「キミラノ」が7月15日にサービス終了とのことで、キミラノでまとめていた記事をサルベージしてきました。2023年に作成した「Vtuber観てないオタクがVtuberラノベを読んでまとめてみたよ」というまとめに、キミラノで取り扱いのなかったタイトルや最近読んで面白かったタイトルをいくつか足して作成しています。まとめ直すにあたり主人公や視点ごとにまとめ直して、紹介する順番を変更したりしています(基本的に内容の変更はしていません)。
2023年1月の時点ではVtuberラノベのほぼ全部を漁れていたと思うのですが、このあと一気にVtuberラノベブームが来て追いきれなくなりました。ちなみにVtuberは2025年になったいまでもほとんど実物の配信を見たこと無いのでタイトル詐欺はしていない。長尺生放送多いのもあって最後まで見れたこと無いんだよな……ちょっと前のにじさんじとSideMの企画コラボとライブを見たくらいです。
ちなみにこちらのまとめですが「激推しラノベまとめ賞」という企画向けに作成したもので、こちらの企画で第3位、カクヨム運営チーム様から下記のような選評をいただきました。こういう企画で賞をいただいたのは初めてだったのでめちゃくちゃ嬉しかったです。ありがとうございました!!(問題があるようなら消します)
「Vtuber観ないしな…」と離れかけた人の心をもグッとつかむタイトルで、各コメントの冒頭に作品を読み解くキーワードを列記しているのが目を惹きました。「どんな人におすすめか」が一目でわかる工夫が素晴らしい。フランクな口調ながら作品のコアにある要素を鋭く押さえて解説していると感じ、強く推薦いたしました。
「カクヨム」運営チーム
女性V主役
●七斗七「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」→感想 【V視点】【Vtuber楽しい】【会話劇】【コメディ】【百合】
冴えない企業Vtuberをしていた主人公が事故配信を切っ掛けに成り上がっていくVtuber系コメディ。コメント欄との軽快なやりとりには往年の2chまとめを読んでいるような楽しさがあり、少し前に流行った会話劇主体のコメディの血脈を感じます。アンチの霊圧が殆ど無い優しい世界観で、主人公のMCとしての成長や女性Vtuber達のわちゃわちゃが楽しめるのも魅力の一つ。なるほどこれが「てぇてぇ」という感情か……。直近の巻では百合カップルが正式に成立したのでそういうのが好きな層にもおすすめです。
【V視点】【エロス&バイオレンス】【百合ハーレム】【バディ】【だが男だ】
広大なVR空間を舞台に、バーチャル美少女のアバターに身を包んだサラリーマンの主人公が同僚女性を巻き込んで推しの風俗嬢に貢ぐために危険な配信に手を染める。男である主人公が人気デザイナーが手掛けた一点ものの美少女アバターで配信者的にも性的にも無双していく展開がクレイジーでとにかく面白いし、百合ハーレム化していく中で同僚女性との肉体を介さないバディ関係が浮き上がってくるのも良かった。本編から打って変わってプラトニックでロマンチックなラストが印象的。タイトル伏線回収がまた胸に来る。
●せひらあやみ「異世界召喚されたVチューバーですが、皆様コメントで助けてください!」→感想 【V視点】【異世界転移】【ファンタジー】【ゲスコット】
兄がやっていたVtuberのガワで異世界に飛ばされてしまった主人公がクソみてえなマスコットや信用できない異世界人やラブコメの気配を察知すると低評価かましてくるリスナー達に囲まれて頭を抱えながらもリスナーの応援を力に変えて異世界の脅威と戦う(無理ゲー)。コバルトから出てるのにイケメンとイチャイチャしたら低評価とか無理ゲーすぎる。あまりにも基本設定が無理ゲーすぎたのでどう乗り越えてくるのか気になりすぎてどうしても続きが読みたかったのですが続きが出なかったのでかなしい。
男性V主役
●とくめい「アラサーがVTuberになった話。」→感想 【V視点】【お仕事ラノベ】【コメディ】【炎上】【兄妹】
デビュー以来炎上しっぱなしの男性Vtuberの主人公が「前職(ブラック企業勤務)よりマシ」と強烈なストレス耐性を発揮してなんだかんだで楽しく活動していくお話。元々はVtuberに興味がなかった主人公が妹の勧めで企業に応募……という「お仕事モノ」としての一面が強めの作品で、才能があるとはいえないけど本人はそれなりに楽しくやっている…という感じが良かった。あと何気に相思相愛みの強い兄妹関係が大変美味しゅうございました。隙あらば配信で妹自慢はじめる兄可愛いし、匿名掲示板で慣れない工作する妹ちゃん可愛いかよ。
【V視点】【炎上】【ネットの闇】【家族関係】
女性だらけのVtuber企業からデビューして炎上する主人公が、自分をコラボに誘ってくれた同期の女性Vtuberが巻き込まれたトラブルを解決するために奔走する物語。「炎上」というネットの闇の理不尽さ・ままならなさを余すことなく描きながら、それに必死に立ち向かうヒロインと、その炎を覆すために立ち上がって敵地へと赴く主人公の姿が描かれていくのがアツかった。家族関係で似たような「傷」を持つ二人の関係性も良かったです。ところでこれは軽くネタバレなんですが主人公にガチ恋男性ファン出来るの笑った。いやでもこれ絶対に「男が好きな男」なんだよな…。
