ページ 7 | 今日もだらだら、読書日記。

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ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた 1

 

VTuber・声優・幼馴染――『推し』たちが家にいる夢のような生活
大人気VTuberアンリエッタとアイドル声優の八住ひよりが『推し』の大学生・天童蒼馬。ある日彼が住むマンションに、なんと『推し』たちが引っ越してきた! アンリエッタに扮する林城静、八住ひより改め支倉ひより。ある日、上京したての静に、寂しいから夕飯を一緒に食べてほしいとお願いされる。それをきっかけに静、ひよりと食卓を囲むことになった! 夢みたいだと思っていた蒼馬だったが、過ごしていくなかで見えた彼女たちとの「素」に、理性が崩壊寸前!?  「いい……よ? ぎゅーって……して、あげても」「いっしょにいて……お願い」 どうしてこうなった!? 隣の『推し』たちと始まる、半同棲ラブコメディ!!

ひとり暮らしの大学生・天童蒼馬は、ひょんなことから隣に引っ越してきた美少女・林城静の正体が自分の推しのVtuber「アンリエッタ」であることを知ってしまう。Vtuberとしてのキャラクターとは裏腹にポンコツ気味な彼女の世話を色々と焼いている内に、なぜか推し声優の八住ひよりや同じ大学のマドンナ・水無瀬真冬(実は幼馴染)までが隣に引っ越してきて…!?

Vtuberと声優と幼馴染がヒロインの四角関係ラブコメ

どちらかというとVtuberもの、推し活要素強めのラブコメを想像して手に取ったのですが、思った以上にそっち系の要素は薄くて、普通に「そういう職業の女性」がヒロインをしている四角関係ラブコメでした。個人的には前者を求めていたので思ってたんと違うだったんですけど、Vtuberやアイドル声優が「オタクもの」という括りではなくて普通にラブコメのヒロインとして出てくるのは凄く時代の変化を感じて感慨深いものがありますね。なんというか、「オタク」や「推し活」をメインにしなくても物語が成立する程度にその要素が特異なものではなくなったということなんだよな、多分。それはそれとして、ひよりさんの出世作がどうよんでも○ャニマスでフフ……となってしまった。

個人的にVtuberの中の人なヒロイン・静と主人公・蒼馬のお互いに気を使わないけどしっかりお互いのことを異性として意識しているという関係性がとても好きで、そんなふたりを見守っているのかそれともヒロインとして名乗りを上げたいのか微妙に真意がわかりづらいアイドル声優なお姉さんヒロイン・ひよりさんの距離感も凄く好み。最初はミーハーな一目惚れからはじまった静が少しずつ蒼馬の人となりを知って改めて惚れていくまでの流れがとても甘酸っぱいし、「推し」としての彼女達のプライベートな姿を知ってちょっとがっかりしつつも推しではない彼女達自身に好意を感じていく蒼馬の心の動きも良い。ただ鈍感なだけではなく、男としてしっかり感じるところは感じつつも彼女達との温かい時間を大切に思っているというバランス感覚も良いなあ。ラブコメはあまり得意じゃないのですがこういう赤の他人からはじまって紆余曲折ありつつステップアップしていく三角関係モノが大好きなので、そのへんは凄く楽しく読みました。

ただ、途中からヒロインが増えて四角関係になるんですが、その最後に生えてくる幼馴染ヒロイン・真冬まわりの展開にちょっとノれなくて。理由もわからず久しぶりに再会した顔もろくに覚えてない幼馴染から一方的にヤンデレに近いくらいのレベルで執着されるの普通に怖い。無許可で合鍵作られて主人公のベッドに潜り込んでくるのも怖いし、学校でわざと蒼馬とイチャイチャして他の男子生徒達のヘイトを向けさせて悦に浸ってるのは可愛いというより性格悪……って思ってしまった。彼女がそこまで蒼馬に執着する理由、蒼馬と再会する前のクールビューティーな彼女がもう少ししっかり描かれていればそのギャップで可愛いな〜〜!!と思えたのかもしれないけど、プライベートでの描写が最低限しか無くてこちらには久しぶりに再会した幼馴染の男に異常な愛情を向ける所しか伝わってこなくて可愛さの説得力が薄いまま作者のお気に入りらしくてどんどん出番が増えてくるの怖い。普段は気遣いの人である蒼馬がこんなとこだけ古の鈍感主人公みたいな察しの悪さを発揮してあからさますぎる真冬の好意に全く気づいてないのがまた怖い。読み手の視点だと蒼馬って凄いかっこいい主人公だと思ったしヒロイン達からの共通認識もそうだと思うんですが学校だと冴えないオタクのフツメンみたいな扱いをされていて、真冬ちゃんに似合わない!!って言われまくるのもこちらにはホラーしか感じませんでした。みんなだまされてる。

真冬の件もだけど、全体的に脇が甘めな登場人物たちの動きを見てそんなことしたら炎上しちゃう!!とかリアル住所特定されても知らんぞ!!とかばっかり考えてしまって、オフコラボの展開やクライマックスのホラゲ配信でのラッキースケベを楽しみきれなかったのもめちゃくちゃに感性の老化を感じた。合わなかった、という以上に年取ってこういうラブコメを楽しいと思える感性が死んでしまったんだなあ……という悲しみ。それはそれとしてリアルとプライベートでそれぞれに二面性のあるヒロイン3人の「両面」が伝わりづらく感じたので、もう少し丁寧に描いてほしかったなとも思いました。真冬の可愛さが伝わってこないは前述しましたが、静のVtuberとしての清楚な姿・ひよりのアイドル声優としての姿もちょっと本文で言われてるほど違いがあるように思えなくて。

静はメインヒロインだからか時々一人称視点が入ってそこが凄く人格の掘り下げとしてよかったので、特に真冬視点の描写とかはもう少し増やしてほしかった気がしました。(ひよりさんは真意が解らないところが良かったのでこのままでいいけど……)

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魔術師クノンは見えている 4

 
Laruha

校舎が一晩で森林化!? 事件の渦中には当然、まだ一年生の天才魔術師が!
狂炎王子との魔術戦がついに実現! 教師や特級クラスの面々、果ては世界一の魔女までもが見守る死闘の行方は……? さらに、クノンは休むことなく次なる研究テーマ――「魔術を入れる箱」の開発に取り組む。その前代未聞の魔道具開発は、派閥のリーダーを含む特級の生徒五人が、半年がかりで取り組む一大プロジェクトに! しかしなぜか、校舎が一晩で森林化する異常事態が発生し、大騒ぎに……? 魔術学校一年目の集大成、魔術の深淵を垣間見る第四弾!!

