今日もだらだら、読書日記。

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俺は学園頭脳バトルの演出家!1 〜遅れてやってきた最強転校生は、美少女メイドを引き連れて学園を無双するそうです〜

 

俺がアイツを『最強の主人公』に『演出』してみせる──!
ゲームによる決闘ですべてが決まる帝王学園。 裏社会からやってきた最強の転校生・霧谷透。 その銀髪ロシア人メイド・ソフィー、彼の幼馴染である学年最強のお嬢様・西園寺桃華。 ――エリート育成のため人知れず運営されていた学園は、それはもう見事なほどに、学園頭脳バトルの舞台として整っていた。 ならば、モブの化身たる俺・田中叶太のやるべきことは一つ。 霧谷が最強主人公として学園を無双する、そんな俺TUEEE物語を陰から演出することだ。 それが演出家である俺の生き様……なのにお前ら、俺を目立たせるんじゃねえ! 実力隠し最強主人公×学園頭脳バトル×メタコメディ、ここに爆誕!

ゲームの強さが何より優先される帝王学園に転校してきた霧谷透はアメリカの最先端のゲーム教育を行う中学で全戦全勝での卒業を果たしたという最強の高校生だった。その霧谷と同じ日に転校してきた「演出家」を目指す普通の少年・田中叶太はその霧谷を主人公に見立てた学園頭脳バトルを「演出」しようと決意。ところが、霧谷と「ヒロイン」西園寺を対決させようと動いているうちに次々と想定外の事態が起こり……!?

「勝利」が最終目的にならない頭脳バトルが面白かった!

学園を演出する……というと厨二病感がすごいんだけど、演出する=非日常を演出することで皆を楽しませたい!という発想で、あくまで健全な目的になっているのが実に心地よかった。自身の勝利が目標ではない学園頭脳バトル、というありそうでなかった物語がかなり新鮮で面白い。

「演出」に拘りすぎて属性だけで霧谷と西園寺を勝手にくっつけようと暗躍したり、本気で霧谷に勝ちたい西園寺とペアを組んでもなお自身の演出のために負けることを選ぼうとしたり、随所に霧谷以外の人間をちょっと見下すような言動があったり……と、「皆が笑顔になってほしい」と言う割には独りよがりで自分勝手な采配も多くてやきもきしてしまったのですが、そんな叶太がどうして「主人公」ではなくて「演出家」を目指そうとしたのか、その理由を聞くとなんというか……憎めなくなってしまうというか……最初に語られた友達同士のなんてことないゲーム対戦を「演出」することでより楽しんでもらえたというポジティブな成功体験と、友達に勧められるまま本気を出して勝ち上がったら圧倒的すぎてドン引きされたという失敗体験のこの温度差よ。

勝利に拘らないというよりむしろ自らが「負ける」ことに拘る理由……皆を笑顔にしたいという言葉も本心ではあるとは思うのだけど、その裏に仄かに見え隠れする歪な感情というか過去のトラウマと言うか、この一歩足を踏み外せば奈落に落ちていきそうな不安定な感じがとても刺さりました。

そんな叶太が自分の演出失敗をきっかけにして西園寺やソフィといった「ヒロイン」級の美少女達と関わることになり、更には「主人公」である霧谷透のとんでもない「秘密」を知ってしまい……舞台の裏からこっそり物語を演出するはずが否応なしに表舞台に引っ張り出されていって……そして、運命共同体となった西園寺の心からの言葉によって本気で戦うことを諦めてしまった叶太自身の過去と向き合い、霧谷との手加減なしの真剣勝負に臨む……というクライマックスがアツかった!色々な意味で転校してきてからここまで「間違い」だらけだったと思うんだけど、軌道修正を繰り返しているうちに全員で奇跡的に辿り着けたハッピーエンド、間違えたことも含めて文句なしに青春してて良かったです。

主人公の濃厚なキャラも魅力的だったし、西園寺やソフィーや霧谷といった脇役達もかっこよくて、お互いの主義主張をガンガンぶつけ合っていく姿が印象的でした。しかし霧谷、色々な意味で○○バレ展開だけが残念だったな……いや可愛いんですけど、ああいうギャップのあるキャラ好きなんですけど……それ以上に、ああいう性格に裏表のある同性のライバルポジションが大好物なので残念だ……(いや2巻とかもっと先の巻でネタバレされるのはもっとつらいので早めにバラしてくれたのは優しい世界なんですけど)

しれっと親世代にもなんかつながりがありそうだし、その辺も含めて続きが楽しみです。

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アラサーがVTuberになった話。6

 

クリスマスだよ! 全員集合!
私が神坂怜としてデビューして早9ヶ月。今年も12月に突入し残すところあと僅かというこのタイミングで、我々VTuberにとっては鬼門となるイベントが立ちはだかった。その名も聖なる夜・クリスマス! もし配信をしなければ「恋人がいるのではないか」と噂されるが、下手な配信では競合が多すぎて数字を取れない。話題性のために異性間コラボでもしようものなら大炎上間違いなしだ。そんなわけで獅堂先輩主導のもとクリスマス対策会議が開かれたのだが、「いっそのこと忘年会と称してクリスマスパーティーをやろう」という話が持ち上がり……!?

ASMR配信が予想外の展開で初バズ、チャンネル登録者数も激増……と思ったもののすぐに元の黙阿弥に戻ってしまった神坂怜。そんな彼の元にイベントごと盛り沢山の年末年始がやってきた!「あんだーらいぶ」の年越し番組で柊冬夜とともにメインMCを務めることになったのを皮切りに、打ち合わせで出向いた事務所で「配信しないVtuber」として有名な新戸先輩に出会って突発コラボに誘われたり、アンダーライブのみんなと実質クリスマスな「忘年会」を行うことになったり、自分のチャンネルでもクリスマス生配信をやることになったり……と忙しい毎日を送ることに!!

