ページ 168 | 今日もだらだら、読書日記。

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ミミズクと夜の王

[著]紅玉 いづき [表紙]磯野 宏夫

額には焼印、手には鎖を嵌められて奴隷として生きてきた少女は魔物が住むという森の中を歩いていた。己のただ一つの願いをかなえるために。やがて、彼女は月のような金色の瞳を持つ人にあらざるモノと邂逅するのだが…

 

良くも悪くも、「いや、これはライトノベルじゃないだろう…」という作風。魔法や魔物がはびこる世界で起こる人間と魔物のふれあいの物語なのですが、“ファンタジー”というよりは“児童文学”の世界の物語だと思うのです。ストーリーとしては非常に面白かったし、引き込まれるものを感じましたがこれが「電撃文庫」から出てるのは明らかに間違っているとしか言いようが…。

どちらかといえば、小学校の図書室にハードカバーの本としておいておくと、小学生が大人になってから「そういえば小学校の頃、“ミミズクと夜の王”って作品が大好きでね…」と酒の肴にするような、決して歴史に名前が残る訳ではないけれど当時の子供達の心にいつまでも残り続ける…そんなお話だと感じました。私達の世代で言うと灰谷健次郎とか「ルドルフとイッパイアッテナ」とか「ドルオーテ」とか「ズッコケ三人組」辺りと一緒に並べたい作品。電撃でも悪くは無いんだけど、出来ればちゃんとした児童書レーベルとかから出版して、図書館に並べてもらったり親が子供に買い与えるような本になるべきだったのではないかと思えてなりません。電撃だと「たかがマンガ小説」だといわれていまだに学校の図書室とかには入りにくかったり、親が敬遠したりしそうな印象があるんですがどうなんでしょう。(今は大分改善されていると聞くけど…)

しかし明らかに出版社を間違えているだろうというポイントを除けば、文句なしに名作です。本当にこの作品で“悪人”と呼べるのは最初にミミズクを奴隷として扱っていた村の人達くらいで、あとは魔族も人間も根からの悪人は存在しません。魔物であるフクロウやクロは勿論ミミズクを救おうとする人間達も非常に良い人達で。ただ、愛する者の違いやちょっとした行き違いがあったり、それが原因で分かり合えなかったりするという関係が非常に清清しいというか(ただここで人間達に悪意を持たせない所がまた、“ラノベではない”と思わせてしまう由縁なんだよなあ…)。

明らかに頭の足りない子だったミミズクのキャラクターにちょっと微妙なものを感じたりしましたが、後半で人間の国へと救出された後のミミズクの態度が非常に凛々しくてかっこいいです。特に“命の恩人”であるハズのアンディに「フクロウの絵を焼いたあなたを、あたしは絶対に、許さない」と断罪の言葉を投げかけるシーンはシビれた。

最後はちょっとご都合主義すぎる終わり方をしたなあ、とも感じましたが「ライトノベル」ではなく「児童文学」だと思って読めば全然無問題です。最後のほうの一連のくだりはしっかり泣かせてもらいました。

小学校の頃に読んだB級児童文学を思い出させる名作。小さい頃読書が好きだった大人にも読んで欲しいけど、やはり今の小学生に読ませたい一冊だと思いました。というか、表紙からして明らかにコレ本来の読者層である中・高校生読者を切り捨てちゃってるような。

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やがてマのつく歌になる!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

聖砂国に向かう船の中で、亡命して送り返されそうとしている難民達を発見したユーリ。なんとかして彼らを助けようとするユーリは、一世一代の大芝居を演じることに。一方、ひょんなことから4つの“禁忌の箱”のうちの1つが聖砂国にあることが発覚して…。聖砂国でコンラッドが、羽田空港で勝利が出会った意外な人物とは!?
 

