今日もだらだら、読書日記。

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脇役に転生した俺でも、義妹を『攻略』していいですか?

 

主人公登場までまてない! サブキャラ兄による妹ヒロイン救済!
気が付くと俺はゲーム『恋色に染まる空』のサブキャラ神崎栄司に転生していた。栄司は攻略ヒロインの兄である。つまり別に主人公がいるはずだ。ならば変に引っかき回さないよう、第二の人生を謳歌すべきかと思っていたが――攻略ヒロインである義理の妹・鈴那がとても辛そうなのだ。ゲームだと主人公に鈴那が救われるのは今から三年後。それまで鈴那は放っておくべきなのか……? ……いや、そんなの無理だ! たとえ主人公でなくても、兄である俺がどうにか鈴那を助けてみせる! サブキャラ兄によるヒロイン救済の奮闘がはじまる!

生前プレイしていたギャルゲーのヒロインの義兄、つまりゲームの脇役・神崎栄司に転生した主人公。本編の展開を変えるような行動は極力避けようと思っていたのだが……幼馴染から言われた言葉をきっかけに一念発起、心に大きな傷を抱える義妹・鈴那をゲーム開始前に救ってしまおうと決意する。

繊細で暖かな、兄と妹が家族になるまでの物語

「義妹を攻略〜」という強めのワードからは想像できないような、繊細で暖かな血の繋がらない家族の物語でした。タイトルからして不謹慎系のラブコメかなぁ……と思ってたんですよね。Twitterで流れてきた感想に「家族愛の物語」と書かれてなかったら手に取らなかったと思うんですが、手に取れてよかった。そして感想を流してくれた人に感謝。

前世の記憶を取り戻したものの「数年後に主人公によってヒロインたちが救われる未来」を自ら壊してしまうことを恐れていた主人公が、幼馴染である天宮和奏との和解をきっかけに自分が持つ全てを使ってできる限りのことをしようという方向に変わっていく姿が印象的でした。前世の記憶を取り戻したことによって生まれてしまった年齢を重ねた故の一種の諦観、死んだときの記憶を取り戻したせいで自身の中に生じた深刻なトラウマ……人生経験やゲームの知識が武器になる一方でそれらに足を取られることも多くあり……それでも、その一度死んだ経験こそが義妹が囚われているジレンマに答えを与えることが出来るというクライマックスがめちゃくちゃ良かった。転生によって得た物が決してチートにはならず、でも物語全体の鍵を握っていく……このあたりのバランス感覚がすごく上手かったんじゃないかなと思います。

少しでも会話の機会を増やしたり、一緒に遊んだり……不器用だけど懸命な栄司の行動によって少しずつ心を解きほぐしていく鈴那がとても可愛かったし、こんな可愛い子が妹になったら栄司(原作・現実含めて)が超絶シスコンになるのもわかる。「攻略(しあわせ)」というタイトルの通りに本来の主人公の代わりにゲームシナリオ内で解き明かされるはずだった義妹の心の傷を癒やす物語となっていたし、同時に前世の記憶を取り戻してトラウマを得た栄司こそが彼女や和奏と心通わせることによって少しずつ立ち直っていくお話でもありました。

ところで、元になったギャルゲーのシステムがめちゃくちゃ「ときメモ」を彷彿させるというか……ただのノベルゲームではなく育成・シミュレーション要素含んでるあたり一昔前のギャルゲー・エロゲー感あって懐かしかったです。いや私ときメモエアプで友人がGSやってるのを横で眺めてただけなんですけども!

幼馴染ラブコメとしても良かった〜!!!

鈴那の件で何かと相談に乗ってくれる、幼馴染にしてゲームヒロインのひとりである和奏。栄司がはじめの一歩を踏み出すきっかけとなったやりとりによってわだかまりを解消した彼女の存在は栄司にとっては自身の行動次第で未来を良い方に変えられるというなによりの証拠となっていたと思うし、なにより色々と鈍感で空気が読めない栄司にヤキモキしつつも親身になって相談に乗ってくれる和奏は流石に人気ヒロインの貫禄で、可愛かった。まったく幼馴染ラブコメは最高だな!!!!!

しかし、冷静に考えると人生二周目なのにあそこまでバレバレな幼馴染からの好意に気付けない栄司さんはマジで鈍感ってレベルじゃねーぞ!!!……じゃないですか……いや、3年後にはゲーム主人公と両思いになる女が自分のことを好きなはずないと思っているのかもしれないし、自分=前世でゲームをプレイした際の「完璧だが残念すぎるイケメン」というイメージが強すぎるのかも知れないし、自己評価が低すぎるのかも知れない(というかそういう描写は実際に多少ある)し、鈴那のことで手一杯で自分が周囲からどう見えているかとか和奏のことにまで気が回っていないというのはあるのかもしれないのですが……。1冊で綺麗にまとまっている物語で単巻完結と言われても違和感のないお話だったのですが、もし続編があるなら次はぜひ和奏との関係性をじっくり掘り下げてほしい。というか私が幼馴染ヒロイン大好きなので和奏編が読みたすぎる。

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少女星間漂流記

 

ふたりぼっち、安住の星を探し求めて宇宙旅行。
 馬車が銀河を駆けている。馬車を模した宇宙船が。  乗っているのは、この風変わりな宇宙船を造った科学者・リドリーと、相棒の内気な少女・ワタリ。  環境汚染で住めなくなった地球を後にして、二人は馬車を走らせる。目指すは、地球に代わる安住の星。  けれど、二人が訪れるのはどれも風変わりな星ばかり! 万物を生き返らせることができる神のいる星、運が良い人間ほど偉いとされる星、無数の図書館ばかりがある星……変わった星々に、二人の少女は翻弄されてしまうことも……。  「次こそ住める星だといいな」二人は今日も、広い宇宙を旅している。

環境汚染により住めなくなった地球を追われ、馬車を模した宇宙船に乗って旅をするふたりの少女・リドリーとワタリ。ふたりが訪れるのは少し変わった星ばかりで……果たしてふたりは、地球に代わる安住の地を見つけることが出来るのか?

