“秋” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:秋 (127 件 / 13 ページ)

魔王2099 2.電脳魔導都市・秋葉原

 

伝説の魔王――奇怪なる進化を極めた“秋葉原”に君臨する!
秋葉原市。革新的な発展を続ける“電気街”と古き伝統を重んじる“魔法街”が対立構造を呈する未来都市に、魔王・ベルトールは降臨した……超名門学園への留学生として。新たな舞台を駆ける、未来の魔王譚第二幕!

裏切り者・マルキュスの脅威を排除した魔王ベルトールは、いまだ消息不明の六魔侯を探すため、彼らの居場所を示す財宝『魔侯録』を探すことに。秋葉原市の魔法学園地下にある宝物庫にそれが保管されていると知り、高橋・マキナと共に留学生として学園に潜り込むが、宝物庫の封印を解くためには秋葉原市を統べる御三家が持つ秘宝・王徴(レガリア)が必要で……?

「魔法」と「科学」が対立する街・秋葉原

相変わらず近未来SFとファンタジーが融合したような世界観が面白い。新宿は文字通り魔法と科学が融合した混沌の街であったけど、今回は魔法学園を中心にしてファンタジー世界の古き伝統を重んじる“魔法街”、現代日本の秋葉原の趣きを色濃く残す革新的な“電気街”という正反対の特徴を持つエリアが対立を続ける街。描写としてはあまり多くないですが、昼の魔法学園パートと放課後の電気街での散策パートのギャップがとても楽しかった。

そんな中で焦点が当たるのが秋葉原の「御三家」の一角・レイナード家の当主の少女山田・レイナード=緋月。様々な事情から学園内で孤立し、自分自身も周囲の人間に対して壁を作っていた彼女がいろいろな意味で破天荒で内部の慣習にとらわれないベルトール達に少しずつ心を許していく姿が可愛かったです。また、そんな彼女を受け止める魔王のカリスマ性がまた凄く良いんだよな。緋月の一件もそうですが、生徒たちが人質に取られた一件を収めたときの手口が実に最高。緋月への発言を巡って一度は決闘までした男・アルバートとのやりとりが個人的に好きすぎるんですが、一度は完璧に自分を負かした相手に絶対に失敗できない場面であんな形で声をかけられたらそりゃアルバートだって惚れちゃうよなあ(惚れたとはいってない)

物語の最後に緋月が選んだ道は自らが預かった街からの逃避、両親や大切な人たちを手に掛けた者達への「復讐」という、決して前向きとはいい難いなにかであったけど、そんな彼女の選択をも受け入れ、見守ろうとする魔王の姿が印象的でした。

相変わらず魔王と勇者の関係性が最高

勇者グラムに「不老」を授けた恋多き女神・メルディアとの対決!ということで、そして序盤からめちゃくちゃ勇者さんの存在が匂わされていてこれは終盤でまた絡んでくるな!?と思っていたのですが、いやスルーするんか〜〜〜い!!!あれだけお膳立てされておいて「あっちに行ったらなんか面倒なことに巻き込まれそう」っていって全スルーしていく勇者さん御一行がマグナムドライすぎて最高か!!??テンションめちゃくちゃ上がってきた。

そんな感じで勇者さんとニアミスしてるとはつゆ知らず、勇者のいないところで女神メルディアに対して「勇者グラムのこと一番わかってる余」アピールするベルトールさん、グラムのこと大好き過ぎてヤバイ。割としたり顔で根拠のないグラムの内心とか語っちゃってるけど、なんか最終的にしっかり核心を付いたこと語ってるのが実にズルいんですよね。ていうかひょっとして勇者と魔王、この調子で暫くすれ違い続けるつもりなのか〜〜〜最高では〜〜〜!?

