ページ 171 | 今日もだらだら、読書日記。

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化物語 上

[著]西尾 維新 [絵]VOFAN

地獄のような春休みの冗談と、悪夢のようだったゴールデンウィークが明けた5月初め、僕は階段から落ちてきたクラスメイト・戦場ヶ原ひたぎを受け止めた。3年間クラスが一緒で、病弱で、存在感がまるでない少女、戦場ヶ原ひたぎ。受け止めた彼女にはまるで“重さ”と呼べるものがなかった…!?
 

なんかこれは凄い。予想以上になんか凄い。
怪異(物の怪)に憑かれた少女達を救うため、春休みに“吸血鬼”という怪異に憑かれた主人公・阿良々木が奮闘する姿を描いた短編集なのですが、とにかく各キャラクターが濃い。そして主人公のツッコミが激しい(笑)ライトノベルのツッコミ主人公と言えば即座にキョンを思い出す昨今ですが、キョンが静かなるツッコミなら阿良々木は偉くテンションの激しいツッコミ。各話ヒロイン達との掛け合いは最早テンションの高いギャグ漫画を読んでいるよう。こういうノリが小説と言う媒体で表現できるとは正直思わなかったです。これは面白い!!

そしてキャラクターは主人公含め全員が魅力的ですが、やはりズバ抜けているのがメインヒロイン・戦場ヶ原ひたぎ。文房具を武器として持ち歩く超攻撃的サドデレヒロイン…かと思いきや、2話以降では阿良々木に告白とも取れる愛の言葉をぶつけてみたり、嫉妬してみたり…と可愛い一面を見せまくります。素晴らしい暴言と攻撃性はそのまま、すっかりデレデレヒロインへ進化!?自らを“メンヘル処女”と称してしまうあたりも非常に素敵です。まさに戦場ヶ原ひたぎ、蕩れー!!

ただ会話が面白いギャグ小説かと序盤ではおもわせておいて、根っこにある部分は重い。新興宗教にハマって家庭を捨てた母親を持つひたぎ。母親の家にたどり着けないまま迷い続ける真宵、そして母親の形見の“猿の手”を持ちひたぎに憧れる後輩・神原駿河。全てが綺麗に解決した訳じゃないけど、より良い解決法を探して奮闘する主人公に好感持てました。

シリアスパートとギャグパートのテンションの高低が激しくて、シリアスパートに入るとちょっと違和感拭えなかったりするけどこれはこれでアリかと。下巻も楽しみです!



閑話休題。
今回講談社BOX初めて購入したんだけど、個人的には奇をてらいすぎな装丁はちょっと微妙…。こうなるとちっとも値段的にも装丁的にも“ライト”じゃないですよねえ。購入した後、気になる本は電車の中で読むのが基本な私には「外箱から取り出して中身を取り出す」のが物凄い羞恥プレイだったのと、外した外箱を潰さないように持ち帰るのが非常にホネでした。値段1000円くらいで、普通の新書版文庫として出してくれればいいのに…。

あと、これはあまり関係ないけど
購入した書店に置いてあるBOXシリーズ、何冊か酷い箱潰れ起こしてました(´д`;)
危うく手にとるところだった。ヤバかった…。

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閣下とマのつくトサ日記!?

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

美形揃いの魔族の中でも抜群の美形、しかしてその弱点はあまりにも“陛下LOVE”な事!?近頃、愛がすっかり暴走気味な王佐・ギュンターが妄想にまかせて書いた通称「陛下ラブラブ日記」がクチコミで広まり、遂には書籍として出版したいと編集者までやってきた!?ギュンターの日記として語られる、“マ王”シリーズ初の短編集。
 

陛下ラブラブ日記の割りに陛下分が低い気がするんですが(笑)個人的には「明日マ」でちょっと掲載されていたような暴走日記で1冊占められているのかと色々と楽しみだったのですが、良くも悪くも普通の短編集で少しがっかり。いえ、普通に面白かったんですけど、出来ればギュンター本人の文体で読みたかったかなと。そっちの方が地の文でユーリにヤキモチ焼いたり、アニシナ様への恐怖が滲んでみたり…と面白おかしそうな予感がします。特に1話目に至ってはいつもの本編と全く同じユーリの一人称で、もう“日記”じゃないじゃん。

