同性間のクソデカ感情の話が好きだ。普段は男男間のクソデカ感情をこよなく愛していますが性別は問わない女女もやぶさかではない!という気持ちで前から以前作ったまとめの女性バージョンをやりたいなと思っていたんですが、最近「悪役令嬢の中の人」がバズったりしてちょくちょくその手の話題を見るので今しかない!!と自分の好きな作品を簡単なジャンル分けしつつまとめました。
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異世界召喚されたVチューバーですが、皆様コメントで助けてください!
引きこもりの兄がやっていたVtuber「絶対正義☆聖乙女」のガワで異世界に召喚されてしまった普通のOL・百合。彼女の異世界での行動は全て現実世界に生配信され、配信への反応が「聖乙女」として戦うための力となるらしいのだが……!?
頼れる仲間はみんなクソ。ハードモードだらけの異世界召喚ロマンス!!
人の良さだけが取り柄の主人公・百合=聖乙女オトが異世界に召喚され、クセしかない周囲の人々に翻弄されながら配信で力を集めてなんとかかんとか魔物を倒しつつ現実世界でスパチャを集めて兄のこしらえた多額の借金を返済しようとするお話。いや〜面白かった!まどマギ以後の魔法少女ものでよくみる「信用できないマスコットキャラ」、異世界召喚ものでちょくちょくみる「主人公を使い潰す気満々で召喚した王族」、更には配信・掲示板モノの「便所の落書きみたいなことしか言わないクソコテ」…………各ジャンルからクソキャラを集めて悪魔融合した結果、頼れる仲間だと思ってた奴らはみんなクソみたいなハードモード異世界召喚になってる。
ただひとり傍流の王子である騎士団長ヴァーミリオンだけは親身になってくれるし、コバルト文庫なので彼との少女漫画のラブロマンス的な展開も当然あるのですが、チャンネルとしてのジャンルはむしろ底辺男性向けなので彼といい雰囲気になるたびに生配信が盛り下がるんですよね。女性向け異世界ファンタジーとしてのヴァーミリオンはめちゃくちゃ頼りになるイケメンだけど、男性向けの異世界召喚系動画配信モノとして見ると最早障害でしかなくて、この辺の女性向けと男性向けの需要の違いで話が噛み合わずにチグハグになってしまうのめちゃくちゃ面白かったしやっぱりこの作品の登場人物誰も信用できねえなってなった。ヴァーミリオンは悪くないんですが……。
そんなハードモードすぎる異世界召喚生活の中でヴァーミリオンと距離を縮めていく傍ら、持ち前の人の良さで少しずつ兄のチャンネルに常駐しているクソコテ達と仲良くなっていく百合。ネット世界でも鼻摘まみにされて同じく底辺だった兄のチャンネルにしか居場所がなかった、社会不適合者の3人が「中の人」の変化に戸惑いつつも最終的にオトの力を集めるために必死に行動してくれる展開には胸が熱くなったし、事故で弱視となった幼馴染のために朗読を磨き続けた百合が「聖乙女オト」になりきることで震える心を押さえつけて凛々しく立ち上がるクライマックスはめちゃくちゃ良かった!!
……とはいえ、今回のアレコレで集まったスパチャ額は微々たるもの。チャンネル登録者数も大して増えてない……みたいな状況なのは相変わらずで、色々な意味でこれどうオチをつけていくのか。もうチャンネルの方向性の不一致をなんとかしないとどうにもならない気がするし、そこにテコ入れしたらテコ入れしたで今回仲良くなったコテハン達には住みづらい世界になってしまうんだろうし、配信タイミングも基本的に制御できないので難しいよなあ。失踪したままの兄の行方も気になるし……ほんとうにどうなる?
魔術師クノンは見えている 6
神花行方不明事件のすぐあと、後輩のセララフィラから金策の相談を受けたクノン。土属性の魔術師である彼女と実現できそうなアイデアがあり、共同研究を持ちかけるが……「魔建具」と名付けられたそれは時代を変える可能性すら秘める大発明で……!?
