“赤岸K” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:赤岸K (4 件 / 1 ページ)

錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣

 

濃密な死の香りに包まれる王の子を寒椿が生かす。煮え滾る鮮血の海から抜け出した子供・シシを救ったのは―、疾風無頼の兄上―赤星ビスコだった。九州が誇る巨大監獄『六道囚獄』。そこには花を操る人造人間・紅菱の一族が収監されていた。人間に逆らえない宿命を背負い、監獄の中で虐げられる紅菱たち。しかし彼らを捕らえているのもまた、桜を操る紅菱で―。キノコの生命力を奪い咲き誇る花々。進化のキノコ『ナナイロ』の胞子により生じた未知なる花力が日本を動かす!

各地で消えたキノコ守りの消息を追い、九州が誇る大監獄『六道囚獄』を訪れたビスコとミロとパゥー。そこで待っていたのはビスコを「兄」と慕う少女・シシとキノコを喰らい、キノコ守りの意思をも喰らわんとする監獄の主・サタハバキだった。それぞれに罪を問われて収監されてしまった彼らの運命は……。

ビスコの「キノコ」という本領が発揮出来ない場所を舞台に繰り広げられるそれぞれの戦いが楽しい。表立って動けなくて水面下で動くのを余儀なくされる姿は普段の彼らを知っていると大変にもだもだするんだけど、いろいろな意味で脱獄までは「頭脳派」ミロの独壇場。そんな抑圧された展開だからこそ、彼らが本来の力を取り戻して全力で戦うクライマックスが最高に爽快なのですが。あと、出番こそちょっとしかないけどパゥーさんが相変わらずイケメン。旦那であるビスコに対する若干のヤンデレ感というか余裕のなさは、なんというかミロの姉だな……という気持ちになりますが……。

そんなビスコ達の脱獄劇の裏で繰り広げられる人造人間「紅菱」の王子・シシの葛藤と成長が熱かった。人造人間から自己の意志を得たばかりの彼(彼女)がひとりの生命体として、そしてやがて「王」になる者としてどういう人生を歩んでいくべきなのか。悩み、葛藤し、そして立ちふさがるなにかを乗り越えようと足掻く姿が印象的でした。

兄と慕うビスコ、最初はどこかギスギスしていたところから少しずつ信を置いていくミロとの関係も大変良いのですが例によってパゥー以外の女がビスコに近づくと面白くないミロさんがシシに対して余裕なくてニヤニヤする。そして「ビスコにふさわしくない」といわれてブチきれるミロさん最高!!!

ビスコ達と別れ、憧れであり肉親であり乗り越えるべき存在でもあった父王ホウセンと違う「王」の道を歩み始めたシシがどこへ向かうのか。新たな物語の始まりを感じさせるエピローグが衝撃的で、続巻への期待が止まらない。

というか次回予告の圧が高すぎるんですよなんなんですか北海道の中には赤ちゃんがいますって!!


錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」

 

「ぼくはアポロ。平たく言えば…。きみたちを滅ぼしに来た」四国・キノコ守りの里で襲撃を受けたビスコたち一行。アポロと名乗る襲撃者は機械人形を操り、里のあらゆるものを“都市ビル”へと変えていった。全国各地で同時多発的に起こったこの“都市化現象”は、国民を阿鼻叫喚の渦に叩き落とす一方で、文明崩壊前の豊かな日本の姿をありありと見せつけ―。“都市”に蹂躙される中、現代を救う切り札となれるのは、人類とキノコの奇跡のハイブリッド―赤星ビスコだけ!?過去VS現在変わりゆく中で彼らの選んだ結末は―?(「BOOK」データベースより)

ミロを正式なキノコ守りとして迎えるために四国に里帰りしていたビスコとミロは、突然謎の機械人形から襲撃を受ける。同時多発的に発生したその襲撃は、攻撃された所を「都市ビル」へと変えてしまうものだった。事態を打開するために、何故かその場にいたチロル(?)と共に忌浜県を目指す二人だったが……

攻撃されたところから「都市」が生えるってどんな設定なんですかよ天才か!!?いやキノコが生えるのも十分インパクトありましたけども「都市」って。しかも年寄りのジャビからはちょっと時代がかった建物が生えるとか、地味に設定や描写が細かいのがズルい。錆喰いビスコ、1巻の頃からすでに何度か主張してましたけどあらやめて作画が死ぬほど良い劇場版アニメで見たい。脳内イメージは全盛期のスタジオジブリ(夢を見るだけなら自由だ)。

