ページ 169 | 今日もだらだら、読書日記。

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お嬢様とは仮の姿!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

エイプリル・グレイブス?アメリカの大富豪のお嬢様?とは仮の姿。その正体は美術品をあるべき場所に返したり、悪人に利用されないよう葬る、誇り高きトレジャーハンター!彼女はある時、亡き祖母が護り続けた禁忌の箱の1つ“鏡の水底”をナチス・ドイツから奪還してほしいという依頼を受けるのだが…!?
 

まるマシリーズ外伝第二段。

本編から50年ほど遡り、第二次世界大戦前の人間界を舞台にしたストーリーです。一応本編とは独立した話なので本編を読まなくても読めますが、逆に言うとさりげなーくあんなキャラやあんな設定が出てきたりするので本編を深く読めば読むほど美味しい外伝かと思われます(笑)

ハチャメチャなアメリカ上流階級のお嬢様でトレジャーハンターなエイプリルと、ナチスの将校で禁忌の箱“風の終わり”の鍵を持っている男・リヒャルドが、“鏡の水底”を奪還する為に共同戦線を張る…というお話。

良くも悪くも、本編から比べるとパンチが足りなくてフツーな話だったなあ(フツーに面白くはありますが)。割合キャラクター魅力が主導でぐいぐい引きずっていくシリーズだと思うので、やはりユーリたちが居ないと弱い…というか物足りない印象があります。エイプリルもリヒャルドも悪いキャラじゃないのですが。(でも正直、メイン2人よりもDT夫妻の方がインパクト強かったw)

むしろ、色々と本編に絡んできそうなキャラクターや設定、まだ明かされていない謎(ボブの正体とか)もありますので、今後のストーリーを読んでから読み直すと中々味のある話なのではないかと思います。少なくても今後のストーリーに絡んでくるのは確定っぽいですし。

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声で魅せてよベイビー

[著]木本 雅彦 [絵]ヤス

尊敬するハッカー仲間のおっちゃんが同人誌即売会でOSについての本を出すというのでオタクの波をかきわけ、ボーイズラブのブースまで買いにいった広野は、そこで“腐女子”で“声優の卵”の姫野沙奈歌と出会う。孤高なハッカーを自称する広野はひょんなことから彼女とつきあっているというエチュードを演じる羽目になり、しかし同時に沙奈歌に惹かれていって…!?
 

イマドキのオタクである腐女子少女と良くも悪くも古きよき時代のオタクであるハッカー少年がお互いの夢や好きな事をやりながらも互いに惹かれていく物語。

なんとなく仲間が欲しくて声優の卵をやってる沙奈歌と、小さい頃からハックやプログラミングが好きで頑張ってる広野の、お互いのスタンスの違いが同じオタクとしてなかなか面白かったです。目的を共有する為に誰かとつるむこともあるけど、最終的には一人で戦う事を是とする広野のような“男のオタク”と、確かにオタクでは有るんだけど根底には仲間と自分の好きな物を共有したくてオタク活動をし、馴れ合い…というか仲間意識の強い“女のオタク”の在り方の違いが上手く表現されていて、オタク小説としても中々興味深く読めます。

性別だけで図れるものではないですが、結構この辺って性別的精神的な違いだと思います。確かに、自分の夢に向かって突き進んでいる女のオタクも多いとは思うけど、同時に仲間がほしくて真面目に漫画が描きたいわけでもないのに漫研に入ったり、某専門学校や声優養成学校に行っちゃう腐女子オタクは多いと思うんですよね…自分も似たような経緯で大学の漫研に入ったりしてましたが(笑)

とはいってもこのストーリーのキモはそんな自意識の違う二人が惹かれあっていく、ラブコメ要素。すれ違う場面ではどちらの気持ちもわからなくなくてハラハラしたり、素直になれない二人にヤキモキしたり…とストーリーに物凄い引き込まれます。同じオタクであっても考え方は180度違う二人が、お互いに良い影響を及ぼしあって惹かれていく過程が凄くツボです。

ただこの小説、広野側の行動や二人の心理描写は物凄く上手いのですが、沙奈歌の「腐女子」という設定を全く生かせてない。ぶっちゃけ一人の腐女子として沙奈歌の行動には熱くツッコミたい部分が多々あります。

特に出会いの場面。
広野に直接「受」か「攻」か聞いてどうする!!
腐女子っていうものは相手に了解取らずに
広野とオッサンとの関係を邪推するのが常道ってものなんだろう!!!

従って本当の腐女子なら最初のセリフは

「レイさんとはどういうご関係ですか」

だ!!

