今日もだらだら、読書日記。

魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜

 

偽りの魔王から世界を解き放つ--。「小説家になろう」の大人気作登場! 二千年の時を経て蘇った暴虐の魔王――だが、 魔王候補を育てる学院の適性――《不適合》!?
人を、精霊を、神々すらも滅ぼしながら、延々と続く闘争に飽き、平和な世の中を夢見て転生した暴虐の魔王アノス。しかし二千年後、転生した彼を待っていたのは平和に慣れて弱くなりすぎた子孫たちと、衰退を極めた魔法の数々だった。 魔王の生まれ変わりと目される者を集めた“魔王学院”に入学したアノスだが、学院は彼の力を見抜けず不適合者の烙印を押す始末。誰からも格下と侮られる中、ただひとり親身になってくれる少女ミーシャを配下に加え、不適合者(魔王)が魔族のヒエラルキーを駆け上がる!! 「小説家になろう」にて一年足らずで脅威の37,000,000PVを叩き出した話題作が登場!

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前から気になってる一冊だったんですがアニメ化を機に手に取りました。凄い綺麗にまとまっててしかも2巻が読みたいと思わせてくるシリーズ第一巻ですごくよかった。暴君のように見えて、どこかマイペースで仲間想い・家族思いな内面が見えてくるアノスのキャラ、好きだな〜。

2000年後に転生した魔王が繰り広げる人情味あふれる俺TUEEもの

戦いばかりの毎日を憂いて二千年後に転生した魔王アノス。ところが、二千年後の世界で魔法は大きく衰退し、実力よりも血統が尊ばれ、極めつけに「魔王」の名は別人のものにすげ替えられてしまっていた。魔王の生まれ変わりと目される魔族達を集めた学院に招かれたものの、アノスはただひとり「不適合者」の烙印を押され、学園の中で疎んじられる存在となってしまう。

圧倒的な力を持つ二千年前の魔王(の転生体)が、不適合者の烙印を押されながらも魔族たちの集まる学院の中で無双するお話。生まれた途端に自分で魔法を使って成長してしまったり、入学試験で対戦相手になった魔族をゾンビ化して兄弟で殺し合わせたり…と、“強い”展開の目白押しで俺様魔王の理不尽俺TUEEか!?と思ったのですが、読み進めてみるとどこかマイペースで情に厚い魔王アノスの行動倫理、本当の人物像が見えてくるのが印象的でした。

自分が舞台から消えることで人間と魔族の戦いを収めようとした魔王アノス。これに限らず暴虐の魔王という暴力的な二つ名に似合わず、かなり理性的に「魔族達の王」をしていたことが感じられるんだけど、その一方で「寝ぼけて都市を消し飛ばした話」を筆頭に魔王時代のエピソードの数々が一定確率で残念というか物凄く等身大の人間像らしさを感じて親しみが湧くというかいやウッカリで消し飛ばされた都市マジで笑えねえだろというか…。自分の後釜に遺した魔族達も名前付けないで放置したとか割と手口が雑じゃない?大丈夫??

あと「逆らうやつは皆殺し」「3秒以内に蘇生させれば大丈夫の3秒ルール」などの一連の魔王ジョークは前世でもジョークとして受け取られてない気がするんですけどこの人ひょっとして説明が下手で一部の部下に真意を理解されなくていらん恨みを買うタイプでは!?

ヒロインが主人公に惚れるのに説得力があるラノベは良作

入学試験で意気投合し、アノスが学園内で浮いた立ち位置になっても変わらず仲良くしてくれるミーシャ。そしてミーシャのことを「人形」と呼び何かと敵意を向けてくる、ミーシャの姉・サーシャ。物語のヒロインであるふたりがアノスに救われるまでの経緯がものすごく丁寧に描かれていて、そりゃふたりともアノスに惚れるよなって思えるのがとても良かったです。避けることの出来ない過酷な運命を背負ったふたりを救うため、アノスが奮闘するクライマックスの展開は本当に胸熱だし、出会っていくらも経たないふたりにそこまでアノスが親身になってあげられるのは彼自身が物凄く「家族の絆」を大切にしているからだとおもうんですよね。子供は親に愛情を注がれて育ってほしい、兄弟姉妹には強い絆があってほしい──という願いのような信念のようなものが彼の根底にあって、それを疎かにする者は許せないし、その絆が理不尽にも壊されようとしているなら手を差し伸べよう、みたいな。

というか、頻繁に挿入される実家でのアノスの様子がほんとに微笑ましい。魔王然として年相応以上の立ち振る舞いすら見せるアノスが実家では「まだ生まれて1ヶ月の可愛い坊や」として扱われているのが、正直かなり面白いんですけど、そんな両親をうっとおしく思うどころかミーシャやサーシャと仲良くなればいそいそと実家に呼んで母に手料理を振る舞わせるアノス、めっちゃ両親のこと好きだよね。最初に一人で学院にいこうとしたのも両親を気遣ってのことのようだし、息子のためであれば人間の世界から魔族の国まで付いてきてくれる両親も相当な親ばかだけどアノスくんも両親大好きすぎじゃない????(2回目)

学園内でのカーストやらなにやら割とシビアな展開も多かった中、ひたすら実家パートが癒やしでした。

きれいにまとまってる上に次巻への引きも忘れないシリーズ第一巻

ミーシャとサーシャの姉妹の問題を解決し、タイトルである「魔王学院の不適合者」という言葉への伏線まで最後の最後でしっかり回収していく、一冊ですごく綺麗にまとまってる1巻だった。その一方で魔王の名をすげ替えてかつてのアノスの部下を意のままに操っていた「敵」の存在も示唆されて、続きへの引きもわすれない展開がすごい。次巻も楽しみです。

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EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈上〉

 

『境界線上のホライゾン』の川上稔が贈る待望の新シリーズが登場!
気づくと現場は1990年代。立川にある広大な学園都市の中で、僕こと住良木・出見は、ゲーム部で8bit&16bit系のゲームをしたり、巨乳の先輩がお隣に引っ越してきたりと学生生活をエンジョイしていたのだけれど……。ひょんなことから“人間代表”として、とある惑星の天地創造を任されることに!? 『境界線上のホライゾン』の作中で言及される“神代の時代”――人類が宇宙に進出し神へと至ったとされる時代に人々は何を行なっていたのか? AHEADとGENESISを繋ぐ《EDGE》シリーズ! 「カクヨム」で好評連載中の新感覚チャットノベルが書籍化!