日本を激変させた元凶、過去から現れた男・アポロ。ビスコ達の生きる世界を押し潰してでも過去の世界を取り戻そうとする圧倒的なな暴力にこれまで登場した全ての味方が集結し、命をかけた戦いが幕を開ける!──というどこまでも「お約束」な展開の連続で、それがまた最高に楽しかった。ビスコとネロを前に進ませるため、次々と現れる強敵を味方が命がけで食い止めてくれる展開とかまさしくバトルマンガ最終回の定番、お約束だらけでめちゃくちゃテンション上がる。次々と味方が倒れていくけど最後でご都合主義の塊とばかりに雑に全員生き返るのがまたいいんだよな〜!!いや〜良い最終回だった!!!(※最終回ではない)

今回は特に「現代日本」から地続きの近未来の存在としてのビスコ達の住む「日本」という存在をどこかリアルに感じて、そこも楽しかったです。『真言』が現代のプログラミング言語に近いのは前巻の時点でなんとなく示されてきていたけど、改めてそれが一種の「魔法」のような形で未来の世界に受け継がれていくのが面白いなあと。衛星が残っててわずかに生き残ってるテレビ放送とか、一種のオーパーツ的な残り方してるコミックとか、ビスコ達の名前の意味とか、細かいところで確かに現代日本の息吹を感じるのが大変に良い。

ネロとビスコ、そしてアポロとドミノという似ていないようでそっくりな、対称的な二組の存在が織り上げる、最後まで熱い「愛」と「絆」の物語だったのですが、そんなことよりパウーさんが可愛くない!!!!!?????なんだこの最高に可愛くて強い嫁は。負ける気がしなさすぎる東京への「進軍」シーンには思わずニヤニヤしてしまったし、エピローグですっかりラブラブイチャイチャしてる姿にまたにやけてしまった。パウーさん可愛すぎる。

しかし、パウーさん死ぬほど可愛いのにどうかんがえても「でもビスコの正妻はネロなんだよな……」って考えてしまうのやめたいんですけどどうなんですかこれ。そういうこというの別に腐ってるせいだけではないとおもうんだ。あまりにもネロの正妻ムーブがすぎる。……すぎるよね?

「ミロ、こいつを壊すとどうなる?」
「日本で、衛星放送見れなくなる」
「衛星放送?」
「6チャンネル。いつも同じアニメやってるとこ」
「あの、ネコとネズミのやつか?……なるほど、ちょっと罪深い気がしてきたな」


錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ

 

“錆喰い”由来の特殊体質を治すべく、大宗教国家・島根を訪れたビスコたち。しかし―そんな一行の前に野望の不死僧正・ケルシンハが立ちはだかる。不意打ちで胃を盗まれたビスコの余命は、僅か―五日!?暴走した“錆喰い”体質で心臓にキノコが咲けば即アウト!相棒・ミロとともに様々な宗教ひしめく島根の中枢“出雲六塔”に潜入した彼らは、はたして無事、元の身体を取り戻せるのか。そしてかつて立った頂点奪還を目論むケルシンハの暴虐に、相棒の絆は打ち勝てるのか―!?熱い絆で射貫く怒濤の冒険譚、再び! (「BOOK」データベースより)

不老不死になってしまった身体を治すため、再びミロとともに旅に出たビスコ。まずは出雲に居るという噂の『不死僧正』を訪ねることにするが、旅の途中で助けた異様な風体の老人から不意打ちされて……。

相変わらず、劇場版の長編アニメーションで見たいような面白さ。『錆喰い』が持つ異常な再生能力が災いして逆にその再生能力に喰い殺されそうになるビスコ、敵の侵食によって強みである冷静な思考能力を奪われるミロ。1巻ラストの時点でかなり無敵感のある2人をどうやって動かしていくのかと思っていたら、絶妙に2人の弱点をついてくる形で危機に陥らせていくのがめちゃくちゃ上手い。本来の強みを活かせない彼らがギリギリの状態で前回以上の強敵に立ち向かっていかなければいけない展開と、そこを仲間たちの力も借りつつ最後は2人の絆の力で打破していく展開が熱かった。

そして敵である不死僧正ケルシンハがとにかく老獪かつ厄介かつ強欲なジジイでとてもいいキャラしている。読んでるだけで強さがビシビシ伝わってくるし、やってることは最高に胸糞だし……その割に、最期の爽やかな読後感と来たら!!どこまでも諦めが悪いのがこのジジイらしく、そこを完膚なきまでに叩きのめす姿が爽快でした。

