[著]田口 仙年堂 [絵]高階 聖人 赤目隊の作戦が功を奏し、なんとかホラキア軍を退けたジルサニア王国。捕虜となったジュジュの幼なじみにしてホラキア国王子・ベンヤミンの口からもたらされたのは、ミロクの生まれ故郷でもあるオウガンの魔導士がホラキアを陰から操っていたという情報だった。講和条約と姫の講演を行うため、急遽ホラキアに向かう赤目隊の面々だが… |
ジルサニアの王女ジュジュ、ホラキアの王子ベンヤミン、オウガンの皇子であるミロクとシェンラン。肩書きは同じでもそれぞれ違う立ち位置にいる4人が様々な思いをもって自らの国を思い、憂い、互いの護りたい者ため相対していく姿が印象的。たとえそれが未熟な想いでも誤った道であっても、誰も彼もが自分の国やそこにいきる人々のために一生懸命で、その姿が清々しく映る。特に、ヘタレヘタレと思っていたベンヤミンの成長っぷりには驚かされました。ラストのベンヤミンの演説はマジかっこよすぎる。
なし崩しに祖国と対立することになってからはじめて祖国とジルサニアのどちらを取るかで葛藤するミロクは残り3人の王子・王女達の姿と比較するとあまりにも考えなしだなあ、と思うわけですが(もちろんオウガンがジルサニアを攻める可能性自体が元々低かったというのもあるんだろうけど)、迷いを振り切って『どちらも救う』という第三の選択を選び、かつての友と相対する姿の凛々しさといったらない。っていうか名乗り合いのシーンがかっこよすぎなんですけど!!!うわあああミロクかっこいいよミロク!!!(ゴロゴロゴロ)
しかし、シェンランはカラー絵からしてふつうに女の子にしか見えないなあ…どうせならもうちょっと性別不詳系美形キャラっぽく描いてほしかった気が……挿し絵だとふつうにかわいい女の子なので、文章から受けるキャライメージとのギャップに時々戸惑いました。むしろふつうにシェンラン男でもいいじゃない……確かに「お兄ちゃん」の破壊力は妹萌え属性ない私ですらグラっとくるほどやばかったですが!いやでも、シェンラン×ミロクでもいいじゃない……(いろいろだいなし)
まだまだいろいろな部分で未熟なミロクと、とにかく肝心な所で言葉の足りないジュジュを暖かく見守る赤目隊とジルサニア王家の人々のアットホームな雰囲気も前巻から引き続き最高です。というかフェリサ最高です。あの外見のクールさと、口の悪さ及び中身のえげつなさが醸し出す壮絶なギャップが最高すぎます!!もっとフェリサ目立てばいい…むしろ彼女主役のスピンオフ短編とか超みたい……フェリサかわいいよフェリサ…!!
次巻はいよいよオウガンとジルサニアとの対立が本格化しそうな感じ。というか●●…だと…。物語がどの方向に転がっていくのか、とても楽しみです。