“神坂 一” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:神坂 一 (34 件 / 4 ページ)

スレイヤーズ17 遥かなる帰路

 

「―え。」ひょんな出来事から一転、気がつくと見知らぬ町にいたリナとガウリイ。あたりを見渡せば、見たことがない文字、使ったこともない通貨、あきらかに自分たちとは違う文化様式―。動揺しつつも、経験と推理から導き出した結論は、「…ここ、魔族の結界の『外』の世界よ…」衝撃の事実!?だがしかし、立ち止まっていても意味は無し!ふたりは故郷に帰る道を探しはじめる。その先には、新たな出会いとやっぱりやっかいな脅威が待ち受けているわけで―リナとガウリイの、新たな、長い冒険の旅が始まる! (「BOOK」データベースより)

故郷ゼフィーリアへの帰還を目前にして、ひょんなことから魔族に遭遇して、どこか知らない街に飛ばされてしまったリナとガウリイ。周囲の人に話を聞いてもすれ違うばかりで、しかも教えられた街や国の名前も知らないものばかり。どうやら、魔族の結界の『外』の世界に飛ばされてしまったらしくて…!?

『外』の世界はリナ達がこれまで暮らしていた世界とは何もかもが違っていて、ほぼ『異世界』といって良い状態。細かい作法や生活様式も違っていて勝手の違いに戸惑うし、何より魔法が浸透していなくて、ちょっとした呪文を使えば悪目立ちしてしまう。世界の違いに興味が湧く反面、そんな中で回り回ってお尋ね者になってしまって……正体の解らない謎の刺客にも追われることに……良くも悪くも常に自信満々でマイペースだったリナの見せる少しだけ弱気な姿が印象的でした。思った以上に、彼女の中で『故郷』の存在は大きかったのだなと。

本編完結後の人気キャラ総出のオールスター劇場版のようだった16巻に対して、今巻は舞台を『外』の世界に移しての新展開。去年出た16巻の時も思ったけど、本編完結からあんなに時間が空いているし結構これまでとは毛色の変わったストーリーが展開されているんだけど、読んだら「これでこそスレイヤーズ」と思わせてしまう安定感のある展開が読んでて心地良かったです。色んな意味で新展開の幕開けの巻であり、後先考えずに全部ネタをぶっ放した感のある前巻と比べるとどうしてもパワー不足を感じてしまうお話でもあったんだけど、その分今後の展開が楽しみになる一冊でもありました。

というか、読んだのがだいぶ前なのでうろ覚えなんですけど、いつかのあとがきに『フィブリゾ達が完全消滅した時点で結界が消えてて神の力を借りる魔法も使えるようになってるけどみんなが気づいてないだけ』みたいな裏設定ありましたよね…?今回それとなく魔族ではなく《神》の力を借りる魔法回りの話も出てきたし、それをそのまま『中』の世界に持ち込めたりもするのかな。スレイヤーズの魔法うんちくめちゃくちゃ好きなので楽しみすぎる。魔法バトル的にも、リナも以前と比べたら本調子ではないわけで、そのへんを新しい魔法体系で埋めていくような展開を期待しちゃう。


スレイヤーズ16 アテッサの邂逅

 

降魔戦争の再来を食い止め、死闘の疲れを癒そうと里帰りを決めたリナとガウリイ。その道中、なんの因果かアテッサの街で正体不明の野盗騒ぎに出くわし、護衛を引き受けることに。ところが、その野盗はフツーの魔法とは違う系統の術を使い、思わぬ大苦戦!?街の被害も大きくなり、さらには魔道士にとって最悪の相性の兵器も用意されていた!魔力増幅の呪符を失い、戦力として大幅ダウン中のリナに、勝機はあるのか!?「勝つしかないでしょ。そんな敵でも」だがしかし!こんな危機にこそ心強い仲間たちがいるわけで―白霧がうごめく深き森で、リナの魔法が唸りをあげる! (「BOOK」データベースより)

色々あって(本編15巻分)里帰りをすることになったリナとガウリイ。仕事は受けないつもりだったが、故郷であるゼフィーリアの国境にある町で野盗(?)からの護衛を頼まれ、引き受けることに。しかしこの案件、ただの野盗ではないようで……!?