すっかり同棲状態のヴォルフに辟易したユーリが、ヴォルフに出て行ってもらうため迎賓館のモンスターを退治しにいく話と、グウェンダル&アニシナ様のお話、そしてコンラッドがユーリの魂を人間界に預けに行った時のお話。個人的には2つ目のアニシナ様大暴走の話が面白かったです。結局なんだかんだ言われつつも振り回されて、どこまでも不幸なグウェンダルに乾杯(笑)

ラストのコンラッドの短編ではスザナ・ジュリアが死んで落ち込んでいた頃の、本編とは全く違う姿が見れて面白かったです。しかしユーリがスザナ・ジュリアの魂を持っている(←ネタバレ)っていう設定はちょっと露骨に腐女子狙い設定という感じで、露骨な設定を忌み嫌う腐女子の私にはイマイチだったかなあ。なんというか、こういう設定をつけてしまうとコンラッドがやたらとユーリをかばいだてするのはその設定があればこそ…みたいな、そういう色眼鏡をかけてしまいますよ。ユーリが女の子なら恋愛関係にもつれ込んで色々と面白い葛藤とかが入るんでしょうが男同士だし…ねえ(笑)

全く関係ないけど、陛下トトの詳細な順位が気になります。

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2006年に読んだ本まとめ その2

昨日の記事の続きです。
どちらから読んでも大丈夫ですが、記事へのリンクははっておきますね。

2006年に読んだ本まとめ その1

■ 笑った


ネコのおとネコのおと (※リレー小説/富士見書房)
2006年最大の馬鹿小説企画。物凄い勢いで脱線するストーリーや、後ろの先生に丸投げとかいう阿呆な展開も非常に秀逸なのですが、やはり注目すべきは富士見ミステリー文庫の自虐ネタ。電撃を目の仇にしてみたり、ミステリー文庫なのに「読者は富士ミスにミステリーなんか求めてない」と言い切るその姿勢が素敵です。腹抱えて笑わせていただきました。特にラスト2篇はネコミミメイドの吉田先生が非常に熱い展開を魅せてくれましたw

撲殺天使ドクロちゃんです撲殺天使ドクロちゃんです (※トリビュートノベル/メディアワークス)
ドクロちゃん知らなくても好きな作家さんが数人居れば楽しめると思います。いつのまにかリレー小説的になってきたり、やる気の無い楽屋オチが突然やってきたり、ディズ●ーやドラ■もんが乱入したりと無茶苦茶な内容。一人だけいつも通りのほのラブやって浮きに浮いてるハセガワ先生や、一人世界が間違ってるCLAMP先生も素敵です。しかし個人的に一番ウケたのはやはり「後書きノリ」な時雨沢先生。若本声のドクロちゃん…!

9S〈ないんえす?〉SS9S〈ないんえす?〉SS (葉山 透〔著〕/メディアワークス)
本編も架橋に入り、シリアス展開目白押しなナインエスシリーズの短編集。正直「れじみる。」とどっちにするかギリギリまで悩みましたがレジンキャストミルクは別項で取り上げたのでコチラに。ていうかどっちもお料理話が偉いツボで!どっちも似たような展開なだけに選べない…!完璧キャラとして描かれるヒロイン・由宇の意外な欠点が垣間見える珠玉の短編集です。特にこの話ではその「完璧」な部分が物凄く逆効果になった感じだけど。


