ページ 2 | 今日もだらだら、読書日記。

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空戦魔導士候補生の教官11

 

空戦武踏祭、ついに決着! 優勝は――
≪ベベル≫対≪ミストガン≫の決勝戦。序盤から圧倒的劣勢のE601小隊に対し、ただ見つめるだけのカナタを訝しむエリス達。カナタが狙っているものとは――すべてに決着が着いたその時、魔砲杖の咆吼が鳴り響く!

空戦武踏祭の決勝戦。新技を引っ提げてベベル代表と激突するミソラ達だったが、《崩力》を使う彼らの実力は予想以上で、まったく歯が立たない。生命の危機すら感じられる激闘に、エリス達はカナタに教官権限で棄権するように伝えるが、カナタはただ戦いの行方をみまもるだけで……

最終決戦目前、最後の休息の時!(でも特訓はする)

空戦舞踏祭の決着からひとときの休息の時、残された謎の開示、そして決戦前夜のやりとり…とまたしても情報量の多い巻だった。ミソラ達に掛かる信頼と責任がいくらなんでも重すぎる……と思ってたらそうきたかぁ……。誰よりも勝てないことを知りながら、でも彼女達の奮戦が空士達の心を動かすことを信じて。公式あらすじの最後の一文、あえて主語抜きにしてるのがめちゃくちゃニクい演出ですね。

今回は最初から最後まで、ポーカーフェイスの裏に隠されたカナタの葛藤が、握りしめた掌が、とても印象的でした。カナタ、教え子達が傷つくの全然本意ではないんだもんな。だからこそ最終決戦に彼女達が参加しないように全力で心を折ろうとするし、付いてこないように説得しようとする。でも、どんな敗北にも折れない心を持つようにと彼女達を育て上げたのもカナタ自身な訳で……なんともやるせない。それはそれとしてカナタを中心にしてクロエ・ロイド・ミーナ・ノエルのドリームチームとの決戦はめちゃくちゃテンション上がる物があったしよかった。ロイド以外の全員、何らかの形で戦ったことのあるメンバーだったけど本当はこんなに強かったんだなと。

ミストガンに戻る前、アンネローゼの口から明かされた《絶力》を使うことの代償。そして魔甲蟲がこの世界に現れた一番はじめの、悲しい「呪い」の物語。二ヶ月間の猶予期間の後に待ち受けるのは、勝っても負けてもカナタにとって何も残らない、自身の犠牲が前提の最終決戦。厳しい訓練の毎日と言えども平和で楽しい二ヶ月間ではあるのですが……その合間にカナタが感じていたであろう葛藤や道半ばにして教え子達の前から去らねばならない悔しさを思うと、どんなに楽しいエピソード挟まれてもしんみりしちゃうやつなんだよなあ……えっこの期間の話、普通にドラマガで連載してたんです!?富士見はまたそんな読者の心に酷い事をする!!!(いやまぁ、刊行順なら完結した後に読むことになるので、楽しみですけど……)

悲しくも楽しい、最後の思い出とも言うべき決戦前夜。それぞれがカナタへの思いを伝えて、心残りがないようにして……とおもったら、最後の最後でユーリが爆弾落としてきたぞ!?そしてミソラは本当にその終わり方で本当にいいの!?

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空戦魔導士候補生の教官10

 

≪ファルシオン≫VS≪ミストガン≫! 最終戦の切符を手に入れるのは!?
≪ファルシオン≫に勝つため、ミソラはエリスとリーゼリットに訓練を願い出る。人型魔甲蟲である彼女たちは、戸惑いながらもE601小隊と過ごすことに……。一方、カナタを賭けた会談も始まろうとしていて――?

空戦武踏祭の初戦、大波乱だったバトルロイヤルを息抜き決勝トーナメントに駒を進めたE601小隊。決勝戦でぶつかるであろうベベル代表が使う《崩力》に対抗するため、同じミストガン代表のミーナだけでなく、人型魔甲蟲であるエリス&リーゼリットにも特訓の協力を依頼する。一方カナタは、教皇アンネローゼと人型魔甲蟲のリーダー・ゼスを対面させて話し合いの場を持とうとし……!?

かくして世界の行方は「空戦武踏祭」に託された!!(責任が重い!)

一応メインは《ファルシオン》との準決勝なんだけど、E601小隊の特訓&パワーアップ回という感じでした。ノエル率いるファルシオンだってミソラたちの身に大きく余るような強敵なんですが、ノエルが本調子でないことに加えて前巻の戦いで彼女達の戦う理由の一端に触れてしまったノエルが本気で相手をしながらも彼女達が強くなるために肩を貸してくれた感じ。そして準決勝から間髪入れずに教皇派とゼスの会談、そして決勝戦へ。とにかく情報量の多い巻だった!