近頃なんだか物凄くストーリーの進み具合が遅くてヤキモキさせられる「まるマ」シリーズ。前巻の感想でぼやいたとおり、「これがマのつく第一歩!」と1冊にまとめて出した方がテンポ良く読めたんじゃないでしょうか?やっぱりどうにも分冊した意味がわからない…

ユーリの王としての成長や眞魔国の人々の変化が見て取れる一冊。ダカスコスが船の中で交わした会話が非常にツボです。ユーリは自分が王様になってやったことなんて殆ど無いと思っているけど、やはりユーリの存在によって眞魔国の人々にもたらされた変化は大きかったんだなあと、ちょっと嬉しい気分になれました。同時に貨物船の中の難民を助ける為にユーリたちが一芝居打つシーンが非常にツボ。花形船長の台詞がいちいちまた熱い。

ダカスコスにしろ花形船長にしろ、生まれついた国の価値観というものは私達が考えていたより大きなものなんだな、と実感させられます。ダカスコスは「人間は魔族の敵」だと思ってて、花形船長は「奴隷は自分達とは違う、虐げられて当然の存在」と思っていたわけですがその二人の価値観をユーリが変えたのだとしたらそれってかなりすごいことだなあ、と思うと思わず胸がジーンとなってしまうシーンでした。

そして遂に外伝「お嬢様とは仮の姿!」のキャラクターが本編に密接に絡んで来ます。勘違いゲイシャガール・アビゲイルが非常に良いです。そしてなんだかすっかり“振り回され属性”な渋谷兄(笑)

サラレギーの正体には少々驚いたものの、その目論見に関しては色々と予想通りな展開でした。それにしてもまた嫌な所で切ってくれるなあ…。


ところで170ページの挿絵はコンラッドがユーリを襲ってるようにしか見えません。
なんですかこのファンサービスはテマリ先生!!

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これがマのつく第一歩!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

出航直前に起こったテロのお陰で、ヴォルフラムやギュンター達と離れ離れになってしまったユーリ。貨物船でシマロンの若き王・サラレギー、大シマロンからの使者・コンラッド、そしてヨザックという微妙なメンツで神族の住まう国、聖砂国を目指すことになるが…。一方、いつまでたっても戻ってこないユーリを心配した村田は、とある人物とつなぎを取ることに…!?
 

完全に次作への「つなぎ」の一冊。後半にグレタメインの番外編が入るため、本編はたった100P程度しかありません。簡単に読めるけど、物凄くコメントしづらい一冊だ…。

電撃文庫の400Pだの500Pだのの本に慣れていると、「原稿が300P越えたから分冊!!」という思考が全く理解できません。多分ビーンズが活字の苦手な学生をターゲットに絞っているとかそういう関係も多少はあるんだろうけど…そこで敢えて「300Pがなんだ!」といいたい。内容的には、分冊なぞせずに1冊にしてまとめて読みたかった。外伝を含めても400P。電撃なら全然余裕のページ数なのに!!!

ていうかもう1000ページ越えなければ全然許容範囲内だよ!?
(それどこの終わりのク●ニクル)

せいぜい見所といえば、村田という日本側で立ち回るキャラクターを得たお陰で、「お嬢様とは?」「息子はマのつく?」に出てきたキャラクターが少しずつ出張ってきていることでしょうか。外伝を読むのを後回しにするならこの本の前に読んでおくのがオススメ。

というかもう、日本側で渋谷兄に、魔族側でヴォルフラムに、そして外伝でグレタに萌えれればもうそれでいいとおもうよ!個人的には予想以上に弟バカだった渋谷勝利兄がお気に入り。村田やボブとの掛け合いがなんとも可愛い。ヴォルフラムは聖砂国に行く為の救助隊を指揮することになり、ますます漢前が上がりました……救助に行く為、ギュンターの“秘術”で魔力を封じてまで……………


………………

ってこれなんてホモゲ!!??

どちらかというとノリはどこぞの「これが私の御主●様」っぽかったですが…なんというか、シリアスだらけのストーリーに一服の清涼剤をありがとう。いやー、ギュンターはやっぱりこうでなくっちゃね☆

むしろ本編よりも見所はグレタがメインで活躍する「マ王陛下の優雅な一日」でしょう。眞魔国王宮を舞台に、久しぶりにほのぼのとしたドタバタ劇が見られます。うわぁぁぁぁぁ、グレタ可愛いよグレタ(*´д`)

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息子はマのつく自由業!?

