うららの記事一覧 | 今日もだらだら、読書日記。

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孤高の電波美少女と恋で繋がったらギガ重い

 
MAIRO

彼女の“おもい”を受信できるのは、俺ひとり。
「私、世界を救わないといけないから」 そんな妄言を言う彼女に、楠木将臣は告白をした。もちろん、罰ゲームに決まっていた。なのに、その嘘は受け入れられてしまったんだ。 “精神界”の“救世者”と電波な妄想を垂れ流し、周囲から孤立していた美少女、貴家雲雀。そんな彼女と付き合うことになったわけだけど、噂と違って普通に会話できるし、なんなら素直に甘えて来るし……。あれ、普通に可愛くない? 気づいたら本気になっていた将臣だったが、彼女のことを知るたびに、その妄想は「現実」だと分かって――。 「――ねえ、将臣くんは私の“世界”、信じてくれる?」 嘘から始まった想いが本当に変わっていく、ちょっぴり電波な恋物語。

友達との罰ゲームで、発言が「電波」なせいで敬遠されている美少女・貴家雲雀に告白することになってしまった楠木将臣。どうせ成功しないだろう……と思っていたのにOKを貰ってしまった!?噂通り電波ゆんゆんな彼女だが、付き合ってみたら自分の前だけで特別な顔を見せてくれるようになって……あれ結構普通に可愛いかも……?

こんな主人公にヒロインが惚れないわけないだろ!!!(何度でも言う)

自称異能力者の少女と「普通」に憧れる少年を中心にして繰り広げられる物語。懐かしのセカイ系や現代学園異能バトルの気配を感じる前半、一転して世界の本当の姿が明かされていく後半……色々と懐かしくて新しい物語が良かった!

とにかく電波ゆんゆんしているヒロインの語る「世界観」を理解はできないてもひとつも否定せず、等身大の少女として共にあろうとしてくれる主人公の姿があまりにも好感度高かった。異界の存在を頭から信じるわけでもバカにするのでもなく「俺が知らないだけでそういう世界もあるのかもしれない」と考えてくれるのあまりにも凄い。こんなん惚れないわけがないやろ……。

時に電波な世界観を語ったり主人公の感知できないところで異能バトルしたり、時には普通の高校生男女のようにイチャイチャしながら徐々に関係を深めていく姿が印象的でした。理解してくれるわけがないと考えていたのに普通に受け入れてくれた主人公にときめいてしまい、年齢相応の少女としての一面を見せてしまい、それを普通に受け入れてくれてまっすぐに好意を返してくれる主人公に更にときめいてしまい……の繰り返しがとにかくくすぐったい。いやこんなん惚れないわけがないやろ……。

いやもう本当に、昔ながらの現代学園異能やセカイ系の空気感を出しながらもとにかく主人公に対してこんなん惚れないわけないだろ!!!という気持ちになってしまうの、良い意味で令和のセカイ系だった。翻弄されるわけでも否定するわけでもない、主人公の好感度が高すぎる。

ヒロインを救うために「普通」すら踏み外す主人公が良かった(こんなんヒロインが惚れないわけないだろ)

物語は異能バトルすら踏み台にして主人公カップルの蜜月が続いていく前半から、少しずつ彼女の語るセカイについての真実が明かされる後半に。急展開と言うよりも少しずつおかしくなっていく物語がしんどかったです。

もう完全に両想いになっているはずなのに告白のきっかけが「罰ゲーム」だったことを知られてしまってギクシャクしたり、彼女の語る異界がただの妄想ではないことが明かされて……ちょっとしたすれ違いのはずが修復できるかわからないところまで悪化してしまって。

でも、消えてしまいそうなヒロインを助けに行くのはやっぱり主人公の役目で──しっかりと彼女の手を掴んで、現実に掴み上げる姿に胸が熱くなりました。いや本当に良かった……最初から最後までこんなん(ヒロインが)惚れないわけないだろ以上のコメントが出来ないくらい良い主人公だった。

主人公の悪友が大変に良かった(語彙力消失)

私は主人公を手のひらの上で転がしつつ時には利用しつつそのひたむきな姿に憧れずに居られない、頭が良いばかりに損ばかりしていて主人公に激重感情を持っている主人公の悪友とかいう概念が大好きなわけなのですが、本当にこの物語の主人公の悪友がそういう感じで……自分の大切なものを守るために主人公を利用しようとして、お互いの譲れないもののために殴り合って……最高じゃないですか……ああ……。

いや本当にこの二人の関係性もとにかく好きなんですけど、あと個人的に地味に気になるのは彼らのもうひとりの親友・かすかのことなんですけど。彼女の台詞のフォントまわりの話ってなんか説明あった……?な、なかったよね……?この辺、今後への伏線なのかなんなのかとても気になる。異界がある世界だし、実はテレパシーで喋ってるとかそういう設定でもおかしくはない気がするんですけど……。


だって、私はフリーダム! 魔工士フェイ、古代文明に挑みます

 

剣の天才少女、帰還――その手に機関銃を携えて!?
『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』の羊太郎が放つ、考古学ロマン×バトルアクション、開幕!