人が沼に落ちる様子はいつみても健康に良い
セララフィラの金策回がとにかく面白かった!!もう2年生編のもう一人の主人公と言っても過言ではない気がしてくるくらい彼女の魔術師としての成長物語が面白い。クノンが聖女レイエスや同期達の金策を手伝う回も似たような面白さがありましたが、あくまで「魔術師」というよりも普通の貴族の少女であったセララフィラが前巻から引き続き魔術という深大な「沼」に足を取られてズブズブと沈んでいく様子が最高に楽しいんですよね。次々と湧いてくる魔術のアイデアに夢中になり、同時に自らも足を踏み入れたからこそわかる先輩たちの凄まじさに圧倒され、自らも同じ所に行くため足掻きはじめるセララフィラの姿にニヤニヤが止まりませんでした。すっかりガーデニングオタク(ガーデニングではない)と化した聖女の現在も踏まえて、色々な意味でセララフィラが今後どの方向に進化していくのか期待が高まりすぎる。そんな彼女を夢中にさせたクノン発のアイデア「魔建具」──土属性の魔術を使って持ち運び可能で後処理も簡単な簡易拠点を建てるという道具、たしかに考えてみるとそんなに難しいことしてないんですけど、逆にこれだけの画期的なアイデアを初級魔術だけで構成してしまうの本当にクノンの発想力がヤバすぎるんだよな。セララフィラの侍女・マイラがクノンの提示した金額で泡吹いて自らギルドとの商談を請け負う流れに笑ってしまったんですけど、実際クノンはその技術が与える影響は理解していても自分の発想力がそこまで突飛なものだと思っていないわけだし、まあ過小評価気味にもなるのか……。これはクノンの話を聞いたリンコの語彙が「稼」ばっかにもなるし、祖国も悲鳴上げていよいよゼオンリー送り込んでくるわけですよね仕方ないね。
本編と過去編踏まえて、色々と謎が深まってきたな
そして書き下ろしの番外編は前巻に引き続きクノン第二の師・ゼオンリーの学生時代、災約の呪詛師アイオンとの2ヶ月間の同居生活のお話。ひたすら研究に夢中なゼオンリーと、彼と一緒に暮らすうちになんだかんだでゼオンリーのことを意識しまくっているアイオン、そしてなんだかんだで深まっていく同期達との関係性も微笑ましくて面白かったんですが、過去編で明かされた事実と本編でさりげなく提示された謎を踏まえると色々なにかがこう見えてきそうで……今も学園都市に居るといわれているアイオン、そして「光属性」……なんかクノンが前巻から気にしてる人がひとりいらっしゃいましたよね……いや本人なのか関係者なのかはわからないけどさ……。ゼオンリー来訪……というか祖国ヒューグリア王国が彼を派遣した意図、久しぶりのミリカ殿下との再会はどうなるのか(女性問題でガン詰めされるのか有耶無耶になるのか)、ついに進展しそうな『眼』を作るというクノンの目標……色々な意味で続きが気になる!!
声優ラジオのウラオモテ #11 夕陽とやすみは一緒にいられない?
2024年TVアニメ放送!高校卒業が間近な声優青春ストーリー第11弾!
『ここで番組から大切なお知らせがあります――』
一月も終わり、別れを象徴する桜の季節がやって来る。
ラジオの企画も思い出を振り返るものが多くなっていく中、ふたりはお互いの進学先すら聞けていなかった。
順調すぎる声優業とは裏腹に、相方と離れ離れになってしまう未来にどこか不安を覚え始めている由美子。その一方、悩みを振り切った由美子の成長や、共演する結衣の底の知れない実力に、背後に迫るライバルたちの気配を感じ焦燥に駆られる千佳。
変化を強いられる卒業シーズン、ふたりの関係は果たして!?
2024年4月TVアニメ放送の声優青春ストーリー、第11弾!!
大学受験を控えた高校3年生の三学期……由美子が出演したアニメ『マオウノユウタイ』が予想外のヒットで覇権アニメに。喜び以上に戸惑ってしまう由美子だが、そのせいで千佳とはどこかギクシャクした関係になってしまう。一方の千佳は「歌種やすみ」がやっと世間に認められたことを喜ぶ反面、彼女や後輩である結衣の成長を脅威に感じていた。お互いの進学先も聞けないまま、自由登校に突入してしまったふたり。そして「コーコーセーラジオ」も一区切りを迎えることに……一体どうなる!?
