設定と史実・ゲーム要素の絡ませ方が物凄く面白かった!艦これの舞台が「あの戦争」が起こった世界とは似ているようであらざる世界として位置づけられていて、過去の戦いの記憶を持ったまま新たな戦いに臨む彼女たちが、切り離すことはできない過去の因果・宿命を背負いながらも懸命に戦っていく姿がアツい。かつて“幸運の空母”と称された瑞鶴と、彼女とは対照的に“不幸艦”と呼ばれる姉の翔鶴を中心に、ゲームではきわめて不確定なステータスである幸運値を史実であった出来事と絡ませてくるのが興味深かったです。

 そしてある時は軽薄に、そしてある時は冷徹に彼女達の戦いを支援しながら、幸せを願う提督がまた地味に良いキャラしてる。「勝利のため」と時には冷徹に艦娘達を戦場へ駆り立てながらも、その裏には艦娘達を護りたいという強い意志と、艦娘達を「兵器」として扱う軍上層部との間で板ばさみになっているような言動がみられるのにとてもニヤニヤする。あと、あふれ出るイケメンオーラ。

 自らを憎まれ役に貶める事で苦労を背負い込んでしまう不器用さがほんとこの人、生き辛そうな性格しているなあという感じで大変妄想が膨らみました。 軍上層部に弱み握られて掘r

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甘城ブリリアントパーク3

 

高校生なのに遊園地の支配人代行・可児江西也は悩んでいた。当面の資金難からは脱したものの、集客を伸ばさなければ待っているのはゆるやかな廃園だけ。しょぼいと評判のパークを立て直すにはゲストが夢中になる新要素が必要だ!!そう夢と音楽が詰まったド派手でブリリアントなミュージカルショーが!!「消火班!消火班!どこ行ってるぴー!?消火班―!」…リハーサルをすればボヤ騒ぎ、新入りキャストへの執拗な可愛がりによる人材不足、さらには出席日数不足に伴う支配人代行留年危機問題など、トラブルが次から次へと頻発!やっぱりダメダメな「甘ブリ」を西也は三度救うことができるか!? (「BOOK」データベースより)

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 パーク内外でのドタバタ騒ぎをメインにした短編集。

 前巻で採用となったアルバイトの少女・中城椎菜の視点から描かれる「中城椎菜は逃げ出したい」が凄く良かった!引っ込み思案な女の子が軽い気持ちで遊園地のバイトをはじめたら、憧れていたマスコットどもがオヤジ丸出しだったり、とんでもないしごきを受ける羽目になったり、苦手な接客業で涙目になりながらなんとかパークの一員として成長していくお話で、等身大の女の子の視点から描かれる、妙な現実ぶりに夢をぶちこわされつつも、それでもやっぱりちょっと不思議な魔法の世界が凄く楽しい。これまで「甘ブリ」には変わり者しかいなかったからあんまり伝わってこなかった非日常感がビンビンに伝わってくるお話でした。

 あとがきでこの話が本編第一話になる予定だったって言われてますけどそっちのほうが良かったんじゃないでしょうかまじで……本編2巻まででイマイチ伝わってこなくて違和感を感じていた部分を綺麗に拭い去ってくれたお話だったので、もっと早くに読みたかった。

 同じ理由で「もっと早く読みたかった!」と思ったのが出席日数が足りない西也の変わりにパークの面々が彼の身代わりとして学校に通う「出席日数が足りない!」。先ほどの椎菜視点の話と含め、主人公である西也の学校での立ち位置や性格、そして身代わりになったパークの面々のキャラクターがよくわかるお話で、面白かった。モッフルがさりげなく椎菜に対して親バカむき出しにしてるのが凄い微笑ましい。だけどやっぱりナルシスト設定は無理あるとおもう(真顔)

 魔法の国の仕組みやモッフルの過去がちょっとだけ明らかになる「魔法の国へ行ってみよう」。ファンタジーな設定盛り込んできたかとおもえばその途端に現実的なネタぶちこんで台無しにしてくるこのバランス感覚は本当に楽しい。魔法の国の人身事故に爆笑した。色々な意味で次巻以降への期待が高まるお話でした。