ゼスの言いなりだったエリスがミソラ達の特訓や教皇机下にいる人型魔甲蟲の子どもたちとの交流を通して自分の意志で兄の意見に背き人類との共存を目指す……という展開は凄く希望の未来が垣間見えてよかったんですが、それはそれとしてカナタ達の方では空戦武踏祭の優勝チームが世界の実権を握る……みたいな話に。ベベルが勝てばゼスが、コウライが勝てばアンネローゼが、そしてミストガンが勝利した場合は双方に代表者を立てて共存の道を探る。いや、軽率にE601小隊の肩に世界の命運乗せてくるカナタ教官からの信頼重すぎないですか!?それに応えようとするミソラ達の姿が目を見張る物があるのは確かなのですが。純粋に空戦武踏祭を楽しんでほしい…って話はどこへいってしまったんだ。

前巻でカナタと一度離れたことで、自分たちで戦略を立案して自発的に動けるようになったE601小隊。それぞれに新技も身に着けて、人型魔甲蟲との共存の道も垣間見えて……とほんの少しだけ希望の光が差し込むお話だったのですが、あまりにも決勝の相手は遥か高みにいて。ミソラ達の成長は確かに目を見張る物があるんですけど、これまでのバトルは相手を隅々まで観察した上でその弱点を突く形式だったり、予想外のアクシデントが起きたり……という感じで真っ向からぶつかって勝ったのではない印象も拭えないんですよね。空戦武踏祭最弱の小隊……とまでは流石に思わないけどまだまだ未熟な彼女達が文句なしに最強の小隊であるベベルにどう立ち向かっていくのか。続きがとても気になります。

絶力の代償の話も引っ張られてるんだよなあ……いやあらすじバレでなんとなく知っちゃいるんですが……。

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ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編11

 

「私は裏切……いえ、橋本正義のことがちょっぴり気になるお年頃でして。恋?」
3年生がリーダーを務め、1,2年生クラス混合のグループで挑む合宿『交流会』が発表された。ただ今年の合宿は退学ペナルティもクラスポイントの増減も一切ない、他学年との交流がメインの緩いイベント。綾小路は鬼龍院リーダーの下、橋本、森下、山村、椎名等と同じグループとなり、押し花作り、トランプ、アーチェリーなど体験学習ゲームに参加する。 一方、勝利が求められない交流会の緩さを利用して、堀北は天沢とのリベンチマッチを計画。綾小路に対しアドバイスを求める。 「あ? 俺は真面目に相談してるぜ? 必死に助かる方法を探ってるんだよ」 綾小路に急接近する橋本の他、学年末に向け各クラスも動き出して――!

学年末試験を控えたこの時期に、1〜2年生と3年生の選抜メンバーで挑む交流会を兼ねた合宿が開かれた。クラスポイントの増減もなく、ショッピングモールでしか使えないちょっとしたポイントを賭けたリクリエーションゲームが行われるだけという特別試験未満のゆるい企画。そんな中で南雲は綾小路に勝負を持ちかけ、掘北は天沢とのリベンジマッチを計画する。更に、Aクラスの中で裏切り者として立場が危なくなった橋本が綾小路に相談を持ちかけてきて……。

南雲元生徒会長の引き際に(噛ませ犬の)美学を感じる

めちゃくちゃ先延ばしにされていた南雲元生徒会長と綾小路の勝負回。正直このまま忘れ去られるのかと思ってましたけど忘れられてなかったわ。良かったね南雲元会長……!!

学力や体力勝負ではない「お遊び」的な勝負になってしまったことをやや不満に思っている南雲ですが、正直これ対綾小路への勝ち筋としてはメチャクチャイイ線付いてたのでは??明確な回答があるわけじゃない、運や芸術点に左右される勝負に持ち込んだ上に南雲自身が得点を上げなくて良いの上手いんですよね。実際にお遊びの勝負とはいえ綾小路をかなりイイところまで追い詰めてたわけだし。かつての混合合宿で掘北兄相手にやった勝負もそうだったけど、南雲のこの「試合には勝てないけど勝負には勝つ」みたいな嗅覚って相当なものだと思う。二人のファーストコンタクトであったトランプ勝負にふたりとも足を掬われてるのもまたなんだか微笑ましい。

一年半以上学園を実質支配したものの掘北兄や綾小路のような突き抜けた才能を持つ相手にはどうしても叶わなかった永遠の二番手・南雲が彼らに勝利することへの執着を失わないまま、でもどこか吹っ切れたような穏やかな顔で舞台を降りていく姿がとても良かったですし、噛ませ犬の美学みたいなものを感じました。それはそれとしてこの後の展開が衝撃すぎて南雲の良かった話が全部吹き飛んでいくの、本当に南雲先輩は「こう」でなくっちゃね!!!!!としか言いようがなくて最高だったな!!!(酷い)

おそらくこれが2年生編「最後の」コミカル話なんだよなあ……

交流会が中心である今回の合宿はどちらかというとコミカルな展開が多くて久しぶりに肩の力を抜いて楽しく読めました。押し花や彫刻・パッチワークといった自分のやったことのないクリエイティブな体験に異常に熱中する綾小路がめちゃくちゃ面白いですし、何よりこの合宿で同じチームになり今回の表紙も飾っているAクラスの森下藍がおもしれえ女すぎる。綾小路の「実力が伴わない女版高円寺」の評は流石に人の心がなさすぎて笑ってしまったけどでもたしかに、一番近いのはなんか……高円寺なんですよね……わかるわ……。そして明言はされてないものの綾小路の巨チンネタ今回もしっかりネタにしてくるの笑ってしまう。一緒に風呂入った後輩達からの手のひらクルーに困惑する綾小路で腹抱えて笑ってしまった。本人は既に例の一件(黒歴史として)忘れ去ってるんだなあwww