アンチくんこわすぎンゴ……。

あらすじの通りイベントごとだらけの年末年始、軽いバズはあったが珍しく炎上ごともなくてこれまで以上に平和な巻だったのですが…………なぜか読んでてずっと不安しかなかったのは何なのか。

めちゃくちゃ平和な配信生活の裏で黙々と送りつけられるアンチくん……というか粘着くんのお気持ちメッセージがこわすぎるんですが!!予想通りの経緯ならガチの怨恨沙汰になってる予感しかしないし、そんなやつからお気持ちされてるタイミングで確実にこの時間に事務所に居るよとわかるような生配信のMCやるのとかリア凸フラグすぎて年末特番の間中ずっと怖かったです。事務所の外で刺された神坂(もしくは神坂を庇って血の海に沈んだ畳)をバックに次巻に続くエンドを本気で心配したよ!!

そして一応そういう終わり方ではなくて無事に年越し特番が終了して安心してたらしれっとカバー下のSSで殴りかかってくるし、あとがきでも「本当はもうちょっと先まで入れたかった」みたいなこといってて、絶対に次巻がヤバい……。この件、神坂自身の意向じゃなかったとはいえせめて他の男子メンバーに周知されたのはマジで救いだと思ってるんですけど多分あんだーらいぶ本体の方には伝わってないだろうし、解決になってるわけじゃないんだよなぁ……。

ところで炎上といえば(?)気がつけばミカが月太陽と先輩取り合ってるのをどんな顔で見守ればよいのかわからないすぎた。同性であるだけに月太陽よりも絡みは多いし、これまで何度も助けてもらった流れとかもあるからそりゃあ懐くよなって感じではあるんですが、もう「懐いてる後輩」ってレベルじゃなくなってきた気がするんですよ。枕詞が「俺の先輩」になってるの面白すぎるんですよミカァ!!!とかいってたらしれっとあんだーらいぶのあの世界での二次創作事情への言及あってわらってしまった。

あんだーらいぶ男子組の薄い本ください!!!(どさくさ)

最近の神坂怜、案外配信も面白い気がするんだが?(感覚麻痺)

前巻ラストのASMR配信で初めてのバズを経験したのは記憶に新しいですが、そこから引き続きのクリスマス配信でめちゃくちゃ笑ってしまった。本人は至って真面目にトンチンカンなことやってるのが面白すぎるし、コラボ枠でのおかん・常識人ツッコミポジションとしての絶妙さと個人配信でたまに繰り出されるシリアスな笑い感はもっと評価されて良いと思うんですよね。いやでも、パワポのプレゼン芸ぶっこんできたのは多分彼なりの分析の結果「これがウケる」と思ったからなんだろうなあ……間違ってねえのがズルいよなあ……。

いやたぶん、この辺の配信って10回に1回あればいいくらいのクリーンヒットかもしれないしそれ以外の9回は虚無配信なことに問題があることは変わらないとはおもうんですが……もっと売れるといいね……。

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リスナーに騙されてダンジョンの最下層から脱出RTAすることになった

恋狸
 

新人ダンジョン配信者の世迷言葉。 一階層の攻略中に、リスナーの一人に騙されて(自業自得)、 転移魔法陣を踏んでしまう。 言葉の視界が切り替わると、そこは―― 未だ誰も到達していない、五百階層の未踏破地帯だった。 レベルも強さも初心者な言葉は、 配信を続けながら、リスナー頼りで生き残り強くなる! なお、地上では――
 ・地上波永続生配信中 ・攻略組による支援 ・世界的に大注目  な模様。
ダンジョン最下層からの脱出RTA、スタート!

ダンジョン探索する際に配信を行うのが義務付けられている世界。探索一日目の少年・世迷言葉はリスナーの冗談を真に受けて転移魔法陣の罠に引っかかり(※概ね事前講習を居眠りして聞いていなかったせい)、未到達の五百階層に飛ばされてしまった。面白半分で配信を見ているリスナー達にアドバイスを乞いながら、ダンジョンを上層に向かって攻略することになるが……!?

う〜ん人の生命が軽い!!!

レベル1の初心者が配信を行いながらダンジョン最下層からの逆RTAを目指す物語。有用スキルや頭を絞って大物喰らいを繰り返し、レベルアップで強くなる……のではなく、一部ユーザーから面白半分で投げつけられる超高額スパチャで高額ポーションを飲みまくり、スナック感覚で四肢を吹き飛ばしながらダンジョン脱出を目指して試行錯誤を繰り返すという捨て身戦法でゴリ押していくスタイルだった。そんなことってある!?

いやまじで、他のダンジョン物でよくあるような、なんてことないと思われていたスキルが実は強いとか、特定行動をすることで取得できるスキルや敵を倒して手に入れた魔石から取得するスキルなどの要素もあるにはあるんですが、魔石から取得するスキルはいちいちピーキー過ぎて足を引っ張ることもままあるし、特定行動で取得するスキルに至っては熱耐性・苦痛耐性を取得して満足している感がある。どうして捨て身戦法ばっかり磨こうとするの!?いやでももう中盤からは何の疑いもなく主人公が自分の手を捨てにいってたしなんかもうそれが基本戦法になっていたのでこれはこれで完璧なスキルツリーだったのかもしれない。いややっぱり色々とおかしいよ。

主人公が初期取得していた「鑑定」「アイテムボックス」なんて作品によっては隠れ鬼強スキルの代表格みたいな顔してることもある気がするんですが、絶妙に戦闘には使えないスキルとして調整されているの徹底している。一周回って普通のダンジョン成り上がりもののアンチテーゼなのか?とか思えてくるけど作者の人そんな難しいこと考えてないと思うよという言葉も脳裏をよぎる。調理用として購入したはずの中華鍋が無駄に強いのにまた笑ってしまった。

