ページ 2 | 今日もだらだら、読書日記。

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夜勤事件 〜Chilla's Art ノベライズ集〜

 
 
原作
Chilla's Art

大人気インディホラーゲームメーカー、チラズアート作品ついにノベライズ!
大学生の田鶴結貴乃は生活費を稼ぐため、コンビニで高額時給の深夜バイトを始めた。だが初出勤にもかかわらず先輩の船橋は早々に退勤し、いきなりワンオペの夜を過ごすことになってしまう。そこへ降りかかる奇妙な出来事の数々。謎の忠告をしてくる客。故障なのかひとりでに開閉を続ける自動扉。そして自分宛に届いた謎のビデオテープ。テープの差出人は不明で、再生してもただ暗闇が映るばかり。さらにその後も毎晩奇怪なトラブルが相次ぎ、ついには自宅にまで差出人不明のビデオテープが送られてきて――。奇妙なコンビニで起り続ける異変を追う『夜勤事件』ほか、『閉店事件』『誘拐事件』『夜間警備』『パラソーシャル』の計五編を収録!

インディホラーゲームメーカー「チラズアート」さんの人気ゲーム5作品ををノベライズした短編集。

ゲーム要素の落とし込み方が上手いし展開知ってても怖い

ゲーム実況動画でめちゃくちゃ見ているメーカーさんの作品で、絶対にプレイ出来ない(ホラー苦手&アクション苦手&確実に3D酔いする)ジャンルだし面白かったです課金で……くらいの気持ちで購入しました。すべて展開を知っている作品のノベライズなので大丈夫……と思っていたのだけど、展開知ってても普通に全然怖かった。状況に追い詰められて正気を擦り減らしていく主人公達の心象描写が描かれているのは小説媒体ならではの楽しみだな。

全体的にひとこわ7割+ちょっとオカルトっぽい不可思議現象くらいの配分のホラーが多い印象の作品群なんですけど、ゲームをちゃんとプレイしていれば分かる範囲の部分はしっかり文章に入れ込みつつ、オカルト要素などの不可思議な部分は不可思議なままストーリーに落とし込まれていてゲームの持ち味である消化不良感は残りつつ展開としてはスマートに解りやすくなっていて良かったなと思います。

この辺は自分のプレイスタイル(視聴スタイル)の話になっちゃうんですけど、作業用BGVにしたり3D酔いの問題もあったりであまり画面を凝視しないんですよね。理不尽・不可思議に見えていた部分にちゃんと伏線があったり、繋がっていたり……というのが理解出来たのでそういう意味でも良かったです。特に表題作でもある『夜勤事件』のバッドエンド、割と理不尽エンドだと思ってたんだけどちゃんとそこに至る伏線貼ってあったんだなぁ……一本道の小説媒体で、グッドエンドとバッドエンドの要素両方拾ってホラーらしいオチに繋げてる手腕に惚れる。あと、突然フロアの雰囲気がガラリと変わったり脱出失敗バッドエンドがあったりする『夜間警備』、子どもの視点からで序盤ががややわかりづらい『誘拐事件』なんかも色々と新しい発見があって楽しかったです。『パラソーシャル』は誰も彼もが怪しくて、主人公が人間不信に陥っていくのが本当にわかる。

個人的に一番面白かったのは冒頭の『閉店事件』で、ストーカーの犯人によって消耗していく主人公の描写もホラーらしい展開も面白かったんですが、各作品の中でも異彩を放つ妙に難易度の高いカフェ店員業務パートの本作への落とし込み方が上手すぎて笑ってしまった。やたら長くて複雑なレシピをキッチン内に掲示しろっていう愚痴も出来上がったコーヒーをおもむろにゴミ箱に捨てに行くシーンも何度もゲーム実況で見たわ〜……更に忘れた頃に『パラソーシャル』で同じコーヒーショップ出して後日談出してしんみりさせつつ、お客さんの眼前で出来上がったコーヒーを捨てる描写でもう一度笑ってしまった。あの主人公確かにバイトを辞めた描写なかった気がするけど……!!ところで紙本の店舗特典が迷脇役・船橋先輩の話らしくて読みたすぎる……。

チラズさんの作品、他にも色々作品があるのでもう1〜2冊くらい出してもらって色んな話読みたいなと思いました。『地獄銭湯』とかどうかな。

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組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い2

 

組織の宿敵が合コンで前の席に座ってた……イチャ甘夫婦の馴れ初めに迫る!
「な、なななな……んで、《羽根狩り》が、ここ……に」 「それはこちらのセリフだ、《白魔》。何らかの任務か?」  かつて敵対する異能力者の組織に属し、反目し合う目的のために抗争を繰り広げていた二人。《羽根狩り》こと犀川狼士と、《白魔》こと柳良律花は……組織解散後になぜかイチャコラ付き合った上に結婚していた!  そんな彼らの馴れ初めは、じつは場末の合コン会場からはじまった。大学生になっても宿敵同士はいがみ合うし喧嘩もするし、しまいにはどっちが強いかの幼稚なマウンティングバトルをはじめてしまう。でも似た者同士な二人は結局息ぴったりで、居心地も妙に良くて、互いの魅力にどんどん気づいていって……  昨日の敵は、今日の合コン相手。そして、将来は……?   その宿敵こそが、やがて運命の人だと気付くまで。  再会して恋して愛に至る、これは彼らの青春と初恋の記憶(ラブコメディ)。

かつて《羽根狩り》の異名を持ち、異能者達を狩る組織の一員として戦いを繰り広げた男・犀川狼士。世界が平和になり、普通の大学生になった彼は大学の合コンで何故か宿敵だった最強の異能者・柳良律花と再会する。再会時の第一印象も最悪、だけどお互いにどちらが上か決着をつけようとしているうちに戦っている時には見えなかった意外な一面を目の当たりにして……!?

