俺は学園頭脳バトルの演出家!1 〜遅れてやってきた最強転校生は、美少女メイドを引き連れて学園を無双するそうです〜 | 今日もだらだら、読書日記。

俺は学園頭脳バトルの演出家!1 〜遅れてやってきた最強転校生は、美少女メイドを引き連れて学園を無双するそうです〜

 

俺がアイツを『最強の主人公』に『演出』してみせる──!
ゲームによる決闘ですべてが決まる帝王学園。 裏社会からやってきた最強の転校生・霧谷透。 その銀髪ロシア人メイド・ソフィー、彼の幼馴染である学年最強のお嬢様・西園寺桃華。 ――エリート育成のため人知れず運営されていた学園は、それはもう見事なほどに、学園頭脳バトルの舞台として整っていた。 ならば、モブの化身たる俺・田中叶太のやるべきことは一つ。 霧谷が最強主人公として学園を無双する、そんな俺TUEEE物語を陰から演出することだ。 それが演出家である俺の生き様……なのにお前ら、俺を目立たせるんじゃねえ! 実力隠し最強主人公×学園頭脳バトル×メタコメディ、ここに爆誕!

ゲームの強さが何より優先される帝王学園に転校してきた霧谷透はアメリカの最先端のゲーム教育を行う中学で全戦全勝での卒業を果たしたという最強の高校生だった。その霧谷と同じ日に転校してきた「演出家」を目指す普通の少年・田中叶太はその霧谷を主人公に見立てた学園頭脳バトルを「演出」しようと決意。ところが、霧谷と「ヒロイン」西園寺を対決させようと動いているうちに次々と想定外の事態が起こり……!?

「勝利」が最終目的にならない頭脳バトルが面白かった!

学園を演出する……というと厨二病感がすごいんだけど、演出する=非日常を演出することで皆を楽しませたい!という発想で、あくまで健全な目的になっているのが実に心地よかった。自身の勝利が目標ではない学園頭脳バトル、というありそうでなかった物語がかなり新鮮で面白い。

「演出」に拘りすぎて属性だけで霧谷と西園寺を勝手にくっつけようと暗躍したり、本気で霧谷に勝ちたい西園寺とペアを組んでもなお自身の演出のために負けることを選ぼうとしたり、随所に霧谷以外の人間をちょっと見下すような言動があったり……と、「皆が笑顔になってほしい」と言う割には独りよがりで自分勝手な采配も多くてやきもきしてしまったのですが、そんな叶太がどうして「主人公」ではなくて「演出家」を目指そうとしたのか、その理由を聞くとなんというか……憎めなくなってしまうというか……最初に語られた友達同士のなんてことないゲーム対戦を「演出」することでより楽しんでもらえたというポジティブな成功体験と、友達に勧められるまま本気を出して勝ち上がったら圧倒的すぎてドン引きされたという失敗体験のこの温度差よ。

勝利に拘らないというよりむしろ自らが「負ける」ことに拘る理由……皆を笑顔にしたいという言葉も本心ではあるとは思うのだけど、その裏に仄かに見え隠れする歪な感情というか過去のトラウマと言うか、この一歩足を踏み外せば奈落に落ちていきそうな不安定な感じがとても刺さりました。

そんな叶太が自分の演出失敗をきっかけにして西園寺やソフィといった「ヒロイン」級の美少女達と関わることになり、更には「主人公」である霧谷透のとんでもない「秘密」を知ってしまい……舞台の裏からこっそり物語を演出するはずが否応なしに表舞台に引っ張り出されていって……そして、運命共同体となった西園寺の心からの言葉によって本気で戦うことを諦めてしまった叶太自身の過去と向き合い、霧谷との手加減なしの真剣勝負に臨む……というクライマックスがアツかった!色々な意味で転校してきてからここまで「間違い」だらけだったと思うんだけど、軌道修正を繰り返しているうちに全員で奇跡的に辿り着けたハッピーエンド、間違えたことも含めて文句なしに青春してて良かったです。

主人公の濃厚なキャラも魅力的だったし、西園寺やソフィーや霧谷といった脇役達もかっこよくて、お互いの主義主張をガンガンぶつけ合っていく姿が印象的でした。しかし霧谷、色々な意味で○○バレ展開だけが残念だったな……いや可愛いんですけど、ああいうギャップのあるキャラ好きなんですけど……それ以上に、ああいう性格に裏表のある同性のライバルポジションが大好物なので残念だ……(いや2巻とかもっと先の巻でネタバレされるのはもっとつらいので早めにバラしてくれたのは優しい世界なんですけど)

しれっと親世代にもなんかつながりがありそうだし、その辺も含めて続きが楽しみです。

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