主人公とリスナーの掛け合いが色々と無責任すぎて面白かった

ダンジョン探索時に配信を行うのが強制になってる世界=死亡事故配信も少なくない……ということで、集まったリスナーがみんな人のリアルな生き死にを肴に酒飲めるタイプの奴らでヤバいし、なんなら公営放送が自ら生中継をしつつ面白半分でスパチャを投げつけてくる。現代日本をベースにした世界観なのに人の生命が軽いというか、とにかく倫理観が地に落ちすぎててやばかった。

でもそれ以上に主人公が絶妙にクズかつメンタル超合金かつ素の思考が狂気(※決して異常な状況下で狂ったわけではない)なので、全くシリアスになれないんだよなあ。事前講習を全部寝てて何も聞いてないあたりからお察しなのですが、結構自分を棚に上げてリスナー達を煽るし、いいこと言ったかと思えば即手のひら返ししたりもするし。でもこの主人公、クズで思考放棄しがちで頭おかしくても結構ギリギリの線でちゃんとしてるところはしてるというか、変にスジが通ってるから嫌味には感じないんですよね。もともとの配信のファンだったとはいえ、ダンジョン最下層に転送されたきっかけを作ったランカー配信者・ユキカゼが責められそうになった時の流れとか大変しっかりしていて好感度が高い。

無責任に酒呑みながら勝手なこと言ってるだけな一般リスナーと、それぞれの立場からたまに有用なアドバイスをくれる(6割位はしょうもないことを言ってる)コテハンランカー達と主人公がテンポ良い掛け合いをしているのがとにかく面白いお話でした。いやでも、普通に考えたらあまりにも四面楚歌かつ絶望的な展開で、もうちょっとシリアスになってもいいんだよ……!?

ラストの500層ボスモンスターくんの独白が面白可哀想すぎるし彼は泣いていい。

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私はご都合主義な解決担当の王女である 7

 

新章突入でお待ちかね(!?)媚薬イベント発生───!!! 大人気7巻!
護衛の騎士クリフォードと偽の恋人になった私オクタヴィア。 すると父王が護衛の騎士をもう一人増やすと言い出した!  しかも相手は因縁の相手ルスト……まもなく諸侯会議も開かれるし、仕方ないんだけどすっごく複雑です!!  それに諸侯会議といえば、原作でも発生する媚薬イベントが──断固阻止すべく立ち回ったはずなのに、どうしてこうなった!?

護衛騎士であるクリフォードと偽の恋人になったオクタヴィア。ところが、父王にに呼び出されたオクタヴィアは護衛騎士をもう一人任命するよう迫られてしまう。しかも、新しい護衛騎士候補として連れてこられたのはあのルスト・バーンで……!?

父王カップル(?)の馴れ初め話が面白かった

新たな護衛騎士にシル様の記憶、そして諸侯会議に向けたあれこれ……本編もイベント盛り沢山だったけど、幕間で語られる父王イーノックと王配エドガーの過去の馴れ初め話が印象的でした。あくまで互いに恋愛感情のない夫婦関係、エドガーの妹でありイーノックの恋人であったアイリーンの死によって結ばれた、いわば「共犯者」同士の偽装結婚的ななにかを匂わせるふたり。普段はラブラブカップルを装いながらも実際の関係性は全く違う、殺伐としたもので……あっこれ私が好きなやつや…。

この世界が上位存在によって不自然に歪められた同性愛至上主義社会というのは以前にも語られていましたが、父とエドガーの話を聞いていると更なる何かがありそう。貴族が不自然に同性愛嗜好を持つ傾向があるというだけでなく、王が異性と恋愛すること自体が何らかの強制力によって許されないような何か……?うーん謎が深まってきたぞ。

それはそれとしていい加減未解決のフラグが多いな……

シル様の出自やクリフォードの関係性、兄王子セリウスの記憶の件、セリウスと同じく記憶を操作されたらしきデレク、弟アレクシスの変貌、結局味方なのか敵なのかわからないまま懐に滑り込んでくるルスト・バーン、見え隠れするヤールシュ王子の姿……なんというかクリフォード以外は誰がいつ敵対してもおかしくない──セリウス&デレク&アレクシスの問題の根本には同じ原因がありそうではあるんだけど──所々の問題が解決しないままどんどん他の問題が山積みになっていく感じは正直読んでいてあんまり気持ちよくない、もともと刊行ペースが早い作品ではないこともあって、新刊が出る度にこれどの話だっけ!?と混乱するようになってきたのも気持ちよくない。そういえばヒューと面会する話も今回何も進展しなかったな……。

今回明かされたイーノックとエドガーの話で語られた世界の強制力っぽい話も含めて色々気になる件が多すぎるんだけどとにかく本編の刊行ペースも展開もそんなに早くないので増えていく謎に対して速度が足りない感すごくて(とはいえこのシリーズ初期からそういう部分あった)、そろそろどれか一つでもなんとかなってほしいかも。偽恋人の件だけは決着したけど、意味深に積み上げられたフラグが多すぎるんですよね。

そして公式のあらすじではさもかし今回のメインのように描かれながら最後の最後で思い出したように滑り込んできた媚薬イベントの途中で次巻に続く。混迷していく謎に翻弄されつつラブコメはじまった主役二人!!ほんとこの作品、物語本線は面白いんだけど毎回悪い意味で「ここで切るの!?」ってところで切れるよなあ……。あらすじの書き方が悪いのか、本編の切り方が上手くないのか……どっちもか。

ところで今回、4巻以降長らく「電子限定」で発行されていた当シリーズが4〜6巻の紙本発売を経て遂に紙&電子の同時発売に戻ったのは本当にめでたかった。私は電子書籍派なので購入で困ってたわけではないんだけど、やっぱ紙での発行あるかないかって大きいから……。

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ようこそ実力至上主義の教室へ 3年生編1

 

さあ、本当の実力主義を始めよう。
2年最後の「学年末特別試験」を経て、3年生をAクラスで迎えるにいたった堀北たち元1年Dクラス。だが最大の立役者・綾小路清隆がクラス移籍をしてしまう。堀北クラスの生徒たちは混乱と混沌の感情に陥るが――たった一つの残酷な事実がそこには存在していた。堀北たち3年Aクラスは、『綾小路清隆』に勝利せねば、Aクラスで卒業できない。 成長を見せる龍園とBクラス、綾小路のCクラスと一之瀬のDクラスに新たな繋がりが生じる中、3年最初の特別試験『全体、少数戦学力総合テスト』が発表される! Aクラスで卒業できるのはたった1クラス。頂点に立つのはどのクラスなのか! 待望の『3年生編』スタート!