フェイ=リオンハート。17歳。 由緒正しき武家に生まれた剣の天才少女が、最強剣士を目指す武者修行の旅から帰還――なぜか、その手に魔導機銃を携えて。 「ぶっちゃけ、剣より銃の方が強いですよね?」 いつの間にか剣を捨てて古代技術に傾倒し、研究バカなトリガーハッピーと化していたフェイ。当然オブ当然、家を勘当され、路頭に迷うことに。 「だったら、このまま古代技術を極めてみるかぁ!!」 だが、勘当されども自重せず――フェイは持ち前のフリーダムさで古代文明の謎に挑む! 今日も遺跡に鳴り響くは銃声と爆音、仲間たちの怒号と悲鳴。 自由すぎる考古学バトルファンタジー、ここに爆誕!

剣の名門リオンハート家に生まれた天才少女・フェイ。武者修行から帰還した彼女は──なぜか古代技術にドハマりし、魔導機銃のトリコになっていた!!父親に銃を向けて発砲し当然のごとく実家を勘当された彼女は憧れた魔工士になるため、知識欲を満たすため、そして日銭を稼ぐため!?SSS級の古代遺跡が眠る街・アーカムへとやってきて……。

超強い女の子が我が道を突っ走る姿がとにかく楽しい!

はちゃめちゃに強い女の子の主人公がこれからは剣じゃなくて銃だ!!と思い立ち、古代技術を求めて古代遺跡探索に挑む物語。色んな意味で常識にとらわれず我が道を突っ走る主人公・フェイが大暴走する姿がとにかく爽快で気持ちよかった!ちょっと方向性違いますが、少し(?)昔の女性主人公が一人旅する系のファンタジーラノベを思い出しつつも、イマドキな要素も詰め込んで古臭くなってない感じの物語。

冒険者ライセンスが発行されないからって他のパーティーについて無理やりダンジョン内に侵入しようとしたり、遺跡で発見した古代遺産の少女を報告せずに研究しようとしたり……と時には無茶な行動も色々とあったのですが、基本的に道理に合わないことはしないし、性根が善良なことが伝わってくるのでニクめない主人公・フェイのキャラクターがとにかく良かった。彼女を騙そうとした冒険者をそうと気づかないままこてんぱんにやっつけてしまい、それでもなお「ダンジョン内に入るのに協力してくれた親切な人」扱いなのとか笑ってしまう。世間知らずで常識がなくてクソ強いだけで、いい娘なんだよなあ。

何より魔物に襲われていた冒険者を助けて面倒を見てあげたり、研究対象だといいながらも古代遺産の少女を助けるために奮闘したり……とその強さを善いことのために使っているのに好感持てる。自然にノブレス・オブリージュを理解していると言うか……色々と無茶苦茶なんだけどいい娘なんだよなあ……色々と無茶苦茶なんだけど……(2回目)

そして実力不足を魔工技術で補うのではなくて、むしろ最強な女の子が古代の魔工技術によって普通の人間では突破できないようなさらなる高みまでをも切り開いてしまう展開。別に銃なんか使わなくても主人公のフェイが笑えるくらいに強いんですが、冒険者ライセンスが発行されなかったり悪者に騙されそうになったりめちゃくちゃに強い敵がでてきたり……と彼女がちゃんと苦手とするような展開もあって、絶妙に主人公が無双するような展開にはなりきらないのも楽しいですね。強い女の子が大暴れする姿を何も難しいこと考えずに楽しめる物語でした。

ストーリー的には1巻でそれなりに綺麗にまとまってはいるもののいろんな匂わせを含めつつまだまだこれからだぞ!と思うような引きで。というかこれ絶対続巻で巨大ロボットバトル展開ご用意されてますよね……!?2巻の発売も決定したとのことで、楽しみだなぁ……!!


妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件2

 

コミカライズ企画進行中! ノーブレーキ配信コメディ第2弾!
VTuberの妹の配信に入り込んだ切り抜き動画ってやつが妙にバズり、その謝罪配信をしたのはよかったが、何故かそれから立ち絵が勝手に作られ、あれよあれよという間に公式の非公式ライバー「兄者」としてVTuber扱いされて数ヶ月。バカ(妹)、オタク、酒豪、魔王といったいつもの面子に新たにデビューしたライバーが加わった。ゲームしたり、晩酌配信したり、ドッキリを仕掛けたり……俺たち兄妹の日常は、まだまだこれからだ!

Vtuberをしている妹の配信にそうと知らずに映り込んだ切り抜き動画がバズり、実質Vtuber扱いされるようになってしまった「兄者」。妹の同期や先輩達となんだかんだ楽しくやっていたが、妹の所属するVtuber企業『プリズムシフト』にも新人が到来して……!?