作者さんは“イマドキの女オタク”の行動原理については知っていても“腐女子”については近頃のひん曲がった報道で得た程度の知識しか無かっただろうことが微妙に伺えて、個人的にはそこだけは不満。正直沙奈歌はBL好きなんて設定ない方が良かったと思うんだけどなあ…沙奈歌の語る未知の世界に翻弄される広野の姿を想像していたので、非常に裏切られた気分です。つか「女オタク=BL好き」と勘違いされているならそれは大きな間違いですよ!

逆に広野の言動は物凄くそのテのオタクっぽい。
返事を「Y」「N」で返しちゃうあたりなんか、本当にそういうオタクが居そうだ。

評判が良ければ続編もでるみたいだし、こういう切り口のオタク系ラブコメは中々ないと思うので是非続編を読みたいです。出来ればその際はもうちょっと作者さんに腐女子の生態を勉強していただくか、BL好きという設定自体を無かったことにして戴きたいのですが。

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Fate/Zero Vol,1 -第四次聖杯戦争秘話-

[著]虚淵玄 [原作]TYPE-MOON [絵]武内 崇

“魔術師狩り”を得意とする衛宮切嗣は己の悲願を果たす為、アインツベルンに取り入り聖杯戦争に参加する。一方令呪を宿した7人のうちの一人、言峰綺礼は自らが聖杯戦争に参加する理由を見出せずに居た…。「Fate/stay night」の10年前に起こった第四次聖杯戦争をニトロプラスの虚淵玄が描く!?
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Fate/Zero Vol.1 -第四次聖杯戦争秘話- (書籍)
ちょっ、ライダーが漢らしすぎwww

冬コミでの列の凄まじさにドン引きして結局秋葉原とらのあなで委託入った日に買いに行きましたが予想以上に面白い。ていうかコミケ購入特典にキャラクターマテリアルがあるなんて知らなかったよ…鬱_| ̄|○

Fate本編から10年前、セイバールートでちょろっと語られた“第四次聖杯戦争”を舞台にした、いわばstay nightに至る為の公式外伝小説。元々居るキャラクター達は勿論のこと、Zeroのオリジナルキャラクター達が実に良い味を出していて、ぐいぐいストーリーに引き込まれます。何よりもツボかったのはやっぱりウェイバー&ライダーコンビ。バッドエンド前提の重苦しいストーリーの中、彼らの漫才としかいいようのない掛け合いに物凄く癒されます。ていうか本編の慎二(仮だけど)といいZeroのウェイバーといい…ライダーのマスターってヘタレがデフォですか?

基本的には本編をプレイしていなくてもZero単体で充分楽しめる内容になっていますが、現時点で最終ルートに関するかなり重大なネタバレが幾つかありますので、個人的には本編をクリアしてから挑む事をオススメします。いや、やっぱり最終ルートのサプライズは是非ネタバレしないで読んで欲しいな。ファンとしては。

Fate本編をクリア済みだとどのキャラが死んでどのキャラが生き残るのか大体つかめてしまうので、その辺を踏まえて読むと非常に切なく思える部分も多いです。特にアイリスフィールや雁夜の行動が印象的。彼らがその後待ち受けている運命を考えるとどうしても…。あとはやはりFateのキモである熱いバトルは健在。特に口絵でも描かれているランサーvsセイバーは本編以上の清清しい熱さを見せてくれます。熱いバトルが好きな人には是非本編あわせてオススメしたいシリーズです。

しかし折角「TYPE-MOON」と「ニトロプラス」という企業が企画した作品なので、できれば同人誌という形ではなく一般流通に乗せて販売して欲しかったなあと思いました。同人という形だと手に入れる手段も限られるし、値段も(確かに同人誌としてはかなり安いお値段なのですが)一般書籍の値段を踏まえると物凄く高くて、ハードルが高い。凄く面白い作品だけに、もったいないなあ…と感じます。

予想以上の面白さに大満足です。正直文字媒体にすると物凄い癖がある奈須さん本人のノベライズよりも読みやすくてよかったんじゃないかなとか思ったり。続編はまた秋葉原に買いに行くんだろうなあ(笑)

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ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ

[著]尾関 修一 [絵]山本 ケイジ

お屋敷に勤め始めて5年。変わり者と名高い人形作家のフレデリックの家で働くシャーロットは持ち前の好奇心が故に、今まで5年の間一度も姿を見たことの無い奥方・ミリアムの部屋の扉に手をかけてしまう。それが悲劇の幕開けになるとも知らず…。3つの時代に渡り、とある屋敷を舞台にして繰り広げられる、愛と憎しみの物語。
 