最低のDクラスから這い上がり、3年生の始業式を悲願のAクラスで迎えた堀北達。ところが、担任の茶柱から逆転劇の影の立役者である綾小路が他のクラスに移籍したと告げられる。一方、リーダー不在となったCクラスに移籍した綾小路は、三学年初の特別試験を舞台にリーダーとしての器を試されることとなり……。

各クラスの新たなスタンスが透けて見える前哨戦が楽しかった

綾小路と新たなクラスメイト達の駆け引き、そして綾小路を失った堀北が周囲の人の激励や叱咤を受けて再び立ち上がるまで……綾小路と堀北、両者の視点から描かれる新しい物語が本当に面白かった!今回、綾小路の一人称と同じくらいの分量で堀北の一人称が適宜挟み込まれる形になってましたが、これって3年生編は綾小路清隆/堀北鈴音のW主人公体制だと思って良いのかな?堀北クラスのその後をどう描くのか気になっていたので今後も続く流れなのか気になる所。

そんなわけで綾小路が移籍したのは坂柳を失ってCに転落した旧Aクラス。移籍後初めての特別試験は「龍園クラスとの学力勝負」というAクラスにとっては負けるのが逆に難しいくらいの内容で……勝って当然の試験の「結果」よりも大半のクラスメイト達から値踏みされている綾小路がいかにして自らの能力の高さ・異質性を見せていくのかという「過程」が問われるお話だったんですけど、例によってこれ以上になく完璧に全員を手のひらの上で転がして自分の望み通りの展開を引き寄せていく展開が流石だった。

そして今回の特別試験、Cクラス側の事情を把握してこれまでの勝負に拘る姿から一転して「いかに綾小路に恥をかかせるか」という形で場外乱闘に徹する龍園、綾小路の「協力者」としてこれまでとは違った絡め手で堀北クラスを苦しめる一之瀬……と、各クラスの3年生編における新たな勢力図・スタンスが透けて見える展開なの超良かった。いやしかし一之瀬、一転してワルい女になったな……。

坂柳の退学で不安定になっていたCクラスを特別試験1回であっさり掌握してクラスリーダーの座を掴んだ綾小路。でも正直、今回一度も彼らを「Aクラスで卒業させる」とはいってない気がするんですよね。堀北クラスと拮抗するところまで持ち上げてやるとは言ってるが。2年生編ラストでも軽く言及されてたけど、綾小路って多分どちらかというと4クラスを拮抗させてヒリつく勝負をするのが目的みたいな……いやほんとうになんというか、人の心が中途半端に芽生えた結果これまで以上に人の心がないみたいななにかが……。

移籍をキッカケに一気に変わってしまった人間関係の中、これまでと変わらぬスタンスで「友人」として接してくれる石崎や明人の存在が唯一の癒やしでした。啓誠や須藤はもともとの評価が高かっただろうから厳しい気がする……あとガチで誤字じゃなかった平田の「綾小路くん」呼び……。

綾小路を失った堀北&周囲の面々の動きが今後とも楽しみ

一方、綾小路の不在を受け入れられない堀北は失意のまま一之瀬率いるDクラスと対決する特別試験に臨むことに。1年生編最初のツンツンぶりはどこへやら、一気に重い女化する堀北が印象的でした。いやまあ堀北って最初から重かったけど……堀北兄への依存が本人も無自覚なまま綾小路への依存にすり替わってたみたいな……。

素直じゃない櫛田や伊吹からの叱咤というか応援というか激励というかなんというか、そして軽井沢との対話によって綾小路への気持ちを自覚して……なんというか、1年生編の序盤で周囲の人間を見下して距離を置いていた堀北がこれだけ沢山の人から心配されて、その気持を受けて再起する展開はメチャクチャ熱かったし、少なくても今巻においては文句なしに「もうひとりの主人公」と言える立ち位置だったのかなと。個人的には素直になれない伊吹のどつき愛・挿絵が最高でした。いやなんなんだよあの可愛い生物は。

堀北のことなんだかんだでほっとけなさそうに見える反面で綾小路からの誘いに揺れる櫛田、いまだホワイトルームからの密偵として機能し続けていることを伺わせる七瀬……と不穏の種も多くて、今後どうなっていくのか楽しみしかない新シリーズ第一巻でありました。七瀬や天沢だけじゃなくて宝泉や椿・宇都宮など影が薄くなりかけていた下級生組も改めて絡んできそうなのは結構嬉しい。

ホワイトルーム関係では2年生編では大きな動きを見せなかった石上、綾小路の父親繋がりだと高円寺や鬼頭も絡んできそうだし、まだ見ぬ一年生がどのくらい絡んでくるのかも含めて今後が気になる。こっちの繋がりだと今回完全に空気化していた神埼とかもどう動くのか気になりますよね。シリーズ完結を踏まえると、ホワイトルーム関係は結構本格的に動きがありそうだよな。

というか椿の正体ひょっとしてあの子なんです……?0巻再読したくなってきた。

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スレイヤーズすぴりっと。 『王子と王女とドラゴンと』

 

リナに、ナーガに、あの人その人も大暴れ! 13年ぶり、待望の爆笑短編集
図書館をむしばむ悪(?)を成敗だ! アメリアの正義感はやっぱり騒動を巻き起こし――「『王子と王女とドラゴンと』」 リナ=インバースの自称弟子あらわる!? (金魚のうんち、もとい白蛇のナーガを添えて)――「魔法使いの弟子志願」 喪った剣の代わりを探すリナとガウリイ。 凄腕と噂の鍛冶屋が提示する、剣作りの条件とは――「魔力剣のつくりかた」 元の姿に戻る方法を探すゼルガディスは、ある男と再会する。 ちょっぴり磯臭いハードボイルド短編――「水と陸との間にて」 ドラゴンマガジン掲載の短編に、書き下ろし4編。 さらに文庫未収録SSも大盤振舞。 待望の『スレイヤーズ』短編集新刊!