テンポ良い会話劇だけでずっと面白いの凄いよなあ

面白かった〜。1巻読んでた時に気になって細かい部分(主にサブタイ前後の改行とかサブタイ前後の改行とか)が解消されて、テンポの良い会話劇だけが残った。そしてそれがずっと面白いので凄い。

前巻と比較して兄者のスタンスがはっきりしてきて、なんだかんだ言いつつもそれなりに現状を楽しんでると伝わってくるの良かった。1巻の時は良くも悪くもなんでこの人文句言いまくりながら金も貰わずに慈善事業でVtuberもどきやってるんだろう?というのが結構あって……なんだかんだで色々考えて意識的にこのスタンスをやってるんだと解ったの良かったです。そして、兄者自身の本音がちょっとだけでも見えてしまうと一連の兄者をデビューさせたいライバー達やリスナーとのやりとりがじゃれ合いにしか見えなくて一気に面白くなってくる。

妹である桜との家族だからこその容赦のない掛け合い、スミレ先輩との間に巻き起こる大人の鈍感ラブコメの空気、周囲でわちゃわちゃしている他女性ライバー達との絡みも良かったんですけど、個人的にはやはり夜斗との自然な男性同士の悪友感がとても良かった。変に重たくない、それこそ物語の外でも自然に集まって飯食ってゲームやって遊んでそうな自然な悪友感が本当に好み。ラストのエイプリルフールの話とかめっちゃ好きです。

ただ個人的にこの話、1編1編は凄く楽しいんだけどずっとテンポが同じなので一気読みするとだんだん胃もたれしてくるのはあるな……もうちょっと1冊に入れる話数減らしてもいいと思うんですが……。良い意味で頭を空っぽにして読める物語と言うか、なにかの気分転換に1話ずつ戴きたい物語って貴重なので末永く続いて欲しいけど、同じくらいに一気読みしようとすると謎のカロリーの高さを感じる(そういう意味でなろうで1話ずつ読むのが一番正解なのかもしれない)。

でもサブタイ(配信タイトル)の前後に空行いれてくれたのは全力で称賛したいです。いや原文からしてこうだったんだよ1巻本当になんだったんだよ。本当は配信タイトルのフォントのウェイト変えてちょっと装飾するくらいはしてくれてもいいんだよ。


やぁ“登校”に挑めニンゲン 〜ゲーマー共は武器を片手に歪んだ校舎を踏破する〜

 

レーベル史上初のW受賞! 迷宮登校ストーリー開幕!
人を殺せるホログラム――改め「触れるホログラム」。これを自在に生成するAIは、世界を創造するAIと呼べるのではないか。 彩淵学園の管理を担うAIは、世界を書き換え放課後の学園に巨大な迷宮を生成する。目的は不明だがAIはその頂上へ辿り着く最強の生徒を常に求めており――そうして呼ばれたのが、VRゲームを極めた少年<晴斗>だった。 攻略が進むにつれ、校舎型迷宮の雰囲気は不気味に変わっていく。だがそれでもAIの指示は変わらない。登れ、校舎の頂きへ――すなわち「“登校“に挑め」と。 ……なんて、ここまで真面目そうな空気を匂わせたところで衝撃の事実。なんとこのラノベ、ジャンルは驚異のラブコメディ。

彩淵学園に入学した初日から生徒会長である緋菊七姫に一目惚れしてしまった新入生の羽零晴斗。彼女が同性を嗜好すると聞いて早速「男」を捨てることを決意!?早速女性用のVRアバターを用意して行動を開始する。一方、緋菊七姫は彩淵学園を管理するAIが学園に作り上げた大迷宮の攻略のため、戦力となる新入生を探していた。羽零晴斗が世界トップクラスのVRゲームプレイヤー『セイテン』であると知り、彼を仲間に引き込もうとするが……!?

「天才」と書いて「バカ」と読む

進化したAIによって現実すらもVRによって上書きされてしまう学園を舞台に、放課後に展開される巨大迷宮を踏破しようとする天才(バカ)共が奏でる青春の狂騒曲。

片方は恋愛感情を拗らせ・もう片方はファン感情を拗らせた結果何故かお互いに性転換して相手の懐に入り込もうとする主人公&ヒロイン(ほぼ両片思い)があまりにも天才の無駄遣いで最高だし、もうそこからひたすら紙一重の所でお互いの正体がバレないまま展開していく性転換あべこべラブコメっぷりが最高に面白かった!でてくるキャラクター誰も彼もが天才すぎてバカすぎる!!!正直、七姫が性転換する理由いくらなんでもどうしてすぎたけど細けえことはいいんだよ。

というかこれ迷宮に潜れるのが同一性のパーティーのみという縛りを考えると、多分お互いの正体がバレたあとも性別変更版アバターが活躍する流れだしなんなら他キャラの性別変更アバターがでてきてもおかしくはない流れなんですよね。まったくどこまで性別を行方不明にするつもりなんだ(期待するな)

ヒロインのために一生懸命戦う主人公はいつだって最高なんだ

基本的には異常な学園を舞台にバカどもが繰り広げるTS学園バトルラブコメディ(要素が多い)なわけですが、その一方で最強の能力を持つVRゲームの天才達がその知識と技術の全てを駆使して肥大化したAIが作り上げた叡智に挑む物語でもありました。ゆるい感じでわやわやしていた序盤から一転、一気に不穏な空気を醸し出しはじめる後半とその不穏な空気に見合うだけの恐ろしくてスリリングな迷宮攻略展開がめちゃくちゃ楽しい。

いやもうそしてほんとに普段はバカしかやってないのにクライマックスになったとたん冷たく見えるくらい冷徹に無双していく主人公が性癖ど真ん中すぎて……!!!そしてそれ全てが窮地に陥ったヒロインを救うためでもあるのが最高の高。生命を掛けて主人公を助けようとするヒロインと傷ついたヒロインを救うために自らの生命を掛けて戦う主人公、どっちもいくら食べても良いものですからね。