■ ノベライズ

機動戦士ガンダムSEED DESTINY 5機動戦士ガンダムSEED DESTINY 5 選ばれた未来
   (後藤 リウ[著] /矢立肇、富野由悠季[原作]/角川書店)
説明が足りな過ぎるアニメの副読本としては最高の一品。穴だらけの原作アニメの納得行かない部分を全て美味い事補完してくれたことは、一人の種ファンとして感謝の念に絶えません。ていうかコレを読むたび、どれだけ本来の種キャラが魅力的で、その魅力をアニメが表現しきれてないか思い知って切なくなるんですがね。キラではなくシンがちゃんと主人公してるところもポイント高し。

DEATH NOTEDEATHNOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺害事件 (西尾 維新[著]/大場 つぐみ・小畑 健[原作]/集英社)
あれだけ個性的なキャラクターを殆ど違和感無しに描いてしまう所からまず凄いです。そして全編から漂う、西尾さんのLへの愛(笑)。ナオミとLの軽妙な会話には思わずニヤニヤしてしまいます。そしてラストの“原作を知れば知るほどハマってしまう”トリックはまさに流石としかいいようがありません。

ノエルと白亜の悪夢アリアンロッドリプレイ ルージュ: ノエルと白亜の悪夢 (菊池 たけし著 / F.E.A.R.著/富士見書房)
とりあえず雰囲気掴みということで借りた一冊なのに、よもやここまでドはまりしてしまうとは…。TRPGの楽しさが伝わってくるような、楽しさ満載の2巻までと打って変わってドシリアス展開の3巻では、手に汗握りながら最後まで一気に読み進めてしまいました。みっしょん06を読み終わったときの喪失感ときたらもう…。ノベライズに入るかどうか微妙だけど、面白かった!


■ 心に残った名場面・迷場面

メイド刑事(デカ) 2メイド刑事(デカ) 2 (早見 裕司著/GA文庫)
「でも、あの炎の中から、どうやって?」
「理屈じゃないんです」


炎に包まれても至近距離で爆発受けても、御主人様への忠誠心さえあれば燃え盛る豪火だって熱くないんです!!問い掛けられても華麗にスルーがメイド刑事の心意気!!

ムシウタbug 4th.ムシウタbug 4th. 夢並ぶ箱舟 (岩井 恭平〔著〕/角川書店)
「なんで“さくら”が襲われてるのか、事情は知らねぇが——」
「とりあえず、どっちもくたばってクダサイ


最近のbugシリーズは霞王のためにあるといって過言ではないと思います!はすっぱ不良言葉と半端な外国お嬢様言葉の乱れうちに萌え!(笑)

グロリアスドーン 1グロリアスドーン 1 (庄司 卓著/ホビージャパン)
「ちょ、待て。恵子、恵子!当たってる!当たってる!」
「うるさい!当ててんのよ!有り難く思いなさい!」
「当ててる…」


シリアスなクライマックスでこのセリフが来るとは夢にも思わなかったです。っていうかこれどこのタカy(殴)ドリル発言も非常にいかしてました。

極北からの声極北からの声 (賀東 招二著/富士見書房)
そして——おお、神よ。
艦の医務室でぼろぼろのぬいぐるみを抱いていた優しい幼な子の瞳は、無垢なる輝きを完全に失い、無感動な殺人者のそれへと変貌していた。


とりあえずカシムの存在そのものに10000万票くらい入れてしまいそうです。2006年最萌え大賞。カシム可愛いよカシム!!!


それでは、改めて今年も宜しくお願い致します。

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2006年に読んだ本まとめ その1

あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。


遅まきながら2006年の総括してみます。
5作品くらいを適当に選出しようと思ったのですが
ラノサイ杯と殆ど変わらない結果になる予感がするので
幾つかジャンルにわけて各項3作品ずつ纏めてみました。

だって「ムシウタ」と「フルメタ」と「SEED DESTINY」は外せないから!
そうするとあと2つしか選べないから!!(致命的!)

ぶっちゃけbooklines.netさんのまとめを見て「これだ!!」と思い立った訳ですが。
えっと、勝手にパクっちゃってスイマセン…!