あとほんと、前巻でも感じたんですが堀北と綾小路が二人でいるときの空気感が変わってきてて凄く好きだ……。堀北相手のときだけこころなしか柔らかい感じというか素っぽい綾小路も良いのですが、今回は天沢にリベンジマッチを挑む関係で掘北伊吹櫛田のわちゃわちゃが見れたのとても良かったです。綾小路の前で表情は変えずにめちゃくちゃ毒づいてくる櫛田、「誰が負けても飯がうまい」で天沢と堀北のリベンジマッチを見に来る櫛田、綾小路のことなんだかんだ結構気になってきている態度を隠しきれない櫛田、マジでいい性格になったな。伊吹は癒やし。

でも、そんな中で今後の展開への種まきが着々と行われている模様。前回の試験で明確に「Aクラスの裏切り者」として認識されてしまった橋本の暗躍、心を許せる側近だった神室を失って本調子になれない坂柳、綾小路の今後やろうとしてることを見抜いてそうな高円寺、あと椿の意味深発言とかもありましたね、そして「今後」に向けて着々と準備を進める綾小路。そして…………最後の最後の坂柳と龍園の「賭け」の話、そんなことってある!? マジでそれまでの南雲先輩の退場展開良かったわ〜〜って気分が吹き飛んだんですけど!せっかく綺麗に退場した南雲先輩に謝れ!!

正直これ、どっちが勝つかはまだ予想できないな?と思ってるしなんなら橋本から流れを聞いた綾小路がしれっと介入に入るパターンな気がしなくもないんですが(個人的な希望的観測も相当あります)もう最悪の覚悟を決めて置いたほうが良いのか。悲しいことにCクラスのほうがその結末を前にリカバリ効きそうな感じではあるんだよな……。ていうかここまで酷い切りかたで次巻遅れるんです!?生殺しが酷いです先生!!(衣笠先生お体に気をつけてどうぞ無理しないでゆっくり病気治してください……新刊発売多少遅れてもぜんぜんいいので(相反する感情))

というか今後二年生編で消化されてないイベントって「どうかんがえても大惨事になりそうな学年末試験」「どう考えても別れ話が待ってそうな軽井沢との春休み映画デート」「どう考えてもタダではすまなさそうな綾小路家三者面談」の三本なんですけどもう不穏なイベントしかないんですけど!?どうなる次回!!!

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夏目漱石ファンタジア

 

帝都に舞う夏目漱石、暗躍する野口英世、そして――衝撃の問題作
戦いの中で散った夏目漱石は、森鴎外の禁断の医術により樋口一葉の身体で蘇った。身を隠すべく女学校の教師になった漱石は、協力者・野口英世と共に己の復活の裏に見え隠れする大いなる陰謀に挑むことになり――

日露戦争の講和をきっかけに、政府と国民の間に分断が生まれた明治時代の日本。彼らの対立によって脅かされはじめた作家の「表現の自由」を護るために武装組織『木曜会』を立ち上げた夏目漱石。政府から生命を狙われ、瀕死の重傷を追った彼は親友であり文豪であり軍医でもあるドクトル・ニルヴァーナこと森鴎外の差し金で15年前に死んだはずの許嫁・樋口一葉の身体に脳を移植され、女性として蘇る。その正体を隠し、女学校の教師・「樋口夏子」として生きていくことを求められるが……!?

架空の明治時代を舞台にしたSF文豪バトル!!!

漱石を中心にした明治時代の文豪・文化人蘊蓄を大量に埋め込みつつ、カリスマ持ちでイケメンTSヒロインな夏目漱石(樋口夏子)と金の亡者な天才医師野口英世のバディが繰り広げるSF要素ありのバトルもの。近現代史・性転換して女子校に潜入・バディ・殺人鬼・クソデカ兵器……と、とにかくいろんな要素をモリモリにした特濃バトル展開が楽しい一方で、歴史蘊蓄がめちゃくちゃ多いけど歴史蘊蓄に興味がなくても楽しめる……というライトな感触も兼ね備えた読み口が大変良かった。当時の知識があればあるほど楽しいけど、無くても別に大丈夫というバランス感とても良いですね。

何より、夏目漱石(樋口夏子)と野口英世の凸凹バディ関係最高〜〜〜!!!(大声) もうまず「夏子」となった漱石が自身の行動に違和感が出たときの誤魔化しとして「月が綺麗ですね」を口癖にすることを英世からアドバイスされ、その口癖を自分のものにするためにイヤイヤ英世と練習を始めるが、いろんなシチュエーションをお出しされている内に次第にノリノリになってきて……というところの流れとか好きすぎて、もうこの辺の文章で白米3杯は行けます!!この辺、公式の試し読みに入っている部分なので気になった人がいたら是非読んでほしい。(まぁ、この口癖の設定自体はやや作者が使いあぐねてる印象はあったんですが……。)