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巨乳の先輩とイチャコラしながらゲーム感覚で惑星のテラフォーミングをしたり、神話的世界の神々と相対したりする(多分)お話。良くも悪くも「川上稔の新シリーズ第一巻(上)だー!!」という感想だったんだけど、アイコンチャット形式の文章(ページデザイン?)が思った以上に作品の持つ会話文の応酬多めのテンポにハマっていて良かった。

テラフォーミング×世界神話大戦な新シリーズ

「終わクロ」以後「境ホラ」以前の時系列、“神々”の時代。宇宙に進出した人類はそのまま居住可能な惑星をみつけることができず、各国の神話的存在の力を再現することで惑星環境を整えることになった。主人公の住良木・出見は“人類代表”として日本神話由来の“神”であるパートナー・通称「先輩」(巨乳美女)と共に1990年を模したバーチャル立川で学園生活を送りながらテラフォーミングを行うことになるのだが……。

人類が居住可能な惑星を作るためにはどのような条件が必要か、というのを探りながらそこに既存の神々が持つ由来・権能に擬えて惑星を調整していく。パートナーである先輩は未だ強い力を持つ神ではなく、テラフォーミングをするためには他の神の力を借りる必要があるが、その惑星を彼女らが望む日本神話ベースの世界とするためには他国の神の力を借りすぎないことも重要になってきて──というゲームチックなテラフォーミングのシステムが物凄く面白そう。神話になぞらえて惑星を整備していく展開とか、彼らが仮初めの生活を送る地が基本的に「1990年の立川」という原則に縛られているところなど、その後の「境界線上のホライゾン」で行われる歴史再現のプロトタイプのような要素も感じられて、他シリーズを知っているとそっちの意味でもワクワク出来ました。ただのバカと思わせておいて、要所要所で的確な理解をする主人公のキャラも良いね。

しかもそこに、現在のところ唯一人類である住良木の持つ「信仰」の力を狙う他勢力の神的存在の思惑・妨害があったりするので、一筋縄では進まない。まだまだ今回は敵の顔見せという感じだったのですが、力を持つ古い神々と後発であるが故に先鋭化した神々の戦いの中にジョーカー的な感じで独自の展開を持つ日本神話がどう絡んでいくかというのも楽しみ。

良くも悪くも1巻はキャラの掴みを見せつつ物語の持つ複雑な世界観・行動目的を説明していく、本格的に盛り上がるのは次からだよという掴みの巻。テラフォーミング要素が物凄く面白そうだったので勿体ぶらずにもっと見せてほしい!というのがかなりあったのですが「終わクロ」も「境ホラ」も1上でまとめて難しい話しておいて1下がめちゃくちゃ面白い──というパターンだったんで楽しみにしてます。

主人公と「先輩」のイチャイチャが楽しい

全世界の神的存在がしのぎを削る中で何度も死亡してしまっている脆弱な人類代表の主人公。死ぬことはないが、その日のはじまるまで状況がロールバックしてしまうし、度重なる再生によって過去の記憶は曖昧になりつつあり──それでも、何度死んでも性別が変わっても、パートナーである先輩への信頼(信仰)だけは揺らがない。ちょっと重いバックグラウンドを持ちながら、ともすれば重くなりそうな物語を持ち前の明るさと巨乳信仰で吹き飛ばしていく主人公の姿が印象的。ていうかめっちゃカジュアルに性別変わるんですけど!?

一方で物語では語られないところで何度も主人公の死に戻りを経験している先輩、自らの出自が原因で自分に自信の持てない彼女が幾度となく彼と出会い直し、その度に揺るがぬ信頼を得て……人知れずすっかり好感度上がりきっちゃってるところににまにましました。1巻から既にカンスト気味の好感度も面白かったけど、ロールバックを繰り返しているせいで段々主人公の預かり知らぬところで雑になっていく出会いシーンに笑ってしまう。

あとこれは完全に個人の感想なのですが、舞台の半分が1990年代の立川ということで、東京郊外民としてはなつかしさしかなかったです。「立川オスロー」に「八王子そごう」…まさかこんなところで君たちの名前を見ることになるとは…何もかもがなつかしい…。

「アイコントーク」新しくも懐かしい物語のかたち

さてこのシリーズはかつてのアイコンチャットよろしく、会話文の前にキャラクターのアイコンが表示される「アイコントーク」という形式(※作者さんTwitterから引用)が採用されています。正直初めに見たときは「自転車に補助輪つけるようなものでは…そんなに優しくしてくれなくても!!」とか思っていたんですけどこれが思った以上にすごく良い…。

名前が大きな意味を持ち、対話相手や状況に応じて多彩に変化していく川上作品世界に於いて「アイコン」という文字情報に頼らない普遍的な情報が付与されるの、凄く合ってると思うんですよね。「名前」という情報に縛られず、この作品が本来持っているキャラクターたちの軽妙な掛け合いをストレスなしに楽しめるの良かった。そのぶん、地文での言及は最低限に絞られている印象で、公式でも「新感覚チャットノベル」と評されているけど個人的には「紙で読むノベルゲーム」に近い感覚でした。立ち絵があるやつ。

ところで電子書籍だとアイコンがカラーで表示されるのとアイコンが挿絵扱いで挟まれるせいで会話と会話の間がしっかり開いて凄く読みやすいので今後も電子書籍で買おうとおもいました。膨大なキャラクター人数と歴史再現やらなんやらで人物を示す情報が大量にありすぎる「境界線上のホライゾン」のアイコントーク版も欲しい。検討してほしい……(ネクストボックスは購入済みなので近いうちに読みます)

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悪役令嬢の怠惰な溜め息

 

私、婚約破棄します! 暴走悪役令嬢の勘違い王子粉砕ラブ(?)コメディ!
プレイ中だった乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私。だけどこの世界はすっごく暇だった! 「娯楽がなければ作ればいいのよ!」 前世の知識を活かして玩具や恋愛小説を生み出し、退屈な世界をバラ色にしてみせる! 王妃様お気に入りの実業家になり、これでシナリオを外れて素敵な未来が……と思いきや書いた小説のせいで破滅フラグがやってきた――!?

