かつてVR格闘ゲームで三連覇を成し遂げ神童と称されていた時雨。それから10年が経ち、成績の低迷を理由に崖っぷちに追い込まれた彼がゲームセンターで出会ったのはゲーム初心者の空手少女・纏火だった。プロゲーマーとしての進退を懸けた最後の大会を、彼女との師弟タッグマッチで挑むことになり……!?
ゲーセンのヤニの匂いを感じる、最新VRゲームの物語
ヒリつく勝負を求めて新たな世界にやってきた空手少女と自身のスタイルを見失って成績低迷する堕ちた元最強。そんなふたりが師弟としてVR格ゲーの頂点を再び目指す物語。暑苦しいくらいへの勝利への執着をバチクソにぶつけ合う展開、そして最新のVRゲームを題材にしながらもそこかしこから臭ってくる懐かしきゲーセンのヤニの匂い……新しいものと古いものが交錯する物語が超超楽しかった!!!昔ながらのボタン入力で戦うオールド格ゲーマーと格ゲーを体感型ゲームとして遊ぶ新人類のお話になってるのがまずめちゃくちゃおもしろいんですよね。確かにVR格ゲー登場したとして、過渡期は絶対そうなりますわ……全然別ゲーになるし、ゲームに求められる適性も全く違ってしまうはずだし。
そして格ゲー初心者だけどリアル空手では最強な纏火がリアル空手スキルでVR格闘ゲームを無双する!!という単純な話でもない(そういう要素もある程度はある)。最初から物凄く下駄履けてはいるけど、現実にはない動きやボタン入力との両立で戸惑うことになる。これもわかるわ……リアル楽器やってる人ほど逆に同じ楽器を題材にした音ゲーなれるのに時間かかったりしますもんね……。
この主人公面倒臭え〜!!でもそれが良い!!!
かつてボタン操作の【G】タイプの方でVR格ゲー界を無双し、現在は体感入力を行う【P】タイプに転向したことで長いスランプに陥ってしまっている主人公の時雨。しんどくても醜く足搔き続けるのは今は遠い所に行ってしまったちいさなライバルとの再戦の「約束」のため。そして、【G】タイプではできない【P】タイプの可能性を目の当たりにしてしまったから。そんな時雨が纏火という少女との出会いを通して改めて自分の勝利への渇望と向き合い、格ゲーを始めた原初の気持ちを思い出していく……という展開がとにかくアツかった。とにかく初手から時雨の勝負に対するこだわりが強すぎてこいつめんどくせ〜!!!ってなるんだけど、その面倒くささが良い。そして彼とコンビを組む纏火も同じような面倒くさいこだわりを持っているタイプの女子なので似た者同士な発言多くてニヤニヤしてしまう。この面倒くささはもう大好きなやつですわ〜!!となってしまう。
この時雨の面倒くさい拘りも、全ては格ゲーが大好きだから。自分がぽっと出のニューカマーにボッコボコにされようが成績低迷しようがゲームの新たな可能性を見つけたら目を輝かして喜んじゃってる姿にもう苦笑しかできないし(少なくてもプロゲーマーのありかたとしては正しくはないのよね……)、そんな彼が纏火と出会い、ライバル達との対峙を通して初心を思い出し、再び最強を目指して自身を取り戻すクライマックスがめちゃくちゃ良かった!!しかも、低迷していた間の経験すらも糧にして。こんなん嫌いなオタクいないでしょ……!!!
暑苦しいほどに熱い物語が最高に楽しかったです。1巻で綺麗にまとまってる感じはあるけどまだまだやれますよねえ!!というか纏火ちゃんの格ゲーマーとしての覚醒も見たいし、まだまだ本戦も残っているし……で見どころはまだまだありそう。続きが出るのを楽しみにしております。