相変わらずラブコメと異能バトルの配分が超好み

かつては現代異能バトルの最大のライバル同士……だったけれどなんやかんやあって現在はイチャイチャ新婚夫婦に……な二人の「なんやかんやあって」の部分を紐解く過去編。前巻に引き続き面白かった!素直になれない二人が形ばかりの「勝負」に固執しながらもお互いを意識していく様子が大変甘酸っぱいし、新キャラとなる狼士の悪友ふたりもキャラが濃ゆくて最高だったし、過去も現在もお兄ちゃんは心配症だった。それはそれとして、過去の狼士と律花がもどかしい距離感のラブコメやってる合間に「現在の」彼らが過去の馴れ初めエピソードを回想しながらイチャコラしてるの本当に温度差ひどくて笑う。

そして強力な異能者である律花の孤独に寄り添うため、無能力者の狼士が能力者を圧倒して無双するクライマックスがメチャクチャ良かった!いや確かに、無能力者である狼士が異能力者と互角以上に渡り合うにはそれしかないよねっていう感じの戦闘スタイルなんだけど、「足りないもの」を水面下での努力と情報戦と冷静な判断と頭脳プレイで圧倒しているのが最高に滾る!今回もメインであるラブコメにさらりと仕込まれたシリアス・異能バトルの配分がめちゃくちゃ好み。

それはそうと、今回も前作『サキュバスとニート』のキャラクター達がさりげなく登場してましたね。高校生時代の(まだ野球少年だった和友の女房役だった頃の)琥太郎が和友と「鐘を鳴らせたら永遠に結ばれる鐘」をふたりでつきに行こうとしてるの、微笑ましいの前に割と彼らを待ち受ける未来を思うと地獄みが深いんですが……ひきニートになった和友の唯一の親友ポジを確保したことまで考えるとむしろ汚染された聖杯的な案件なのでは……いや彼らが鐘を鳴らせたとは誰も言ってないしうん……。

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声優ラジオのウラオモテ #10 夕陽とやすみは認められたい?

 

2024年TVアニメ放送!渡辺千佳が本心に向き合う、第10弾!
――佐藤。泊めて。  母に一人暮らしを反対され、我慢ならず家出してきた千佳。母は自分が声優として独り立ちすることをどう思っているのか。怒りと不安に苛まれる彼女のもとへ、同じく母親と不和を抱える双葉ミントが現れる。 「声優なんて、俳優になれない人がやる仕事でしょう……?」  そう言い切るのは、世界的大女優であるミントの母親・双葉スミレ。  親に声優活動を否定されるミントと自分を重ねた千佳は、どうすれば声優のすごさを見せつけられるか頭を悩ませる。だが由美子は勝負では解決しない、歪な親子関係の『真実』に気づいていて――。  2024年TVアニメ化も決定の声優青春ストーリー、第10弾!!

高校卒業後の一人暮らしを母親から反対され、喧嘩して由美子の家に逃げ込んできた千佳。そこにさらに、将来の話で母親と衝突した現役女子小学生先輩声優・双葉ミントが逃げ込んでくる。ミントを迎えに来た彼女の母親である大女優・双葉スミレの「声優は俳優になれなかった人がなる職業」という言葉に激昂した千佳はスミレに声優の凄さを見せつけようするが、由美子はその行動に違和感を覚えて……。

似てないようでやっぱり似ている2つの親子関係が印象的だった

双葉ミントの家庭の事情に切り込みつつ、序盤に出てきたきりなぁなぁになってた渡辺家の母子関係にも改めて切り込むお話。前巻に引き続き由美子の活動休止中の出来事で、由美子の方の事情が色々と片付いた分今回は千佳側からの視点が多く入っているんですが……渡辺千佳というか夕暮夕陽さん、マジで「歌種やすみ」の評価がメチャクチャ高くて震えた。声優の凄い演技の代表として、そして自分の目指すべき高みとして──当たり前のように大御所声優の名前と歌種やすみの名前を並べて大絶賛してくるじゃん……。

今回はなによりもミントの母である大女優・双葉スミレのキャラクターが強かったです。有名人オーラを完全にコントロールしている超絶演技力、大御所俳優として千佳達と対峙した時の威圧感についてはもう紙面を通じてこちらにまで伝わってくるようなヤバさだったし、そんな圧倒的な演技力で形成された強固な心の壁をコミュ強ギャルの佐藤由美子が少しずつ崩していくまでの駆け引き、何枚もの強固な防壁の裏に隠された「母親」としてミントを気遣う彼女の不器用な本心には圧倒されるばかりでした。いやしかし、将来への迷いを振り切って心の余裕が出てきた由美子のコミュ力・フォロー力とカリスマ性が無ければ乗り切れなかったであろう局面が多すぎて……特に初手からギクシャクしてた渡辺母と双葉母を左右に並べて真ん中で相対するのとかマジで由美子にしかできないよね……これは千佳もクソデカ評価しますわ……。

