うららの記事一覧 | 今日もだらだら、読書日記。

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ベル・プペーのスパダリ婚約〜「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!〜 1

 

旦那様。これからは蕩けるほど私の愛に溺れてくれ。
ベル・プペー《美しい人形》とあだ名される公爵令嬢レティシア。その儚げな容姿とは裏腹に、中身は男女問わず魅了する屈指のスパダリだった!?魔導具によって最強の傭兵騎士に変身し『氷の竜帝』としても活躍していたが、正体を知るのは一部の者たちだけ。そんな彼女が婚約したのは素行に難ありと噂される『呪いの皇子』ジルベール。初対面から冷たい態度で接してきたジルベールだが、彼の孤独と不器用な優しさに触れたレティシアは心を射貫かれてしまい――。「必ず幸せにするよ、旦那様」最強スパダリ令嬢と愛が重たい旦那様の波乱万丈な新婚生活が今始まる!

儚げな美貌を持つ美少女・公爵令嬢レティシアは「ベル・プペー《美しい人形》」と呼ばれて貴族の男性達から絶大な人気を誇る。でもその中身は、豪胆で最強の武力を持ち合わせる「スパダリ」だった!?家族たっての願いで無口な令嬢を演じ、時に正体を隠して「最強の傭兵」として活躍したりてきた彼女だが、浮いた噂と赤い瞳を持つ「呪われた皇子」ジルベールと婚約することになり……。

見た目儚げ中身男前スパダリ気質脳筋最強美少女(TSあり)×幸薄め愛重め策士系美青年のイチャラブファンタジー

面白かった〜!!漢前すぎるスパダリヒロイン・レティシアがその深すぎる愛と圧倒的な包容力と国内最強と謳われる武力で「呪いの皇子」として疎まれ続けて愛されることを知らずに育った旦那様をメロッメロに蕩けさしていくのが楽しいし、はじめて自分を愛してくれたレティシアに対してヤンデレと思える程の激重感情をこじらせていくジルベールの様子が大変美味しい。

ジルベールが初手でドロドロに蕩けてしまってヤンデレみたいな発言しはじめた時は正直どうしようと思ったのですが、基本脳筋で正面からの力押しタイプで回りくどいことが苦手なレティシアに対してジルベールは喧嘩は強くないけど陰で暗躍して策謀を巡らせて最後は勝つ、頭脳タイプの最強であり、時にはレティシアをもってしても御しきれない人物であることに気がついてにっこりしました。これ共依存要素や重い境遇もさることながら、根本的には強い女×強い男のつよつよカップルじゃん!!大好きなやつだ!!そしてジルベールの方が語彙力が高くてわかりやすいのでひとりでヤンデレこじらせてるように見えますが、レティシアも同じくらい激重感情拗らせてる。激重感情の相思相愛でバランス取れてるの良いね。

ジルベールの何気ない一言に内心照れてるレティシアがいたり、男女逆転カップルのようでいて要所要所でレティシアがヒロインしてるのもとても可愛かったですね。「人形姫」と称される外見に惑わされず彼女の男前すぎる中身も愛してくれたジルベールが、その奥に隠されたレティシアの少女としての一面までガッツリ引き出して暴いてくれるの強かった。レティシアのキャラが強すぎるんだけど、それに飲まれすぎない形でジルベールもちゃんと強キャラなんですよね。

最強火力の美少女×最強頭脳の美青年、もはや敵なしの状態で国家を揺るがす謀略や自身を脅かす陰謀を暴いて蹂躙する!!というストーリーがどこまでも楽しかったです。

性転換した超イケメン(中身は女子)×全力女装の魔性の美女(中身は男子)の倒錯カップル最高

「反転の魔道具」によって変身したレティシア扮する正体不明の最強の傭兵『氷の竜帝』がとにかく絵に描いたようなスパダリ攻なので見た目だけだと銀髪スパダリ攻×黒髪儚げ受BLみたいなことになってるの最高に興奮する……とかいってたら、中盤からジルベールを女装させて氷の竜帝様と犯罪の証拠を掴むために人には言えないカップルたちの集いに潜入……みたいな展開になって手叩いて喜んだ。大好きなシチュなんですが!!魔道具のパワーと全力の化粧によって線の細いイケメンから一転して魔性の美女と化したジルベール最高かよ。女装させられていることに不満を感じつつノリと勢いで後戻りできないところまで来ちゃうし隙あらばイチャイチャする展開最高かよ見せつけてやるといいつつ互いの艶姿に嫉妬し合う展開までありがとうございますそういうのヘキです!!!!!

もうそれでさえ本編の女装潜入展開がヘキなのに、巻末に入っていたオマケマンガで更に大喜びしました……いや、ここまで全力でもりもりの性転換イケメン女子×女装男子を堪能した後に似合わない女装まで頂いちゃって良いんですか!?そのふたつは両立しないと思ってたのに両立した!!同じ顔なのにおまけマンガの方だとジルベールの女装が全然似合わないの興奮するんですけど!!!

とにかくヘキの全部盛りみたいな勢いの物語で楽しかったな〜!!1巻で綺麗に終わっていて満足度の高い物語ではあったのですが、タイトルのうしろに「1」と付いてるので2巻もあるのかな?と期待してしまう。いいんだよね!?ナンバリングしたからにはあるんだよなあ!?(これまで「1」と付いてたのに「2」が出ないまま終わった作品群にもだもだされ続けてきたラノベオタクの咆哮)


声優ラジオのウラオモテ DJCD

 

声優からマネージャーまで、本編にはないウラ話を聴けるスピンオフ!
声優事務所のマネージャー、加賀崎りんごは思い出していた。自分がこの業界に入るきっかけになった大学の先輩のことを。「わたしでは、あの子たちを幸せにできない」と言って事務所から去って行った、優しすぎた先輩のことを……。 コ―コーセーラジオのやすみ誕生日回! 朝加の担当しているラジオで修羅場が巻き起こる! 乙女がライブ後に行う”堕落の会”とは……? 由美子や千佳といったメインキャラも、いままであまりスポットライトが当たってこなかったあのキャラも……。 TVアニメやコミカライズなどメディアミックス展開が目白押しな『声優ラジオのウラオモテ』、そのキャラクターたちのウラ話を描く、スピンオフ作品!

