めでたく両想いになったのもつかの間、4歳の頃に死に戻りしてしまったヴィンセント。今度こそ死に戻りを乗り越えて彼女と幸せな未来を迎えようと独り奔走し、満を持して魔法学校への入学を迎えるが、今度はオリアナの方が死に戻る前の記憶を失っていて……。
前巻以上に恋愛を拗らせたヴィンセントの七転八倒可愛すぎる
記憶を持って死に戻ったヴィンセントと二巡目以前の記憶を持たないオリアナ、前巻とは正反対の立ち位置でスタートする三巡目を描くシリーズ第二巻。女性に対する経験が足りなさすぎるヴィンセントが表面上はお堅い優等生を装いながらオリアナとの距離の詰め方がわからなくて七転八倒してる姿が正直可愛すぎた!前巻でも相当オリアナへの想いを拗らせていましたが、死に戻りという異常現象に加えてオリアナの記憶喪失が相まって完全に恋愛面に関してポンコツになっちゃってるの微笑ましすぎる。「何故オリアナは僕のことが好きじゃないんだ」(※オリアナにとってはまともに話すの2回目くらいの頃)で腹抱えて笑ってしまった。それにしても本人も言ってましたがオリアナ談めちゃくちゃスマートに向こうから告白してくれて常にオリアナを巧みにリードしてくれたとかいう「ヴィンス」、オリアナ側のフィルターがかかっている可能性を差し引いてもどう考えても人生一巡目のヴィンセントじゃなくないですか……下手するとこれ全然ループ三周目なんて生易しいものじゃないのかもしれないぞ……。入学前に書いたヴィンセントの宣誓書とか、毎年こっそり二巡目の人生での出来事を踏まえた花束を送るヴィンセントとか、エピソードがいちいち甘酸っぱすぎるんですが本当にこの人、人生二巡目とは思えないほど恋愛と言うか人間関係構築するのが下手クソだな……休暇中のオペラハウスでの邂逅とかもヴィンセントが苦労してオリアナと遭遇できるチャンスを探ってたのにオリアナが「冗談」だと済ませてしまうのとかも本当にニヤニヤしてしまう。距離感を図り間違えたら最後ストーカー扱いされても不思議ではないところをギリギリ「イケメン無罪」で切り抜けていく感じのヴィンセントの拗らせっぷり、本当に良かったです。
オリアナのことが好きすぎて彼女が何やっても可愛いし彼女の一番でありたいという気持ちが今にもはみ出しそう(はみ出してる)な反面オリアナ含むだれとも二巡目の人生での記憶を共有出来ないことに苦悩するヴィンセント。友達から始まって少しずつヴィンセントへの恋心を育ててきたけどヴィンセントが時折語る「大好きな女の子」(※二巡目の人生でのオリアナ)の話を聞いて自分が彼の眼中にないことに絶望して割り切ったつもりでも割り切れないオリアナ。オリアナを手に入れて二人の死亡フラグを阻止するために勉強に専念して二巡目よりも人間関係が希薄になってしまったヴィンセントと、第二クラスで友人達に囲まれて楽しそうに過ごしているオリアナ。1巻とは真逆になってしまった二人の立ち位置と両片想いの行方が印象的でした。いやでもいくら立場が入れ替わったとしてもここまで完璧にかつての相手と同じ想いを拗らせるこの二人、間違いなく相性バッチリだとおもうんですよね早く結婚した方がいいよ。
二人の立場が逆だからこそ見えてくる新事実、前と同じ道を辿っているようでいて少しずつ変わっていく展開も楽しかった。もちろん一番気になるのは二人の死を巡る謎の解明ですが、細々とした所が違うので同じイベントの話でもどこがどう違うのかワクワクしながら読むことが出来ました。特に一巡目では想いに気づけず、二巡目では悲恋に終わってしまったヤナとアズラクの関係、ヤナが自分の気持ちを打ち明けたりアズラクがオリアナのパンツを捕るイベントが発生しなかったりしたことが三巡目でどう変化するのかとても気になる。あとどう考えてもループに関係してそうなミゲルの意味深ムーブ……。
三巡目の途中でまだまだお互いへの気持ちを拗らせたまま完結編となる3巻へ続く。果たしてふたりは死に戻りを乗り越えることができるのか、最後にどういった結末が待っているのか楽しみで仕方ありません。