続きが楽しみ(魔王が配信してるだけの短編読みたい)

物語本線としては秋葉原を2つに割る全面戦争を阻止し、緋月という新たな仲間を得て、『魔侯録』をも手にした魔王達。しかしその反面、マルキュスすら下っ端でしかなかったという大きな敵対組織《新生教会》の姿が明らかになり……という、今後への種蒔きとしての一面も強かった巻。果たして残った六魔侯のふたりは仲間となってくれるのか、《新生教会》の目的とは何なのか、魔王のチャンネル登録数はどこまで増えるのか。色々な意味で続きが気になる終わり方で、続きが楽しみです。

ところでこの話、配信のチャンネル登録数が魔王の力の源になってる割に配信関係の描写があまりにもおざなりというか、短編集に定評のある富士見だしそろそろドラマガあたりで魔王ベルトールがただ配信するだけの短編とかやってくれてもいいとおもうんですがその辺どうなんですか??作者さんが配信モノの描写苦手とかそういう感じなら他の作家にスピンオフ書かせてもいいと思うんですが(無茶振り)。


ベン・トー 5 北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円

 

半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋たちHP同好会は合宿を終え、地元に戻って日常の争奪戦に精進していた。そんなある日、佐藤のかつての憧れのクラスメイト、現在芸能アイドルとして活躍する広部さんが転校生として現れる。傍若無人の振る舞いをする彼女に、案の定巻き込まれる佐藤は、徐々に弁当争奪戦から遠ざかってしまう。さらに、しばしの沈黙を破り、再び立ちはだかる猟犬群たちの乱入で戦闘は激化していき…!佐藤は「狼」としての誇りを失ってしまうのか!?それとも秋鮭のごとくスーパーに戻ることはできるのか―!?庶民派シリアスギャグアクション、原点回帰の第5弾。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

アイドルとなった「憧れの広部さん」がドラマ撮影の為に一時的に転校してくる。何故か彼女に勉強を教えることになった佐藤だが、広部は自分と付き合う代わりに半額弁当争奪戦から手を引けと言い出した。一方、スーパーでは「ダンドーと猟犬群」が猛威を振るっており……というお話。

1巻で登場した「ダンドーと猟犬群」リベンジ戦+α。オルトロスとの共闘をはじめ、バトル展開も物凄く盛り上がるんだけど、広部さんと佐藤の微妙な関係とそんな二人を見てモヤモヤする先輩が可愛くて可愛くて。

ありのままの自由奔放な美少女・広部さんが好きな佐藤と、「人気アイドル・鬼灯ラン」で佐藤に迫る広部さんとのすれ違いが少し切ない。最後の日の彼女が「鬼灯ラン」ではなく「広部蘭」として佐藤に接していたら、あるいは……と思ってしまう。そんな彼女への想いを断ち切って、夜のスーパーへと向かう佐藤は本当にかっこよかったです。最初のホブヤーとのお話といい、佐藤の『狼』としての成長が見て取れる巻でした。

しかし白粉先生はどんどん腐女子としても間違った方向に道を踏み外しているように思えてならない……なんというクリーチャーっぷり。


セイバーマリオネットJ 7.乙女心と秋の日々

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

西安から帰ってきて以来ライムの顔を見ると胸がドキドキしてしまって『自分はレズだったのだろうか』、と思い悩むティーゲル。そんな折、小樽が楽しみにしていた秋祭りがプラズマ台風のせいで中止になるという話を聞いたライム達は、チェリー&ルクスの発案によりプラズマ台風を消滅させる作戦を決行するが…
  個人的お気に入り度数
シリーズ第7巻は短編集第二弾。

「秋だ、祭りだ、台風だ!?」はライムへの想いに葛藤するティーゲルのお話。普段は他5人のお姉さんポジションな彼女が取り乱す姿には思わずニヤニヤせざるをえません。突拍子もない「プラズマ台風消滅作戦」の顛末も含め、一番素直に笑い転げられたお話かも。しかし、ラストはせっかくの良い場面がティーゲルの体操服のせいで台無しになってる印象が否めなかったり。つか彼女のコスチュームチェンジはいつになるんだっけか…