※書影クリックでbk1の商品ページ、タイトルクリックで感想に飛びます。

■ 燃えた


とある魔術の禁書目録9?10とある魔術の禁書目録9&10 (鎌池和馬/メディアワークス)
[9巻感想/10巻感想]
新キャラ・吹寄さんの出番の少なさには泣きましたが男3人の熱い奮闘ぶりは文句なしにシリーズ最高峰。いつもとは少し違った、静かな雰囲気のラストシーンもなかなか良かったです。白井黒子さんの魅力満載な8巻も捨てがたかったですが、熱さでいったら絶対にこっち推し。

燃えるワン・マン・フォース燃えるワン・マン・フォース (賀東 招二著/富士見書房)
何が何でもフルメタだけは外せません。傭兵としての自分と現在の宗介のせめぎあい、今まで自分が載っていた最新鋭機・M9にオンボロサベージで挑んでいく展開等、熱いバトルが目白押し。かなめとのL・O・V・E分もあります(笑)

今年は文庫でもアーバレスト後継機の姿が拝めるのかな?

星のプリンキピア 下アストロ!乙女塾! 星のプリンキピア 下
   (本田 透〔著〕/集英社)
あかほりばりのハーレムラブコメだったこのシリーズ、3巻・4巻は普通に熱いバトルを繰り広げます。2巻までのノリがダメだった方にもオススメ。円・晶・茜の姉妹愛や精神的に成長したヒカルの姿にひたすら燃えたり感動したり。

しかし皆さん、ホノカも忘れないで上げてください(主張)


■ 泣いた

終わる世界、終わらない夏休み終わる世界、終わらない夏休み 桜井深優の終末
 (あきさか あさひ著/エンターブレイン)
前編もよかったけどやっぱり後編「桜井深優の終末」が格別でした。深優の恋心に物凄い共感して、ラストの演説でボロ泣き。色々ツッコミ所は多かったけど、その青臭さがまたたまりません。2006年で文句なしに一番泣いた作品!

ムシウタ 07.ムシウタ 07. (岩井 恭平〔著〕/角川書店)
06の戌子の最後にも散々泣かされましたが、07での大人顔負けの愛恋のジャーナリスト魂にはまさに感嘆としか言いようが無いです。前半のどこかコミカルなシーンが印象深い分、ラストの悲しすぎる展開にはボロ泣き。

虫憑きですらない二人の“魔王”の対決は必見です。

“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト)“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト) (野村 美月[著]/エンターブレイン)
遠子先輩の思わずおなかがすいてしまうような“薀蓄”の数々も魅力的なのですが、雨宮蛍と黒崎の決して結ばれない悲しい恋心に涙。毎回序盤で空腹中枢を、結末で涙腺を刺激してくれるシリーズ。2006年最大の収穫はこのシリーズに出会えた事かも。


■ ダーク&鬱展開

レジンキャストミルク 5レジンキャストミルク 5 (藤原 祐〔著〕/メディアワークス)
ダークといえばこれしかないでしょう。あれだけ日常を守りたいと願っていた晶が遂に芹菜(日常)と訣別し、硝子(非日常)と結ばれ、最強の虚界渦を目覚めさせるシーンは最高でした。またその突き放し方が容赦ないのです。

今後どうなるのか、続編が非常に楽しみ。

殺×愛(きるらぶ) 5殺×愛 5—きるらぶ FIVE— (風見 周[著]/富士見書房)
「泣いた」に分類してもいいと思うのですが…現在の所「レジンキャスト?」と並び立つダークシリーズ。4巻までの全てが上手く行くのではないかと錯覚させられるほのぼのラブ展開から、来夏の一言をきっかけにドン底まで崩壊していく5巻は必読です。…というかある意味これ、芹菜を取った「レジンキャストミルク」と受け取れなくも無いですね…。こちらも続編に期待です。