そんな双葉スミレの娘である双葉ミント──オフでは小学生としての年相応な顔を見せながらも、時に同じ業界の「先輩」として大人びた一面を覗かせるというギャップが印象的でした。ミント先輩というとどうしてもライブ前の過剰レッスンで無理して倒れかけたエピソードの印象が強かったんだけど、親の七光りが届かない場所で体力面や時間面で大きなハンデを抱えながらこの業界で生き抜いてきたのは伊達じゃなかった。半ば彼女のために用意されたイベント舞台で、桜並木乙女や夕暮夕陽といった実力派若手声優の中にあっても全く臆せず、かつて目指して挫折した俳優ではなく「声優として」圧倒的な演技力を見せつけるクライマックス、母親に認められるために演技の道を選んでスミレの言う通りそこから逃げ出して声優の道を選んだ双葉ミント……母親の存在に縛られ続けてきた彼女が自らの意志で「声優」として歩む道を改めて選ぶ……という展開がめちゃくちゃアツかったです。

そして、1巻でとりあえず決着は付いたもののギクシャクしたままだった渡辺母子の改めての話し合いも凄く良かったなあ……相変わらず声優としての仕事の不安定さを不安視しつつも同じ母親として大女優である双葉ミントにすら物怖じせずに自分の意見を言う渡辺母の株がマジで上がりすぎだった。喧嘩するたびに由美子の家に駆け込む千佳に頭を抱える姿が微笑ましいし、なんだかんだで母親のことを意識すると緊張してしまう千佳にニヨニヨしてしまう。

そんなわけでふたりの将来に関する悩みも概ね振り切ったところで次巻、いよいよ「卒業」な展開でどうなる!?

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やさぐれ執事Vtuberとネガティブポンコツ令嬢Vtuberの虚実混在な配信生活2

 

緊張の初配信を終えたリバユニ3期生は、無事Vtuberとしての道を歩み始めた。 ひと安心したのも束の間、次に与えられた試練は事務所全体で行うハロウィン企画! 「七つの大罪」をテーマに歌唱動画をアップすることになるが、経験のない感情を表現できずに大苦戦! そんな中、かつての劇団仲間と再会した廻叉は、過去の己への「憤怒」を知る。 一方、「嫉妬」してしまうほど、大切な「誰か」を考えるユリアが思い浮かべた相手とは――? 「あなたが他の人を見ていると、苦しくて苦しくて――」 初めての思いは、生まれ変わった自分を進化させる! 毒舌執事×元引きこもり令嬢、異色の二人がVtuber界を席巻中!? 新感覚成長ラブコメ配信第二弾!

三期生の加入やステラ・フリークスとのコラボを経て盛り上がる「Re:BIRTH UNION(通称リバユニ)」。二期生で謎の執事Vtuber・正時廻叉も外部Vtuberとのコラボやゲーム実況など、これまでになかった活動を経験して少しずつ知名度を上げていく。そんな聖夜を控えたある日、Vtuber業界に大きな動きがやってきて!?

閉じていた世界が広がったような気がするシリーズ第2巻

外部企業勢や個人勢とのコラボ配信、リバユニ内でのアレコレ掛け合い、そして三期生にも様々なコラボのお誘いが……リバユニ内の閉じた関係性/尖ったキャラクター描写が強めだった1巻に対して、今回は3期生の加入や外部コラボを経て閉じていた世界観や人間関係が一気に広がったような印象を受けたシリーズ第2巻でした。特にオーバーズの男子V集合学力テストイベントにMCとして廻叉が呼ばれるエピソード、珍回答を巡ってわちゃわちゃしているオーバーズ男子達&MC廻叉の容赦ないツッコミがハマりすぎててめちゃくちゃに楽しかった!それに、これだけ大量の男子Vを集めた企画の描写って既存のVtuber小説でもあまり無かったと思うので希少だしてぇてぇだなあ……と思わず拝む。

そんな外部とのわちゃわちゃで気を緩めた所にリバユニ全体で行われた「ハロウィンコラボ」や正時廻叉の集大成とも言える「収益化記念配信」の個性が強烈過ぎて落差で目を灼かれる。「七つの大罪」をモチーフにしたハロウィンコラボをきっかけにしてそれぞれが自身の持つ『大罪』──過去や現在と向き合い、これまでの自分を乗り越えてくる流れは本当に「リバユニ」ならではだなあ……と思うし、リバユニの面々を巻き込みつつ彼本来の持ち味である演技に全振りしてきた収益化配信の異質さが際立つ。1巻でもその傾向ありましたが今回は特に中の人である「境正辰」の中での「正時廻叉」が徐々に独立した人格を持ち始めてる印象で、それだけ彼が強固にVtuber正時廻叉という人物を作り上げているということではあると思うんだけどそれだけ入り込めるのいろいろと凄い。自分の話をするときに2人分の意見を喋ったり、「私」と「俺」の使い分けする姿を目の当たりにしたあとで収益化記念配信ぶつけてくるの本当にズルいんですわ。

三期生であるユリアや四谷の登場・それに伴う箱内ファン層の変化などもあって、少しだけ「きな臭く」感じる場面もあったんだけど、まあこの人たちならなんとかしてしまうんだろうなあという安心感がある……というかアンチスレを酒の肴にするのはやめろォ!!!いやマジでリバユニの一期・二期生ってそういうやつらだって理解してたけどさあ!!これ半年後くらいには絶対四谷も同じことやってそう。ユリアちゃんにはこのままでいてほしい(でも三期生との顔合わせで廻叉が言った通り、彼女もしっかりとリバユニのノリに染まっていきそうな気もするんじゃ……)