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

若き日の美子をナンパした渋谷勝馬は、2回めのデートで衝撃的な事を言った。
「やー、実は俺、魔族なんだわ」
夫は魔族、下の息子は生まれる前から異世界の次期魔王様!?—でも、ゆーちゃんに本当に“魔王”なんて務まるのかしら?渋谷ファミリーのエピソードを収録した番外編第三段です。
 

すっかりシリアス路線になってしまったマ王シリーズ、久しぶりの明るい番外編の登場です。何はともあれ渋谷一家が濃すぎますw前回の番外編と比べると格段にキャラクターが魅力的で面白かった。一見おしとやかな良妻賢母(…しかし若い頃の通り名は“ハマのジェニファー”)な美子に振り回される勝馬もなかなかナイスですが、やはり個人的には優等生と見せかけて実はエロゲーオタクの兄貴・勝利君がツボです。しかもこの上ブラコンだなんて美味しすぎます(笑)

とにかく色々な意味でユーリ馬鹿な家族3人がおりなす、どたばたコメディ。渋谷ファミリーだけではなく、若き日のコンラッドや現地魔族の皆さんもなかなか良い味出してます。現在のシリアス路線も嫌いではないですが、やはりこの作者さんは明るいコメディの方が性に合ってる気が。非常に面白かったです!

ただ、発行順に読んでいくと、番外編と本編が1冊ずつ交互に読まなくてはいけないので、ちょっと本編の進み方がタルく感じてしまったり。ただの番外編なら飛ばしてその後まとめて読む…という事が出来なくも無いんですが、外伝が上手いこと本編に絡んでくるので読まないわけにもいかないし…。

渋谷ファミリーの話は是非何かの機会があればまた読んでみたいです。




…最後の短編、挿絵の女装有利に萌えたのは私だけじゃない筈だっ!

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めざせマのつく海の果て!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

様々な気がかりを残したまま日本に戻ってしまったユーリはここのところ欝々とした日々を送っていた。そんな中、遂にムラケンの学校のプールから眞魔国に戻る事が出来たのだが、眞魔国ではまたもや重大な外交問題が持ち上がっていた。事の真偽を確かめるため外交特使として小シマロンへ赴いたギュンター達に隠れ、小シマロンへやってきたユーリとヴォルフラムは意外な人物に遭遇して…!?
 

若き小シマロン王・サラレギー初登場。初登場からいい人ぶりつつもしっかりと腹黒オーラを感じるのはきっと私の目の錯覚ではないはず(笑)そしてワガママプーな漢前少年・ヴォルフラムだけでもかなりご馳走様でしたーなのに、またもや美少年の登場ですよ!?

まあ正直、漢前なヴォルフラムの方が断然好みなのですが中性的腹黒美少年というのも良いですよね。一方のヴォルフはヴォルフでユーリに“最近長兄に似てきた”などとコメントされてしまうほど漢前度さらにアップ。いや、ほんと漢前になりましたよね、彼は。ぶっちゃけ成長盛りのマ王様よりも成長度合いが激しい気がします。

しかし漢前美少年に知能派ショタだなんて、喬林先生は私を萌え殺すおつもりか。

そして今回はギャグ担当だったギュンターが真面目です。特に大シマロンの使者として現れたコンラッドにギュンターが向かっていく場面はかなりカッコイイです。可愛い教え子だったコンラッドの裏切りには、ギュンターなりに思うところもあったんでしょうね。最近雪とかオキクとかバカなネタばっかりだったんで、彼がシリアスできるキャラであること自体を忘却してましたが。

同時に、序盤での落ち込み具合を知っていると後半でのユーリのコンラッドへの態度が猛烈に無理してるようで、見ているこっちまで辛いです。ほんと、二人がまた味方同士になれる日が来ると良いのですが。

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お嬢様とは仮の姿!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

エイプリル・グレイブス?アメリカの大富豪のお嬢様?とは仮の姿。その正体は美術品をあるべき場所に返したり、悪人に利用されないよう葬る、誇り高きトレジャーハンター!彼女はある時、亡き祖母が護り続けた禁忌の箱の1つ“鏡の水底”をナチス・ドイツから奪還してほしいという依頼を受けるのだが…!?
 