安寧の地を捜して宇宙を旅する少女たちのSF短編ロードノベル

科学者であり高い知力を持つリドリーと人見知りだが戦闘能力は高いワタリ。ふたりの少女が互いのできないところを補い合いながら宇宙を放浪するお話。同レーベルの「キノの旅」を彷彿させる形式の、1話完結タイプの短編ロードノベルでした。

ふたり合わせれば知力も戦闘力も大人顔負けのふたりですが、それでもその旅路は安寧のものであるとは言えず……訪れた星の物語を淡々と描写するように見えて、そこに生きる人々(生物)の生き様に心揺さぶられていく姿が印象的でした。そこで起きた出来事に対し「なにもしない」というより自分たちの身を守る以上のことは「なにもできない」なんだよなあ。

個人的に特に印象に残っているのが『闇の星』で、言葉の端々からして明らかに罠っぽいのに相手が同じ地球人だったせいであっさりと騙されかけてしまうふたりがとても危なっかしい。頭脳担当であるはずのリドリーの最後の独白が胸に刺さりました。

ワタリとリドリーの関係性が良き

お互いに出来ないところを補い合う関係というだけでなく、主人公コンビであるワタリとリドリーが時折お互いに対して見せる巨大感情が大変良かったです。女女のクソデカ感情ラノベ、先日まとめを作ったばっかりなのに!!

描き下ろしの『焔の星』のクライマックスで見せたバディ関係の姿がもうめちゃくちゃ好きなんだけど、その一方でラストの『夏の星』でかつての故郷で失われた魂に惹かれるワタリとそれを気遣い敢えて真実を打ち明けた上で彼女に選択させようとするリドリーの姿がめちゃくちゃ刺さって……「私の秘密兵器」なんて所有物のように言う割に時々リドリーがワタリに対して負い目を感じているようにも思えるし、過去のふたりに何があったのかめちゃくちゃ気になりました。

いやでもそういうのはずっと匂わせるだけで続いていきそうな物語ではある。シリアスでミステリアスなふたりの関係性も良いけど、『甘の星』のような、ワタリの誕生日プレゼントを買うためにリドリーがひとりで奮闘するドタバタ劇もめちゃくちゃ可愛かったのでもうずっとこのままの関係性で居ろまである。

あとがきで作者さんが読者が買い支えてくれたら私は物語と共に永遠に生き続ける概念になるので地球が滅んでも続きが出ます(意訳)という話をしてるのがあまりにも強くて笑ってしまったんですが、実際に年1〜2くらいのペースで定期的に摂取したい物語だなと思ったので次巻も買います買いました(今)。

本好きに的確にぶっささりそうな『本の星』がTwitterで丸々公開されているので、気になった人はまずはここから!昨今の電子書籍と紙の本の違いの話とかも盛り込みつつ、本に興味がなかったワタリが本に興味を持つという短編です。オタクは自分の好きなものに興味を持つニンゲンの姿を見るのがめちゃくちゃ好きなんだよなわかる。

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VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた9

 

様子がおかしくなってしまった5期生・匡のために淡雪、動く!?
本当に多様なVTuberが所属する大手運営会社ライブオン。先輩とのコラボも終え、5期生もライブオンに馴染んできたと思いきや、アンチライブオンな生徒会長・匡がとある理由から病んでしまって!?

ダガーちゃんの件も落ち着いて5期生も少しずつ馴染んできて……平穏を取り戻してきたと思われたライブオン。ところが今度は、「アンチライブオン」を標榜する5期生・宮内匡が病んでしまった!?彼女のことをを心配したチュリリ先生は淡雪に相談を持ちかけるが、彼女はチュリリにも意外な提案をしてきて……?

相当センシティブな話してるんだけどその裏ではさぁ……

前巻に引き続き5期生の掘り下げ回。「アンチライブオン」の宮内匡が逃げ続けてきた自らの本質と向き合う話と、5期生に救われたチュリリ先生が改めて自分の居場所をライブオンにみつけるお話でした。

アンチを自称しながらも実はライブオンが大好きな宮内匡のアイデンティティの危機とそれにまつわる葛藤も面白かったけど、それ以上にチュリリ先生のお話が面白かったです。というか改めて思い出すと匡&チュリリ先生の話もなかなか難しいセクシャリティの話してるよな……聖様の件もそうだったけど、結構センシティブな所攻めるよなこのシリーズ。晴と淡雪からの提案で、匡とチュリリが他のライバー達の話を聞く……というコンセプトだったので、シリーズを通して変化してきたライブオンライバー達の変化、現在の素直な気持ちが知れるのも良かった。

お互いに依存して、支え合って生きているような状態だった5期生が三人とも別々の方向を向きながらもしっかりと自らの足で踏み出し、その反面これまで以上に一つにまとまるお話であり、いろいろな意味で綺麗にまとまってくれて安心しました。個人的には彼女達のありかたとは対象的な4期生の話が印象的で、仲は良いけれど一緒にまとまって何かをやるというのは少ない4期生……確かにな……。この直前に仲良しすぎる3期生組の体力勝負配信回と4期生のカステラ返信回入ってるの意図的だとおもうんですけど、割とイチャイチャ感の高い3期生ともまた違う感じなんだよな5期生組。3期生組は大人の女子会感が高いけど、5期生は若さがそうさせるのか女子校ノリなんだよな……。5期生、全員が開眼したところでどんな関係性になっていくのかがとても気になります。

そして裏でこんなに真面目な話をやりながら表(?)では突然淡雪個人の独断によるライブオンライバーの格付け始まったり(ギリギリを攻めたネタするなと思ったけど正直この格付けでSもらってもうれしくないんだよな……)、終盤はひたすらスイ◯ゲームやってたりと改めて自由が過ぎるぞこのシリーズ。個人的には淡雪がス◯ゼロじゃなくてビールを飲むドッキリを仕掛ける回で死ぬほど笑った。いや冷静に考えてエーライちゃんの反応が普通だと思うんですけどその反応が異質に思えるほど他の面子にはドッキリ成功しちゃってる(?)の面白さしかないんですよ。ダガーちゃんに仕掛けたときの試合に勝って勝負に負けてる感、どこにもツッコミがいない感じで腹筋がツラいしダガーちゃん可愛い。

次巻で完……結……?