作家の自由を護るため戦う信念の男・漱石と金払いが良ければどんな違法行為にも手を染める英世。時にはぶつかり合い、時には協力して「ブレイン・イーター」と呼ばれる殺人鬼と対峙していく展開がたまらなく楽しかったですし、なにより対象的なふたりがたったひとりの女のために共闘──という関係性が最高に良かった。また、夏子を影に日向に支える女中・禰子がまた良い味を出していて。

夏子が隠れ蓑として就任した神田女学校の教師として好き勝手していく展開、迷える女学生に道を示してうっかり彼女らのマドンナになってしまったり、また彼が「夏目漱石」だった頃に作り上げた武装組織『木曜会』の面々とのやりとりも楽しそうで、その辺の描写が少し薄めだったのは残念でしたがドラマガ掲載短編とかで日常番外編的な位置づけでやってくれるのを期待したい。なによりお話としては綺麗に終わっているものの続きいつでもいけます!!!と言わんばかりの終わり方で、続編が出るのを期待していたいと思います。

それにしても著者が他レーベルにも夏目漱石ネタで原稿送ってた話が受賞前後から話題になっていて、普通に作者は漱石ガチ勢なんだな……という感じで強いオタクとしての好感度がめちゃ高だったんですが、更に監修の人の解説がどう見ても「話を聞いて集まってきた漱石オタク上級者です!!!」という感じで最高だった。監修になった経緯がなんか概ね、めちゃくちゃ好きなマイナージャンルでめちゃくちゃ好きな同人二次創作作家をみつけてツイッターをフォローしたところからはじまりいつのまにか本の下読み校正装丁デザインまでやってたオタクの顔なんだよな……。

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空戦魔導士候補生の教官9

 

カナタ不在――E601小隊はバトルロワイアルを生き抜けるのか!?
空戦武踏祭が始まった。まずは三日に渡るオーブの奪い合いという過酷なバトルロワイアル。しかしミソラは、カナタを傷つけた失敗から立ち直っていなかった。その裏でゼスは、人型覇権への新たな一駒を投入する――!

重傷を負ったカナタと別れ、空戦武踏祭の最初の競技・第九人工空島を舞台にしたサバイバルに参加するE601小隊。ところが、自分を庇って負傷したカナタの姿にショックを受けたミソラが戦いに集中出来ず、思うように戦えない。更には大量の《アスモデウス》を引き連れたリーゼリットが島に襲撃を仕掛けてきて参加者の多くが脱落してしまう。同じ《ミストガン》の正規代表チームであるA177小隊の隊長ミーナ、《ファルシオン》の隊長ノエルと共に、逆転の糸口を探っていくが……!?

「カナタの教え子代表」として戦うミソラ達の姿がアツかった!

カナタが第一人工空島地下都市で自らの呪力と対峙していたのと時を同じくしてリーゼリットと彼女が操る《アスモデウス》に襲われ、四面楚歌状態で孤軍奮闘するE601小隊の奮闘を描くお話。

ミソラ達の戦いも凄く良かったけど、彼女達に付き添うミーナ先輩からの視点が凄く良かった……かつてのカナタのライバルとして、そして現在はもうひとつのミストガン代表チームのリーダーとしてミソラ達とカナタの関係を見守ることになった彼女が様々な思いを抱えながらもカナタの代わりにミソラたちを導いていく姿が熱い。また、カナタに近しい者以外の視点からかつてのカナタの『裏切り』が描写されるのも印象深かった。ミストガンの周囲の人々からカナタへの当たりが妙に強いなというのはずっと思っていたんですが……カナタが意図的に煽ってたのね……。

他の生徒たちと同じように一度はカナタに憧れて裏切られたミーナがE601小隊とカナタのやりとりを通してその真意に触れ、彼の意志を受け継いだミソラたちを護り、思いを託そうとする姿がとても良かった。いや本当に、ミーナのミストガンの代表ではなく、カナタ・エイジの教え子代表でいろという言葉がまさに今回の全体を表す言葉だったんじゃないかなと。そしてその通りにカナタの教えを背負ったミソラ達があぶなっかしいながらも手探りで事態の収拾に当たる展開が多かったのも印象的でした。それにしても隊長副隊長のWトップ体制となった新生E601小隊、思った以上にリコがミソラに振り回されていて微笑ましくなってしまう。普段はマイペースな問題児という印象が強いけど、実際のところめちゃくちゃ面倒見が良くて苦労人な一面もあるんですよね彼女。