結衣コーハイがラスボスすぎて最高だった
偶然声優ふたりが同じ学校のクラスメイトに……からはじまった「声優ラジオのウラオモテ」、高校生編のクライマックスともいえる今巻。卒業を前に千佳との関係性が変わってしまうことを恐れる由美子と後ろを歩いていたはずの結衣ややすみの存在を背後に感じて思い悩む千佳。それぞれの場所で思い悩む二人の奮闘がアツくて最高に面白かったです!!それにしても(短編集含めて)シリーズ12巻目でやっと世間に認知されたのか歌種やすみ。本当に長かったな。今回は何より、「歌種やすみが憧れた『夕暮夕陽』であるため」に敢えて孤高の道を往く渡辺千佳があまりにもよかった……後輩である高橋結衣を超えた演技をしたい夕陽が自分に足りていなかった「魂」の演技を引き出そうとしてやすみの見ていない所で奮闘するクライマックスがアツすぎるし、結衣と戦ってる筈なのに気がつけばやすみと対峙してるの最高すぎるんですよね……。天才型の結衣コーハイが遥かな高みから「夕陽先輩はこんなものじゃないですよね?」って圧掛けてくるのあまりにもコワすぎるしラスボスの貫禄がありすぎるんですが、だからこそ夕暮夕陽にとっての「歌種やすみ」という存在のどうしようもない大きさを思い知らされるお話でした。由美子の活動休止中を描く、前巻から続く夕暮夕陽が主体のエピソードの完結編として最高に盛り上がる一冊でした。
そして、二人を待ち構える高校卒業という人生の一大イベント。もう延々と千佳の進学先がぼやかされてるところからしてエピローグそんな予感はありましたが〜〜〜!!でも、互いの進路がわからないからこそ、ふたりがお互いの関係性を見つめ直してその大きさを改めて実感した上で「学校が離れても時々しか会わなくなっても互いに声優であるかぎりこの関係は変わらない」という決意ができたわけで……ふたりが声優として成長するために必要な儀式だったと見て取れなくもないよな。声優ラジオの話もそうなんだろうな〜〜知ってた〜〜!!でもちょっと心配してた〜〜!!!
次巻は環境を変えて仕切り直しの大学生編開始──とおもいきや最後の最後でめちゃくちゃな爆弾投下してきた!!???いや、もうそれ展開によっては高校卒業なんかよりも圧倒的にそのまま最終回巻迎えそうなクソデカエピソードじゃない!!???由美子が憧れ続けたあまりにも大きな「夢」への挑戦、本当に次巻どうなってしまうのか楽しみです。
幼馴染のVTuber配信に出たら超神回で人生変わった
超神回から人生楽しい! 新人V男子の青春やり直しライブ配信!
目標もなく大学にも進学せずフリーターを続けていた宮坂類。ひょんなことから、疎遠になっていた幼馴染の彩花に誘われ、彼女がVTuberとして活動する配信に出演することに。そして……よくわからないうちにその配信が超神回認定で大バズリしていた!
成り行きでVTuberデビューを果たした類は、V仲間と遊んだり、視聴者からイジられまくったり、好きなゲームをみんなに褒められたり――学生のころに得られなかった青春を取り戻していく。そしてもちろん、青春には可愛い幼馴染との恋愛がつきもので……
「類はさ、昔から優しくて、かっこよくて、私にとっては今でもね――」
無自覚な超神回から人生逆転、新人V男子の青春やり直しライブ配信!
フリーターとしてなんとなく生きてきた宮坂類。疎遠になっていた幼馴染・彩花の家に遊びに行ったところ、Vtuberをやっている彼女の配信にゲストとして参加する羽目に!?その配信をきっかけに、彩花の所属する企業からスカウトされ……冴えなかった人生が一転、上り調子に!?
幼馴染ラブコメとしては面白かった
良い幼馴染ラブコメだった…!好意むき出しの幼馴染と満更でもない主人公のやりとりが可愛く、彼女との忌憚ないやりとりが視聴者にウケてスターダムをのし上がる……という展開も楽しい。自分に自信がなく、幼馴染からの好意にも気付けない主人公が配信者活動で成功していくことで彼女の気持ちに少しずつ気づいていく展開も良かったし。幼馴染が配信でずっと主人公の話をしていた……という設定からしてデビュー前からセット売りされているようなものだったので炎上もなく、ほとんどの視聴者がセットで推してくれるのも安心して読める。特に男性Vtuberモノというと過剰なまでに「男女関係で炎上」という展開が持ち出されるので、そういうのがないのは凄く新鮮で良かった。ただ、個人的には幼馴染モノというよりも「Vtuberもの」を期待して読んだので配信モノとしての比重の低さ、というか描写の雑さが気になり……幼馴染とはすでに好感度MAXの状態なのであとは主人公がそれに気づくかどうかみたいなところあったので雑に両想いになってもそこまで違和感がないのだけど、配信者としての方向性も定まらないままなんとな〜くイジられキャラで配信やってたら収益化通り越して登録者数10万人突破、だったので流石にご都合展開を感じてしまった。ここせめて「収益化した」くらいで止めておいてくれたらそこまで違和感なかったのかなあ……そこまで爆発的に売れるならもう少し彼の配信にはこんな魅力があるよ!という展開をアピールしてほしかったなあ。なんか本当に彼がどうしてそんなに売れたのか読者の私側からするとよくわからないし、こんなどうでもいい描写で躓いてしまう自分が一周回ってツラい。