ヨーロッパを舞台にしたゴシックホラー。
例によって例の如く、山本ケイジ氏の萌えイラスト+メイドさんにつられて買いましたが恐ろしいほど正統派な小説でした。富士ミスだからってL・O・V・E寄せ萌え小説だと思って買うと痛い目見ます(笑)

時代の違う3編のストーリーが巧妙にリンクしていて凄く面白かったです。明らかにミスリードさせられているな、と気づかされるような部分が幾つかあって意外に単純なつくりなのかと思いきや、更に巧妙なミスリードが仕掛けてあったりして…読みながらも色々と推理をめぐらせるのが非常に楽しかったです。再度ざっと読み返してみると、最初に読んだときには何のことだか判らなかった部分が漸く一つにつながり、読めば読むほど味の出てくる小説でした。これは面白い!っていうか富士ミスだっていうのに、これでもかというほど正統派なミステリー作品だ!

その屋敷に関わった人々が次々に壊れていく様は見事という他、無いです。終わり方は非常に後味がよろしくないのでバッドエンドが苦手な人にはオススメできませんが、逆にそういう話でもOKな人は是非どうぞ。作者さんの次回作にも期待です。

一つだけ難をいえば、凄く作風が萌えもLOVEも無くて正統派ミステリなのにもかかわらず、挿絵が山本ケイジなのは誤解を生むんじゃないかなあ。正直私は購入するまで絵師の印象から萌え小説だと思ってました。いえ、実際山本ケイジさんが萌え絵描きというわけでもないのですし私も山本さんのイラストって結構好きなんですが、「ゴシックホラー」となると微妙に方向性が違うなあと。もうちょっとそれっぽい挿絵の方にしてほしかったなーとか思ってみたりするわけなのですが…!

個人的にこの作風なら、挿絵画家には椋本夏夜を全力で推してみます。

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半分の月がのぼる空 2 Waiting for the half‐moon

[著]橋本 紡 [絵]山本 ケイジ

里香とは蜜月とも思えるような幸せな日々を送っていた。多田さんが遺した大量のエロ本の山—通称“戎崎コレクション”が里香にみつかるまでは…!!それ以来、怒り狂った里香との仲直りは上手く行かず、努力は空回りするばかり。更には里香の主治医でいけすかないイケメン医師・夏目が現れて…!?
 

1巻と同じノリでかなりほっとしました(笑)

すれ違いまくりの裕一と里香のやりとりが凄く微笑ましいです。もどかしいけど、見ていて可愛い(笑)ただ、里香といい夏目といい…一応病人の裕一に対して容赦なさすぎ。「ツンデレだから!」で済ましちゃいけない領域というか、何度か命の危険を感じる部分があったのですが!!いくらなんでも里香、わがまますぎだろう…。

更に夏目先生が個人的にはかなり好かないです。後半で彼の複雑な気持ちはちょっぴり明かされますがそれにしても先生としてやっちゃいけない領域を踏み越えすぎだとおもうのです。仕事に私情を持ち込むなっちゅーか、大人気なさ過ぎる…それまで病気なんかとは無縁だった裕一が理解できる筈もないのに、それを誰にも言われないで理解しろというのはそもそも無理な話だと思うし。

個人的にあまりにも二人の仕打ちが酷すぎて、メインのストーリーはあまりツボに来なかったのですが、多田さんを悼む裕一の姿が印象的。遺産がエロ本というのがまたなんというか…アレですが。エロ本を燃やすシーンとか、思わずしみじみしてしまいました(笑)

キャラクター的にちょっとどうよと思うところも多かったものの、面白かったです。続きもまた気が向いたら読んでみたいと思います。

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イヴゼロ The beginning EVE

[著]山田 桜丸 [原作]C's Ware

桂木探偵事務所の自称天才調査員・天城小次郎の元に、いつものように依頼が舞い込んだ。ただの不倫調査の筈が、調査対象は目の前で殺害され、自らも事件に巻き込まれることに…。一方、公安の捜査官・法条まりなは鹿児島の海上で不審な船を追い込もうとするが…。二つの事件が交錯する時、衝撃の事実が明らかになる!?
 