ミーナやノエル、そして新たな力に目覚めたカナタの助力も受けつつ、《崩力》を使うリーゼリットと彼女により強化された大量の「敵」を抑えることに成功したE601小隊。大番狂わせによって大幅に候補が絞り込まれてしまったとはいえ参加チームのなかでは文句なしに「最弱」だった彼女達が自らの力で脅威を跳ね除け、空戦武踏祭の次の戦いへの切符を掴み取る展開がとても良かったです。というか生き残ったチームの内で《ベベル》と《コウライ》は普通に襲撃の被害を受けてないし、《ファルシオン》はノエル以外のメンツが早々に離脱してしまっているのでリーゼリットに対抗出来たのって実質E601小隊だけなんですよね。大きな成長を遂げたミソラ達の次の戦いがとても気になるところなのですが、一方でカナタは教皇派と人形魔甲蟲派に自分を巡っての話し合いをさせるように持ちかけていて……!?色々な意味で先が読めなさすぎる展開で、続きがどうなるのかとても楽しみです。

それにしても要旨かいつまんで説明するといい感じに言及する隙のない、パシリバーくんの絶妙な存在感よ……いや、普通に良いキャラなんですが……。

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空戦魔導士候補生の教官8

 

カナタの呪力が姿を現す! そして行われるのは……殺し合い!?
《ベベル》第一人工空島地下都市へ運ばれたカナタは、呪力の本来の持ち主エミリー・ウィットベルンと出逢う。そして――「エミリー・ウィットベルンを殺さなければ、貴方は死ぬことになります」と告げられて――!?

ミソラを庇って重症を負い、更に呪力を暴走させ《狂乱》状態になってしまったカナタ。治療のため《ベベル》第一人工空島地下都市に運ばれ……そこでベベルの教皇アンネローゼと自身の身に宿る呪力が形を取った女性・エミリーに出会う。呪力の暴走を抑えるために3日以内にエミリーを殺さなければいけないと言われるが、カナタはエミリー自身に興味を持ち……!?

色々な問題が解決するパワーアップ回!(ただし展開はますます不穏)

教え子達と別行動となったカナタが一時「教官」をお休みして持て余し気味だった自身の《呪力》と向き合うお話。6巻に引き続きメチャクチャ面白かった……!!1巻からずっと持ち続けてきた自身の問題を克服するパワーアップ回でした。

教官としてのカナタは一旦お休み……と言いながらも、やっていたことは瀕死だったカナタの命を繋ぎ止めて呪力を託した女性・エミリーと向き合い、生きるのを諦めかけていたその本当の望みを気づかせ/暴くという展開で、序盤はほぼほぼいつもミソラ達に課してる「特訓」と同じ流れなんだよなあ。そもそも幼馴染のクロエや特務小隊の後輩・ユーリも彼がきっかけで大きな成長を果たすことが出来たみたいな話がありましたし、もう根本的に生き様がこうなんだろうなと。その割に言葉が足りないのは毎度どうしたものかなんですが!

どう足掻いても3日の生命しか保証されていないエミリーに自身が本当はもっと生きたいと思っているという望みを自覚させるのは残酷とも言えるのでは……と思ったけれど、そこからお互いに全力でぶつかりあうことで両方が存続できる未来を模索していく展開はアツかったです。ただ、今回は結果的に最高の形でことが運んだけれども、生命を救われた相手だからといって彼女の望みのためであれば生命をいともたやすく投げ出してしまえるカナタの精神性にはこれまでとは違った形で危うさを感じてしまいました。これから戦いの規模もますます大きくなっていきそうだし、どうなっていくのか楽しみな一方でめちゃくちゃ不安になる顛末でもあった。

呪力を宿したことで発生していた魔力枯渇の問題を遂に解決し、人間の魔力でも魔甲蟲の呪力でもない《冥力》、そして魔力と冥力の先にある《絶力》──他の誰も持ち得ない絶大な力を獲得したカナタ。覚醒したカナタが前巻で苦しめられたエリスを相手に無双する展開は大変に胸躍る展開だったのですが、敵側もそのカナタの戦闘力を遥かに凌駕する強敵を用意してお待ちしてるの一筋縄ではいかなさすぎる。都市を大きく巻き込みながらの戦いもカナタとしては本意ではないでしょうし、色々な意味でただパワーアップして大勝利では終わらない展開が印象的でした。というか今回力を課してくれたアンネローゼ教皇の一派も味方とは言いづらいし、人類最高の能力を獲得してしまったということはカナタを巡る争いも今後は更に激化していくだろうと考えるとむしろ不穏しかないんだよな。絶力を使う代償の話も……というか先の巻のあらすじがしれっとネタバレしていくのは如何なものか!!!(今巻読んでて感じた不安的中してるじゃん!なんでだよォ!!)

人の身として最高と呼ばれる絶大な力を手に入れ、それでも世界を救う勇者ではなく落ちこぼれ小隊の教官として元の居場所に戻っていくカナタの姿が大変に良かったです。色々横道に逸れた感じはあったけど次巻こそは舞台を「空戦武踏祭」に戻していくようで、こちらの展開もどうなっているのか。もう色々不穏しかないけど続きが楽しみ!

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空戦魔導士候補生の教官7

 

≪ミストガン≫に巨怪鳥(ガルダ)、現る!?
≪ミストガン≫空域に巨怪鳥(ガルダ)が接近。いまだ謎に包まれた生態のため、急遽捜索を開始するS128特務小隊。一方、生き物係に任命されたレクティは、鶏小屋でやけに身体の大きなヒヨコを保護していて――?