それに加えて主人公の悪友・蓮司と晴斗のお互いを信頼し合っているからこその遠慮のなさすぎるどつきあい・掛け合いが最高にヘキですありがとうございました。蓮司自身もその幼馴染である夜魅さんも今回は顔出し程度の活躍だったので、今後掘り下げが来るだろうし本当に楽しみしかないな。

余談ですが、あとがきが10年来稀に見るレベルでキレッキレでめちゃくちゃ笑ってしまった。その担当編集さんとカップリング談義させてほしい。性癖が合うというよりも男の娘vs女装男子、同一人物カップリングvs主人公の悪友×主人公のカップリングで激論をかわしながら時折性癖が一致してガッツポーズ取るような旨い酒を飲みたい。BW特典小説のタイトルどうしてそうなった??(ありがとう)


1/nのワトソン

 

技術ガチ勢、人気Vtuberの相棒に!?
探偵系Vtuber「ほむるちゃん」。 彼女のもとには視聴者からの一風変わった依頼が舞い込んでくる。 それを解決するのもまた視聴者であり、1万人の「ワトソン」たちが“正解”を目指して競い合う。 エンジニア男子・啓×Vtuberオタク女子・ひかりの幼馴染コンビが、インターネットを、ゲームの世界を、メタバースを、そしてリアルを駆け抜けるーー。 第19回小学館ライトノベル大賞〈優秀賞〉受賞! なんでも有りなアンチミステリ・インターネットバトル、ここに開幕!

幼馴染であるひかりから頼まれたのは、彼女の推しである探偵系Vtuber「ほむるちゃん」がリスナーたちに出した「依頼」を解決することだった。エンジニアをしている啓は持ち前の技術力を活かして彼女からの依頼を解決していく。3回依頼を解決したリスナーにはチャンネルのコメント削除権限であるスパナが贈られるというのだが……。

数多の選択肢から「愛ある解」を模索する物語

技術ガチ勢である主人公がプログラミングやAI技術を駆使して「ほむるちゃん」から投げかけられた依頼を鮮やかに解決していく展開がとにかく楽しい物語でした。たった一つの真実を見抜くのではなく、数多ある解の中から依頼者にとって最良となる「愛ある解」を選び取り更にそれを主人公の持つ技術力で解決していく展開が面白い!依頼者本人の事情や心情を掘り下げてそれによりそうだけでなく、リスナーに依頼したほむるちゃん自身にとっての最良ということで動画の撮れ高まで意識した華やかなエンタメバトルになっていくのがまた面白かったです。

そして、鮮やかな探偵劇の裏側で明かされていく主人公・啓とその相棒である幼馴染・ひかりの複雑な関係性。徹底的に依頼者の心情を重視する啓が胸のうちに秘めた過去の事件と後悔。探偵系Vtuberほむるちゃんの前世・宮本ミカンが引退した事件の真相。これは宮本ミカンの炎上に際して何も出来なかったひかりが転生した推しに今度こそ何かをしたいと思って力(スパナ)を求めてはじまった物語であり、ほむるちゃん自身が「宮本ミカン」というかつての自身の未練を振り払うための物語でもあったんですよね。2つめの依頼まで物語を進めるための書割みたいな存在でしかなかったほむるちゃんが「3つめの依頼」の掘り下げによって一気にリアルな人間として肉付けされていく姿が印象的だったし、ラストの啓とほむるちゃんとの対話がめちゃくちゃ良かった……。

もうひとつの「推し心の後始末」

ところで、いなくなったVtuberに対してファンがなにかしようとする物語と言うと同作者の「鈴波アミを待っています」をどうしても連想してしまいます。こちらもめちゃくちゃ好きだったな……。

あちらの主人公がひとりよがりに迷走して自身も傷つきながら浮かび上がった推しを一瞬だけ再び舞台に上げてどちらも表舞台から消えていく物語であったのに対し、この物語は宮本ミカンを喪ったひかりが幼馴染である啓の助力を得て他のファンも巻き込みつつ新しい姿になった推しを今度こそ輝かせようと奮闘する物語となっていて、読み終わってみると対象的な展開になっていたなと。展開もジャンルも全然違うんだけど、もう一つの「推し心の後始末」の物語だったなと感じました。

どちらもめちゃくちゃ面白かったのでこちらが刺さった人はあちらも読んでほしい。

1年掛けてシンデレラロードを駆け上がっていったVtuber鈴波アミ。彼女は1周年記念配信の直前に失踪してしまう。鈴波アミの帰りを待つファン達は、毎日彼女が配信を行っていた23時に1...


魔術師クノンは見えている 8

 
Laruha

禁断の研究を食い止めるべく、造魔学の第一人者である教師と発明勝負!?
クノンの試作品から魔道具の技術に興味を持った造魔学の教師ロジーは、最強の生物兵器の構想を閃いてしまう。いざ実験と意気込むロジーの好奇心を禁断の研究から逸らすべく、クノンは兄弟子と共に発明勝負を申し込み下剋上に挑む! 一方、ミリカとの約束であるヒューグリア遠征の準備も怠れない。だが同行予定だった聖女レイエスが、学園長である世界一の魔女から直々にある“依頼”を課され……? 教師達に己の実力を示せ――試練の冬が始まる第八弾!