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乙女ゲームの悪役令嬢に転生した主人公が、退屈な世界を紛らわせるため前世の知識を駆使して新たな娯楽を生み出そうとしたり、ゲームのフラグ回避に奔走したりするお話。前世知識の曖昧・未熟な部分を周囲の力で埋めていく序盤の「娯楽作り」展開はめちゃくちゃおもしろかったんだけど、後半の内政干渉、無能王子をざまあする展開はちょっと合わなかったなあ。

転生令嬢、娯楽を所望する

乙女ゲームの悪役令嬢エセリアに転生してしまった元OLの主人公。娯楽のない新世界、退屈な毎日を打破するため、前世の知識を使って新しい「娯楽」を提案していく。シンプルでわかりやすい玩具に刺激的な小説、そして生活用品──彼女の生み出した物は徐々に評判となっていって…。

知識というか「アイデア」チートな展開が凄く面白かった!このお話、彼女が提案する“突拍子もない”アイデアを紆余曲折ありながらも最終的には彼女の考えた通りの形にしてくれて商流にまで乗せてくれるワーレス商会の存在がなければ成立してないんですよね。特に爪切り、あくまで一般人としての知識しかないエセリアの要領を得ない説明を聞いて皆が首をかしげているところに、意図を理解したクオールが職人としての立場からダメ出しをしてくれて、長い年月をかけて実用化してくれるという流れが好き。

新商品のプレゼンで苦戦すれば姉や他の人が効果的な売出し文句を考えてくれたり、口コミで広げてくれたり〜と、あくまで平凡な一般人でしかなかったエセリアが、周囲の力を借りることでチートをなし得ていく展開がすごく良かった。BL小説がめちゃくちゃな勢いで拡散されていくの笑ってしまう。

名声を落とそうとする目論見が全部裏目に出ていく展開が面白い

様々な商品開発に携わり、知る人ぞ知る存在となったエセリア。破滅回避のためにゲームとは違う行動を取っていたはずが、その名声が逆効果になってゲーム通り王子の婚約者にされてしまう。ゲームとは違い、横柄で傲慢な態度のグラディクトに違和感を覚えるが…。

王子の婚約者になってからはいっそ適度に変な事して評判を落として婚約破棄してもらおう!と思っていたのになぜかむしろ株が上がってしまう…みたいな展開に人知れず舌打ちしてる姿にニヤニヤしました。いや割と他の事は全体的にソツなくやっていくし彼女が上手くやれてない部分は周囲が上手いことカバーしてしまうのに、ゲームのフラグ回避活動に関してはポンコツというか、「なんでそれで回避出来ると思った!?」みたいなのが多すぎて落差で笑ってしまう。

ただ、元々エセリアのやり口・アイデアには割と抜けが多くて周囲に補ってもらうことでチートが成立している感があるので、エセリアひとりでやろうとしてるのに無理があるんでしょうね。王妃になったらこれまでの友人たちとおなじように過ごすことはできなくなることを見落としていたのはいかにも現代人の感覚だよな、と思うんですけど。

後半の展開はちょっと合わなかった…

乙女ゲームの舞台となる学園に入学したエセリア。同学年で入学したグラディクトとの溝は埋めようのないものになり、いよいよ彼女は周囲を巻き込み婚約破棄を画策し始める。

婚約相手である王子がわかりやすい差別主義者かつ絵に書いたような駄目王子なので、破滅したくないし結婚もしたくないからこっちから婚約破棄させてついでにこっちのやってることに口出されると嫌だから廃太子にしよ、って流れはまあわかるんですけど、割と学校に入学してから無能王子ざまあ的な展開が多くなってそこはちょっと苦手だった。ざまあ展開別に嫌いじゃないけど、これはなんかスカっとしない。あと内政に口出しするあたり、「それ、普通のOLがぱっと思いつく?」って展開が多かったように感じてそこも残念。物作りの展開が凄く絶妙に主人公の身の丈の知識で出来るよう違和感なく配慮されていたので余計に気になってしまったのは多分ある。

王子への攻撃が容赦なさすぎて、必死になってプレイしてたような描写が冒頭であるのにキャラへの思い入れとか全然なかったのかなって気持ちもある。キャラの性格変わってたせいもあるかもしれないけど、もうちょっとプレイした時の印象とか好きだとか嫌いだとかゲーム面白かったとかつまんなかったとか主観的な描写あっていい気がするのに不思議……。

1巻の時点で全く誰とも恋愛フラグ立ってないのは良い意味で男子向レーベルの強みだな〜!!とは思ったのですが、オタクとしてキャラの作り込みが甘い気がするんですよねこの主人公…コンテンツへの執着が感じられないっていうか。

うーん、前半の娯楽作ってるあたりは好きなんだけど後半の展開はちょっと合いませんでした。

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禁断師弟でブレイクスルー 〜勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い〜1

 
竜徹

勇者の息子と魔王の幽霊が師弟に!? 異色の異世界バディノベル登場!!
こいつと出会ってから……俺は―― 魔王を倒した勇者の息子であるアースは腐っていた。 結果を出そうが出すまいが、周囲から聞こえる声はいつも同じ。 「父親に比べれば物足りないな」もしくは「さすが、勇者の息子!!!」 色眼鏡で見られる日々に苛立つアースは、勇者の剣が収められた小部屋で運命の出会いを果たす。 『面白い。余が貴様を指導してやろう。暇だけはあるからな』 ひょんなことから出会った勇者の息子と大魔王の幽霊。 二人の出会いが、この国の、この世界の、この星の常識を覆していく……。

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「好きラノ」で見かけて気になった本その2。王道スポ魂のような修行描写、腐りかけていた主人公のコンプレックスの克服と成長がめちゃくちゃ熱い。彼の抱える葛藤を理解できない周囲とのすれ違いがどこまでももどかしいんだけど、「勇者の息子ではない自分」になるため、両親の最大のライバルである魔王とともに遥かな高みへ第一歩を踏み出そうとするラストがとてもよかった。面白かった!

魔王×勇者の息子の「最強バディ」が遥かな高みを目指す

魔王を倒した勇者二人の息子として、常に周囲からの強すぎる期待とプレッシャー中で生きてきた主人公・アース。どんなに努力しても評価されず、他の勇者の子供たちとの実力差を見せつけられる日々は着実に彼の心を腐らせていった。そんなある日、倉庫で眠っていた勇者の剣に宿る魔王の幽霊と偶然の邂逅を果たしたアースは、なぜか魔王から力の使い方を教えてもらうことに──!?