バイトでウィザードバイトでウィザード 沈めよ恋心、と雨は舞い降りた
  (椎野 美由貴〔著〕/角川書店)
一段落した本編最新刊より、コチラの方が断然ダークだった気がする。逢いたくて仕方ないのに、いつまでもすれ違い続ける京介と礼子の姿にヤキモキ。報われなさ過ぎる展開に、本家家長への怒りを募らせたり、着々と死へと突き進む京介にハラハラしたり…ていうか本当にこれ、本編の続きあるんですか。あそこで終らせるのが一番綺麗な気がするんだけども…


■ L・O・V・E(By富士ミス)

涼宮ハルヒの憤慨涼宮ハルヒの憤慨 (谷川 流〔著〕/角川書店)
長門が書いた部誌の原稿にニンマリし、「禁則事項」発言でニヤニヤし、そしてハルヒ&キョンの成長ぶりに萌え萌えするのが正しい楽しみ方だと信じて疑いません。少しずつ角がとれてきたハルヒの可愛さもさることながら、そのハルヒをどこか暖かい気持ちで見守っているキョンの姿に燃え。アニメも面白かった!!

カーリーカーリー 二十一発の祝砲とプリンセスの休日
  (高殿 円著/エンターブレイン)
「これ、ラブコメ違う」ってツッコミが各所から発生しそうですがこの巻の見所は誰がなんと言おうとヤキモチ焼きまくるヘタレカーリーだから仕方ないんだっ!!シャーロットと仲の良いアヒルを密かに焼き鳥にしようと目論んだり、シャーロットとのヒンドゥー語レッスンでは教えるフリしてシャーロットに愛の言葉を吐かせまくって萌え萌えしてる、そんな貴方にときめきます。寄宿舎編は終了とのことでパーフェクトヘタレ女装美少年カーリーたんが拝めないのは死ぬほど残念ですが、是非続編をお願いします!!

とらドラ! 3とらドラ3! (竹宮 ゆゆこ〔著〕/メディアワークス)
1も捨てがたかったんですが、「竜児は、私のだああああー!」発言がツボだったのでこちらに。このくっつきそうでくっつかない、もどかしい関係が猛烈にツボポイント直撃。

3巻では泳げない事や貧乳を気にしている大河の、普段は見られない弱気な姿が非常に可愛かったです。


「笑った」「ノベライズ」「名場面・迷場面」はこちらからどうぞ。

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狼と香辛料

[著]支倉 凍砂 [絵]文倉 十

ロレンスが行商で立ち寄った村を去ろうとした時、荷馬車に可愛らしい娘が寝転がっていた少女には犬のような耳と尻尾が生えていた。自らを豊作の神・“賢狼”ホロと名乗った彼女は故郷へ戻りたいといい、なしくずしにロレンスにくっついてくるのだが…
 

いい具合に今年最後に読んだラノベとなりました。今年ラノベ界を最も騒がせたライトノベルでシメてみます。

適当なバトルモノなんかよりももっと熱い、手に汗握る商人同士の騙しあい…駆け引きもさることながら、何よりもロレンスとホロが繰り広げる言葉の駆け引きが非常にツボ。ホロを必死にやりこめようと頭を働かせて、それでもやっぱりホロが一枚上手…という駆け引きには思わずニヤケ笑いが止まらなくなりそうでした。老獪なのに、それとは正反対の少女のような心をもっているホロの魅力を存分に堪能させていただきました。ホロ可愛いよホロ。

「経済をテーマにした小説」と聞いていたのでMissingのような薀蓄が大目のもっと堅い話を想像していたのですが、予想以上に軽妙なストーリー展開でかなり楽しく読むことが出来ました。特にホロを助け出そうとロレンスが必死に策を巡らすシーンは物凄く熱くて、手に汗握りながら読んでしまいました。

しかしここまで頭脳戦で拳にも負けない頭脳バトルを繰り広げてきたのに、結局ラストは力押し…っていうのが個人的には気に食わなかったです。ここまできたらなんとしても口先三寸で丸め込んでほしかったなあ。やりとりとかは好きだったので、ラストだけが非常に不満でした。っていうか本音をぶっちゃければ何でオチがダブルブリッd(うわーなにをするー)