●芦屋六月「妹の好きなVtuberが実は俺だなんて言えない」→感想 【V視点】【オタク視点】【学園ラブコメ】【兄妹】
久しぶりに再会した妹が自分の演じている男性Vtuberのガチ恋ファンになってしまっていた。正体を隠して接していたら、彼女のオタ活につきあわされる羽目に……というお話。Vtuberモノというよりは兄妹モノ&ラブコメ(妹以外のヒロインが出ます)としての要素が強め。作業BGVとしての配信需要が高いという設定に納得。とにかく妹ちゃんの拗らせオタクっぷりが凄まじく、そんな彼女の夢を壊さないために奔走する兄の姿が微笑ましい。いやこれ声でバレない?というツッコミをしてはいけない。親友(男)がママという設定はもっと推して行って欲しかったな。
●犬童灰舎「やさぐれ執事Vtuberとネガティブポンコツ令嬢Vtuberの虚実混在な配信生活」→感想 【V視点】【アーティスト】【Vtuberユニット】
全員がなんらかのかたちで夢破れてVtuberに転身したという過去を持つ異色のVtuberユニットを描く物語。とにかく全員が芸術家肌かつ自身のやりたいことに対して覚悟ガンギマリなのが印象的で、そんな彼らが現実と虚構の狭間で揺れ動きながらそれぞれ独自の世界を切り開きつつ、共にひとつの「物語」を形作っていく姿が心地よかったです。それぞれの強みを活かした配信内容も含めて、良い意味で他のVtuberモノにはない味わいの作品。
ファン(オタク)視点
●朝依しると「VTuberのエンディング、買い取ります。」→感想 【オタク視点】【女性V】【炎上】【推し活】【ダークヒーロー】
炎上によって「推し」のVtuberを亡くした主人公が光のトップオタから闇の炎上ブロガーへと転身。そんな彼の元にVtuberを炎上させて欲しいという依頼がやってくる…というお話。炎上によってVtuberやVtuberオタクを救済するダークヒーローモノ的な一面も印象的でしたが、それ以上に炎上によって推しを喪った主人公を含めたオタク達の「推し心のあとしまつ」的な展開が胸に沁みました。推しの炎上、対岸の火事ではないからね……。Vtuberモノとしても面白かったですが、「推し」を持つ全てのオタクに読んで欲しい(クソデカ主語)
【オタク視点】【女性V】【推し活】【VR空間】
1周年記念を前に突如として失踪してしまったVtuberのファン達が生放送の待機所で過去の配信を振り返りながら配信を待ち続けるお話。ファン目線から鈴波アミの1年間の足跡が輝かしく語られる前半、待機所が炎上してコミュニティが崩壊し、現実を受け入れられない主人公が醜く迷走し堕ちていく中盤、そんな彼が地獄の底から這い上がって最後に一瞬だけ推しを輝かせていくラスト……場面ごとにいろどりを変えていく物語がとても美しかったです。
●小路燦「VTuberのマイクに転身したら、推しが借金まみれのクズだった」→感想 【オタク視点】【女性V】【Vtuber楽しい】【コメディ】【憑依】
推しVtuber(バイト先の同僚女性)のマイクに乗り移ってしまった主人公が意図的に配信事故を起こして彼女の「素」を晒してしまう。そのキャラクターがウケて一気にスター街道を成り上がり…というお話。とにかくVtuber「加々宮エリン」の個性が只事ではなく、アンチまでも完全に捌き切ってしまうトークスキルが半端ない。そんなダイヤモンドの原石でありながら肝心なところで実力を発揮しきれていなかった彼女をあるときはリアルの同僚としてそれとなく、あるときはマイクとして半ば強引に「舵取り」していく主人公の存在が面白かった。
クリエイター視点
【クリエイター視点】【女性V】【学園】【青春】
商業絵師として活躍する高校生の主人公が、同級生の美少女からVtuberのガワをデザインしてほしい…と依頼されるところから始まるクリエイターとワケアリ新人Vtuberの物語。モデリングの出来る同級生やVtuberをしている隣人を巻き込み、プロジェクトチームとしてひとりのVtuberをプロデュースしていく前半、彼女がVtuberになった「理由」と主人公の過去に切り込んでいくシリアスな後半、どちらも良かった。Vtuberというよりはタイトル通り「Vのウラ」=クリエイターもの・青春学園ラノベとしての一面が強いかも。
●下垣「自作3Dモデルを売るためにサキュバスメイドVtuberになってみた」→感想 【クリエイター視点】【V視点】【だが男だ】
自身の作った3Dモデルを販売するためにVtuberをはじめたら、ガワが売れないままガワばかりウケてしまうというお話。クリエイターとして売れたいのにVtuberとしてどんどん成功してしまう主人公のジレンマが印象的で、Vtuberモノとしても面白かったけどそれ以上にクリエイターものとして良かった。ネットのつながりの中にじんわりとリアルの繋がりも絡んでくるのが面白かったです。
●田口仙年堂「きみがVtuberになるまで」
【クリエイター視点?】【青春ラブコメ】【一方通行】
自作Vtuberの動画を撮ってラブレターとして送りたい女の子と、彼女の事が好きなのに動画レター作りに協力することになってしまった主人公が繰り広げる一方通行気味な青春ラブコメ。読んでいると自分もVtuberできるかも?という気持ちになれてしまう前半の解説部分にワクワクした後やってくる、甘酸っぱいラストが大変可愛いお話でした。短編を単品買い出来て気軽に読めてしまうので気になったら読んでみてほしい。