最初は片想い(?)しているメイドのサディスへの主にヨコシマな目的とかで上手いことモチベを上げられていって、そこから少しずつ、気が付けば自らのコンプレックスに真摯に向き合って行くアースの姿が印象的でした。全体の半分くらい修行の話してるんですけど、子供の遊びのような所から実践的な戦術に結びついていくトレイナの教え方がまた面白い。修行を通してこれまで流されるように父の跡を継ぐ道を選ぼうとしていたアースが自分は本当は何をしたいのかを見出し、その上でかつて強くなりたかった理由をも思い出して原点に立ち返って成長していく、ド王道な成長展開が楽しかった。

そこかしこで描かれる、周囲とのすれ違いが哀しい

「優秀すぎる親を持ち同じ道を歩まんとする子の苦悩」というのはわりと親子関係を描くお話では定番の題材だと思うんですけど、その葛藤を周囲の誰にも理解されず、それ故に少しずつ周囲からの純粋な好意をも信じられなくなっていったアースの苦悩がしんどい。トレイナとの修行は本当に楽しいのですが、その合間にもそこかしこで周囲とのすれ違いやコンプレックスを刺激させるようなエピソードが挟み込まれるのでますますもどかしい気持ちになる。そんな中でトレイナだけが自分を理解してくれて…となるので、ますます彼らとの心の距離が離れていく。

そんな周囲との軋みが表面化してしまうのが、手近な目標として二人が努力を重ねてきた御前試合。アースの成長と活躍が気持ち良い一方で、「勇者の息子ではない、俺自身を見てくれ」と必死に叫ぶ姿に胸が痛くなってしまう。しかもその叫びが、一番認めてほしかった大切な人々に、最悪のタイミングで拒絶されてしまうのだからもう。

特にサディスに関してはトレイナに弟子入りした時点でこの展開は避けられなかったのだろうなあと感じるのですが、フィアンセイなんかはちゃんと話をすればある程度は理解者になってくれたのでは…と思うのでそこが改めてもどかしい。アースの発言をいちいち勘違いして空回る恋する乙女ぶりは可愛くもあるのですが、それが全くの勘違いなので素直に喜べないこともあり。そして両親は本当にどうしてもう少し息子のことを理解してあげられなかったのか。

最悪の形で幼馴染達と、家族と離れることになったアース。それでもなお、自分を「勇者の息子」ではなく「アース自身」として世界中に認めさせるため、トレイナと共に遥かな高みを目指す──というラスト(と書いて「はじまり」とよむ)がとても良かったです。Web小説原作物は割と1巻の時点でオチてないものが多い印象なんだけど、本当に綺麗にお話をまとめつつ「長い物語のはじまり」として描かれているのがすごく良かった。

書き下ろしがめっちゃいい

書籍版描き下ろしが今回のお話をトレイナの視点から描く短編なんですけど、これが本当に良かった。アースと周囲の人達のやり取りに対して感じていたモヤモヤ感が見事に魔王の視点から解説されていて、改めてアースの境遇に胸が痛くなってしまう。特にアースの両親、愛情が無いわけではないけど親としてどこまでも未熟なんだよな…というかもういっそ愛情無かったほうがアースとしては割り切れたんじゃないかなこれ…。親子団欒の最中にアースが彼らの心からの言葉を信じられずに曲解してしまうシーン、魔王視点で描かれると改めて冷水を浴びせかけられるような衝撃が。

自分を倒した勇者の息子の境遇に共感し、敵であるはずの人間達の生み出した物語に熱中するその姿が人間味溢れすぎていて、いろいろな意味でサディスの回想の中に登場する非道な魔王の所業と重ならない。このへんも色々と裏があるんだろうか……続きが気になる。

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転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?

 

俺を監禁していた妹が、この世界のどこかに潜んでいる──。
高校卒業から5年間、妹に監禁されていた俺は、やっとの思いで逃げ出した矢先にトラックに轢かれ、異世界に転生。悪魔のごとき妹からようやく解放された……。 新しい、自由な世界での名はジャック。貴族の一人息子として、愛に溢れた両親と優しいメイドのアネリに囲まれ、幸せに満ちた、新たな人生が始まった──はずだった。 そう、一緒に死んだ妹も、この世界に転生しているのだ。名前も容姿も変えたあいつが、どこに潜んでいるかはわからない。だが、今の俺には神様にもらった、世界最強クラスの力がある。 この能力であいつを退け、俺は今度こそ、俺の幸せと、周りの人たちを守ってみせる──!

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「好きラノ」で見かけて気になったので試し読みに手を出したら早く寝るつもりだったのにそのまま最後まで読んでしまった…。サイコパス妹のサイコっぷりとド派手な魔法が飛び交うスピード感のある無理ゲー展開の引力が物凄く一気に最後まで読まされてしまったのですが怖ええ〜〜〜!!!真実が明らかにならないと夜も眠れないので早く次巻出してほしい!!!

サイコパス妹に愛されて死んでも逃げられない

妹に愛されすぎて、自宅に5年間監禁されていた主人公。命からがら逃げ出し、トラックに引かれて死ぬことで妹から逃げられた…と思ったのもつかの間、妹も同じ異世界に転生していた。転生する際に神的な存在からチート能力を与えられた彼は、今生こそ妹の魔手から逃れて平穏な毎日を送るため、神から与えられた能力を磨き、大切な家族を守って生きていくことを決意する──のだが。

もうひたすら妹が怖い。序盤で前世で妹に監禁されてた時のエピソードが語られるんですが普通に「周囲を傷つけることで相手の心を縛る」タイプのサイコパスだし、妹がどうして兄の事をそんなに愛してしまったのかわからないのもまた得体が知れなくて怖い。たしかに「ヤンデレというよりホラー」という感想を見て手に取ったんですけど思った以上にガチのサイコホラーだ!!!!

