ネット心中をしようとしている少年・徳永準と様々な理由から彼を追う15人の少年少女達が東京を駆け抜ける24時間の群像劇、シリーズ第3巻。
これまでの2冊と比べるとぐっとページ数も少なく、全6巻シリーズと言う前提を考えても折り返し地点的な印象を受けたのですが、見た目の薄さからは想像もできないほど激動の一冊でした。まず、しょっぱなから起こった出来事でいきなり衝撃を受け、その後明かされた物語の一端に息をのみ……そしてラストの引きでまた衝撃!特に、序盤の「アレ」には軽い気持ちで足を突っ込んだ彼らが、遂に決定的に取り返しのつかない場所に踏み込んでしまった印象を受けて、物凄く胸がドキドキする。少なくても、彼らのうちの一人は永久に「取り返しのつかない」所に行ってしまったわけで……
不気味な暗躍を続けるファブリや迷走するミツハシ、今回殆ど動きのなかったメンバーの動向も気になりますが、何よりも気になるのは笹浦・西・伊隅の3人。ラストの引き方からするとどうみても…!?なのですが、特に笹浦と伊隅は15人の中でも重要ポジションに位置するキャラクターだと思われるので、そのままあっさり……なんてことにはならない、と信じたい。<17>を巡っての温井川・徳永・伊隅の3人の動きも気になる。とりあえず、早い所続きが読みたい……!
…それにしても、遂に今回恋するツンデレ乙女として覚醒した西が可愛すぎます。(あれは間違いなく……惚れてる、よね?)思わぬカップル誕生の予感なのか!?
キーワード:新城 カズマ (3 件 / 1 ページ)
15×24 link two 大人はわかっちゃくれない
うわああああ面白い!一気に面白くなってきた!!
子供たちが徳永を追いかけてワイワイやってる間は、コトが人の生き死にとはいえどこかコミカルで軽い感じが漂っていたのだけど、ここにファブリという「大人」が絡んでくる事で一気に物語に緊迫感が迫ってきました。ファブリの他にも変な動きをする大人も絡んできて、不穏な感じ。笹浦の「ここから先は引き返せない」という言葉通り、知らないうちに引き返せないところまで首を突っ込んでしまっている崖っぷち感がたまりません。
お互いの顔を知らない『捜索者』達が知らない間にニアミスし、お互いの運命に影響を与え合っていく姿も前巻から引き続き面白かったです。今回の話でトウコとミツハシ以外は互いの顔を認知したわけだけど、それによって物語がどういう方向に展開していくのも楽しみ。
そしてラストの井の頭公園でのやりとりが本当に凄い!主点となるキャラクターを巧みに入れ替えつつ、混乱する現場の雰囲気を臨場感たっぷりに描かれていく物語にぐんぐん引き込まれていきました。キャラクターたちも、1巻では少し戸惑う部分もありましたが、一度キャラクターを把握したら全然違和感無く読めるようになったし、これだけキャラクターの多い物語でガンガン視点を入れ替えまくりながらも読みづらくなってないのは凄いと思う。
『捜索隊』の裏で人知れず<17>と対決する温井川の動向も気になるし、3巻を読むのが本当に楽しみです。サブタイ的にもいかにも何かありそうで気になる…!
15×24 link one せめて明日まで、と彼女は言った
謎の人物とネット心中しようとしている少年と、彼の自殺を止めようと動き出す人間達の群像劇。
徳永本人の知らない所でどんどん大きくなっていく騒ぎと、追跡者達の決して善意だけで動いている訳ではない思惑がどんどん交錯しておかしなことになっていく様がとても面白かった!「自殺をしようとしている少年を助けるため、無関係の人々が動き出す」というと凄くいい話っぽいんだけど、登場する人々の殆どは自己顕示欲とか、勘違いした正義心とか、恋人への義理とか、とにかく基本的に「自分の為」に動いているのがある意味凄い。登場人物達は利己的な、「痛い人」が殆どなので、彼らの痛々しい行動を生温かく見守りつつ、彼らがお互いに足を引っ張り合ったり、彼らの行動が思わぬ事実に発展していく様をニヤニヤ眺めてしまいました。
登場人物の中では、個人的には車椅子少女の満里衣さんが好き。
暴走する車椅子正義が素晴らしいです。
行ったり来たり戻ったりを繰り返しながら、「<17>とはだれなのか?」「徳永の居場所は?」などといった物語にちりばめられた謎に迫っていくのが、もどかしいやら心地よいやら。
人数が一辺に出てきて頻繁に視点が入れ代わるので、キャラを把握するまで暫く戸惑いましたが、とても面白かったです!これは2巻を読むのが楽しみ。