10月12日は声優・歌種やすみの誕生日!コーコーセーラジオでも彼女の誕生日回が放送されることに。それに合わせて由美子にプレゼントを送ろうと決意した千佳だったが、何をあげたら彼女が喜ぶのかわからず悩んでしまう。対して、3月15日は渡辺千佳の誕生日。誕生日に何が欲しいか直接聞いた由美子は、千佳からこっぴどく怒られてしまって……!?

一般声優ファン女性藤井杏奈ちゃんの短編定期的に摂取したい

主役ふたりの微笑ま可愛い相互誕プレ話から始まる、「声優ラジオのウラオモテ」シリーズの短編集。由美子のマネージャー・加賀崎りんごの過去と現在の物語を中心に、本編の裏話や幕間・サブキャラたちの意外な素顔を描くスピンオフとなっていました。

どの話も良かったけど、特に職業声優一般声優ファン女性藤井杏奈ちゃんもとい柚日咲めくる先輩関係の短編の安定感が凄まじい。本当に彼女の話って何やっても面白すぎるので今後も定期的に摂取したい。タイトル通りの内容の『めくる、佐藤家にお泊まりする』、出張で新幹線に乗ったら桜並木乙女と夕暮夕陽に左右を挟まれてしまう『柚日咲めくるのサンドイッチ』どっちもホントに最高でした。いやもうタイトルとあらすじで色々と察して欲しい。たいへんだ。

あとはやっぱり主役二人のドタバタ話は別の意味で安定感というか安心感がある。一番最初に入っていた誕生日プレゼントの話とか本当に可愛かったですね。興味がないといいながら必死にサプライズしようとがんばるけどな〜んか納得いかない千佳、良くも悪くも自然体すぎて千佳にキレ散らかされるけどなんだかんだで最後はしっかり完璧なプレゼントによって千佳のハートを掴んでいく由美子……良い意味でいつもの関係性が詰め込まれていて最高に可愛かったです。

加賀崎りんごの因縁話、今読むと色んな意味で沁みる……

とにかくどのお話も可愛くて面白かったのですが、一見繋がりのない短編集の物語達をまとめて読んでいくと加賀崎りんごと彼女が声優のマネージャーをやることになるきっかけを作った大学の先輩・南雲沙希の因縁の物語『加賀崎りんごのウラオモテ』に帰結していく構成が凄い良かった。明るく楽しい物語の裏でこっそりと進行する、南雲が立ち上げた声優事務所カラメル・プロモーションによる引き抜き騒動。かつて憧れた先輩の背中を忘れられずにいたりんごがその変貌に大きく心を揺らされながらも、由美子のために彼女の手を取らないという選択をする姿が印象的で。

加賀崎の視点から語られる声優・歌種やすみの過去と現在も凄く良かった。本編はデビュー三年目崖っぷち声優の状態から始まるのでわからなかった、デビュー直後の彼女が見せた不思議な魅力。担当声優に対してできる限り私情を挟まないようにしようとしていた加賀崎の心の障壁を打ち破り、なんとしてでも売ってやろうと入れ込んでしまったのに、事務所の意向や何やらもあってなかなか機会に恵まれなくて……もどかしい思いを隠して由美子に接する姿に胸が熱くなりました。いや、彼女が由美子のことを高く評価してくれているだろうことは知っていたけど、こんなにも推してもらえてたんだなあ。

南雲の立ち上げた事務所が作り上げる所属声優に優しくて温かい世界では多分ダメだった、これまでの様々な逆境がなければ「声優・歌種やすみ」は輝けなかった──結果論かもしれないけど絶対にそうだとおもうんですよ……。でも一方で本編最新刊(12巻)を先に読んだ身としては、「あの展開」を受けたりんごちゃんがなにを思ってたのかに思いを馳せてしまう……いやあの話の前にこの話やったのめちゃくちゃ人の心がないでしょ絶対りんごちゃんあの事件の時にこの件思い出しちゃうでしょ……。


リスナーに騙されてダンジョンの最下層から脱出RTAすることになった2

恋狸
 

リスナーの一人に騙されて(自業自得)、 最下層に転移してしまった、新人ダンジョン配信者の世迷言葉。 中華鍋でスキーをしたりなど、 吹雪フィールドもエンジョイ(?)しつつ、 配信を続けながら、リスナー頼りで強くなっていく。 そしてついに、世迷言葉救出の名目で、 アレン・ラスター、ユミナ・ラステル、シエンナ・カトラルといった、 ランキング上位者たち(全員世迷リスナー)が動き出す。 かくして、救出という名の世迷言葉オフ会が始まる……!? コミカライズも好評連載中の、 ダンジョン最下層からの脱出RTAストーリー、待望の第二弾!

リスナーの冗談を真に受けて、ダンジョン探索初日にうっかり誰も足を踏み入れたことのない最下層に飛ばされてしまった世迷言葉。なんとか五百階層をクリアした彼は相変わらず面白半分でいまいちあてにならないリスナー達のコメントを頼りに上層に進んでいく。一方、一連の事件に責任を感じて言葉救出のために下層攻略を進める風間雪音は言葉リスナーとなって「オフ会をする」という名目で下層攻略に乗り出したトップランカー達と合流して……?

脳筋ゴリ押し感と狂気はそのままに、戦略性広がってきた

いや〜2巻も引き続き面白かった!1巻を読んでいた時に個人的に懸念していたのが基本戦略が脳筋ゴリ押しなので戦闘関係がワンパターンになるのではないかという部分だったのですが、絶妙に毎回違う流れで敵を倒していく展開になってて先が見えない。1巻のラストでゲットした四肢を犠牲にして超火力を出すスキル(犠牲になる四肢はランダム・一定時間回復不可)をはじめ、追加で取得するスキルが絶妙に無双にならない範囲で戦略性を広げてきて上手いな。いや、本当に言葉自体の戦闘能力が殆ど成長しなくて頭脳戦も出来ないこの物語で、リスナー達の酔狂と主人公の狂気だけでこんなにおもしろいの色々な意味でズルいな……!!

相変わらずの「一歩間違えれば死」のヒリつきはそのままにやれることが増えていったのが面白かったです。何より面白かったのが合縁奇縁によって可愛らしいウサギの見た目から進化してキモッキモの筋肉ウサギになってしまった「キモラビくん」とのアレコレ。色々とひどすぎる出会いから始まりこれは終盤で手酷い反撃を喰らうパターンか……!?と思いきやキモくなって戻って来るの死ぬほど笑ったし、なんだかんだ戦いの中で絆が芽生えていくアツい展開になるのズルかったし、オチがヒドすぎて笑ってしまった。容赦ねえな!!いやあの流れからアツい共闘展開になるのマジで先が読めないよ!!

