鶴ヶ島家の次女・麻白に執事として仕える太一郎。買い出しにでかけた先で偶然出会ったヤンキー娘・ハナを暴漢から救い出す。喋っているうちに、彼女に「メイド」としての資質を見出した太一郎は彼女を新人メイドとして雇い入れることを決意する。ところが、お屋敷でのハナはやる気はあるのになぜか失敗続き。しかも、仕えるべきお嬢様・麻白とはソリが合わないようで……。
メイド服は良いものですね
表紙の足癖の悪そうなハナが可愛すぎて、久しぶりに表紙買いをしてしまった……。もう表紙の時点で(全私に)勝ってるな!!という感じなんですけど、表紙のハナが可愛い!!!と思ったら迷わず買っていいと思います。表紙からご想像の通り、メイドとは縁もゆかりもないヤンキー少女がメイド服を着て少しずつ「メイド」として成長していく物語です。かわいいよ。ヤンキー娘vsお嬢様vs執事、仁義なき三角関係
直情的で曲がったことや腹芸が大の苦手で仁義に厚いヤンキー娘のハナ。本心が見えづらく心とは裏腹にワガママで冷たい態度を取ってしまうがその内には聡明な頭脳と優しさを隠し持っているお嬢様の麻白。正反対の性格の二人が主人公である執事・太一郎を間に挟んで喧々諤々してるのがめちゃくちゃ可愛い!ふたりからそこはかとなく見え隠れする太一郎への好意とだからこそお互いに譲れないという事態のこじれっぷりが最高に楽しかった。犬猿の仲な女ふたりの主従関係の萌芽に萌える。
最初は何をやらせても失敗ばかり、お嬢様との関係性も犬猿の仲どころかお互いに嫌い合ってすらいたハナ。彼女の教育で思い悩んでいた太一郎がとある事件に巻き込まれたことから、事態が動き出す。麻白の内面の優しさに触れたハナが、一気に「奉仕者」として成長していく姿が眩しいし、それまで太一郎を間に挟んでいないと成立していなかった麻白とハナの関係が、次第に信頼関係で結ばれていくのが印象的でした。そして太一郎が不在の中、ハナは独りで麻白のメイドとして麻白主催の晩餐会で彼女の親族と相対することに。荒削りながらも「メイド」としての所作を身に付けたハナの姿が印象的なんですけど、そんな彼女が「お嬢」のピンチとなれば完全に任侠のノリで立ち上がる姿がめちゃくちゃにかっこいい!太一郎と麻白の手によってどん底から救い出された彼女が、太一郎の駆けつけられない麻白の大ピンチを彼女らしい豪胆さで救っていく構図があまりにも完璧だった。自らの大切な居場所を失うことも恐れず繰り出された渾身の任侠キックに、胸が熱くなりました。いやもうこんなん皆無条件で惚れちゃうでしょ……。
そして最後まで読み終わってから最初に戻ると、すっかり遠慮のなくなった二人のじゃれあいがプロローグとして描かれていて本当にニヤニヤが止まらなくなってしまう。いやもうほんとに良い女同士のケンカップルで最高に楽しかったです!!!
ページ数は短いけれど綺麗にまとまっていて、スカッとした読み口なのが印象的でした。いや本当に楽しかったなあ……続きがあるならハナも含めた3人の学園生活編とか期待しちゃいます。読みたいなあ。