「秋祭りの夜に……」は、小樽と自分の関係について思い悩むブラッドベリーが小樽と似た雰囲気を持つ一人の少年に出会うお話。いつものお色気姉ちゃんというだけではないブラッドベリーの女の子らしい等身大の一面が垣間見える話で、とてもよかった。普段の彼女にはあまり魅力を感じなかったんだけど、このお話の中の彼女は本当にかわいい。

「チェリーが子供を産んだ日!?」は、クローンの生産工場の見学に行ったチェリー達が赤ん坊の扱いに憤って…というお話。本編を貫く議題にも触れるシリアスなお話なんだけど、それ以上にクライマックスのテレビ中継シーンがインパクトあって、笑いが止まらなくなってしまう。完全に報道を忘れてオリンピック中継のごとく一人で盛り上がるアナウンサーは、勝手に●舘さんの声(筋肉○付ver)で再生されました。

以前の短編集よりは少しシリアス度が上がった印象だけど、個人的には前のやつよりも楽しめたなあ。各キャラクターの魅力が満載な1冊でした。


とらドラ・スピンオフ! 2 虎、肥ゆる秋

[著]竹宮 ゆゆ子 [絵]ヤス

食欲の秋。何を食べても美味しい季節……欲望の赴くがままにご飯をたべまくってしまった大河はすくすくと太ってしまった。主夫として家族の食事管理を怠ったことを後ろめたく感じた竜児はなんとか大河をダイエットさせようとするのだが…!?
   個人的お気に入り度数
「とらドラ!」の番外編シリーズ第二弾。本編最新刊の展開を思い出すとなんだかこういう疑似家族的な大河と竜児のやりとりがとてもなつかしい……なんか感慨深い。「虎、肥ゆる秋」「THE END OFなつやすみ」「秋がきたから畑に行こう!」あたりは特に初期の雰囲気そのまんまで、読んでいてなつかしかったなあ。

しかし表題作「虎、肥ゆる秋」は食欲の秋→ダイエットしなきゃ!→でも美味しい→脂肪定着を毎年繰り返している私としては激しく他人事ではありませんでした……あああああ、とらドラ史上もっとも心に痛い短編だったかもしれません……結局、食事を控えるか運動するかしかないのか……楽して痩せたい。私も大河のクラスメイトくらい協力的なクラスメイトがほしいです。

一番ツボだったのは、クラスメイトのバカ代表・春田がひょんなことからであった女性の為に奮闘する「春になったら群馬に行こう!」。9巻で連れていた“年上の彼女”との馴れ初めが語られます。いやー、バカがバカなりにがんばるお話は大好きだよ!!しかも春田もただバカなだけではなくて自分のクラス内での立ち位置を正確に把握していて、その為クラスメイトには悩みを打ち明ける事ができないと思っているのがなんかいいなあ。ただのオバカキャラが空回りするお話ではなくて、ちょっとしんみりする良い話に仕上がっているのがとても良かったです。しかし、よりによって独身(30)に相談しなくても……コイバナを独身に語るのはいろいろと可哀そうな気がするよ!!!

書き下ろし短編はそんな独身(30)の過去のお話を描いた「先生のお気に入り」。ああ、もうなんていうかこのころから不幸キャラというか、報われない役回りは始まっていたんだなあ……としみじみ。仕事熱心で生徒思いの良い先生なんですけどね…。


秋山瑞人×古橋秀之講演会に行ってきました。

すでに各所でレポートがアップされているのであまり必要ないかもしれませんが
備忘録代わりに軽く感想をば?。
本当に私観入りまくりの「感想」かつ「日記」なので、まじめな
レポートを見たい方は他所の方の記事を参考にされてください。
こちらに講演会のレポートまとめがあるみたいです。

というわけで11/4に法政大学で行われた講演会に行って参りました。
出かけようとおもった最大の理由は自宅の近くから法政大学多摩キャンパス行きのバスが出ているので、簡単に行けそうだという理由だったのですが、出かける直前にサインしてもらう予定だった「イリヤ」1巻が行方不明になったり、日曜日でバスの間隔が1時間に1.5本というすばらしい状況になっていたり、時間調整だかなんだかで西八王子駅前で15分近く停車しやがったりと見事東京の癖に地方もビックリのすばらしさを見せ付けてくれやがりまして、その後も広大な法政のキャンパス内で迷ったりとたどり着くまでがすばらしい波乱万丈ぶり。というわけで講演も途中からしか聞けませんでした…