一方、彼のリスナーである世界ランクの探索者たちが「オフ会」とかいいながら救出に向かい始めて……流石にひとりで500階層上がる必要なさそうなのは本当に良かったよね。というか1巻で1〜2階層しか登れてないのを考えるとどう考えても490とか480階くらいでランカー組と合流しそう。ランカー組、これやりながら結構ガッツリ言葉の配信にコメントも入れまくっているので余裕がすごかった。

どのくらいで合流できるのかまだまだ先が見えない感ですが、新しい仲間(笑)も得て色々な意味で先が見えない展開で、続きがますます楽しみになりました。


このライトノベルの続きが読みたい!2025


こちらの企画に参加したので企画に投票した内容をもう少し文章長めにして(というか先にこっちを書いて投票コメントの方を削った)公開します。
投票対象は「2020年以降に1巻が発売された作品」なので(細かいレギュレーションはリンク先を参照)まだここから状況によってはワンチャンある作品群であると思ってるので興味があったら気軽に手にとってみてください。2年ブランクくらいなら今なら全然なんとかなるので人の目に止まってほしいし書籍化作品はちゃんと続きも読めますのでこの機会に興味を持ってみてほしい。書籍のみ刊行or諸処の事情で書籍で続きがでないと続きが読めないもの9選+なろうに続きがあるのは知っているが最初に書籍で読んでしまったため出来れば書籍で読みたいのでなんとかしてほしいタイトル5選の計14作品になります。本当は投票範囲外の続編が読みたい未練作品の紹介とかもまとめてしようかとおもっていたのですが2020年代の作品に絞っても相当あった。そんなに読んでないはずなのにおかしいな……。

ところで、Web小説の書籍化で続きが読みたい6作品ちゅう5作品がファミ通文庫なのは流石にちょっとどうにかならないものかとおもいました。右肩上がりに面白くなるやつ多いしWeb原作は3巻くらいまで確約してくれないもんかな。

続きが読みたい(続きがない)

二丸 修一「君はこの「悪【ボク】」をどう裁くのだろうか?」→感想
「生まれながらの悪」と「行き過ぎた正義」の衝突、男男のクソデカ感情が最高
殺人衝動を持て余す主人公と行き過ぎた正義感を持つ親友が共に異世界転生をし、ファンタジー世界で別々の勢力に与して殺し合う物語。男同士の執着・クソデカ感情を描く物語が刺さっただけでなく彼らの周囲に居る女性キャラクター達が随所で刺してくるので大変によかった。主人公ふたりの対決としてはこの上なく綺麗に単巻で終わっているのですが4巻以上のシリーズ化を想定した戦記物だったとのことで、どう転がっていくのか気になる。続きが読みたい。
楽山「俺の召喚獣、死んでる」→感想
「最強の召喚獣(でも死んでる)」を巡って繰り広げられる試行錯誤が楽しい!
最強の存在だけど死んでるので動かせない召喚獣をパートナーにしてしまった主人公がそれを活かすために様々な試行錯誤をしていく物語。とにかくその試行錯誤が楽しく、ちょっと偏屈で面倒くさい主人公を支える愉快なチームメンバーたち、ライバルでありヒロインのサーシャとの掛け合いがとても楽しかった。単巻完結かもしれないんだけど、キャラクター達のわちゃわちゃがもっと見たいので続きが読みたい。
心裡「魔王のJK冒険者育成計画! 〜お前をトップ冒険者にしてやろう〜」→感想
異世界魔王とフツーの女子高生の現代ダンジョン探索系動画配信もの。
現代にダンジョンが出現しダンジョン探索系動画配信が盛り上がっている現代日本で、異世界からやってきた魔王が底辺配信者の女子高生をプロデュース!するお話。異世界のチート知識で無双…というよりは100均活用動画系の動画というか、誰にでもできる系の知識を使うことでバズらせていくのがめちゃくちゃ面白かった。続き……は一応カクヨムにあるんですが、2巻分の内容まで連載されたあと続きのプロットだけ残して断筆宣言されてしまっているんですよね。あまりにも悲しくてカクヨムの続きがいまだに読めない。
小路 燦「VTuberのマイクに転身したら、推しが借金まみれのクズだった」→感想
リアルと配信の二軸で進む、無機物憑依系ラブコメ!
なぜか「推しVtuberのマイク」に転身できるようになった主人公がイマイチ売れない推しを盛り上げようとする物語。実はバイト先の同僚だった推しと現実・転身中の両側面から関わっていく展開が面白く、絶妙にクズ感が高くて目が離せなくなるVtuber・加々宮エリンのキャラクターがとてもよかった。この作家さんの作品、デビュー作も2巻を待ってるんですが……おのれスニーカー文庫……。
朝依 しると「VTuberのエンディング、買い取ります。」→感想
「炎上」で事件を解決していく、ダークヒーロー的立ち位置が印象的だった
既刊2巻。推しVtuberの突然の引退をきっかけに闇堕ちしたオタクの主人公が、Vの炎上を扱う闇のブロガーとして様々なVtuberに引導を渡し、それによって様々なトラブルを解決しながら推しの真実に迫っていく物語。炎上によって事件を解決するというダークヒーロー的な主人公の立ち位置がとにかく印象的で、物語の裏に秘められた推しV引退にまつわる謎も気になる物語でした。結構いいところで続きが出なくなってしまったので続きが読みたい。
小田 一文「貴サークルは“救世主”に配置されました」→感想
マイナージャンルのサークル主が世界救済のため「100部完売」を目指す!
既刊2巻。平均1桁頒布のマイナージャンル同人作家が世界を滅ぼす魔王復活を阻止するため「1イベント100部完売」を目指すお話。一見トンチキに見える設定が説得力のある描写によって違和感なく溶け込んでおり、弱小同人作家としては「あるある」的に刺さる部分が多かった。2巻の小説サークル周りの描写は違和感が高かったんだけど、1巻は素晴らしかったので3巻が読みたい。
夏目 純白「純白と黄金」→感想
《邪気威(ヤンキー)》を燃やせ!!トンチキ現代異能テリトリーバトル!!
既刊2巻。今流行りのスタイリッシュ・ヤンキー・テリトリーバトル的なものを想像して本を開くと突然ヤンキーがヤンキー(オーラ)を放出して激突して大量に吹き飛んだりするのでそういうトンチキ現代異能バトルだと思って読んだほうがいいです。ネットの評判真っ二つだったけど私は好きだった。3巻が読みたい。
三河 ごーすと「顔さえよければいい教室」→感想
才能だけでは成り上がれない現代SNS社会の動画配信バトル
2巻。バーチャル・シンガーとしてコアな人気を誇る妹と彼女の才で金を稼ぐ兄が「顔出し動画配信」必須の芸能学校に入学するところから始まる物語。圧倒的な才能を持つ天才達の芸能バトルである反面、その動画をどうやって魅せるかという部分が大きな意味を持ってくるのが現代風で面白かった。つい最近打ち切り宣言を見かけたのですが動画配信物の中でもちょっと違う味わいで面白かったので続きが読みたい。
朱雀 伸吾「はたらけ!おじさんの森」→感想
ひとのいい「おじさん」たちの、異世界無人島サバイバル。
既刊4巻。某人気無人島サバイバルゲームを買いそこねた人の良い「おじさん」達4人が某人気無人島サバイバルゲームにそっくりな世界に転移させられ、そこで「あにまる」達と無人島サバイバルをするお話。とにかく人の良いおじさんたちのスローライフが読んでて気持ちよく、徐々に広がっていく世界観も興味深かった。2年弱新刊が出てないのですが、同作者の別作品が4年ぶりに新刊出たという情報があったので新刊が出ると信じて待ってる。

