これが魔法使いの切り札 4.蒼穹の剣士 | 今日もだらだら、読書日記。

これが魔法使いの切り札 4.蒼穹の剣士

 

リクス、まさかの魔法大会に参戦。そして明かされる真実ーー!
進級資格を満たせる成果がなく、(またしても)退学の危機に陥ってしまうリクス。一発逆転を賭けて、ダードリック魔法大会に参加するが、同じく大会に参加していた少女リアと好敵手のような関係となりーー

またまた進級に必要な単位や成果が足りず、退学の危機に陥ってしまうリクス。そんな中、数年ぶりに開催されることとなった「ダードリック魔法大会」の話をシノから聞かされ、その代表選手を決めるための学内選考レースに参戦することに。同学年のリアと呼ばれる少女とライバル関係になったりしながら順調に勝ち上がっていくが、そこには《宵闇の魔王》復活を目論む祈祷派の陰謀と、その障害となるリクス自身をも取り除こうとする陰謀が渦巻いており……。

リクス自身の正体に迫る物語とその覚醒がアツかった!

レースを隠れ蓑にいよいよ動き出した祈祷派の首魁。《宵闇の魔王》シェノーラとしてリクス達の前に立ちふさがるシノ。彼女を救わんとするリクスの前に立ち塞がるのは過去から呼び出された本物の《黎明の剣士》……!?リクス自身の正体を含めてこれまで謎とされてきた部分が一気に明かされていくお話が楽しかったです。

今回の主軸のひとつである影魔法を操る謎の少女・リアとリクスのライバル関係(?)も凄く楽しかったのですが、個人的には第2回戦で行われたダンジョン探索パートが面白すぎた。様々な魔術試練・謎解きをかたっぱしからゴリ押しで物理的に突破していくリクス、ほんとおもしれえ男だよ……魔法でやるべき部分を魔法が使えないリクスがゴリ押しで解決していく話、1巻以来ご無沙汰だった気がしますがめちゃくちゃ好きだな。あと、巻を追うごとに「愛すべきツンデレ」と化していくアルフレッドくんが大変に愛おしい。

そして遂に明かされたリクス自身の出自と正体。《宵闇の魔王》シェノーラを救うためだけに《黎明の剣士》を似せて生み出された、まがい物の存在──「人形」でしかなかったリクスがオリジナルとは別の生き様を見出し、その上で魔王シェノーラではなく、今を生きる大切な友人であるシノを救うために新たな力を求めるという姿がとにかくアツかった!自身に「夢」を与えてくれた傭兵時代の生活、その「夢」を叶えるために辿り着いたエストリア魔法学院での友人たちとの騒がしくも楽しい1年間の学園生活……物語の開始当初から語られていたリクスの野望「戦う人生を辞めて平穏に生きたい」がリクス自身の力を目醒めさせていくという展開がめちゃくちゃ良かったです。

良い最終回だったすぎて、色々不安になった

とにかく面白かったんだけど、あまりにも完璧にこれまでの謎や伏線を回収しすぎてる今回の結末……「良い最終回だった」と冗談で言うには最終回感がすごすぎていろいろな意味で不安になった。あとがきの書き方もなんか最終回っぽい……いやここで完結じゃないよね!?

表面的にはいろんな謎が全て明らかになって綺麗に終わってて、ここで完結ということでも全然問題ない気がするんですが……これまでの伏線回収を優先した結果本来あったはずの日常パートを思い切りすっとばしてここまでやってきた感があまりにも強いので物語としては凄く面白かったのですがシリーズ全体としては「まだやれるだろ!!??」感というか、綺麗に終わったけどそれ以上の消化不良感がある。特に今回の序盤でダイジェストで語られた日常パートの話が面白そうすぎてそのへんがちゃんと短編になってないのもったいなさすぎる。

いやほんとうにこれ、日常短編だけであと2〜3冊分くらいのプロットが羊先生の頭の中にはありますよね!?生徒会見習いとして部活間の折衝やってるリクスの短編とか、魔法が使えないリクスが無理くり単位を稼ごうとしてトラブルを巻き起こす短編とか読みたすぎない!?文庫描き下ろしでリクスとトランの傭兵時代の過去短編とか、宵闇の魔王と黎明の剣士のシリアス過去短編とかも読みたくない!?3年前ならなら間違いなく今頃「これが魔法使いの日常」みたいな安直タイトルのこれがまの短編シリーズはじまってるし連載してるでしょ。だから早くドラマガ本誌で…………ドラマガが…………ない…………!?

「完結」を名言していないということは売り上げ次第で続きもある──ここで終わっても良いようにはしてある──という認識で良いのかなあと思っているんだけど、続き読めるといいなあ……。

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