ジオルドから告白されてしまったカタリナ。ゲーム通り自分は眼中にないと思っていたのに……それ以来、ジオルドからの体当たりのアプローチに動揺するばかりの毎日を送る羽目に。そんなある日、カタリナの義弟・キースが突然「家出」してしまう。ジオルドやマリア・ソラ達と共に彼の行方を追うことになるが、この家出事件にはとんでもない裏がありそうで……。
重い展開を吹き飛ばしていくカタリナの存在が頼もしい
キースの失踪、彼がカタリナの家に引き取られる前に体験した過去、「闇の魔力」の使い手の暗躍。全体的に暗く重くなりがちな物語を吹き飛ばしていくカタリナの明るさが嬉しい。解決法は若干ご都合主義なようにも感じるけど、特に今回はキース周りの話が重たかったのでちょうどいいくらい。ただ楽しいだけではなくて、つらい過去を持つキースがカタリナの存在にどれだけ救われているか伝わってくるような展開にはホロリとしたし、前巻でのジオルドの告白に端を発したラブコメ展開も楽しかったです。ジオルドの告白が伝わってないわけでもなく、それでも適度にラブコメとそうでないところを使い分けていくあたりはカタリナのキャラクター性のタマモノだよなあと。マイペースなカタリナを振り回しながらも振り回されるジオルドの様子にニヤニヤしました。
めちゃくちゃ読みやすくなってた…!
2巻、3巻が割とカタリナの一人称視点→他キャラクターの一人称視点という順番で同じシーンを繰り返す事が多く、物語がなかなか進まないので文章は読みやすいのにもっさりしていて読みづらいという印象を抱えていたのですが、今巻ではストーリーの進行を阻害するような別キャラ視点も入らず、この作品が持つ本来の軽快なテンポの物語を思う存分楽しむことが出来ました。キャラクターが順調に増えていたのでカタリナ達を旅に出すことでメインの登場人物が絞られるのもかなり読みやすかったように感じました。とにかく3巻まで感じていた物語の軽妙さを阻害する「重さ」が取り除かれ、何も考えずに楽しめる物語になったのが嬉しい。
全て終わった後にお留守番だったキャラクターたちの視点がまとめて挿入されているのも(テンポが悪くなることを除けば、別キャラの視点自体はこの作品の売りの一つだったと思っていたので)良かったです。旅についていけなくてヤキモキする彼らの様子がめちゃくちゃ可愛い。アランは癒やし。