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線形拘束のフェノグラム#2


紅莉栖、鈴羽、天王寺、フェイリス、ルカ子ルートクリア。
続き

黄昏色のソーテール

あらまし:助手視点。2010年8月、α世界線(こちらも鈴羽ルート前)。声を掛けるタイミングを逸したばかりに、タイムリープの繰り返しによって廃人状態になった岡部。フェイリスの実家に一時的に岡部を運び込むが、事態の解決策が見出せずまゆりは死んでしまう。絶望する彼女の光明となったのは、長い事確執のあった父親だったという話。

なんだこの父世代萌えシナリオ。
牧瀬父とフェイリス父の薄い本ください!!!!ください!!!

 本編では一貫して「悪」として描かれてきた牧瀬父。ドラマCDαでは少しだけその素顔を覗かせるのですが、このエピソードはそんな牧瀬父のツンデレっぷりが炸裂する大変な父萌えシナリオ。どうしよう助手のツンデレ父親譲りだった!!!父の方がこじらせてた!!!

 そしてそんな牧瀬父を言葉巧みに誘導して父娘の和解まで取り付けてしまう秋葉父の有能ぶりがどういうことなのすぎる。秋葉父はブラウンルートも含めてとても攻だとおもいます。良い意味で「悪い大人」なんだよねえ、あの人。

 序盤の廃人寸前の岡部とのやりあいからどんどん光明が見えてくる後半は本当に良い物語だけど、しかし同時にβ世界線や、彼女達がやがてたどり着く世界線での父子の結末を知っているとなんか本当に物悲しいものがある。上手い事日本に戻ってきて岡部に無理矢理仲取り持たれて父娘復縁、みたいな未来になったら最高だけどなあ。

幽霊障害のランデヴー
あらまし:鈴羽視点。2010年8月、α世界線。鈴羽の前に、β世界線とω世界線の鈴羽が現れる。父を捜しながらタイムマシンの修理をβ鈴羽とダルに頼むが、父の顔を知らない鈴羽と違い他2人の鈴羽が父を知っていたお陰で予想外に早く父親の正体を知ることが出来て…。

 2人の「幽霊」のせいで違う経緯を辿った本編鈴羽ルート。父親の正体が分かるのが本編よりも早いお陰でちょっと橋田父娘の甘酸っぱい展開があったり、長年彼女が仇敵と思ってきた紅莉栖との和解があったり。

 最初の絵面を見たときはネタか!?と思ったけど橋田父娘とα世界線の未来を紐解く、どこかほの暖かくなるシナリオでした。…うんいやでも、ベースが本編のアナザー鈴羽ルートってことはここでも…とか無限サイクリングとか思い出しちゃいけない多分。エピローグのω鈴羽には思わずホロリ。

雨鈴鈴曲のスクレイパー
あらまし:ブラウン視点。2011~2012年、ω世界線。宝くじをあて大金を手に入れた天王寺はビルの改装を決意。最近なんだか寂しそうな綯の心の隙間を埋めようとするが上手くいかないどころか、ラボメン達の間にまで不和が生じてしまう。岡部の提案で何度もDメールを送るが、綯の「足りない」ものとは、あまりに思わぬもので…それを知った岡部はブラウンにひとつのアドバイスをする。

 あまりにもあんまりなブラウンのビル改装が酷すぎて、ギャグシナリオだとおもったら最後で一気に泣かせにきたよ!!!順番でやると鈴羽ルートの後にこれをやることになるのが地味に酷いと思う。色々な意味で他世界線とは隔絶しているようにみえるω世界線が、やはり他の世界線と通じているのだという事を実感させられる。あと、このシナリオでも実感したけど秋葉父まじド攻め。

 しかし正直、このシナリオは最後の一枚絵のためにあるといっても過言ではないくらいでもう!もう!!色々な意味で感慨深すぎますロボノ綯さーーーん!!!