続きが読みたい(続きがある)

烏丸 英「Vtuberってめんどくせえ!」→感想
Vtuberモノで男女カップリング売りってまだ珍しいよね
女性ばかりの箱からデビューした男性Vだという理由で炎上してしまった主人公がヒロインである同期の女性Vや同箱のVtuber達の問題を解決していく物語。主人公がいろんなトラブルを体当たりで解決してかっこいい所を見せるたびにどんどん同性のガチ恋ファンとヒロインとのカプ推し勢を増やしていく展開めちゃくちゃ面白かったので書籍で続きが読みたい。Webで概ね2巻分くらいの所まで読んだけど続きが出るかもと思って続き読んでないので頼む……。
下垣「自作3Dモデルを売るためにサキュバスメイドVtuberになってみた」→感想
クリエイターのジレンマが印象的×バ美肉男子可愛い
タイトル通りの理由でVtuberデビューした主人公が本人の意向とは裏腹にVtuberとしてウケてしまってやはり3Dモデルは売れない……というお話。クリエイターとして成功したいのにVtuberとして売れてしまって引っ込みがつかなくなるジレンマが印象的でクリエイターモノとしても面白かったし、何よりバ美肉ショコラちゃんが可愛いすぎるので有罪!!カクヨムで最近完結した……したのはしってる……書籍で挿絵付きで読みたい……。
節トキ「悪役腐令嬢様とお呼び!」→感想
相手がどんな性癖でも見守り育む腐女子ムーヴが良かった
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した生粋の腐女子が「どうせ断罪されて死ぬならそれまでに好き勝手しよ」と周囲の令嬢たちにBLを布教していく物語。序盤はイタタな腐女子ムーブも目立つけど、仲間にした令嬢達が何に目覚めても見守り育てるスタンス、徐々にこの世界の友人達に愛着を持っていく姿が大変好感度高かった。あと転生者仲間の百合オタ王子との共闘関係好き。続きはなろうにある……あるのはしってる……。
佐遊樹「TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA 嫌われ追放エンドを目指してるのに最強無双ロードから降りられない」→感想
とにかくパワーで押し切っていく最強系主人公が良き
悪役令嬢に転生して早々に追放されれば幸せなセカンドライフを確約!それなら全員ぶちのめして追放されてやるしかないッ!!……なんか皆の好感度がMAXになってるんですけど!?というお話。とにかく勢いのある私TUEE展開と強くてかっこいい主人公に骨抜きにされる登場人物たちとめちゃくちゃな勢いで思惑と真反対方向に流されていく展開が面白かった!続きがあるのは知ってる……まだ完結は多分してない……ッ!!
栗原 ちひろ「死んでも推します!! 〜人生二度目の公爵令嬢、今度は男装騎士になって最推し婚約者をお救いします〜」→感想
推しについて語るオタクを眺めるのは健康に良い
既刊2冊。「推し」と婚約したのもつかの間、襲撃に遭って生命を落としたヒロインが人生やりなおしの機会を得て今度は彼を護るために女がてら彼が隊長を務める騎士団に入隊する、というお話。とにかく「推し」のためなら何でも出来る!で推しの近くに行けて楽しそうなヒロインの姿を見るだけで健康によく、彼女に感化されて周囲まで限界オタク化していく展開にニヤニヤしました。なろうで完結してるのは知ってる、知ってるんだ……。


成り代わり令嬢のループライン 繰り返す世界に幸せな結末を

 

『Unnamed Memory』著者が贈る、大本命ループファンタジー!
「ユール・ラキス、お久しぶりね。これを機に私と二年くらい婚約しましょう」「分かった。その婚約を受けましょう」 派遣社員だった八瀬咲良は、ある日友人の真砂からお願いを受ける。「異世界に行って二年後に起きる惨劇を止めて欲しい」と。『妖精姫物語』の主人公ローズィアとして新たな人生をスタートさせた咲良を待ち受けるのは、”妖精契約”の失敗により世界が破滅する未来――。一度は失敗し、気づけば二年前に死に戻ったローズィアは、何度もループする悲劇の歴史を打破するため、もっとも信頼する人物に助けを求めた。 ユール・ラキス――ローズィアの幼馴染であり、身分を偽る隣国の王子とともに、咲良はもう一度人生をやり直す。願わくは、死んでしまう運命のこの人も救えるように。 大切な人を救うためには手段を選ばない成り代わり令嬢と、彼女に振り回される不遇な青年の知られざる駆け引きと戦いが幕を開ける。 大ヒット『Unnamed Memory』の古宮九時が贈る、圧倒的に面白いループファンタジー!

webに投稿されていたループもののファンタジー小説『妖精姫物語』をきっかけにして知り合った派遣社員の咲良と小説の作者である真砂。その出会いから十ヶ月後、真砂から彼女自身が『妖精姫物語』の主人公・ローズィアであったこと、投稿された小説は彼女自身の体験談であり、15回のループをもってしてもなお物語はバッドエンドのままであると知らされる。彼女の意志を引き継いで主人公のローズィアに成り代わり、物語世界を変えようと動き出す咲良。彼女には妖精姫ティティの他にもうひとり救いたい人がいて……。