講演中に両先生も仰られてましたが本当に大学と広大な自然以外何も無いですね…。
いや、地元民だし知ってた。知ってたけど!!
学部棟と学部棟をつなぐ通路?からみえる景色が偉く広大で綺麗でした。
大自然を満喫するには良いキャンパスだと思います。

会場は大学の大教室で、序盤ちょっと内輪ネタっぽい話題が多かったのと、1つのマイクを2人の先生が使っているのが気になったりしましたが、それはそれで大学の学園祭の出し物という感じで味がありましたw
対談をしながらプロジェクターを使って秋山さんが部誌に投稿した「猫の地球儀」の雑誌投稿前のオリジナルバージョンとか、古橋さんが描いた漫画の挿絵(大学時代は漫研だったらしい)とか見れたのもなかなか面白かったです。

話の内容としてはライトノベルの話題も多かったですが、創作中のエピソードとか創作関連の話題が多かった気がします。執筆中の様子とか癖とか、あと新作についての話題もありましたね。後の質問コーナーでも現役文芸部在籍中の方、小説を投稿している方なんかが質問してました。「どうやったら長い話を規定の枚数にまとめられますか?」って質問の後、「長編小説を書けません。古橋先生、長編小説を書くコツを…」なんてのが来たのはひそかにツボでしたw

方向は違いますが創作活動をしている身としては色々創作意欲を喚起させるような内容で、これから年末に向けて頑張ろうという気分にさせてもらえたのが、個人的には一番の収穫だったかもしれません。お話を聞く限りお二人の執筆スタイルがほぼ正反対という感じなのでそういう意味でも両者の違いを楽しめて面白かったです。

ラノベ関係だと質問コーナーで真っ先に交わされた質問が「秋山先生、E.G.コンバットとミナミノミナミノの新刊は…」だったていうのがなんとも…せ、切実なものを感じました…。どちらも未読なのですが「E.G.コンバット」の方は巻数が変わった関係ですでに2回くらいラストまで書いてあるとかなんとか…も、勿体無い。


2時間みっちりお話を伺って、最後にサイン頂いて終了。結構和気藹々とした雰囲気で進んでいくので楽しかったです。学生時代から講演会というものが苦手だったので今まで敬遠してきた部分があるのですが、こういうイベントだったらまた参加しても良いな?と思いました。



余談。
サインを頂こうと秋山さんの方の列に並んでいた際、すぐ後ろでサイン待ちしてたのがどうもこの方とかこの方だったっぽいんですが…たぶん。うーん、ここは一つ「いつもブログ見てます!」とかなんとか一言ご挨拶させて貰おうかと思ったのですが、いまいち確証持ちきれなかったので結局声かけられませんでした。チラチラ後ろ見てる不審人物が居たらそれは私です。ほんとすいません…。


秋津島三 神ながら人ながら

[著]鷹野 祐希 [絵]水上 カオリ

諏訪に居る佐唯の元に現れたのは、あの日殺されたはずの廣沢秋人だった。彼が生きていた事に喜ぶ佐唯だが、同時に言いようの無い違和感・不快感に襲われる。一方、佐唯の事で託宣を受けた厳島の斎・弥彦は感応している市寸島比売の制止も聞かず、厳島を飛び出すが…
   個人的お気に入り度数
完結編。地味に面白かったけど、クライマックスがイマイチ盛り上がらなくて、あっさり終わってしまったのがちょっと残念。

