“葛西 心” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:葛西 心 (3 件 / 1 ページ)

オカルトリック 02

 

元狐憑きの探偵助手・玉藻と、超絶美女の引きこもり探偵・ねえさん、向上心溢れるメンヘラ・イソラちゃん(キーワードは女子力! )。ギリギリのバランスを保っていた三角関係は、意識不明だったイソラの姉・舞花の目覚めと共に、次のステージに移行する――過剰で真摯な愛情が織りなす、混沌とした関係はどこへ向かうのか!? オカルト? マジック? ファンタジー? 夢と現実と過去が絡み合う、未だかつてない物語をご堪能あれ!

宝島社様より献本をいただきました!

 狐憑きの探偵助手・玉藻と引きこもりのオカルト探偵のねえさんと、最強メンヘラ・イソラたんが繰り広げる物語。

 なんか最初から最後までどこまでもイソラたんのメンヘラキ女っぷりに振り回され、そして圧倒された感が強いんだけど同じくらいねえさんの過去から現在に繋がるまでの物語の破壊力も凄かった。イソラの妄執ともいえる強く凶悪な愛と、どんな酷い目に遭っても手放せなかったヒトカケラを一身に注ぐねえさんの愛と、全てを知り、そしてその上で受け止めようとする玉藻の愛と。うまく言葉にできないけど、3人の綴ろうとする「愛」があまりにも強烈で。それぞれの「幸福」を追い求める3人の繰り広げる、文字通りの「愛」の物語に圧倒された。

 ラストがまた、終わってみるとここ以外に落としようが無いって思うくらい絶妙な所に落とされてて。確かに、この3人がそれぞれの形で「幸福」になるにはこの形しかないよなあ。イソラとねえさんが本当に幸せなのかどうかはわからないけど、そうなってると信じたい。だって、これは3人の「愛」の物語であると同時に「幸福」の物語でもあったんじゃないかなと思うのです。

 ほんと、面白かった。次回作も楽しみにしてます。
 玉藻のメイド服姿に挿絵がなかったのだけが心残りです。


オカルトリック

 

狐憑きの少年・玉藻と、超絶美女でヒッキーな探偵・ねえさんの、奇妙でふざけた、そして真摯なオカルト事件簿。自然発火、物の怪憑き、チュパカブラ……次々に起こる事件を通して描き出されるものは何か? オカルト×トリック×カラクリ=人間の幸福って、どんな物語だよ! 第1回『このライトノベルがすごい! 』大賞・栗山千明賞受賞の衝撃作『ファンダ・メンダ・マウス』の大間九郎の新シリーズ開幕です!!

宝島社様より献本をいただきました!

 人として割と駄目な感じの安楽椅子系オカルト探偵・「ねえさん」こと葛乃葉さんと、彼女の助手として働く狐憑きの少年・玉藻が繰り広げるオカルト系ミステリー。

 独特のファンキーな文体で繰り広げられる物語が相変わらずみんないい具合に歪んでてとても楽しいんだけど、何より玉藻の過去話から透けて見える、ねえさんと玉藻の共依存関係がたまらなくおいしい。自ら消えたいと願った少年と、その少年を護ろうと必死になった“狐”の奇妙な関係。ねえさんが玉藻に執着し依存する理由と、『玉藻を幸せにしたい』という強固な思いに胸が熱くなる。あと253Pの取調べシーンがエロいと思ったのは私だけでいいです童貞非処女主人公とか……胸が熱くなるな!!!(ほも的な意味で)

 しかし葛乃葉と玉藻のどこかいびつで歪んだ共依存関係ばかりに目を向けていたら最後で一気に一般人(?)代表のイソラたんに色々持っていかれた!「ファンダ・メンダ・マウス」のマコチンほどじゃないにせよ一応の常識人ポジションだとおもったら……まぁ!いろんな意味で一筋縄ではいかなそうな鮮赤の三角関係がなんか透けて見えて怖いよ!!続編があったらマジ流血の大惨事になりそうですイソラたんYABAI。

 最後のイソラたんもYABAIけど同じくらい作者あとがきがYABAI。


ブレスレス・ハンター2

 

正体不明の怪物「ブレスレス」が引き起こす事件をきっかけに、対「ブレスレス」組織「STAB」にハンターとして配属された少年・優毅と勇生。それぞれの苦悩を抱えながら、少しずつ心を開いていく2人だが、状況が、立場が、そして敵が平穏な日々を許さない。恐るべき敵の正体、目的とは?謎に包まれた美少女ベネトナーシュの秘密とは?物語の核心に迫るハード&ダークアクションの第2巻。(「BOOK」データベースより)

普段は学園生活を送りながら、対ブレスレス組織「STAB」の一員としてブレスレスを狩る生活を送る優毅と勇生。STABの事をどこか信用できず、独自にこれまでのブレスレス事件を調べていた勇生は、そこで一人の青年と出会い……。

とつぜん男二人の同棲生活が始まっていやそこまでは普通の男子高校生ならまあそんなこともあるよなって思ったんですけど、なんか妙に甘酸っぱい生活始まっちゃってるんですけどーーー!?家族を一時に失って日常生活がおろそかになりがちな優毅と家族の愛情に恵まれなかった勇生が、久しぶりの(はじめての)家族らしい生活を営むという構図がなんというか今風に言うと「エモい」わけなんですけど、一家団欒的なやりとりとか、はじめての洗濯とか、最初はぎこちなくも少しずつ二人が心をひらいていく様子がじっくりと描かれていてジワジワと押し寄せる萌えがすごいです。私は一体何を読まされているんだ。

一方で、STAB側の思惑や「幻銃」という能力に対する副作用など、少しずつ物語の核心が明かされて、ますます不穏になっていく。幻銃という異能が与える快楽、どう考えてもヤバいやつだろって思ってたけど予想以上にヤバいシャブだったし、その上で「期間限定の能力」であるのがなんとも酷いよなと。快楽に溺れるベテルギウスやその快楽故に不安定になっている優毅のクラスメイト・岬理緒は相当引き返せないところまで行っちゃってる感あるし、それとは別に恋人であった優毅の妹・智笑美への復讐に逸り、真実に肉薄しようとする勇生も今にも自滅しそうでめちゃくちゃ危なっかしい。ほんとこの話、事件が解決してハッピーエンドになるとは到底思えないんだよな……。

そんなチームメイト達を冷静に見つめているようで、自分が行動するために、数少ない身内である「勇生を護る」ことにすがろうとしていく優毅、他のキャラクター以上に倒錯していて(良い意味で)気持ち悪いんだけど、それが独りよがりであると勇生本人から突きつけられるラストが大変に良かった。前半の家族ごっこがエモさの塊なだけに、心の距離が近づいたようでむしろ全然すれ違ったままだったと突きつけられるラストの落差が、本当に良い。

しかしこれ、あと1冊でどうまとめるんでしょうね……!?