ユリアがピュアすぎるせいで廻叉との関係性がまっすぐな憧れとして昇華されすぎてて逆に変に「恋愛」っぽく解釈されないのは上手いなあとおもいつつ、実は鉄仮面の下で案外普通に動揺してたりユリアとの距離感を測りかねている廻叉可愛いかよ〜〜となりました。そんな中、聖夜を前に突如復活を匂わせてきた「最初の7人」の消息不明のふたり。海外企業の参入も匂わせてきて……業界全体を巻き込むであろう大きなムーブメントを前にして、今なお独自路線を突き進むリバユニの面々がどう動いていくのか、とても楽しみです。

それにしても、とにかく個性豊かすぎて強烈なキャラクターの多いこのシリーズなんだけど、三期生の片割れである小泉四谷がめちゃくちゃいいキャラしてて最高ですね……デビュー配信の時の演出も強烈だったしオフライン時のデキる後輩キャラっぷりも良きなのですが、何よりオーバーズとのクリスマスホラーFPS配信が描写短いながらもめちゃくちゃ良かった。外部コラボの自己紹介の締めに「さあ、相互理解のお時間です」はずるいて。

あと今回、オーバーズの面々が脇役としていい味だしすぎてたから見た目がわからない&1つの場面に大勢集まると区別つけにくい問題だけが本当にもったいない……語尾で特徴付けるみたいなの、こういう地文少なめの会話劇やるときは地味に助かるやつなんですが……。3巻はぜひとも最初に人物紹介コーナーを作ってほしい&オーバーズ男子全員にイラストをください!!!

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美少女揃いの英霊に育てられた俺が人類の切り札になった件2

 

『最弱兵器』暗殺の危機!? 陰謀渦巻く学園代表選抜戦、開催!
美少女英霊たちの弟子となり、魔物の大軍を退ける大活躍をしたウィリアムは、今日も修行に打ち込んで――いなかった。 「この前一生分の修行をしたじゃんか」「お前という奴は!」 サボり癖の抜けない弟子に、英霊たちは四苦八苦続き。 そんな中、第三王女のカノン・ユークリウッドがクラスに編入され、何故かウィリアムに接触を図ってくるように。 「わたくしは、あなたのことをよく知りたいと思っています」 笑顔でそう告げ距離を近づけてくる彼女の本当の目的は、なんとウィリアムの身辺調査、もしくは暗殺!? 『最弱兵器』は、新たな危機をどう乗り越える――?

美少女英霊たちの弟子となって魔物のスタンピートを止めるという活躍を見せたウィリアムだが、学園の危機と自らの留年の危機から脱したのを良いことにサボり癖が復活してしまう。そんな中、ウィリアムの活躍を知った第三王女カノン・ユークリウッドが彼の正体を探るために接近してきて……否応なしに学園最強を決める「代表選抜戦」に参戦させられることに!?彼女から「聖人」という言葉を聞いたレインの様子もおかしくて……。

綺麗にまとまりすぎてた1巻からの方向転換が大変そう

強くなったウィリアムが世界を救う「切り札」になるため、前に進む動機づけをするための、そして「魔王の従者」を名乗っていたレインが自らの因縁を乗り越えてもう一人の師匠として正式に立ち上がるための物語でした。良くも悪くも1巻を追えて今後長編シリーズをやるための方向転換・下地作りの巻だったのかなという印象を受けて、面白かったんだけど1巻のパンチが強かった分少し今回は色々なものが弱く感じてしまったな……。

1巻の「自分の実力を何も自覚していない主人公が無双するのを周囲がドン引きしながらその実力を気づかせずその気にさせて修行させる」という方向性が凄く面白かったんですよね。ただ、1巻でその辺の周囲の齟齬はほぼほぼ解消してしまい……比較対象も何も知らない一般人から変わって太古から世界を裏で操る覚醒者達へと変わってしまい、覚醒めたばかりの主人公が世界を操る強大な敵に立ち向かう──という方向性になってしまっているので若干「求めてたモノと違う」と感じてしまった部分はある。前巻めちゃくちゃおもしろかった師匠達との修行シーンも、「本気になれない」という壁が立ち塞がった点を踏まえても普通に苦労してる感じでしたし。ゼスやレオナルトといった男子の友人組の影が薄くなってしまったのもさみしくて……いや、もうあらゆる意味で1巻が1冊で綺麗にまとまりすぎてたんだよ!!

ただ今回の話は色々な意味で今後への下地づくりの回だと感じたので、3巻で本格的に覚醒者達が動き始めた時にどういう方向になっていくのか気になるし、何より覚醒したウィリアムの隣に立つために物語の裏で努力を続ける幼馴染ヒロイン・セシリーがめちゃくちゃ可愛かったので二人の関係が今後どのように変化していくのかも含めて今後が楽しみです!

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職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。2

 

気ままにクラフトを楽しむVRMMO『きまくら。』で仕立屋業をエンジョイ中のビビア。店頭販売を始めたり、《リクエストボックス》の要望に応えたりと新たな試みにも挑戦していた。とにかく作りたいものを作るぞと、気になるリクエストをチョイスし、初めてのワンピースや和装作りに励むことに。生産に大忙しで引き籠りがちな中、「そろそろ別の街に行ってみたいな?」と手付かずだったミッション消化を思い立ち、いそいそと向かった先は【病める森】! 幻獣のスタンピードを阻止する緊急イベントが発生し、この世界に存在する賢人たちの秘めた過去を知ることになって――? 壮大な世界をのんびり楽しみ尽くす、ほのぼのクラフトファンタジー第2弾!

