オカルト専門探偵事務所の所長・佐藤たけしは傾きまくっている事務所の運営資金を稼ぐため、相棒の幽霊少女・赤羽満を連れて大手VTuber事務所『project:eden』のVtuberミッドナイト・サイコナイト(愛称:ニコ)として鮮烈(?)デビューを果たす!ところが本人の思惑とは裏腹に初回からリスナー達に弄られまくった上に身内に配信者デビューを見抜かれてしまい……でもそのポンコツ厨二病ぶりが逆にウケて、少しずつ人気ライバーへの道を歩んでいくことに!!
「面白ければ何でもあり」だからこその懐の深さ、あったけえ
厨二病だけどコミュ障、しかも自分に憑依している幽霊の少女と会話出来るといういろいろな意味で現代社会で「普通に」生きていくのにハードルがありすぎる主人公が同期やリスナー達や先輩たちから受け入れられてVtuberやりながら楽しい毎日を過ごしていくという展開がすごく楽しかったです!いや、この設定で存在してても面白ければ「個性」として受け入れられちゃうVtuber業界の土壌、懐が深くて面白いな。おそらくこれまで親友ふたり以外から殆ど受け入れられずに引きこもりになっていた主人公がこういう形で「幽霊が見える」という特徴を隠さずに世間に「そういうVtuber」として受け入れられていく展開、あったけえ……。彼の存在がこのように自然と受け入れられたのは面白ければ何でもアリな界隈の土壌もあるだろうけどそれ以上に同期のふたりがフラットに接してくれたというのも大きく……そして時には主人公をからかいながらも暖かく見守ってくれるリアル親友組の存在がまたいい味を出している。全体的に優しい世界というか周囲の人々のあったかさが身にしみる物語でした。それはそれとして主人公の親友(男)が主人公のこと好きすぎるので100点加点したい。いやお前マジでニコのこと好きすぎんか!?
楽しい日常会話劇の中に垣間見える「非日常」の気配が気になる
男性Vtuberモノとしては割と珍しい気がする女性Vtuberとガッツリ絡んでかつカプ売りでもなく大きな炎上もないという優しい世界のお話だったんだけど、主人公のニコがあまりにもポンコツすぎて恋愛的なアレコレに結びつけづらい感じなの上手いと思った。良い意味で女性同士の会話で「良い人だけど……」と言われて恋愛対象にならない感じの人物像なんだよな。主人公も親友組も幽霊少女も同期もリスナー達も「イイ奴」なので安心できるし、主人公はただポンコツなだけじゃなくていざというときはちゃんとかっこいいところを見せられるタイプのキャラクターなのがまたポイント高い。幽霊が見えるという「異能」をかたわらにおきながらも剣呑とした雰囲気は一切ない日常会話劇がとにかく楽しいその裏で、「非日常」がそれとなくチラ見せされる終盤が印象的で、この辺の要素が今後どう絡んでいくのか気になります。並行世界を観測できるというマリーを中心に先輩組はみんななんかしら一物持ってそうなんだけど、同期のアザミの方もちょっと普通じゃない雰囲気感じるんだよね……。