魔術学校の二学期が終了したある日、待ちきれなくなったジオエリオンとクノンが魔術で対決することに。内々にやるつもりが、気がつけば同級生に先輩に教師に世界一の魔女グレイ・ルーヴァまでが観戦する一大エンターテインメントに!?そして、予定通り半年で単位の見込みを立てたクノンは研究チームを発足させて大本命である「魔術を入れる箱」の開発に取り組むが、それが思わぬ結果を呼ぶ羽目に……!?

「待て」が出来ない男たち

前巻のジオエリオン「焦がれて待とう」から今巻第一話『焦がれた逢瀬』までのこのスピード感。1年生ではトップクラスの魔術使いである二人の魔術対決は周囲の期待に応えてめちゃくちゃアツくて面白いものだったんですが、それはそれとして自分で逸るクノンを留めておきながらも全くクノンとの逢瀬を我慢できないジオエリオンに笑ったし、待ってましたとばかりに即受けるクノンにも笑ってしまった。というかもう魔術対決のはずなのにいちいち描写が恋人同士の逢瀬みたいなんですがそこんとこどうなんですか!?クノンの性別が違ったらまじでミリカ様に超強力なライバル出現!!になるところだったので危ない。(ミリカ様は仲の良い男男を外から見守りたいタイプ)

こんなの作中の同学年女子だったら腐ったオタクになっちゃうじゃん!!とおもったら普通に作品内世界でクノンとジオエリオンのカップリングが流行ってて指さして笑った。ですよね〜!!!クノンとジオエリオンの二次創作があったらご一報くださいどっちが上でもいいです。

これまでの集大成という名に相応しい1年生編クライマックス

色々な意味で初っ端のクノンとジオエリオンの魔術対決にインパクトを持っていかれがち(※個人の感想です)な今巻でしたけど、魔術学校1年目の集大成という説明に相応しいこれまでの総決算のような内容でした。同じ特級クラスや“派閥”で知り合った面々はもちろん、クノンが波乱の種を巻いた二級クラスの顛末まで含めて、色々な意味でクノンが入ったことで様々な化学反応がおきたのを感じられて楽しい。

特に感情が欠落していたはずの聖女レイエスの成長がめちゃくちゃ面白かった。感情を持たなかった人間が感情を獲得するという物語がこんなに笑えちゃっていいのか。里帰り回で、昔の彼女を知る人々がすっかり金と作物の虜になって帰ってきた聖女をみて困惑するのめちゃくちゃ笑うし、トドメとばかりに彼女が学園に戻った途端に発生した例の騒動とそれに対する反応には本当に笑うしかなかった。特に作物について、言ってることが完全に「面倒くさいオタク」なレイエス、もう感情が無いというよりは単に「感情が表に出にくい」レベルなんですよね……むしろ生まれた感情に振り回されてる感すらある。

そんなふうに周囲に大きな影響を与えながらも本人はあくまで自分の欲望に正直に、マイペースに生きてるクノンでしたけどそんな彼だからこそジオエリオンへの執着と魔女グレイ・ルーヴァと会話した際の反応が印象的でした。特に後者の取り乱しっぷりはなかなかすごい。女性に対してはつねに紳士なクノンがあのハプニングをやらかすのはなかなかいい感じに取り乱してたよなあ。

婚約者のミリカも動きはじめて、今後がどうなっていくのか更に楽しみになったシリーズ第四巻でした。それにしても学校の面々はまだしもリンコやミリカまで男同士はやぶさかでもない!!とか言ってるの笑うんですよ。男男間クソデカ感情が嫌いな女子なんていません!!(クソデカ主語)

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100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。2

 

ルル―シェ、最後の一日を遂に迎える!?
「小説家になろう」発の話題作を大幅に加筆修正!! ルルーシェ最後の100日、その最終日を遂に迎えます。 GAコミックにて、コミカライズも進行中!! 「わたくしとの婚約を破棄してください」 ルルーシェは第一王子サザンジールに婚約解消を申し出る。 死を避けられない自分を忘れ、新たな王妃との人生を歩んでもらうために――。 「ルルーシェ! 俺と結婚してくれっ?」 しかし、サザンジールは婚約解消に応じることはなく、むしろ積極的に迫るように!? 「ルルーシェを独り占めできるなんて、最高だね」 さらに第二王子ザフィルドまで露骨に誘惑をするようになり、ルルーシェを取り巻く環境は大きく変わっていく。 『ねぇ神様。例のお約束の件、覚えていてくれてますか?』 『何でも欲しいモノってやつ? もちろん覚えているよ』 神様との勝負【美しい死に様】を遂げるため、ルルーシェは全力で100日間を駆け抜ける。 「最期までちゃんと見ていてくださいね」 そして迎えた人生最後となるダンスパーティの夜、ルルーシェに奇跡が起きる……。

百日後に死ぬ事を「神」から告げられた令嬢ルルーシェは最も美しい最期を迎えるために奔走していた。自分の死後に禍根を残さないため、婚約者である王太子サザンジールに婚約解消を申し出るのだが……なぜか彼はその日以来熱烈なラブコールを送ってくるようになってしまい!?