それにしても、匡とチュリリ先生で2冊使うかと思っていたのを一気に掘り下げるなと思ったら次巻完結とのこと。短編の寄せ集めのようで結構しっかりとしたストーリーが存在するこのシリーズ、いろいろな意味で終わりのないライバー達の物語にどういう決着をつけるのかとても気になるし、最終巻ではいよいよなんか凄いことがあったらしいことしか明かされてこなかった淡雪のライブオン入社面接の様子が明かされるようでそちらも楽しみだし、ようやくライブオンの中に居場所を見つけた5期生3人の配信も改めて拝みたい。というか前巻で問題を解決したダガーちゃんのカステラ返信回がめちゃくちゃ良かった(とても可愛かった)から残り2人分も見たい。

……いや冷静に考えてストーリーを終わらせるだけなら5期生掘り下げが一段落した今いつでも終われる感あるけど、配信でみたいエピソードを考え始めるとやっぱり残り1冊じゃ全然尺足りないでしょライバーの配信回だけ集めた短編集とかシリーズで出しません?文庫書き下ろしシリーズだったら絶対ドラマガに描き下ろし短編連載してシリーズ化してたとおもうんですけど、Web小説はその辺で結構縛りあったりするらしいので難しいのかな。

問題解決後の5期生でもうちょっと尺取ってほしいし出番が減りがちな4期生以上の話ももっと見たいんだよなぁ〜〜〜。

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悪の令嬢と十二の瞳 〜最強従者たちと伝説の悪女、人生二度目の華麗なる無双録〜

駄犬
 
saino

やり直しの裏に隠された秘密とは――
公爵令嬢セリーナは王太子から婚約破棄され、服毒刑にて人生を終えた――はずだったが、何故か巻き戻り二度目の人生がスタート。 ちなみにあれは冤罪だ、とんだ冤罪である。 だって「ちょっと聖女の頭めがけて植木鉢を落としただけ」で「殺してはいない」のだから。 前回の敗因は有能な部下がいなかったこと。 であれば今度は拠り所のない孤児を引き取り暗殺者に育て上げ、自分をコケにしたやつら全員をぶちのめすのだ! こうしてセリーナの従者育成計画が始まるが、過酷な訓練を経て仕上がったのはある意味(・・・・)最強の従者たちと番犬で!? 「我々はセリーナ様を愛しているか?」 「生涯忠誠! 命を懸けて! 忠誠! 忠誠! 忠誠!」 「セリーナ……、“あれ”はなんだね?」 「お父様、彼らは従者としての使命を前に、ああやって気を引き締めているのです」(すまし顔) 人生二度目の倫理観ぶっ飛びヒロインが征く、ちょっぴりおかしな逆行転生×悪党×勘違い英雄譚!

ちょっと聖女に「意地悪」をしただけなのに、「なぜか」王太子から婚約破棄されて処刑されてしまった公爵令嬢セリーナ。なぜか少女時代に戻って人生をやり直す機会を得た彼女は、こんどこそ破滅の道を歩まないよう努力することを決意する。そう、処刑の際に力付くで取り押さえられて助けてくれる部下も居なかったから死の運命を回避できなかった……それならば、自らの肉体を鍛えて対抗できるようにして、更には自分の危機となれば命を差し出しても助けてくれる忠実な部下を育成すればいいのだ!!……と。

死に戻りではなく精神年齢で変化していく価値観の描写がリアル

処刑されて人生をやり直すことになったものの色々と懲りない主人公が今度はもっと狡猾にやりたい放題やろうとするお話。作者さんの作品で読んでいるものが「誰が勇者を殺したか」しかなかったのでこちらも結構シリアスな感じの物語かなと思っていたのですが、どちらかというと懲りないセリーナの無茶苦茶な行動や、悪意を持ってやったことが微妙に斜め上の方……本人の望まぬ方面に解釈されてしまって予定が少しずつずれてしまったり一周回って本人の意図しない形で思惑通りになってしまったり……が楽しいお話でした。最後まで読んで物語の全体像を振り返ると普通にシリアスで重たい話をやっているんですが、それを重くみせない軽妙な展開が楽しかったです!

一度死んだくらいでは揺らがなかったセリーナの価値観が、精神の成熟・老成とともに変化していくのがなんというか生々しくて良かった。いや確かに、死んだくらいで倫理観変わらないよなと思うし(死んだことないからしらんけど)その一方で10代の頃の価値観と40代で持ってる価値観って明確に違うんですよね。良く言えば成熟するし、悪く言えば「枯れる」。転生物でよく言われる、精神は3〜40代を迎えているはずの人間が10代の価値観を持ったまま人生をやり直していく違和感みたいなのが全然なかった。

犬嫌いにとっての犬の描写がリアルすぎて共感しました!(犬苦手)

そんなこんなで彼女の未来の従者(=処刑されそうになったとき肉盾になってくれる心無きマシーン)にするため引き取られた孤児院の鼻つまみ者の子供たち6人が、セリーナが又聞き知識で作り上げたハート◯ン軍曹もビックリの地獄の特訓に晒される。最初は不満たらたらだったけど、実力をつけていくうちにいつのまにか「何者でもなかった自分をひとかどの人間にしてくれたセリーナ」へ恩義を感じ始めて心から忠実な従者になっていく……というちょっとしたすれ違い展開も楽しかったのですが、なによりセリーヌが子供たちに育てさせた犬(※絆が生まれたところで殺して子供たちの心を殺すつもりだったが色々目算違いが起きて殺せなくなった)への反応がリアルすぎて笑ってしまった。セリーナの犬嫌いの描写がリアルすぎる。なぜか犬を苦手としてる人間にジャレつく犬の描写わかる〜〜!!!し、すっかり犬好きになった子供たちがセリーナが本当は犬好きだと誤解してこっそり彼女に犬をけしかける展開が犬好きの傲慢〜〜!!!という感じでめっちゃ好き。そうなんだよ、犬嫌い(苦手)ってみんなこうだし犬好き・猫好きのやつらは全世界の人間が犬猫好きだと思ってるんだよな。そんなことないよ。あとがきで作者さんも犬が好きではないと仰られていてなるほどな……となってしまいました。