ある日、とある町を訪れたリナ=インバース。そこで自分の「弟子」を名乗る存在を知った彼女はその真意を問い詰めるため本人に会いに行くが、そこには例のごとくなんか拗らせた「自称・弟子」と白蛇のナーガがいて……!?

久しぶりでいつも通りのようでいつも通りではないドタバタ短編集!

「すぺしゃる」のノリを思い出すリナ単体&リナ&ナーガが活躍する短編に加えてガウリイやアメリアやゼルガディスが登場する書き下ろし短編、合間にドラマガに掲載されたショートストーリーを挟んだ、「スレイヤーズすまっしゅ。」から数えて実に約13年ぶり(!?)のスレイヤーズの新作短編集。

いや〜良い意味でリアルタイムに読んでいた頃から変わらない「いつも通り」のノリ、それでいて登場人物や時系列に囚われずこれまで以上に自由なノリの短編ばかりで楽しかった〜!!「すぺしゃる」と同じリナの一人旅+時々ナーガな前半2編もいつも通り面白かったし、リナとガウリイが2部の序盤で魔剣探しをしていた頃の一幕を描く「魔力剣のつくりかた」とか、短編と入っても基本的に本編前時間軸固定だった「すぺしゃる」では見れそうで見れなかった本編の隙間を描くお話で楽しかったです。というかこのエルフの鍛冶屋、おそらくブラストソード作ったその人…だよな……?

個人的にはやっぱりリナたちと別れて故郷に帰ったアメリアとやはり旅に出ていて最近戻ってきた「グレイシアお姉さん」が二人揃って暴走する表題作「王子と王女とドラゴンと」の衝撃がヤバい。いやあグレイシアお姉さんの正体があの人……というのは以前からどこかで聞いたことあったしそれを知ってるファンとしてはもう待望の展開といっても過言ではないと思うんですけどめちゃくちゃしれっと出てくるし、姉。そしてめちゃくちゃ普通に姉の大言壮語を真に受けるし、妹。知ってたけどやっぱりセイルーン王家本当にツッコミがいないんだよなあ!!!グレイシアお姉さんの挿絵がなかったのがちょっと残念だけどあれはいろいろな意味でなくてよかった気もする。

そして同じくらいズルかったのがリナたちと別れて独りで元の身体に戻る方法を探すゼルガディスがかつての仲間に出会う「水と陸の間にて」。ゼルガディスが主人公ということであらすじにもある通りハードボイルドな展開だし最後にちょっといい話風になって終わるという、スレイヤーズ(短編時空)としては珍しいシリアス風味なストーリーなんですが、その「かつての仲間」というのがアレなので何もかも台無しというか…………一周回って全部シリアスなのが全部シリアスな笑いに変換されていくというか……ヌンサ、下手するとむしろゼルガディス一味の中でも一番くらいのクールな常識人枠のイケメンだった可能性すらありそうなのがズルすぎる。レゾに対する割り切り方とかが人間出来すぎてるんだよな(魚類だけど)……いやなんかでも、ヌンサって割と頭悪いイメージが強かったんだけど…………でもそういえば二枚おろしにされたのはこいつじゃなくて別の魚類だったし確かにラハニムもヌンサのこと「あのハンサム気取り」とかいってましたわね……。

ひとつだけ残念だったのは間に挟まってる各種ショートストーリーが掲載時のイラスト抜きで収録されてること。ラノベEXPOの企画本の目玉の一つだった「サクラコラボレーション」の短編はまぁ仕方ないかなあと思うけど、ドラマガ付録のカレンダー短編はもう入手不可なんだしカレンダーイラストと一緒に収録してほしかった気がする。まあ割とあの手の、その後キャラクターグッズに使い回されたりはしてる気がするけど……どのイラストについてたストーリーか理解した上で読みたいじゃん。

2020年のカレンダー短編の短いからこそ一発の破壊力に全力を出しましたみたいなノリ好きです。流石ゼロス人の心がない(魔族ですから)。


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ロクでなし魔術講師と福音後記

 

これは、どこかにあるかもしれない幸せな後日譚――
 《無垢なる闇》、そして禁忌教典をめぐる戦いを乗り越えて皆の下に帰ってきたグレン=レーダス。  彼がその後どんな未来を歩むことになったのか――  ナムルスと共に無限の世界を渡り歩く未来、帝国軍の大元帥となったイヴに寄り添う未来、リィエルと一緒に“人”として生きていく未来、ルミアと婚約を交わした未来、魔導考古学者となる夢を叶えたシスティーナと道を共にする未来、セリカについに想いを告げる未来……そして――  そんな様々な可能性に分岐する“IF”の未来が今、語られる。  これは、どこかにあるかもしれない後日譚。

《無垢なる闇》や禁忌教典をめぐる戦いを追えて元の世界に戻ってきたグレンたち。その未来には、無数の可能性が広がっていて……。各ヒロインたちとグレンが結ばれる「もしも」の未来を描いた後日談短編集。