なんだか半端じゃなく高い評価から自分の中でいつの間にか期待を掛けすぎていた所為か、最初に予想していたより「物凄く」面白くは無かったかも。つまらなかった訳でもなく続編も普通に読む気満々ではありますが。

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“文学少女”と繋がれた愚者(フール)

[著]野村 美月 [絵]竹岡 美穂

図書館にある本のページの一部が切り取られるという事件が発生。勿論“文学少女”の遠子先輩がそんな事件を放っておくはずが無く、図書館で犯人を捕まえるが犯人は心葉のクラスメイトの芥川という少年だった。遠子先輩は彼を文芸部が新入部員獲得のため文化祭で行う劇に勧誘し、心葉は願わずして芥川の苦悩や過去を知る事に…
 

芥川というクラスメイトを通して、今まで心葉が考えまいとしてきた心の傷“美羽”との一件を乗り越えようとする物語。なんか本当にこの芥川というクラスメイト、何をやっても裏目に出てばかりでかわいそうでした。芥川自身はただ誠実にあろうとしているだけなのに、その行動が誤解され、ますますどん底へ落ちていく姿がなんとも悲しい。

そして今回は出番自体はいつも通り控えめですが劇中でヒロインをやることになったツンデレ少女・琴吹ななせが良い所をドーンと持っていってきます。知らずに心葉のトラウマに触れてしまって大後悔したり文芸部の面々に(という名目で心葉に…)クッキーを作ってさりげなく心葉の反応をみようとする姿が非常に愛らしいです。勝手に勘違いしてキレちゃうのも彼女の魅力のうち!可愛いなあ(´д`*)

そしてななせ以上に出番は少ないけど、美味しい所を抑えているのが竹田さん。1巻とは違いところどころで現れる彼女の本心の描写が短いながらも非常に印象的でした。それでもあまりにも小さいけれど些細な変化が少しだけ伺えて、その辺はちょっと嬉しくなってしまったり。

遠子先輩が送る、名作語りは今回も必見。今回は小学校の教科書に取り上げられた作品が幾つか取り上げられており、遠子先輩の語りで当時読んだ時の感覚をふっと思い出して懐かしくなったりしていました。本を読むのは好きな割りに先生の語りが長くてなかなか話が先に進まない現国の授業はあまり好きじゃなかった記憶がありますが、遠子先輩が現国の先生になればきっと現国好きが急増するだろうに。ていうか図書室に「文学少女」シリーズと過去取り上げた文芸作品を全部並べておいて見るとかどうでしょう!?近頃の読書離れにストップかけられるかも!!(笑)

“普通のモノの味がわからない”という遠子先輩がななせのクッキーを美味しそうに食べるシーン。味が判らないのに想像力の翼だけでここまでの感想を述べられる遠子先輩に改めて感心すると共に、こんなに美味しそうに食べているのに味が判らないなんて…と悲しく思わずにいられません。

遠子先輩の母親のことや“朝倉美羽”のことなど、少しずつ明かされてきた秘密に次回以降も目が離せなさそうです。


[追記]遠野先輩遠子先輩
どこかのオンラインブックマーク?で指摘されてたので光の速さで修正しました。どちら様か存じませんがご指摘ありがとう…ございま…す_| ̄|○
原稿でテンパってる時期とは言えこの間違いは流石に恥ずかしいですね。
ちょっと穴に潜って反省してきます。

ていうか、遠野先輩ってどこの直視の魔眼?

