魔術師クノンは見えている 6 | 今日もだらだら、読書日記。

魔術師クノンは見えている 6

 
Laruha

絶対に売れると思う――後輩と開発した新魔道具にクノン自身も太鼓判!?
調和の派閥のシロトから、禁忌の学問「造魔学」の共同実験に誘われたクノン。だがその前に、後輩セララフィラの金策と進級用の単位取得、二つの課題が立ちはだかる。 そこでクノンはそれを同時に解決すべく、新魔道具の開発に着手。魔力を流すだけで家が建つ――魔建具と命名されたその発明は、予想を上回る大型契約へと繋がって……? さらにゼオンリーの過去編、魔術学校の問題児だった頃の活躍を、三万字超の大ボリューム書き下ろしで収録!

神花行方不明事件のすぐあと、後輩のセララフィラから金策の相談を受けたクノン。土属性の魔術師である彼女と実現できそうなアイデアがあり、共同研究を持ちかけるが……「魔建具」と名付けられたそれは時代を変える可能性すら秘める大発明で……!?

人が沼に落ちる様子はいつみても健康に良い

セララフィラの金策回がとにかく面白かった!!もう2年生編のもう一人の主人公と言っても過言ではない気がしてくるくらい彼女の魔術師としての成長物語が面白い。クノンが聖女レイエスや同期達の金策を手伝う回も似たような面白さがありましたが、あくまで「魔術師」というよりも普通の貴族の少女であったセララフィラが前巻から引き続き魔術という深大な「沼」に足を取られてズブズブと沈んでいく様子が最高に楽しいんですよね。次々と湧いてくる魔術のアイデアに夢中になり、同時に自らも足を踏み入れたからこそわかる先輩たちの凄まじさに圧倒され、自らも同じ所に行くため足掻きはじめるセララフィラの姿にニヤニヤが止まりませんでした。すっかりガーデニングオタク(ガーデニングではない)と化した聖女の現在も踏まえて、色々な意味でセララフィラが今後どの方向に進化していくのか期待が高まりすぎる。

そんな彼女を夢中にさせたクノン発のアイデア「魔建具」──土属性の魔術を使って持ち運び可能で後処理も簡単な簡易拠点を建てるという道具、たしかに考えてみるとそんなに難しいことしてないんですけど、逆にこれだけの画期的なアイデアを初級魔術だけで構成してしまうの本当にクノンの発想力がヤバすぎるんだよな。セララフィラの侍女・マイラがクノンの提示した金額で泡吹いて自らギルドとの商談を請け負う流れに笑ってしまったんですけど、実際クノンはその技術が与える影響は理解していても自分の発想力がそこまで突飛なものだと思っていないわけだし、まあ過小評価気味にもなるのか……。これはクノンの話を聞いたリンコの語彙が「稼」ばっかにもなるし、祖国も悲鳴上げていよいよゼオンリー送り込んでくるわけですよね仕方ないね。

本編と過去編踏まえて、色々と謎が深まってきたな

そして書き下ろしの番外編は前巻に引き続きクノン第二の師・ゼオンリーの学生時代、災約の呪詛師アイオンとの2ヶ月間の同居生活のお話。ひたすら研究に夢中なゼオンリーと、彼と一緒に暮らすうちになんだかんだでゼオンリーのことを意識しまくっているアイオン、そしてなんだかんだで深まっていく同期達との関係性も微笑ましくて面白かったんですが、過去編で明かされた事実と本編でさりげなく提示された謎を踏まえると色々なにかがこう見えてきそうで……今も学園都市に居るといわれているアイオン、そして「光属性」……なんかクノンが前巻から気にしてる人がひとりいらっしゃいましたよね……いや本人なのか関係者なのかはわからないけどさ……。

ゼオンリー来訪……というか祖国ヒューグリア王国が彼を派遣した意図、久しぶりのミリカ殿下との再会はどうなるのか(女性問題でガン詰めされるのか有耶無耶になるのか)、ついに進展しそうな『眼』を作るというクノンの目標……色々な意味で続きが気になる!!

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