アドベンチャーゲーム「EVE ZERO」のノベライズ作品。今をときめく桜庭一樹さんが初期に別名義で書いたノベライズ小説の1つ。本筋は2人の主人公の視点から別々の事件を追っていき、それが1つの大きな事件に繋がっている…というEVEシリーズ最大の特徴でもある「マルチサイドシステム」お約束の展開。本編の事件とは全く関係ないサイドストーリーになるので、本編をプレイしていない人でもしっかり楽しめると思います。

ゲームの時間軸的な関係で、二人の主人公は邂逅するどころか面識もないままで居ないといけないという前提があり、その為二人の主人公は出会わないまま、結果的にお互いの事件を解決する手助けをする…という手法になっており、「ZERO」をやったときにも思ったのですがこの辺の構成は凄く絶妙。ただ、二人の主人公を関連付けるモノが無い為、ちょっと構成的に判り辛い部分がありました。小次郎とまりなが一瞬だけお互いの存在を知らないままニアミスした部分を上手く使って小次郎編とまりな編をつなげていますが、そのお蔭で時系列が判り辛い…。この辺は、もうストーリーのシステム上どうしようもないことだとは思うのですが。

そして、やっぱり初期とはいえ桜庭作品だけあって、心理描写が秀逸です。本来頼りに出来る筈の小次郎や父親が殆ど当てにならなくて、気丈に振舞いながらも孤独感を感じている弥生。男ばかりの職場で一人気を吐いているけど、本質はどうしようもなく“女”であるまりな。特に普段からゲストヒロインにお鉢を取られがちな弥生が大きく取り上げられているのが良かった。

小次郎はこないよ パパもいない
あたしのためには誰も来ない


この言葉が多分強がりではなくて、本当に本心から出てるっぽいのがとても切ない。エピローグの弥生が特に印象的でした。

ラノベの整理中に本棚の奥から発見したのですが、取り上げられている事件の真相も結構ここ数年再び世間を賑わせている話題だし、今読むとまた違う気持ちで読むことが出来ました。面白かった!

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半分の月がのぼる空 Looking up at the half‐moon

[著]橋本 紡 [絵]山本 ケイジ

風邪をこじらせて長期入院を余儀なくされた戎崎裕一は暫くすると余暇をもてあますようになった。病院を抜け出したことがバレて病室に軟禁されていた裕一は、看護婦の亜希子さんからとある少女の話し相手を頼まれる。彼女?秋庭里香はとんでもないワガママで、でも死に至る病を抱えていて…
 

病院を舞台にしたボーイ・ミーツ・ガールストーリー。ツンデレ少女の里香とごく普通の少年・裕一が織り成すラブコメ…かとも思いましたが、後半に進むにつれて二人の周りに“死”の影が付きまとうようになります。

橋本紡さんの本は「リバーズ・エンド」しか読んだこと無いのですが、こういう少年少女の描写とか、しっとりとした雰囲気が凄く良いなあ、と思います。裕一と里香のやりとりとか、亜希子さんとか他の病室の人々とのやりとりが凄く読んでいて楽しいというか、和む。他のラノベのようにあまり大きな事件が起こったりはしないのですが日常描写で魅せてくれる作家さんだなあ、と。基本的に日常描写よりもハチャメチャな展開の方がツボにくる私ですが、橋本さんの描く日常描写は凄くツボです。

ただ、個人的にはこれがシリーズとして8巻まで続いたというのがちょっと信じられないというか…1巻完結でも十分綺麗な気がするんですが、2巻以降がダラダラにならないといいんだけどなあ…。あと、クライマックスが何度読んでもリバーズエンドに見えます(待て)

「リバーズ・エンド」の1巻は凄く良かったのに2巻以降が凄く蛇足っぽくて正直要らないなあと思っていたので少し警戒してしまいます。2巻まで購入してあるので続きを読むかどうかは2巻を読んでから決めたいと思います。

しかしギャルゲーの主人公に「ゆういち」ってなまえが多いのはデフォ?

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連射王 下

[著]川上 稔

「大連射」をワンコインクリアできた喜びもつかの間、ゲーセンに行く為に岩田を誤魔化し続けたことがバレてしまったコウ。進路、部活、ゲーセン、そして岩田との関係との板ばさみ悩みながらもゲーセンに行く事は止められない。そんな中「大連射2」が稼動し、竹さんがファーストプレイ・ワンコインクリアに挑む日がやってきたが—!?
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シューティングは集中力だ!!!!