最高に美しい死に様、しかと見届けました

面白かった!!特に2巻での展開はタイトルから想像する「楽しい」なんて状況とはかけ離れていて、実際はむしろあらゆる方面において逆境だらけの百日間だったとおもうんですけど、最後まで弱みも見せず胸を張って心から「楽しい」と言って生き抜いたルルーシェの生き様が美しかった…!

彼女が決して何事にも動じない鉄の女だったわけでも他者のために自分を犠牲に出来るような出来た人間だったわけでもない。むしろ普通の少女のように死に怯えたり婚約者との関係性に胸を傷める様子はちゃんと描きつつも他の人にはそんな美しくないところは見せない、それが一貫して最期まで貫かれているの本当に凄かった。あらすじで「奇跡が起きる」だったからひょっとして最後の最後でご都合主義復活エンドある!?って密かに期待してしまったんですが、逆にこんな完璧に100日間を駆け抜けた彼女に対してご都合主義復活エンドとか失礼でしかなかったなと。

残りの日数を自分が楽しむことに使っても問題ないのに、最後まで自分が愛した人々と彼らが生きる国を守るために奔走し続ける姿が、覚悟を持って迎えた最期の一日が、とても美しかったです。

後日談がまた凄く良い

そして、どこまでも鮮やかなままに舞台から退場したルルーシェの存在を心に刻み付けられながら、彼女の居ない日々を生きていく周囲の人々の後日談を描くエピローグ「白貝を外さない花嫁の独白」がまためちゃくちゃに良かった。ルルーシェからの教えを受けて強く美しく成長したレミーエ嬢の成長した姿が、100日かけてルルーシェが繋ごうとしたバトンを受け取った彼女が様々な障害・身分の違いを乗り越えて「自分の亡き後サザンジール殿下を支えて欲しい」という彼女の想いに応えるために奮闘する姿が良すぎるし、その豪胆さと淑女ぶりが、完全に「彼女」の生き様を受け継いでるんだわ……。

サザンジール殿下は本当にルルーシェのことが好きだったんだなというか、前巻でレミーエとの出会いのエピソードからはじまり、婚約解消を申し出られてからはもうなりふり構わずルルーシェに追いすがっていく姿が微笑ましい(それが回り回ってルルーシェの立場を悪くする一因になっていたりするので手放しで称賛はできないのだけど)。最期まで破天荒な婚約者に振り回され、それでもひたすらに一途な愛を捧げ続けた彼が、ルルーシェの死後に今度は彼女の遺志を受け継いだレミーエに振り回されているのを見ると思わずニヤニヤしてしまう。

サザンジールとレミーエのカップル、良くも悪くもルルーシェが存在しなければはじまってすらいないだろうというか、夫婦になってもルルーシェ好き同盟というか共犯者的な関係になってそうなところ最高に好きです。夫婦になっても二人きりになるとルルーシェの思い出話で盛り上がってしまう二人というか、心の一番大事な所にルルーシェを住まわせている者同士というか、ここにはいない誰かを中心に繋がってる本来出会うことのなかった二人という関係性が本当に好きで……。

タイトルの通り定められたエンディングに向かって一直線にひた走る、儚くて美しくて力強い物語でした。本当に面白かった…!!

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勇者症候群

 

世界に仇なす《勇者》を殲滅せよ。
 勇者、それは世界を救う特別な力。夢の中で「勇者」と称えられた少年少女は、ただ美しき女神の言うがまま魔物を倒していた。  ――――その魔物が“人間”だとも知らず。  《勇者》、それは世界を滅ぼす特別な力。謎の生物「女神」に寄生された夢見る少年少女は、無意識の怪物と化し破壊と殺戮を尽くす。  そこに悪意はなく、敵意もない。ただ一方的な正義のみが押し寄せる終わりなき戦い。その均衡は少年・アズマが率いる勇者殲滅の精鋭部隊『カローン』によって保たれていた――。  《勇者》を人に還す研究をしていた少女・カグヤは、ある日『カローン』への所属を命じられる。だが過去の災厄で全てを失ったアズマたちにとって、カグヤの存在は受け入れ難いもので……。    少年は《勇者》を倒すため。少女は《勇者》を救うため。二人は衝突しながら、ともに戦場へと赴く――!  第29回電撃小説大賞《金賞》受賞、電撃文庫が贈る出会いと再生の物語。

少年少女が異形の怪物──《勇者》となり、意識を夢の世界に落としながら現実で破壊と殺戮を尽くす。「それ」を目視することができるのも、立ち向かうことができるのも同じ少年少女だけである。それに立ち向かう力を持った子供たちは「殲滅軍」という組織を作り《勇者》の肉体から作られた武器を手に取り、社会の裏側で孤独な戦いを続けている。ある日、《勇者》を元の人間に戻す研究をしていた研究者の少女・カグヤは最前線の精鋭部隊『カローン』に転属させられることになり……!?

歪んだ戦場の最前線で始まる暗黒系ボーイミーツガール

異形の怪物《勇者》と、それを殲滅する少年少女たちの物語。人間の身でありながらかつて人間だった異形を殺していくジレンマ、大人のいない組織特有の歪み・閉塞感、明日をも知れぬ身でありながらいつかを夢見る少年少女達。絶望の中で救いを求めるように手を伸ばす少年少女が戦場で出会うボーイミーツガールという、懐かしくも新しい感じが大変に好みでした!そう私は電撃文庫が細々と受け継ぐ絶望の近未来で大人の居ない戦場に駆り出され世界を背負わされて戦う少年少女達が絶望の中に一筋の救いを見出したりしなかったりする青春ボーイミーツガールに魂をひかれた女!