序盤の秋人vs佐唯は、元々血みどろ&(精神的に)グログロ気味なこのシリーズ中でも最高級の盛り上がり&グロ描写が素敵でした。初めて対峙したときの薄気味悪さもさることながら、バトル描写が……うわあ。なんというか、最高に醜悪。そんな醜悪なバトルの中だからこそ、その後の展開が黄泉返ってしまった秋人だけでなく、今まで佐唯が持っていた“復讐”というわだかまりも持っていってしまったのが嬉しくてたまりませんでした。良くも悪くも、序盤の黄泉返った廣沢秋人vs佐唯の対決がシリーズ最大の山場だといってもいいのではないかと。

少しずつ大物主命の斎としての自分を認め、恋人の死を乗り越え、人間的にも成長していく対する佐唯に対し、彼女を亡き者にして“天孫”の世の中を作ろうとする祥姫は次々に目論見を崩され、追い詰められる事に…っていうかこの子あれだよね。黒いっていうか物凄いヤンデレですよね。弥彦と戦ったときに覗かせた、佐唯への歪んだ愛憎がとってもヤンデレ的。ラストは是非“お姉様”と和解して元通り(とはいかないまでも、それに近いくらいの)関係を築いて欲しかったです。というか、ここまでヤンデレっぷりを見せ付けておいてラストがあっけなさ過ぎる……色々無理してたみたいだからラストであっさり陥落してしまったということでしょうか。

それにしても、本編となる血みどろストーリーもさることながら、今回も色々と大暴走な大物主命が素敵過ぎます。ちょっとラストが駆け足気味な終わり方だったこともあるし、あと1冊くらい続けてもうちょっと濃厚に大物主命と佐唯の夫婦漫才…もとい魂の触れ合いが見たかったです。ちょっと3巻で終わらせてしまうのが残念なシリーズでした。


その宿命は星に訊け 岐伯春秋

[著]北条 風奈 [絵]櫻 ゆり

炎帝・神農氏を主君と仰ぐ薬師・岐伯は帝の命令により北部を収める帝の異父弟・軒轅氏に仕えることになる。様々な出会いを経て北部の飢饉から人々を救おうとする岐伯だが、兄へ劣等感を抱く軒轅氏と神農氏の間で戦争が起きて…
   個人的お気に入り度数
その宿命は星に訊け—岐伯春秋
封神演義時代以前の中国を舞台にした中華ロマン。「封神演義」に登場するキャラクターたちが多く登場するので、某マンガ世代の人たちにはちょっとなじみの深い名前が多いかも。ちなみに発売当初買ったまま5年も積んでた一冊です…って考えると、これが実質的な「初ビーンズ」だったのか…。

エニックスで長いことSF系のノベライズを出していた北条風奈さんの小説、ということでエニックス側で出されていた著作の大ファンだったのですが……後書きで低年齢層を意識して文章の書き方を意図的に変えているという文章がありましたが、その所為かエニックス時代の文章を読んだときに感じた魅力が全くなくなってしまっていました。何よりもキャラクターや舞台の臨場感溢れる(一部では「やりすぎ」とまで言われた)描写表現がきっぱりさっぱり削られているのはもうなんていうか…。淡白といえば聞こえはいいけど、なんか以前の過剰なくらいの描写表現に慣れきった身としては違和感感じまくりでした。

いや、なんていうか「小説TWINSIGNAL」を読んだときに毎回感じていた、舞台になった街に一緒に旅行に言ったような気分になるそういう臨場感とか、そういうのが皆無だったのが個人的に期待はずれすぎたんだよー。もっと南部と北部の人々の生活の様子とか、そういうの書いてほしかったっていうかその辺を期待してたというか。

ストーリー自体は、中盤くらいまではまだ良かったかなあとおもうのですが、ラストが酷い。最後の2Pくらいで散々張り巡らされた伏線を後日談と言う形で強引に解決しておしまい。ヤバイくらいに何も落ちてない。ジャンプの10週打ち切りマンガみたいだ。シリーズものの1巻として、「彩雲国物語」の1巻みたいに未来の姿を暗示して、次巻につなぐって感じでも無いしなあ…。