そんな妹の狂愛を振り切って逃げ出そうとして、妹もろともトラックに跳ねられて死んだ兄。そこまでしたのに妹と同じ異世界に転生してしまったと知ってしまうの恐怖しかない。しかも「ジャック」として異世界に生まれていくらもしないうちに前世の「妹」から襲撃を受ける羽目になってマジで赤ん坊になっても安心できないのどういうこと!?頭脳だけは大人だが身体的には歩行もできない口も聞けない乳児に与えられるにしては試練が重すぎて絶句。展開にスピード感がありすぎる。

サイコパス妹が怖すぎてどんな桃色展開も怖く見えてしまう件

なんとかかんとか襲撃してきた妹を殺して割とラブコメ要素が強い「少年期編」が始まるわけなんですけど、ぶっちゃけ読者にはシステムはよくわからんけど妹が死んだけど死んでない(???)ことが提示されているので作中で何をやってても普通に怖いのだった。どんなラブコメが始まってもラッキースケベハプニングが起きてもどっかに妹が混ざってるのかもと思うと「ジャックー!!逃げて逃げてーー!!」という気持ちにしかなれないので怖い。しかもそこから妹の脅威が表面化したわけでもないのに子供の生命と身体を弄ぶ非情な盗賊団に誘拐されて危うく盗賊たちのダーツの肉的にされかけるのマジで人生がハードモードすぎるんですけど!?ラブコメしてたのが悪いのか。そうなのかな。

そういうサイコホラー展開は置いておいて、未知の能力を使う盗賊団の首領・ヴィッキーとの戦いは能力バトルものとして滅茶苦茶面白かったです。剣と魔法のファンタジー世界なんですけど、72柱の精霊からそれぞれ別個の能力を与えられた使い手達の戦い、という点でむしろ能力バトルモノっぽいんですよね。相手の能力の正体を暴き、それでも戦いの経験や覚悟のキメ方で一手上を行く彼女を子供二人があの手この手で翻弄していく展開は最高にアツかった。

サイコパス妹が用意周到すぎて一刻も早く続きを出してほしい…。

妹の正体がわからないまま終わったのがひたすら怖かったです。ジャックの前に現れた巨乳エルフ師匠のラケル、そして共にラケルの弟子になった幼馴染の少女・フィル。妹の能力が未知数な事を考えるとフィルや巨乳エルフ師匠の中の人が妹だって何の不思議もないし、今回の事件の顛末を踏まえるとまだ出てきてない誰かなのかもしれない。誰が妹なのか誰が妹じゃないのかマジでわからないので展開が読めない。怖い。

このままだとおちおち夜も眠れないのでなんとしても2巻を出してほしい。
いやほんと妹の正体が判明するまでは絶対に続けてくれ…。
しかしこの妹、一度や二度殺したくらいではなんともならなそうだぞ…!?

余談ですけどこれ好きな人はたぶん「異常者の愛」好きだと思うので未読なら読んでほしい。

千田大輔(著) 「異常者の愛(1) (マンガボックスコミックス)」
千田大輔(著) (著)
講談社
発行:2017-07-07T00:00:00.000Z

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「好きラノ 2020年上期」投票します。

投票〆切:7/18(土)24時、結果発表:7/19(日)20時(予定)。あなたのおススメを投票してみませんか?
日曜の夜までだと思ってたら土曜締切だった危ない!!今回も参加させていただきます。

秀章「ヤンキーやめろ。メイドにしてやる」→感想
【20上ラノベ投票/9784065187364】
執事の主人公がヤンキー娘を拾ってメイドとして教育していく。失敗続きで悩みながらも「奉仕する者」として成長していくヒロインが、今の立場も失う覚悟でお嬢様の危機に立ち向かっていく姿がとてもカッコよかった。主人公とのラブコメも可愛いんだけど最初は折り合いの悪かったお嬢様と培われていく主従関係がまた良い。
落葉沙夢「─異能─」→感想
【20上ラノベ投票/9784040641959】
異能を与えられた人間たちが毎週一回デスゲームを繰り広げる、学園異能系デスゲーム物。全体像をぼかし、読者に先を想像させながらそれを半分裏切り斜め上にかっとんでいく物語が超楽しかった。群像劇のようでありながら、登場人物たちの因縁が集約されかたちどるラストもアツい。
二月公「声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない?」→感想
【20上ラノベ投票/9784049130218】
本来の性格を隠してアイドル声優をやってるふたりが実は同じ学校で、仲悪いのに仲良いフリしてラジオをやるハメに…というお話。口を開けば喧嘩ばかりな主人公二人が実はお互いの「声優」としての自分が持っていない部分に憧れ、良き友人というだけでなく最大のライバルとして並び立とうとする姿が良かった。
岬鷺宮「日和ちゃんのお願いは絶対」→感想
【20上ラノベ投票/9784049131840】
令和ナイズされたセカイ系。現実を連想させるような世界観描写と、理不尽なセカイを自ら変革しようとするヒロイン。そんな彼女となかば強制的に関わることになり、他人の在り方すら捻じ曲げる彼女の能力に複雑な想いと畏れを抱きながらも最後は自らの意思で彼女の手を取ろうとする主人公の姿が印象的でした。
瀧ことは「腐男子先生!!!!!3」→感想
【20上ラノベ投票/9784047360440】
同人作家JKと腐男子な担任教師が繰り広げるラブコメ。“神絵師”と“信者”、気の合うオタク友達、教師と生徒、そして……と色とりどりに変化していくふたりの関係性と女性向け同人オタクならきっと共感できる「オタクあるある」が楽しく、朱葉との関係を通してひとりの教師としても成長していく桐生の姿が印象的でした。ご卒業(完結巻発売)おめでとうございます!!!!
七夕さとり「悪役令嬢レベル99 その3 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜」→感想
【20上ラノベ投票/9784040736426】
レベル上げジャンキーでコミュ力ポンコツな裏ボス令嬢による私TUEE系ラブコメ。我が道を行きすぎて誤解されやすい性格の主人公ユミエラと、そんな彼女を影に日向にしっかり支えるパトリックの関係性がとても可愛くて、私TUEE系異世界転生ものというよりラブコメとしてとても楽しく読みました。
ミサキナギ「リベリオ・マキナ3 − 《白檀式改》桜花の到達点−」→感想
【20上ラノベ投票/9784049128970】
絡繰少年とふたりの少女が繰り広げる正義と反抗のバトル・ファンタジー。吸血鬼と人間の対立が激化する中、運命に翻弄され、互いにすれ違いながらも手を取り合い、成長していく水無月とカノンの姿が熱かった。クライマックスである4巻もとても良かったけど3巻の逆境ぶり、盛り上がりっぷり、あと3巻の表紙がめちゃくちゃ好きなのでこちらに投票。続きが読みたい。
衣笠 彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編1」→感想
【20上ラノベ投票/9784040643298】
ナンバリングをリセットしての新学年編。1年生編は同学年内のクラス対抗戦がメインだったけど、2年生編では学園の運営方針を巡る上級生との争い、綾小路自身の進退を巡る下級生との争い…と縦にも横にも広がりを見せた物語が印象的。勢力図が書き換わった2年生内での駆け引きも楽しみだし、3巻がまためちゃくちゃ面白くなりそうで期待してます。

あと「今年1月〜6月に読んだラノベのおすすめ」はTwitterでまとめたものがありますのでもしよければこちらも併せて。紹介文など一部共通ですが好きラノ対象期間外に発売された作品などが含まれる関係で微妙にラインナップを変えています。

ブログに書くと「好きラノ」とネタがかぶりそうなのであえてツイッターでまとめました。

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典16

 

魔術師の覚悟と禁忌教典の騒乱。
準決勝へと駒を進めた帝国代表選手団。日輪の国との対決で試されるシスティーナの魔術師としての覚悟。一方、アリシア三世の手記の解読を終えたグレンに待ち受ける禁忌教典の騒乱。ここに、前哨の火花が散る!

