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最強喰いのダークヒーロー 3

 

学内トーナメントを制し、宣言通り無敗のままで関東大会出場権を得た双士郎たち。来るべき大会を一月後にひかえ「チームアギト」は日夜トレーニングに励む。しかし、学園最悪の問題児である双士郎に平穏な日々は訪れない!学内の人間関係にはじまり、芸能界、闇社会、果てはテロリストまでもが彼らの未来を破壊すべく襲いかかる。さらに聖海学園が総力をあげて阿木双士郎を潰そうと動きはじめ…そして、遂に明らかになる檸檬子との秘められた過去。いびつな共犯関係の裏にある、二人の真実とは?勝利を貪欲に求める悪党が突きつける、究極カタルシス第3弾!!(「BOOK」データベースより)

 「祓魔祭」の学内予選を勝ち抜き、本戦出場前の息抜き回。「チームアギト」の面々の問題を双士郎がそれとなく解決していったり、逆にチームメイト達の視点からわかりづらい彼らの本音が透けて見えたり。

 これまでが割とバトルと学校内外での陰謀中心にサクサク進んできたので、結構ざっくりとしか説明されていなかった各キャラのバックグラウンドや性格が掘り下げられるようなエピソードが多くて楽しかった。枕営業させられそうになってエロコスチュームを強制されるかみゅーんめっちゃ可愛いし正直興奮しますね!!

 どの話も良かったけど、これまでずっと双士郎と対立してきた理事長・聖乱華の顛末を描く「牙腔教育」が特に好き。現実に居たら絶対嫌なやつだけど二次元だから憎めないというか、最後に言いたいこと散々言って舞台を自ら降りる姿には好感すら持てる。そして彼女を隠れ蓑にして行われていた水面下の陰謀を結果的に敵も味方もお構いなしでぶち壊していくんだから、たまらない。

 学内やチーム内の構図も変わっていくにつれ、これまで通りに双士郎の描いた絵の上で面々が踊っているように見えて、彼にとっても「読み切れない」事態が多かった印象。乱華の件はもちろんだけど、リザに過去の件を話してしまった件だってかなり想定外の事態だったんじゃないだろうか。それに加えてラストの檸檬子ちゃんの件で、これまでのように全てが盤上の出来事とはいかないであろうことが垣間見えて……次巻どうなってしまうのか、とても気になります。

 それにしてもルイ君周りは今回もトバしていたなあというかルイの双士郎への評価おかしい(大事なことのあまり本文中に3回も書かれた)。ルイがメインとなる短編「成功有毒」はそんな完璧王子の彼がチームメイトと距離を縮めたくて四苦八苦するという大変微笑ましいお話なのですが最終的に双士郎とキャバクラに行きます(?)。全てを語ったわけじゃないけど間違ったことはいってない。

 世界が綺麗事だけじゃ動かないと知ってる正統派ヒーロー属性のルイが、自分の想像もできない暗い道を歩いてきたダークヒーロー属性の双士郎の人間性に惹かれるのはもうどうしようもないことではないかとおもうんですけど、なにしろルイくん行動がアレなのと発言がアレすぎるのでというかほんと腐女子は双士郎への最後の一言でもうそっちの想像しかできないのでなんとかしてほしい。素直に言えばもっとやってほしい。

 今回もまたアニメイトの特典SSがこの二人の話だったんですがヒロイン2人が風邪を引いた双士郎の家にお見舞いに行くという本編中の出来事が何故かルイくんになっているという話でありルイくんがソツなくおかゆを作ってふーふーしてあーんしてするというなんだこのスーパーダーリンみたいな内容の話になっており、2巻は色んな特典SSの中のひとつがこれだったわけですが今回はもはやアニメイトしか特典ない。どういうことなんですかねありがとうございます眼福でした。

 新刊が出るたびに男二人がイチャイチャしてるSSが読めるのは「最強喰いのダークヒーロー」だけ!
 (4巻も楽しみにしてます) (特典SSがあるとは誰も言ってない)


最強喰いのダークヒーロー 2

 

異能武闘の伝統を土足で踏み荒らし、連戦連勝の快進撃を魅せる双士郎。彼の力を認める者も現れ始め、「阿木先輩って、かっこいいですね」序列六位のアイドル、神峰弓までもがファンと化し、双士郎に急接近。そしてチーム戦が始まり、序列二位率いる学園最強チーム『楽斗』が立ちはだかる―。最悪の男を滅ぼすため錯綜する無数の謀略。悪意の坩堝と化した学園で、しかし双士郎は不敵に嗤らう。「せいぜい後悔しない。『真剣勝負』の土俵に足を踏み入れたことをよ」外道VS外道。悪意対悪意。最悪の勝負師はアイドルさえも毒牙にかける。悪党をさらなる悪党が喰らう、痛快大物喰い、第2弾!!(「BOOK」データベースより)

 「祓魔祭」の学内予選を勝ち進む傍ら、団体戦に向けてついに動き出したチーム阿木。期待の転校生のリザと序列一位のルイを擁するチームは注目を浴びる。そんな彼らのところに学園のアイドルにして序列6位の少女・神峰弓が接近してくる。彼女にもまた何か思惑があるようで……?