……ただ、犬が嫌いというだけの話に留まらず、嫌いだと思っていた犬のことを長く触れ合っているうちに「嫌い」とまでは言い切れない複雑な絆が芽生えていったり、なんだかんだ別にお前らに死んでほしいわけではない、どちらかというと死なないでほしい、くらいに情が芽生えていく描写まで含めて本当にわかるすぎて……。

セリーナの視点だけでなく、6人の子供たちのまなざしを加えることで全体像が見えてくる物語がとてもおもしろかったですし、セリーナが「なぜか」少女時代に巻き戻ってしまった理由をはじめ、物語に散らされた些細な違和感・伏線が最後の最後で一気に明かされていくラストはとても気持ちよかった!……と思わせておいて最後の最後で明かされるアレさあ!!いや本当にそこまで読んで全てに納得がいったという感じだったけど!!!

しかしひとつだけネタバレをすると犬が死ぬ話なのでそういうのがダメな人は読まないほうが良いという注釈は入れておきます。なんかツイッターでそこは教えろって話をよく見るのでな……。

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このラノベの女女間の巨大/複雑感情が好きだ!

同性間のクソデカ感情の話が好きだ。普段は男男間のクソデカ感情をこよなく愛していますが性別は問わない女女もやぶさかではない!という気持ちで前から以前作ったまとめの女性バージョンをやりたいなと思っていたんですが、最近「悪役令嬢の中の人」がバズったりしてちょくちょくその手の話題を見るので今しかない!!と自分の好きな作品を簡単なジャンル分けしつつまとめました。

↓あわせてどうぞ↓

タイトル通りの記事です。 このラノベの男同士のクソデカ感情いいよね!!というタイトルを独断と偏見で25タイトル紹介します。長年まとめ記事作るよ作るよって言い続けて気がついたら...

悪役令嬢・悪女

まきぶろ「悪役令嬢の中の人」→感想
…わたくしはただ、エミならしていただろうことをやっただけよ。
推しだった悪役令嬢レミリアに憑依転生したエミと、彼女の憑依体験によって愛を知ったレミリア。エミの持っていた異世界の知識を得たレミリアが本質・悪のまま、「エミのレミリア」として徹底した善性を演じながら復讐を完遂していく展開が良かった。定期的にレミリアが見せるエミへの執着、彼女以外の登場人物への酷薄なコメントがたまりません!
永瀬 さらさ「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」→感想
引き抜け。自分はプレイヤーだ。アイリーンを、自分が選んだ主人公を勝たせる、プレイヤーなのだ。
前世の記憶を取り戻し破滅回避を目指す悪役令嬢・アイリーンと、遅れて記憶を取り戻したヒロイン・リリア。記憶を取り戻してからはあくまで「ゲームプレイヤー」としての立場を貫くリリアが同じ転生者であるアイリーンへ向ける執着、悪役令嬢よりもずっと「悪役」らしく振る舞う彼女がアイリーンの生き様に触れ、真実の愛に出会って「ヒロイン」に戻っていく姿が印象的でした。いや悪のヒロイン・リリア様ほんと最高なんだ……。
中村 颯希「ふつつかな悪女ではございますが 〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜」→感想
──あなた様こそが、わたくしの、ほうき星なのです。
病弱なこと以外は完璧な雛女・玲琳と彼女を妬む嫌われ者の鼠姫・慧月。呪術によって入れ替わってしまったふたりが陰謀だらけの雛宮で様々な事件に立ち向かっていく物語。一応ヒーロー的な存在はいるけど、本質は女女のバディ物なんだよなあ。真逆のふたりがお互いの持っていない部分に憧れ合う展開が大変楽しく、徐々に明かされていく玲琳の複雑な内面が印象的でした。

親友・ライバル・相棒

うえお 久光「紫色のクオリア」→感想
ただし、あたしは決して、ゆかりを忘れられない──だから。こんな世界は、必要ない──
自分以外の人間がロボットに見える少女・毬井ゆかりと普通の女子高生・波濤マナブ。過酷な運命に翻弄されるゆかりを救うため、彼女から与えられた異能を駆使してマナブが永劫の時を駆け抜けるすこし不思議な物語。前半のゆるいやりとりからハードな時空SFになる展開がたまらなく面白い、ゼロ年代の大傑作なので未読の人はみんな読んで欲しい。あとコミカライズが最高です。
二月 公「声優ラジオのウラオモテ」→感想
忘れてないでしょうね、歌種やすみ。あなたのライバルは、夕暮夕陽だってことを。
デビュー3年目で声優としては曲がり角の「歌種やすみ」と新人実力派声優・「夕暮夕陽」。実はクラスメイトだったふたりがお互いのない部分に憧れながら最強最大のライバルとして実力を競い合う物語。主役二人のライバル関係がとにかく心地よく、周囲の力を借りながら成長していくやすみとやすみからの憧憬に応えるために独りで抗う夕陽という関係性も良かった!
谷尾 銀「ゆるコワ!〜無敵のJKが心霊スポットに凸しまくる〜」→感想
彼女と一緒ならば、何だって楽しい。退屈ですら楽しいのだ。
元柔道部の女子高生・桜井梨沙と悪魔的頭脳を持つ茅野循の女子高生コンビが怪異やヒトコワ案件に自ら飛び込んでいくホラー小説。循が時折覗かせる梨沙へのわかりにくい好意と執念、その好意を全て理解した上で彼女との関係を楽しんでいる梨沙という関係性が良かった。「黒津神社」の後味の悪さが最高に好き!!
橘 公司(Speakeasy)「いつか世界を救うために -クオリディア・コード-」→感想
そう。ほたるは夢の中でずっと──舞姫に手を伸ばし続けていたのだ。
天河舞姫と凛堂ほたるの過去の「約束」と「再会」の物語。最強のガワの中に年齢相応の脆さを隠し持つ舞姫と彼女のための「剣」としての在り方を貫くほたるという関係性が大変良かったのでアニメも合わせて観てほしい。なお、この物語にネームド男性キャラは登場しないのでそこを頭に入れて読んでください。ほたると舞姫の幼馴染百合も良かったけど、私は利害関係からはじまる真里香と來栖の百合が好きです。