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今までの戦いとは別側面から見えてくるシスティーナの成長が熱い魔術祭典、過去の記憶を追体験することで物語の核心に迫っていくグレンの過去探索、各国各勢力の思惑の入り乱れまくり殺意入り乱れ過ぎな首脳会談。そこからのラストのアレ…って1冊に詰め込み過ぎではーー!?(でも面白いから困る)

前巻とは別側面から描かれるシスティーナの成長物語

魔術祭典の準決勝まで勝ち上がったアルザーノ帝国代表。準決勝で日輪の国のメインウィザード・サクヤと対決するシスティーナだが、突然攻撃に迷いが出はじめて、調子を崩してしまう。それは相手チームに潜む『呪言師』による精神攻撃で……。

アルザーノ代表チームメンバーそれぞれのバトル面での活躍、そしてシスティーナによる統率や判断力の高さが面白かった前巻とは打って変わって、今回は相手方がシスティーナの弱点である精神面の脆さを突いていく展開。完全に跳ね除けることは出来ないけど違和感に気づけてなんとか対処しようと足掻くことができる彼女の姿に確かな成長を感じました。そしてグレンの言葉を得てからのシスティーナの頼もしいこと。この一件を経て改めて自分の気持ちを自覚して…の展開は胸アツだったけどクライマックスへのお膳立て感を感じてそちらの意味でもドキドキする。

不調なシスティーナを支える仲間たち、そして彼女の頑張りを知った上で敢えて憎まれ役を買って出ようとするリズ先輩の姿も良かった。何割か知り合いが混ざっているとはいえ急造のチームであるアルザーノ帝国代表チームが、「優勝」という利害の一致をもってここまで団結出来る姿がアツかった。

いよいよ、物語の核心へ…

準決勝も終わり生徒たちが温泉に覗きに勤しむ中、グレンはフォーゼルが解読したアリシア3世の手記を読み解こうとしていた。ところが、本に仕掛けられていたトラップによってグレンは本の中に閉じ込められてしまう。

アリシア三世の半生を綴る「書記」によって明かされる、様々な謎。幼馴染の少年二人と共に無邪気に研究に打ち込んでいた少女が女王になり、考古学者となり、長年追い求めてきた古代の謎の一端に触れてしまう。しかしそれは、あまりにも危険なものだった──研究者でありながら国を統べる立場の彼女が少しずつ研究に傾倒し、残酷な真実を知り、正気を失っていく。散り散りになっていく幼馴染たちの姿がしんどかった。

謎の存在による“検閲”を受けて核心である『禁忌教典』こそ謎のままでしたが、嘆きの塔の謎や『異能者』が迫害され続けてきた理由など、これまで登場した様々な事件や遺物が一本の線で繋がれていくさまに最高にワクワクしました。しかしこれまでのいろんな事件、だいたいアリシア三世のせいじゃないですかやだー!!

情報量が多い…でも面白かった!!

魔術祭典最終日。アルザーノ帝国vsレザリア王国で繰り広げられる決勝戦の裏ではアルザーノ帝国とレザリア王国の首脳会談が行われる。アルザーノとレザリアの巨頭会談──であるんだけど、その裏ではアルザーノの実権掌握を目論むイグナイト、エリサレス教皇庁の強硬派と融和派、天の智慧研究会までが絡み合い一歩も気を抜けない展開に。融和路線で進んでるはずなのにみんなして殺意高すぎじゃないですかね!?っていうか今更ですけどシスティーナ達の魔術祭典パート、グレン達の過去探索パート、そしてこの首脳会談って1冊に入ってる情報量多すぎじゃないですか!?

キャラ何十人どころか2桁近い勢力が別々に動いてるのいろいろな意味で凄いし、それなのに(実際若干空気になってたキャラやキャラがぱっと思い出せなくて混乱することはあったけど)この縦横無尽に張り巡らされる駆け引きの数々が最高に面白いからホント困る。こんなに面白いのに内容的には完全に次巻への種まき巻なんですよ…次がコレ以上に面白いだろうことが半ば確定なんですよ…こんなんずるいでしょ……。

ルミアやリィエルだけでなくシスティーナにも色々な伏線がはられてきた感じだしグレンはいわずもがなだし…でほんと楽しみすぎるんですけど、ここで続くの!?早く続きを!!

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リベリオ・マキナ4 ‐《白檀式改》紫陽花の永遠性‐

 

敗北と失意を越えて??ついに吸血鬼軍 VS 新公国軍の戦端が開かれる。
 オートマタコンテストがもたらしたもの。それは圧倒的敗北と喪失だった。  水無月、桜花、全てを失ったその夜。リタの導きにより、カノンは密かにイエッセルを脱出。アルプスの山村で待ち構えていた吸血鬼王・ローゼンベルクから、彼女は驚愕の提案を受けるのだが……。  一方、時を同じくして一人の吸血鬼が新公国軍の研究所を脱走した──「俺は陰からカノンを護衛する。ハウエルズとの戦いはまだ終わってないからな」  吸血鬼軍と新公国軍の戦いの火蓋が切られる時、二人の姫たちとその騎士の、最後の反攻が幕を開ける。正義と反抗のバトル・ファンタジー第4巻!!!!

