ある日、とある町を訪れたリナ=インバース。そこで自分の「弟子」を名乗る存在を知った彼女はその真意を問い詰めるため本人に会いに行くが、そこには例のごとくなんか拗らせた「自称・弟子」と白蛇のナーガがいて……!?
久しぶりでいつも通りのようでいつも通りではないドタバタ短編集!
「すぺしゃる」のノリを思い出すリナ単体&リナ&ナーガが活躍する短編に加えてガウリイやアメリアやゼルガディスが登場する書き下ろし短編、合間にドラマガに掲載されたショートストーリーを挟んだ、「スレイヤーズすまっしゅ。」から数えて実に約13年ぶり(!?)のスレイヤーズの新作短編集。いや〜良い意味でリアルタイムに読んでいた頃から変わらない「いつも通り」のノリ、それでいて登場人物や時系列に囚われずこれまで以上に自由なノリの短編ばかりで楽しかった〜!!「すぺしゃる」と同じリナの一人旅+時々ナーガな前半2編もいつも通り面白かったし、リナとガウリイが2部の序盤で魔剣探しをしていた頃の一幕を描く「魔力剣のつくりかた」とか、短編と入っても基本的に本編前時間軸固定だった「すぺしゃる」では見れそうで見れなかった本編の隙間を描くお話で楽しかったです。というかこのエルフの鍛冶屋、おそらくブラストソード作ったその人…だよな……?
個人的にはやっぱりリナたちと別れて故郷に帰ったアメリアとやはり旅に出ていて最近戻ってきた「グレイシアお姉さん」が二人揃って暴走する表題作「王子と王女とドラゴンと」の衝撃がヤバい。いやあグレイシアお姉さんの正体があの人……というのは以前からどこかで聞いたことあったしそれを知ってるファンとしてはもう待望の展開といっても過言ではないと思うんですけどめちゃくちゃしれっと出てくるし、姉。そしてめちゃくちゃ普通に姉の大言壮語を真に受けるし、妹。知ってたけどやっぱりセイルーン王家本当にツッコミがいないんだよなあ!!!グレイシアお姉さんの挿絵がなかったのがちょっと残念だけどあれはいろいろな意味でなくてよかった気もする。
そして同じくらいズルかったのがリナたちと別れて独りで元の身体に戻る方法を探すゼルガディスがかつての仲間に出会う「水と陸の間にて」。ゼルガディスが主人公ということであらすじにもある通りハードボイルドな展開だし最後にちょっといい話風になって終わるという、スレイヤーズ(短編時空)としては珍しいシリアス風味なストーリーなんですが、その「かつての仲間」というのがアレなので何もかも台無しというか…………一周回って全部シリアスなのが全部シリアスな笑いに変換されていくというか……ヌンサ、下手するとむしろゼルガディス一味の中でも一番くらいのクールな常識人枠のイケメンだった可能性すらありそうなのがズルすぎる。レゾに対する割り切り方とかが人間出来すぎてるんだよな(魚類だけど)……いやなんかでも、ヌンサって割と頭悪いイメージが強かったんだけど…………でもそういえば二枚おろしにされたのはこいつじゃなくて別の魚類だったし確かにラハニムもヌンサのこと「あのハンサム気取り」とかいってましたわね……。
ひとつだけ残念だったのは間に挟まってる各種ショートストーリーが掲載時のイラスト抜きで収録されてること。ラノベEXPOの企画本の目玉の一つだった「サクラコラボレーション」の短編はまぁ仕方ないかなあと思うけど、ドラマガ付録のカレンダー短編はもう入手不可なんだしカレンダーイラストと一緒に収録してほしかった気がする。まあ割とあの手の、その後キャラクターグッズに使い回されたりはしてる気がするけど……どのイラストについてたストーリーか理解した上で読みたいじゃん。
2020年のカレンダー短編の短いからこそ一発の破壊力に全力を出しましたみたいなノリ好きです。流石ゼロス人の心がない(魔族ですから)。