異形は大人には「見えない」。だから事件として認識すらされない──という設定が個人的にめちゃくちゃ好きなんですよね。成人後のメンバーもいないわけではないけど基本的には子供達が中心の組織で、しかも殲滅「軍」というの、めちゃくちゃいい感じに組織としてのアンバランスさ・歪みを感じる……しかも、勇者を研究しているはずのカグヤが「女神」の存在を知らなかったこととか、そもそも最初の異動の件からしてどこかにただ勇者を殲滅するだけではない思惑が潜んでいそうで。いやこのへんは続巻が決まっているようなので次巻で少しでも燐片を見ることが出来るでしょうか。楽しみだなあ。

勇者を人間に戻す研究をしていて出来れば戦わずに事件を収めたいカグヤと勇者を殲滅することこそ救いだと考えるアズマ。正反対の考えを持つ2人が最初は衝突ばかりしているのも大変好み。気が合わない理由がはっきりしているからこそ相容れない彼らが「少しでも犠牲者を減らしたい」という願いを共有することで少しずつ解り合っていくのがとても美味しい。ふたりの間だけでなく、アズマ率いる最前線部隊『カローン』の面々とカグヤが最初は険悪だったところから少しずつ解り合っていき、最後には掛け替えのない戦友になっていく展開もアツかったです。

大切な仲間を喪い、しかしその中で掴んだ一筋の希望。「戦わないで《勇者》を止める」というカグヤの言葉が現実味を帯びてきて、チームとしてもまとまってきて……というところから唐突な別離、再び絶望に突き落とされる中盤。カローンの面々は死地に挑み……自分が本当は何をしたいのかを思い出したカグヤが仲間のもとに走る終盤。様々な困難を乗り越え、何もかもを吹き飛ばすような気持ちの良いクライマックスがまた大変に良かった…!!楽しかったです!!

気になる部分がないわけではなかった

クリーチャーデザインがあの「まどか☆マギカ」シリーズでお馴染みの劇団イヌカレーさんで、特にライトノベルらしいぱっきりとしたりいちゅさんのイラストとイヌカレーさんの独特な雰囲気のクリーチャーが融合している口絵とか本当に素晴らしく、「夢」との戦いをキーワードにした本作とも方向性が合致していて凄く良かった……のですが、読み終わってから振り返るとイヌカレーさんのインパクトが強すぎて結構一部某作品の設定を脳内で勝手に補完してしまって読んでいる部分があって、このへん良くも悪くも有名税だなあと思いました。それで設定はぜんぜん違うんですが、この設定ってなんでいまさら説明出てくるんだっけ?あれ思ってた設定と違うな?みたいなのが若干あった。

あとこれは他の人の感想を見て自分も疑問に思ってしまった部分なんですが、《勇者》の名付けってどこから来てるんでしょうね。カグヤが解き明かすまで人間が異形に堕ちる明確なメカニズムは不明だったのではないかと思うので、プロローグを読んでると自然に入ってしまうネーミングなんだけど謎といえば謎なんだよな……このへん、今後の展開で明かされるのかなあ。

ただ、結構細かい部分で気になるところはあったんですけど、そういう部分がどうなっていくのかも含め続巻が楽しみな作品でした。2巻決まっているので安心して待とう。

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VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた6

 

憧れのVから衝撃の依頼届く!? VTuberコメディ第6巻!
VTuberの黎明期を支えた伝説的V・星乃マナ。その卒業が発表されたことにより淡雪に激震走る! 憧れの存在の卒業、そして一時代の終わりのような出来事にしんみりする淡雪の許に、驚愕の依頼が届き!?

配信切り忘れ事故をきっかけにして着実に人気を伸ばし、今やライブオン3期生の中でも中心的な存在となった心音淡雪のもとに、ライブオン外のVtuberからコラボ依頼が届く。それはなんと、伝説的Vtuber・星乃マナの卒業配信にゲストとして参加して欲しいという依頼で……!?

とにかく安定して面白い

淡雪単体の配信回でのコメント欄とのテンポの良い掛け合いも安定して楽しいし、ワルクラ配信・一般常識テストの回などのライブオンの他Vと絡む回はどんどんカオス度が上がっていて、読んでいて安定して面白いなあ。エーライさんの動物園で自ら率先して隷属プレイしてるネコマ先輩が面白怖い。序盤から存在が濃ゆかった聖様や有素ちゃんは置いておくとしても他のライバー達も巻を経るごとに個性が強くなっていって、今となっては……。もう変な性癖付けされてないキャラってましろんくらいでは?ましろんがボケに回るともうライブオンのストッパーが誰もいなくなってしまうので彼女だけはこのままで頑張ってほしい。とはいえ、ただのボケかとおもっていると不意打ちで淡雪への強い執着を覗かせて反撃してきたりするんですけどこの人も。

あと個人的には、お悩み相談回の晴先輩と淡雪の掛け合いがめちゃくちゃ好きです。どっちもボケもツッコミもやれて周囲に遠慮なく無茶振りしていくスタイルなのでひたすら会話のテンポが良いんだよな。巻き込まれた還ちゃんあらため赤さん……改めバブリエル……は災難でしたが!!

そしてなにげに今回、組長もといエーライさんの中の人が……!!ライブオンの面々割と皆中の人がそのままライバーやってる感じの人が多かったので、このギャップがある感じはとても美味しい。ライバーとしてのエーライさんからすると結構予想外のキャラなんだけど、普段の「組長」の方を見ていると納得できる人物像でもあるんだよな。

良い最終回だった(※終わってません)

晴先輩を同じところに引きずりおろし、聖先輩とシオンママのカップル成立にも尽力し、その後も先輩・後輩・同期全ての性癖を暴きまくってきた心音淡雪の物語。第一部完というか物語の一区切りともいえる今回の巻の最後の最後で淡雪自身の出自と自身の心の中を掘り下げていく展開がとても良かった!