VRMMO『きまくら。』でマイペースに仕立屋業を楽しむビビア。たまにはメインクエストでも進めよう……と思い向かった【病める森】で幻獣のスタンピードとそれを阻止する緊急クエストが発生してしまう。イベントポイントを集めるために向かった現場で禁止されているはずのPKを受け、更には『きまくら。』に関する衝撃的な事実を知ってしまい……!?

過激派セコムで歩いた後が一面の焼け野原な件

ビビアがまったりクラフトゲームしてる後ろが過激派セコムことゾエベルさんの手によって一面の焼け野原になってるの面白すぎるんですが!?2巻のオチで腹抱えて笑ったよね。後ろでセコムしてるゾエさんのせいでビビアまで巻き添えでヘイト買ってる描写には少しハラハラしましたが、結局うまいこといなしてしまいそうな空気あるのがズルいな……途中のチャットでも実際に出てきましたが、妹のリンリンちゃんの苦労が透けて見える。そして萌え語り仲間からはじまって過激派セコムからテロリストまで自由自在にこなすゾエさん最高に気持ち悪い(※褒めてます)

もはや『推しカプ』となったビビアを引退させまいと過激派セコムに変貌するゾエさんが今回の戦犯すぎる。ミナシゴさんからの情報によって『きまくら。』の真実を知ったビビア、冷静に「あっこれ求めてたクラフトゲーと違うな……?」と引退を検討しつつもなんだかんだ自分の意志で界隈の空気をを受け入れて今後もまったりやっていこう!みたいな雰囲気だったとおもうんですが……でも、「界隈」の空気に染まらない初心者っぽさを残したまま面倒ユーザーにもならず黙々とディープにゲームを楽しんでくれる新規ユーザーの存在ってあまりにも貴重だから、ガードしたくなる気持ちはわからなくもない……。あと、ビビアにとっては自分のことを「ブティックさん」という俗名じゃなくて「ビビアさん」って呼んでくれるゾエさんへの信頼、実はメチャクチャ高いんだろうな……。

いろいろな意味で大変なことになっている自らの背後には気づきもせず、相変わらずマイペースにクラフトゲームとして『きまくら。』をプレイしていくビビアですが、その合間にもしっかりワールドストーリー進行フラグを踏み抜いたり、誰も気づいていない新要素を発見したりで着々とゲーム内における台風の目と化していっており……。ゾエさんのセコム化もそうですけど、ビビアの特製衣装によって承認欲求をこじらせためめこさんの前途が心配すぎるし、もも太郎金融接近とか……1巻ずっとすれ違い通しだったキムチもといメダカさんとの今後も気になるし、あと妹ちゃんは強く生きて欲しい(2回目)。

リアルなネトゲ描写は面白いけどもう少し説明がほしい

この作品、クラフトゲーム描写もさることながら何よりも大規模ネトゲーにありがちな人間関係のギスギス描写がリアルで面白い。ゲーム内イベントで戦果争ってギスギスしてる描写とか、いつまでも初心者然とした質問してくるユーザーが彼女が見てない別のチャットでおもくそdisられてるのとかはもうリアルすぎてキツいんですが……!!(というかこの娘、電書版描き下ろしの番外編があまりにも不穏だったんですよね……ビビアの裏側面というか、一歩間違えればありえたifというか……不穏だ……)

ただ、本編であるゲーム内描写、公式スレッドやゲーム内チャットの描写など複数で展開する場面が複雑に絡み合っていくのがかなりわかりにくく、そこにネトゲーありがちな用語の省略を起点にした独自言語文化が加わってストーリーの全貌がわかりにくくなっているのはものすごくマイナスだなと思いました。Vtuberものや配信者者によくある「匿名掲示板」描写だとあまり誰が喋っているかを気にしなくてもよいのですが、この作品の場合記名タイプの掲示板・チャットになるので誰が喋ってるかが意外に重要になってくるんですよね。でも匿名掲示板形式と同じように記載されているからなんとなく読み飛ばしてしまうという……。

個人が趣味で書いてるWEB小説であればその「わかりにくさ」も味でいいとおもうんだけど、商業書籍として出版しているなら最低限のメインキャラだけでもいいから説明がほしいなあ。この作品なら誰がどの組織に所属しているのかもわかるような人物相関図・用語解説も付けて欲しい(本編はこのノリのままで行って欲しいんだけど、本編開始前に簡単な人物紹介と用語集が欲しいの意です)

1巻から頻出する「組織」がリンリン・ゾエベルの所属するギルドのことだと気づかず2巻の中盤まで読んでたのがショックだったなんてことはそんな。あと1巻でさらっと説明されてただけの「集荷」の意味を2巻読んだ頃にはすっかり忘れてしまってなんとなく雰囲気で読んでたとかそんな。

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「私の好きな」ライトノベル・オールタイムベスト・75(草稿)

ラノベオールタイムベスト100の話題を見かけてからずっと「自分のオールタイムベスト100を作りたい」と思っていたのですがいつもの調子で紹介入りで記事化すると地獄のように長い記事になるので体力があれば夏コミで本にしようかな……と思っていたのですが、そのうち普通に「自分のオールタイムベスト100」の流れが界隈に来たので取り急ぎ出します。コミケで紹介本……というのは割と真面目に考えているのでもし覚えていたら夏コミ1日目のFC小説島をチェックしてみてくださいね(まだ本が出るとは言ってない)