絶望を前にしても歩みを止めない主人公がかっこよかった

2年でループを繰り返す『妖精姫物語』の世界に転生した主人公が、親友である妖精姫・ティティと隣国の王子ユール、そして物語世界を救うために奔走する物語。友人・真砂が描いたその物語が大好きでそれを読み込んで得た世界の知識、派遣社員として苦労しながら生きてきた現代の人間としての経験が自然に彼女の異世界での行動の助けとなっていくのが良かった。ペーペーの派遣社員では上司やら何やらに阻まれて上手く活かせなかった「人と人を繋ぐ」という才能が貴族令嬢として一定の地位を得たことで花開いて彼女の助けとなっていくのが感慨深いし、ティティだけでなくかつての「推し」だったユールも救いたいというエゴが事態打開の鍵となっていくのが印象的でした。

ループを重ねる毎に状況が悪くなっていくというか物語の裏側が明かされる度にティティやユールを救うことがいかに無理ゲーか明らかになっていって、時に過去の選択を悔やみながら……それでも彼女達を救うことを絶対に諦めず、前を向いて歩み続ける主人公・ローズィアの姿が最高にかっこよかったです。そして、彼女の「推し」であり物語世界での唯一無二の相棒であるユールとの関係性が良かった……!2周目の世界でこれまでの知識を駆使して人脈と権力を手に入れて最強モードな主人公が隣国に出向いて「儀式王」としてループの途中で死ぬ運命にあったユールの死亡フラグをバッキバキにへし折りにいく所とかかっこよすぎて、これはユールにも好意が魂に刻まれてしまうわ……いや多分この後の三周目、特に言及されてないけどユールの魂に好意が刻まれてましたよね?そうじゃないと説明できない感じありましたよね?現実の人間として関わっていくうちに二次元のキャラクターとしてではなくリアルな人間として彼に好意を抱いていくけど、かつて「推し」であったが故にリアルの恋愛対象にしたくない咲良のジレンマ、3周目のユールが知らず知らずに2周目のユールに嫉妬していくさまにもニヤニヤしてしまった。推しとの恋、やり直しファンタジーでの恋愛の美味しいところきっちり拾ってくるのが実にニクい。

どうして儀式が失敗するのか、何故2年間しかループできないのか、「ローズィア」だけが記憶を保持しているのはなぜなのか、どうして「ローズィア」への成り代わりが何代にも渡って異世界の人間達に引き継がれていくのか、そもそも最初の「ローズィア」はどうなってしまったのか……すべての疑問に答えが与えられ、世界の本当の姿が少しずつ姿を見せていくのが気持ち良かったです。そして世界の謎を解く鍵として、「魔女」「聖女」「妖精姫」といった超常の存在達が綺麗にハマっていくのも良かった。

特に聖女まわりのアレコレは本当にズルいわ…………。


俺は学園頭脳バトルの演出家!1 〜遅れてやってきた最強転校生は、美少女メイドを引き連れて学園を無双するそうです〜

 

俺がアイツを『最強の主人公』に『演出』してみせる──!
ゲームによる決闘ですべてが決まる帝王学園。 裏社会からやってきた最強の転校生・霧谷透。 その銀髪ロシア人メイド・ソフィー、彼の幼馴染である学年最強のお嬢様・西園寺桃華。 ――エリート育成のため人知れず運営されていた学園は、それはもう見事なほどに、学園頭脳バトルの舞台として整っていた。 ならば、モブの化身たる俺・田中叶太のやるべきことは一つ。 霧谷が最強主人公として学園を無双する、そんな俺TUEEE物語を陰から演出することだ。 それが演出家である俺の生き様……なのにお前ら、俺を目立たせるんじゃねえ! 実力隠し最強主人公×学園頭脳バトル×メタコメディ、ここに爆誕!

ゲームの強さが何より優先される帝王学園に転校してきた霧谷透はアメリカの最先端のゲーム教育を行う中学で全戦全勝での卒業を果たしたという最強の高校生だった。その霧谷と同じ日に転校してきた「演出家」を目指す普通の少年・田中叶太はその霧谷を主人公に見立てた学園頭脳バトルを「演出」しようと決意。ところが、霧谷と「ヒロイン」西園寺を対決させようと動いているうちに次々と想定外の事態が起こり……!?

「勝利」が最終目的にならない頭脳バトルが面白かった!

学園を演出する……というと厨二病感がすごいんだけど、演出する=非日常を演出することで皆を楽しませたい!という発想で、あくまで健全な目的になっているのが実に心地よかった。自身の勝利が目標ではない学園頭脳バトル、というありそうでなかった物語がかなり新鮮で面白い。

「演出」に拘りすぎて属性だけで霧谷と西園寺を勝手にくっつけようと暗躍したり、本気で霧谷に勝ちたい西園寺とペアを組んでもなお自身の演出のために負けることを選ぼうとしたり、随所に霧谷以外の人間をちょっと見下すような言動があったり……と、「皆が笑顔になってほしい」と言う割には独りよがりで自分勝手な采配も多くてやきもきしてしまったのですが、そんな叶太がどうして「主人公」ではなくて「演出家」を目指そうとしたのか、その理由を聞くとなんというか……憎めなくなってしまうというか……最初に語られた友達同士のなんてことないゲーム対戦を「演出」することでより楽しんでもらえたというポジティブな成功体験と、友達に勧められるまま本気を出して勝ち上がったら圧倒的すぎてドン引きされたという失敗体験のこの温度差よ。

勝利に拘らないというよりむしろ自らが「負ける」ことに拘る理由……皆を笑顔にしたいという言葉も本心ではあるとは思うのだけど、その裏に仄かに見え隠れする歪な感情というか過去のトラウマと言うか、この一歩足を踏み外せば奈落に落ちていきそうな不安定な感じがとても刺さりました。

そんな叶太が自分の演出失敗をきっかけにして西園寺やソフィといった「ヒロイン」級の美少女達と関わることになり、更には「主人公」である霧谷透のとんでもない「秘密」を知ってしまい……舞台の裏からこっそり物語を演出するはずが否応なしに表舞台に引っ張り出されていって……そして、運命共同体となった西園寺の心からの言葉によって本気で戦うことを諦めてしまった叶太自身の過去と向き合い、霧谷との手加減なしの真剣勝負に臨む……というクライマックスがアツかった!色々な意味で転校してきてからここまで「間違い」だらけだったと思うんだけど、軌道修正を繰り返しているうちに全員で奇跡的に辿り着けたハッピーエンド、間違えたことも含めて文句なしに青春してて良かったです。