各キャラクターの描写がとにかく浅くて、なぜ彼らが岐伯に絡んでくるのかとかそういう辺りがあまり見えてこない。主人公の描写はしっかりしていて、北と南の帝の間で揺れ動く様なんかはとても素敵なものがあるのですが(それでも最後の方に駆け足で書かれた部分という印象が否めないんだけど)、全体的に物語として浅い気がするのです…。

「古代中国ロマン」という今までの著作物とは一線を画するジャンルに挑戦したのがまずかったのか、角川に移って編集者にいろいろ言われて路線変更を迫られたのかはしりませんが、「小説TWINSIGNAL」や「奇跡の知性」が自分の中でかなり神だっただけに、この出来はショックでした。うーん、中学・高校時代に一番読み込んだ作家さんだと言っても過言ではない方だけに、この作品を最後に消えてしまったのが本当にもったいないと思えてしょうがないのですが。是非、いつか路線をSFに戻して復活してほしい作家さんです。(ビーンズよりも富士見Fか電撃か富士ミスあたりのほうが活躍できそうな作家さんだとおもうんだけどな?…)


ちなみにエニックス時代に出したオリジナルSF作品「奇跡の知性」は正直神がかってるとおもうので、うっかりこの本を読んでしまって欝になった貴方は是非古本屋で探してご一読してみてください。amazonさんで何故か定価以上の価格で売られててびっくりしましたが。


秋津島二 惑いし宿命の乙女

[著]鷹野 祐希 [絵]水上 カオリ

託宣は「大物が動けば全てが動く」と告げた。恋人の仇を討つために、斎としての力が欲しい事に変わりはない…しかし、そんな理由で斎になってしまっていいのだろうか。諏訪・厳島の斎に出会い、自らの受け継いだものの重さを知った佐唯の胸には迷いが生まれる。何とか迷いを断ち切り、宿神儀式を行うため奈良に戻った彼女の元に、厳島の斎・弥彦から知らせが届き…
 

どこが?といわれると難しく、時にちょっと小難しくはあるのですが、地道に面白いですね。逆に言うとイマイチ盛り上がりに欠けて感想が書き辛かったりするんですが。

前回もかつて姉妹のようにそだった少女たちと戦う運命になったり、その少女の手によって恋人が殺されてしまったり…と非常に重い話でしたが、斎としての力を剥奪するという目的で襲われそうになったり、水百の過去にもいろいろあったり…と、ますますストーリーに重さが増していく印象です。奈良の面々にも受け入れられたというわけではないようですし、かつての妹分だった祥姫の黒化はますます進むし、厳島の斎・弥彦と宿神・市寸島比売にも妙なフラグが立ってしまっていそうな予感がするし、ラストに現れたあの人はどうみても…だし。しかし、そんな中で僅かながらではありますが前向きに自らの宿命を受け止めようとする佐唯の姿が素敵です。今後の展開がどうなっていくのか非常に楽しみ。

そんな中本当にわずかな間でしたが、奈良の大神神社で佐唯と感応して言葉を交わした大物主命のキャラが偉い素敵なのですが。とにかく重い空気の中彼のセリフだけが素敵に浮いてます。真顔で「禊の際に服を着て水を浴びるのはおかしい」「斎が自らの夫である宿神の前で全てを見せないのは変だ」だのと言い出した挙句、「禊の際は是非、服を脱げ」としきりに強要する神って、ほんとにどんなんだwこの作品唯一の清涼剤として是非今後も頑張っていただきたいものです(セクハラ発言を)


秋津島 斎なる神のしもべ

[著]鷹野 祐希 [絵]水上 カオリ

鹿島神古流道場に生まれ、武芸一筋で育った少女・佐唯に恋人が出来た。初めての恋に戸惑いながら、少しずつ距離を縮めていこうとする二人。ところがある日彼女の身体に“神”が憑依し、佐唯は今まで身近に居た人々から命を狙われる。彼女を庇って殺された恋人の仇をとる為、佐唯は復讐を決意するが…
 