まるマシリーズ外伝第二段。

本編から50年ほど遡り、第二次世界大戦前の人間界を舞台にしたストーリーです。一応本編とは独立した話なので本編を読まなくても読めますが、逆に言うとさりげなーくあんなキャラやあんな設定が出てきたりするので本編を深く読めば読むほど美味しい外伝かと思われます(笑)

ハチャメチャなアメリカ上流階級のお嬢様でトレジャーハンターなエイプリルと、ナチスの将校で禁忌の箱“風の終わり”の鍵を持っている男・リヒャルドが、“鏡の水底”を奪還する為に共同戦線を張る…というお話。

良くも悪くも、本編から比べるとパンチが足りなくてフツーな話だったなあ(フツーに面白くはありますが)。割合キャラクター魅力が主導でぐいぐい引きずっていくシリーズだと思うので、やはりユーリたちが居ないと弱い…というか物足りない印象があります。エイプリルもリヒャルドも悪いキャラじゃないのですが。(でも正直、メイン2人よりもDT夫妻の方がインパクト強かったw)

むしろ、色々と本編に絡んできそうなキャラクターや設定、まだ明かされていない謎(ボブの正体とか)もありますので、今後のストーリーを読んでから読み直すと中々味のある話なのではないかと思います。少なくても今後のストーリーに絡んでくるのは確定っぽいですし。

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声で魅せてよベイビー

[著]木本 雅彦 [絵]ヤス

尊敬するハッカー仲間のおっちゃんが同人誌即売会でOSについての本を出すというのでオタクの波をかきわけ、ボーイズラブのブースまで買いにいった広野は、そこで“腐女子”で“声優の卵”の姫野沙奈歌と出会う。孤高なハッカーを自称する広野はひょんなことから彼女とつきあっているというエチュードを演じる羽目になり、しかし同時に沙奈歌に惹かれていって…!?
 

イマドキのオタクである腐女子少女と良くも悪くも古きよき時代のオタクであるハッカー少年がお互いの夢や好きな事をやりながらも互いに惹かれていく物語。

なんとなく仲間が欲しくて声優の卵をやってる沙奈歌と、小さい頃からハックやプログラミングが好きで頑張ってる広野の、お互いのスタンスの違いが同じオタクとしてなかなか面白かったです。目的を共有する為に誰かとつるむこともあるけど、最終的には一人で戦う事を是とする広野のような“男のオタク”と、確かにオタクでは有るんだけど根底には仲間と自分の好きな物を共有したくてオタク活動をし、馴れ合い…というか仲間意識の強い“女のオタク”の在り方の違いが上手く表現されていて、オタク小説としても中々興味深く読めます。

性別だけで図れるものではないですが、結構この辺って性別的精神的な違いだと思います。確かに、自分の夢に向かって突き進んでいる女のオタクも多いとは思うけど、同時に仲間がほしくて真面目に漫画が描きたいわけでもないのに漫研に入ったり、某専門学校や声優養成学校に行っちゃう腐女子オタクは多いと思うんですよね…自分も似たような経緯で大学の漫研に入ったりしてましたが(笑)

とはいってもこのストーリーのキモはそんな自意識の違う二人が惹かれあっていく、ラブコメ要素。すれ違う場面ではどちらの気持ちもわからなくなくてハラハラしたり、素直になれない二人にヤキモキしたり…とストーリーに物凄い引き込まれます。同じオタクであっても考え方は180度違う二人が、お互いに良い影響を及ぼしあって惹かれていく過程が凄くツボです。

ただこの小説、広野側の行動や二人の心理描写は物凄く上手いのですが、沙奈歌の「腐女子」という設定を全く生かせてない。ぶっちゃけ一人の腐女子として沙奈歌の行動には熱くツッコミたい部分が多々あります。

特に出会いの場面。
広野に直接「受」か「攻」か聞いてどうする!!
腐女子っていうものは相手に了解取らずに
広野とオッサンとの関係を邪推するのが常道ってものなんだろう!!!

従って本当の腐女子なら最初のセリフは

「レイさんとはどういうご関係ですか」

だ!!