主人公の濃厚なキャラも魅力的だったし、西園寺やソフィーや霧谷といった脇役達もかっこよくて、お互いの主義主張をガンガンぶつけ合っていく姿が印象的でした。しかし霧谷、色々な意味で○○バレ展開だけが残念だったな……いや可愛いんですけど、ああいうギャップのあるキャラ好きなんですけど……それ以上に、ああいう性格に裏表のある同性のライバルポジションが大好物なので残念だ……(いや2巻とかもっと先の巻でネタバレされるのはもっとつらいので早めにバラしてくれたのは優しい世界なんですけど)

しれっと親世代にもなんかつながりがありそうだし、その辺も含めて続きが楽しみです。


アラサーがVTuberになった話。6

 

クリスマスだよ! 全員集合!
私が神坂怜としてデビューして早9ヶ月。今年も12月に突入し残すところあと僅かというこのタイミングで、我々VTuberにとっては鬼門となるイベントが立ちはだかった。その名も聖なる夜・クリスマス! もし配信をしなければ「恋人がいるのではないか」と噂されるが、下手な配信では競合が多すぎて数字を取れない。話題性のために異性間コラボでもしようものなら大炎上間違いなしだ。そんなわけで獅堂先輩主導のもとクリスマス対策会議が開かれたのだが、「いっそのこと忘年会と称してクリスマスパーティーをやろう」という話が持ち上がり……!?

ASMR配信が予想外の展開で初バズ、チャンネル登録者数も激増……と思ったもののすぐに元の黙阿弥に戻ってしまった神坂怜。そんな彼の元にイベントごと盛り沢山の年末年始がやってきた!「あんだーらいぶ」の年越し番組で柊冬夜とともにメインMCを務めることになったのを皮切りに、打ち合わせで出向いた事務所で「配信しないVtuber」として有名な新戸先輩に出会って突発コラボに誘われたり、アンダーライブのみんなと実質クリスマスな「忘年会」を行うことになったり、自分のチャンネルでもクリスマス生配信をやることになったり……と忙しい毎日を送ることに!!

アンチくんこわすぎンゴ……。

あらすじの通りイベントごとだらけの年末年始、軽いバズはあったが珍しく炎上ごともなくてこれまで以上に平和な巻だったのですが…………なぜか読んでてずっと不安しかなかったのは何なのか。

めちゃくちゃ平和な配信生活の裏で黙々と送りつけられるアンチくん……というか粘着くんのお気持ちメッセージがこわすぎるんですが!!予想通りの経緯ならガチの怨恨沙汰になってる予感しかしないし、そんなやつからお気持ちされてるタイミングで確実にこの時間に事務所に居るよとわかるような生配信のMCやるのとかリア凸フラグすぎて年末特番の間中ずっと怖かったです。事務所の外で刺された神坂(もしくは神坂を庇って血の海に沈んだ畳)をバックに次巻に続くエンドを本気で心配したよ!!

そして一応そういう終わり方ではなくて無事に年越し特番が終了して安心してたらしれっとカバー下のSSで殴りかかってくるし、あとがきでも「本当はもうちょっと先まで入れたかった」みたいなこといってて、絶対に次巻がヤバい……。この件、神坂自身の意向じゃなかったとはいえせめて他の男子メンバーに周知されたのはマジで救いだと思ってるんですけど多分あんだーらいぶ本体の方には伝わってないだろうし、解決になってるわけじゃないんだよなぁ……。

ところで炎上といえば(?)気がつけばミカが月太陽と先輩取り合ってるのをどんな顔で見守ればよいのかわからないすぎた。同性であるだけに月太陽よりも絡みは多いし、これまで何度も助けてもらった流れとかもあるからそりゃあ懐くよなって感じではあるんですが、もう「懐いてる後輩」ってレベルじゃなくなってきた気がするんですよ。枕詞が「俺の先輩」になってるの面白すぎるんですよミカァ!!!とかいってたらしれっとあんだーらいぶのあの世界での二次創作事情への言及あってわらってしまった。

あんだーらいぶ男子組の薄い本ください!!!(どさくさ)

最近の神坂怜、案外配信も面白い気がするんだが?(感覚麻痺)

前巻ラストのASMR配信で初めてのバズを経験したのは記憶に新しいですが、そこから引き続きのクリスマス配信でめちゃくちゃ笑ってしまった。本人は至って真面目にトンチンカンなことやってるのが面白すぎるし、コラボ枠でのおかん・常識人ツッコミポジションとしての絶妙さと個人配信でたまに繰り出されるシリアスな笑い感はもっと評価されて良いと思うんですよね。いやでも、パワポのプレゼン芸ぶっこんできたのは多分彼なりの分析の結果「これがウケる」と思ったからなんだろうなあ……間違ってねえのがズルいよなあ……。

いやたぶん、この辺の配信って10回に1回あればいいくらいのクリーンヒットかもしれないしそれ以外の9回は虚無配信なことに問題があることは変わらないとはおもうんですが……もっと売れるといいね……。


リスナーに騙されてダンジョンの最下層から脱出RTAすることになった

恋狸
 

新人ダンジョン配信者の世迷言葉。 一階層の攻略中に、リスナーの一人に騙されて(自業自得)、 転移魔法陣を踏んでしまう。 言葉の視界が切り替わると、そこは―― 未だ誰も到達していない、五百階層の未踏破地帯だった。 レベルも強さも初心者な言葉は、 配信を続けながら、リスナー頼りで生き残り強くなる! なお、地上では――
 ・地上波永続生配信中 ・攻略組による支援 ・世界的に大注目  な模様。
ダンジョン最下層からの脱出RTA、スタート!

ダンジョン探索する際に配信を行うのが義務付けられている世界。探索一日目の少年・世迷言葉はリスナーの冗談を真に受けて転移魔法陣の罠に引っかかり(※概ね事前講習を居眠りして聞いていなかったせい)、未到達の五百階層に飛ばされてしまった。面白半分で配信を見ているリスナー達にアドバイスを乞いながら、ダンジョンを上層に向かって攻略することになるが……!?

う〜ん人の生命が軽い!!!

レベル1の初心者が配信を行いながらダンジョン最下層からの逆RTAを目指す物語。有用スキルや頭を絞って大物喰らいを繰り返し、レベルアップで強くなる……のではなく、一部ユーザーから面白半分で投げつけられる超高額スパチャで高額ポーションを飲みまくり、スナック感覚で四肢を吹き飛ばしながらダンジョン脱出を目指して試行錯誤を繰り返すという捨て身戦法でゴリ押していくスタイルだった。そんなことってある!?