ユーリは悩んでいた。交流学校への参加を通してE601小隊の面々と仲良くなった……と思っていたのに交流学校から帰って来てからミソラ達がなんだかよそよそしいのだ。不安のあまり、放課後の彼女達に密着して原因を探ろうとするが……!?

ミストガンでの日常を描く短編集(このタイミングで!?)

E601小隊とカナタのミストガンでの日常を描いた、ドラマガに掲載されていた短編をまとめて描き下ろしを追加した形の短編集。ファンタジア文庫なので短編あるよな……というのは思ってたんですがこのタイミングで!?いや、まあ刊行順は大人の事情とかもあるとおもうので仕方ないんですけど前巻がミストガンを離れて新展開、めちゃくちゃ気になる所で次巻に続く!!してたもんだから正直出鼻を挫かれるというかタイミング悪!!!というか、7巻と6巻の順番逆にしろ!!!みたいな気持ちは凄いあります。大人の事情だから仕方ないけど……あと別シリーズ建ても小数点表記にもなってない本編ナンバリングに堂々と挿入されるタイプの短編集メチャクチャ久しぶりに当たってびっくりした。

内容としてはユーリの歓迎会をサプライズで開こうとしてミソラ達がこっそり準備していたらユーリが自分が嫌われているのでは!?と誤解してしまう「疑惑のコンプレックスチェーン」、レクティがヒヨコだとおもって怪鳥のヒナを育ててしまう「愛情のペットキーパー」、ミソラの実家の喫茶店の閉店の危機を救うためE601小隊が奮闘する「協創のホスティリティ」、ブレアがカナタにお菓子を作ろうとするが失敗してしまう「愛情のパティシエール」、反省文を書きたくないリコがサバゲーで後方支援科の女王様になる「女王へのロイヤリティー」、そしてとある事情で金欠状態なクロエとE601小隊の面々が学内全体合コンイベントでカナタとのパートナー権を賭けて争う「大迷惑のサードパーティ」という各ヒロインに焦点を宛てた6編。どのお話もメインとなるヒロインが可愛くて、良かった。

少しこの手の日常短編のテンプレにはまりすぎている感じというか、やや展開が透けてみえすぎる感じもあったんですが、この実家のような安定感のある展開と的確に各ヒロインの可愛さを見せてくる展開は本編の怒涛の展開の中で良い息抜き巻になっていて良かったと思います。いやでもやっぱこれ「5.5」とかで読みたい話だったんだよな内容的には。あとリコの話は同じレーベル人気作で恐らく同じ作品オマージュで有名な話があるので、どうしてもあちらと出来を比較してしまう……(ここぞとばかりにクソデカ文字と勢いで押し切る展開は結構好きだけど)。

描き下ろしの学内合コンイベントの話の、クロエとカナタの気のおけない距離感がめちゃくちゃ好きでした。カナタガチ勢のユーリ&ミソラや押しかけ妻のブレアが恋心の空回りする中で横から優勝をさらっていくクロエさんの本妻感、お互いの距離が近すぎて恋愛とも家族とも言い難い複雑でもどかしい言葉にできない関係性が垣間見えてとても良かった。あと、ユーリのサプライズパーティの話でユーリが「ひょっとしてユーリ菌伝染ると思われてる!?」の方向に行き着いてしまうのが微笑ましすぎ頭小学生すぎて好き。年上ばかりの特務小隊でずっと最年少してて同学年・後輩達の交流が薄めだった弊害なんだろうけど水着回といいユールパイセンの精神の幼さが凄い。

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空戦魔導士候補生の教官6

 

浮遊都市の最強空士たち――≪ベベル≫に集結! 空戦武踏祭代表の切符を手にしたE601小隊。他の代表小隊の強さに圧倒されつつも、ミソラたちはカナタを救うために≪ベベル≫でそれぞれ動き出す。しかし、それがE601小隊を思わぬ方向に進ませてしまい……?

空戦武踏祭のミストガン代表としてベベルにやってきたE601小隊の面々とカナタ。各都市代表の小隊の様子に気後れするミソラたちに、カナタは「自分の目標とするべき最強の存在」について考えるという課題を出す。一方、ベベルでは都市の重要人物が次々と行方不明になる事件、そして《崩力》を操ることができるカナタを巡った争いが起きていて……!?

「最強」とは……教え子達とカナタ自身の成長がアツかった!

めちゃくちゃ面白かった……!!あとがきでは「第二部開幕」と銘打たれていましたがむしろ個人的には第一部クライマックスとも言うべき内容で、これまでカナタが教官として教えてきたことの集大成としての教え子達の成長、そしてカナタ自身の内面と成長に焦点を宛てた物語でありました。本当の「最強」とは何か、カナタとE601小隊の激突、そして、そして……激動の展開の中で世界の真実の一端が垣間見えるお話で、めちゃくちゃ楽しかった!