世界の謎も少しだけ明かされ、不老不死の体の件は一周回っていっそ解決でいいんじゃない!?みたいなとこあるけど大変続きが気になる終わり方で楽しかった。3巻も楽しみ。

それにしても、今回は抜き身の刃のようなミロの一面が見れて大変に美味しかったんですけど、それはそれとして完全にミロがビスコの正妻ムーブしてて面白いし、何かと自分の姉と結婚させようとしてくるのジワジワと面白い。パウーさんは超いい女だし最高にえっちなお姉さんであるけど正直ビスコとフラグが立っているようにはあまり見えず、正直「ミロがビスコと血縁になりたくてゴリ押ししてるのでは!?」感すらあるし、パウーさんの立ち位置もどっちかっていうと面倒くさいお義父さんって感じなので正直ビスコと結婚するビジョンが見えない。

もういっそパウーさんに条例作ってもらってミロとビスコが結婚しよう(そうじゃない)。


錆喰いビスコ

 

すべてを錆つかせ、人類を死の脅威に陥れる“錆び風”の中を駆け抜ける、疾風無頼の「キノコ守り」赤星ビスコ。彼は、師匠を救うための霊薬キノコ“錆喰い”を求め旅をしていた。美貌の少年医師・ミロを相棒に、波乱の冒険へ飛び出すビスコ。行く手に広がる埼玉鉄砂漠、文明を滅ぼした防衛兵器の遺構にできた街、大蛸の巣くう地下鉄の廃線─。過酷な道中で次々に迫る脅威を、ミロの知恵の閃きと、ビスコ必中のキノコ矢が貫く!しかし、その先には邪悪県知事の奸計が?。第24回電撃小説大賞“銀賞”に輝いた、疾風怒涛の冒険譚! (「BOOK」データベースより)

謎の災害によって文明が滅び、錆びに犯された日本を生きる、お尋ね者の「キノコ守り」の少年・ビスコと、心優しき医師の少年・ミロ。接点のなかった2人の少年(と一匹の蟹)が死の病に犯されたそれぞれの家族を救うため、幻のキノコ「錆喰い」を求めて冒険の旅に出る。

旅の中で様々な出会いがあり、そこでの出会いを通して2人が人間的にも戦士としても成長していく姿がめちゃくちゃ楽しい。並行して、最初は利害関係の一致から旅を始めたくらいの関係だったミロとビスコが、徐々にお互いに背中を預けあえるかけがえのない相棒になっていく姿が印象的でした。

もう序盤からびっくりするくらいミロくんがヒロインをしているんですけど、同時に女の子のような見た目でありながら誰よりも強靭な精神を持っているのも彼なんですよね。どんな状況でもその想いを見失わず自分を貫こうとする姿があまりにも強く、だからこそ、終盤でその意志が敵の手によって無理矢理に砕かれようとする展開に惹き込まれてしまった。

そういう意味ではむしろヒロインはビスコなのかもしれない……?ワイルドを気取っているけど情に厚くて誰かのピンチを見過ごせず、仲間を傷つけようとする相手にはすぐ激昂してしまう姿はまさしく少年漫画の主人公なんですけども、終盤は完全に姫姉様(ナウシカ)みあった……。などと考えていたらツイッターで「アクタガワ(蟹)がヒロインでは!?」とツッコミが来たのでもう3人で結婚したらいいんじゃないかな(提案)

終盤、キャラクターたちがびっくりするくらいに「愛してる」を連呼する。その「愛」という言葉について、あとがきでは「憎悪や執着も含めて誰かを強く想うこと」と説明されいて、そう言われてしまったら確かに最初から最後まで愛しかない物語だったなあと。主人公サイドも敵サイドも含めて、誰もが誰かへの譲れない「強い想い」を持っていて、それを暑苦しいくらいにぶつけ合うクライマックスにただただ圧倒されました。

物語の「続き」を想起させつつも一冊の中にこれでもかとばかりにぎゅうぎゅう詰め込んで、なおかつ一旦綺麗に終わらせてくる感じが良い意味で新人賞受賞作という感じで、劇場で見る長編オリジナルアニメーションのような濃厚な一冊でした。面白かった……!!

それにしても、こんなに男臭くて大丈夫か?っていうくらい熱い男たちの物語だったんですけど、ビスコを認めてからのパウーさん(ミロの姉)がえっちすぎるのでワイルド系でえっちなお姉さんが大好きな人は早く読むんだ。