Cクラスのリーダーとして認められた綾小路達を待っていたのは、試験内容が伏せられたままはじまる奇妙な試験。各クラスはそれぞれに試験内容を吟味しながら、静かに火花を散らす。綾小路がCクラスの面々と交流を深めて新しい関係性を築いていく一方、堀北達のクラスはいまだ結束しきれずに居て……。
堀北の裏主人公化が凄くて今後が楽しみすぎる
あとがきで予告された夏恒例の「アレ」に先駆けた伏線貼りの回という側面が強いお話だったんだけど、前巻以上に3年生になるにあたって大きく変化した人物たちの関係性を改めて見せてくるのが面白かったし、1年生編の「一番最初の試験」を改めて想起させていくことで各キャラたちの成長が透けて見えるのが良かった。みんな成長したけど、特に須藤と軽井沢が頼もしすぎて凄い……。池とか高円寺とか色々と不安要素がないわけではないけど。そして今回はクラス全体の挙動が重要になる試験……ということで、相変わらず我が道を行く高円寺を抑えるため堀北が出向くことに。綾小路の助けがなくても僅かな言い回しの違いから試験の「正解」にたどり着いた堀北に成長を感じるし、今回は生徒会長として下級生の揉め事を危なげなく解決して見せる姿も印象的でした。そしてそんな堀北はクラスが分かれたことをきっかけに改めて綾小路清隆の過去を探ることになり……改めて3年生編のもうひとりの主人公として堀北がクローズアップされていく展開がアツいなぁ。というかラストのアレ、今後堀北が遠からず綾小路の「正体」に辿り着くってことだよなあ……。
綾小路清隆の恋愛事情(え、そっち!?)
一方、前巻から引き続きちゃくちゃくとCクラスのクラスメイト達の把握を勧める綾小路。いやまあ試験内容からしてCクラスとしてはもう何もやることがないというか、ボーナスステージなんですよね……1年生の時に何もせずとも満点通過したんだもんな。橋本や森下や山村といった2年生編の頃から出番のあった面々とクラスの今後について話し合ったり、隣の席のミステリアスな少女・白石が気になったりしつつもそんな中で気になっていたのは2年次終盤に誘いをかけてくれたのに期待に添えなかったBクラス・椎名ひよりの事。彼女に誤りたくて図書室に向かうもなかなか上手く遭遇できなかったり、いざ話しかけようとしたら距離を取られて動揺したり、彼女の些細な仕草に翻弄される姿はまるで恋する年相応の男の子のようで……ええ……!?なんだこのもどかしい展開は……よ、よう実が普通にラブコメやってる……!?
いやほんとここにきてひよりと両片思いやってるところとか初めての感情に胸を震わせる姿とかまさかの金田と三角関係になってるとかめちゃくちゃ面白かったんですけど、いやあの軽井沢さん………………(ここにきてあそこまでやっといて結局一切恋愛感情ありませんでしたみたいなダメ押しされるの、でも軽井沢と付き合ったおかげで恋愛のアレコレがわかるみたいなこといわれるの、可哀想過ぎる…人の心があるのに人の心がなさすぎる……)
綾小路に関してはどうやって堀北クラスの情報を得ているのか(前巻で示唆されてた櫛田との同盟なのか?)とか、ここにきて長谷部とよりを戻しそうな感じとか(ここ本当に「綾小路清隆ひとのこころがない!!」って叫んでしまった)も気になるんですよね……いやほんとここからどう転んでいくのか。
もういろいろな意味でここのところの綾小路に芽生えた感情が物語にどういう影響を及ぼしていくのか、それとも何も及ぼさないまま終わるのか、ここにきて一気に水面下というよりも表面上での活動が目立ってきたホワイトルーム関連のあれこれも含めてどう絡んでいくのか、本当に楽しみです。
こんなことになっても友達としてメールのやりとりしてくれる石崎が可愛い。堀北の牛肉ハンバーグに目を輝かせる伊吹が可愛い。本当にもう龍園クラスにしか癒やしがねえ……。