何を言ってるかわからねえとおもうが18年ぶりの「本編」新刊。ゼルとアメリアの本編再登場が24年ぶりだとか、うっかり計算してしまって戦慄が走った(なお短編の方の出番はカウントしない)。リナとガウリイのコスチュームが大幅にチェンジしていたことにものすごく時代の流れを感じましたがこれガウリイのコスチュームは……どうなって……?(正面図が無い)

魔族との戦いがメインだった本編とは少しだけ毛色を変えつつも、いつものメンバーが一同に介してドタバタ騒ぎしながら強敵をぶち倒していくという展開がまさしくいつものスレイヤーズで、ものすごく童心に帰れる。二部メンバーが出てこないのは少し寂しいけど(展開的に仕方ない)けど、それ以外のメインメンバーはほぼ総出演で懐かしさがヤバイ。あとがきで触れられていますが「同窓会」という表現がまさしくそれという感じだし、何よりあとがきの対談形式が懐かしすぎてもう一回ダメージを受けるまでありました。ていうか、対談形式のあとがき懐かしすぎじゃない!?あらゆる意味で心が震えた。

内容に関してはもう「いつものスレイヤーズ本編でした」というのが最高に正しい感想だとおもうんですけど、人馬さんの中の人の顛末のあの一度おもいきり笑わせておいて後から何度も何度も蒸し返してくる感じとかまさしく「スレイヤーズみ」を感じた。最高に好き。あと、新キャラであるアライナと呪文の話してるところ。軽快なノリもさることながら、スレイヤーズ世界の呪文まわりの話ってむちゃくちゃ楽しいんですよね。

今回は周年記念のお祭り短編の予定だったとのことで、一夜かぎりのお祭り騒ぎ感が大変に強い巻だったのですけど、ほんと時を超えて変わらぬ面白さだったなあ。評判が良ければ今後もあるかも…?みたいな書き方もされていたので、ときどきでいいので続きが出てきてほしい。本当に楽しかったー!!


スレイヤーズ 25周年あんそろじー

 

ファンタジー小説の金字塔『スレイヤーズ』刊行25周年を記念して、『スレイヤーズ』を愛してやまない作家陣が贈るアンソロジーが登場だ!原作者・神坂一はもちろん、秋田禎信や日日日、さらに『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』の愛七ひろ、『ライジン×ライジン』の初美陽一、『デート・ア・ライブ』の橘公司ら豪華作家陣が書く特別短編、そして豪華イラストレーター陣の描く特別イラストも収録!『スレイヤーズ』を長年応援してくれたファンへの感謝を込めた1冊。読んでくんないと、暴れちゃうぞ! (「BOOK」データベースより)

 すごい久しぶりに読む気がする、「スレイヤーズ!」の25周年アンソロジー。この手のアンソロジーはよくも悪くも当たり外れが激しいイメージなんだけど、どの短編も凄く楽しく読めました。リアルタイムにスレイヤーズの原作やアニメ追った世代になら是非薦めたい一冊。

 正直、25という文字に衝撃を隠せませんがアニメから入った世代なのでまだ大丈夫です(何が)アニメがはじまったときにすでに1部最後までいってたから……相当時差あるから……。

■秋田禎信「ゼフィーリアの悪魔」
 リナがまだ旅立つ前、子供時代。性格に問題アリで学校をたらいまわしにされ、最終的に魔道士の学校にやってきたリナが同級生に怖れられたり振り回したりするお話。落ちこぼれの問題児かとおもいきや冷静な分析力をのぞかせたり、子どもとは思えない機転を効かせて周囲の敵をなぎ倒していくあたり、魔道がなくてもリナはリナという感じのお話でした。そしてオチの1Pにニヤリとしてしまったり。

■日日日「ミリアンヌの肌」
 まだリナと出会う前のゼルガディスが、ひとりの少女と出会うお話。スレイヤーズ本編に雰囲気の近い、ちょっと後味の悪いシリアス話。本編のシリアスで物悲しい雰囲気もなんのその、出番そんなに多くないのにヌンサの存在感が高すぎてズルい。しかもこの魚人が無駄にかっこいいのがズルい……!!ちょっと萌えちゃったじゃないですか…!!