ジャンル越境(文芸より)作品

新井 素子「あなたにここにいて欲しい」
あなたにここにいて欲しかった。欲しかった。すでに過去形。
少し不思議な能力を持つ祥子といつも一緒だった幼馴染の真美。祥子のことなら何でもわかっていると思っていたのに、祥子は自分と同じ異能を持つ女性と出会ってから様子がおかしくなって……共依存だったふたりがお互いから脱却して新たな関係性を築いていく物語で、本音をぶつけ合うクライマックスが最高に好き。
桜庭 一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet」
あたしは藻屑にはまっていた。かわいそうで、苛立たしくて、きれいで、汚くて……。
田舎で理不尽さに抗う少女・山田なぎさと都会から転校してきた不思議な少女海野藻屑。未だ幼い少女ふたりが織りなす現実からの逃避行劇。『砂糖菓子の弾丸』という言葉の通りのふわふわと甘ったる藻屑とのやりとりと、戻ってきたなぎさを迎え入れる少しだけ優しくなった世界の姿が印象的でした。ミステリー文庫時代のイラストの表紙好きだったんだけどなくなっちゃったんだよな……。

百合・恋愛関係

七斗 七「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」→感想
「好きになりそうはもう好きなんよ!手遅れなんよ!好きなら私のこと落としに来いよ!」
下ネタ担当の2期生・聖様を中心にした物語がとても良かった。女性だけのVtuber企業という閉じた虚構の世界を舞台にした物語の中で性的マイノリティの話に触れてくるの凄く印象的だったし、コンプレックスを克服し想い人と相思相愛になった聖様がただのバカップルになるの大分面白かった。他にも様々な形の女同士の関係が描かれているのでそういうのが好きな人にもおすすめ!
向坂 氷緒「384,403km あなたを月にさらったら」→感想
四月までの私は、月の海にひとり。理世のいる地球に焦がれて、いつもひとりきりで宇宙を見上げていた。「……地球って、すごい」
最後に、TLレーベルから本番ありの百合作品を。かつて愛した幼馴染の女の子を追いかけて女子高に入学したら、彼女は破廉恥な噂のある「魔女先輩」の「お気に入り」になっていて……というお話。自分をクールだと思っているけど色々と抜けてる主人公が状況に翻弄される姿が楽しく、そんな彼女を小悪魔のように翻弄する幼馴染とのやりとりが大変可愛い、エッチな百合作品でした。

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異世界召喚されたVチューバーですが、皆様コメントで助けてください!

 

百合が会社から帰宅すると、同居の兄のPCにVチューバーのアバター画面が。 「お願い、世界を救ってほしいプカ」 コマンドウインドウにうっかり「はい」と答えたとたん異世界に飛ばされ、Vチューバー「聖乙女・オト」としてモンスターと戦う羽目に! この世界では、コメント数や投げ銭に比例して聖乙女の魔力が増すらしい。 騎士団長のヴァーミリオンの護衛のもと、コメント欄に常駐するネット廃人たちのコメントを煽りながら命がけでモンスター討伐に挑むオト。 チャンネル登録者数一ケタの弱小Vチューバーは果たして世界を救えるのか!?

引きこもりの兄がやっていたVtuber「絶対正義☆聖乙女」のガワで異世界に召喚されてしまった普通のOL・百合。彼女の異世界での行動は全て現実世界に生配信され、配信への反応が「聖乙女」として戦うための力となるらしいのだが……!?

頼れる仲間はみんなクソ。ハードモードだらけの異世界召喚ロマンス!!

人の良さだけが取り柄の主人公・百合=聖乙女オトが異世界に召喚され、クセしかない周囲の人々に翻弄されながら配信で力を集めてなんとかかんとか魔物を倒しつつ現実世界でスパチャを集めて兄のこしらえた多額の借金を返済しようとするお話。

いや〜面白かった!まどマギ以後の魔法少女ものでよくみる「信用できないマスコットキャラ」、異世界召喚ものでちょくちょくみる「主人公を使い潰す気満々で召喚した王族」、更には配信・掲示板モノの「便所の落書きみたいなことしか言わないクソコテ」…………各ジャンルからクソキャラを集めて悪魔融合した結果、頼れる仲間だと思ってた奴らはみんなクソみたいなハードモード異世界召喚になってる。

ただひとり傍流の王子である騎士団長ヴァーミリオンだけは親身になってくれるし、コバルト文庫なので彼との少女漫画のラブロマンス的な展開も当然あるのですが、チャンネルとしてのジャンルはむしろ底辺男性向けなので彼といい雰囲気になるたびに生配信が盛り下がるんですよね。女性向け異世界ファンタジーとしてのヴァーミリオンはめちゃくちゃ頼りになるイケメンだけど、男性向けの異世界召喚系動画配信モノとして見ると最早障害でしかなくて、この辺の女性向けと男性向けの需要の違いで話が噛み合わずにチグハグになってしまうのめちゃくちゃ面白かったしやっぱりこの作品の登場人物誰も信用できねえなってなった。ヴァーミリオンは悪くないんですが……。

そんなハードモードすぎる異世界召喚生活の中でヴァーミリオンと距離を縮めていく傍ら、持ち前の人の良さで少しずつ兄のチャンネルに常駐しているクソコテ達と仲良くなっていく百合。ネット世界でも鼻摘まみにされて同じく底辺だった兄のチャンネルにしか居場所がなかった、社会不適合者の3人が「中の人」の変化に戸惑いつつも最終的にオトの力を集めるために必死に行動してくれる展開には胸が熱くなったし、事故で弱視となった幼馴染のために朗読を磨き続けた百合が「聖乙女オト」になりきることで震える心を押さえつけて凛々しく立ち上がるクライマックスはめちゃくちゃ良かった!!