これまであまり描かれてこなくて内面の見えづらかったカナタの本当の気持ちが本当に印象的で。空戦武踏祭に参戦した強者達に胸を躍らせ、教え子達に連れてきて貰えた喜びと同時に湧き上がる「自分自身の手で舞踏祭に出場したかった」という本音。一線を退いたことに本当に喰いはないのか?というライバルの少女からの問い。その一方でいよいよ魔力は枯渇して……ままならない身体にもどかしい気持ちがないわけはなく、それでも今できる精一杯をしようとミソラ達に自分のすべてを受け継がせようとする悲壮な思いが胸に痛かった。もうほんとうに前巻から、カナタに残された時間が少ないことを示唆する展開とそれを自身も自覚しているような描写が頻繁に登場してきて、まるで生前整理のような行動の数々がとにかくしんどい。

そんなところから、カナタ自身がE601小隊の「敵」として立ちふさがる展開がとても良かった。魔力を失いかつての戦い方が出来ず弱体化しているはずなのに、教え子5人を相手取り一切見劣りしないその気迫が凄すぎるし、自身の弱さをさらけ出すことで教え子達に本当の「最強」の意味を教えようとする展開がめちゃくちゃアツかった……そしてそのカナタからの思いに、大きく成長したミソラ達が彼の予想を超える形で応えてくれるクライマックスが最高に良かった!良かったけど……良かったけどマジで大変なことになってきたな!?

いよいよ空戦武踏祭も本番。大きく成長した一方でカナタ不在のまま戦うことになるE601小隊はどのような活躍を見せるのか、遂に姿を表した魔甲蟲の変異種を操る謎の敵、そして戦いの中で致命的なダメージを負ったカナタは思わぬ人物と対面することになり……とにかく色々な意味で続きを読むのが楽しみでなりません。

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空戦魔導士候補生の教官5

 

≪ベベル≫への切符を賭け、ベテラン小隊陣に挑む!
『≪ベベル≫にて空戦舞踏祭開催』――その通達で、急遽≪ミストガン≫代表小隊を決める学内選抜戦が行われることになった。格下Fランク小隊も選抜戦に参加を表明。するとクロエが教官補佐を名乗り出て――?

浮遊都市において絶大な権力を誇る教皇浮遊都市《ベベル》にて、数年ぶりに学園浮遊都市の最強を決める「空戦舞踏祭」が開催されることとなり、ミストガンでも代表選手を決めるための学内選抜戦が開かれることに。ミソラ達も選抜に参加するが、格上の小隊相手に負け続き。カナタは格上の小隊に勝つための秘策を授けようと新たなる特訓を開始するが、カナタの幼馴染で特務小隊のリーダーでもあるクロエがなぜか期間限定の教官補佐に名乗り出て!?一方、《ベベル》の研究者・エリスは前回の任務の際に現れた魔甲虫の変異種を撃破した人物に興味を示して……。

きな臭いを通り越して不穏になってきたぞコレ!?

久しぶりの特訓回でワヤワヤするE601小隊が微笑ましかったんですが、キナ臭いとか通り越してもうめちゃくちゃ不穏なフラグ立てまくって来たんですけど!?空戦魔導士科長であるフロンや特務小隊の前で崩力を使ってしまったカナタ、その存在を巡って繰り広げられる学園上層部や《ベベル》をも巻き込んだ駆け引きが不穏すぎるし、もうこんな平和な学園生活は戻ってこないよと言わんばかりの「時間がない」アピールが不吉すぎる。正気のまま崩力を操るカナタがイレギュラーみたいな話はたしかに2巻くらいで軽く匂わされていましたが、予想以上に大事っぽいぞコレ……。

エリスが魔甲蟲側の存在であるというフリは前巻であったけど、学園統括長・クリスもカナタに同情的であるとはいえ彼女側の人間のようで……クリスが学園統括になっているのが《ベベル》の意向であること、前巻での危険すぎる捜索指令なども踏まえて普通に本国?である《ベベル》が怪しすぎるんだだよな。世界創生の真実を求めて《ベベル》を目指すという流れ、完全に敵の懐に飛び込むと同義な気がして不安しかない。でも、今回明らかになった事実や(思った以上に魔力を使った戦いができなくなっている)カナタの様子を見ていると、このままミストガンに居ても何も解決しないというのも事実なわけで。

ひたすら不穏な空気が流れる中、呪力を得たせいで本来の魔力を失いつつあるカナタを助けるために空戦舞踏祭の学園代表を目指すミソラ達。しかし、格上だらけの学内選抜戦にまったく歯が立たず……例によってカナタ考案の一見トンデモ特訓を受けることに。例によってリコ&ユーリが早抜けして、次にレクティ&ブレアが共に特訓の意図を掴んで、ミソラだけが残される……という流れなんだけど、これまでと少しだけ違う流れになっているのが印象的でした。これまでの戦いを経て小隊内での実力不足を感じたミソラがわざと特訓をクリアせず、学園最強の少女でありカナタの幼馴染でもある少女・クロエをも巻き込んで必死に努力を重ねていく姿がとても良かった。それにしてもカナタ教官やっぱり美少女をコスプレさせるのお好きですよねえ!!