 しかしこれ、原作でヌンサがゼルガディス側につかなかったことを考慮すると、凄く萌えるんですけど。一度は同じ目的の為、心を通わせた仲だとおもうんだけどなあ。ほんと個人的には美味しい話でした。

■愛七ひろ「リナ=インバース討伐!」
 こちらはスレイヤーズ「すぺしゃる」のノリに近い、短編設定ベースのどたばた話。容赦なく周囲の人間やナーガをこき使いつつ、自分ひとりがいいとこ見ようとするリナちゃんまじえげつない。全部は分からなかったんだけど、「すぺしゃる」の方を読んでいればニヤリと出来るのであろうキャラクターがいっぱいで、とても愛を感じる二次創作という印象でした。も、問題は既刊が多すぎて細かいキャラを覚えてないことなんですけど、私が!!スレイヤーズすぺしゃるは既刊冊数多すぎて、なんというかファン愛が試される……。

■初美陽一「呪術遺跡の偽愛戦争」
 ゼルガディスの身体を元に戻すためとある呪術師の遺跡に向かったら何故か呪術師の遺したゴーストにカップルと振る舞うように迫られて……!?という、ゼルガディスとリナのラブコメ未満のコンビ話。キャラが途中から完全に崩壊してるんだけど、勢いでどんどん先を読まされてしまうかんじは凄い。ゼルがラブコメラノベばりのツッコミ担当系ムッツリ助平にされているのはある意味壮観……だが両者ともキャラは崩壊している(大事なことなので)

 個人的には、リナが凄くゼルの前で「オンナ」だったのがなんというか不思議な感じで、そこだけどうしても引っかかってしまった……こ、これが二次創作における「解釈違い」というやつか……!!(多分非公式の本当の「薄い本」なら普通に美味しくいただいたと思う)

 ところで、著者コメントからゼルガディス好きなの伝わりすぎてアニメのリアルタイム世代としてジワジワ来る……仕方ないですよね……あのグリーンリバーライトボイスに人生狂わされた人きっといっぱいいますよね……。

■橘公司「冥王フィブリゾの世界滅ぼし会議」

 タ イ ト ル が ズ ル い 

 とりあえずこのタイトルにホイホイされて買ったといっても過言ではないのですが、タイトルでピンときたらホイホイされて良いと思います!!(絶賛)混沌の海という名の「あとがき世界」で冥王フィブリゾとそのゆかいな仲間たちが今後の世界滅ぼし活動をどうするかという事を話し合うという内容なのですが、ベースがあとがき世界線なので最初から最後までヒドい。そしてメタネタまで織り交ぜつつ話の腰を折りに来る魔竜王ガーヴいいかげんにしろ!!!(褒め言葉)

 スレイヤーズどころか神坂ファンタジー作品の共通世界観に言及しはじめたり、アニメやら原作のツッコミを入れ始めたりとあまりにも自由すぎる短編でした。笑いすぎて腹筋痛い。あとヤシガニはやめてあげて!!!アニメ界に残る黒歴史のことはふれないであげて!!オチのぐだぐだ感といい、スレイヤーズのあとがき好きなら間違いなく楽しめる感じのお話でした。これはタイトルに一本釣りされてよかった。

■神坂一「スレイヤーズいんたーみっしょん リナ=インバースの記録」
 第一部中盤、アメリアが旅の途中で万が一があった時のために記録を残しておこう!と言い出す。しかし、彼女が書き始めた「記録」はいろいろな意味で間違いだらけのシロモノで……!?というお話。アンソロジー内ではあんまり出番の少なめだったアメリアの正義節が炸裂すぎて可愛い腹筋つらい。短いお話なんだけど、久しぶりに本編一部の4人が勢揃いしてワイワイやってるのを見るのはどこか感慨深いものがありました。最後のあとがきも当時のそのままで懐かしすぎた。


スレイヤーズ 2 リナと怪しい魔道士たち

[原作]神坂 一 [著]南房 秀久 [絵]日向 悠二

前回の冒険で出会ったガウリイとシルフィールと共に、アトラスシティにやってきたリナ。ゆっくり羽を伸ばそうとしていたっていうのに、ついた途端に怪しい男が現れて魔道士協会の副評議長・タリムの護衛をしてほしいなんていい始めた。嫌々ながら依頼を受けてはみたものの、なんだかキナ臭い雰囲気で!?
 