分岐ifエンドに至るための理論武装が完璧すぎる

最初にぶっちゃけますと私、分岐ifの複数ヒロインエンドというのが本当に本当に本当に本当に本当に本当に苦手なんですけど、このシリーズに関してはあまりにも分岐ifに至るまでの理論武装が完璧すぎてで唸ってしまった……ぐ、ぐうの音も出ないすぎる。

分岐世界のすべての可能性世界線の物語だと、説明もなしに真っ先にわからせようとしてくるナムルスルートこと「永遠に新しき神」がまずズルいんですよね。ナムルスをパートナーに選んだグレンが不老の肉体も神としての力も捨てずに新たなる「神」となり、ナムルスとともに様々な分岐世界を救い続ける「正義の魔法使い」概念に成ることを自分の意志で選ぶというお話。確かに本編の終盤の展開を考えればロクアカの物語が一段落しただけでグレンがその後に無数の並行世界を神として生きていくルートがないとはいいきれないし、それなら世界ごと分裂して全ヒロインと結ばれるくらいはやってもおかしくないわけなんですが……ハーレムエンドをやる上で最大の問題となるヒロイン複数に対して主人公の体が一つしかない問題を主人公が人間じゃなくなることで解決してしまったの逆転の発想すぎる。

そんなわけで最初のルートで分岐世界線の設定をわからせてきた上で始まる、各ヒロインとのイチャイチャ話。外面は良いけど両想いになった途端にグレンの前ではポンコツ丸出し色ボケ状態になるイヴさんとそれを影に支えるグレン(とイリア)のお話「紅焔公と影の英雄」、両親の遺伝子を受け継いでとんでもないハイブリッドチルドレンが誕生してしまいなぜかグレンだけが振り回されるリィエルルート「英雄一家の休日」、ちょっとおちゃめでルミア大好きで心配性な母&姉が愛する娘(妹)を幸せにしようと暴走する(そして浮気を疑われたグレンが振り回される)「比翼連理の二人」、なかなか関係を進展させられないシスティーナがグレンと両想いになるために遺跡調査に向かいやっぱり暴走する「愛しい貴方へ」、全てドラマガ本誌で読んでいたのですがどれも各ヒロインの魅力がこれでもかというほど詰まった物語でめちゃくちゃに楽しかった!!

そして書き下ろしはロクでなしのダメ息子っぷりから一転して押せ押せなグレンにタジタジになってしまうセリカが大変かわいい「共に歩む」と、グレンが人生の最期に掴み取った最後の可能性の世界「グランドエピローグ」。グランドエピローグ、いやなんかあまりにも本編で綺麗にまとまってたから逆に出てこなかったけど確かにそうか〜〜ってルートで、ご都合……というにはあまりにもグレンがそこに至るまでに歩んだ道のりが遠大すぎて(グレンの人生、体感時間にしたらどのくらいになるのだろうと考えると割と背筋が寒くなるものがある)。

永遠とも無限とも言える生の中で、それでもラストまで歩ききったグレンに対して与えられたご褒美というにはあまりにもささやかな、でもこの「もしも」の物語の結末にふさわしいとびっきりの結末でした。いやあ本当、そこまでフォロー入るとは思ってなかったんだよね……感慨深いな……。

ちなみに雑誌で読んでた時全く別の人のエンディングを想像してたんですけど、これだけ話を壮大にされるとまあ確かにそこで歩みを止めてしまうグレンじゃなかったよなというかまあこれ語られてないだけでそのルートも全然あったよな!!!と思ってしまったのであまりにも強かった。いやでも実際、エピローグを読む限りは全ヒロインと結ばれなくてアルベルトと伝説の魔術師コンビになる可能性世界も新しい神のグレンがジャスティン少年救いに行く可能性世界も全然あったよこれ……(一生懸命伏せてたのに最後で台無し感想)

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魔術師クノンは見えている 7

 
Laruha

師匠&婚約者と魔術都市で再会!? 夜遊びにデートにとクノンも大忙し!
クノンの発明した魔建具は祖国ヒューグリアでも話題に。その権利獲得を目論む上層部の命令で魔術都市へ派遣されたゼオンリーだったが、師弟の久々の再会となれば――まずは魔術談義! 二人は命令そっちのけで鏡眼の検証を始める。 一方、ミリカとも積もる話が沢山! クノンは久々のデートと意気込むが、そこで聞いた彼女の近況は予想外で――? さらにはシロトとの共同実験に備えて、造魔学の基礎研究も開始。恩師に恋人に新学問、イベント目白押しの第七弾!

クノンとセララフィラが開発した魔建具の利権を巡り、祖国ヒューグリアから師匠ゼオンリーと婚約者のミリカが派遣されてきた。久しぶりの再会でゼオンリーとの魔術談義に夢中になったり、ミリカとのデートにいそしんだりで短いながらも濃厚な時間を過ごすクノンだが、ミリカから予想外の「近況」を聞かされて……!?

イベントも魔術談義も盛り盛りなのが楽しすぎる

大事な話もそっちのけで「魔建具」の使い方を巡ってキャッキャする師弟が微笑ましいし、それを微笑ましく見守るミリカが無自覚クノンの女性関係に改めて頭を抱えつつクノンのいないところでこっそりとでも全力でクノンの周囲の女性に牽制……話を聞きにいってるの微笑ましい。そしてそのミリカがクノンの周囲の近しい女子達というか女の子大好きセララフィラ&天然素材の聖女レイエス嬢にしっかり懐かれてるの納得感しかない。ミリカ様って世が世ならバレンタインデーにめちゃくちゃチョコもらうタイプの女子だと思うんですよね。

クノンがふたりに別々にディラシックの街を案内する「デート」も楽しかった〜。学生時代のゼオンリーを知る街の人達の、ゼオンリーと再会したときの反応でいちいちニヤニヤしてしまうし、一方でミリカとのデートを成功させるためにクノンが慌てて学友達にデートスポットを聞いて回る展開、そこから皆魔術オタクなのでそういうキラキラした情報に疎いですという流れに更にニヤニヤしてしまう。デートスポットに詳しいセララフィラさんさすがだった。