ゲーム配信がきっかけだったので実況が面白くてウケるとか、もっと色んなコラボを重ねて他キャラとのトークの上手さで跳ねるとか、なんなら幼馴染とのセット売りが凄くて二次創作男女的にめっちゃバズるとか……なんかとにかくそこまで人気出てるならもう少し実況者としての強さを見せてほしくて、そのへんが曖昧のまま登録者10万人!!幼馴染とも両想いで人生バラ色!!って終盤戦が都合良すぎて困惑してしまった。昔の新人賞作品にありがちな1巻に無理やり全要素まとめたみたいな駆け足感だったんだけど、これ原作Web小説なんだよなあ……。
個人的に男子V主役の配信もので「炎上」と無縁でしかも男女セット売りするVtuberものってマジで初めて見た(近いものは幾つか思いつくけど、どちらも炎上と完全に無縁ではない)ので配信ものとして過剰に期待してしまったところはある……炎上ものも好きだけど、男子V主体の平和な配信ものに飢えていたところはある、本当にラブコメとしては面白かったと思うので出会いが悪かったとしか……。
あと個人的に、初手で配信切り忘れ事故を起こしていたせいで終盤でコラボ配信終わった後に幼馴染と両想いになってイチャイチャお泊り……の展開中ずっと「今度は配信切り忘れてないよね!?(そこで切り忘れたら大炎上だぞ!!!!)」って思ってしまってイチャイチャ描写が全く頭に入ってこなかったので、配信切り忘れ必要だったか!?って思ってしまった。いや、主人公に早めに「素」を出させるために必要だったんだろうけど、別に切り忘れじゃなくても同じ展開はできたと思うんです……ラブコメとしては面白かったのに、最後の最後で「配信モノ」という要素に足を引っ張られて楽しみきれなかったのほんとツラい。切り忘れ、複数でタイトルに入ってるの見るし流行ってたんですかね……。
主人公が過剰に自信ない理由とか、配信でどう売れてるのかとかは続き読めばわかるのかなあ……その辺こそ無理してでも1巻に入れ込んでほしかったんだけど、そのへんの必要な要素が1冊に入れきれないのはマジでWeb小説の書籍化の難しいところですよね……。
これが魔法使いの切り札 3.微笑みの公女
いまだ現在進行中で退学の危機のリクスに、エストリア公国の公女であり生徒会長のルティルが何故か急接近。彼女から生徒会に誘われて単位欲しさに快諾したリクスだが、彼女と入学前から縁があるセレフィラは不信感をあらわにする。一見穏やかな優等生に見えるルティルには、どうやら裏の顔があるようで……!?
生徒会の渉外やってるリクスの短編、超読みたい
いやルティル先輩良いキャラでしたね!おっとりした優等生──とおもいきや裏では目的のためには手段を選ばず甘い笑顔や魔力で周囲の人間を都合よく操る悪女、そしてその真実は……!?ということで、果たさなければならない目的のために《黎明の剣士》の能力を利用しようとリクスに近づいたルティル先輩が、これまで自分が利用してきた男達とは一味違ったリクスの行動に翻弄され、逆に頑なになっていた心を解かされてしまうというお話でした。予想以上に内心が真っ黒で男性不信状態のルティル先輩が予想外のリクスの行動に困惑しているのが面白かったし、リクスの裏表のない反応に少しつづ年頃の少女らしい心を取り戻していく展開が大変良かったです。しかし毎巻ヒロイン候補(?)が増えていくな。今回はとにかくリクスの「傭兵」時代の経験が本領発揮、戦闘面でもそうですが、彼が傭兵団で培った人誑しぶりが遺憾なく発揮されているのめちゃくちゃ良かった〜。1巻は魔術を学ぶ学校に通うただひとりの魔術を使えない剣士、2巻では成績不良で何をやらかすかわからない問題児にしてトラブルメイカー……というように、問題児としての一面が強調されていて学園内で浮いてる描写がめちゃくちゃ多かったんですが、本来の性格は人懐こくて周囲を取りまとめる能力が高く(傭兵という特殊な世界の中であるとはいえ)世慣れした人物なんですよね。今回は“傭兵”でも“黎明の剣士”でもないリクス自身が後天的に培ったパーソナリティーが状況に綺麗にハマって、状況が上手く回ってるのが気持ちよかったです。
生徒会で「渉外」担当になった彼が暴力や権力には頼らず、学園の生徒達では思いもよらぬような方法(主に酒宴)で学園内のトラブルを解決していく姿は今回はざっくりとしか描かれていませんでしたがめちゃくちゃ楽しそうで、いつかしっかり枠を取って掘り下げてほしいです。というか今後も学園内のトラブル請負人家業続けてほしいし生徒会に所属できる2年生になってからでもいいのでリクスが学園内のトラブルを解決するのがメインの日常短編をドラマガでやって欲しい。ロクアカの現在の展開終了後でいいので……そういうの読みたすぎる……(でもロクアカも当分終わらないで欲しいという未練はめちゃくちゃにある)
バトル的にはリクスがひとつの壁を乗り越えて大きな成長を果たす回であったし、《祈祷派》というか祈祷魔法の恐ろしさを改めて感じさせられるお話でもありました。シノの前世の話も改めてそうだし、《祈祷派》に対して憎しみすら感じていたルティル先輩が祈祷魔法でああなっちゃうのは普通に恐ろしい。
そしてリクスはルティルとの戦いの最中、自らが使う“光の剣閃”のさらなる高みに辿り着き……自らを削ぎ落とし一本の剣とすることで完成するといわれる“光の剣閃”、そしてその先にある銀色の光──ってやっぱりアレっぽいんだよなあ……スターシステムで片付けるには類似点が多すぎるので、この辺どう絡んでくるのかも大変気になります。
ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編12
龍園と坂柳。このどちらかが明日───敗北し学校を去る。
長かった2年生も最終盤、最後の特別試験『学年末特別試験』が遂に実施される。各クラス先鋒、中堅、大将、3人の代表者を事前に選出し、対戦クラスの代表者と勝ち抜き戦を行う。ただし試験内容は当日まで不明というもの。
「俺の本気って奴を坂柳と、そしておまえに見せてやるよ。俺には似合わないが正々堂々とねじ伏せてやる」
「学年末特別試験が片付いたら、ゆっくりお茶でもいたしましょう。彼を倒した後は綾小路くんとの勝負が、3年生で待っていますから」
龍園と坂柳、生き残るのは1人だけ──。大人気学園黙示録、2年生編クライマックス!
「お互いに特別試験で退学せずに済んだら、その時は時間を作ってくれ」
2年生最後の特別試験である『学年末特別試験』が開催。事前に代表者を3人選ぶこと以外、当日まで詳細が全くわからない状態で堀北クラスは一之瀬クラスと、坂柳クラスは龍園クラスと戦うことに。そして、坂柳と龍園は今回の試験で負けたほうが退学するという密約を交わしていて……。
綾小路清隆、人の心がない(※褒めてる)
いや凄かった……本当に凄まじかった。もうこれ書くだけでネタバレかもしれないんですけど、2年生編を読みながらうすうす想像していた今後の展開、今回で一気に何もわからなくなったまであった。いやこれまでの前提とか関係性とか全部ひっくり返ったじゃん誰がここまでやれと言ったんですか!?(いや、全く先が読めなくなってしまったの最高といえば最高なんですけども!!!!!)というわけで2年生最後の試験は3人の代表者を選出して残りのクラスメイトを7人×5組に分けて対戦クラスと人狼亜種的な役職当てゲームで戦わせる。更に代表者同士がその様子を見ながら並行して役職当てを行ってその勝敗によってお互いのHPを奪い合う……という複雑な試験。正直試験の内容が複雑すぎて、実際試験が始まるとフィーリングで読めるんですけどもうちょっとなんとかなりませんかってことだけは毎回地味に思う……。自らの進退を掛けて激突する坂柳と龍園、得意ジャンルである洞察力を活かせる試験で最強のプレイヤーとして堀北・綾小路の前に立ち塞がる一之瀬、綾小路も自らの目的のために水面下で動き始めて……という試験会場でも試験の外でも苛烈な戦いが巻き起こる、波乱万丈だった2年生編のクライマックスに相応しい、最高に面白いお話でした。
いやでもほんとに凄かった……何が凄かったって久しぶりに綾小路清隆に人の心がなさすぎて凄かった。いやヨーグルトメーカーほしすぎて発狂してたり交流会でひたすら土こねたがったり学園生活の中で初めて人間らしい自然な温かい感情を芽生えさせたり……2年生編3学期くらいからジワジワと描かれてきた彼のかすかな人間性の萌芽みたいなやつどこやっちゃったんですか!?というか綾小路清隆、半端に人間性を獲得したせいで自分の欲望のために行動することを覚えちゃった感と言うか、これまで以上にやることが凶悪になってるまであるのが怖い。今までを遥かに超える大惨事だった。
軽井沢さんとの倦怠期は前巻からずっとなので百歩譲って置いておいても(この男次巻で完全にフるつもりである)、ゆっくりと築き上げた信頼を最悪の形で裏切り、救うと見せかけて最後の最後でこのうえなく完膚なきまでに切り捨てて、自分の障害になりそうな身内の錆をしれっと再起不能にし、更にどうみても破る気まんまんの約定持ち出してきたり……いや本当に今回あまりにも人の心がなくてビビる。堀北さんは綾小路といい雰囲気になってるのとか一旦忘れて、なんかわからんうちにクラスメイトが減った件についてちゃんと追求してほしい。いやでもそうだよ「よう実」ってこういう話だったよね。ヨーグルトメーカーまじでなんだったんだろうね……。
ラストもなんかきれいに落ちたみたいな気がしたけど冷静に考えるとぜんぜん綾小路に人の心がないし、そこまでして掴み取った一番求めていた人物は再起不能レベルに心折られてませんか?大丈夫??いやまあこうなるの想定済みっぽいし綾小路だから上手いこと叩いて治すんだろうけどよ……。
いやもう細かい部分への言及しはじめるとキリがないので差し控えるんですけど最後の最後で焦土作戦(オブラート表現)取ってきたのとか本当に草だったんですけど、ほんとうにこれ最後にどうオチつけるんですかね。色んな意味で何もわからなくなった。今回の綾小路がやったことに対する各人のレスポンスがほとんど次巻回しになった上、地獄の親子面談・七瀬翼の正体・軽井沢との関係の決着・綾小路自身の進退問題……と春休みは激重イベント目白押しなんですよね。どうすんだこれ。2年生編の終着点が見えない。
軽井沢さんが次巻でフられるだろうことだけは確実……と思ってたんだけど、マジでそれすら覆りそうなくらいのひっくり返りぶりなんだよな……。
小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画を愛しすぎている
放課後、部室で密かに行われるのは……打ち切り漫画批評!?