というわけで、ゲームセンターに熱い思いを掛ける男達の物語、完結編。
本当にストーリーはバトルも不思議能力も何もない、本当に学園生活やゲームをやってるだけの青春ストーリーなのに、川上さんが書くと物凄く熱い燃えストーリーとなってしまうのはなぜでしょうか(笑)とにかくクライマックスに向かうにつれてどんどんストーリーが熱くなっていきます。そしてクライマックスの熱さは格別です。

中盤で転がり落ちるように悪いことばかりが起きて、あれだけ入り浸っていたゲーセンにすら行けず、殆どどん底に落とされてしまった高村が少しずつ、でも確実に這い上がってくるシーンは必見です。ゲーセン仲間もさることながら、同級生の仲や、指導室の先生がまたいい味出してる。っていうか何もかもヘタに語るとネタバレになってしまう…orz

全然ジャンルは違いますし、プレイスタイルも全然こんなに張り切ってやってる方ではないですが一応アーケードゲーマーとしては「ああ、わかるわかる」という部分も結構多かったです。極めてしまって変に歪んだ方向に情熱を燃やすゲーマーとか周囲に結構居るし(笑)個人的には、後半で「大連射」の筐体に頭を下げるシーンが非常に印象的でした。

そしてまさに来るべくして迎えるクライマックス。(以下ネタバレ)
あまりにもいいタイミングで駆けつけた岩田が読み上げる、竹さんの“言葉”があまりにも熱すぎて、マジで泣いた。終わり方も逆に結末を明示されるよりも良かったような気がします。実際の前例のある無しにかかわらず…ある意味あの作品は結末がしっかりわかってしまったら面白くない気がするんですよね。それこそ「大連射」をクリアした高村のような気分になってしまうと思うのです。“あとがき”の文字を見て、あれだけの勝負の決着を見れなかった悔しさと、見なかったことによって“終わり”を見なくて済んだ喜びの入り混じった、凄く複雑な気分になりました。

何はともあれ、猛烈に熱い展開の良作でした。これは作者補正抜いても3600円出して良かったと思う。値段の関係か今月ハードカバーで注目作品多かった所為かあまり触れられているサイトが無いですがかなりの名作です。というか「電撃が出してる」「ハードカバー」だからこそ出せた奇作というか…

「値段的に敷居が高い」とか言わずに是非!

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黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで

[著]細音 啓 [絵]竹岡 美穂

赤・青・黄・緑・白の5色の媒介を元に、自分の心を形にして詠びだす「名詠式」。とある夕暮れの教室で、全く新しい色・“夜色”の名詠式を考え出そうとするイヴマリーと5色を極め“虹色”の名詠を目指すカインツはある“勝負”と“約束”をした。…そして10年以上の歳月が流れ、ある名詠式の専修学校にイヴマリーと同じ“夜色名詠”を使う少年・ネイトが現れる。クルーエルは次第にそんな彼に興味を抱き…
 

“文学少女”の挿絵を担当されている竹岡美穂さんのイラストに釣られて購入したのですが、ストーリーも描写も文章も、とにかく“綺麗”な物語でした。イヴマリーとカインツが約束を交わすシーンやクルーエルが発表会で名詠式を披露するシーンなど、魅せられたシーンが非常に多くありました。というよりも、名詠式の詠唱が物凄くツボ。読んでいて「ああ、まだ終らないで欲しいなぁ」と思ってしまった作品は久しぶりです。

名詠式という一種の召喚魔法的な技術がメインで、内容はバッチリファンタジーなのですが、ヒロイン?のクルーエルが周囲に対して凄く普通に“どこにでも居そうな女の子”で感情移入しやすいキャラで、彼女に釣られてどんどんストーリーに引き込まれてしまいます。友人やネイトが自分だけの目標を持って頑張っているのに、“なんとなく”でここまで来てしまった自分への焦りはあるんだけど、実際に何をしたらいいのか判らない…みたいなのは凄く判る気が…。

そして、他のキャラクターも物凄い魅力的。
特にイヴマリーのキャラクターは凄くツボでした。素敵なツンデレだ!!(笑)
イヴマリーがカインツにコートをプレゼントする場面のイヴマリーは典型的なツンデレでとっても可愛らしいのですが、あまりの嬉しさにうっかりそのコートがトレードマークになってしまうまで、10年以上愛用し続けるカインツがまた微笑ましいのです(笑)また、プロローグで出てきた使い捨てキャラかとおもったクラスメイト達があんなところやこんなところでしっかり活躍してくれるのもなんだか嬉しいポイントでした。

ラストはちょっと全体的に(敵が強大だった所為か)「皆都合よく自分の力に覚醒しすぎだよ!!」とか「あれだけ凶悪なもの呼び出しておいて、爆心地で気絶した奴が何で生きてるんだよ!!」とか思いましたがその辺の不満点を補っても余りあるほどの面白さでした。オススメ!

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