家族の温もりを知らないまま天涯孤独の身となり、自分の知らない「家族」という概念にトラウマを抱え、内心で「家族」からの愛情に飢えていた雪がVtuber活動を通して真実の家族を手に入れる。これまでの与太話の全てがなくては成立しなかったであろう星乃マナ卒業配信回「狂おしい最愛の家族」がこれまでの集大成として完璧すぎる。淡雪のサプライズ登場で色んな意味で沸き上がるライブオン以外のファンたちの反応に笑ってしまったし、淡雪の晴れ舞台に先輩後輩同期揃ってコメント欄に駆けつけてくる展開には思わずニヤニヤしちゃう。

物語はこれからも続くんだけど敢えて「良い最終回だった」と言いたくなる展開で、物語は次のステージへ。いやでも現時点でも結構キャラクターがいっぱいいっぱいな感じはあるんだけど、更に変態が増えてしまうのか!?5期生登場の新展開が楽しみです。

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はたらけ!おじさんの森 3

 

のんびり無人島ライフから格闘ゲームへ!?  おじさん達がロックバンドに!? あにまる達も続々!
温泉のあまりの気持ち良さに、とうとうパンダがおじさん島の住民となった。 パンダの仕事を決める為、あにまる達は学級会を開くことになるのだが、 パンダのワガママ発言が飛び出す。 また、フラワー島との同盟も締結し、島民全員で遊びにいくことに。 綺麗な花が咲き誇る島にネコミ達も感激して、二つの島は親交を深める。 そんな平和な島生活がいつまでも続くかに思われたが…… おじさん島に、石ノ森翔という格闘ゲームの主人公の様な風貌のおじさんと、 獅子族のあにまる、ライオネスが訪ねてきた。 ぶどう島という『はたらけ! おじさんの森』計画第二位の島からやってきたのだ。 彼らの島はゲーム開始時、おじさんとあにまるが入り混じるバトルロイヤルを繰り広げ、 勝者となったライオネスが島リーダーを務めるという、異色の島だった。 「吾輩達は、このあにまるワールドを解放しようと思っているレオン」 彼らが目指すのはわかもの支配からの脱却。世界の解放。 そのあまりにもの意識と世界観の違いから、 おじさん島のおじさん達は混乱と気まずさを覚える。 のんびり無人島スローライフゲームから、 生きるか死ぬかの殺伐格闘ゲームへとジャンル変更?  俺より強い島に会いに来た。 一人ぶどう島に赴き、進とライオネスの一騎打ちが始まる。 だが、現在一位の進達おじさん島も黙ってはいない。 武闘派集団のリーダー、ライオネスを懐柔させる為、 おじさんの伝家の宝刀、「接待」が飛び出す! 果たして、温泉、滝、ビールにからあげは、百獣の王に通用するのか!? 疾風怒濤の第三巻、開幕!!!

温泉の気持ちよさで気が緩んだパンダが島の住人となり、前々から親交があったフラワー島と同盟を結んだおじさん島の面々。子どもたちの為に学校を開いたり、からあげや滝で童心に還ったり……とスローライフを満喫していたが、島ランキング2位の島・異色の武闘派集団「ぶどう島」がやってくる。あにまる達をわかもの支配から開放したいと言う彼らに、おじさん島の面々が出した結論は……!?

学校の開設・他島との交流により更に広がっていく世界観が楽しい

「俺より強い島に会いに来た」「ジャンル変更!?」などとあらすじで煽りつつ(それにしてもヒーロー文庫のあらすじ長過ぎる定期)、基本は変わらず気の良いおじさんたちのスローライフとあにまるたちの成長を描く物語で楽しかった!あにまるの子達がどんどん頼れる存在になってきたせいか、おじさんたちのハメ外しぶりがすごかったですね。温泉とビールとからあげでテンション上がるのは正直わかるんですけど、「滝」ってそんなにロマンなの!?わからない世界だ。

生活基盤が安定してきて前巻で開設された「学校」を中心にこれまで手の回らなかった知識の共有を進めたり、新たな知見を得たりしていく展開が興味深い。特にパンダを島民に引き込んだのがデカくて、あにまる社会の中心にいた彼の口から語られる話によって「あにまるわーるど」そのものへの理解も深まっていく。あにまるの子どもたちと一緒に送るスローライフという根幹はブレないまま自然に物語の謎にも迫っていくの凄かった。

そんな展開の中で本能で拒否られているのか、ぶどう島の面々が度々居留守使われてるのには腹抱えて笑ってしまったけど。

なにもかもが正反対な「ぶどう島」との対比が印象的

おじ森プロジェクトのランキング第一位である「おじさん島」に乗り込んできたのが2位の「ぶどう島」。強さこそが正義でライオンのライオネスをリーダーと仰ぎ、ランキングを上げるためには生活を犠牲にしてひたすら岩を砕き続けるという脅威の脳筋おじさん達の集団でした。ただひたすらに強さを求め、わかものに支配されたあにまるわーるどの開放を目指す──というと無骨でかっこいい感じに聞こえるんですけど、ぶっちゃけ融通の聞かない・他人の話をちゃんと聞かないダメなおじさん達の集団だったりするんだよなあ。というか次巻で更に詳しく語られるんですけど、ほんとぶどう島のおじさんたちの生活能力の低さがヤバい。

人の話をあんまりよく聞かない上に下戸、おじさん島の伝家の宝刀であるビールでの接待すら通じない相手にどう戦う!?とおもったら普通に同じ土俵で叩きのめしにかかるのあまりにも強かった。確かに彼らと「わかりあう」にはこの解決しかなかったんですけど!!!進さんがどんどんチートになっていく……。

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孤独な森のひきこもり魔女、王太子妃として溺愛される

 

呪いのせいなのに……完璧王子の溺愛包囲網から逃げられません!
ひきこもり魔女のラスが偶然助けたのは誰もが憧れる王太子アレンだった! 初対面からアレンはなぜかラスに対して好感度MAX! しかも王太子妃に迎えられる可能性が浮上して……もしかして伝説の"溺愛の呪い"にかかってませんか!? 呪いを解くには彼の側から離れなきゃなのに―― 「君は俺の特別だから」 完璧王子の溺愛包囲網から逃げられません!