児童文学用にリライトされたスレイヤーズ!の第二弾。今回は原作2巻「アトラスの魔道士」を元にした内容になってます。タリムを見た瞬間に、あらいずみるい絵のお茶目なホルマリン漬け生首が脳裏をよぎりましたが、この作品は子供向けなのでそういうシーンは一切ありません(笑)

原作ではポイント登場の準レギュラーだったシルフィールが、すっかりサブヒロイン(?)としてパーティに加わってくるのが面白い。ガウリイを巡る恋のライバルというよりも破天荒だけどまだまだお子様(※本シリーズでは12歳設定)なリナをたしなめる、生真面目な保護者役という感じのキャラになっててなかなか可愛いです。そしてさりげなくナーガを見捨てる発言かましたりして、さりげなく黒い……

1巻と同じく、大元の展開は同じところを辿ってはいるものの死者が基本的に出ない設定になっているということもあり、本編のノリというよりは「すぺしゃる」の方のノリに近くなってます。「魔道士協会」「タリム」「デイミア」「ハルシフォム」などの組織名・人名が覚えられないガウリイの場面を問わないマジボケにリナが涙目でツッコミ入れてるのには思わず噴いた。…ガウリイは本当に凄腕剣士という設定がどうでもいい状態のボケキャラになってるのがちょっと可哀想です…そしてナーガが居るだけでこんなに作品がギャグ化するとは!ナーガ恐ろしい子!

そのほかロッドが主人思いの忠実な護衛になってたり、ハルシフォムとルビアがらぶらぶだったり。ハルシフォムは前回のレゾに続き、挿絵も相まって凄いいい人っぽく…ていうかヒッシャムを思い出s……挿絵って大事ですね。

しかし、このまま進むとコピーレゾの一件とか、アメリアの話とかはどうやって処理するつもりだろう?ゼルガディスは1巻終了時点で死ななかった自分の部下たちと旅をしてるはずなので、そっちをなんとかしないとパーティに加わるのは難しいだろうし、アメリアは設定的にナーガと同時登場できるのかが気がかり(ここまできたら、敢えて絡ませてほしい気もしますが…)。シルフィールを「神官」ではなくて「巫女」と描写しているあたり、セイルーンの話ではアメリアの変わりにナーガを押し出して、PTの回復ポジション的にはシルフィールを…という考え方も出来るんだけど、ゼルガディスとアメリアはシリーズ屈指の人気キャラのはずなので出さないというのも微妙のような……

何より「角川つばさ文庫」がどこまで存続するのかが最大の疑問なのですが。かなり大きな本屋で探しても発売日直後に平台展開すらされてなかったのでそんなに売れてないように思えてしょうがない……スレイヤーズシリーズは結構楽しんで読んでるので、ぜひとも一部ラストくらいまでは頑張ってほしい気がするんですが。(このシリーズの雰囲気的に、二部は無理だろうなあ)


スレイヤーズ 1 リナとキメラの魔法戦士

   
原作
神坂一

けっこう有名な天才美少女魔道士・リナ=インバースは、今日もお仲間のナーガと共に、盗賊いぢめに精をだしていた。ところが、何か勘違いしてる剣士のガウリイがあらわれて何故か一緒に旅をすることに。しかも盗賊から奪ったお宝を狙うやつらがあらわれる。さあ、大冒険がはじまるよ!

原作1巻「スレイヤーズ!」の内容を元に、ナーガとシルフィールを加えて内容を子供向けにリライトしたお話。挿絵が「吉永さん家のガーゴイル」の日向さんで、何度見てもシルフィールが梨々に見えます。あとレゾさんのいい人オーラが半端じゃねえ。原作はあんなにうさんくささ爆発だったのに、なんかもうこのレゾさんには「さん」付けせずにいられないいい人オーラがある!!!