作者さんは“イマドキの女オタク”の行動原理については知っていても“腐女子”については近頃のひん曲がった報道で得た程度の知識しか無かっただろうことが微妙に伺えて、個人的にはそこだけは不満。正直沙奈歌はBL好きなんて設定ない方が良かったと思うんだけどなあ…沙奈歌の語る未知の世界に翻弄される広野の姿を想像していたので、非常に裏切られた気分です。つか「女オタク=BL好き」と勘違いされているならそれは大きな間違いですよ!

逆に広野の言動は物凄くそのテのオタクっぽい。
返事を「Y」「N」で返しちゃうあたりなんか、本当にそういうオタクが居そうだ。

評判が良ければ続編もでるみたいだし、こういう切り口のオタク系ラブコメは中々ないと思うので是非続編を読みたいです。出来ればその際はもうちょっと作者さんに腐女子の生態を勉強していただくか、BL好きという設定自体を無かったことにして戴きたいのですが。

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Fate/Zero Vol,1 -第四次聖杯戦争秘話-

[著]虚淵玄 [原作]TYPE-MOON [絵]武内 崇

“魔術師狩り”を得意とする衛宮切嗣は己の悲願を果たす為、アインツベルンに取り入り聖杯戦争に参加する。一方令呪を宿した7人のうちの一人、言峰綺礼は自らが聖杯戦争に参加する理由を見出せずに居た…。「Fate/stay night」の10年前に起こった第四次聖杯戦争をニトロプラスの虚淵玄が描く!?
  個人的お気に入り度数
Fate/Zero Vol.1 -第四次聖杯戦争秘話- (書籍)
ちょっ、ライダーが漢らしすぎwww

冬コミでの列の凄まじさにドン引きして結局秋葉原とらのあなで委託入った日に買いに行きましたが予想以上に面白い。ていうかコミケ購入特典にキャラクターマテリアルがあるなんて知らなかったよ…鬱_| ̄|○

Fate本編から10年前、セイバールートでちょろっと語られた“第四次聖杯戦争”を舞台にした、いわばstay nightに至る為の公式外伝小説。元々居るキャラクター達は勿論のこと、Zeroのオリジナルキャラクター達が実に良い味を出していて、ぐいぐいストーリーに引き込まれます。何よりもツボかったのはやっぱりウェイバー&ライダーコンビ。バッドエンド前提の重苦しいストーリーの中、彼らの漫才としかいいようのない掛け合いに物凄く癒されます。ていうか本編の慎二(仮だけど)といいZeroのウェイバーといい…ライダーのマスターってヘタレがデフォですか?

基本的には本編をプレイしていなくてもZero単体で充分楽しめる内容になっていますが、現時点で最終ルートに関するかなり重大なネタバレが幾つかありますので、個人的には本編をクリアしてから挑む事をオススメします。いや、やっぱり最終ルートのサプライズは是非ネタバレしないで読んで欲しいな。ファンとしては。

Fate本編をクリア済みだとどのキャラが死んでどのキャラが生き残るのか大体つかめてしまうので、その辺を踏まえて読むと非常に切なく思える部分も多いです。特にアイリスフィールや雁夜の行動が印象的。彼らがその後待ち受けている運命を考えるとどうしても…。あとはやはりFateのキモである熱いバトルは健在。特に口絵でも描かれているランサーvsセイバーは本編以上の清清しい熱さを見せてくれます。熱いバトルが好きな人には是非本編あわせてオススメしたいシリーズです。

しかし折角「TYPE-MOON」と「ニトロプラス」という企業が企画した作品なので、できれば同人誌という形ではなく一般流通に乗せて販売して欲しかったなあと思いました。同人という形だと手に入れる手段も限られるし、値段も(確かに同人誌としてはかなり安いお値段なのですが)一般書籍の値段を踏まえると物凄く高くて、ハードルが高い。凄く面白い作品だけに、もったいないなあ…と感じます。

予想以上の面白さに大満足です。正直文字媒体にすると物凄い癖がある奈須さん本人のノベライズよりも読みやすくてよかったんじゃないかなとか思ったり。続編はまた秋葉原に買いに行くんだろうなあ(笑)

