少しずつお互いの距離を縮めていく3周目のオリアナとヴィンセント。しかし、ヴィンセントには自分でない好きな人がいる……と思い込むオリアナは必死にヴィンセントへの気持ちを封印して「友達」として付き合おうとする。そんな中、ヤナとアズラクの『試練』が予想外のトラブルで中止の危機に陥る。死のタイムリミットが迫る中、オリアナとヴィンセントは死の運命を乗り越えて未来に辿り着くことが出来るのか…!?
すれ違い続けた恋人たちの両想いラッシュが、甘〜い!!
ヤナとアズラクの試練にまつわるエピソードをきっかけに、すごい勢いで甘〜い展開が続いていくのにニヤニヤしてしまった。オリアナとヴィンセントが両想いになるところも大変可愛かったんですが、これまでずっと表面的には大人の付き合いをしていたヤナとアズラク取り乱し方が、そして両想いになってすっかりヤナとべったりになってしまうアズラクにニヤニヤしてしまう。あとがきで語られているアズラクの誕生秘話、彼が生まれたきっかけになったセリフを知ってまた胸がいっぱいになってしまった。アズラクの想い人に関しては絶対ヤナの勘違いなんだろうなと思ってはいたんですが、ヤナの「秘密の恋」が祖国では実質公然の秘密だったのメチャクチャ笑ってしまう。ここまで公然の仲だったのに結ばれなかった2周目のことを考えるとやるせなくなるけどな……。
そこからほとんど間髪入れずにオリアナとヴィンセントの告白エピソードが挟まるんですからもう本当に糖度が需要限界値を超えてる。アズラクのプロポーズの言葉もめちゃくちゃ良かったけど、オリアナの告白を聞いたヴィンセントの「君はずっと、ここにいたのか」がとにかく良すぎる。幾度の人生を越えて、時には記憶を失い時にはひとりで死に戻りの記憶を背負って、それでも手を伸ばし続けてきた二人がようやく「ひとつ」になった瞬間だったんだなあ。
三人でたどり着いた未来が、ひたすら尊い
オリアナとヴィンセントを何度も引き裂いた談話室での事件も、ようやく出口が見えることに。竜木を傷つけた恋人たちに与えられる死に戻りの試練と、それを見守る竜の代理人。浮かび上がってきた「三人目」の存在。ああこれは多分2回や3回繰り返してるだけじゃないんだろうなあ…とか、ミゲル関係者なんだろうなあ……とか思ってましたけど、いろいろな意味でミゲル一番重い役じゃん……。良くも悪くもこれまで一定の距離を保って接している印象だったミゲルが、どれだけ感情を圧し殺してふたりを見守ってきたのかと考えるだけで胸が熱くなってしまうし、だからこそ後日談の最初の一編を読んでニヤニヤが止まらないんですよね……「ふたり」ではなくて「三人で」4月18日にたどり着けて、本当に良かったです。ミゲルはあとがきで「終盤で主役を喰いそうになって抑えた」と言及がありましたが抑えちゃったせいなのかもっと裏側に色んなエピソードがありそうな気がするというか、もうちょっと彼の周りの話を読みたかった気がしてしょうがない。なろうのほうに追加で後日談落ちてたりしない!?
オリアナのクラスメイト達の恋路のゆくえを描く番外編もとても良かったですが、「終章」と「後日談」の間に入るのめちゃくちゃ解せなかった。あの終章の終わり方から突然別カプの話はじめられても気持ちの切り替えが出来なさすぎて、正直ちょっと気持ちがついてこなかった。ふつうに終章のあとでそのままあの4/18朝のミゲルの様子が描かれる後日談読みたかったよね……。確認したらなろうの方では舞踏会の直後に入ってたので本当に解せない。その順番だとヤナ・オリアナの両想いラッシュに周囲のカップルエピソードが畳み掛ける感じで最高だったと思うんですが。なんで書籍版この配置にしちゃったんでしょうね……。
番外編、全体的に両片思いのすれ違いLOVE・もだキュン展開が多い中で唯一、カップルになるところから関係性がはじまって少しつづそこに気持ちが寄せてくるエッダとデリクのお話がめちゃくちゃ良かったです。恋愛感情に疎くて恋愛よりも実利を求めるエッダが、少しずつデリクに絆されていく展開が可愛い。