樹海に引きこもって暮らす魔女・ラスはひょんなことから凶暴化した魔獣に襲われていた王太子アレンを自らの魔法で助け、そのお礼にと王宮に招かれる。すぐに帰るつもりだったのに、「王子の大切な人」として専用の部屋を与えられて侍女を付けられ、帰りますと言ってものらりくらりと躱されてしまう始末。初対面のはずなのにやたらとラスに好意的なアレンの様子を見て、よもや彼は自分のご先祖様が王家にかけた「溺愛の呪い」にかかってしまったのでは…!?と不安になってきて……。

引っ込み思案な魔女と外堀埋めるの早すぎる王子の恋愛攻防戦

アレンがめちゃくちゃ先回りしてラスの逃げ道をふさいでくるこの感じ、いい感じに重てえなあ!!!態度自体はフラットなんだけどあまりにも外堀の埋め方が性急すぎてご先祖様の呪いを信じているラスがそれを疑うのもわかる。これでまだラスへの好意が無自覚な状態での行動だったというのがまた強すぎて、好意を自覚したアレンがなによりも先に父王に結婚の許可を内密に取りに行ってるの笑った。本人全く気づかないままお妃教育まで受けさせられてるのとか本当に外堀の埋め方ァ!!!

何もしていないのに王宮に逗まり続けることに不安を感じるラスに、アレンは自分が所長を務める王立魔法研究所で研究員として働くことを薦める。笑顔が眩しい完璧王子からの囲い込みに怯えていたラスが以前から希望していた王立魔法研究所で働けることになり、自分の研究に打ち込む中でアレンの人となり──年頃の青年らしい一面やちょっとヤンチャな一面も見えてきて、少しずつ打ち解けていくのが微笑ましかった。もう周囲の人から見たらバレバレな両思い状態なんですけど、速攻で外堀を埋め立てられた後はお互いの距離を測りながらゆっくり自然に内堀も埋めていく感じが凄く良いね。個人的にはアレン王子が最後の最後で見せた元ヤン(違)っぷりにめちゃくちゃニコニコしてしまったんですけど!!

その一方でお互いの距離が縮まっていくにつれて、ラスは改めてご先祖様がアレンの先祖に掛けたという伝説の「溺愛の呪い」を意識するようになっていく。アレンのことを求めれば求めるほど彼から愛されることを恐れていくラスと、最初は幼い頃の罪滅ぼしのつもりで彼女と接していたのにどんどんラスのことが好きになっていってしまうアレンの姿が印象的でした。そしてそこに「魔女」の台頭をよく思わない王宮内の勢力が絡んでくる。

かの呪いについては、序盤はともかく読者側に引っ掛けする意図がないレベルだなとおもったんですが(囲い込み方が性急すぎるといってもアレンの態度がフラットすぎるので)最後の最後で最高に雑なオチがついて爆笑してしまった。いやでも、たしかにその確かめ方だとラスは下手したら永遠に気づけなかった可能性もあるわけで……姉様達そういうことはちゃんと教えてあげてよぉ!!

1巻で綺麗にまとまってるのも良かった

誤解も溶けて最後は両思いのハッピーエンド、メルヘンちっくな世界観で綺麗に1冊でまとまっているのがとても良かったです。タイトル・あらすじの伏線が綺麗に回収されすぎちゃってて、続編前提のシリーズではなさそう。ただ、血によって能力を受け継ぐ「魔女」と魔石によって力を行使する「魔導士」の間に確執がある世界観とか凄く面白かったし、続編を出せる余地がないわけではない感じの終わらせ方でもあって、うまいこと続編が出てくれないかなあ〜とも期待してしまう。

あとなにげにラスの使い魔・ロロについて「子猫のなりは真の姿ではない」という言及があるんですけどこの辺の伏線って未回収ですよねたぶん。続編があったらロロがアレンにちょっかいかけてくるみたいな展開で1冊書くつもりで伏線残されてるんじゃないかなあと思ったんだけど……そういう展開めちゃくちゃ好みなので、あるなら読みたいなぁ。

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ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん [Disc Ex]

 

大量書き下ろしとSS再録で綴られる、ハッピーエンドの後日譚!
ゲーム実況を通じて、最高を越えた最高のハッピーエンドを導いた遠藤と小林の二人は、女神リレナの計らいでジークとリーゼロッテの結婚式に参列できることに! 異界の友人たちとついに対面を果たした四人。思い出話にも花が咲く中、『リーゼロッテの手記』の実物を目にした小林のテンションは最高潮に達してしまい……? 大量書き下ろしとSS再録で綴られる後日譚。手記の内容はどれくらい変えられたのか――答え合わせが始まる!

女神リレナの力で、ジークとリーゼロッテの結婚式に画面ごしではなく直接参列することになった遠藤くんと小林さん。初めて直接顔を合わせた4人は結婚式の合間、控室で思い出話に花を咲かせはじめて……!?

幕間・後日談を詰め込んだ糖度全開の完結編!