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ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ

[著]尾関 修一 [絵]山本 ケイジ

お屋敷に勤め始めて5年。変わり者と名高い人形作家のフレデリックの家で働くシャーロットは持ち前の好奇心が故に、今まで5年の間一度も姿を見たことの無い奥方・ミリアムの部屋の扉に手をかけてしまう。それが悲劇の幕開けになるとも知らず…。3つの時代に渡り、とある屋敷を舞台にして繰り広げられる、愛と憎しみの物語。
 

ヨーロッパを舞台にしたゴシックホラー。
例によって例の如く、山本ケイジ氏の萌えイラスト+メイドさんにつられて買いましたが恐ろしいほど正統派な小説でした。富士ミスだからってL・O・V・E寄せ萌え小説だと思って買うと痛い目見ます(笑)

時代の違う3編のストーリーが巧妙にリンクしていて凄く面白かったです。明らかにミスリードさせられているな、と気づかされるような部分が幾つかあって意外に単純なつくりなのかと思いきや、更に巧妙なミスリードが仕掛けてあったりして…読みながらも色々と推理をめぐらせるのが非常に楽しかったです。再度ざっと読み返してみると、最初に読んだときには何のことだか判らなかった部分が漸く一つにつながり、読めば読むほど味の出てくる小説でした。これは面白い!っていうか富士ミスだっていうのに、これでもかというほど正統派なミステリー作品だ!

その屋敷に関わった人々が次々に壊れていく様は見事という他、無いです。終わり方は非常に後味がよろしくないのでバッドエンドが苦手な人にはオススメできませんが、逆にそういう話でもOKな人は是非どうぞ。作者さんの次回作にも期待です。

一つだけ難をいえば、凄く作風が萌えもLOVEも無くて正統派ミステリなのにもかかわらず、挿絵が山本ケイジなのは誤解を生むんじゃないかなあ。正直私は購入するまで絵師の印象から萌え小説だと思ってました。いえ、実際山本ケイジさんが萌え絵描きというわけでもないのですし私も山本さんのイラストって結構好きなんですが、「ゴシックホラー」となると微妙に方向性が違うなあと。もうちょっとそれっぽい挿絵の方にしてほしかったなーとか思ってみたりするわけなのですが…!

個人的にこの作風なら、挿絵画家には椋本夏夜を全力で推してみます。

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半分の月がのぼる空 2 Waiting for the half‐moon

[著]橋本 紡 [絵]山本 ケイジ

里香とは蜜月とも思えるような幸せな日々を送っていた。多田さんが遺した大量のエロ本の山—通称“戎崎コレクション”が里香にみつかるまでは…!!それ以来、怒り狂った里香との仲直りは上手く行かず、努力は空回りするばかり。更には里香の主治医でいけすかないイケメン医師・夏目が現れて…!?
 

1巻と同じノリでかなりほっとしました(笑)

すれ違いまくりの裕一と里香のやりとりが凄く微笑ましいです。もどかしいけど、見ていて可愛い(笑)ただ、里香といい夏目といい…一応病人の裕一に対して容赦なさすぎ。「ツンデレだから!」で済ましちゃいけない領域というか、何度か命の危険を感じる部分があったのですが!!いくらなんでも里香、わがまますぎだろう…。

更に夏目先生が個人的にはかなり好かないです。後半で彼の複雑な気持ちはちょっぴり明かされますがそれにしても先生としてやっちゃいけない領域を踏み越えすぎだとおもうのです。仕事に私情を持ち込むなっちゅーか、大人気なさ過ぎる…それまで病気なんかとは無縁だった裕一が理解できる筈もないのに、それを誰にも言われないで理解しろというのはそもそも無理な話だと思うし。

個人的にあまりにも二人の仕打ちが酷すぎて、メインのストーリーはあまりツボに来なかったのですが、多田さんを悼む裕一の姿が印象的。遺産がエロ本というのがまたなんというか…アレですが。エロ本を燃やすシーンとか、思わずしみじみしてしまいました(笑)

キャラクター的にちょっとどうよと思うところも多かったものの、面白かったです。続きもまた気が向いたら読んでみたいと思います。

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