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タイトルと口絵でなんとなく展開を察してたけどおおよそ最高(最悪)の展開で紫陽花が登場して思わず叫んだ。終盤ちょっと駆け足な印象はあったけど、最終決戦にふさわしい総力戦に最後の最後でオチまでついてとても良いクライマックスでした。

水無月と紫陽花、二人を巡る様々な想い

リタに連れられ、イエッセルを脱出したカノン。吸血鬼達が隠れ住むアルプスの山村に匿われた彼女は、吸血鬼王ローゼンベルクからひとつの提案を受ける。しかしそれは、彼女の立場を大きく変えてしまうものだった。一方その頃、消滅したはずの水無月はなぜか“生身の”身体で覚醒する。

色々あって期せずして生身の身体になってしまった水無月の動揺がめちゃくちゃ面白い。いままでのオートマタとして過ごしてきた自分の人間の情緒を理解できぬ行動・発言に頭を抱えるのも面白いんですが、カノンが作った新たな《白檀式改》に対して必死に自分と同じ過ちを繰り返させまいとする姿に爆笑してしまった。以前の彼の、極端に恋愛感情の機微を理解できない設定にしっかりとオチがついて(こんなところに1巻最大の謎だった白檀博士の『不適合』発言をもってくるのかよ〜!!)、二度笑ってしまう。全体的にしんどい展開の多い巻だったのでこの辺本当に癒やしでしたね…。

“ゼクス”という名を名乗り、ひとりの吸血鬼としてカノンやリタと再会した水無月。彼の瞳に映るのは自分の喪失を受け止めきれないふたりの姿と──自分のお気に入りの服を着て瓜二つの姿でカノンの隣に並び立つオートマタ《白檀式改》紫陽花。もうこの展開、カラー口絵とサブタイの“紫陽花”というネーミングからしてある程度察してしまいましたけど、本当に一番しんどいタイミングで爆弾を落とされるので破壊力が高い。

以前のように戦えないもどかしさに加えて、自分ではない誰かに自分の居場所を取られたかのような喪失感を感じるゼクス(=水無月)。そして甲斐甲斐しく紫陽花の世話を焼くカノンに複雑な感情を抱くリタ。そんなリタだって水無月を忘れられているわけがなく……一見穏やかなようで、剣呑としているような、不穏なような、それでいて物悲しいような空気感に震えました。そして感情を創造する過程である紫陽花の無垢さが、彼の辿る運命が、余計に胸に痛かった。

失意の中で、少女は成長する

母親を喪い、実家からは冷遇され、水無月までをも奪われ、今また政治の道具として狙われ続けるカノンが自らの境遇に改めて向き合い、公女として強く成長していく姿が印象的でした。特に3巻までは割と情緒不安定なイメージが強かったので、ここまで強くなったのかと。いやもう途中で紫陽花が登場したときにはいろいろな意味でめちゃくちゃに心配したのですけども…。

水無月に戦わせまいとする一方で、どうしても戦わなければいけないときのための『力』をも用意しておく用意周到さすらも手に入れた彼女の成長が、最終決戦の場には居なかったにもかかわらず、どうしようもなく心強かった。

少し駆け足にも感じたけど、良いクライマックスだった

“公女カノン”の決起に呼応して吸血鬼達とカノンや水無月達の連合軍が首都奪還のために立ち上がる。このへんの展開は無理やり3巻で終わらせるためでしょうか、ちょっと駆け足な印象を受けてしまいましたが、その後の宿敵・ハウエルズとの最終決戦(巨大ロボが来る予感がしてた!!)や1巻からの因縁の敵との決着、リタによって目醒めさせられた新たな能力とカノンによって再び水無月の元に戻された武力の覚醒、最高に良いシーンでのタイトル回収──と全部乗せマシマシなクライマックスが最高に楽しかったです。

良い最終回だった……と言いたいところなんですけどあとがきを見ると続きとなるプロット自体はある模様で今回は第一部完的なアレだそうで…。いつかなにかの機会に続きが読めることを楽しみにしていたいです。(あとがきから全力で漂う打ち切り臭がとてもかなしい…一応終わったと思える形で終わってるのがありがたいけどかなしい……)

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リベリオ・マキナ3 − 《白檀式改》桜花の到達点−

 

決裂した吸血鬼と人間。全ての理不尽に抗うため、絡繰騎士はもう迷わない。
 仮初めの平和が終焉した。波乱のオートマタ博覧会と、ハウエルズによる軍事用オートマタ《HW式》の発表から一週間。首都・イエッセルは反吸血鬼感情に支配され、軍のオートマタ部隊は罪もない吸血鬼たちを弾圧。国を二分する対立は、加速度的に悪化の一途を辿っていた。  そんな中、大公家からカノンに告げられたのは、とある人物との政略結婚。一方のリタも同胞の窮状を前に、ヴァンパイア王族としての覚悟を決め……。イエッセル条約破棄のその先で、水無月たちが選択するそれぞれの反攻作戦とは──?  吸血鬼王も参戦し物語は佳境へ。正義と反抗のバトル・ファンタジー第3巻!!!

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面白かった〜〜!!絶望的なまでに追い詰められた彼らが一発逆転の道を模索していく展開が楽しいし、さらにその一発逆転をひっくり返してくる、どこまでもゲスな敵との対峙が熱い。周囲の人々の力を借りて少しずつ自らの感情を理解していく水無月、そして新たな「白檀式」として生を受けた桜花の成長と闘いが印象的でした。

すれ違い、引き裂かれる仲間たち

ハウエルズの策略により吸血鬼の排斥運動が激化してリタが学園を離れざるをえなくなり、カノンにはハウエルズとの婚約話が持ち込まれる。更に「結婚」の意味を理解できない水無月がカノンとすれ違ってしまう。ハウエルズとの婚約を破棄して実家の庇護から独立するために改めて「オートマタコンテスト」での優勝を狙うカノンだが、そのオートマタコンテストも戦争が近いからという名目の下でオートマタの戦闘能力だけを問われるバトルトーナメントへと変更されてしまい……。

それまで奇跡的なバランスで共存していた人間と吸血鬼が互いに憎み合う姿にやりきれない気持ちになるし、それでなくても戦争が始まりそうでシリーズ最大のピンチとも言える状況なのに全員がバラバラになってしまい、色々と不安しかない始まりだった。特に、いろいろな意味で癒やしだったカノンのテンションの高いオートマタ語り節が聞けないのがなんとも寂しい。前巻ラストから一貫してツンを貫くユーリが癒やしまである。

水無月と桜花、それぞれの「心」の成長

恋愛感情周りの機微が理解できず、ただハウエルズの懐に潜り込むための手段としてカノンに結婚を薦めてしまう水無月。その水無月の言葉を恋愛の機微がわからないオートマタの戯言として受け流すことができず、皮肉にもそれによって自分の本心を自覚してしまうカノン。二人のすれ違いがなんとも切ないけど、リタやユーリの助言を受けながらも自らの気持ちを自覚し、やがて彼女への本当の気持ちを自覚していく水無月の姿に胸が熱くなりました。それどころじゃないんだけどふたりがやっと両思いになったあとの展開は微笑ましすぎてニヤニヤしてしまいますね!

