前世の記憶を持つリリスはひょんなことから希少属性である聖属性の魔法に目覚めて「聖女」候補として認定されてしまう。愛人の子なのに男爵家の令嬢として貴族教育を受ける羽目になり、冒険者になりたいのに貴族学校に通うことに。クラスメイト達はいい子ばかりだけど、リリスのことを毛嫌いしてあらぬ疑いをかけてくる義姉・ケイラや何度否定しても自分に色目を使っていると勘違いしてくる第一王子がよくわからない理由で自分に突っかかってくる。むしろ退学にしてほしいと思いながら撃退していたけれど……!?
女子校ノリの魔法学園展開が楽しい〜!!
転生者としての記憶を持ちながらもこの世界の人間として楽しく生きていこうとする主人公・リリスが冒険者を目指しながら貴族学園でクラスメイト達と楽しく魔法の勉強をする。そこに転生時の記憶に翻弄されて被害妄想にかられた転生者達が(こちらは何もしてないのに)妨害してくる……というお話。英雄の娘・聖女候補としてのパワー(物理的にも権力的にも)を正しく使って逆境を跳ね除け、早く退学して冒険者になりた〜い!と言いつつクラスメイト達と楽しい魔法学園生活を送る展開がめちゃくちゃ楽しかった!!中級貴族ばかりのクラスなので身分にとらわれることがあまりなく、女子校みたいなノリ(※男子生徒も一応います)でわちゃわちゃ仲良くしてるのが微笑ましい。いや、女子生徒の中でイケメン枠が設定されてたりその中でカップリングとか始まるの絶妙に女子校ノリだなって……。
更に中盤以降は転校生である辺境伯令嬢・レイヴンが登場し、主人公であるリリスとの女女バディ関係が肝になってくるので更に楽しい。良くも悪くもリリスと渡り合えるキャラがいなかったところに対等な実力のキャラが投入されたらそりゃ面白くないわけないよな。
魔法学園パートは序盤から大変楽しかったですが、特に後半の野外演習の話がキレッキレでめちゃくちゃ楽しかったな。良い意味で気を張っている人間がおらず、ちょっと世知辛い魔法使いの立ち位置を愚痴ったり着いてきてくれた貴族の騎士のおぼっちゃんのなんの気の無い発言にその世知辛さを再認識したりしながらも全力で自分達の出来ることを楽しんでいる様子が良かった。魔法大会で1位になる予定の先輩に全力で忖度してみんなで雑な魔法を披露していく展開も面白い。
ざまぁあり異世界転生ファンタジー展開が、予想以上に重い
そんな学園生活パートがめちゃくちゃ楽しい反面、並行して他の転生者とその仲間たちが主人公に難癖をつけ、勝手に自滅していくざまぁ物的な異世界転生ファンタジー展開が進んでいく……んだけど、相手があまりにもとにかく話が通じないし嫌がらせが稚拙で見ていてツラかった。登場人物たちが容赦ないくらいにマトモな感性を持っているため誰も彼女達の味方をしてくれなくて……もう1ミリも同情の余地はないんだけど相手にされてなさすぎてかわいそうにすら思えてくる不思議。前世の記憶にこだわらず現在の世界で自由奔放に生きようとするリリスと、自分の知っている前世の記憶と現実の違いを受け入れられずに徐々に被害妄想に囚われて意味不明な行動を繰り返してしまう他の転生者達という対比が浮き彫りになってくるとますますしんどさが増してしまう。転生周りの設定が予想以上に複雑そうというか人の心がなさそうで、これはこれでちょっとダークなざまぁ要素ありの異世界転生ファンタジーとしてはめちゃくちゃおもしろいんですよね。な〜んか多分これ第三者の介入みたいなのありそうだし、なんなら「異世界転生」という最初の設定自体がひっくり返される可能性すらありそうで先が読めない。
タイトルは原題のほうがしっくりくるかも
そんなわけで女子のわちゃわちゃ・女女バディが楽しい魔法学園展開とちょっとダークなざまぁ系異世界転生展開の2本柱で進む物語でどちらも最終的にはおもしろかったんだけどあまりにも2つの面白さが相反していて、特に序盤はざまぁパートきつくない!?思ってしまった。中盤になって転生者達の認識のズレが見えてくると一気に面白くなるんですが、特に序盤はなんかもう義姉・ケイラのやることなすこと全部が裏目に出ていく展開を読んでいかなければならなかったのでキツかったし、いくらケイラの自業自得とはいえ……くらい周囲が塩対応なのかわいそうに思えてきてしまう。母親だけでもケイラの話ちゃんと聞いてあげたら変わってたんじゃないですかねこれ。まあ第三者の介入がありそうなので、どうにもならなかったかもしれないけど……。
「脳筋聖女」ってタイトルからもっと爽快に主人公が暴れまわる話を期待していたのもあるかもしれない。個人的には原題の『聖属性の魔法使いの私、ドアマットヒロインと悪役令嬢から難癖つけられるけど知ったことかと我が道をゆく』のほうがしっくりくる……この話、いうほど物理で解決してないよな……。

