眼を作るという目的のため、造魔学の教師ロジーから教えを受けることになったクノンだが、クノンから魔道具の話を聞いたロジーは造魔学と組み合わせた危険な研究を提案しはじめる。それを止めるため、兄弟子カイユとともに師匠と発明対決をすることになるのだが……!?

面白かったんですけど話の切り方が中途半端すぎる

造魔学の師にうっかり魔道具の知識を与えたばっかりに危険な発明勝負をするはめになったり、婚約者・ミリカが当主代行を務める領地に出向いたりする第8巻。

造魔学の師弟対決の話、クノンの善性と持ち前のひらめきが全開で生かされるめちゃくちゃ面白いお話でしたね……どうしたって危ない魔術のイメージが付き纏う造魔学の悪いイメージを中に隠して何の変哲もない便利な発明としてお出ししてしまうの流石すぎる。そして発明対決の後の造魔学師弟の様子、こういうのが見たくてクノン読んでるんですよすぎて最高でした。

そして後半は前巻でちょっと示唆されていた婚約者であるミリカが居る将来のクノンの領地に視察に向かうお話。聖女レイエスやらクラスメイトやらワケアリの準教師を連れて大人数で向かうクノンも大概でしたが、迎え撃つミリカ様の方も「ここにいちゃいけない人」のオンパレードで腹抱えて笑った。どこをどうしたらそういうことに!?クノンが魔術師達を引き連れて何やろうとしていたのかも気になるけど、それ以上にマジでなんでこんな領地が治外法権化してるのか知りたすぎる。初々しい許婚ふたりのやり取りにはニヤニヤしてしまいましたが、ミリカ様も色んな意味で只者じゃないんですよねと改めて思い知らされるエピソードでした。

今回も安定して面白かったんだけど、展開的には前巻からやってた造魔学まわりの話と次巻に続く領地視察の話の間に挟まってて中途半端な終わり方と言うか、色んな意味で盛り上がりに欠ける回というか、とにかく座りの悪い一冊だったな。前半を7巻に、後半をこれから発売される9巻になんとかぶち込むことはできなかったんだろうか。造魔学の話とか本当に面白かったんですけど7巻の感想に書いたことの繰り返しになっちゃうんですよ最終的に……。

カドカワBOOKSは後ろに他作品の試し読みをぶちこむくらいならそのページ使ってこういう変な所で切れるなろう小説のページ数を上手く調整してくれたほうが嬉しいんだけどなあ……。


あそびのかんけい2

 

想い人とのデートイベントが発生──告白までカウントダウン!
想い人である小鳥遊みふるへの告白を決意した常盤孤太郎だが、適切なタイミングが見当たらず未だできないでいた。 そんな中、新作ボードゲームの買い出しにみふるが突然同行を申し出てきて──「一緒にいて楽しい人とは、たくさん遊びたいじゃん!」まさかの休日デートイベントが発生! 「腕組むとか、友達でも普通だから」 いろいろと距離が近いみふるに心揺さぶられ、告白もカウントダウンかと思いきや……。『クルマザ』常連客のウタマルから孤太郎は衝撃の告白を逆に受けることに。 秘めた想いを打ち明け一歩を踏み出し始めた三者三様の恋は次なる盤面へ!

ボードゲームカフェ『クルマザ』で店長代理をしている孤太郎は、同僚でありギャルの小鳥遊みふるさんに告白を決意。でもなかなか上手くいかない。みふるさんと買い出しに出かけてデートみたいな甘い展開になったり、常連客のウタマルから思わぬカミングアウトを受けたり……そんな中で疎遠になっていた学生時代の友達から連絡が来て……。

三角関係ラブコメとして盛り上がってきた!!

前巻に引き続き、メイン3人が水面下で一歩前に踏み出そうとして自分のついた嘘に足をとられて七転八倒する様子がとにかく楽しかった!気持ち的には両想いのはずなのに一向に進展しないバンジョーとみふるさんのラブコメ具合がひたすらくすぐったい。

そんな中で前巻での傍観者に近い立場から一気に盤上に躍り出てきた歌方月乃。恋愛初心者のはずなのに、二人の逃げ場をなくしてから目当ての駒を取りに来る手つきが鮮やかすぎてさすが若手女流棋士、重畳でした!!今回はみふるさんも可愛かったけどそれ以上に表紙の通りに月乃がメインというか、もう最後まで彼女に持っていかれた1冊でしたね。バンジョーの性格を逆手に取ったスピード展開が吉と出るのか凶と出るのか。いや3巻が楽しみすぎる。

とにかく読者の期待の裏切り方が上手すぎる

そしてもう一つのメインとなっていたのがバンジョーの元同級生の武士、そして武士の自称元カノ・半杭とのアレコレ。あとがきで「この作品はラブコメなのにミステリって言われる」とかぼやいてましたけど、なんていうか「こういうとこ」だよ!この作品がミステリーって言われちゃうのこういうとこだよ!!!