俺、月見里司は高校生で漫画家志望。大人気の漫画誌、週刊コメットの漫画賞で最終選考まで残った経験もあり、今日も今日とて漫画部部室で、デビューを目指してネームを悶々と考える日々……なのだが、異様なまでに打ち切り漫画を愛好している部の後輩の小鳥遊がいつもちょっかいを出してくる。「お前……結局趣味が悪いだけじゃねえか。デスゲームやってる貧乏人を、金持ちが安全圏から見て楽しんでる感覚かよ」「ち、違いますよ! 私が求めてるのは散り際の美しさです! 土俵際の美学です! 敗者の生き様です!」「ただただ人間として面倒くさいな!」漫画同好会部室は、相も変わらず他愛のない会話で溢れている。
週刊漫画誌『コメット』の漫画賞に投稿して最終選考まで残ったこともある漫画家志望の少年・月見里司。漫画部の部長として放課後は部室で連載用のネームを練る日々を送っているが、そこにコメットの「打ち切り漫画」をこよなく愛する後輩の少女・小鳥遊が入部してきて……!?
「読者」って本当に面倒くせえなあ!!(身に覚えがありすぎる)
MF文庫Jで企画されたプロ作家向け短編コンテスト「第2回 MF文庫J evo」の受賞作品で、漫画家の卵な主人公が打ち切り漫画愛好家の後輩の少女と放課後の部室で打ち切り漫画を語るだけという往年の謎部活もの(別に謎部活ではない)を思わせる作品。読者投票ではなくPV首位なのがさもありなんというか、元の題名「小鳥遊ちゃんはクソ漫画愛好家」のインパクトありすぎなんだよなあ。ちなみに読者投票1位は1つ前に読んだ『経学少女伝 〜試験地獄の男装令嬢〜』(リンク先感想記事)だったそうです。週刊少年漫画雑誌の打ち切りレースの話を皮切りにして、ネット批評の話・電子書籍の話・Web連載の話・ウェブトゥーンの話・ネットミームの話・クリエイターの働き方についての話……と、現在の状況を踏まえたリアルな「読者」の物語なのが笑え…笑えな…………面白かったです……。特に電子書籍の台頭による読者の購買行動の変化の話とかのあるある感ヤバかったですね。「Web連載で追いかけていた作品が単行本化したけど中身は読んでるし電子書籍のセールで安くなってるの待ってるうちに連載が打ち切られた」とか普通に身に覚えあるしマジで笑えないんですが!!
主題が「打ち切り漫画」という時点で色々とギリギリのところを突っ走ってる感が凄すぎるし実際ギリギリなんですが、これを(漫画家ではないとはいえ)同じプロクリエイターであるラノベ作家が書いてるというのがまた生々しいんだよなあ!!!特に顧問であり漫画に全く関心のない教師の東海林先生から漫画家の待遇についてマジレスされる第6章のキレッキレ感よ。これプロの漫画家じゃなくてラノベ作家が書いてるからこそギリギリセーフみたいなところある……とか思いながら読んでたらしれっとラノベ業界の話差し込んでくるのやめてください先生がそこに言及するとギリギリアウトだと思うので!!!!!!!!!!!!