なお、100タイトル選ぶつもりで85まで選んだところで「これは無理に100にするよりもここから少し削ってまとめたほうが正しいな……」という気持ちになってきたので75に削って出します。夏コミで本当に本にするなら改めて100にするかもしれないし50くらいまで更に削って出すかもしれない。そして好きな順・刊行順ではなくだいたい私が読んだ年代順です。

1990年代

1:神坂一「スレイヤーズ」「このジャンル」を認識した始まりの一作
2:山本剛「魔導物語」良きノベライズ
3:神坂一「闇の運命を背負う者」
4:新井素子「グリーン・レクイエム」続編の「緑幻想」が特に好き。
5:あかほりさとる「セイバーマリオネットJ」
6:久美沙織「MOTHER2 ギーグの逆襲」MOTHERがBROTHERになってしまう。
7:北条風奈「小説TWINSIGNAL」シンガポール行きたくなる!!!2巻が特に好き。
8:神坂一「ロスト・ユニバース」
9:庄司卓「倒凶十将伝」

2000年代

10:時雨沢恵一「キノの旅」
11:中村恵里加「ダブルブリッド」オールタイムベストスリーには余裕で入る
12:椎野美由貴「バイトでウィザード」
13:甲田学人「Missing」
14:神野オキナ「シックス・ボルト」
15:杉原智則「頭蓋骨のホーリーグレイル」
16:有沢まみず「インフィニティ・ゼロ」
17:鈴木鈴「吸血鬼のおしごと」
18:木ノ歌詠「カラっぽの僕に、君はうたう。 フォルマント・ブルー」
19:川上稔「AHEADシリーズ 終わりのクロニクル」電子書籍化待ってる…
20:賀東招二「フルメタル・パニック!」
21:岩井恭平「消閑の挑戦者」
22:岩井恭平「ムシウタ」
23:三上延「シャドウテイカー」このへんの三上延作品セット買い。
24:後藤リウ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」この本があったから18年待てたんだとおもう
25:藤原祐「レジンキャストミルク」殊子先輩が好きだ
26:風見周「殺×愛 ─きるらぶ─」
27:高殿円「カーリー」
28:土橋真二郎「扉の外」
29:喬林知「まるマシリーズ」三男派
30:虚淵玄「Fate/Zero」
31:林トモアキ「戦闘城塞マスラヲ」
32:井上堅二「バカとテストと召喚獣」
33:水瀬葉月「ぼくと魔女式アポカリプス」
34:菊池たけし「アリアンロッド・リプレイ・ルージュ」TRPGリプレイの中ではこれが一番好き。
35:神坂一「ドアーズ まぜこぜ修繕屋」神坂一挙げすぎってそろそろ思ってるよね。わかるよ。
36:小野上明夜「死神姫の再婚」
37:葵せきな「碧陽学園生徒会シリーズ」正式名称を使うめんどくせえオタク
38:田口仙年堂「吉永さん家のガーゴイル」最後の名乗りのカタルシスよ
39:平坂読「ラノベ部」平坂先生のリレー小説描写は神
40:田口仙年堂「魔王城」電子書籍化して!!!!!!!!
41:杉井光「さよならピアノソナタ」火目の巫女とどっちにするか悩んだ
42:田尾典丈「ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!」
43:うえお久光「紫色のクオリア」
44:壱月龍一「ラ・のべつまくなし」
45:渡島健康「魔王様げ〜む!」

2010年代

46:本田誠「空色パンデミック」こっちも電子書籍化して!!!!!!!!
47:あざの耕平「東京レイヴンズ」
48:海羽超史郎「STEINS;GATE‐シュタインズ・ゲート‐」続編「比翼連理のアンダーリン」が特に好き
49:柳実冬貴「Re(アールイー): バカは世界を救えるか?」
50:森 美紗乃「奥様は貴腐人 旦那様はボイスマイスター」
51:かじいたかし「僕の妹は漢字が読める」異色の萌えディストピアSF
52:和ヶ原聡司「はたらく魔王さま!」
53:大樹連司「ボンクラーズ、ドントクライ」甘酸っぱくてほろ苦い青春の三角形。
54:夕鷺かのう「(仮)花嫁のやんごとなき事情」
55:渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」
56:榎宮祐「ノーゲーム・ノーライフ」
57:賀東招二「甘城ブリリアントパーク」続きが読みたい……
58:壁井 ユカコ(GoRA)「K -Lost Small World-」男二人の依存関係とすれ違いと
59:ツカサ「銃皇無尽のファフニール」
60:羊太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」
61:望公太「最強喰いのダークヒーロー」
62:speakeasy(さがら総・橘公司・渡航)「クオリディア・コード」前日譚も本編も全部違う味わいがある
63:望公太「ラノベのプロ!」良い幼馴染ラノベだった
64:瀧ことは「腐男子先生!!!!!」書籍版完結してよかった……
65:師走トオル「ファイフステル・サーガ」
66:瘤久保慎司「錆喰いビスコ」3巻までしか読んでないんだけどその3冊がメチャクチャに好き
67:衣笠彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ」

2020年〜

68:二月公「声優ラジオのウラオモテ」
69:七夕さとり「悪役令嬢レベル99 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜」
70:有象利路「サキュバスとニート」このへんの有象利路作品も著者セット枠。
71:紫大悟「魔王2099」
72:七斗七「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」
73:鏡 貴也「伝説の勇者の伝説」令和になってから読んだ。
74:南野 海風「魔術師クノンは見えている」
75:とくめい「アラサーがVTuberになった話。」