日本神話を下敷きにした美少女伝奇アクションもの。いやあ、好き嫌い分かれそうですが私は日本史好きなのでこういう話はたまんないですね。何も知らないヒロインへのフォローという形で適度に解説が入るので日本神話が気になってるけどあまり詳しくないという人への入門書(?)としても良いかも。特に“天孫”“地祇”の関係なんかは凄く面白かったです。

序盤のヒロインと恋人の秋人を中心に可愛い妹弟子の祥姫、親戚の双子等とおりなす、甘酸っぱい「日常」から一転して佐唯が“地祇”の神を“宿神”して以降の展開が容赦ないです。妹弟子の祥姫の黒化に関しては序盤からなんとなくフラグ立ちまくりでしたが、まさかここまでとは…。というか、てっきり百合モノになるのかと…(笑)

なんていうか、「宗教」というものの恐ろしさを感じます。“天孫”関係者の選民思想みたいなのが凄くて怖い。もう少し今まで仲良くしていた相手同士の葛藤みたいなのがお互いにあるのかと思いきや、今までの日常なんかなかったことのように襲ってくるというのが恐怖でした。佐唯自身は復讐に生きるといいながらも結構葛藤してる部分が多いので余計に敵側が容赦なく感じます。

こういう完全シリアスでかつ欝っぽい話は何気にかなり好みなので、次巻が楽しみです。


インフィニティ・ゼロ—秋‐darkness pure

インフィニティ・ゼロ 4 秋〜darkness pure

[著]有沢 まみず [絵]にのみや はじめ
メディアワークス 2004-11
 
学校行く途中に読んで、涙が止まらなくて困りました。正直、3巻の内容が救いようがないほどの鬱展開だったので、そして私の中で「吸血鬼のお仕事」最終巻がトラウマ級に痛すぎたので3年ぶり?に新作で完結編、ってどうしても良いイメージ抱けなかったんですよ。そして「こんなことなら完結させない方が良かった」みたいな最後を予想してました。

ある程度、ここまでやってしまったら
鬱エンドにいかれてもしょうがないだろうな、って。

期待を見事に良い方向に裏切ってくれて、ありがとうございます(泣)

後半の悲しい展開に涙をこらえるのに必死でした。そしてエピローグで、本当に泣きました。涙が止まりませんでした。終わり方が本当に綺麗で。もういいよ鍵のパクリでもなんでも、こんなに泣かせて貰ったんだから(笑)

ただ、個人的に今回の話はKEY作品よりも新井素子の「グリーンレクイエム」を思い出しました。あの作品の最後の展開に、子供心に物凄く納得がいかなかったんで、今回の最終巻が本当に嬉しかったんです。どんなにヒロインが忘れて欲しいと願っても、主人公はそれに立ち向かって、幸せになれなくてもいい、ヒロインの事を忘れずに最後まで覚えていて欲しいと願ってしまうのは私が女だから、というのもあるのでしょうが・・・。(友人に話した所、鍵ゲーの“ONE”かなにかに似ていると言われましたが…まあもうその辺は気にしちゃダメ!!)

本当に待った甲斐がある良クォリティの作品をありがとうございます。「いぬかみっ!」はあまりにもギャルゲ臭が漂ってきて痛すぎて読んでないけどごめんなさい(蹴)

ひとつだけ不満点を上げれば、挿絵。
「浄眼」は作品を語る上で外せない要素だし、ひとつの萌えポイントであるとも思うのですが、少しでも描き分けて欲しかったと思うのは我侭ですか?私は何度挿絵見てもそこで萎えるんです。黒目の部分を少なくするとかそういうちょっとした書き分けでいいのに、どうしてそれをしてくれないかなと。

最初の方は確かになんとなく描き分けてたっぽい印象を受けるんだけど、最終巻は完全に忘れてるだろ?って感じで、それがどうしても嫌でした。こういう作品だからこそ絵にはこだわりたいんです。特に人物の表情・瞳には。

どれがどの作品のパクリだとか気にしないでお話を読める人にはオススメの作品です。というかもう完結しただけでも手放しで五つ星あげたいです(笑)