……とはいえ、今回のアレコレで集まったスパチャ額は微々たるもの。チャンネル登録者数も大して増えてない……みたいな状況なのは相変わらずで、色々な意味でこれどうオチをつけていくのか。もうチャンネルの方向性の不一致をなんとかしないとどうにもならない気がするし、そこにテコ入れしたらテコ入れしたで今回仲良くなったコテハン達には住みづらい世界になってしまうんだろうし、配信タイミングも基本的に制御できないので難しいよなあ。失踪したままの兄の行方も気になるし……ほんとうにどうなる?

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魔術師クノンは見えている 6

 
Laruha

絶対に売れると思う――後輩と開発した新魔道具にクノン自身も太鼓判!?
調和の派閥のシロトから、禁忌の学問「造魔学」の共同実験に誘われたクノン。だがその前に、後輩セララフィラの金策と進級用の単位取得、二つの課題が立ちはだかる。 そこでクノンはそれを同時に解決すべく、新魔道具の開発に着手。魔力を流すだけで家が建つ――魔建具と命名されたその発明は、予想を上回る大型契約へと繋がって……? さらにゼオンリーの過去編、魔術学校の問題児だった頃の活躍を、三万字超の大ボリューム書き下ろしで収録!

神花行方不明事件のすぐあと、後輩のセララフィラから金策の相談を受けたクノン。土属性の魔術師である彼女と実現できそうなアイデアがあり、共同研究を持ちかけるが……「魔建具」と名付けられたそれは時代を変える可能性すら秘める大発明で……!?

人が沼に落ちる様子はいつみても健康に良い

セララフィラの金策回がとにかく面白かった!!もう2年生編のもう一人の主人公と言っても過言ではない気がしてくるくらい彼女の魔術師としての成長物語が面白い。クノンが聖女レイエスや同期達の金策を手伝う回も似たような面白さがありましたが、あくまで「魔術師」というよりも普通の貴族の少女であったセララフィラが前巻から引き続き魔術という深大な「沼」に足を取られてズブズブと沈んでいく様子が最高に楽しいんですよね。次々と湧いてくる魔術のアイデアに夢中になり、同時に自らも足を踏み入れたからこそわかる先輩たちの凄まじさに圧倒され、自らも同じ所に行くため足掻きはじめるセララフィラの姿にニヤニヤが止まりませんでした。すっかりガーデニングオタク(ガーデニングではない)と化した聖女の現在も踏まえて、色々な意味でセララフィラが今後どの方向に進化していくのか期待が高まりすぎる。

そんな彼女を夢中にさせたクノン発のアイデア「魔建具」──土属性の魔術を使って持ち運び可能で後処理も簡単な簡易拠点を建てるという道具、たしかに考えてみるとそんなに難しいことしてないんですけど、逆にこれだけの画期的なアイデアを初級魔術だけで構成してしまうの本当にクノンの発想力がヤバすぎるんだよな。セララフィラの侍女・マイラがクノンの提示した金額で泡吹いて自らギルドとの商談を請け負う流れに笑ってしまったんですけど、実際クノンはその技術が与える影響は理解していても自分の発想力がそこまで突飛なものだと思っていないわけだし、まあ過小評価気味にもなるのか……。これはクノンの話を聞いたリンコの語彙が「稼」ばっかにもなるし、祖国も悲鳴上げていよいよゼオンリー送り込んでくるわけですよね仕方ないね。

本編と過去編踏まえて、色々と謎が深まってきたな

そして書き下ろしの番外編は前巻に引き続きクノン第二の師・ゼオンリーの学生時代、災約の呪詛師アイオンとの2ヶ月間の同居生活のお話。ひたすら研究に夢中なゼオンリーと、彼と一緒に暮らすうちになんだかんだでゼオンリーのことを意識しまくっているアイオン、そしてなんだかんだで深まっていく同期達との関係性も微笑ましくて面白かったんですが、過去編で明かされた事実と本編でさりげなく提示された謎を踏まえると色々なにかがこう見えてきそうで……今も学園都市に居るといわれているアイオン、そして「光属性」……なんかクノンが前巻から気にしてる人がひとりいらっしゃいましたよね……いや本人なのか関係者なのかはわからないけどさ……。

ゼオンリー来訪……というか祖国ヒューグリア王国が彼を派遣した意図、久しぶりのミリカ殿下との再会はどうなるのか(女性問題でガン詰めされるのか有耶無耶になるのか)、ついに進展しそうな『眼』を作るというクノンの目標……色々な意味で続きが気になる!!

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声優ラジオのウラオモテ #11 夕陽とやすみは一緒にいられない?

 

2024年TVアニメ放送!高校卒業が間近な声優青春ストーリー第11弾!
『ここで番組から大切なお知らせがあります――』  一月も終わり、別れを象徴する桜の季節がやって来る。  ラジオの企画も思い出を振り返るものが多くなっていく中、ふたりはお互いの進学先すら聞けていなかった。  順調すぎる声優業とは裏腹に、相方と離れ離れになってしまう未来にどこか不安を覚え始めている由美子。その一方、悩みを振り切った由美子の成長や、共演する結衣の底の知れない実力に、背後に迫るライバルたちの気配を感じ焦燥に駆られる千佳。  変化を強いられる卒業シーズン、ふたりの関係は果たして!?  2024年4月TVアニメ放送の声優青春ストーリー、第11弾!!