というわけで内容…ううむ……なんかすごく普通だ……。
どう考えても小学生の教育的に微妙そうな物語をどうアレンジするのかと思ったのですが、もともとの原作が持ってた毒気が殆ど抜かれてしまって、普通の王道勧善懲悪ファンタジーになっちゃった印象。ころころ寝返るけど最終的にはなんだか仲間想いなナーガとか、シルフィールとガウリイに露骨にヤキモチやくリナとか、なんだか原作を知っているとあちらとの差異だけで笑えてしまいます。レゾがハープ出してヘボい歌を歌いだした時にはマジでどうしようかと。しかし、ガウリイは本当に100%ただのオバカさんになってしまっていてちょっとかわいそうだ…。

個人的には、赤法師レゾの扱いが大きく違うのはなんだかな。大きなネタバレになりますが、原作のレゾって決して「善人」ではないんですよね。最初から最後まで自分の目的の為だけに動いていて、周囲の人々が勝手に「善人」というレッテルを張っただけで。それが、元々善人だった人の絶望にシャブラニグドゥがつけこんだ、という設定に変えられてしまったのはちょっと残念でした。あとゼルガディスの手下の扱いとか、全体的に毒気を抜いた分物語そのものの魅力もちょっと薄くなってしまっているように感じました。

確かに面白くはあったんですが、辿ってるストーリーラインが同じだけで中身は全くのベツモノになってしまっているので、これを富士見ファンタジア文庫の「スレイヤーズ」と同じだといわれるのは凄い抵抗ある…原作はもっとドス黒い何かが根底にあるというか、本来「悪の魔族を倒すため、正義のリナちゃんがいっくぞー☆」ってお話とは対極に位置するような物語なんだよなあ。

いまアニメもやってるし、ファン層を広げたかったんだろうというもくろみはわかるけど、もうちょっと無理しなくても角川グループにはもっと児童書向けな嗜好のラノベが沢山あるじゃないか。ていうか挿絵に日向悠二さん採用するなら、「吉永さん家のガーゴイル」をつばさ文庫用にリライトして出そうよ!田口作品なら間違いなく、文章を子供向けにするだけで普通にイケるよ!!!


ロスト・ユニバース5 闇 終わるとき

[著]神坂 一 [絵]義仲 翔子

銀河に滅びを撒くため、動き出したスターゲイザーと『闇を撒くもの』は瞬く間に6つの惑星を滅ぼした。その殺戮の為の殺戮行為には、ナイトメア内部からも疑問を持つ者が現れ始める。一方、星間警察のレイルは家族がナイトメアの殺戮に巻き込まれたことを知り、とある奇策を思いつく…
  個人的お気に入り度数
「ヴォルフィード」と「ダークスター」の因縁をはじめ、すべてが明かされるシリーズ完結編。

なんかもう色々な意味でレイル警部のターン!!!
単身ナイトメアの基地に乗り込み、最終決戦でのキーキャラクターと化して……マジで活躍しすぎです。ていうかこれだけサブキャラ死亡率高い作品で最後まで生き残っただけでも凄い気がしてきました。後書きで「アニメがなかったらあっさり死んでたかも」と言われてましたが実際こうやって読み直すと3巻までは出てきてもかなり空気キャラなのですよね…アニメ化前後の4巻あたりから急に扱いが変わったように思えるのですが、そう考えるとアニメの恩恵を受けた最大の人物はこの人と言えるのではないだろうか。事情わかってない分、終盤では何気にギャグキャラとしても活躍してくれましたね。ヘカトンケイルに乗り込んだときの彼の「奇策」にはうっかり噴出しました。

これまでずっとソードブレイカーVSナイトメアの遺失宇宙船、という実質的なタイマン状態だったのに対し(3巻のゴルンノヴァ戦でも艦隊戦になるけどあの時の宇宙軍はマジ空気なので除外)最終的には様々な人達がナイトメアを倒すため、力を合わせる形になるのがとても熱いです。彼らの命をかけた思いが「第六の遺失宇宙船」まで建造し、絶望的に見えた戦いに小さな穴を開けて行き、それが勝利につながっていく。基本的に主人公と敵のタイマンでの戦いになることが多い神坂作品では珍しい燃え展開だったような…4巻には及びませんが、この作品屈指の好きな場面でした。