そして過酷な運命を打開するためにカノンが創り上げた新たなる《白檀式改》、桜花。周囲を“模倣”しその情報の蓄積によって人間のように成長していくオートマタ。一貫して感情のようなものを見せなかった、本来であるならばまだまだ成長途中であったはずの彼女が最後に見せた運命への抵抗と感情の発露が、なんとも切ない。

凄いところで終わった!!!

ハウエルズの生み出した《HW式》の真実を暴き、カノンと寄り添って生きていくために吸血鬼に『戻る』道を選択した水無月。絶望的な状況の中でも自らの信条を曲げずに愛のあるオートマタを作ろうとするカノン。ハウエルズの思惑を人間の、吸血鬼の“感情”が超えていく展開は最高に熱いんだけど、同時にそれ以上の災厄を生み出してしまったのも人間と吸血鬼の感情で、それを食い止めたのがオートマタとしての信念、だなんてそんな悲しいことあるかよ……。

いろいろな意味で続きが気になりすぎる終わり方で次巻が気になりすぎる。
というか次巻のカラー口絵そういうことなんですかねやっぱり……。

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かくりよ神獣紀 異世界で、神様のお医者さんはじめます。

 
Izumi

異世界に転生したら、神様(怪異)の医者でした。世直し和風ファンタジー!
名により本質が定められる『此の世』――亥雲の国に転生した八重。ある日、化け物に襲われた八重は、かつて神だったという金虎・亜雷を解き放つ。俺様な彼に振り回されて弟捜しを手伝うが、見つけた弟・栖伊は本質を失い、異形と化す病に冒されていた。亜雷は、独特な魂を持つ八重ならば栖伊を治せると言うが……? 「俺はおまえのために解き放たれた」アブない虎に懐かれて、魂の意味を取り戻す“神様治療”はじめます!

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転生前の記憶を持つせいで周囲から少しだけ浮いて生きてきた主人公が、かつて神だったと自称する不思議な兄弟と共に名前を喪ったモノを治療する和風ファンタジー。古代日本風の世界観に現代のモノが“流れ着く”という世界観が面白い。小さな積み重ねで少しずつ自信を失っていた主人公が、少しずつ自信を取り戻していく姿がアツい。

和風ファンタジー×異世界転生な世界観が楽しい

気がつけば異世界に転生していた八重。この世界では転生者は珍しくなく、しばらく過ごすうちに前世の記憶は薄れてしまう──というのだが、彼女の場合は現在に至っても前世の記憶を鮮明に持ち続けており、そのせいもあってどこか周囲と馴染めない毎日を送っていた。

まず古代日本を思わせる和風ファンタジー世界に異世界=現代日本から漂着したと思われるモノやヒトが根付いている、という世界観にときめきました。巨大なウィスキー瓶やコカ●ーラの缶の中に人が住んでる設定、その時点でワクワクが止まらないんですよね。この辺の風景どしどし挿絵にしていってほしいしなんなら気が早いけどコミカライズの際はぜひとも背景が上手い人にお願いしたいまである。(カラーピンナップで1枚まるっと世界観のイメージイラストとか関連地図とかあったらめちゃくちゃテンション上がった気がするんですが、ビーンズはそもそもカラー口絵ないんですよね…)

まだ何者にもなれぬこの世界では名前が魂を規定している。それを見失うと魂が歪んで異形と化してしまう。前世の記憶を強く持っていてこの世界の理に縛られない八重ならば異形と化した魂までももとに戻すことができるはず──ということで、ひょんなことから生命を救ってもらった金色の虎・亜雷から頼まれて(半ば強引に)異形と化した魂を“治療”することになる、というお話です。

見た目より大人びた少女の、等身大な悩みと成長

20代半ばで転生し、その記憶を失わないまま大きくなった八重。外見よりも大人びていて、よくも悪くも『聞き分けの良い子供』だった彼女は生まれ育った村に馴染むことが出来ず、疎外感を感じていた。やがて、同じ村の少女達とともに隣村に嫁入りすることになるが、嫁入りの最中にそんな彼女が決定的に自信をなくすような出来事が起きてしまう。

どこまでも自分に自信がなく、後ろ向きな八重の姿にもだもだすることも多いのですが、彼女が繰り返し訴える「少しだけ後回しにされた経験」、そういう小さな出来事の繰り返しが彼女に自信を失わせたという話にはどこか共感してしまう部分がありました。別に気にしなくても良いような些細なことでも、自分が弱気だったり、何度も続くと気になってしまう事ってありますよね。

前世から持ち続けてきた小さな自信のなさが、転生後に自分だけ前世の記憶を持ち続けたことで周囲に壁を作ってしまったこと、そしてこの世界の住人の殆どが持っている魂の形「四環」を持たなかったことで大きなコンプレックスになっていく。そんな彼女が亜雷達と出会い「四環」を持たないからこそ出来る“神様治療”を通じて少しずつ我を取り戻していく姿が印象的でした。

1巻の時点では恋愛要素は薄め(でもそれが良い)

八重が意味もわからず行っていた儀式により魂を縛られ、色々思うところはあるが彼女を守ると決意した金色の虎・亜雷。そして八重が初めて意識的に“治療”を施した白い虎・栖伊。1巻は八重が対象的な兄弟に振り回されながらも少しだけ自信を取り戻し、自立していくことを選ぶ物語です。

少女向け文庫の物語にしてはびっくりするほど恋愛要素がなかった(最後にちょっとだけ恋心の萌芽みたいな描写はある)んだけど、亜雷と八重の間にはまだまだ色々な心の壁があるわけだし、そりゃそうだよな、となる。無理にそういう方向に持っていかれない展開が個人的には好印象でした。

いろいろな意味で獣系男子な亜雷の野生で生きてるぶりも良かったけど、めちゃくちゃ爽やかな笑顔でしれっと爆弾発言する栖伊がお気に入り。いや恋愛的には亜雷ルートで確定だと思うんですけどね!!

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