エルデンリングのPvPでリア充を狩るのを楽しみに、配信活動もやっている高校生のユウ。ある日、エルデンリングの序盤のボス攻略に詰まっているクラスメイト・ダイにうっかり話しかけてしまい、協力プレイで攻略のアドバイス兼見届け役をする羽目に……!?
実在のゲームを題材にした高校生ふたりの青春物語
苦手な「リア充」がフロムゲーのクソ強ボスにボコボコにされる姿を笑ってやろうという大分後ろ向きな気持ちでダイからのフレンド申請を承諾したユウが、なんでも新鮮な気持ちで楽しむスタイルのダイの姿を見ているうちにゲームを純粋に楽しむ姿を心地よく思い、少しずつ放課後の協力プレイを楽しむようになっていく。ゲーム攻略が進むにつれて自身の気持ちの変化に戸惑い、ゲームクリアによってダイとの関係が終わってしまうことへの怖れを感じ始めて……というふたりの関係性と気持ちの変化が印象的な物語でした。元のゲームは全くわからないのですが、ゲームの前提知識がなくても楽しめる高校生ふたりのゲームを題材にした青春のお話で、面白かった〜!!ユウに訪れた気持ちの変化、しかしそれがきっかけでいままで「リア充憎し」でやっていた配信活動の方がうまくいかなくなり、リスナー達の不満が溜まり始める。挙げ句にはネットストーカーらしき人物まで現れ、ユウの私生活を掻き乱し……何もかもが上手くいかないままダイとも喧嘩してしまい……ドン底の所からゲーム内で殴り合って解決、雨降って地固まるというラストが最高にアツかった!ユウみたいに一種のキャラ作ってやってるタイプの配信者のキャラ変、視聴者側として考えるとかなり複雑な気持ちになりそうだなとも思うんですけど、あえて自分の素の姿を全世界に配信してエンタメとして昇華しちゃうの小規模炎上の火消しとしては上手かったんじゃないかなと。(作中の)万人が納得できる解決方法ではなかったとおもうけど、リアルでもネットでもクラスメイトも視聴者も一緒に楽しそうにしているエンディングにほっこりしました。リア充ども末永く爆発しろ!!
主人公二人の関係性がとにかく好きなんだけど、しんどい展開の中でも変わらぬ明るさで接してくれるユウのゲーム仲間のマイケルがめちゃくちゃ良いキャラだったし、同じクラスの仲下さんが適度な距離感で付き合ってくれるのも凄く良かった。ストーカーくんのその後も含め、基本的に悪い人がいない世界観なの安心できる。
友情以上恋愛未満の関係性たまらね〜〜〜!!!
これ作者側の意図か自分の誤読かわからないんですけど、最初男子同士の友情物語だと思って読んでたんですよね。というか本当に前半の展開で性別的なアレコレを感じなくて、リア充男子と陰キャ男子の友情物だと思って読んでいたというか。それが後半で二人の距離が縮まるにつれて少しずつお互いを意識するようになっていって、それに呼応するようにお互いの内面に関する描写も増えていって……「自分の本当の姿を暴かれたくない」と独りごちる序盤から、全部さらけ出してぶつけ合う後半に進むにつれて両者の内面の描写が増えていくのが印象的でした。最終的にこの気持ちは友情なのか恋愛なのか、わからないけどどっちでもいい、今ふたりでいるのが楽しい!!という関係性に落ち着くのがめちゃくちゃ好みで、刺さった。そうなんだ私はこういうこの気持ちが恋愛なのかなんなのかわからないでもそれより大事な物があるしもっと君の隣で一緒に楽しいことしていたい系ラブコメ未満の甘酸っぺえやつ(長い)好きなんだ!!!
田口先生の現代舞台・甘酸っぱい男女の青春短編が前からすごく好みで、「3分間のボーイ・ミーツ・ガール」「僕とキミの15センチ」「きみがVTuberになるまで」とどれもめちゃくちゃ好きだったのでこの路線で一冊長編書いてくれないかなー……と密かにずっと待ってた身としては本当にありがとうエルデンリングでした。ありがとうございますこの路線でぜひもう一冊……(ガーゴイルとかミロクとか魔王城みたいなファンタジー疑似家族物路線も好きなんですが、そっちの新作もずっと待ってるんですが、それはそれとして……)。
「魔王城」だけじゃなくて「3分間のボーイ・ミーツ・ガール」も電子書籍になってないってマ!!!!?????????????????????(今気付いた)