個人的には「その後」の彼らの姿を見てみたかったなあ。
リアルタイムで読んだ時はかなり残念に思った記憶が。
今読み返すと、これはこれで余韻があって良い終わり方だと思います。


ロスト・ユニバース4 悪夢 生まれる

[著]神坂 一 [絵]義仲 翔子

犯罪組織「ナイトメア」との対立が避けられないと悟ったケインはナイトメアの隠れ蓑である大企業「ゲイザーコンツェルン」が募集している依頼を引き受けることに。危険は覚悟の上…ではあったが、思いもよらない敵の攻撃を受け、大打撃を受けてしまう。命からがら相転移航法で逃げ延びた「ソードブレイカー」は農業惑星・ジュノーへと不時着して…
  個人的お気に入り度数
シリーズ第4弾。義仲翔子さんのイラストが急に漫画版の絵柄に近づいたなあ…とおもったら、3巻から4巻の発行までに約4年の月日が流れていたんですね。

ああ、やっぱり4巻が一番面白いなあ。良い子だけどしっかり者なマリエルに修理費用をしっかり請求されて涙目なケインや、町のならず者達と繰り広げるチキンレースの様子がたまらなく好き。自称「悪役(ヒール)」なリッチィさんも良い味出してます。何よりジャンクに埋まっていたソードブレイカーが、ジャンク吹き飛ばして再び宇宙に舞い戻るシーンはインパクトあって、文字を読むだけで情景が浮かんでワクワクしてくる。大気圏戦闘も面白かったし、ラストで吹き飛ばしたジャンクパーツに関してちゃんとオチがつくところも好きwこのラグド・メゼギス戦ははぜひともアニメで映像として見たかったなあ…(確か映像化されてないよね?)

しかし、これだけ良いキャラ出して、楽しいドタバタ騒ぎをやらせておいて、珍しく最後まで明るいノリで……と思わせておいて、ラストでそのキャラクター達を惜しげもなく犠牲にすることでラストで一気に落としてくる所が、神坂作品の悪趣味な所。この人の作品の最大の魅力って破天荒なキャラクターとかコミカルな物語より、これだけ明るい話やっておきながらも突然あっさりと暗黒展開持ってくる所だと思うんだ…。挿絵である程度示唆されているとはいえ、というか展開を知っていてもエピローグの衝撃は未だに大きかったです。ていうか後味悪すぎ!(まあ、最終巻が後味悪い「スレイヤーズ」本編や「闇の運命を背負うもの」よりは良心的だけど…)


ロスト・ユニバース3 凶夢 ざわめく

[著]神坂 一 [絵]義仲 翔子

前回の依頼でシャトルが大破し、一気に貧乏になってしまったケインの元に、レイルの同僚を名乗る女性から依頼が入る。それは犯罪組織『ウィスプ』の隠れ蓑となっている企業への潜入調査だった。あまりにも怪しいが依頼料は破格というその依頼をうっかり受けてしまって…
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シリーズ第三弾。遺失宇宙船の技術を使った戦艦を製造している犯罪組織の本拠地に、ケイン達が潜入するお話。2巻でモヤモヤした気持ちを抑えきれなかった某ラグルド社がしょっぱなから壊滅していてとてもスッキリした私です。敵ながらあっぱれ、よくやった!

物語のメインは「ウィスプ」の本拠地である「ケルビム」への潜入調査。ケインとミリィが協力しながら(お互いの足を引っ張り合いながら?)どこか緊張感のないやりとりを繰り広げる姿が面白かった。2巻までと比べていくらかノリが軽くなったような印象?珍しく味方側に死者が出てないからかもしれませんが……24時間眠らない「街」としても機能しているケルビムの描写が、初読時にはかなり印象的だった記憶があります。

1巻、2巻で微妙に思えていた宇宙艦バトルも今回は結構面白かった。2巻までは結構あっさり倒してた所、今回は使用武器に制限が入ったりと頭脳戦の様相を呈していたからかもしれない。しかし「ゴルンノヴァ」というとどうしても別の方向で反応してしまうスレイヤーズ脳な私なのでした。