大学受験を控えた高校3年生の三学期……由美子が出演したアニメ『マオウノユウタイ』が予想外のヒットで覇権アニメに。喜び以上に戸惑ってしまう由美子だが、そのせいで千佳とはどこかギクシャクした関係になってしまう。一方の千佳は「歌種やすみ」がやっと世間に認められたことを喜ぶ反面、彼女や後輩である結衣の成長を脅威に感じていた。お互いの進学先も聞けないまま、自由登校に突入してしまったふたり。そして「コーコーセーラジオ」も一区切りを迎えることに……一体どうなる!?

結衣コーハイがラスボスすぎて最高だった

偶然声優ふたりが同じ学校のクラスメイトに……からはじまった「声優ラジオのウラオモテ」、高校生編のクライマックスともいえる今巻。卒業を前に千佳との関係性が変わってしまうことを恐れる由美子と後ろを歩いていたはずの結衣ややすみの存在を背後に感じて思い悩む千佳。それぞれの場所で思い悩む二人の奮闘がアツくて最高に面白かったです!!それにしても(短編集含めて)シリーズ12巻目でやっと世間に認知されたのか歌種やすみ。本当に長かったな。

今回は何より、「歌種やすみが憧れた『夕暮夕陽』であるため」に敢えて孤高の道を往く渡辺千佳があまりにもよかった……後輩である高橋結衣を超えた演技をしたい夕陽が自分に足りていなかった「魂」の演技を引き出そうとしてやすみの見ていない所で奮闘するクライマックスがアツすぎるし、結衣と戦ってる筈なのに気がつけばやすみと対峙してるの最高すぎるんですよね……。天才型の結衣コーハイが遥かな高みから「夕陽先輩はこんなものじゃないですよね?」って圧掛けてくるのあまりにもコワすぎるしラスボスの貫禄がありすぎるんですが、だからこそ夕暮夕陽にとっての「歌種やすみ」という存在のどうしようもない大きさを思い知らされるお話でした。由美子の活動休止中を描く、前巻から続く夕暮夕陽が主体のエピソードの完結編として最高に盛り上がる一冊でした。

そして、二人を待ち構える高校卒業という人生の一大イベント。もう延々と千佳の進学先がぼやかされてるところからしてエピローグそんな予感はありましたが〜〜〜!!でも、互いの進路がわからないからこそ、ふたりがお互いの関係性を見つめ直してその大きさを改めて実感した上で「学校が離れても時々しか会わなくなっても互いに声優であるかぎりこの関係は変わらない」という決意ができたわけで……ふたりが声優として成長するために必要な儀式だったと見て取れなくもないよな。声優ラジオの話もそうなんだろうな〜〜知ってた〜〜!!でもちょっと心配してた〜〜!!!

次巻は環境を変えて仕切り直しの大学生編開始──とおもいきや最後の最後でめちゃくちゃな爆弾投下してきた!!???いや、もうそれ展開によっては高校卒業なんかよりも圧倒的にそのまま最終回巻迎えそうなクソデカエピソードじゃない!!???由美子が憧れ続けたあまりにも大きな「夢」への挑戦、本当に次巻どうなってしまうのか楽しみです。

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幼馴染のVTuber配信に出たら超神回で人生変わった

 

超神回から人生楽しい! 新人V男子の青春やり直しライブ配信!
 目標もなく大学にも進学せずフリーターを続けていた宮坂類。ひょんなことから、疎遠になっていた幼馴染の彩花に誘われ、彼女がVTuberとして活動する配信に出演することに。そして……よくわからないうちにその配信が超神回認定で大バズリしていた!  成り行きでVTuberデビューを果たした類は、V仲間と遊んだり、視聴者からイジられまくったり、好きなゲームをみんなに褒められたり――学生のころに得られなかった青春を取り戻していく。そしてもちろん、青春には可愛い幼馴染との恋愛がつきもので…… 「類はさ、昔から優しくて、かっこよくて、私にとっては今でもね――」  無自覚な超神回から人生逆転、新人V男子の青春やり直しライブ配信!

フリーターとしてなんとなく生きてきた宮坂類。疎遠になっていた幼馴染・彩花の家に遊びに行ったところ、Vtuberをやっている彼女の配信にゲストとして参加する羽目に!?その配信をきっかけに、彩花の所属する企業からスカウトされ……冴えなかった人生が一転、上り調子に!?

幼馴染ラブコメとしては面白かった

良い幼馴染ラブコメだった…!好意むき出しの幼馴染と満更でもない主人公のやりとりが可愛く、彼女との忌憚ないやりとりが視聴者にウケてスターダムをのし上がる……という展開も楽しい。自分に自信がなく、幼馴染からの好意にも気付けない主人公が配信者活動で成功していくことで彼女の気持ちに少しずつ気づいていく展開も良かったし。幼馴染が配信でずっと主人公の話をしていた……という設定からしてデビュー前からセット売りされているようなものだったので炎上もなく、ほとんどの視聴者がセットで推してくれるのも安心して読める。特に男性Vtuberモノというと過剰なまでに「男女関係で炎上」という展開が持ち出されるので、そういうのがないのは凄く新鮮で良かった。

ただ、個人的には幼馴染モノというよりも「Vtuberもの」を期待して読んだので配信モノとしての比重の低さ、というか描写の雑さが気になり……幼馴染とはすでに好感度MAXの状態なのであとは主人公がそれに気づくかどうかみたいなところあったので雑に両想いになってもそこまで違和感がないのだけど、配信者としての方向性も定まらないままなんとな〜くイジられキャラで配信やってたら収益化通り越して登録者数10万人突破、だったので流石にご都合展開を感じてしまった。ここせめて「収益化した」くらいで止めておいてくれたらそこまで違和感なかったのかなあ……そこまで爆発的に売れるならもう少し彼の配信にはこんな魅力があるよ!という展開をアピールしてほしかったなあ。なんか本当に彼がどうしてそんなに売れたのか読者の私側からするとよくわからないし、こんなどうでもいい描写で躓いてしまう自分が一周回ってツラい。

