ボクは再生数、ボクは死 | 今日もだらだら、読書日記。

ボクは再生数、ボクは死

 

現実を凌駕するVRエロス&バイオレンス!
世界一の美少女になるため、俺は紙おむつを穿く‐‐。 しがない会社員の狩野忍は世界最大のVR空間サブライム・スフィアで世界最高の美少女シノちゃんとなった。 VR世界で恋をした高級娼婦ツユソラに会うため、多額の金銭を必要とするシノは会社の先輩である斉木みやびと共に過激で残酷な動画配信を行うことで再生数と金を稼ぐことを画策する。 炎上を繰り返すことで再生数を増やし、まとまった金銭を手にしたシノはツユソラとの距離を縮めていくのだが、彼女を取り巻く陰謀に巻き込まれていき‐‐!?

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Vtuberや動画配信文化にはとんと縁がないんだけど、視聴者のテンポ良いツッコミやアカウント名にニヤニヤしながら楽しく読めました。エロス&バイオレンスが吹き荒れる展開の果てに待つ、それまでの展開とはうってかわってセンチメンタルなラストが印象的。

「紙おむつ」からはじまるエロス&バイオレンスなVR配信もの

バーチャル美少女な会社員おじさんが、百合ハーレムを築きながら本命の風俗嬢をモノにするため、同じVR空間で零細動画配信者をしていた会社の先輩(※VR中に使っていた紙おむつを会社のゴミ箱に捨てようとしてオタバレした)と共に過激な動画配信をする話。

最初からVR空間で百合の濡れ場がはじまってビビったし、職場の先輩・斎木みやび(イツキ)との出会いのきっかけが「紙おむつ」なのが強烈すぎる。そういえばMMORPG全盛期にありましたねゲームに熱中するあまりに紙おむつとか尿瓶とかそういう話……。

濃厚な肉体関係を築きながらもどこか人工的でプラトニックな「ツユソラ」との逢瀬、互いのすべてを曝け出しながらもキスひとつしていない斎木みやびとの気のおけない関係性。VR空間サプライムスフィアと現実。ふたりの「ヒロイン」とも言える女性達との対称的な関係性が面白かった。ともすれば仮想空間にふわっと飛んでいったまま戻らなくなりそうな物語でありながら、時折挟まれる現実での斎木とのやりとりで現実に引き戻されるさじ加減も上手いなあ。

仮想現実だからこその倫理観ド無視な展開が痛快

最初は自分の美少女アバターを愛でることと百合風俗に通うことにしか興味がなく、斎木の動画配信もお付き合いで手伝っていた忍が、ツユソラが移籍したエスコートサービスの指名料を捻出するため、彼女の配信を本気で後押しし始める。そんな折、ひょんなことから「人を殺す映像はウケる」と気づいてしまった忍のアバター「シノ」は、ちょっと問題ありなストリーマー達を「殺す」という過激な配信を行っていく。

サプライムスフィア内での「死」はキャラを操作している本人には基本的に影響ないが、アカウントが完全に削除されてしまう。これまでの名声や配信で得たリターンを失う──というそこそこ重たいリスクがある反面、主人公が「狩った」悪者たちが雑に転生(=新垢作成)してはまた主人公に狩られてるの、昭和アニメで毎週主人公たちにぶちのめされる三流悪役っぽくてわらってしまう。たとえ仮想現実だとはいえ娯楽としての殺人動画配信という展開にはギョっとしてしまうんだけど、敵が割と雑に転生して戻ってくるのでそこまでの重さは感じなかったというか、一種のギャグ漫画時空的ですらありましたよねこれ……。

性格に問題はあるが何気にゲームや戦闘面でのスペックが激高い「シノ」が、人気デザイナーが手掛けた一点ものの美少女アバターで配信者的にも性的にも無双していく展開がクレイジーでとにかく面白い。そしてかっこいい!作中の女性キャラであれば見境なくほぼ全員寝たまであったし、シノに抱かれた女達が「オンパコフレンズ」と呼ばれて親衛隊みたいになっていくのわらってしまうんだけど、それに説得力があるほど「シノ」がかっこいい女だから困るんだよな。

でもそれだからこそ、動画配信仲間のイツキ&キャッシュマネーをはじめとした作中でも数少ない「寝てない女性達」との関係が深堀りされていくのが印象的でした。

うってかわってセンチメンタルなラストが印象的

ある時、突然ツユソラが行方を晦ませてしまう。そこにはツユソラのリアル元カノを名乗る女性・マリカワの影が──。ツユソラを巡ってマリカワと対立した「シノ」は、最近リリースされたばかりのゲームで対決をする事に。しかしそれは、ゲーム内の死がアカウント削除に直結するデスマッチだった……。

マリカワとシノ達の対決、とにかく視聴者からのツッコミの使い方が痛快。いやほんとちゃんと見たこと無いんですけどVtuberの配信ってこういう感じなんだろうな〜これは面白いよな〜という再現度の高さが凄かったです。そして本垢で参加しているシノ達とは対称的に、捨て垢で参加するファン達のアバター達が雑に死んでいくのがめちゃくちゃ面白い。捨て垢の人たちのHNでいちいちわらってしまう。最近のソシャゲでたまにみる、残念な名前の人達だ!!

激戦の末に明かされた「ツユソラ」の正体。儚く消えていく彼女と、そんなセンチメンタルな気持ちをぶち壊すかのようなその後の展開が凄い。世界中に拡散していく「ツユソラ」にショックを受けながらもいつか「シノ」も彼女の後を追おう、拡散された中で今度こそ結ばれよう──という展開が、なんともロマンチックじゃないですか。

この物語って主人公・忍の一人称でありながら、思えばVR空間内の行動はどこまでも第三者「シノ」のものとして描かれてるんですよね。忍にとって「シノ」は自分であり、それでいて自分ではない、常に自分とは別のところで動く存在。そして自分を超えていく存在──それを印象づけるようなラストがすごく印象的でした。

それにしても、「中の人」が男の女性キャラと実はオンパコ未遂して、リアルで会う羽目になり気まずい雰囲気になってるのわらってしまった。これオンパコしてたらどうなってたんでしょうね。いや、シノだって男なわけだし中の人的に男×男になってる可能性を一度でも想像したことがないとは言えないですけど、その相手とリアルで会うことは全く考えてなかっただろうからな……百合無双してた弊害がこんなところに。

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