ロスト・ユニバース2 妖夢 蠢く

[著]神坂 一 [絵]義仲 翔子

今度の仕事はウィナラーン星最大企業・ラグルド社の貨物船の護衛。依頼料は安い上、おそらく宇宙海賊がらみではあるが条件はそれなりに良いし、『ソードブレイカー』を現代の宇宙艦が出し抜けるはずが無い…というわけで仕事を引き受けたケイン達だったが、またもやキナ臭くなってきて…
  個人的お気に入り度数
続けて再読、シリーズ第二段。宇宙海賊から貨物船の護衛の仕事を引き受けたら、宇宙海賊達が“遺失宇宙船”を持っていて、しかもラグルド社自体もかなりうさんくさい感じで……というお話。

なんとなく誰が死んじゃうとか大まかな内容は覚えていたんだけど、改めて読み返すと物凄い後味の悪い話だなあ……一応戦闘には勝ったけど、トンビにあぶらげ持ってかれたというか、漁夫の利で美味しいところ全部持ってかれてる感じ。一番美味しい思いをしたであろう人達の犠牲になった人々のことを考えるとなんともやりきれない気持ちに。しかも、彼らは本来の敵ではないんだよな?…ここでフェードアウトしていく人々なんだよな?…勝ち逃げだよ、くそう。

うむむ、色々面白い部分はあるんだけど、2巻は1巻以上に微妙な部分が多かったかも。後味悪かった事もあるけど、地上でのやりとりが面白い分宇宙戦のシーンが微妙に感じられたかなぁ。この後どんどん面白くなってくるのを覚えている分「面白い!」って思えなくなってるのかもしれないけど。

しかし、全体的に重い話の中、ケインのマントネタとかミリィのボンバークッキング(笑)なネタとか出てくると思わずにやりとする。ていうかケインはマント好きすぎです。予備18枚…w


ロスト・ユニバース1 幻夢 目覚める

 

“やっかい事下請け人”のケイン=ブルーリバーは星間警察の警部・レイルから金にならない依頼を押し付けられてしまう。それは人類発祥の地でありながら現在は宇宙の辺境となってしまった太陽系で家出人を探すだけという簡単な仕事だったはずなのだが、どうも様子がおかしくて…!?

「スレイヤーズ!」の神坂一が手掛ける、スペオペもの。何年かぶりに再読しました。実はラノベジャンルで萌えキャラ遍歴をたどると、源流としてこの作品にぶち当たります。ケインかこいいよケイン。ケインは愛すべきバカ!!

主人公の性別を変更してジャンルをスペオペにしたスレイヤーズみたいなお話。「スレイヤーズ」のリナほどではないけどかなり破天荒で、大きな力を持った主人公達が世界を牛耳る犯罪組織『ナイトメア』と、彼らが所有する“遺失宇宙船(ロストシップ)”と闘っていくというお話です。

いろいろコミカルな展開はあるものの基本の展開は結構シリアスで、「アビスゲート」と「スレイヤーズ」本編の中間くらいの重さ。結構主人公達に近い位置にあるキャラが割合身も蓋もなく死んでしまうので、初期スレイヤーズあたりから入った当初はけっこう衝撃でした。特にクレイブの最後については展開以上に、至極あっさりと凄惨な場面を描いてしまう作者の方に驚いた記憶があります。

あと「スレイヤーズ!」好きには色々と世界観に繋がりがあるっぽい設定を示唆されているのも面白いところ。「闇を撒く者(ダークスター)」とか後に出てくる「烈光の剣(ゴルンノヴァ)」など、スレイヤーズを知っていれば思わずにやりとしてしまう単語が出てくるので、あちらとどういうつながりがあるのか想像するのが物凄い楽しかった。アニメ版では声優被りも顕著なのでそっちの妄想もなかなか面白かったです(声優的にはリナvsガウリィなんだよね!とかそんな感じ)

しかし、今読み返すとかなりあっさり味でちょっと物足りないなあと思ってしまう部分も。特に“ガルヴェイラ”との戦いはミリィに対してキャナルの正体バレが行われる前なので本当に兵器を撃ち合うだけで終了みたいな感じになってしまっているのが残念だったかも。