アニメ放送が無事に終了した「ツンリゼ」の本編では見られなかった幕間の物語や後日談を中心に書き下ろしを含む様々な短編を詰め込んだ完結編。この手の書店特典や公式サイトの限定SSを後からまとめてくれるの本当にありがたいですよね。行動範囲内に書店がなかったり複数買いのハードルが高かったり、そもそも後からハマったりするとどうしようもなかったりするので……全作品で義務付けてほしい。

相変わらずニヤニヤの止まらない物語ばかりで、良かった!以前よりもツンが抜けてラブラブになったリゼたん&以前よりもわかりやすく嫉妬深くなったジークのカップルが相変わらず可愛すぎるのだけど、彼氏彼女になった遠藤くんと小林さん、婚約者同士となったフィーネとバルドゥールの距離感の変化も良かった。遠藤くんは2巻の終わりでちょっと呼び方変えてる気配を匂わせてましたけど、遠藤くんと小林さんが自然にお互いのことを下の名前で呼び合ってるの、めちゃくちゃニヤニヤしますよねえ!!フィーネ母とレオン先生の大人の恋、リーゼロッテの末の妹・ツェツィーリエとファビアンきゅんの幼い恋の行方にもニヤニヤ。更に遠藤くん・小林さんペアの声が自分以外の所に降りるとちょっと不機嫌になるジーク、なにげにリーゼロッテよりも嫉妬深いのでは?いやそこも可愛いけれど!!基本が脳筋思考なリーフェンシュタール家のみなさんがバトってる時最中にフィーネの所にふたりの声が聞こえてくる短編がかわいすぎて好き。

何より、ゲームでは少しずつ古の魔女の呪いで少しずつ闇に落ちていくはずだったリーゼロッテの手記がこんな可愛く優しい内容に変わっていったことが嬉しくてたまらない。中盤、少しだけおかしくなる兆候が手記から見て取れるだけに、ふたりの実況・解説によって変化したジークの行動によってその悪意から守られていくリーゼロッテの姿に、ジーク側の視点からその経緯を知っていてもじんわりしてしまうんですよね。というか終盤、両思いになった嬉しさで【闇】なんぼのもんじゃい状態になってるリーゼロッテがテンション高く古の魔女の呪いをスルーしていく様子が最高に微笑ましい。めちゃくちゃテンション高いじゃん!!(そしてこれは確かにジーク本人には絶対見せられないやつ)

2巻のラストではゲームをクリアしたとこでお互いのつながりが途切れてしまう……という結末にホロリとして、3巻も基本的にそこは同じなのだけど、2巻以上に「またいつか会えるよ」という希望を感じる終わり方に変化したのが本当に嬉しかった。ゲームが完結した後にもフィーネが二人の声を聞いたりしているし、遠藤くん・小林さん両名の視点からも時々ゲームの世界に繋がってたみたいなやりとりがあるので完全に途切れたわけではないっぽいんですよね。リレナの魔力次第みたいな雰囲気だったからこれで終わりではないはず。何より、【実況の遠藤くんと解説の小林さん】がもたらした数々の偉業と奇跡、とあるのだからこの後にもなにかあったと信じても良いはず。

乙女ゲーム世界を舞台にした物語ならではのエンドロールに、またホロリとしてしまった。本当に素敵な完結巻でした。良かった…!

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自作3Dモデルを売るためにサキュバスメイドVtuberになってみた

下垣
 

俺の応援はしなくていいから、俺の娘(モデル)を買ってくれ!
高校生の賀藤琥珀は悩んでいた。自作した美少女3Dモデルのダウンロード数が全く伸びないのだ。どうすればコネも実績もない自分3Dモデルの存在を知ってもらえるのか……。そんな風に頭を抱えていた琥珀はある日、CG制作の師匠から「その素材使ってVTuberになれば?」とアドバイスを受ける。さらには配信用の機材まで揃ってしまい、気づけば琥珀はバーチャルサキュバスメイドのショコラとしてデビューしていた! しかし3Dモデルはほとんど売れないまま、なぜかショコラだけがあっという間に人気になってしまって――!?

CGデザイナーを目指す高校生・賀藤琥珀は小遣い稼ぎと将来への実績づくりも兼ねてサキュバスメイドの3Dモデルを制作し、ネットで販売していた。ところが、完成度には自信があるのに3Dモデルは全くといっていいほど売れず……師匠的存在のネット友達・Rizeさんからの勧めで3Dモデルの宣伝としてVtuberをはじめたが、そっちはどんどん人気が出てしまい……!?

Vtuberとしての成功譚とクリエイターの悲哀が同居する物語

キャラクターのモデルを見せるためにVtuberを始めたはずが、中性的なボイスとドジっ子気味で破天荒な配信が切り抜かれ人気Vに……Vtuberとして大成功していくシンデレラ(?)ストーリーでありながら、クリエイターとしてのままならなさが同居したストーリーが楽しかった!本当に、どんなに良いものを作って、それが評価されたとしても、思った方向の利益につながるとは限らないんですよね……(遠い目)

ちょいエロな空気を漂わせつつあくまで健全な配信やってくサキュバスメイド系Vtuber・ショコラちゃんの塩梅がめっちゃ良い。ちょいエロな発言、炎上(物理的な意味)を始めとしてちょっぴりでは済まされない破天荒なドジっ娘ムーヴ、そしてゲーム実況やコメント返しで発揮される嫌味のないノリの良いツッコミ。これが計算なしで全部本人無自覚で繰り出されるんだから強くないわけがない。そして読者の視点から言うと年頃の高校生男子が性別不明のえっちなサキュパスメイドとしてキャラ作りし、それが大人気になっちゃって変態さんたちからえっちな目線を向けられるの、大変えっちでいいですねえ!!!!!(最悪)ってなります。

クリエイターものとしてはCGデザイナーになりたいという本来の夢とVtuberとして「金を稼げてしまう」ことへの葛藤がめちゃくちゃ良かった。CG制作の作業配信とかも結構評判良さそうだったから、クリエイターとしての自分の売り込み手段としてもう両立しちゃえばいいと思わなくもないんですが、まあ好きではじめた副業ではないもんな。表面的にはトントン拍子で大成功しているようで、実際のところ彼が本来求めていた評価はなかなか得られていないというもどかしさがとても良いというか、この流れならショコラ一本に絞ってCG制作は副業・趣味の範囲で納めるという発想になっても何らおかしくはないのにあくまでCGデザイナーを目指していく姿が印象的でした。

Vtuberとして人気が出ることが嬉しい反面3Dモデルの売上がスパチャ収入に抜かれそうになっていることに複雑な思いを抱いてしまう葛藤、たぶんガチで時間掛けたイラストやブログ記事へのRT・ふぁぼ数よりもなんとなくRTしたバズツイートを自分経由でRT・いいねしてるひとのほうが圧倒的に多かったときのあの気持ちとか、ガチャ回して目当てじゃない覇権キャラがめっちゃすり抜けてきたときの気持ちに似てるとおもうんですよね……わかるわ(発想が低俗)。

それにしても世間、狭いなあ!!