殺人事件や謎解きが起きるわけではなくてあくまで日常系のラブコメなんだけど、作中での情報の出し方がめちゃくちゃ上手くて……読んでるこちらとしてはめちゃくちゃ惑わされるんですよね。読者の期待の裏切り方がめちゃくちゃ上手い。期待を裏切るといっても悪い意味じゃなくて、むしろ読んでて期待を裏切られて気持ちよくなれるめちゃくちゃ凄い作品だなと改めて感じました。あと本文だけでも上手いのに挿絵まで使って惑わせてくるのは卑怯ではないでしょうか。

いやなんか本の感想であんまり素人が上手いとか下手とか言いたくないんですけど、中盤以降はひたすら「葵せきな、物語書くのが上手い……」って唸ってた気がする。一杯食わされたというかなんならもう4杯くらいは喰わされた。

3巻が楽しみです!!あとこのラノ1位獲得おめでとうございます!!!


荒廃したゾンビ世界を50日間生き残る〜決戦編〜 ヘガデルのブラックな会社2

   
原作
Hegadel

知能持ちゾンビ登場! 生存を賭した壮絶な戦いへ!
ゾンビだらけのクラフト系ゲームの中に召喚され、50日間生き残る極限の使命を課せられたヘガデルと仲間たち。彼らの適材適所の活躍で、荒廃した世界を楽しくサバイバルしていたが、最強の男ぽんたこが殺される事態に直面する。日が経つごとに強くなるゾンビに徐々に追い詰められていくメンバーの前に現れたのは、いぬいと名乗る知能持ちゾンビだった。さらに、ぽんたこまでゾンビ化して敵に回る危険すぎる状況下で、ヘガデルたちは必死の応戦。ゾンビの猛攻に次々に一人、また一人と仲間たちが命を落としてく壮絶な戦いの中、ヘガデルは最後まで生き残ることができるのか――!?

なぜかゾンビだらけになったVRクラフトゲーム「ワルクラ」の世界に転移してしまったヘガデルと仲間たち。50日間生き抜けば何でも願いを叶えてもらえるという希望を信じて拠点を整備し、ゾンビに対処しながらなんだかんだで楽しく暮らしていたが仲間のひとりが命を落としたことをきっかけに状況は一転。日を追うごとに手に負えなくなっていくゾンビたち、更にはそれを統率する「知能持ち」まで現れて……。

ハードで先が見えないゾンビパニック展開が楽しかった!!

序盤のゆる〜い雰囲気から一転して最初から最後までガチのゾンビパニックものしてた完結編。ひとりまたひとりと仲間が倒れ、ゾンビになった仲間から襲撃を受ける日々。ゾンビが感染するようになったりブロックを積んで高所対応できるようになったり爆弾を装備して襲ってきたり……と日々無理ゲー度増していく展開が凄かった。また、統率能力を持つ「知能持ち」のゾンビが的確に主人公達がやられたら嫌なことを狙ってくるのがズルいし、なんど殺しても蘇ってくる彼らを撃退しないといけない展開がしんどい。

50日目まで辿り着ければ全員が生き返る──という最初に提示された「希望」が、逆にたとえ主人公であっても生命の保証できない先の見えない極限状況に繋がっていくのも凄かったです。いや原作がマイクラのハードコア実況なのでそれはそうなんだけども。終盤ではもう「自分が死んでも誰でもいいから一人生き残れば勝ち」という認識に徐々に変わっていくのが壮絶で(自分を助けに来た仲間たちをなんで助けに来たんだ!って思う流れめっちゃ好き)、最後まで先の見えない展開が楽しかった〜!

そしてどんなに過酷な展開でも最後まで諦めず、道具や装置といったゲーム知識をフル活用して立ち向かっていく展開がアツかったです。ヘガデルのトラップやいるるさんの研究だけでなく、ホルンさんの農業、そらかぜさんの鉄道整備……と一見関係無さそうなクラフトまでもが状況打開の鍵として後に託されていく展開、実にマイクラ。1巻ではわざとらしくそのへんの匂わせがあったのちょっとモヤついてたんですけど、そのモヤ付きを覆すほどに面白かったな。

ところでマイクラ知ってる民としては金リンゴはまだしも弱化のポーションがでてきたのでいつゾンビ治療始めるんだろうと最初から最後まで思ってしまってた……もう絶対にぽんたこをもとに戻す伏線だろうと……。弱化のポーション、原作動画内でも特にでてこないので割と謎の追加要素なんですよね。いやまあ確かに大量のゾンビを足止めしたいという状況に一番刺さる効果のある原作アイテムであることは確かなのですが……。

原作動画、見てみた

そんなわけで小説版読み終わった所で元になった原作動画も見てみましためちゃくちゃ面白かった〜!!!今年一年マイクラ実況をBGVに作業をしていることが多かったのですが、こちらは見たことがなかったので良い動画に出会えて幸せでした。
【Minecraft】荒廃したゾンビ世界を50日間生き残る - 総集編【ゆっくり実況マルチプレイ】

何よりびっくりしたのが原作はあくまで動画編集担当のHegadelさん視点+ゆっくり魔理沙との掛け合いのみで他メンバーのセリフや視点が一切ないこと。マイクラマルチだと割とちゃんと他のメンバーのセリフが追加されていたり適宜他のメンバーの視点に切り替わったりするものが多い印象のでこちらも普通に原作動画を会話を元にほぼそのまま書き下したものだと思ってたんですよね。むしろ序盤こそが、大幅加筆を経て元動画とは全く別物の「全キャラ視点・台詞ありMODガン盛りマイクラ実況ゆっくりマルチ動画」として再構成されてた。なにそれ怖い。動画の方だとぽんたこさんとかめちゃくちゃ雑に死んでてわろてる。