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男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと1 百合の間に挟まる男として転生してしまいました

 
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絶対に百合にはなり得ない新感覚の学園バトル&ラブコメ!
男子禁制のゲーム世界に、どんなルートでも破滅確定のお邪魔キャラとして転生してしまった俺、ヒイロ。迫りくる死亡フラグを回避するには強くなるしかない。そんな必死の努力を重ねた影響か、エルフの姫ラピス、メイドのスノウ、妹のレイ、主人公キャラの桜など、ゲームのヒロインたちから好意を寄せられることに……。このままでは「百合の間に挟まる男」認定されて抹殺されてしまう! やっぱり死ぬの? どうする俺!? さらに、俺というイレギュラーをめぐって彼女たちが争いはじめて……って、女の子同士が仲良くなる設定はどこいったんだよ。百合の間に挟まる男は●ね!【電子限定!書き下ろし特典つき】

生前に大好きだった百合ゲームでヒロイン達にちょっかいをかけてどのルートでも悲惨な末路を迎えてしまうお邪魔男子キャラ・三条燈色に転生してしまった主人公。迫りくる死亡フラグを回避し、最前列でヒロインたちの百合を鑑賞したい!!と破滅回避を狙いつつ襲い来る死亡フラグを躱すためにゲーム開始前から努力を重ねていくが、始まる前からゲームとは違う展開になっていって……!?

こんなかっこいい主人公ならハーレムラブコメでも仕方ないよな

大好きな百合ゲーの世界の「百合に挟まる男」に転生して破滅回避して百合カプのあれこれを楽しく眺めたいだけなのになぜか自分中心のハーレムが形成されてしまって頭を抱える主人公を中心としたハーレムラブコメ。(※百合要素はほぼありません)

破滅は回避したいのでゲームヒロイン達と出来れば直接関わりたくなく、でも「推し」だから彼女達には絶対に幸せにはなってほしくて、転生した以上対等な人間である彼女達がゲームシナリオ通りの不条理な展開で悲しむ姿を見たくなく、いずれはゲーム通りに主人公によって救われると知っていてもその救いの手が今ないのなら自分が体を張って助けるしかなく、救われたヒロイン達が何故か自分に好意を向けてくるけど百合厨なので自分に恋愛感情を向けてほしくない。主人公の行動原理とその結果として付いてきたハーレムラブコメが完璧にハマっているのが気持ち良すぎた。いや、こんなのヒロイン側から見たら主人公に惚れないはずないし、百合厨である主人公からみたら何故かハーレムラブコメになってしまって「そうじゃねえんだよ!!!」ってなるのもわかりすぎるんですよね。

主人公が転生後の世界をかつて愛したゲームの世界であると認識していると同時に「自分が今生きている現実の世界」としてもきちんと認識できていて、かつて「推しキャラ」であった彼女達と対等の人間として、しかして推しであった頃と同じように愛着を持っている……という絶妙な距離感も良かったな。いやこの距離感、簡単なように見えて結構難しいと思うんです……なんかこう、自覚無自覚に関わらずとりあえず初手は自分のレイヤーが世界から1枚上になりがちなんだよなこの手の話……。

そんなわけで様々な問題を抱えるヒロイン達を救いまくって百合ルートどころかハーレムエンドしか見えない現状だけど、どうなっていくんだろう。回避しないといけない破滅エンドってヒロイン由来・主人公の人格的な問題・百合の間に挟まった罪だけじゃなくてどちらかというと実家周りのあれこれが原因で暗殺されるルートが一番面倒くさそうでありそこは解決できてないどころか妹の問題に出しゃばって行ったりして悪化しているまであるのでまだまだ完全回避とはいかなさそうだし。いろいろな意味でデバフばかりの設定から死亡フラグをどう打ち砕いていくのか、とても気になります。

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歴史に残る悪女になるぞ 6 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!

 

悪女の休息は【恋バナ】で決まり! そして王子様の溺愛にとうとう陥落!?
最後に一目、恩師ウィルに会おうとデュークと共にデュルキス国に戻ったアリシアは、悪女らしく(?)ウィルを見送る。 懐かしの面々とも再会し、彼らの変化に驚きつつ束の間の休息を楽しむアリシアだったが、彼女の周囲でやたらと恋の話が浮上! 数々の『恋バナ』を機に、これまでデュークの気持ちに向き合えなかったアリシアはある決意をすることに!?

ウィルの最期に立ち会うため、デュルキス国に一時帰国したアリシア。久しぶりに帰国した祖国だが、色々と状況に変化があったようで……!?ウィルおじいさんの死から立ち直ったばかりの彼女を待っていたのは、色々な人とのお茶会だった!?

恋バナ(?)メインの息抜き回!(シリアスもあるよ!)

自国が変わりすぎてて宇宙猫状態のアリシアにニヤニヤが止まらない。いや〜〜、帰ったら驚くだろうなとは思っていたけどこんなにも見事に驚いてくれるともう本当にね!

どんなにキツいことを言っても周囲から好意的に解釈されてしまって困惑するアリシアに笑った。悪女は嫌われてないといけないのに……と釈然としない一方で、久しぶりにリズの誘惑の魔法が解除された兄達との気のおけないやりとりにまんざらでもないアリシアが可愛いかった。そして、アリシアがラヴァール国で打ち立てた武勇伝の数々に困惑する兄達にニヤニヤしてしまう。そしてその合間合間で事あるごとにアリシアとイチャイチャしようとするデューク様、どうか落ち着いてほしい。いやいろいろな意味で長期間のお預け食らっててそれどころじゃない感はあるんですけどーー!!

