「ハズレ姫」として虐げられてきたソフィアは「魔女」として生きた前世の記憶を取り戻したことをきっかけに様々な逆境を覆し、王太子に。護衛騎士のクリス&カイルをパートナーに選ぶ。女王として即位するためには彼らの他にもうひとり王配になってくれるパートナーを選ばなければならないが、クラスメイトのダグラスの悩みを聞いているうちに予想外のところから3人目の王配の話が飛び出してきて……!?
対外交渉メインの回で楽しかった〜!
前巻は身内の膿を出して地盤を固めるターンという感じで割とモヤつく展開もあったのだけど、今回は国家としての体制を固めて他国とやり合うターンに移行してめちゃくちゃ面白かった〜!カイルの故郷であるアーレンス領の独立問題から始まりソフィアの母の実家である隣国ココディアとの対立、ココディアと対立する過程で関係を深めることとなったルジャイル……と、様々な問題に対してあの手この手で対処していく展開がとても楽しかったです。展開としては勢いのまま内乱・戦争状態に突入してもおかしくないような状況が何度もあったのに、これまで目を背けてきた前世の「魔女」としての自分にカイルとクリスと共に向き合い、前世知識を含めて使えるものは全て使いつつ基本は知略でなんとかしていく展開が良かった。
敵も前巻と比べてマイルドというか、前巻に引き続き常識が行方不明なヤバい人達は引き続きヤバいのですがどちらかというと彼らの近くで翻弄される良識がないわけではないが長いものには巻かれてしまう者達の視点が多くなったのが印象的でしたね。ココディア王替わりの話も面白かったけど、カイルのひとつ上の兄・クラウスが上の世代によって誤った認識を植え付けられて来たアーレンスの領民達の常識を壊し、それを受け入れられない者達は排除し、根本から立て直そうとする話がめちゃくちゃ好きです。
イライザをはじめとして前巻に登場した「ヤバいやつら」がおおむね自分の認識を変えられないまま悲惨な末路を迎えてしまう展開にはなんとも言えない気持ちになりました。そこを思うと最初から最後までずっと全ての火種であり続けながら物語には直接登場しないまま終わったソフィアの母親色々な意味ですげえな……彼女もココディアがたどった道を考えると幸せになれてはいない気がするんだけど、結局何を考えてそういう行動を取ったのかもわからないまま退場する感じ、一番の難敵だったような気がします。
ソフィアとクリスとカイル、「3人でひとり」の関係性が良かった
激動の時代の中でソフィアはついに3人目の王配を選び、女王即位のための準備を進めていく。3人目の彼、色んな意味でそこしかないよなという感じではあるのですが下手に絡ませたらクリスとカイルの所に割り込んでいくことになるのでどうなるんだろうと心配していたのですが……。既存の関係を一切壊さない形で「3人目の王配」として入ってくるの凄い。思い返せばクリスが恋愛抜きで王配に選ばれている展開が先にあってこそという感じもする。ルールを逸脱せず3人の王配をきちんと選びながらも3人が全く別の感情・それぞれの理由でソフィアの隣にいる。あらゆる面で納得できる4人になっているのが印象的でした。
そして恋愛面ではカイルとソフィアの1対1の恋物語であることを貫きながらもその関係性を語る上で切り離せないほどクリスがずっと共にあり、ソフィアの前世の話とかも3人で乗り越えて、最終的に「3人でひとつ」の関係性を自覚していく展開がめちゃくちゃ良かったです。うまくいえないけど、「2+1」の関係性じゃなくてちゃんと「3」だったんだよなあ。
カイルの長期間の不在でソフィアだけでなくクリスまでが憔悴してしまう展開に至っては(それ以上に憔悴していたソフィアの治療で魔力を渡していた問題もあったとはいえ)仲良すぎて思わずニヤニヤしてしまった。
すべての役割を終えて今度こそなにものにもとらわれず、3人で幸せになってるエンディングが最高に良かったです。「王」として全てを擲って生きる事を早々に決意していたソフィアだけに、このラストの構図はどんなに見たくても見れないものなのだろうと思っていました。楽しかったです!