遥か上をいく……ともすればそのまま手の届かぬところに行ってしまいそうなカナタの背中を追いかけるのではなくその横に並び立とうと懸命に努力するミソラの姿がなんとも頼もしく、その一方で自覚しはじめたカナタへの恋心に七転八倒する姿が大変微笑ましかったです。これまでよりも一層強い想いによって結束したE601小隊とAランク最強・A177小隊との対決、そしてそこから立て続けに描かれる魔甲蟲の変異型の襲撃……そしてクロエとミソラの直接対決……どの戦いもメチャクチャにアツかった!

カナタを巡る学園上層部での不穏な動き、カナタとクロエの幼馴染関係、そしてミソラの空士としての成長……と様々な動きのあった巻でしたが、ミソラやクロエだけでなく小隊メンバーそれぞれから形の違うカナタへの強い想いを感じることが出来て、次巻から始まるだろう《ベベル》を舞台にした新展開が楽しみになる一冊でした。いやほんとにこの明日をも知れない不穏っぷりはめちゃくちゃ続きが楽しみになっちゃうタイプの不穏なんだよなあ……楽しみです!!

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空戦魔導士候補生の教官4

 

E601小隊、分裂の危機!?
ブレア加入で戦力の増したE601小隊。ランキング戦初勝利に燃えるミソラ達だが、珍しくリコがミスを連発。気まずい空気が……。一方、クロエら特務小隊には教皇浮遊都市《ベベル》から特A級の指令がくだり――?

特務小隊のユーリに続いてレクティの姉弟子であるブレアを新たに加えたE601小隊。今度こそランキング戦で初勝利を掴むため努力を続けていくが、正確な射撃が得意のはずのリコが何故かミスを連発して、気まずい空気に。しかも、そのタイミングでリコにCランク小隊から引き抜きの話が持ち上がって……。一方カナタやユーリの所属している特務小隊には、異常な回復能力をもつ変異種の支配下にある空域で行方不明になった飛行艇を創作してほしいという以来が舞い込む。その任務に《千里眼》をもつリコが同行することになり……。

普段と打って変わって余裕のないリコの姿が印象的だった

前巻のレクティに引き続き、今回はリコに焦点を宛てたお話。リコが自身を「女神」と呼ぶ理由、姉であり空戦魔導士科長であるフロンとの姉妹関係……偏屈なキャラクターの内に隠された年頃の少女らしい一面が凄く良かった!

色々な意味で謎だったリコが自分のことを「女神」と呼ぶ理由。完璧と称された姉に少しでも近づくための精一杯の背伸び行為であったことが明かされてその時点でもう可愛いなあとなってしまったんですが、優秀な姉と比較されすぎて偏屈になってしまった上、概ね天才肌なので親身になって寄り添ってくれる友達も出来ず……という流れで最終的に深層心理の部分で根本的に仲間を信頼できなくなってしまったという経緯にはなんとも複雑な思いを感じてしまいました。ミソラやレクティに心を開きかけていた矢先に自分自身も無自覚だった深層心理を自覚してしまって、更にその「無様」な姿を姉に見られてしまって……普段の余裕のあるマイペースな姿からは想像も出来ないような、年相応の少女のように余裕のないリコの姿が印象的。

更にそんなリコの姿を見て、彼女を今の小隊に引き止めておくことが本当に彼女のためなのかと思い悩んでしまうミソラ。直情的な彼女だからこその空回りとすれ違いが胸に痛かったですし、そんな彼女がレクティやブレアの言葉も踏まえて改めてリコと本音をぶつけ合う姿がとても良かった。ミソラとはまた別の角度でまったく腹芸が出来ず空気も読めないブレアの加入が素直になれないミソラやリコに対してめちゃくちゃ良い方向に作用してるよな。なんだかんだで元の鞘に収まって……というかこれまで以上に強い絆で結ばれ直したE601小隊の姿にニヤリとしました。

なんだかんだで妹に素直になれないフロンの本音も聞けたし、色々な意味で目の敵にされていたE601小隊に対する様々な誤解も解けた感じで、前巻の交流戦をきっかけに小隊自身の評価も上がり始めて、もうあとはランキング戦で初勝利を収めるだけですねというかまだ全敗中だったんだなあこの子達は!!!(ユーリ率いるBランク小隊との対決だけでもランク戦に加えてあげてほしい……)という感じなんですが、その一方で連携を取り成長する魔甲蟲の変異種の登場やその裏に潜む黒幕の気配、そしてミストガンに救助された謎の少女の正体は……という展開で、世界観的な意味でも次巻どうなってしまうのか気になりすぎる。小隊メンバーの掘り下げも終わった感じだし、いよいよ次巻は物語が本格的に動き出すのか?とても楽しみです。

それにしても1巻2巻くらいは誤字脱字の件があったのもそうだけど全体的に文意がとりづらいというか文章読みにくいと感じることが多くて苦戦しながら読んでいたんですけど、3巻4巻でストーリーも面白くなってきたし、文章的にも俄然読みやすくなった感じがする。右肩上がりに面白くなってる……。

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