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性春デイズ 〜男子高校生の性の心理戦〜

 

私立花ノ宮学園は、古くからある由緒正しい全寮制の男子高校。そんなむさ苦しい空間の中で、俺達腐れ縁の五人組は日々生活をしている。そして、男子高校生の心理戦は――いつも突然始まる。「なあ、この中だと、誰が一番デカいと思う」 雄の象徴。そのサイズや形状は思春期男子にとっては極めて重要な問題であり、時として人間関係を壊す爆弾にもなり得るのである。――これはいかに自分の手札を隠したまま相手の手札を暴くかという、思春期ピュア男子の心理戦(という名の日常)を描いた物語である。

見栄をはりがちな主人公の桜井、陽気でおバカなルームメイトの菊市、コワモテだが料理が得意で心は乙女の先輩・藤川、爽やかだが性の探求に余念のない先輩・蓮見、童顔でピュアな後輩・椿木。幼い頃からの“腐れ縁”である5人が全寮制の男子校で偶然再会し、一緒に食事を取ったりしながらシモネタで盛り上がる。男子高校生達のゆる〜い日常のお話。

ほぼ100%「シモネタ」でできた小説です
読み終わって振り返ると最初から最後まで本当にシモの話しかしてなかった。舞台も男子寮から全く動かないし、ヒロインはおろか彼ら5人以外のキャラは一切出てこない。一時期流行った会話劇主体の謎部活ラノベの男子校バージョンという雰囲気だけど、なんていうかここまで徹底的にシモネタに振り切ってしまってるのはなかなか凄い。

「思春期」って面倒くさい。
自分のチ●コが一番大きいと思わせようとして必死になったり、自己発電の回数でお互いを牽制しあったり、お互いの性癖を探り合ったり…性欲を持て余した彼らが繰り広げる、面倒くさいプライドと見栄の張り合いと、そこから始まる駆け引きがどこまでもバカバカしくて楽しい。

ただ無邪気にシモの話題で盛り上がっていればよかった子供時代を少しだけ通り過ぎた彼らが、必死に大人の男ぶろうと友人たちに対して見栄を張ろうとする。「普通」の面白くないヤツだとは思われたくないけど、一方あまりそこから大幅に逸脱はしたくないという彼らの駆け引きが微笑ましかった。それにしても男子高校生って思ったよりも面倒くさいな!?

面白かったけど好き嫌いは分かれそう。
会話文主体の軽い話が3本収録されていて、中だるみせずサクッと読めるボリュームも丁度良く、楽しく読めました。これもうちょっとボリュームがあったら胸灼けしてたと思うのでそういう意味でもちょうどよいかと。

表紙イラストや装丁は女の子向けを意識したデザインになっているような気がするのですが、割とこれ女子が好きかどうかといわれると好き嫌いが分かれる気がする。いろいろな意味でシモネタ会話が生々しく、男子高校生5人のキャッキャウフフや濃厚な絡みに萌えるというよりは弟の自家発電の一部始終を部屋の扉の前で聞いてしまったお姉ちゃんの気持ちになれる一冊でした。そういう意味で望先生の最近の十八番である「年の離れたお姉さん(の気持ちを味わえる)ラノベ」ではあるのかもしれない……(誤解)。

個人的には男子高校生にもう少し夢を見ていたいという自分の気持ちを否定はできない。


クトゥルフ神話TRPG リプレイ 御津門学園ゲーム部の冒涜的な活動

 

ネット上でカルトな人気を誇ったゲーム『飢神』。その制作者は、高校のゲーム部に所属する少年たちだった。だが彼らが喧嘩別れし、一人が卒業した数ヶ月後―突然、中断したはずのゲームが更新を再開した。しかもそのゲームをプレイすると、奇妙な出来事が身の回りで起こるようになるという。部長の薫、その妹あいり、新人部員の正宗は、謎を解こうと行動を開始するが―!?人気作家陣をプレイヤーに迎えた個性派『クトゥルフ神話TRPG』リプレイ登場!! (「BOOK」データベースより)

 プレイヤーに艦これ陽炎ノベライズの築地先生、バカテスの井上先生、ガーゴイルの田口先生と聞いてカッとなりました(正直)ゲーム部長の薫とOBの先輩が制作したスマホゲームがおかしくなり、共同制作者の先輩とも連絡がつかなくなってしまう。不審に思った薫は妹のあいり、新入部員であいりのストーカーの正宗と共に調査を開始するが……というお話。

 正攻法なんぞなんのそのと蹴飛ばして、力押しとボケと煽りでシナリオを強引に読み解いていく展開が破天荒過ぎてめちゃくちゃおもしろい!行方不明の先輩の家に乗り込む際、正面から乗り込むだけの理由は揃えているのに全力で不法侵入の方法ばかり考えているのには思わず笑った。クトゥルフ神話を題材にしているだけあって不気味な怪物が出てきたりかなりグロい展開がいくつもあるんだけど、そんな怪異も力押しでねじ伏せる流れが楽しかったです。あと部長の薫が「とりあえず煽っていかないと気がすまない」とか言ってたら残りの2人も基本的に交渉は煽っていくスタイルで腹筋辛かった。

 TRPGリプレイは初心者向けとオススメしてもらったものを幾つか読んだきりであまり感覚がわからないのですが、最低限ゲームのシステムやクトゥルフ神話の雰囲気を知っている人向けの物語かなあ。なんとなくで読めてしまう部分が多くはあるのですが、「正気度」辺りのロールがイマイチぴんとこなかった。正気度ががっつり減るシーンが無い(あっても微変動)ので緊迫感が伝わらないまま終わった。

 あと、キャラ相関図とPLの名前に目を奪われて入ってしまうと、どうしても物語的なストーリー展開を期待してしまうので、若干肉付けされただけのプロット会議を読んでいるような、そんな不完全燃焼感がありました。これはもうTRPGリプレイの宿命だから仕方ないのかもしれないけど。キャラクターの関係がほんと好みなので是非続編を出してキャラクターを掘り下げていって欲しいです。正気度ロールのシステム上、巻重ねないと面白くないシステムなんだと思うしな!