中盤以降は家族や学校の友人をはじめとしたリアルでの人間関係が「Vtuberショコラ」の周囲で無自覚に絡み合っていくのがめちゃくちゃ楽しかった!

この手の話でやたらと世間が狭いのはわりとよくある気がするんですけど、ここまで多重に世間が狭い案件が続出していてしかも一つもバレておらず、あらぬ勘違いまで生んでしまってるの本当に笑う。いつもはクールな師匠のRizeさんが琥珀の姉のバンドの曲で歌ってみた動画を上げたらやたらテンション高く褒めて来る展開とか腹筋が攣るほど笑ったし、学校のちょっと気になる同級生はまさかのショコラ強火担(性別女過激派)だったし、トドメにショコラちゃんフリゲ製作者の正体は兄だし。ていうかこれ多分この流れ、収益化配信でめちゃくちゃスパチャ投げてたも実の兄ではと踏んでるんですがどうですか!?いや、改めて色々こじれてんな!!!

ただ、コミカルな展開だけでなく少し気になる展開もあって。特に個人勢Vtuber仲間のカミィさんとそのお兄ちゃん周りの話はどうみても不穏で、この内に秘めた「火種」がどうつながっていくのか気になる。琥珀と「彼」が画家を諦めた理由、両方の経緯を知ってたら滑稽ですらあるんですけどあまりにもままならなくて、世の中ってこういうのたくさんあるんだろうなとしんみりしてしまった。いやほんとここは次巻で決着が付くと思うんですけど、上手く解決するといいな……。

あと、こんな気になる引きで終わってるんだから絶対に2巻が出ますように……!!!!!

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典22

 

グレンvsジャティス! ついに最終決戦の幕が上がる
フェジテでの決戦は衝撃の結末を迎えた。ほかでもないジャティスの手によって。ジャティスとグレン。今、すべての因縁に決着をつけるべく、最終決戦の舞台はついにメルガリウスの天空城へと移る――!

世界の命運を掛けた「天の智慧研究会」との最終決戦は、ジャティスの介入によって予想外の結末を迎えた。そして、休む暇もなく襲い来る世界崩壊の危機。グレンはすべての決着をつけるため、教え子達と共にメルガリウスの天空城へと向かうが……。

物語は最終決戦へ

いよいよはじまった最終決戦。メルガリウスの天空城の記憶──《大導師》フェロード=ベリフであり、《魔王》ティトゥス=クルォーであり、(なぜか発音できない)であった男の原体験としてロクアカ世界の成り立ちを語りつつ、これまで提示されてきた伏線を回収し、様々な苦難を乗り越えて大きく成長したシスティーナ達の勇姿を見せてくる展開がアツかった!!

というか本当に教え子達が成長しすぎてヤバい。魔将星に託された古代魔法の力を完璧に使いこなして精神的にも大きく成長したシスティーナ。空の天使の力を使いこなすルミア。剣の姫エリエーテとは違う頂の光を得たリィエル。様々な迷いを吹っ切って戦士としても大きく成長した3人の姿がどこまでも頼もしい。ただ、その反面システィーナ達の見えない所ではジャティスやフェロードの狂気のような「正義」の一端に触れて葛藤するグレンの姿があって。セリカから託された借り物の神秘を持ってしても成長した教え子達に並ぶことは叶わず、あまりにも強大な理想と正義を掲げる宿敵に気持ちすらも押し負けて……目に見える世界だけを守れれば良いという考えとは裏腹にその肩には世界全ての命運が乗せられてしまい。絶望的のようで希望の見える最終決戦というアツい展開の横で少しずつズレていくグレンの姿がひたすら不穏。

それでさえ思いの強さで負けそうなのに、肝心のジャティスが持つ神秘が直球で「意志の強さが力になる」なもんだから本当に笑えない。っていうかめちゃくちゃ派手な魔術決戦やりながら、これどう考えても勝つ方法がジャティスに思いの強さで勝つことになってきてるのヤバいんですよ。これ魔術バトルじゃなくて単なる説得イベントじゃないですかやだーー!!!

どうかんがえても次巻でグレンが限界突破してジャティスをぶん殴る流れなんですけど、それに合わせてこれまでばらまかれていた伏線が一気に整理されて、グレンとジャティス周りの謎や伏線だけ綺麗に残されているの気持ちいい。果たしてグレンは自分の「正義」を見つけて限界を越えることができるのか。最後の魔星将から託された力は戦局にどんな意味をもたらすのか。ジャティスのモノローグも色々と気になりすぎるし、本当に早く……もう明日にでも新刊読みたい!!!(無茶を言うな)

それとなく進展してる人間関係が超気になる

メインは当然明かされた世界の起源と謎、ジャティスとグレンの長きにわたる因縁の決着……だったんですが、さりげなく最終決戦についていかなかった面々の、アルザーノでの大決戦を終えて少しだけ変化した人間関係も楽しかったです。イヴがその正体も知らずにイリアと喧々諤々のやり取りしてるのには本当にニヤニヤが止まらないし、何より雨降って地固まった感じが凄いアルベルトとルナちゃん面白すぎる。

個人的にこれは原作完結後の短編集描き下ろしでわちゃわちゃしてるところが見たいって感じの展開すぎたんですが、ルナちゃんとかこれ下手するとエピローグでしれっとアルベルトの正妻に収まってるポジションな気がするんですが大丈夫か!?いや個人的には面白いのでそのカップリングは大歓迎ですけど大丈夫か!!!?

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