 新しい仲間である弓と双士郎、決して優しくない世界で生きてきたふたりの駆け引きがたまらなく楽しい。アイドルとしての道を選んでしまったばかりに本当の実力を見てもらえなかった弓にとっては、双士郎達だけが弓を過小も過大もせずに正しく評価してくれた相手で。リザにせよルイにせよ嘯く中にほんのすこしだけ混ざった双士郎の本音を感じ取るからこそ、自分から仲間になってくれたんだよなあ。

 個人戦主体だった前巻と打って変わってチーム戦主体の展開が飽きさせず面白かった。エグい手を使いながらもギリギリの一線は超えずに下克上していく様子が見ていて爽快ですらある。しかし、最後のアレだけは若干純粋(?)な青年を弄んだ感じ凄くて双士郎ごめんなさいした方がいい気が……いやまああれは悪には悪をみたいなあれなのでいいのかな……。

 それにしても、ルイくんから双士郎の好感度高すぎてちょっと心配になるというかアニメイト特典が普通にルイ双でどういうことなの(※特典タイトルが「同類双求」な上に先生のこの発言なのだった。決して我々の勘違いではなかったのだった……。)対する双士郎の方も、けなすところがなくて「王子」呼びで笑うしかなかったんだけど、実際ルイくんにとって「王子」という一面は褒め言葉ではないとおもうのでけなし言葉として間違っては居ないのか。それにしても男が同級生の男に「王子」呼びするの面白すぎるけど。

 という特典トラップは置いておいて、何かと全力で双士郎を持ち上げるルイとか、あとチーム戦初戦の始まる前のやりとりとか最高に良いので正直そっちの方向でもそっと推していきたい……女子の皆様よろしくお願いします(何を)


最強喰いのダークヒーロー

 

「こんなの、反則じゃない!」「ククッ。勝ちゃあいいんだよ」『ソードウォウ』―世界を熱狂させる新時代の異能競技。最弱の無名選手・阿木双士郎は、最強の新入生リザを初戦で下してみせた―許されざる卑怯な手によって。騙し、あざむき、裏をかき、奇策にハメて突き落とす。勝つためにあらゆる術を尽くす冷徹な勝負師・双士郎は、「行くぜ、馬鹿おっぱい」「それってまさか私のこと!?」リザを手駒に加え、悪魔的な策略と詐欺で、平和ボケした最強共を容赦なく喰らい尽くしていく。最弱の男が最悪の頭脳で頂点へ。常識を嘲笑う悪党が魅せる、カタルシス満点の痛快大物喰い、開戦!!(「BOOK」データベースより)

 ソードウォウの欧州覇者という鳴り物入りで聖海学園に入学した新入生・リザ。高校生世界大会「祓魔祭」の学内予選に出場した彼女は、初戦に学内最弱と揶揄される三年生・阿木双士郎に完全試合を決められてしまう。失意にあった彼女の元に双士郎が現れて……。

 異能力を使った戦いがスポーツの華形としてもてはやされる世界。異能を持ってはいるものの戦闘力は文字通りずば抜けて「最弱」の主人公が、ずば抜けた観察力と頭脳とえげつない手段を使って世界に対して下克上していくのが爽快で気持ちよかった!3年間掛けて準備に準備を重ねた双士郎が罠をしかけ、言葉を弄して戦略を見誤らせ、排除しようとする学園側の汚い裏工作もなんなくかわし……と次から次へとえげつない手段で勝ち進んでいくのが楽しい。

 そんな双士郎に初戦敗北し、最初は否応なく彼の協力者になったヒロイン・リザが少しずつ彼の事情に触れ、自らの意思で彼の協力者となっていくのにニヤリとする。勝利するためなら手段を厭わない双士郎とは正反対の疑うことを知らないリザが汚いやり口に振り回されるのが楽しくて仕方ないし、同時に彼女にも複雑な事情があって自然に双士郎に惹かれていくのが理解出来る感じなのも凄く好き。正直、双士郎側はまだまだ彼女に腹の中を明かしてない感じすごいので今回の終盤のいい話っぽい展開も素直に信じて良いのか?と疑いたくなるんだけど、それが良い。

 もう一人のヒロインである檸檬子との関係も好き。中盤で明かされる、双士郎がこの戦いを始めたきっかけがまた凄く重たくて。『地獄』を味わったのにもかかわらず失ったものが多すぎて。全ての事情を知った上で双士郎に協力する檸檬子の共犯者関係というか様々な言葉の端から感じる薄暗い依存性にぞくぞくする。

 チーム戦についてはまだメンバー集めの途中という感じだし、良い意味で序章という感じの第一巻でしたが、個人戦チーム戦合わせて続きがほんとうに楽しみ。もうひとりのヒロインは司会をやってたアイドルの子らしいけどどんな手口で仲間に引き入れるのか、個人的にはいかにも王道主人公やってる爽やか好青年・ヴィレットとの男二人の関係性も楽しみにしたいところです!!