それでストーリー性は薄くてだらだらと打ち切り漫画を語ってどこまでも続く感じ……かとおもいきや、ヤマもありオチもしっかりあり単巻で綺麗にまとまる感じのお話になってるの凄かった。今までと変わらないといいつつも廃部やスランプをきっかけに変化していく関係性、そして……多彩な展開で翻弄しつつ最終的に主人公ふたりと「とある打ち切り漫画」への偏愛の物語として落としていくのめちゃくちゃ綺麗で良かったです。付かず離れず、お互いに興味がないように見えてときどき信頼と執着が透けてくる月見と小鳥の関係性、めちゃくちゃ好きだな。いやこれでも全然綺麗に落ちてるようで落ちてないよね??問題は1ミリも解決してないよね???と思わなくもないけど、主人公二人が幸せならばそれでOK……なのかな!?いやでもほんとうに打ち切り漫画のファンってめんどくせえなあ!!!!!(色々と身に覚えがあったので辛かった)
打ち切り漫画レースが好き、と満面の笑みで語る小鳥遊ちゃんが最後の最後に漏らした本音、本当にわかるよ。
経学少女伝 〜試験地獄の男装令嬢〜
世界最難関で男性のみ受験可能な試験・科挙。少女は性別を偽り運命へ挑む。
世界最難関・男性のみ受験可能な試験――科挙。
雷雪蓮(らい・せつれん)は、少女でありながら男装して科挙合格を目指す受験生。
自分以外にそんなやつはいないと思っていたが、試験会場でどう見ても女の子な受験生・耿梨玉(こう・りぎょく)を発見してしまう。
「世界を変えるのに性別も地位も関係ないよ! も、もちろん私は男だけど!」
「(試験の前に落ちそう……)」
仲良くなった二人は悪徳官僚に支配された世界を正すため、手を取り合い試験地獄へ挑むことに。
性別バレは即・失格なうえ、試験問題も超ハード。さらには殺人事件やカンニングの横行など様々なトラブルが発生して……!?
二人の男装令嬢が逆境に挑む中華試験譚。始め!
とある目的から、男装して女人禁制の試験である「科挙」を受験しようとする少女・雷雪蓮。男性としての振る舞いも完璧に身につけた彼女が受験会場で遭遇したのは、男装もせずに自分は男だと言い張るどうみても女の少女・耿梨玉だった。なしくずしに彼女と共に試験に挑むことになってしまうが……!?
手段も目的も対称的な少女達が繰り広げる、叛逆の物語
最初から最後まで試験のお話だったし、なんなら1冊まるまる使って「私達の試験はまだ始まったばかりだ」エンドだった。あまりにもサブタイの「試験地獄」という名前の通りで強さが凄い。自国への復讐を果たすために科挙を受験し、合格のためなら汚いやり口含めて手段を選ばない男装の麗人・雪蓮。腐敗しきった自国の在り方を変えたいという願いを胸に、女性の装いのまま男だと言い張って試験に臨む耿梨玉。出発点は同じだが目指すところは微妙に違う、似ているようで性格もやりかたも正反対な少女二人が周囲を欺き、世界最難関を飛ばれる試験で生き残っていく展開が面白かった!!メインは主人公二人の関係性だけど、途中から腹に一物持ってそうな青年・李青龍や中性的な雰囲気を持つ少年・欧陽冉も加わって凸凹しながらも少しずつ連帯感が生まれていく展開も美味しかった。
打算ありきで梨玉と仲良くしていた雪蓮が、徐々に自分にはない梨玉の真っ直ぐな言葉に少しずつ魅かれていって……それでもなお、彼女が果たそうとしている「国家への復讐」という目的はあまりにも大きくて……。謎めいていた彼女の正体が明かされ、梨玉に絆されかけていた雪蓮が自らの本来の目的を再び思い知らされるクライマックスが衝撃的で、同時に彼女独りで突っ走ることへの危うさも感じてしまった。今回も結果として上手くトラブルを乗り越えられたとはいえ、梨玉に絆されちゃって目撃者を見逃してしまうあたりは微妙に年頃の少女らしさが抜けないと言うか、彼女の影響を半端に受けてしまったのが逆に危なっかしいんだよなあ。雪蓮の言葉の裏にまだなにかあると薄々気づいている梨玉が上手く彼女の支えになってくれればいいなあと、色々な意味で次巻どういう方向に進んでいくのかが気になる物語でありました。
言葉や手段は違えど彼女達が目指しているところあながち遠くズレてもいないのでなんだかんだで理解し合えば同じ道を歩めると思うんですけど、そのまますれ違って敵対する展開もなくはなさそうで……。
この先、絆があるぞ
オンラインと現実の狭間で揺れ動く高校生のゲームライフストーリー
高校生ユウの趣味はゲームだ。自分のプレイヤースキルを試せるPvPが特に好きで、それを配信しリスナーと共有する日々を楽しんでいた。そんなある日。クラスメイトのダイが漏らしたのは、ゲーム『ELDEN RING』初心者特有の悩み。思わずアドバイスを返してしまい、ダイと一緒にプレイすることになる。この手のゲームは初心者だというダイは、驚き、喜び、ムキになったりと全身でゲームに熱中していて、ユウも気づけばダイとのゲームを楽しみにするようになっていた。しかし同じように楽しんでいたはずのゲーム配信ではリスナーと微妙な空気になってしまい――。オンラインと現実の狭間で揺れ動く高校生のゲームライフストーリー。
エルデンリングのPvPでリア充を狩るのを楽しみに、配信活動もやっている高校生のユウ。ある日、エルデンリングの序盤のボス攻略に詰まっているクラスメイト・ダイにうっかり話しかけてしまい、協力プレイで攻略のアドバイス兼見届け役をする羽目に……!?