桃色幻都のシャ・ノワール
あらまし:フェイリス視点。2010年夏、ω世界線。秋葉原を騒がす都市伝説の噂の元凶を突き止めようとするフェイリスは、鈴羽とコンビを組んで覆面ヒロイン「怪盗シャノアール」を名乗る事に。シャノアールで居ると、普段押さえつけている感情が制御できない事、特に「嘘をつく」相手への怒りと不信感が高まり普段は取らないような行動を取ってしまう事を不思議を憶えるがその開放感と何より鈴羽と親しくなれたのが楽しくて仕方ないフェイリス。しかし、鈴羽が秋葉原の街を去ると聞かされて…。

 女子の友情物語だった…。「フェイリス・ニャンニャン」ではない「秋葉留美穂」としての彼女の視点からのモノローグが新鮮。岡部やダルのことを名字+さんで読んでいたり、内心でトンデモ設定には懐疑的な反応をしたり…と、思っていた以上に普通の少女らしい。

 しかし、鈴羽との友情物語も凄く良かったけど、このシナリオのブラウンの破壊力がやばいとおもいます。時に憎まれ役となり、時に若い彼らの背中を押し、そして暖かく見守る姿に思わずホロリとなる。

 そしてまさかの橋田鈴生存ルートだよ!!!牧瀬父娘和解ルートと同じくらい無いと思ってた。エピローグの途中でなんとなく察しがついたけど、本当にニヤニヤがとまらなすぎる。

 しかし、これがω世界線というのが心底不思議なんだけど一体これどういう流れになってるんだ…だーりんやフェノグラムに登場する他のω世界線の鈴羽は、フェノグラム鈴羽ルートのω鈴羽とほぼ同じ存在に見えたけど。

 明言はされていないけど恐らく未来に戻れないタイムマシン、父親を知らない発言など鈴羽の来歴自体は完全にα世界線のもののように思えるんだけど…うーん、本当にどういう分岐をしたんだろうか。限りなくα世界線に近いω世界線、ってことなのか。

迷宮錯綜のヘルマフロディトス
あらまし:ルカ子視点、2010年8月α線/ルカ子個別ルート後。男に戻りたくないばかりに、まゆりを見殺しにしたルカ子は罪の意識に苛まれる。せめてもの思い出作りに思い、タイムリープマシンでまゆりが死ぬ当日まで戻り、コミマでコスプレをさせたいというまゆりの願望を叶えてあげる。だが、まゆりはとても楽しそうだったのに、やはり同じ時間に突然息を引き取ってしまうのだった。本編個別エンドに入りかけちゃったルカ子が、個別エンドにたどり着く前に覚悟を決めてギリギリのところで岡部を引き返させるお話。

 シュタゲ本編ルカ子ルートのトゥルーエンド的なイメージ。発売前のインタビューで「一番重い」っていわれてたけどそんなことより本編のルカ子ED全力で否定されすぎ噴いた。いやたしかにあのEDは一番モヤモヤしましたけど!!

 特殊な状況だったから、事情をよく知らないんだから仕方ないとはいえ、あれだけのタイムリープを繰り返して磨り減った岡部に向かって「もう一度頑張れ」と言ってしまうルカ子と、岡部が苦渋の決断をしたというのに「やっぱ辛すぎるから男に戻して」というルカ子と、そういってるのに対し「誰も傷つけたくない」とか言う岡部のやりとりがあまりにもディスコミュニケーションで物凄くイライラしたんだけど、本編で割と状況に流されてる感の強かったルカ子が自分の意思でタイムリープを選択し、まゆりの死を目の当たりにし、まゆりを見捨てた事で傷つく岡部を目の当たりにして改めて自ら男に戻る選択をしようと決意する流れはとてもアツかったです。

 しかし、そこかしこで本編のルカ子EDに対し「ないわー」って言うシナリオの流れにびっくりする。あれは本当の意味で作中唯一の「バッドエンド」だよなあとも思う。唯一岡部が志し半ばで諦めるルートだしな……あれだけどん底に叩き落された岡部とルカ子が2人とも笑っているあのエンディングってほんとどんな紆余曲折を経ればたどり着けるんだろうな…。正直なところあのEDの時点で岡部にルカ子への恋愛感情があるとは思えないし、フェノグラムのこの話を読む限り橋田にも許してもらえるとは思えない。ルカ子はほぼどん底の状態から岡部やその他の人との関係を再構築していかなければいけないはずなんです。

 ひとつだけ不思議だったのはルカ子が「タイムリープ」した場合の岡部の記憶の保持についてかなあ。ルカ子がタイムリープした時間で岡部の記憶がルカ子がタイムリープしなかった場合の世界線の記憶に書き換えられるという現象が起きるんですよね。多分これ、岡部側からすると微弱な世界線変動ながら一種Dメールを使った状態になってる気がするんだけど、あれ、タイムリープってそういう現象だっけ……?

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