ゲーム配信がきっかけだったので実況が面白くてウケるとか、もっと色んなコラボを重ねて他キャラとのトークの上手さで跳ねるとか、なんなら幼馴染とのセット売りが凄くて二次創作男女的にめっちゃバズるとか……なんかとにかくそこまで人気出てるならもう少し実況者としての強さを見せてほしくて、そのへんが曖昧のまま登録者10万人!!幼馴染とも両想いで人生バラ色!!って終盤戦が都合良すぎて困惑してしまった。昔の新人賞作品にありがちな1巻に無理やり全要素まとめたみたいな駆け足感だったんだけど、これ原作Web小説なんだよなあ……。

個人的に男子V主役の配信もので「炎上」と無縁でしかも男女セット売りするVtuberものってマジで初めて見た(近いものは幾つか思いつくけど、どちらも炎上と完全に無縁ではない)ので配信ものとして過剰に期待してしまったところはある……炎上ものも好きだけど、男子V主体の平和な配信ものに飢えていたところはある、本当にラブコメとしては面白かったと思うので出会いが悪かったとしか……。

あと個人的に、初手で配信切り忘れ事故を起こしていたせいで終盤でコラボ配信終わった後に幼馴染と両想いになってイチャイチャお泊り……の展開中ずっと「今度は配信切り忘れてないよね!?(そこで切り忘れたら大炎上だぞ!!!!)」って思ってしまってイチャイチャ描写が全く頭に入ってこなかったので、配信切り忘れ必要だったか!?って思ってしまった。いや、主人公に早めに「素」を出させるために必要だったんだろうけど、別に切り忘れじゃなくても同じ展開はできたと思うんです……ラブコメとしては面白かったのに、最後の最後で「配信モノ」という要素に足を引っ張られて楽しみきれなかったのほんとツラい。切り忘れ、複数でタイトルに入ってるの見るし流行ってたんですかね……。

主人公が過剰に自信ない理由とか、配信でどう売れてるのかとかは続き読めばわかるのかなあ……その辺こそ無理してでも1巻に入れ込んでほしかったんだけど、そのへんの必要な要素が1冊に入れきれないのはマジでWeb小説の書籍化の難しいところですよね……。

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これが魔法使いの切り札 3.微笑みの公女

 

リクス、生徒会長に誘惑される!? 大人気学園ファンタジー3弾
容姿端麗・完全無欠の公女にして生徒会長・ルティル=エストリアが何を思ったかリクスを生徒会に勧誘!? 周りが騒然とする中、ルティルと幼いころからの知己らしいセレフィナが何やら不満顔で──

いまだ現在進行中で退学の危機のリクスに、エストリア公国の公女であり生徒会長のルティルが何故か急接近。彼女から生徒会に誘われて単位欲しさに快諾したリクスだが、彼女と入学前から縁があるセレフィラは不信感をあらわにする。一見穏やかな優等生に見えるルティルには、どうやら裏の顔があるようで……!?

生徒会の渉外やってるリクスの短編、超読みたい

いやルティル先輩良いキャラでしたね!おっとりした優等生──とおもいきや裏では目的のためには手段を選ばず甘い笑顔や魔力で周囲の人間を都合よく操る悪女、そしてその真実は……!?ということで、果たさなければならない目的のために《黎明の剣士》の能力を利用しようとリクスに近づいたルティル先輩が、これまで自分が利用してきた男達とは一味違ったリクスの行動に翻弄され、逆に頑なになっていた心を解かされてしまうというお話でした。予想以上に内心が真っ黒で男性不信状態のルティル先輩が予想外のリクスの行動に困惑しているのが面白かったし、リクスの裏表のない反応に少しつづ年頃の少女らしい心を取り戻していく展開が大変良かったです。しかし毎巻ヒロイン候補(?)が増えていくな。

今回はとにかくリクスの「傭兵」時代の経験が本領発揮、戦闘面でもそうですが、彼が傭兵団で培った人誑しぶりが遺憾なく発揮されているのめちゃくちゃ良かった〜。1巻は魔術を学ぶ学校に通うただひとりの魔術を使えない剣士、2巻では成績不良で何をやらかすかわからない問題児にしてトラブルメイカー……というように、問題児としての一面が強調されていて学園内で浮いてる描写がめちゃくちゃ多かったんですが、本来の性格は人懐こくて周囲を取りまとめる能力が高く(傭兵という特殊な世界の中であるとはいえ)世慣れした人物なんですよね。今回は“傭兵”でも“黎明の剣士”でもないリクス自身が後天的に培ったパーソナリティーが状況に綺麗にハマって、状況が上手く回ってるのが気持ちよかったです。

生徒会で「渉外」担当になった彼が暴力や権力には頼らず、学園の生徒達では思いもよらぬような方法(主に酒宴)で学園内のトラブルを解決していく姿は今回はざっくりとしか描かれていませんでしたがめちゃくちゃ楽しそうで、いつかしっかり枠を取って掘り下げてほしいです。というか今後も学園内のトラブル請負人家業続けてほしいし生徒会に所属できる2年生になってからでもいいのでリクスが学園内のトラブルを解決するのがメインの日常短編をドラマガでやって欲しい。ロクアカの現在の展開終了後でいいので……そういうの読みたすぎる……(でもロクアカも当分終わらないで欲しいという未練はめちゃくちゃにある)

バトル的にはリクスがひとつの壁を乗り越えて大きな成長を果たす回であったし、《祈祷派》というか祈祷魔法の恐ろしさを改めて感じさせられるお話でもありました。シノの前世の話も改めてそうだし、《祈祷派》に対して憎しみすら感じていたルティル先輩が祈祷魔法でああなっちゃうのは普通に恐ろしい。

そしてリクスはルティルとの戦いの最中、自らが使う“光の剣閃”のさらなる高みに辿り着き……自らを削ぎ落とし一本の剣とすることで完成するといわれる“光の剣閃”、そしてその先にある銀色の光──ってやっぱりアレっぽいんだよなあ……スターシステムで片付けるには類似点が多すぎるので、この辺どう絡んでくるのかも大変気になります。

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