実在のゲームを題材にした高校生ふたりの青春物語
苦手な「リア充」がフロムゲーのクソ強ボスにボコボコにされる姿を笑ってやろうという大分後ろ向きな気持ちでダイからのフレンド申請を承諾したユウが、なんでも新鮮な気持ちで楽しむスタイルのダイの姿を見ているうちにゲームを純粋に楽しむ姿を心地よく思い、少しずつ放課後の協力プレイを楽しむようになっていく。ゲーム攻略が進むにつれて自身の気持ちの変化に戸惑い、ゲームクリアによってダイとの関係が終わってしまうことへの怖れを感じ始めて……というふたりの関係性と気持ちの変化が印象的な物語でした。元のゲームは全くわからないのですが、ゲームの前提知識がなくても楽しめる高校生ふたりのゲームを題材にした青春のお話で、面白かった〜!!ユウに訪れた気持ちの変化、しかしそれがきっかけでいままで「リア充憎し」でやっていた配信活動の方がうまくいかなくなり、リスナー達の不満が溜まり始める。挙げ句にはネットストーカーらしき人物まで現れ、ユウの私生活を掻き乱し……何もかもが上手くいかないままダイとも喧嘩してしまい……ドン底の所からゲーム内で殴り合って解決、雨降って地固まるというラストが最高にアツかった!ユウみたいに一種のキャラ作ってやってるタイプの配信者のキャラ変、視聴者側として考えるとかなり複雑な気持ちになりそうだなとも思うんですけど、あえて自分の素の姿を全世界に配信してエンタメとして昇華しちゃうの小規模炎上の火消しとしては上手かったんじゃないかなと。(作中の)万人が納得できる解決方法ではなかったとおもうけど、リアルでもネットでもクラスメイトも視聴者も一緒に楽しそうにしているエンディングにほっこりしました。リア充ども末永く爆発しろ!!
主人公二人の関係性がとにかく好きなんだけど、しんどい展開の中でも変わらぬ明るさで接してくれるユウのゲーム仲間のマイケルがめちゃくちゃ良いキャラだったし、同じクラスの仲下さんが適度な距離感で付き合ってくれるのも凄く良かった。ストーカーくんのその後も含め、基本的に悪い人がいない世界観なの安心できる。
友情以上恋愛未満の関係性たまらね〜〜〜!!!
これ作者側の意図か自分の誤読かわからないんですけど、最初男子同士の友情物語だと思って読んでたんですよね。というか本当に前半の展開で性別的なアレコレを感じなくて、リア充男子と陰キャ男子の友情物だと思って読んでいたというか。それが後半で二人の距離が縮まるにつれて少しずつお互いを意識するようになっていって、それに呼応するようにお互いの内面に関する描写も増えていって……「自分の本当の姿を暴かれたくない」と独りごちる序盤から、全部さらけ出してぶつけ合う後半に進むにつれて両者の内面の描写が増えていくのが印象的でした。最終的にこの気持ちは友情なのか恋愛なのか、わからないけどどっちでもいい、今ふたりでいるのが楽しい!!という関係性に落ち着くのがめちゃくちゃ好みで、刺さった。そうなんだ私はこういうこの気持ちが恋愛なのかなんなのかわからないでもそれより大事な物があるしもっと君の隣で一緒に楽しいことしていたい系ラブコメ未満の甘酸っぺえやつ(長い)好きなんだ!!!
田口先生の現代舞台・甘酸っぱい男女の青春短編が前からすごく好みで、「3分間のボーイ・ミーツ・ガール」「僕とキミの15センチ」「きみがVTuberになるまで」とどれもめちゃくちゃ好きだったのでこの路線で一冊長編書いてくれないかなー……と密かにずっと待ってた身としては本当にありがとうエルデンリングでした。ありがとうございますこの路線でぜひもう一冊……(ガーゴイルとかミロクとか魔王城みたいなファンタジー疑似家族物路線も好きなんですが、そっちの新作もずっと待ってるんですが、それはそれとして……)。
「魔王城」だけじゃなくて「3分間のボーイ・ミーツ・ガール」も電子書籍になってないってマ!!!!?????????????????????(今気付いた)