いやまじで、他のダンジョン物でよくあるような、なんてことないと思われていたスキルが実は強いとか、特定行動をすることで取得できるスキルや敵を倒して手に入れた魔石から取得するスキルなどの要素もあるにはあるんですが、魔石から取得するスキルはいちいちピーキー過ぎて足を引っ張ることもままあるし、特定行動で取得するスキルに至っては熱耐性・苦痛耐性を取得して満足している感がある。どうして捨て身戦法ばっかり磨こうとするの!?いやでももう中盤からは何の疑いもなく主人公が自分の手を捨てにいってたしなんかもうそれが基本戦法になっていたのでこれはこれで完璧なスキルツリーだったのかもしれない。いややっぱり色々とおかしいよ。

主人公が初期取得していた「鑑定」「アイテムボックス」なんて作品によっては隠れ鬼強スキルの代表格みたいな顔してることもある気がするんですが、絶妙に戦闘には使えないスキルとして調整されているの徹底している。一周回って普通のダンジョン成り上がりもののアンチテーゼなのか?とか思えてくるけど作者の人そんな難しいこと考えてないと思うよという言葉も脳裏をよぎる。調理用として購入したはずの中華鍋が無駄に強いのにまた笑ってしまった。

主人公とリスナーの掛け合いが色々と無責任すぎて面白かった

ダンジョン探索時に配信を行うのが強制になってる世界=死亡事故配信も少なくない……ということで、集まったリスナーがみんな人のリアルな生き死にを肴に酒飲めるタイプの奴らでヤバいし、なんなら公営放送が自ら生中継をしつつ面白半分でスパチャを投げつけてくる。現代日本をベースにした世界観なのに人の生命が軽いというか、とにかく倫理観が地に落ちすぎててやばかった。

でもそれ以上に主人公が絶妙にクズかつメンタル超合金かつ素の思考が狂気(※決して異常な状況下で狂ったわけではない)なので、全くシリアスになれないんだよなあ。事前講習を全部寝てて何も聞いてないあたりからお察しなのですが、結構自分を棚に上げてリスナー達を煽るし、いいこと言ったかと思えば即手のひら返ししたりもするし。でもこの主人公、クズで思考放棄しがちで頭おかしくても結構ギリギリの線でちゃんとしてるところはしてるというか、変にスジが通ってるから嫌味には感じないんですよね。もともとの配信のファンだったとはいえ、ダンジョン最下層に転送されたきっかけを作ったランカー配信者・ユキカゼが責められそうになった時の流れとか大変しっかりしていて好感度が高い。

無責任に酒呑みながら勝手なこと言ってるだけな一般リスナーと、それぞれの立場からたまに有用なアドバイスをくれる(6割位はしょうもないことを言ってる)コテハンランカー達と主人公がテンポ良い掛け合いをしているのがとにかく面白いお話でした。いやでも、普通に考えたらあまりにも四面楚歌かつ絶望的な展開で、もうちょっとシリアスになってもいいんだよ……!?

ラストの500層ボスモンスターくんの独白が面白可哀想すぎるし彼は泣いていい。


私はご都合主義な解決担当の王女である 7

 

新章突入でお待ちかね(!?)媚薬イベント発生───!!! 大人気7巻!
護衛の騎士クリフォードと偽の恋人になった私オクタヴィア。 すると父王が護衛の騎士をもう一人増やすと言い出した!  しかも相手は因縁の相手ルスト……まもなく諸侯会議も開かれるし、仕方ないんだけどすっごく複雑です!!  それに諸侯会議といえば、原作でも発生する媚薬イベントが──断固阻止すべく立ち回ったはずなのに、どうしてこうなった!?

護衛騎士であるクリフォードと偽の恋人になったオクタヴィア。ところが、父王にに呼び出されたオクタヴィアは護衛騎士をもう一人任命するよう迫られてしまう。しかも、新しい護衛騎士候補として連れてこられたのはあのルスト・バーンで……!?

父王カップル(?)の馴れ初め話が面白かった

新たな護衛騎士にシル様の記憶、そして諸侯会議に向けたあれこれ……本編もイベント盛り沢山だったけど、幕間で語られる父王イーノックと王配エドガーの過去の馴れ初め話が印象的でした。あくまで互いに恋愛感情のない夫婦関係、エドガーの妹でありイーノックの恋人であったアイリーンの死によって結ばれた、いわば「共犯者」同士の偽装結婚的ななにかを匂わせるふたり。普段はラブラブカップルを装いながらも実際の関係性は全く違う、殺伐としたもので……あっこれ私が好きなやつや…。

この世界が上位存在によって不自然に歪められた同性愛至上主義社会というのは以前にも語られていましたが、父とエドガーの話を聞いていると更なる何かがありそう。貴族が不自然に同性愛嗜好を持つ傾向があるというだけでなく、王が異性と恋愛すること自体が何らかの強制力によって許されないような何か……?うーん謎が深まってきたぞ。

それはそれとしていい加減未解決のフラグが多いな……

シル様の出自やクリフォードの関係性、兄王子セリウスの記憶の件、セリウスと同じく記憶を操作されたらしきデレク、弟アレクシスの変貌、結局味方なのか敵なのかわからないまま懐に滑り込んでくるルスト・バーン、見え隠れするヤールシュ王子の姿……なんというかクリフォード以外は誰がいつ敵対してもおかしくない──セリウス&デレク&アレクシスの問題の根本には同じ原因がありそうではあるんだけど──所々の問題が解決しないままどんどん他の問題が山積みになっていく感じは正直読んでいてあんまり気持ちよくない、もともと刊行ペースが早い作品ではないこともあって、新刊が出る度にこれどの話だっけ!?と混乱するようになってきたのも気持ちよくない。そういえばヒューと面会する話も今回何も進展しなかったな……。

今回明かされたイーノックとエドガーの話で語られた世界の強制力っぽい話も含めて色々気になる件が多すぎるんだけどとにかく本編の刊行ペースも展開もそんなに早くないので増えていく謎に対して速度が足りない感すごくて(とはいえこのシリーズ初期からそういう部分あった)、そろそろどれか一つでもなんとかなってほしいかも。偽恋人の件だけは決着したけど、意味深に積み上げられたフラグが多すぎるんですよね。