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天使のレシピ

[著]御伽 枕 [絵]松竜

高校二年生の春。俺はある“呪い”にかけられた。彼女が「おはよう」というと、また呪いが最新のものに更新される…。“羽根”をなくした人間達の恋愛模様と、罪を犯して羽根を無くし、彼らの橋渡しをする天使達の物語。

 

普通に恋愛がテーマの短編として書けばいいのに、うっかり「天使」だの「羽根」だのという不思議要素を絡ませてしまったがために一部の魅力が台無しになってしまった印象を受けます。うーん、「劣化版・しにがみのバラッド。?L・O・V・Eバージョン?」とでも言えばいいのでしょうか。どうにも天使達が現れる基準が掴み辛いんですよね、ラストの短編以外では「不思議現象」が起きている訳でもないですし。1話目の「呪い」なんかは絶対不思議要素の所為でああなったと考えるより「これが恋なんです!!」というオチにした方が面白いと思うし。

完全に天使要素を排除するか、全てラストのように恋愛の所為で不思議現象が起きてしまってそれを正常化する、みたいな展開の方が良かったのでは…。

ストーリーとしては天使が出張ってこない「恋愛実験」が凄く面白かった。ヒトの感情をよく理解できない芸術家少年・伊織と内気な少女・綾乃の微妙にトンチンカンな会話が微笑ましくて非常にツボ。逆にラストの「ソラヲトベ」はちょっとダメでした。何故ラストで二人が引き離されなくてはいけないのか理由が不明瞭だし、ちょっと読み辛い印象を受けました。

二人の天使が引き離された理由等、魅力的な設定は多々あるのにそれが全く生かしきれていないのが凄く残念です。「二四〇九階の彼女」もそうだったけど、どうも「キノ」とか「しにがみ」みたいな傑作短編シリーズの真似しようとして墜落した感じがしてダメでした。

「恋愛実験」が凄くツボだっただけに、もったいない気がする。
っていうかやっぱ、普通の恋愛小説にした方が売れるんじゃないの。


追記。
「トランキライザー・キス」のヒロインは女のこちらから見ても正直キモイです。
特に女のオタク・特に腐女子はヘンなところでピュアな話が好きなので、
これは女性向けライトノベルレーベルで出しても微妙ながします。
女性向の世界は基本的にファンタジーだからネ!!

どっちかっていうとラノベ好きよりは“性コミ”こと少女コミック読者辺りにウケそうな予感。
あ?…まあ、18禁乙女ゲームとかならありそうな展開かな。
自分にはどっちの属性もないのでなんとなくですけど。

敢えて触れなかったけど、この短編が一番ダメだったな。
ヒロインの自分勝手さが猛烈に鼻につくんですよね。
全面的に気分の悪い話でした。

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明日はマのつく風が吹く!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

いつもなら事件を解決すれば元の世界に戻れるのに、眞魔国から帰れなくなったユーリ。そんな彼の元に“現魔王のご落胤”と名乗る少女・グレタが現れる。彼女に暗殺されそうになり、足を痛めたユーリはグレタを連れてコンラッド(と勝手についてきたヴォルフラム)と温泉街に湯治に出かけるがそこでも事件が…!?
 

アニシナさん最高。
幼馴染のグウェンダルとのやりとりも非常に楽しいのですが、ラスト付近の大活躍の際の漢らしさにひたすらニヤニヤしてしまいました。カッコイイ!!

ストーリーは…ある意味前回からの続き。手に入れた魔笛の力によって雨を降らせ、スヴェレラの国を救っていたつもりでいたユーリですが、作物が育たず法石を取る事が出来なくなったスヴェレラでは実はますます民が貧窮し、多くの親が子供を「出稼ぎに出す」という名目で身売りさせなくてはいけなくなっていた…という話。

高校生なのにまるで堅いおじさんのように売春している女の子達を諭そうとしたり、すっかりグレタの“親”になって必死に彼女を守ろうとするユーリが非常に可愛い。この巻は特にユーリの一生懸命さが際立っていたような気がします。その裏で、自分の両親の事を思い出したり本当に元の世界に戻れないのか、悩む姿が印象的。

ラストの賭けのシーンでは、ただ状況に流されているような状態に近かった最初の頃から、自分の意思で「王として」周囲を守ろうとする姿に心打たれました。何か今回は本当にユーリかっこよかったな。

そして今回のギュンターは勘違いでついに出家
ユーリの書き間違いっぷりにも笑えましたがそれを間に受けて適当な寺に体験出家しちゃうギュンターの姿に大爆笑です。もうこの人どこまで突っ走っていかれるのか、今後が楽しみ(笑)