そして何より楽しかったのは、ゼオンリーvsクノンの師弟魔術対決。いまだ魔術を4つしか修めていないクノンに発破を掛けるためにひとはだ脱いでくれる師匠、手荒ではあるけどマジでクノンのこと可愛がってるんだなと。そしてそんな師匠に対して初級魔術4つだけでなんだかんだと善戦しちゃうクノン、改めて応用力が規格外なんだよなあ。

禁忌の魔術もこのシリーズにかかれば「学問」になっちゃうんだなあ

師匠との対決やミリカから聞かされた現状を知って早めに単位の取得を進める事にしたクノン。シロトとの共同研究を進めるため、そして「目」を作るためのアプローチのひとつとして禁忌の学問と言われる「造魔学」を学ぶためシロトの師匠・ロクソンのもとに。魔術で新たな生命を生み出したり失われた魂を呼び戻したりするという、大変の魔術ファンタジーでは概ね敵側が履修しているジャンルの魔術なわけですが、そんな魔術でも「禁忌扱いされてるけど、ちゃんと学んで引き際を見極めれば危なくないよ」くらいのノリでマイナー学問として体系化されているの流石の世界観だった。配偶者を蘇生させようとして失敗した話を学問への理解をもっと深めた今なら出来るのにと振り返るロクソン先生さすがである。そして概要を聞いて早速一般で使えるような技術の転用を考えはじめてるクノンも流石だった。

ちょっとアブない新魔術を前にノリノリで魔術談義してる姿が楽しかったし、ゼオンリーとのやりとりでいよいよ水の中級魔術習得来るか!?だし、ヒューグリアでのアレコレや聖女レイエスの周辺なども騒がしくなってきた。ゼオンリーの過去編に関しても本編でのやり取りも踏まえて気になる部分が増えてきて……いろいろな意味で今後がますます楽しみになる一冊でした。

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VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた10

 

そして伝説へ――
選ばれし輝く少女たちが所属する大手運営会社ライブオン。切り忘れから大人気となった三期生・心音淡雪は、五期生・チュリリをサポートし、不安定になっていた匡を救った。束の間の安寧を取り戻したライブオンだったが、なんと淡雪の飲酒企画が公式に実施されることになり!? 壮絶な飲酒企画の結果、あるものを一ヵ月禁じられた淡雪。そしてそれを再び解禁した衝撃によって淡雪は「あ、面接の時のこと思い出した!」唐突にライブオンの面接を受けた時のことを思い出して――衝撃のVTuberコメディ、伝説のフィナーレ!!

ライブオン公式企画でライブオンライバー達と「スト○○以外の色々なお酒」を飲むことになった心音淡雪は、お酒の種類ごとにバラエティ豊かな酔い方をした挙げ句に飲み過ぎで倒れてしまう!?生命に別状はなかったものの、一ヶ月の禁酒令を出されてしまい……大好きなスト○○のない生活にやきもきしながらも、様々な企画で過去の自分を振り返ることになり……。

最後の最後で本当にヤバい飲み方をするな

第一巻からいろいろな意味で健康面を心配していた(私が勝手に)本シリーズですが、最終巻で遂に酒の飲み過ぎで倒れるをやってしまった。そんな曰く付きの企画回「あの心音淡雪が色んなお酒飲んでみた」、飲む酒によってキャラクターが変わる淡雪の様子は面白くて大変良かったんですけど、酒チャンポンは健康に良くないって皆言ってるじゃないですかーーー!!!って感想が何よりも強すぎる。

これ、前の酒が抜けきらないまま次の酒行ってるのが悪い意味で頭おかしいしなんで最初から最後まで連続した生放送でイケるとおもったのか理解に苦しむ。企画シリーズにして回分けるとか、全部別撮りしておいてその様子を肴にスト○○飲む配信のほうが良くなかった?普通にライバー倒れるのわかるだろ。この企画を淡雪本人が出してきたとしても公式が止めるのがスジだとおもうのに公式側が振ってきた企画なのマジで悪い意味で頭おかしいんだよなあ……。この流れからのどさくさのましろ告白に持ち込みたかった&エピローグに繋げたかったという意図はわかるんだけども。

自分自身と向き合うエピローグがとても良かった

…………と初手でめちゃくちゃ駄目出ししてしまったけど、マジで残りの99%は最高に面白かったのでその話をしたい。まず全体の総まとめ回とも言うべき「ワルクラ配信4」、最近マイクラはじめたのでワルクラ回というだけでめちゃくちゃ嬉しかったし全ライバーが集まってワチャワチャするの楽しかった。5期生まで含めて相当な人数になってしまった現在、全員が結集してワチャワチャする企画ってこのくらいの規模じゃないともう出来ないんだろうなというのが若干さみしくもあり。そして後輩の有素ちゃんが過去の配信を分析して作った(普通に怖い)シュワちゃんAIと禁酒中の淡雪が対談する「あわシュワコラボ」、タイトルからして出落ちなのにあわちゃんがシュワちゃんと語り合うことで自分の方向性を再確認してシュワとしての自分を受け入れて綺麗に終わるの最高にズルくて面白い。

何より一番面白かったのが禁酒中の淡雪がユーザーの作った切り抜き動画から過去の印象的な配信を振り返る「切り抜き視聴配信」、切り抜きの言葉が示す通り過去配信の小ネタをつまみ食いできる回で大変楽しかった。光ちゃんにネットミームを教える配信とか良くも悪くもネタの鮮度が命なWeb小説感あって良かったですね。いくつかわからないネタあったしわからん読者も多そうだけど。