そして公式のあらすじではさもかし今回のメインのように描かれながら最後の最後で思い出したように滑り込んできた媚薬イベントの途中で次巻に続く。混迷していく謎に翻弄されつつラブコメはじまった主役二人!!ほんとこの作品、物語本線は面白いんだけど毎回悪い意味で「ここで切るの!?」ってところで切れるよなあ……。あらすじの書き方が悪いのか、本編の切り方が上手くないのか……どっちもか。

ところで今回、4巻以降長らく「電子限定」で発行されていた当シリーズが4〜6巻の紙本発売を経て遂に紙&電子の同時発売に戻ったのは本当にめでたかった。私は電子書籍派なので購入で困ってたわけではないんだけど、やっぱ紙での発行あるかないかって大きいから……。


ようこそ実力至上主義の教室へ 3年生編1

 

さあ、本当の実力主義を始めよう。
2年最後の「学年末特別試験」を経て、3年生をAクラスで迎えるにいたった堀北たち元1年Dクラス。だが最大の立役者・綾小路清隆がクラス移籍をしてしまう。堀北クラスの生徒たちは混乱と混沌の感情に陥るが――たった一つの残酷な事実がそこには存在していた。堀北たち3年Aクラスは、『綾小路清隆』に勝利せねば、Aクラスで卒業できない。 成長を見せる龍園とBクラス、綾小路のCクラスと一之瀬のDクラスに新たな繋がりが生じる中、3年最初の特別試験『全体、少数戦学力総合テスト』が発表される! Aクラスで卒業できるのはたった1クラス。頂点に立つのはどのクラスなのか! 待望の『3年生編』スタート!

最低のDクラスから這い上がり、3年生の始業式を悲願のAクラスで迎えた堀北達。ところが、担任の茶柱から逆転劇の影の立役者である綾小路が他のクラスに移籍したと告げられる。一方、リーダー不在となったCクラスに移籍した綾小路は、三学年初の特別試験を舞台にリーダーとしての器を試されることとなり……。

各クラスの新たなスタンスが透けて見える前哨戦が楽しかった

綾小路と新たなクラスメイト達の駆け引き、そして綾小路を失った堀北が周囲の人の激励や叱咤を受けて再び立ち上がるまで……綾小路と堀北、両者の視点から描かれる新しい物語が本当に面白かった!今回、綾小路の一人称と同じくらいの分量で堀北の一人称が適宜挟み込まれる形になってましたが、これって3年生編は綾小路清隆/堀北鈴音のW主人公体制だと思って良いのかな?堀北クラスのその後をどう描くのか気になっていたので今後も続く流れなのか気になる所。

そんなわけで綾小路が移籍したのは坂柳を失ってCに転落した旧Aクラス。移籍後初めての特別試験は「龍園クラスとの学力勝負」というAクラスにとっては負けるのが逆に難しいくらいの内容で……勝って当然の試験の「結果」よりも大半のクラスメイト達から値踏みされている綾小路がいかにして自らの能力の高さ・異質性を見せていくのかという「過程」が問われるお話だったんですけど、例によってこれ以上になく完璧に全員を手のひらの上で転がして自分の望み通りの展開を引き寄せていく展開が流石だった。

そして今回の特別試験、Cクラス側の事情を把握してこれまでの勝負に拘る姿から一転して「いかに綾小路に恥をかかせるか」という形で場外乱闘に徹する龍園、綾小路の「協力者」としてこれまでとは違った絡め手で堀北クラスを苦しめる一之瀬……と、各クラスの3年生編における新たな勢力図・スタンスが透けて見える展開なの超良かった。いやしかし一之瀬、一転してワルい女になったな……。

坂柳の退学で不安定になっていたCクラスを特別試験1回であっさり掌握してクラスリーダーの座を掴んだ綾小路。でも正直、今回一度も彼らを「Aクラスで卒業させる」とはいってない気がするんですよね。堀北クラスと拮抗するところまで持ち上げてやるとは言ってるが。2年生編ラストでも軽く言及されてたけど、綾小路って多分どちらかというと4クラスを拮抗させてヒリつく勝負をするのが目的みたいな……いやほんとうになんというか、人の心が中途半端に芽生えた結果これまで以上に人の心がないみたいななにかが……。

移籍をキッカケに一気に変わってしまった人間関係の中、これまでと変わらぬスタンスで「友人」として接してくれる石崎や明人の存在が唯一の癒やしでした。啓誠や須藤はもともとの評価が高かっただろうから厳しい気がする……あとガチで誤字じゃなかった平田の「綾小路くん」呼び……。

綾小路を失った堀北&周囲の面々の動きが今後とも楽しみ

一方、綾小路の不在を受け入れられない堀北は失意のまま一之瀬率いるDクラスと対決する特別試験に臨むことに。1年生編最初のツンツンぶりはどこへやら、一気に重い女化する堀北が印象的でした。いやまあ堀北って最初から重かったけど……堀北兄への依存が本人も無自覚なまま綾小路への依存にすり替わってたみたいな……。

素直じゃない櫛田や伊吹からの叱咤というか応援というか激励というかなんというか、そして軽井沢との対話によって綾小路への気持ちを自覚して……なんというか、1年生編の序盤で周囲の人間を見下して距離を置いていた堀北がこれだけ沢山の人から心配されて、その気持を受けて再起する展開はメチャクチャ熱かったし、少なくても今巻においては文句なしに「もうひとりの主人公」と言える立ち位置だったのかなと。個人的には素直になれない伊吹のどつき愛・挿絵が最高でした。いやなんなんだよあの可愛い生物は。

堀北のことなんだかんだでほっとけなさそうに見える反面で綾小路からの誘いに揺れる櫛田、いまだホワイトルームからの密偵として機能し続けていることを伺わせる七瀬……と不穏の種も多くて、今後どうなっていくのか楽しみしかない新シリーズ第一巻でありました。七瀬や天沢だけじゃなくて宝泉や椿・宇都宮など影が薄くなりかけていた下級生組も改めて絡んできそうなのは結構嬉しい。

ホワイトルーム関係では2年生編では大きな動きを見せなかった石上、綾小路の父親繋がりだと高円寺や鬼頭も絡んできそうだし、まだ見ぬ一年生がどのくらい絡んでくるのかも含めて今後が気になる。こっちの繋がりだと今回完全に空気化していた神埼とかもどう動くのか気になりますよね。シリーズ完結を踏まえると、ホワイトルーム関係は結構本格的に動きがありそうだよな。

というか椿の正体ひょっとしてあの子なんです……?0巻再読したくなってきた。