 それにしても、妖精たちを人間バージョンで撮影できる「魔法のアプリ」の話は是非ともアニメでやってもらいたいですねっていうか個人的にマスコット3人組に無駄に豪華なボイスつけてくれるのをめっちゃ期待してるんですけど、3人ともオヤジイメージで想像してたのでティラミーとマカロンの人間バージョンで緑茶ふいた。どうしようこの見た目じゃあティラミーに代永ボイスついちゃう……!!!マカロンには小野Dとかきてもおかしくない!!!(ビクンビクン)

 あとこの見た目で確信したけどモッフル受けだわ。ど受けだわ。

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東京レイヴンズEX2 seasons in nest

 

クリスマスといえばプレゼント交換にミニスカサンタ、そして―式神のひく橇で夜空を飛翔!?未来の陰陽師を育成する機関―陰陽塾。クリスマスとは無縁そうなこの学び舎だけれど、一年で一番盛大に行われるのは、なんとクリスマス・パーティーだった!ただし、呪術が息づくこの場所で、普通のパーティーで終わるわけがなく…。聖夜をはじめ、節分、新入生との交流、三者面談など、陰陽塾に訪れる、四季折々の騒動を綴った短編集が登場!のちに『三六の三羽烏』と呼ばれることになる大友や木暮たちの陰陽塾生時代を描いた書き下ろしも必読。(「BOOK」データベースより)

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 クリスマス、節分など陰陽塾での季節の話を中心にした短編と、木暮視点から描かれる木暮・大友・早乙女涼の「三羽烏」結成秘話+αを収録した短編集。

 とりあえず春虎・冬児好きとして「バトル・オブ・ビーン」に触れないわけにはいかないんですけど、普段割と落ち着いたイメージの冬児が節分の豆まきを嫌がってブチキレて大暴れする姿にニヤニヤが止まらない。そして一応心配してくれてる(に違いない)大友先生を完全スルーして悪友の春虎と真顔で対峙する姿に腹筋が攣りました。敵味方に分かれてもお互いの呼吸を理解しあっている悪友な2人の対決にニヤニヤせざるをえないんだけどそれ以上に本線のストーリーが酷すぎ(褒めてる)だよ!!あと大友先生のオヤジ術式が酷い(これも褒めてる)

 三羽烏結成秘話を描く「エンカウンター・トライアングル」はまず木暮さんの荒れっぷりにびっくりしたんだけど、東京にやってきて自らの実力を持て余して孤立していた木暮が自分以上にクセモノな大友や涼と出会い、少しずつ自分の考えを改めていく姿がとてもよかった。2人との出会いによって木暮は文字通り人生ごと変えられたんだなあとおもうとじんわりする。あとがきによるとその後の彼らの短編も来る予定との事なので、そちらも楽しみにしていたいです。

 EX1と同じく、本編の時間軸を思い出すと陰陽塾でドタバタしてる短編がイチイチ既に戻らない輝かしい過去という事実を定期的に思い出していちいち辛いんだけど、今回は本編の展開と三羽烏の過去編をふまえてラストの「エピローグ」で追い討ちをかけてくるのがとても酷い(褒めてる)と思いました。大友の言動から浮かんでくる物語の時間軸と、過去を重ね合わせたかのような展開が辛い。それとなく陰陽塾のその後も示唆されていて、否応無しに11巻への期待が高まる1冊でした。

 ところで、BOOK★WALKERで購入すると文庫未収録の小説(7巻の店舗特典だったもの)が特別収録されているんだけど、こちらに収録されていた「なつめ日記」が物凄く意味深で、何故これを特典限定にしてしまったのか!!と問いたい。

 幼い頃の春虎と夏目が京子との約束でリボンを探すお話なんだけど、まだ見ぬ京子に子供らしい独占欲と嫉妬を覗かせる夏目はともかく、春虎の行動が色々な意味で上手く言葉に出来ないけど意味深で……。子供らしい邪気の無い行動といってしまえばそこまでなんだけど、この春虎がここまであっさり夏目のいう事を優先してしまうのは些か違和感を感じて。ただの「幼馴染」や「仲の良い親戚同士」というよりもある意味「土御門家の式神」としての夏目と春虎の関係を示唆するエピソードなのではないかと思ってしまって、上手く言葉に出来ない。ほんとなんでこれ特典限定小説なんだ皆読んでもだもだすればいいのに……。

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