ひたすら農業していたホルンさん、上位装備をみつけても何故か終盤まで鉄装備に拘るせれすとさん、資材が限られる中で誰も知らない所で地下を整地して空港までのトロッコまで引いてたそらかぜさん……と各人物の性格が動画の中の行動を膨らませて作られているのも面白かったし、総集編のラストで語られているぽんたこさん知能ゾンビ化の経緯には笑ってしまった。たしかにその流れは「ああいう性格」になるわ……。

前半がほぼ別物なことにも後半がほぼそのままなことにもびっくりしたというか後半のドラマチックな展開の数々はある程度盛ってるんだろうなと思うじゃん……だいたいそのままだったわ……。いやこれは動画を見て小説版の評価が一気に上がったと言うか、良い意味でこれは元動画ファンにぶっささる小説だったんじゃないでしょうか。そして元動画めっちゃ面白かった……似たようなゾンビサバイバル系のマイクラ動画いくつか見たことあるんですけどこれは自作のMODぽくて、とにかく終盤のゾンビ強化がエグすぎて笑う。本編もそうだけど総集編の最後に入ってる裏話が個人的にはめちゃくちゃ面白かったのでこのシリーズ刺さった人は見てみて欲しい。


荒廃したゾンビ世界を50日間生き残る〜迎撃編〜 ヘガデルのブラックな会社1

   
原作
Hegadel

大人気ゆっくり実況者Hegadelの動画が小説となって衝撃の登場!
突如ゾンビだらけのクラフト系ゲーム「ワルクラ」の中で目を覚ました男ヘガデル。訳もわからぬまま同じ状況に巻き込まれた5人のゲーム仲間と共に、謎のガイド妖精マリーからこの世界で50日間生き残ることを命じられてしまう。 そんな彼の仲間は、戦闘狂・ぽんたこ、参謀・いるる、農業人・ホルン、鉄のカリスマ・せれすと、自由人・そらかぜ……と適材適所かつ個性豊かなメンバーばかり! 「みんな……生き残るために社員としてこき使ってやるからな!」 はたしてヘガデルと仲間たちは、日が経つごとに強くなるゾンビたちを相手に、過酷な環境を生き抜くことができるのか──!

ある日突然VRクラフトゲーム「ワルクラ」の世界に転移してしまったヘガデル。無人の街はゾンビに支配されており、しかも少しずつ強くなっていくという。一緒に転移した愉快なゲーム仲間5人とガイド妖精のマリーと共に50日間生き残ることを目指すが……!?

ものすごくマイクラのゆっくり実況マルチの味

Minecraftの有名ゆっくり実況の書籍化。ただのマイクラじゃなくて、日光を克服したゾンビがはびこる世界で50日間生き残る、ゾンビは5日ごとに強化される、ランダムでブラッド・ムーンという敵ゾンビが超強化される夜が来る……という設定のゾンビサバイバル○○days系MODがベース。元となったチャンネルの動画は観たこと無いんですけど類似のMOD実況動画はいくつか見たことあるので概ねシステムは理解できてるくらいの知識感です。マイクラネタということで前から気になってたんですがBWの1巻無料フェア入っていたので……。

良くも悪くもマイクラのMODガン積み系ゆっくり実況マルチの雰囲気そのままで、身内ノリの遠慮ない掛け合い、テンション高・テンポ良な会話劇の雰囲気がそのまま文字に落とし込まれているのは本当に凄かった。マイクラの小ネタもふんだんに盛り込まれており……というかゲームタイトルこそ変えてはいるけど、世界観・システム含めほぼそのままマイクラだな。メンバー同士で拠点内の内装弄って誰が一番良い部屋作れるか競うエピソードとかどんな動画で観てても楽しいヤツです。あとナビ妖精はどうみても魔○沙なんだよなあ……。

一応別ゲーとして落とし込もうとする努力は感じるし、未プレイの人でも読めるように平易な言葉に言い換えられてたりというのはあるけど徹しきれてない感はある。ブランチマインニングはまだしも、「アイアンゴーレムトラップ」って単語がそのままでてきちゃったのには笑ったこれマイクラ以外では使わないだろ。

マイクラ的なゲーム世界に転移した設定になっているので、お風呂の問題などおそらく実況では触れてなさそうなネタもちまちま入れてきてるのは面白かったです。拠点が安定してきてからお風呂を作る話とか地味に好きなんですが、初めてゾンビ肉を食べた時のエピソードとかただのゲーム実況では絶対に出てこないネタで好きですね。その後のグルメ関係のネタは原作通りなのかオリジナル展開なのかわからない(グルメ系のMODで拡張可能な部分なので)けど、マイクラで穫れる食物を中心に展開していくの地味に元ネタリスペクトで好きでした。

前半のユル〜い空気から、後半の急展開が凄い

ゾンビの脅威に常に脅かされ続ける世界と言う割には良くも悪くも身内ノリで(元は実況動画だもんな)、個性豊かなメンバーの暴走を見ながらユル〜い雰囲気で進んでいく前半も結構好きなんですが、些細なきっかけで仲間の一人が生命を落としてしまい……そこから一気に空気変わってくるのがめちゃくちゃ良かったです。最初に提示されたきり深く考えられてこなかった復活禁止縛りの設定がここに来て響いてくる。いやでもこれ実況動画通りの展開だとしたらゲキアツ展開ですよね……メンバーの中でもひときわ皆の心の支えみたいな存在だった人が真っ先にいなくなるの、デカい。

元が実況動画ということでどう転んでもそこまでエグい展開にはならないよなと、読む側の私も呑気に構えていたのですが……幕間に挟まれる「別視点」の物語の意味、最後の最後で明かされた衝撃の事実──いや、それはもう話変わってくるぞ!?最後の最後でガチのゾンビアポカリプスになってきましたねえ!!??