武勇伝あり、過去バナあり、恋バナあり……色々なところで開催される「お茶会」がメインの息抜き的な回だったけど、これまでに明かされていなかった真実が明らかになったり、アリシア不在の間の各キャラクターたちの関係性の変化も見て取れて、そして今後への布石もしっかりと見て取れる大変楽しい回でした。次でいよいよデュークの祖母・ジュリー様の真意が明らかになるのか、それともその話は一端置いておいてラヴァール国に戻るのか。アリシアもついにデュークからの求愛に向き合う決意をして……次巻どうなっていくのかとても楽しみ。

ところで電子限定のメルとジルの短編がとても良かったです。彼女のカーティスへの好意が恋なのか別の何かはわからないけど、似たような立場であるジルとしか分かち合えない感情もあるのだろうなと。うまく言葉で言い表せないけど、印象的な短編でありました。

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推しの敵になったので

 

女性に発現しやすい異能力《天稟》が発現されて百年。世界は男女逆転社会の様相を呈していた。 ところが、この世界に転生した大学生イブキは男でありながら《分離》の《天稟》を持つ。 人智を越えるパワーの反面、隣人とのボディタッチを強制させられる《代償》を持つ不便な力だ。 彼がこの世界で成すのは──まさかの推し活!? 彼は正義の組織【循守の白天秤】に所属するヒナタが大好き! 新人隊員の彼女は天真爛漫。《天稟》の《代償》でちょっぴり(!?)食いしん坊なところもとても愛らしい。 ある時は幼馴染の兄として、またある時は悪の組織【救世の契り】の構成員として、ヒナタたち推しを最前線(・・・)で見守っていることは絶対に秘密だ。 そんなある日、ヒナタの相棒・ルイに正体がバレそうになって……? 推しの未来は俺が守る! 愛だけで突き進むシークレット・イルミナティ!

前世で好きだった漫画の、第一話で主人公に倒されて退場する近所のお兄さん・指宿イブキに転生してしまった主人公。原作通りに悪の組織【救世の契り】に所属し、第一話の破滅フラグを乗り越えた彼が目指すのは『推し』こと主人公のヒナタの活躍を最前線で目に焼き付けること!!……のはずだったのだが、少しずつ原作と違う展開になってきて……!?

悪役モブ転生×現代異能のハイブリッドバトル!!

昔から変わらず大好きジャンルである現代異能バトルと最近の流行(というほど新しくはないか?)である悪役転生、好きな要素と好きな要素を掛け合わせて好物しかない!!みたいな物語でした。

《天稟》と呼ばれる異能力が女性に発現しやすいということから強固な女尊男卑思想が根付いてしまった世界。不自然な世界の成り立ちと、それによって巻き起こる様々な社会の歪み。読者気分のまま正体不明のモブ悪役として推しの活躍を最前線で見守ろうとしていた主人公のイブキが、漫画の主人公であるヒナタや彼女の相棒であるルイ、悪の組織の幹部であり幼馴染でもある少女クシナを中心にした転生後の世界の人々と関わっていくことによって「傍観者」から「当事者」となっていく展開が印象的。特にイブキ・ヒナタの幼馴染であり、強力な能力を持つ代わりに深刻な代償を併せ持つクシナの立ち位置が良かったなあ。物語でしかなかった時には描写されなかった彼女との「物語」が、世界の傍観者であろうとしていたイブキを「現実」の舞台に引きずり下ろしていくのがアツい。物語としては自分の立ち位置を改めて見定めたところで次巻に続く……という感じだったので今後どうなっていくのか楽しみです。

重たい物語の合間に挟まれる、コテコテのラブコメ展開も好み

異能によって歪められた女尊男卑社会とか能力の代償とか……全体的に重ための世界観のお話ではあるのですが、その一方でコテコテのラブコメ展開もしっかり混ぜ込んでくるのが大変好みでした。主人公であるイブキの能力の代償が「他人と触れ合わないといけない」=定期的に否応なく発生せざるをえないラッキースケベの数々!!だったり、ちょっぴり天然で聖域なヒロインの相棒が一見クールだけどヒロイン大大大好き独占欲つよつよ少女……とか、「お約束」の使い方が上手い。お約束の多用によって細かい説明を抜きにして細部に説得力を持たせていくの上手いんだよなあ。

そして、その最たるが主人公であるイブキの「近所に住むお兄さん」という立ち位置。いやほんとこれ絶妙ですよね。1話で主人公を裏切って退場するって展開も割と容易に想像できるし、主人公の幼い初恋の相手という立ち位置も容易に想像できちゃうんだよなあ。ヒナタちゃんがやたらと「イブキお兄さんLOVE」なのも、細かい過去のエピソードとか抜きに「まあ近所のお兄さんならありうる……」ってなるし、その上でしっかりと甘酸っぱい初恋エピソードを描いてくるのが大変ズルかったです。いや知ってた、知ってた展開だけどご褒美なんだこういうのは!!

ところでそれはそれとしてこのヒロインちょっとヤバい方向に拗らせちゃってませんかね……!?天然素材とおもいきや存外に強かというかなんというかまぁ…次巻が楽しみ(コワすぎ)です!!

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