勇者の異世界召喚に巻き込まれて異世界に転生してしまったサキ(氷河期世代の薄給OL)は、リソース残り少ない神からなけなしのスキル──「前世で購入したことのある物を1日1000円分まで取り寄せられる」を授かることに。1000円なんて大したことない、と思っていたが過去の最安値で買い物出来ることに加えて予想以上に小回りの効くスキルのようで……?
「お取り寄せ」系スキルの使い方が上手すぎる
あらすじに書いてあった「ハンバーガー1個59円」の文言が懐かしすぎて、20年前の物価の違い擦っていくジェネレーションギャップ系のストーリーを想像していたのですが、どちらかというと仕様の裏をかいていくスタイルのスキルの使い方が面白すぎて興奮した!!前世で購入した経験のある物を1日1000円分だけ取り寄せられるというこのスキルを、1000円じゃ大したもの買えないよね→20年前の値段で買えば安くない?→むしろ小分けにして買えばいいんじゃない?→◯円分だけ出すとか出来ます??→あっ水道代ガス代も払ってましたよ私?…というノリで、ものすごい勢いでハックしておそろしく小回りの効くスキルに変貌してしまった。主人公の発想が天才すぎるし1000円縛りのおかげで使い方がキレッキレになってるの面白すぎる。
加えて「お金を使って購入したもの」の範囲が厳密すぎて外食で食べたものは出せるけど購入してないから器が出ないとか、ペットボトルを箱買いの量で買うともれなく段ボールがついてくるとか、当然電気やガスもそのまま出る!……とか、一見不便にも思える仕様を上手に使って想定以上のスキルとして活用していく展開がめちゃくちゃ面白かったです。まだそんな使い方があるのかと。書き下ろしで神様が次々と無茶振りを繰り出す主人公の対応に頭抱えてる姿に笑ってしまったけどまあ自業自得だから仕方ないね。
次巻以降があるなら、ネット回線とかもパケ単位で買えたりしないかな。充電の問題で諦めていたけど昔は600円くらいで乾電池を刺すタイプの充電池安売りしてましたよね。あと面白そうなのはサブスク系とかは上手く使えば悪いこと出来そう。夢が広がるな……。
変に大きくなりすぎないスローライフ感が良かった
めちゃくちゃ使い勝手よくしたスキルを使っても変に話を大きくしすぎず、自分の身の丈にあった形で少しずつ生活基盤を整えていく展開がまた良かったです。戦闘スキルへの転用を考えるのもあくまで護衛目的だし、ギルドの依頼も100均グッズを活用できる清掃関係とか初手の収集止まりであとは農業とかそっちの方向に話が進んでいく。転生先世界の技術が適度に進んでいて、現代のアイテムを使っても劇的な変化を引き起こすようほどの展開にならない塩梅も良いな。最初の清掃の仕事で出会ったおじいさんとずっと付き合いが続いていったり、徐々に深い付き合いになっていく猫族の兄妹とかとのやりとりも良かった。猫族の兄妹に関しては番外編で彼ら視点の物語が読めるのがまたよかったな。主人公が善意で接すれば同じだけの善意が帰ってきている感じ、それを元手に少しずつ足元を整えていく展開が心地良かった。1冊で綺麗にまとまっているとはいえ地盤を整えた所で終わっていて、主人公のスローライフはこれからだ!!という終わり方だったので続きが読めるのを楽しみにしております。
それはそうと当時の物価もそうだけど(これ30代以上とかじゃないと実感できない時代ですよね…改めて当時の価格頭おかしかったなと思う)、全体的に名前を伏せて出てくる作品がガチ目に古いので若者に通じるか勝手に心配になった。いや、就職氷河期生まれってことは確かにこの辺の作品群が直撃してる世代なので確かにこうなるとおもうし、そこスルーをしても全然面白いから余計なお世話なんですけども!!
消費税導入前の話が一瞬出てくるけど、これとか平成元年なんだな……おそろしや……(時の流れが)。