まだ全日程の半分程度しか過ぎていなくてここから更に敵のほうが強くなるのは確定してるし(同系統の動画を観た記憶を探るかぎり相当エグいことになるはず)、一気に先が見えなくなってきたな。ちょうどあと1冊でぴったりまとまりそうな感じだし、ここからどういうラストに繋がっていくのか楽しみです。


ようこそ実力至上主義の教室へ 3年生編3

 

「ごちゃごちゃと説明はあったが、要はクラス対抗のサバゲーで勝てってことだろ?」 3年生、最後の夏、今年の無人島試験はペイント銃を用いたクラス対抗のサバイバルゲーム。15×15マスに分けられたエリアを移動、出現する食料や銃弾を取得しながら、他クラスの生徒を倒し競い合う。最初に全滅したクラスは退学者選定のぺナルティが発生するため、攻守の戦略が重要となる。司令官の役職の生徒は5分毎にクラス別の色で表示された全生徒のGPSが確認できるため集団での行動が必須。 「頭はこっちが押さえてるが……どう動く、綾小路」「そうね……一歩リードしたはずなのに、それでもやっぱり怖いわね」「綾小路くんは負けない。ううん、私が負けさせない」 3泊4日の無人島特別試験、その決着は――!?

今年の無人島での特別試験はクラス対抗のサバイバルゲーム。3泊4日の期限内に定期的に追加される物資を確保しながらペイント銃を使って他クラスの「役職付き」を倒していくというもの。綾小路率いる3年Cクラスは初っ端から予想外の襲撃を受け、クラスの人数が少ない中で不利な戦いを強いられることに。各クラスの思惑が交錯する中、生き残ることは出来るのか……!?

よう実の夏、無人島サバイバル特別試験の夏。

昭和生まれのオタク私はルール説明聞いたときからずっと令和のオタクの私と「バトロワだ」「いやスプラだよ」「進入禁止エリアはバトロワだろ……!?」と戦争していたわけですが、最下位クラスは退学者を選ばないといけないルールやこれ以上負けるとそろそろ下位クラスに逆転の目がなくなるという状況や綾小路のクラス移動問題も相まって今までになく殺伐とした気配が漂っていました。表面上は直接対決なしだった1年次、個人のミッションクリアが重要で頭脳戦としての比重が強かった2年次と比較して今年の無人島は生徒同士を合法的にころしあわせようという学校側の殺意がエグい。

ライバルとなる堀北・龍園が綾小路の動きをめちゃくちゃ警戒していて、その結果大胆な動きを取れなくなっている姿が印象的でした。堀北は特に終始綾小路の掌の上で転がされちゃってた感。龍園も一見派手な動きをしているようで、追撃が甘いんだよなあ。それに対して元クラスメイトどころか現クラスメイトにすら手心を加える気が全くない綾小路と、彼を勝たせるために動くと決めた協力者・一之瀬のガンギマリぶりが凄い。良くも悪くも各クラスの「覚悟」の差が浮き彫りになった試験だった気がします。

いやでも、高円寺や綾小路がひとりで7人とか8人とかをアウトにしてくの見ると改めてやっぱおかしいわこいつらと思うしそりゃ堀北と龍園も警戒せざるをえないんだよ。綾小路も大概におかしいけど、綾小路よりも多くの人数を鼻歌交じりにアウトにしてそれでもなお余裕のある高円寺どういうことなの……物語の最終盤でこの二人がいつかぶつかったらどうなってしまうのか、今から楽しみすぎる。

「無人島サバイバル特別試験が終わるとどうなる?」「知らんのか?」

そんなこんなで不利な展開すらも利用して自分の都合の良い方向に導いていった綾小路の無双プレイが大変楽しい1冊でありました。余裕で目標達成した上で最後に龍園と「お楽しみ」の時間まで作ってうきうきで対決に臨みにいく綾小路マジで龍園のこと大好きすぎて笑ってしまう。いやでもあれは本当に良いリベンジマッチになりましたね……1年生編の7巻を昨日のことのように思い出す。

山村を盾にしようとして失敗して脱落する森下、対象的に石崎を盾にしてまんまと生き残る伊吹、Cクラスに対しやたらと殺意の高い平田(でもあれは橋本の煽りっぷりが……なんだこの元彼今彼対決は……)などなど過酷なサバゲーの中で細々と見えるいつもの面々の様子も楽しかった(?)のですが、何よりも最後の最後の衝撃発言に椅子から崩れ落ちた。そんなことってある!?(脳内に浮かぶコ○ラのネットミーム)

いやたしかにプロローグのシーンが全然繋がってないなとか船の中まで一緒だった2年生以下どうすんのとはおもったけど……いやあ……。