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キーワード:黒留 ハガネ (1 件 / 1 ページ)

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)1

 

ある日突然、超能力に目覚めた佐護杵光。そしてその力を狙う悪の組織が、突如彼の前に現れ―なかった。隣の家の幼馴染が実は退魔師の子孫だと発覚し―なかった!謎の美少女が転入し―なかった!!平和過ぎる日常に逆ギレした佐護は、自分自身が秘密結社になる事を決意する。日本中を探して見つけた有能美女・鏑木栞を副官に引き入れ秘密結社「天照」を創設、資金調達事業も成功。蓮見燈華、高橋翔太という新メンバーも加えたところ、ついに世界を滅ぼす魔王が現れ―なかった!そこで佐護は、とある計画を思いつくことになり…?ひとりの最強能力者が紡ぐ、圧倒的マッチポンプギャグコメディ、開幕!!書き下ろし特別編も収録!! (「BOOK」データベースより)

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ある日唐突に超能力を手に入れた主人公。手に入れた能力に磨きをかけ、世界をも滅ぼせるほどの能力を手に入れてしまうが真に望んでいた「非日常」は訪れなかった。特になにもないまま社会人になってしまった彼は、いっそのこと自分で「世界の敵」とそれに立ち向かう「秘密結社」を作って非日常をプロデュースしようと思い立って……。

超能力と大人の財力を使って超真剣に子供の頃に夢中になった「秘密基地ごっこ」をやってる感じにワクワクが止まらない。非日常は作れる。だいたいこういうのってごっこ遊びをしてるうちに本物の非日常が〜みたいな展開になりそうな気がするんですけど、本当に超能力者的な存在が主人公以外にいない世界なのか、本当にそういう展開は一切ないまま1冊終わるので強い。

主人公が手に入れた超能力という要素以外はあまりにも現実に即しすぎている世界観がめちゃくちゃ世知辛くて、望んでいたのは「超能力」じゃなくて「非日常」なのだという主人公の独白があまりにもわかってしまう。主人公が一人でボケもツッコミもこなすようなテンポの良い一人称が楽しかったです。

どこか夢見がちなパトロン・鏑木さんと、能力は非日常なのに性格がどこまでも現実的な主人公・佐護の共犯関係も良かった。鏑木さんは「中二拗らせ残念系パーフェクト整形美女(お金持ち)」というラノベヒロイン的にかなり美味しい設定してるはずのに変に男らしい性格が災いしてか全くラブコメ的な欲目を感じさせないのがすごいと思う。そして主人公は……非日常と一切無縁のまま超能力者として大成してしまったのって大体この現実的な性格が原因では!? 時に大胆な行動をしつつも現代のネット社会に生きるかしこい若者スタイルでネットの拡散やマスコミは徹底的に避けていってギリギリで大事にならない感じが絶妙。めちゃくちゃアナログの直感で行きてるニコラス刑事との、お互いに正体を知らないままの邂逅も楽しかったです。この紙一重的な楽しさはなんというか……ロードランナーとワイリーコヨーテかよ……(そのたとえは古いと思う)

このまま本当に最初から最後まで自作自演で突き進むのか、それとも超能力バトル的な方向に行くのかわかりませんがいろいろな意味で続きが楽しみな一冊でした。

それにしても、序盤のひたすら超能力を鍛えるだけのくだりがいかにもWeb小説っぽいノリだな〜と思っていたら本当に原作「小説家になろう」だったので噴いた。なんというか、なろう系小説序盤に割とあるひたすらレベル上げするとかただただステータス設定するみたいな部分ってなんでこんなに楽しいんでしょうね。商業だと割とストーリーの本線じゃないからって削られる部分かなって思うし実際こういうシーンがおおいせいでWeb小説の書籍化って割と立ち上がりが重いイメージあるんだけど、こういう描写ってめちゃくちゃ楽しいよな……。

なろうのほうで作者自身が書いたあらすじがキレッキレで個人的にめっちゃ好きなので見たことのない人は読みに行って欲しい。