魔術師クノンは見えている 3 | 今日もだらだら、読書日記。

魔術師クノンは見えている 3

 
Laruha

水魔術で空を飛び、水中で呼吸する――天才の魔術探究に常識は通じない!
魔術学園での商売を早くも軌道に乗せ、実力で三派閥同時在籍を勝ち取ったクノンは、各派閥の先輩と共同研究を開始! 特に水中での呼吸法の研究は、いつしか難破船の財宝探しへと話が広がり、ついには実地調査で海に飛び出すことに。特級の生徒なら海底だって散歩道! 巨大魚に襲われてもーー「大丈夫。水辺は僕の領域ですから」 使える魔術のレパートリーも倍に増え、ますます実力をつけた盲目の天才による、常識破りの魔術探求・第三弾

自分どころかクラスメイト達の金策まで軌道に乗せ、いよいよ本格的に魔術の研究を開始したクノン。3つの派閥に所属する先輩たちを巻き込んで共同研究を行ったり、海に眠る財宝を探しに行く羽目になったり、三級クラスの授業を受けて2つしかない魔術のレパートリーを増やそうとしたり、二級クラスの生徒達と模擬戦することになったり。そんな中で、教師のサーフからの依頼で二級クラスに赴いたクノンは魔術よりも派閥争いに興じる生徒たちを目の当たりにして……。

「オタクが好きなことしてるだけの話」が面白くないわけない

2巻は特級クラスの同級生達の話が中心となっていましたが、3巻は生活基盤を確保したクノンがいよいよ本格的に魔術研究に打ち出すお話で、下級クラスの生徒達から派閥の先輩・教師まであらゆる学園関係者を巻き込んで繰り広げられる物語が楽しかった!良くも悪くも今回は魔術研究のお話が中心で物語的には動きの少ない一冊とも言えるのですが、行動力の化身のようなオタク(クノン)が他のオタク(魔術師達)を片っ端から巻き込んでやりたいことが出来る環境で好きたい放題しているわけで、それが楽しくないわけないんだよなあ。

魔術師達が人によって様々な魔術特性・属性を持つのと同じように、クノンが出会った彼らが魔術に対していろいろなスタンスを持っているのも見えてくる。特級クラス内で話が収まっていた頃はなんだかんだいいつつ皆が同じ方向を見ていた感じがあったのですが、魔術にそこまでの興味を持たない三級クラス、貴族たちの派閥争いの縮図となっているニ級クラスの生徒達との邂逅・すれ違いがまた印象的で。大きな才能を内に秘めているのに魔術よりも将来の生活のほうが大事という彼ら彼女らに対して、家庭環境から根本的に違うクノンが説得することは難しく……という描写にはこちらまでもだもだしてしあうのですが、その裏ではクノンとの出会いを通してその生き様に影響されていく生徒たちも存在する。三級クラスの子達の話とか、なにげに今後の展開への種まきだったような気がしているので今後が楽しみだなあ。そして珍しい魔術があれば生徒たちを導く責務なんか投げ捨ててひとりの魔術師に戻って興奮してしまう教師陣達が大人気なくて好き。

その一方、学園の外では早くも学園でのクノンの活躍が話題になっており……いろいろな意味で次巻は話が動きそうで、楽しみですね。というかその話題の的になってる話、クノンが学園で一番最初にやったやつじゃないですか……ここからの活躍を知ったらどうなってしまうんだ。しかし守ろうと思ってた婚約者が予定を前倒ししまくって前に出てきてしまって慌てるミリカ殿下、まじで強く生きて欲しい。

ジオエリオンとの関係、美味しい!!!!!

これまで基本的に誤った紳士観の弊害で、女子しか眼中になかったクノンくんに男の影が…ヤッター!!ニ級クラスの派閥争いの中心にいる人物、「帝国の狂炎王子」ことジオエリオンとの出会いにめちゃくちゃテンション上がってしまった。水と炎、対称的でありながら似た者同士、出会った途端に最高の親友として、そして最高のライバルとしてお互いを認識している彼らのやりとりにニヤニヤが止まらない。出会ったばかりなのに妙にお互いへの解像度高いのも美味しいし、そしてやたらと距離が近いとか同性でよかったとか周囲からちょっとズレた心配されてるのに別の方向でもニヤニヤが止まらない。いやこれ次の巻ではバトルしてくれるんですかね?「焦がれて待とう」はズルいですって!!

いや〜これほんと絶妙に至近距離でありながら自分には関わり合いのないところでふたりのやりとりを観察してニヨニヨできるイルヒ、腐女子のベストポジションすぎてずるいな……「学園の壁になりたい」みたいな感覚で私もイルヒになりたい人生だった……。

記事への反応
なにかあれば
  • わかる(0)
  • 面白かった(0)
  • 興味が湧いた(0)
  • 持ってる(0)
  • 買いました!(0)
  • ぱちぱちー(0)