声優としての仕事が安定してきて一安心もつかの間、今度は悪役オファーばかりで主役を穫れないことを気に病む由美子。相方である渡辺千佳は夕暮夕陽としてアーティストデビューを果たし、彼女の変化を好ましく感じると同時にますます複雑な想いを抱えることに。そんな中、由美子が共演することになったのはカラメル・プロモーションの新人で次代の桜並木乙女とも噂される声優・綿菓子モコだった。自分を慕ってくれるものの時々棘のある彼女の発言に複雑な想いを抱えていた所、彼女の所属する事務所から引き抜きの誘いが来て……!?
夕暮夕陽さんの相方マウントが最高でした(知らぬは本人ばかりなり)
「声優ラジオのウラオモテ DJCD」を読んだときから来そうな気がしてた、カラメル・プロモーションからの引き抜きの話。いや来ると思ってたけどこのタイミングでくるのか……プリティアの件もまだまだ記憶に新しいこのタイミングで……この話、どう頑張っても南雲先輩が歌種やすみを見てないの丸わかりでキツいのよ……。誰一人として所属声優を見捨てないというカラメルプロのやりかた、DJCDを読んだときは結構賛否両論になる話だな……と思っていたんですけど、実際に本編に来ると思ったより駄目だった。いや、抱いた理念は素晴らしいものなんだけど実際に事務所パワーでゴリ押しされてる綿菓子モコ、どう考えても幸せになれてないしなんなら育成失敗してるし……声優としての素養は高いのに事務所が彼女の良さをちゃんと伸ばしてあげられてないというか、彼女自身が自分の才能を一番信じてないの、読んでてしんどいわ……。
事務所を移籍したら事務所の力で主役のオファーも獲ってもらえる、逆に今のままでは永遠に主役は穫れない……と言われてしまって心揺さぶられる由美子。そんな由美子とは対称的に、千佳は綿菓子モコに対抗心をむき出しにして……というかこの声優の相方マウントがすごい2025。いやぁ良いバチバチ感でした……いやほんと千佳ちゃんって由美子の事好きすぎでしょ……知らぬは本人ばかりなりなんだよな……。
そして、圧倒的なカリスマ性を持つ綿菓子モコに対して歌種やすみが相方である夕暮夕陽と共に「アイドル声優」として真っ向から立ち向かっていく展開が熱かった。ゲームじゃあるまいしライブでバトルというのもおかしな話ではあるんだけど、お互いに譲れない信念を掛けた戦い、しかも圧倒的に不利な状態からはじまる対決なんてアツくならないわけがないよね。そしてアイドルとしての可愛さ、歌手としての歌唱力で天性の才能を持つモコに叶わないとしても「作品のライブ」であれば「声優」としての演技力でそれを補い、彼女に対抗することが出来る。由美子が千佳からの無茶振りに困惑しつつも最終的にはきっちりと彼女からのリクエストに応えてくれる姿にニヤリとしてしまいました。
それにしても、負けっぱなしのところから最後の最後で「憑依型アイドル声優・歌種やすみ」がいつかのオリオンvsアルフェッカのライブばりの演技力でライブ会場の全部を持って行くクライマックスがあまりにも最高だったんですけど、そこから更に圧倒的なパワーと運命力で遅れてやってきた桜並木乙女が全部をかっさらっていくのズルすぎた。こ、これだから乙女姉さんはさぁ!!(でも最近の話の、殺意高すぎるパワータイプの現役カリスマ声優・桜並木乙女さんが強キャラすぎて好き)