歴史に残る悪女になるぞ 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです! | 今日もだらだら、読書日記。

歴史に残る悪女になるぞ 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!

 

綺麗事だらけの世界なんて絶対イヤ。 ヒロインの正論に真っ向勝負! ちょっとズレた令嬢の異世界悪役転生記!!
正統派ヒロインにありがちな“いい子ちゃん発言”。 それが大ッ嫌いな私が、念願かなって悪役令嬢に転生!! 誰にも文句を言わせない悪女になるためには、体を鍛えて猛勉強し、魔法の腕も磨かないとね! ──と頑張っただけなのに、悪役になろうとすればするほど周囲の好感度が上がるようで!?  いいわ、悪女としてその期待、全力で裏切ってみせます!

転生して密かに憧れていた乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わったアリシア。幼少期に全前世の記憶を取り戻した彼女はいい子ちゃん発言ばかり繰り返す偽善者ヒロインを悪役らしくぶった切れる「歴史に残る悪女」になるために、まずは身体を鍛えて魔法の腕も磨かなきゃ!と努力の毎日を送るように…!?

最強の「悪役」になるために

悪役令嬢になりたかった主人公が本当に悪役令嬢に転生し、「理想の悪役令嬢」になろうと研鑽を重ねるお話。とにかくヒロインをいじめ抜くためには彼女を超える力と知識を身に付けないと!!とめちゃくちゃまっとうな方向で力を付けていくのがちょっとズレてて趣深いし、悪女という概念を突き詰めた結果めちゃくちゃスペックが高く現実主義で懐に抱きこんだ相手には慈悲深い、高潔で意識の高い「悪役」が爆誕してるの面白かった。悪女に対する認識がズレてる以外はめちゃくちゃカッコいいヒロインなんですが、これ悪かなぁ!?(悪じゃない気がする)

彼女の言ってるの良くも悪くもゲームヒロインと相対する者という方向性の「悪」な気がするので、ゲームヒロインのキャリー・リズが登場するまでは本当に独り相撲を取ってる感が凄いのですが、世間知らず温室育ちのお嬢様らしい一面を見せながらも自らの目で社会が持つ歪みや国家の現状を知り、彼女が言うところの『悪女らしい』方法で自分の身の回りの問題から国内の問題まで、自分ならばどうするのかと考えを育てていく課程がとてもよかった。ちょっとズレたこと言っては「これは悪女ポイントが高いんじゃないかしら……!!」とテンション上げていく彼女に「それは悪なのか!?」「ツッコミが足りない!!」と頭を抱えることも多かったですが!

重いけれど重くなりすぎない展開が良かった

キャリー・リズが登場してからが物語の本番で、アリシアは年若い身でありながら特例としてゲームの舞台となる学園に入学してこれまで培った「悪女」ムーブを思う存分に発揮し始める。ところが、ゲームヒロインの持つ強制力なのか巧妙な扇動なのか洗脳能力なのか学園内はリズのシンパだらけになっていて、これまで親しくしていた兄や兄の友人達(※乙女ゲームの攻略対象達)から敵意を向られたり、知らない学生達がリズを守るためといってアリシアに攻撃を加えたりするように。

学園に入学してからの展開、彼女が貧民街から才能を見出して連れてきた従者のジルやリズの影響を受けなかった限られた一部メンバー以外はロクに味方もおらず、明らかにアリシアが被害者であるような事件も巧妙に彼女の過失になるよう仕向けられたりしてかなり重苦しいお話であるんだけど、8割位の展開は「これは悪女ポイント高かったわね!」で躱されてしまうので物語が重くなりすぎないの良かった。序盤はツッコミ不在でうっとおしく感じるほどだったこの言葉でこんなに心が軽くなってしまうとは思わなかったな。

夢見がちで現実を見てなくてフワっとした耳障りの良い言葉で周囲を扇動するヒロイン・リズとは、まあアリシアと合うわけがないよなあ。人類皆善良的な概念に基づいたリズの非戦主義と人間は別に善良じゃないし出来るだけみんながWin-Winになるようにはするけど自分が良くなるためなら蹴落とすのも辞さないアリシアの現実主義の対決、割りと普通におもしろい議題だとおもうんだけどリズが割りと聞く耳持たない上に取り巻きがいちいちリズの肩持ってくるのでまともな議論にならないんですよね……。

コミカライズの方では微妙に一種の洗脳能力を使ってるっぽいことを匂わせる発言があるので故意的にそういう発言をしてる雰囲気もあるんだけど、その辺は今巻では明かされなかったので次巻に期待かな。しかしこの終わり方、本当に洗脳系の能力だったら2年間接触断ってる間に更にアリシアがアウェーになってる可能性もありそうだけど、そのへんどうなんだろう……。

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