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今夜はマのつく大脱走!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

友人・村田健の失恋記念(?)にシーワールドにやってきた有利はイルカショーの最中に再び眞魔国へ召喚されてしまう。ニセ魔王が処刑されそうになっているという話を聞いて処刑を止めに向かうのだが、その旅路の途中コンラッド達とはぐれてしまい、挙句自分の事を嫌っているグウェンダルと駆け落ちカップルに間違われ、手錠で繋がれて追われる羽目に!?
 

今まで仲の悪かったグウェンダルとユーリが歩み寄る話。結局グウェンダルって悪い人じゃないというか、良くも悪くもまっすぐなヒトなんだろうなあ…。幌馬車の中でのユーリとの、どこかズレたやりとりが非常に素敵です。

ニセ魔王を探してユーリ達が向かったスヴェレラという国は非常に刑罰の重い国。ニセ魔王が食い逃げの罪で処刑されそうになっていたり、決められた相手以外の男や魔族と恋をした女性達が囚人として強制労働をさせられていたり…。同時に魔族への反感も非常に強い国で重い展開が目白押し。特にかくまってくれた親子(祖父子?)達とのくだりとか採掘場で生まれた子供を“事故”と装って生き埋めにしようとする部分なんかは非常にやるせないものを感じました。

かなり重い展開の中、最後近くのノリカさんとのやりとりが唯一の救いのように感じました。

しかし、ヴォルフラム&ギュンターの(ある意味)ユーリ馬鹿二人の存在が爽やかに重い雰囲気をぶち壊しているのが素敵です。こいつら重い雰囲気なんかもろともしねえ!!ていうか二人ともかなりの美男子なのにこんなキャラでいいの!?(笑)

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今度はマのつく最終兵器!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

ひょんなことから異世界・眞魔国の魔王に祭り上げられてしまったごく普通(?)の高校生・渋谷有利。再び召喚された眞魔国では戦争の話が持ち上がっていた。小市民的正義感からなんとか戦争を止めたい有利は、魔王のみが持つことを許されるという魔剣「モルギフ」を求めて旅に出る。のんびりと船旅を満喫できるはずが婚約者のヴォルフラム(男)がおしかけてきたり、船は海賊に襲われたりで大変なことに…!
 

ヴォルフラムがすっかり女房気取りな件について。
前巻でのツンケンっぷりはなんだったんだろうってくらいユーリに「なついてる」ヴォルフの姿が偉い可愛いんですけど。いや、ツンツンしてる態度は変わらないんだけど台詞が思いっきり…嫉妬旋風巻き起こしまくりで独占欲丸出しで!何このツンデレ!!!

ストーリー本編も前作と同じくハイテンションなギャグストーリーなのですが…今回は人間と魔族の考え方の違い等が露骨に見え隠れしたり、魔族側もユーリをまだ魔王として認めていない動きがあったりして、前回に比べて少し重くなっていますね。ユーリが必死になって人間達を助けたのに、それによって正体がバレてしまうと凄く冷たい態度をとられたり。そんな中でも、それらの罵倒を前向きに受け止めて少しずつでも成長しようとするユーリの姿に好感が持てました。特にラストの“魔剣”に対する処断を決めた時の姿は確かな成長を見て取れて読んでいるほうとしても嬉しかった。
やっぱり主人公はこうじゃなくちゃね!

しかしすっかりツンデレ女房ポジションを確立してしまった(?)ヴォルフも大分アレですが、どんどんユーリバカと化していくギュンター(陛下ラブラブ日記とか謎の占いの数々とか…)や、今回で意外な趣味が発覚したグウェンダル等、キャラクターの暴走っぷりが楽しいです。特にギュンターは…国の中枢の役割を担うはずの人が陛下の不在ごときで機能しなくなっちゃっていいんですかっ!!(笑)眞魔国の今後が非常に心配です。

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