そして最後の最後に淡雪が自身のライブオン入社面接時のやりとりを思い出し、デビュー配信を見ながら新たな決意をする「そして伝説へ2」。予想以上に面接の時ただのシュワちゃんで笑ったし、そこからのデビュー配信のポンコツぶりでもう一回笑ってしまった。温度差が凄かった。このシリーズ、アニメやコミカライズでリスナーどころかライバー達の「中の人」すらVtuberのアバターそのままか顔や特徴のないピクトグラム人間として描かれるのがかなり印象深かったんですが、そんな所属ライバー達の個性以外が没個性化しているこの世界において心音淡雪の中の人こと田中雪その人のビジュアルが作中で描かれるのも、物語の終わりを感じさせて良かった。しかしこのシーン、同席していたはずのハレルンはアバターで描かれてるんだよな……徹底してるな本当に……。

ライブオンに所属する全ライバーの性癖と本心を暴き出して片っ端から覚醒させてきた心音淡雪が同期でありママであり不遇時代から支え続けてくれた一番の相棒である彩ましろとの関係性の進展を果たし(あの酒チャンポンの流れからその展開に!?という気持ちはそこそこあるものの、まあましろさんだしそんな事件でもないと素直になれなかったんだろうな感ある)、最後に自身と向き合って新たな決意をしていく構成、最終巻として最高に綺麗だったと思います。このシリーズ、一見繋がりのない短編集みたいな作りでありながら全体で振り返ると物語としてしっかりとした指向性があるの本当に凄かったな。

それはそれとして本編と関係ないところでちょっとした配信ネタとかで思いついたら続けてもらって完結後もじわじわ短編集とか出してほしい気持ちあるしWebでもいいからそのへんの展開には期待したいです。あとアニメの前後で立ち上がったライブオン公式切り抜きYoutubeチャンネルもまだまだ続いていくらしいので期待したい。

公式チャンネル、最近の投稿だと有素ちゃんの圧迫面接回が好きです。きがくるっとる。



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声優ラジオのウラオモテ #12 夕陽とやすみは夢を見たい?

 

夢は、諦めなければ絶対に叶う!……よね?プリティアオーディション開幕!
「獲りに行くぞ、由美子の夢を」 声優として経験を積んだ由美子は、遂にプリティアのオーディションへ。だが、 競争率は凄まじく高く、強力なライバルは大勢いて――。 「わたしも受けるわ、次回のプリティアを」 「今年は自信あるの。今までで、一番」  運命共同体の千佳、頼れる先輩の乙女。共に演じる仲間になるか、同じ役を争うか……。分からないけれど、今回だけは譲れない!  決意を胸に挑んだ由美子に待ち受ける結末は、意外なもので!? 「あなたの夢を――、我々にください」  シリーズ最大の夢へ挑戦する、青春声優ストーリー・第12弾!

出演作のヒットを受けて遅咲きながら声優として勢いを付けてきた歌種やすみ。マネージャーの加賀崎が次に持ってきた仕事は、やすみの長年の夢である「プリティア」シリーズのオーディションだった!人気声優の登竜門であり、競争率も凄まじく高いプリティア。しかもオーディションには最大のライバルであり相棒でもある夕暮夕陽や頼れる先輩・桜並木乙女も名乗りを上げると言う。絶対に負けたくないオーディションのその結末は、彼女にとって意外なもので……。

※ネタバレがいつもより多めに含まれますのでご注意ください。

“「あなたの夢を──、我々にください」”

いやこれ言っちゃうとネタバレかもしれないんですが人の心ォ!!!!!!!!!!
いろいろな意味で、彼女がプリティアの役をストレートで穫れたらこのシリーズ終わっちゃうでしょってレベルの大願なわけでそりゃそんな簡単にはいかないんだろうな……という予感はありましたし、そういう方向性の歌種やすみが見たいと思ってしまった気持ちは実際にあるんですけど……いやもうほんとうに容赦がない。ひとのこころがない。前半の大学生活の話とか、高校時代のクラスメイト達と行った卒業旅行の話とか卒業旅行の夜の由美子と千佳の百合百合なやりとりのこととかマジで吹き飛んだわ。

これ恐ろしいのは番組側が無作為で彼女を傷つけたわけではなくて、歌種やすみが憑依型の声優であることを理解して、ガチの演技を演ってもらうために作為的に絶望させたってことなんですよね。いやまあそれだけ自分の手掛ける作品を最高にしたいということなんでしょうけど、それで未成年の心を粉々にしていくの、マジで人の心ないかよ……もうちょっとなんかなかったのかよ……。

ひとのこころがなかっ…………やっぱりあっ……やっぱなかった。

いつか「プリティア声優」になるためにこの道を選んだのに、ぶち当たったのは声優を続けるかプリティアへの道を諦めるというかという選択。表面上はいつも通りを装う由美子にいつもの覇気を感じない千佳は彼女を立ち直らせるために不器用ながらも奔走していく。いやあ、喧嘩中にやすが本気で返してこなかったからやっぱり落ち込んでる!という流れで不調を確信する千佳ちゃん最高に良かったですね。それはケンカップルの文脈なんですが。

今回の当事者でもある千佳や桜並木乙女だけじゃなくてラジオ番組でそれとなく心配している描写が描かれる柚日咲めくる、そして初代プリティアである偉大な先輩達。プリティアの制作側だって彼女が最高の演技をしてくれることを信じてアレを突きつけてるわけだし、本当に「歌種やすみ」という声優は周囲から実力を認められいて、もっと大きくなってほしいと望まれているのだな……と胸が熱くなる物語でした。でも何より、周囲からの励ましを受けてなんとか立ち上がった彼女が望まれた通り(それ以上)の最高の演技をして、やっぱりどうしても絶望してしまうクライマックスが最高によかったし最高に人の心がなかった。

ところでファンの知らぬところでプリティアシリーズオーディションにまざってくる初代プリティアの森先輩男前すぎんか。いつかどっかで森&大野のスピンオフとかやりません?

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